-Rance-if もう一つの鬼畜王ルート
第十話 ~rookie~
-自由都市国家ポルトガル-
ポルトガル。自由都市国家帯の最東部に位置するその国は大陸とJAPANに挟まれるという立地から大陸の玄関口として機能している。
経済の面で言えば多数の商人が自由に商業活動を行い貿易が盛んで、文化の面をとればJAPANと大陸という多文化が混交し独自のものが隆盛したりとさまざまな分野の一大中心地として栄えているのが特徴だ。
自由都市地帯の中では非常に裕福かつ都会的な都市国家であるここには様々な機能をもったいくつもの街が集積している。
例えば企業のビルが立ち並ぶオフィス街、貨物や物品などを保存して管理する倉庫街、劇場や遊技場など娯楽施設が集まる歓楽街、豪商が大邸宅を構える高級住宅街、奴隷労働者の生活圏である奴隷街、私立の教育機関や研究機関が密集している学術街、リゾートホテルや土産屋が並ぶ観光街など。どこもその区ごとにそれぞれ専門的に分けられ、その機能に特化するような形態がとられているのである。
この無駄なく機能的できっちりしてるつくりなどはいかにも商人の都市なのだろう。そのような性質からいずれの街も特色に応じることで必然的に必要な施設のみが並び、その景観や街並みは街ごとに違った色を見せているわけだが、しかし実は必ずいずれの街にも唯一共通して存在するポルトガル独自の建物がある。
それは"バール"と呼ばれるお店だ。いわゆる軽食喫茶というものであり、ポルトガルの何処を歩いても、すぐに目に着く程有り触れている。お隣JAPANで言うのならば、茶店のようなものと言えるだろう。
商人の都市らしくこのバールというものはもともとは地域の情報交換場所としての役割が強かった場所なのだが、今では外回りの営業マンの一服の場所になったり、マダム達がそこで集まって会話を楽しんだり、または旅の行商人達が一時の足休めをしていったりとポルトガルでは地域社会に密接し、皆に非常に愛用される場所となっていたりする。
かつてはカスタムの四魔女と言われた魔想志津香もそんなごく有り触れたバールの一角にいた。
彼女は今、テラス席の一つに陣取り、新聞片手に苦いエスプレッソなど飲んでいる。短い丈のスカートからすらりと伸びる生足を組みながら、アンティーク調のカップを口につける彼女の表情はよく見るとやや苦みばしっていた。
(ふう……。こう何処にいても追いかけて来られるってのは精神的にくるものがあるわね。全然落ち着かないし。思った以上に疲れる……)
やりきれないというように小さく首を振るう。カップの液面をふと見れば、映っているのは物思いの影が濃い顔。とても喫茶での穏やかな休息といった風情でない。
こうも参っているのも並々ならぬ理由がある。魔想志津香は少し前からとある事情で追われる身となっていた。相手は国や組織などでなくただの個人なわけだが、それでも一介の人物ではないのが問題だった。
ナギ・ス・ラガール。志津香を狙うは、かつてゼスの四天王の席にもついていた者。自分より一枚も二枚も上手の実力者だけに撒くのも一苦労だった。
常に神経を尖らすため、心休まる暇がろくになく、その精神的疲労の度合いはピークと言っていい。
(……大陸から離れたJAPANならある程度大丈夫だと思ってたけど、ちょっと甘かったかな)
志津香は少し前に妙なきっかけからお隣の島国JAPANで潜伏生活を送っていたのだが、安穏はそう長くは続かなかった。
自分としては予想もつかない良い隠れ場所に行けたつもりでいたのだが、どうにも本人ですら忘れていたJAPANと自身を繋げる要素が一つあった。
魔想という名が示しているが、JAPANとは浅からぬ関係がある。志津香の父は日系であり、JAPANの戦乱を逃れて大陸にやってきたものの子孫だ。
そうした背景があるため、魔想の一族は母国JAPANに縁がある、と志津香を執拗に付け狙う相手が半ば勘の様なものでやってきたとしてもそうおかしくはなかったのかもしれない。発想の出発がどうあれそこに自分がいてそして出会ってしまえば駄目なのだ。
結局、志津香は安全といえなくなったJAPANを離れ、腐れ縁の結婚を見届けた後は最も見知った土地である自由都市の街を次々と移っていく日々を送っていた。
だがしかし、やはりこうしてずっと逃げ続けてばかりいるのは、肉体的にもそして何よりも精神的に良くないこととは志津香も考える。やっていることは互いの抱える問題の解決を先送りしてるだけに過ぎないもの。いつまでもそうしていられるものではないのも理解していた。
