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No.30317の一覧
[0] 【習作・オリジナル】真っ黒ダンジョン(仮)[クラクモ](2019/01/14 10:12)
[1] ・真っ黒なナニカと俺と悪魔[クラクモ](2012/06/01 00:12)
[2] ・状況把握と俺とグループ[クラクモ](2012/06/01 00:13)
[3] ・最初の狩りと俺と獲物[クラクモ](2011/11/06 03:52)
[4] ・初めての食事と俺と初めての……[クラクモ](2011/12/29 16:46)
[5] ・事後報告と俺とお持ち帰り[クラクモ](2011/11/02 21:46)
[6] ・ベッドと俺とその温度[クラクモ](2011/12/29 16:50)
[7] ・魔法と俺と黒い人影[クラクモ](2012/06/04 19:03)
[8] ・瞳の暗示と俺と白色[クラクモ](2011/11/24 19:32)
[9] ・列車と俺と失敗と[クラクモ](2011/12/29 16:55)
[10] ・ラインと俺とアルコール[クラクモ](2011/11/27 03:50)
[11] 幕間 ~それいけ神官ちゃん~[クラクモ](2011/12/29 16:56)
[12] ・わんこと俺と召喚陣[クラクモ](2012/06/01 00:14)
[13] ・獣と俺と、狩りをする人される人[クラクモ](2013/08/24 08:01)
[14] 幕間 ~それいけ狩人さん~[クラクモ](2012/06/04 19:04)
[15] ・宝?と俺と水の音[クラクモ](2013/08/25 21:28)
[16] ・五色と俺と昔の話[クラクモ](2012/11/09 01:00)
[17] ・眼鏡と俺と格闘戦[クラクモ](2013/04/05 02:53)
[18] ・始まる休暇と俺と半分[クラクモ](2013/08/25 21:27)
[19] ・準備と俺と夢見るチカラ[クラクモ](2018/12/12 18:22)
[20] ・記憶と俺と空の色[クラクモ](2019/01/14 09:55)
[21] ・彼女と俺と羽ばたく翼 <New>[クラクモ](2019/01/14 09:55)
[22] ※ こぼれ話 ※[クラクモ](2011/11/07 20:46)
[23] 番外~少し未来のこと『春待ち祭り』[クラクモ](2012/06/01 00:17)
[24] 番外~少し未来の先のこと『国境近くの町で』[クラクモ](2013/12/23 05:40)
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[30317] ・準備と俺と夢見るチカラ
Name: クラクモ◆5e745eb7 ID:5117a69a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2018/12/12 18:22
・準備と俺と夢見るチカラ







「…………ふぅ」

覚えたばかりの転移魔法を壁抜けに使う事になるとは思わなかった
まったく……激しかったせいか姐御も全然起きないし、困ったもんだ

俺じゃあ魔法的に隠された入り口の扉を内側から開ける事は可能だとしても、あの高性能な隠蔽魔法は再現できないんだよなぁ
今まで基本的に手加減した魔法しか使わない姐御からのみ魔法の術式を受けとっていたので気づかなかったけど
どうやらハーフちゃんから受け取った術式全般は本人のものより劣化しているようだった
隠行のスキルも盗賊さん本人よりも劣っていたので、知識や経験の吸収をしても100%の再現は無理って事らしい

まぁとにかく、流石に突かれ疲れて寝ている二人を戸締りしない部屋で放置していくのも何なので、上手くいって良かった
本来は魔法的な基点をあらかじめ設定しないと移動できない転移魔法でも
近くであれば壁向こうの位置や状況を真っ黒なナニカを介して把握できるっぽいし、構造体の中だと地味に汎用性が高そうだ
もう少し慣れたら女のコ達のラインを直接辿って行く事で、いつでも会いに行けるようになるかも知れない

それに……ふふ、今まで所持していた、数があまりない上に一方通行になる消耗品の帰還の巻物と違って
ようやく手に入れた念願の、自由に使える移動手段だ! いやっふーー!!





うきうきとテンション高く明るい未来を想像していると自分の部屋の前へ到着していた

まぁ今は向かいの監禁部屋(仮)の方が愉しさ一杯だけどね! なんて事を思いつつ扉を開いて部屋の中へ
寝床代わりにしている毛皮の上に腰を下ろして周りを見回してみれば、雑然と置かれた品々が目に入る

 ― 手鍋を手に入れた ―

今まで行った探索者との戦闘の後で適当にまとめて持ってきたこれらの戦利品も、もうそろそろ片付けが必要かなぁ
携帯用の調理器具なんて、俺はどうしてこんなに幾つも持ってきてしまったのか……まだ使えるとは言え、擬装用にしても一個二個あれば充分なのに


「んー」

うん、とりあえず先立つ物から始めよう
元の所有者達が財布として使っていただろう小さな袋を幾つか手に取り、手の平に銀貨を取り出して金額を数えていく

探索者は基本的に流れ者なので、普段から自分の財産のある程度を持ったまま行動している
やくざな商売であっても人一人が生きていく上で稼いで溜め込んでいる財産なので、その金額も少なくは無い
でもって、ここ構造体の中では割と頻繁にそんな人達がお亡くなりになったりしている訳で……もう、ウハウハである
侵入者が多いのはあまり警備員としては好ましくない事態であるけれど、ゴロツキの皆さんが稼ぎに来るのも頷けるというものだ

「ひーふーみーよーの……っと、こんなとこか」

戦利品の中から姐御が持っていってしまった少数の金貨や宝石なんかはともかく、一般に流通しているらしい銀貨は大量に貯まっている
盗賊さんや三つ編みちゃんから得られた相場関係の知識によると、一人でなら数年間は遊んで暮らせるだけの金額になるっぽいので
これだけあれば人間社会に紛れて生活するのも問題ない……と、思う


次に、あーと……雑貨類は擬装用に最低限あれば良いから残りは適当に纏めておいて
……あぁ! そういえば呪術師ちゃんに包帯っぽい布を渡しに行くんだった
救急箱みたいなものなのか、回復薬やらも一緒に入っている袋から布束を取り出して……これ位で良いかな
残りの、それなりに価値のある使わなさそうな巻物類と既に成分を覚えた水薬類は外に行ってから売ってしまっても良いかも知れない
水薬の類は創りだせるので必要になったらその都度用意したらいいし、いくつか空き瓶があれば数をストックしておく必要も無いだろう