かといえど何か妙案が浮かぶわけでもなかった。相手と話が通じるのであれば、それこそはじめからそうしている。相手を捻じ伏せるまでの実力も今はない。結局のところ逃走を続けるという選択肢をとる余地しかないのだ。
その痛い事実を改めて直視した志津香は心を重くし、物憂げな吐息を落とした。
―――はぁ……。
本日幾度目の溜め息になるか数えるのも億劫なものだった。
魔想志津香という女性は一般的な美の感覚で捉えれば十分見目麗しい女性の範疇に入る。そのために、先ほどから見せているその思い煩う姿というものは、さながら映画のワンシーンのような美しき光景をつくっていた。
思考に囚われている本人はあまり自覚していないが、周囲の視線を大いに惹きつけてしまっている。何しろこの一角だけ人が溢れ、混雑しているのだ。バールなど少し歩けば何処にでもあるというのに皆がわざわざこの店を選ぶのは彼女によるものといって過言ではない。
そうなると話しかけてくる男の一人や二人ぐらいいてもおかしくなさそうだが、今のところそれらが見られないのは彼女が近寄りがたいよう隙無い鋭い雰囲気を醸しているからか。
言外に放つ邪魔するなという志津香の意思を破る者はいないと思われたが、そんな彼女のテーブルにはじめて近づいていく男がいた。もっともその男性は店の制服姿の格好で尚且つ店長という札を胸につけていた。
志津香が没頭していた思考を区切り、カップをソーサーに戻す。側に立った店長はそこに御代りを注ぎ、さらにトレーからデザートの品をテーブルに置いた。それは満月のようにふわりとまるいエッグタルトであった。
志津香はそこで怪訝な表情を見せた。というのもこんなものを注文した覚えが全くなかったからだった。
何これという意味を込めた視線を店長の方へと向けると、
「サービスで御座います」
と見事な接客用の笑みを貼り付けて店長が告げた。志津香はそれに適当に頷きを返す。
基本的にケチな商人が見返りもなしにおまけをしてくれることはない。
当然下心があっての行為とはっきりしていた。もっともそれは女目当ての下心ではなく、金銭目当ての商人の下心である。
店長が目をつけたのは志津香の集客効果。
テラス席に座る彼女は非常に周りの目を引き、現にいまも周りに男性客が溢れるよう集まっている。
ただ客を長くいさせるだけならいまいち回転率が良くならないが、このバール、実は席によってとる値段が違う。席料の高いほうからオープンエアー席、テーブル席、カウンター席となっている。つまり志津香の近くというのはそれだけでより高い金が落ちる席ということだ。
そしてもう一つ美しさを利用した食品に対する宣伝があった。
人目を引く志津香に食べてもらえば、食べ物にも注目される。そして美しく綺麗な人間が美味しそうに召し上がれば、イメージも良い。
同じものを注文をしだす男性客は多く出てくるもので、当然食事のほうでもきっちり金を落としてくれる。
このような事情から無料のサービスをしようと店としてはなんらの問題がない。むしろタルト一つで長く居てもらえるのであれば、そこから齎される利益はたかがデザート一品の材料費など補って余りあるだろう。
けちな商人ただで商売はしない。志津香に営業スマイルを向けて辞した店長は今日の売り上げを思い、内心ではほくそ笑んでいた。
当の志津香の方はそんなことを知っているのかいないのか、仄かに甘い香りを寄せるエッグタルトに完全に意識を傾けていた。
おもむろに手に取ったフォークをタルトに伸ばし、一口大に切る。そして切れ端をその薄く柔らかそうな唇へと運んだ。
パイ皮のサクサクっとした食感、そしてカスタードクリームの滑らかな舌触りとともに甘く濃厚な風味が口の中にすっと染み渡るように広がっていく。
志津香は素直に美味しいと感じた。
そして甘味の力は偉大だと認識する。
一口一口食べていくうちに先までの暗澹たる思いが払拭されていく思いがした。眉間に寄っていた皺も僅かに解け口元も自然緩む。
大いに満足がいき、気分をはっきりと転換させると、傍らに広げた新聞のほうへと再び目を走らせた。
志津香の場合、幸運にも幼いころから魔法使いとして教育を受けていたので識字やある程度の教養も身についている。そのため新聞を読み進めることに苦はなかった。
記事として書かれていた内容はポルトガルで発刊されているだけに基本は地元ポルトガルのことだが、それ以外にも紙面には国際情勢も大きく取り扱われており、最も強いであろう経済面、さらには芸能のゴシップ記事、企業の広告、求人情報、ラテ欄等とそろっており、そこらの国の新聞より中身が充実していた。
やはりというか主に取り沙汰されているのは世界的に注目度の高い新しい王が誕生したリーザスのこと。その他は最近になってやたらと都市長が変わっている自由都市国家のこともあった。