ざっくりと細かい品々を種類ごとに纏め終わり、続いてかさ張る物へと目を向ける

 ― 銀鎖の服を手に入れた ―

チャラリと微かな音を立てたのは神官ちゃんが装備していたチェインメイル
見た感じ鎖が綺麗に細かく編まれていて、いかにも高級な品っぽい装備である
いつの間にか輝く銀色から自然に酸化する以上に真っ黒くなってシックな色味になっているけど、これはどうしよう
神官ちゃんの体型に合わせられているみたいだから俺じゃ着れないし、とりあえず保留しておくか

片づけをしているのに保留って時点で微妙に駄目っぽい気がしないでもない


ふむ、神官ちゃんと言えば、他にもいくつかあったような……
事後に着せたのはローブだけだったので、彼女のグローブやらブーツは部屋のどこかに転がっている筈
初めての行為に てろんと蕩けて乱れていた姿を思い出しながら、ごそごそと部屋の隅を漁る

「ッ!」

げっ、なんてこった……ここで神官ちゃんとヤッた時に敷いていた毛皮から異臭がががが!
戦慄しつつ、急いで臭いが散らないようにぐるぐる巻きにして外の通路に放り出す

あの頃はまだ洗浄魔法を使えなかったからなぁ……姐御も臭いがどうとか言ってたっけ、奥の方に埋まってたんで気づかなかった
後でなるべく離れた通路に投棄しておこう、おそらくその内スライムが処理してくれるに違いない
休む時に使う毛皮も旅する時には2枚もあれば良いから、足りなくなる事も無いし

探索者一人に付き1~2枚持っているので大量に有る毛皮の在庫を頭の中で確認しながら扉を閉めようとして、ふと正面の扉が目に入る





……そうだ、司祭さん、片付けに夢中で司祭さんを忘れてた!

ええと、捕まえてからヤって、姐御の所で宴会してヤって一寝入りして戻ってきて片付けしててで……もう半日以上経ってるか
運動してお腹減ってるだろうし、ご飯を上げなくちゃいけないな、性的な意味ではなく

という訳で一旦部屋に戻って宴会の時のツマミにもしていた干し肉に、固いパンと水
あまり数は無いけど乾燥した葡萄っぽい果物なんかを整理した荷物から取り出し、適当な器に載せる
後はちょいと隠し味に例の粉を振りかけて水にもたら~りと"愛情"を混ぜて……うむうむ、これで司祭さんもグッと素直になってくれるだろう、うひひひひ

では改めて餌付けをって、ん? これは……ふむん、なるほど……ならばこっちは……
少し考えてから、用意した食事を下に置いて、軽く準備をして、結界を解いて扉を開く

開けゴマ! なんちゃって



「フッ!」

別に自分のネタに笑った訳ではない、予定より遅くなった為に既に目覚めていた司祭さんの不意打ちである
そういえば人体を凶器に変える物騒な鉄板入りブーツは取り上げて自分の部屋の方へ放り込んで置いたけど、足は縛ってなかったっけ

しかしそんな攻撃も来ると解っていれば怖くは無い、扉の影に待ち構えている事は先ほど真っ黒なナニカレーダーによって把握済みだ!
物騒なブーツを履いたフル装備状態ならともかく、疲労やらナニやらの結果弱体化して、その上素足を剥き出しにしている今の司祭さんの軽い蹴りでは
人間よりも強靭な悪魔の肉体をさらに魔法で強化した状態で待ち構えているこの俺にダメージなんて――


――ぼすっ

 ― 14のダメージを受けた ―

おふっ! ……おぅあ、地味に痛い…………で、でも、出会った当初アニキに肩を叩かれた時よりは痛くないからダイジョウブ
表情に出ないよう必死に痩せ我慢をしながら脇腹で受け止めた脚を掴み、余裕たっぷりに話しかける

「おいおい、せっかく食事を用意してきてやったってのに酷いじゃないか」

「っ! この強さ……あの時は手を抜いていたのか?」

 ─ 再生…14ポイント ─

眼鏡を装備した状態にある司祭さんは、通路で戦った時のように鋭い視線をレンズ越しに向けてくる

ってあれ、眼鏡? 手は後ろで縛られたままなのに一体どうやって眼鏡かけ直したんだろうか
口でつるを開いて上に向けて置いて、そこに顔を入り込ませたのかな?
……何か、腕を縛られた女性が口だけで頑張ってナニかしている姿を想像すると妙に興奮してくるぜ!

「俺を強いと感じるのなら、逆だな……くくく、アンタが弱くなったのさ。 こんな風に……な」

わざと性的なモノを匂わせる言葉を掛けながら軸足を払い、司祭さんの肉体を床へと転がす
両手を背中側で縛られて蹴り上げた片足を掴まれた状態ではろくな抵抗も出来ず、簡単に倒れる司祭さん

続けて仰向けとなった肉体に覆いかぶさり、ゆっくりと足に手を這わせてその付け根へと向かわせる
流石に眼鏡はどうにかなっても口だけでは下着を履くことは難しかったのか
それとも単にアレな液体で濡れていて触るのが嫌だったのか、司祭さんは下半身には何も身につけていないままだ
なので手のひらにはしっとりとした素肌の温度が直接感じられる
当然、それをされている司祭さんの側にも同じようにその刺激は伝わる訳で……

「っ、く……手をはなせっ、これ以上罪を重ねるな!」

む、捕らえた相手を無理やり犯すような相手にもまだそう言ってくるのか、司祭さん良い人だなぁ
このまま何度か肉体を重ねていった勢いで色々誤魔化そうと思ったけど、そうなると……うーん
少しの間、司祭さんの性格を元にあれこれ軽く検討してみる……丁度良いかな? 後々の事を考えて少し仕込んでおこう

「……アンタが言ったんじゃないか、俺は魔道に堕ちた者なんだろう? 今更もう戻れやしない」

前後の状況と微妙に合っていないズレた言葉を唐突に発する俺
少しうつむいて態と悲しげな様子を匂わせながら、いかにも説得する余地があるかのように呟く
司祭さんが最初に考えていたものに近い、嫌々ながら魔物に従っている人間……と、いう風に演出する訳だ
冷静に考えられる状態ならば、そういう人は捕まえた女性を脱がしたり舐めたりしないと思うだろうけど、今の司祭さんなら……

「そんな事はない! 誰だってやり直せるっ、悔い改め、罪を償うのだ!」

おー流石、人の救済を目的とした職業の人は違うね、こちらの言った事を真摯に受け止めて予想通りの反応を返してくれる
どうやら司祭さんは意外に熱くなり易い人のようだ……だからこそ、こうして簡単に嘘の言葉に飛びついてしまうんだろうけど
今だってまだ俺の手でひん剥いて肌を晒した司祭さんの上に覆い被さったままなのに、真面目な顔で話をしている状況が自分の事ながら少し笑える

「そうしてノコノコ出て行って、償いの名の下に首を切られるのか? 信用できないな」

頑なな表情を作り、司祭さんの言葉を拒絶しながら両手を動かして、さらに別の言葉を投げかける

「綺麗な肌だ……俺達のような人間とは違う」

「な……っ……」

言いながら司祭さんのわき腹をするりと撫で、今度は上着の内側を上へ
何か言おうと口を開いた司祭さんを遮るように、そのふくらみを直接掴み、ぎゅっぎゅっと強く揉みしだく
うむ、うむ……小ぶりとは言え、中々の張りと感触だ、これも鍛錬の賜物だろうか

内心でニヤニヤとそんな感想を抱く俺をよそに、敏感な場所を乱暴に扱われた刺激により司祭さんの肉体に力が入って、硬直する

「アンタ、飢えを感じた事はあるか? 道端で寒さに凍える夜を過ごした事は?」

神殿で働いていれば、今挙げたような理由で望まずに悪の道へ進んでしまった人を見る機会があっただろう
そして、小奇麗に整えられた容姿や身に着けていた装備品から推測するに、おそらく司祭さんは ある程度恵まれた家の生まれ
自分が貧しさを知らないという事に負い目を感じるはず……そして、そこを利用させてもらう

俺には別にそんな同情するような事情は無くて、普通に真っ黒だけどね!

「っ、それは……」

面と向かって男に素肌を弄ばれる羞恥心からか、それとも嫌悪からか……あるいは先日注ぎ込まれた淫魔の体液で狂わされた感覚からか
わずかに頬を染めた司祭さんが気まずそうな様子で言葉を詰まらせる
台詞の中にちりばめられたそれらしい単語によって、上手く同情を誘う方向で思考を誘導できたらしい

「まぁ、犯された事もそういった不幸の一つだろうがな……また、昨日のように可愛がってやろうか?」

この部屋で意識を失う前にされていた行為を思い出したのか、司祭さんの表情に怯えが浮かぶ

止めていた手で柔らかなふくらみに ゆっくりと指を這わせると、ぴくりと反応した司祭さんの肌が粟立つのがわかった
やはり淫魔と一度行為を行ったからか、肉体そのものがかなり感じやすくなっているようだ
ヤった次の日に女のコがどうなっているのかなんて知らなかったけど
肉体の奥に淫魔のアレなんていう濃ゆい成分を注がれるだけあって、無効化された術式以外にも何かしらの効果が残っているもののようだ


ある程度肉体的な抵抗が低下しているっぽいので、このまま継続的にナニしていってもその内司祭さんに術式を通せそうではある
とは言え、食事にイロイロと混ぜていくのも無駄にはならないだろう
上と下……両方から責めればより一層効果を望めるに違いない、健康の問題もある事だし、ここはしっかりと食事を取ってもらいたい

「やっ、離せ! やめろ!」

「そうだな……なら、今日の所はやめておこう」

感じやすい部分を軽く刺激されて吐息が少し乱れた所であえて拒絶を受け入れ、組み敷いていた司祭さんから離れる

「ほら、食事だ。 喰えるってのは幸せな事だ、飢えたくないのなら、食べておくんだな」

瞳を潤ませ、頬を染めて床にへたり込んだ司祭さんの前へと、表に置いておいた食事を並べていく

「……」

当然の事ながら両手を縛られている司祭さんは食事を始める事が出来ない

「どうした? 食べないのか?」

物言いたげな視線を無視してそう問いかける

「ッ!」

言外に「縄を解くつもりは無い」と言われて動揺する司祭さん
クククク、さぞかし困っている事だろう、それなりに社会的地位のある人が犬食いをする必要があるだなんて……ね、ははっ

「あぁ……なるほど。 食べ物じゃなく、やっぱり俺のが欲しかったのか?」

このままでは食べてくれないかも知れないので、背中を預けていた扉から離れて意図的に下卑た笑みを浮かべながら司祭さんに近づこうとしてみる


こうすれば、おそらく――

「ち、違う! ……これは食べさせてもらう、出て行け!」

司祭さんの性格ならばこんな風に言ってくるだろう、何と言うか行動を読みやすい人である
嘘を吐かない神官職についている訳だし、これで嫌々ながらもご飯を食べてくれる筈だ
……用意された食事に何が入っているのか知らないまま……ね、ふふふふふ





企みがほぼ成功した事で自然と浮かぶ笑みを司祭さんに見られないようにしながら監禁部屋の外へと出て、再び扉を結界で封鎖する
さて、どうするかなぁ

部屋の中で羞恥に震えながら這いつくばって物を食べる司祭さんを観察出来ないのは残念だけど
食事が効いてきてしまえばいくらでもそれ以上のコトに及べるだろうから、今はいいだろう
流石に自分を襲った相手が同じ部屋に居たら落ち着いて食べられないだろうし
飢えて衰弱した女のコなんて抱いても愉しそうじゃないからなぁ……


あぁそうだ、この空いた時間で呪術師ちゃんの所へ転移できるか試しておこう、包帯っぽい布の束を渡しに行く予定もあるので丁度良い

そう考えて自分の部屋へと戻り、用意しておいた包帯っぽい布束を背負い袋へと入れて少しの間呼吸を整える
集中した意識を向けるのは呪術師ちゃんだ
魂へと繋いだラインを手繰り寄せて、その存在を感じ取ろうとする

「……」

なーんて仰々しく言っても、つい先日に物理的にも精神的にも繋がって堪能したばかりなので楽なものである
ほんの僅かな時間意識を向けただけで彼女の温もりのようなものがやや上よりの方角に感じられて、居場所を特定する事が出来た
この反応だけじゃまだ初めての長距離転移には不安だけど、呪術師ちゃんは召喚陣のある部屋を寝床にしているから……よし、あったあった
呪術師ちゃんのすぐ近くに力の集中するポイントを見つけて一息つく

召喚陣は真っ黒なナニカ……力を集める中心にもなっているし、元々召喚という魔法的な移動の出口でもある訳なので、転移魔法の基点には最適だ
一度使っただけの慣れない転移魔法でいけるかどうかについては、これはまぁとにかくやってみるしかない
仮に距離的に届かないにしても構造体の中でなら危ない事にはならない……だろう、たぶん、きっと、おそらく



「『――と彼方を結び、道を開け』」

長距離の移動という初めての挑戦に少し不安になり、最初に姐御の部屋から出た時よりも多めに力を流しながら詠唱を終えた
その結果、足元には紫色の光を放つ魔法陣がくっきりと鮮やかに形成されている

輝きに目を細めながら出来上がった術式をチェックして……この分なら大丈夫かな、移動先の座標も問題なさそうだ
という訳で、転移!





         ……◇……◆……◇……





「ぅぇ」

真っ黒なナニカの中から姐御に召喚された時のように、ぶるんと身体全体が震える感触と共に視界が一変する

足元には薄暗い部屋をぼんやり照らしている召喚陣
どうやら転移に成功したようだ

何者かが動く気配を感じて目を向ければ、首を起こした六足獣がこちらへ顔を向けていた
現れたのが同じ警備員である事を確認したのか、特に何をするでもなく静かにのそりと動いて寝に入る六足獣
そんな彼?のお腹のあたりには折り重なるようにして小悪魔達が眠っている

さほど必要という訳でもなく、その上姐御の所で仮眠をとったから気にしていなかったけど、通常のサイクルだと寝ている時間帯だったのか
一番下で下敷きになっている白色のうめき声を聞き流しつつ呪術師ちゃんの所へ足音を忍ばせて向かう


「……」

見下ろした呪術師ちゃんからも微かな寝息が聞こえる

公園っぽい空間から持ってきたものなのか鳥の巣のように細い枝を敷き詰めて、その上へ獣の皮を敷いてある簡素な寝台の上に仰向けで横たわり
いつも羽織っているぼろぼろのマントをかけて穏やかな眠りの中にあるようだ
先日呪術師ちゃんとベンチの上で愉しんでから、えーと戻ってきて司祭さんのパーティと遭遇戦、その後司祭さんと部屋でヤッて
それから姐御達と宴会してナニして眠ってで……あー、色々有った割に丸一日とちょっとしか経ってないのか、まだ疲れが残っているのかな

思えばエロい場面ではない普通に眠っている女のコの顔をこうして見るのは初めてかも知れない
まぁ寝ている女のコの枕元に淫魔が佇んでいるというだけでエロい場面と言えなくも無いけれど

そんな事を思いながら隣へと静かに腰を下ろして、もさもさと やや大きく巻いている呪術師ちゃんの髪に指を絡める

「ぁ……さまぁ…………ぃへへ……」

なんだか凄く幸せそうな表情でもごもご言っている呪術師ちゃん

……気になる、どんな夢を見ているんだろう
ここは一つ、夢へと干渉する魔法でも掛けてみようか

意識を集中して、呪術師ちゃんとのラインを辿り――


――それが、始まった





『ふふふ、悪魔さまぁー! こっちです。 早く、はやくぅー!』

ベタ塗りされたような不自然な青空の下、色とりどりな花々の咲き誇る草原を、満面の笑みを浮かべた呪術師ちゃんが駆けてゆく
そして、それを追いかけるのは……妙に睫毛の長い、キラキラとした紫色の光を周囲に振りまく俺っぽい人影
付かず離れずの距離にある二人の周囲を、これまた星のような光を纏った五色の小悪魔達が祝福するかのように飛び交っている


(うわぁ……)

グラリ、ときた
色んな意味でダメージが大きい夢の中の光景に思わず気が遠くなりそうになる
呪術師ちゃん……思い込みが強くて夢見がちなコだとは思っていたけれど、ここまでとは……

悪魔崇拝を掲げた怪しげな教団とは言え、一応人間との付き合いがあったのは話を聞く限り12~13歳位の時期までだろうから
心の成長的には仕方ないのかも知れないけども……この内容、もう少しどうにかならなかったんだろうか



『きゃっ……今、見ました?』

ふと、楽しげな笑い声が小さな悲鳴で途切れた
呆然としていた意識をそちらへ向ければ、少し強い風でも吹いたのか花びらが舞い散り……呪術師ちゃんのぼろぼろのマントが少し捲れていた

どうやらこの手のシーンお約束の嬉し恥ずかしなチラリズムが展開されたみたいだけど
ここは呪術師ちゃんの夢の中な訳で、なんとまぁ……エロ教団出身の彼女らしい願望と言うか、何というか

『もうっ、悪魔様ったら、いやらしいんですから…………でも私、悪魔様なら、いつでも……』

どちらからともなく抱き合った二人は、じっと見つめ合い、そして――





「おぅふ」

そこまで見て、変な呻き声を漏らしつつ夢に干渉する魔法の行使を中断した
あ、危なかった……もう少しでナニカを持っていかれる所だった、呪術師ちゃん……恐ろしいコ……!!


「んぁ……あれ、あるじー?」

額に当てていた筈なのに、いつの間にか呪術師ちゃんの豊かなふくらみに抱え込まれていた手を引っこ抜いているとそんな声が聞こえた
見れば赤色が眠そうに目を擦りながらこちらへとトテトテ歩いてきている、どうやら起こしてしまったらしい

んー、呪術師ちゃんが寝ているままだとイマイチこいつ等に対する距離感が解らないなぁ、どういう風に接したら良いもんだろうか

「あー、なんだ。 元気かい?」

寄って来た赤色へ何となく手を向けて、さっき呪術師ちゃんにしたように小さな頭をわしゃわしゃしてみたり

「げんきだよー、ビンビンさー」

まだ寝ぼけているのか、へらりとした笑顔で答える赤色
うむ、よくわからん……まぁ嫌がっている様子ではないからこれで良いんだろう



「おや、ご主人さま?」

そんな風に赤色と親交を深めていると、少し離れた所でまたごそごそと気配が動いた、呼び方からすると今度は青色が起きたようだ
性格や口調はそれぞれ違っていても姉妹みたいなものだからなのか、赤色と似たような反応である

「なるほど、夜這いという奴ですね」

パタパタと低空を飛んで近寄りつつ、したり顔でそんな事を言う青色……ってなんでやねん

「いや、違うよ。 今日はコレを渡しにきたんだ」

内心それも良いかな、なんて思いながらも背負い袋を下ろして帯状の布束を取り出していく

呪術師ちゃんは先日の疲れが残っているのかぐっすり寝ているし、ヤりに来た訳じゃないので無理に起こす必要もない
全体的にアホっぽい小悪魔達の中でも青色は比較的まともな奴だった気がするし、こいつに預けてしまおう

「彼女、流石にマントだけなのはどうかと思ってね。 まぁ今はこんなのしかないけど」

目の前まできた青色に「服の代わりにでも使ってくれ」と呪術師ちゃんへの言伝を命じる

「確かに、預かりました。 ……そうですね、拘束プレイというのもありますし」

青色はふんふんと頷きながら布束を見ている
赤色は布束に突っ込んでぐるぐる巻きに絡まっている
他の3色は寝たままだ


……こいつらに預けて本当に大丈夫かな? 大丈夫だよね? 一応悪魔だしバカっぽいだけで知能が低い訳じゃない筈だけど、微妙に不安だ





         ……◇……◆……◇……





「ぉぁ」

何度目かになる身体が空間ごと捻られるような独特の感覚
閉じていた目を開けば、そこはもう俺が姐御達と出会った担当階層の召喚陣の部屋だ

長距離の移動には基点が必要とは言え、自分の足で警戒しながら数時間かけて浅い階層まで移動していた事を考えれば随分と楽になったなぁ
"再生"が終わりさえすればその数時間を今度は浅い階層に出入りする経験の浅い若いコ達を見繕うのに使える訳だし
この感じなら地上に直接行く事も基点さえあれば出来そうだ





という訳で戻ってきました監禁部屋

さぁて、司祭さんの様子はどうかな……って、おや、寝てる?
手を背後で縛られているからか眼鏡をかけたままの司祭さんは、寝床として用意しておいた毛皮の上で横向きに膝を曲げ背中を丸めて眠っていた
ブラウスっぽい上着は着たままだけどボタンはしていない、相変わらず下半身には何も身に着けていないので、きゅっと引き締まったお尻が丸出しである

彼女やハーフちゃんが所属していたパーティは構造体を割と下の方まで探索した帰りだったみたいだし
その後に俺が捕まえてからも二人で激しい運動をいっぱいシタしで、疲れが溜まっているんだろう
あぁ……捕らえられた状況下で可能な限り体力を温存するって感じのサバイバル的な考えもあるのかも

「……ン、ふっ…………ぁ……んん……」

そんな事を考えていると、眠っている司祭さんから何やら怪しげな声が漏れた

近寄って見下ろしてみれば、力の抜けた寝顔は艶っぽく紅潮していて、薄く開いた唇からはどこか湿った吐息が漏れている
肉体全体も汗ばんで、縛られていない両足はもぢもぢとした動きを繰り返していて……魘されている……んじゃないよなぁ、これは
眠る司祭さんの肉体からもわわんと香る、女の匂いを確認して一人頷く

うんうん、食事に混ぜ込んでおいたエロエロな成分はバッチリ効いているみたいだ
先ずは肉体を慣れさせて、えっちな事に忌避感を抱かないようにさせてしまえば、段々と意識も引きずられて行って……後は、くくくくく


「だ……ゃ、ぃ…………」

どうやらイイ夢を見ているみたいだし、呪術師ちゃんの時みたいに覗いてみようかな?
もぞもぞしている司祭さんの背中側に回りこんで……折角なので服の中に手を潜り込ませて
もにもにと控えめなふくらみを軽く愉しみつつ意識を集中させていく





『あ……あッ……く、んっ……ん……ンっ』

暗いどこかから司祭さんのあられもない声が響いてくる
意識へと入り込んだ俺の前に見えてきたのは、通路からの光で物の輪郭が見える程度に薄く照らされている地下室だった

構造体の中で見た事の無い板張りの簡素な内装は、もしかすると司祭さんが過去に犯された場面を夢の中に再現しているのかも知れない
当時もそうだったのか、それとも俺に犯された事の記憶が昔の記憶と混ざっているのか
つい先日実際に行為を行った時と同じように壁に両手を釣られる形で縛られ磔にされた司祭さんの前で
真っ黒い輪郭だけの人影が肉体を重ね、腰を一定のリズムで動かしている

『い、アっ……あ、ふぁっ、あっ……あっ……あぁっ……』

くぐもった司祭さんの喘ぎに微かに混じって聞こえるのは湿ったナニカがぶつかり合う音

人影が真っ黒で いま一つ肝心な部分を見てもよく判らないけれど、当然というかナニしている真っ最中の夢であるらしい
理性の弱くなる夢の中だからなのか、眼鏡を掛けていない状態の司祭さんも随分と乗り気な様子で人影の動きに応えているようだ
肉体の深みを突き動かされて宙を蹴る足先、くぅっとしなる腰から背中のラインが男の獣欲を刺激する

『あぁ……いやぁ、もう……もうッ』

そんな様子を愉しんでいると、切なげな声を上げて司祭さんが肉体をのけ反らせて――何も起こらなかった


……なるほどなぁ

夢という、あやふやな過去の記憶の再現だけでは絶頂を迎える程の強い快楽は得られない
しかし彼女の肉体は、食事へと大量に盛られたエロ成分によって悦びを求めたがっている
そんな風にして、眠りの中で……あるいは眠る前からずっと、司祭さんは悶々とし続けていたんだろう

『はっ……んっ…………おね、おねがいっ……わたし、もう』

濡れた声で……潤んだ瞳で、自らを犯す人影に腰を擦り付けて懇願する司祭さんが、なんかもう起きてる時とのギャップもあってたまらなくエロい
いやはや、心の中ではこんなにも求めていたなんて、一回だけで放置しちゃったのは悪かったかな、なんて――



あれ? 心の中?


改めて考えてみれば、今見ているのは司祭さんの心の内側である、魂へと触れていると言っても過言ではない
そして、こうして内面を覗けているという事は術式が届いているという事だ
処女という肉体的な状態に対して与えられていた月の女神の加護とは違い
規律を守るという社会活動に対して与えられる加護だから、恒常的に護っているという訳でもないって事……なのかな? よくわからん


ふーむ……これはもしかするとイケるんじゃなかろうか
試しに夢の内容に干渉を行い、磔にされている司祭さんを降ろそうとしてみる

『あ…………どう、して?』

おー、大丈夫そうかな、しっかり夢の内容へと干渉できているっぽい
夢の中の司祭さんは女の子座りでぺったりと床に腰を下ろして、戸惑った様子で黒い人影を見上げていた
それにしても、夢とはいえ犯されていたのを止められて戸惑うって、随分と"出来上がって"いるみたいだなぁ

奔放な夢の世界には、法なんてない
意識のある状態でヤった時には加護によって術式を弾かれてたけど……おそらく、今このままヤれば、ふふっ
なにしろ10年かそこらの間ずっと理性に押さえ込まれていた欲望だ、たっぷり汲み出してあげないと可愛そうだよね

それでは、さっそく……



「いただきまーす」

夢への干渉はそのままに、半分だけ現実に意識を戻して体勢を整える
横向きになっていた肉体をごろんと転がし、仰向けにして膝を開かされた司祭さんに小声で手を合わせてから、腰を前に進めていく

この試みが成功したなら神官ちゃんみたいに加護を外せる条件が無い神官職のコをヤる時に、かなり楽になる
あまり好きじゃなかったけど淫魔は夢魔とも言うし、眠ったままってのも稀にはいいかな

濡れた入り口へぐにゅりと俺自身を押し当てて、そのまま柔らかな襞を掻き分けながら既に準備万端な状態となっている内部へ

「んッ……は、ぁ…………あぁ……」

よし、眠りから醒めないようにする干渉も問題無く働いている
トロトロになっていた司祭さんの泉の奥へとずっぽり入り込んでも目覚める様子は無い

夢の中の真っ黒な人影と同期して同じ体勢で犯させている為か
司祭さんの側もこちらの動きにつれてきゅっ、きゅっとお腹の中が収縮してくれている

「あ……ふぁ、ぁ……ぁっ……は、あぁ……」

眠ったままの抵抗出来ない相手を弄んでいるという背徳感溢れる行為に、何ともいえない昏い悦びが湧き上がってくる
緩急をつけてリズムを刻めば、意識の無い司祭さんから漏れる声もまた同じようなリズムで高く、低く、応えるように変化した
その事が面白く感じられて、無心に腰を動かして組み敷いた司祭さんの引き締まった肢体を貪り、犯す

夢の中だけではなく実際に男を受け入れている司祭さんの肉体は、次第に息を乱し、淫らな熱を高まらせていく





『あぁ、あっ……あっ、く……んん、あぁ……い、イぃっ!』

司祭さんの意識も、今されている行為を随分と気に入ってくれているらしい
夢を見ている時に柑橘類の匂いを嗅ぐと、夢の中でもミカンが出てくると前に聞いた事がある
つまりこうして二人で肉体を密着させて愉しい運動をしていれば、夢を見ている司祭さんも"実感"できるという訳だ

「はぁ……はぁ……あっ……はぁ……はっ……ん、ぁ……」

俺の下で汗に濡れた肉体を突き動かされて荒い呼吸を繰り返しながら、それでいて眠りに囚われたままの司祭さん
目じりを下げ頬を赤く染めたその顔は、起きている時の凛とした表情とはかけ離れていて、蕩けたような女の艶を浮かべていた
小ぶりなふくらみに手を這わせて硬くなっているその頂をくりくりと転がせば、細くしなやかな腰が本能に揺れ動き、擦り寄ってくる
薄く照らされた室内に濡れたものが触れ合う湿った音が流れていく


理性の鎖から解き放たれた、性の悦びを露にしている司祭さんの肉体に興奮が高まる
もっと……もっとこの女を味わいたい、しかしその為には眠ったままではやはり足りない

「ははっ、いいぞ……オマエも、イキたいか?」

『ゃあっ……わたし、へんにっ……あぁっ! こんなぁ……こんなのっ!』

先へと進む為に術式を用意し、前後の動きを激しいものに変えながら、ふと思いついて現実の司祭さんの耳元でそう囁いてみると
予想通り匂いや感触だけではなく声も聞こえるのか、返事と取れなくも無い反応が司祭さんの意識から返ってくる
現実の司祭さんは眼鏡を掛けたままだけど、夢の中では眼鏡をしていない状態とあって、まるで少女のように悦びに甘えた声を上げている

「変じゃないさ。 気持ちイイ事をして、気持ち良くなる……何もおかしい所は無いだろう?」

優しく声をかけながら、前回こじ開けてしまった司祭さんの奥の壁を繰り返しノックしていく
はぁはぁと大きく開いた口から零れる司祭さんの吐息が熱を増し、かすかに悲鳴のような声が混じり始める
眠ったままの肉体が一度だけピクンと大きく反応し、脚が宙を蹴った

「……ぁ……あぁ……はぁ、はぁ……ぁ……ぁっ」

これだけ感じていればもう司祭さんは何時イってもおかしくはない、後は、こうして――

「素直になれ……それが正しい事だ」

押し開かれた泉の端にピンと突き出した女の中心を指で押しつぶしながら耳元でそう囁いて、白濁した術式を一気に注ぎ込んだ!



『ひあっ! アぁ…ああぁああッーーーー!!』

「ん! はッ、あぁぁぁっ…………!」

肉体の奥深い場所で弾けた夢だけでは得られない感覚に応えて、現実の司祭さんの肉体ががくがくと仰け反り、終わりを迎えた

『んはっ……あ……あぁ、中に……入って…………』

物理的に胎内へと注ぎ込まれているモノを感じるのか、はたまた心の奥……魂へ注がれている術式を感じるのか
夢の中の司祭さんは夢と現実の混ざり合った悦びに震えながら、そんな言葉を漏らしていた





         ……◇……◆……◇……





「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」

組み敷いた司祭さんに軽く体重を掛けて汗に濡れた肌と体温を直に感じながら、打ち込んだ術式をチェックしていく

8割……といった所かな? 俺の力は確かに司祭さんの魂へと混ざりこんでいるようだ
神の加護は外れていない、しかしどんなに強固な壁があっても内側へ入り込んでしまえば後はこっちのものである

黒の混ざった白い絵の具がもう二度と綺麗な白にはならないように、もう後には戻れない



伸ばした爪で司祭さんを縛っていた縄を切って背中側で固定していた両手を自由にして
それから呼吸と共に上下するふくらみに手を這わせて、司祭さんの鼓動を感じながら眠りへの干渉を解除する
首筋に浮かんだ汗を舐めとって、そのまま肌を啄ばむようにしながら鎖骨へ……そして手の平で寄せるようにしたふくらみへ

「く、ンっ…………ふぁ……ぁ、あ?」

小さな桃色の頂を吸い上げながら ざらつきを伝えるように舌を動かせば、それを感じた司祭さんの意識が眠りの奥から浮かび上がってくる

とは言え、完全な覚醒には至らない
先ほどまで行なわれていた行為の余韻にぽってりと熱く火照り、繋がったままの肉体が正常な思考を阻害している事だろう
見ていた夢の内容とほぼ変わらない現在の状態も、それを助長している


だから、ここで一気に決めさせてもらう
動きを止めていた腰を静かに動かして、司祭さんの内側のぬめりを確かめる

「っ、ぅ……まだ……するの?」

夢の中から、夢に似た現実へ……寝起きでぼんやりとしたままの司祭さんは気づかない

「あぁ、こちらへこい。 ――そうだ、いいぞ」

欲情する肉体の熱に浮かされたまま、素直に腕を引かれてこちらの腰へと跨る体勢となって

「ンっ…………は、あぁあ……奥まで」

自らの体重がかかり、繋がりの深くなった俺自身をきゅうと強く締め付けた





「あぁ……あ、あっ……んッ……あっ、はぁあっ……」

床に座り、互いに向かい合って繋がった形
ゆっくりと……まどろみを誘うように始まった上下運動は次第に速く、激しさを増していく
切り揃えられた司祭さんの前髪から汗が滴って、ぽたりとこちらの胸に落ちた
引き締まった筋肉を柔らかな皮膚で覆った女の肉体が、腰の上で踊る
半開きの唇から零れる蕩けきった甘い声が、背中に腕を回して抱きかかえたこちらの耳を擽ってくる

目が醒めている状態で行なう行為……どこか拒絶の残っていた一回目の時は神の加護によって防がれた
でも……ふふ、夢だと思っている等の理由はどうであれ、これだけ求めてきている現在なら、どうかな?
規律の神は一方的で強引な行為を罪として否定していても、別に男女の営みを否定している訳じゃない

「ふぁ……あ……イっ、んんっ……アっ! あっ……あぁっ」

感じたままを声に出しているような、そんな声を上げている司祭さんの顔には拒絶の色は見えなかった
それ所か自分から腰を擦り付けて、積極的に悦びを生み出そうとしてすらいる
ならば後は愉しむだけだ

直ぐそこにある司祭さんの唇を奪い、濡れた口内へと舌を滑り込ませる

「んむ……ンっ! んふ……んっ……んんぅ……」

突然口へと入り込んできた異物に驚く司祭さんをよそに、歯茎の内側を軽くなぞり
それから深く唇を合わせ、逃げる舌を絡めとって唾液を送り込む……同時に腰を大きく突き上げ、俺自身を咥え込んだ襞の奥へと攻勢をかける

ビクリと抱きしめた女の肉体が跳ねた
ぽうっとした表情を浮かべた司祭さんの喉が、コクリコクリと動いて唾液を飲み込んでいる

「ちゅ……ん、んぐ……うぅ、ふ……ぁっ……はぁ、はぁ」

僅かな驚きは快楽によってたちどころに流されていってしまい、残されているのは肉の悦びだけ
もうそこに、凛とした女司祭の姿は無い



「ん、はっ……あぁ、熱い……っ! は、くぅ……ぅあっ、あっ」

くぃくぃと肉体を動かして擦れ合う粘膜に欲望のリズムを刻む
肉体を鍛えている事と、あまり経験が無い事からか、司祭さんの内部はとてもきつい
まるで、初めての娘を抱いているかのようだ
筋肉がついた肉体だから微妙かなと思っていたけれど、これはこれで……うん、イイね!

「はっ、ぅあ……はぁ……あっ、あっ……んっ……あぁっ!」

司祭さんも肉体の芯から巡る熱を発散するかのように腰をくねらせて、実に嬉しそうな声を上げている
その引き締まった肉体を流れる汗を追いかけるように、口付けの際に頬へ当てていた手を首筋へ、鎖骨へ、ふくらみへ
早鐘を打つ司祭さんの鼓動を感じながら、ゆっくりと触れている場所を理解させるように指を進める

「や、うっ……はぁ……ン、あっ! あぁぅ……」

ツンとなったその桜色の部分をしばしの間軽く可愛がり、嬌声を上げて肉体を捩り悦びを表す司祭さんを愉しみながら
さらに指を進めて俺自身を今も受け入れている下腹部へと向かわせる

「なぁ、また、欲しいか?」

「イっ……あぁっ、おねがい! 私をっ、く……ンぅ、わた、わたしにっ!」

上下運動によってじゅぷじゅぷと二人の体液が白く泡立っている泉の縁
今も俺自身がつきたてられているそこを指でゆっくりとなぞれば、鼻にかかった濡れた声でそんな返事が返ってきた
ははっ、何とも可愛くなっちゃって……まぁ、ココがこんなになっていれば納得もいくというもの

そんな事を考えながら行為を一気に強く、激しいものに変える

「あっ……あっ、アっ! ふぁ…あ、あっ、あッ、あっ、あっ!」

速度を上げてぶつかり合う腰の間で、分泌された体液が淫猥な音を奏でる
湯気を立てそうなほどに火照った肉体が交わり、擦り合わされるそこから痺れるような欲望が広がる

もうゴールは目前だ
さっきは術式に集中するあまりイタダイテなかったけれど、今度はしっかりと味わわせてもらおう
こちらの首へとぎゅっと抱きついて、すっかり快楽に飲まれてしまった様子で色に爛れた声を上げている司祭さんを突き上げながら舌なめずりをする
さて、司祭さんはどんな味かな、ふふふ

「あっあ、ィっく! あ! あっ、あぁっ! あぁあっ! アあぁッ!」

すがる腕に力が入り、上を見上げるように首と背中を反らした司祭さんの内部が収縮し、肉体全体がガクガクと震える、そうして――

「あぁあ! ああアぁああぁっーーー!!」

目の前の女を完全に自分のモノにする為の術式を、肉体の奥深くへと解き放った!





「はっ、はっ……はっ……はぁ、はぁ……はぁ……」

こちらへともたれかかるように肉体を密着させ脱力している司祭さんの背中をゆっくりと撫でながら、魂の力を吸い上げる
神官ちゃんほどの旨味は無いけれど、長年の鍛錬の賜物かどことなくコクのある、そんな味わい



余韻に背中をぶるぶると震わせていた腕の中の肉体が落ち着いてきた頃
キスをしようとでもしたのか、慣れない様子で顔を寄せてきた司祭さんの眼鏡がこちらの鼻にコツリとぶつかった

「あ……これ、眼鏡……?」

現実では掛けたままだった眼鏡に手をやり、ぼんやりと呟く司祭さん

そういえば司祭さんは眼鏡を使って弱い自分を覆い隠して性格の切り替えっぽい事をしていた
今までは夢の中の感覚を引きずっていたからか、掛けたままでも女らしい感じが出ていたけども
派手にイって一度すっきりしちゃったし、流石に気づいちゃうかな

「な…………うっ、くぁっ」

はっとして、夢ではない現実であると気づいて離れようとした司祭さんだけど、足に力が入らないのか
再び体重がかかって奥まで貫かれる形となってしまったりして、深く繋がる感触がなんかもう最高である

「くくく、急にどうした」

動揺する司祭さんの表情を愉しみながら太ももに手を這わせて、もう一方の手でお尻を捏ねる

「ひっ、やっ……貴様っ、なんでこんな」

「何言ってるんだ、オマエの方からノってきたんじゃないか……それとも、寝ぼけてでもいたのか?」

そうなるように誘導したのは俺だし、むしろ寝ている時から犯していたのも俺だけど、そ知らぬ顔でそう声を掛けた

「え? あ……そんな、わたし……わたしから? …………ンっ」

こちらの言葉を受けて少しの間視線を彷徨わせていた司祭さんが、独り言のように呟いてその顔に理解の色を浮かべる
どうやらこれまでの過程を思い出したようだ、それと……現在進行形で
男と密着し、貫かれている、その事を直接肌で感じているという自分の現状も

咄嗟にまた動こうとした司祭さんから、思わずといった風情で漏れた声が何とも色っぽい

「も、もう、やめてくれ……」

軽く腰を動かしてみれば、流石に完全に目が醒めて意識がはっきりした状態では眼鏡による自己暗示が強いらしく
司祭さんは途切れ途切れながらどうにか拒絶の声を発してきた
自分がしてしまった事の羞恥や後悔に震えるその顔を見ていると何とも嗜虐心がそそられる、けど
うーん、今日はここまでからなぁ……後々への仕込みの都合上あんまり無理やりする訳にもいかないか

そう判断し、術式を通して司祭さんの心に触れながら口を開く

「わかった、嫌がる女を抱くほど飢えている訳じゃない。 そう言うなら終わりにするか」

つい先日縛って無理やりヤった人間が言うなって話だけど、どうやら混乱していい感じに動揺しているみたいだし
このまま司祭さんのせいにしてしまおう

「ぅ、くぅ…………あぁ」

力が入らない様子の司祭さんの肉体を持ち上げて、深く繋がっていた俺自身をぬちゃりと引き抜いた

「しかしまぁ、こんな状況で男を欲しがるなんて、オマエさんも随分溜まってたんだな」

「そそ、そんな事は無い……こっこれは、何かの間違いだ!」

そう言いながら色々な体液に濡れて光る肉体を敷いてあった毛皮の上に降ろすと、司祭さんはどもりつつもそんな言葉を返してきた

「そうか? さっきはあんなに積極的で……そうだな、中々に可愛かったぞ」

「ヒっ……もっもう駄目だっ、近寄るな!」

ふと思いついて少しからかってみれば、淫魔のねっとりとした視線を向けられた司祭さんは
ほぼ裸の自分の肉体を腕で隠して、ずざざっと壁際まで後ずさりしていった
おぉ……良い表情、そそるね!





さて、愉快な反応をしてくれる司祭さんを弄るのはここまでにして……と

「まぁいい、しばらくはそこで大人しくしておけ。 おそらく命までは取られない筈だ」

「あ、ま……待て!」

話の中で匂わせておいた"嫌々ながら悪の道に入ってしまった下っ端"の設定に合わせて言葉を残し
静止の声を上げる司祭さんを放置しつつ部屋を出た





         ……◇……◆……◇……





「……」

よし、今の行為で疲れているのか、司祭さんは特に意識して干渉を行わなくても大人しくしてくれているようだ

出たばかりの扉に背を預けてしばらく様子を伺ってみても、特に何かしようとしている動きは見られない
軽くラインを確認してみれば既に術式は完全に通っているみたいだし、もう逃げたり攻撃してきたりする事も無いだろう

後は適当に地上へと戻して、何かあった時の協力者として役に立って貰えばいいかな
一般的な方向では司祭さんに、後ろ暗い世界では盗賊さんに助けてもらえば、めんどくさい事を避けるのも簡単になる



そうと決まれば姐御に話を通して、司祭さんを"逃亡"させて、その次は……ついに外の世界だ!

「っふ、ふふっ、はははっ」

嬉しさからこみ上がってくる笑い声を漏らしながら、姐御の部屋へとむけて足を踏み出す
この一歩は小さな一歩だけど、俺にとっては大きな一歩だぜ! なんてね、はははははっ






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