それらを読み流し、ぱらぱらと紙面をめくっていると志津香の目を惹くものがあった。それはある商会の求人情報だった。
(ポルトガルの都市の民間軍事会社が傭兵急募。……そういえばここ最近いろんなとこで傭兵集められているけど……)
今は大陸全体にどうにもきな臭い気配が濃く漂っている。というより志津香は近いうちに大きな戦争が起きることがほぼ間違いないだろうと確信している。問題児がリーザスの王になった時点で避けられないはずだと悟っていた。
同じく戦争の臭いを嗅ぎ取り、機を見るに敏な商人はすぐに需要が跳ねあがることを予測してこうした傭兵の確保に急いでいるのだろう。
志津香はやや冷ややかな醒めた眼差しのまま条件の欄を見やった。そこには高レベル者もしくは高い技能を持つものは厚遇と書き記されている。
人の間に資質の格差がある以上、戦争はまず数よりも質である。イカマン一匹もろく倒せないような者が百人いるより、イカマンを単独で楽に倒すことの出来る人物一人のほうが戦力的価値は高く、雇う側もそちらを求めるのだ。
志津香はそういう意味ではかなりの質をもっていた。見た目にはわからぬが、レベルが30以上あり、魔法技能Lv2の魔法使いでそれも対軍魔法の白色破壊光線を使うことすら出来る実力がある。
そもそももとは志津香も傭兵みたいなものであり、その経験も実績も豊富にあったりする。仮に傭兵の募集に応じれば、かなりの報酬で契約を受けることもできるはずだった。
(正直逃げる費用ってのも馬鹿にならないから高い報酬貰えるならって思うし、それに戦地を転々としてればあの子に見つかりにくいってのもありそうだけど……)
何かと入用の身としては実に魅力的に映る紙面をじっと見つめる。
しばし黙考していると、その時、
「ほう。これは中々に良さそうな条件だ」
耳朶に涼やかな声が触れた。
驚いて振り向くと、志津香はさらに目を瞠ることになった。見知った人影がそこにはいた。
その姿、剣を思わせる美しさ。白銀色に輝く髪も、切れ長のやや鋭利な双眸も、シャープな輪郭も、全てがさながら研ぎ澄まされた刃のような女性だった。
志津香は目を瞬かせ、
「せ、戦姫さん?」
「うむ。こんなところで会うとは偶然だな」
「偶然て……どうして大陸に?」
目の前の相手はJAPANの大名家の立派な姫君という立場だ。思わず疑問を投げると、戦姫は何も言わずただ軽く槍を持ち上げてみせた。それだけでわかるだろうと言うように。
志津香は得心した。戦姫は本名を徳川千と言うが"千姫"と呼ばれずに"戦姫"などと字されるのは、文字通り戦の姫であるからだ。戦に生きがいを感じ、戦を何より欲する生粋の武人であり戦士。
戦乱が収められて一時的とはいえ太平の世が築かれてしまったJAPANはそんな彼女にとってはただの退屈な国でしかないのだろう。だからこそ新たな戦場を求めて別の地にやって来た。
「これは雇い兵と言うヤツか。戦の最前線に立てる上に、小銭も稼げるのは理想的とも言えるな」
戦姫が志津香の持つ新聞記事をまた覗き込んで小さく頷く。大乱を仄めかす文章を捉えるその瞳は剣光のようなぎらつきが垣間見えた。
「もしかして傭兵として登録申請するつもり?」
「これが戦争に参加する一番良い道だろう」
「まあ、そうね。特に自分がつきたい国とか拘りがなければ何でも戦争屋の傭兵でいいと思うけど」
異国の民であり、戦さえ味わえればいいという戦姫ならば問題はないのだろう。
そもそも子供ではないのだから本人が納得して決めていることなら志津香としても止めるような理由もなんらない。どうぞご自由にというところだが、戦姫がこの場から離れてどこかへ歩いていこうとした時、志津香は慌てて止めることになった。
「ああ、ちょっと待って、一応聞くけど今から向かうとこはどこ?」
「早速その傭兵とやらになりにな。善は急げ、だ」
「いや……その会社そっちじゃなくてここからもう一本隣のストリートから行くんだけど」
「む。そうなのか。大陸はJAPANと違ってやたらと大きな建物ばかりごちゃごちゃと並んでいてどうにもわかりにくいな」
微かに眉を下げる戦姫。志津香はそんな彼女を眺め、再び記事に視線を移す。
しばらく思案すると、魔女帽を目深にかぶりなおして立ちあがった。
「……私が案内するわ。ついてきて」
「いいのか? そっちの都合は――」
「別にかまわないわよ。どうせついでだし」
「ついで?」
「そ。私も傭兵として登録してもらいにいくから」
-リーザス王国-
リーザスで全自由都市を攻略することを決めてひと月ほどが経った。この時になってようやくリーザスのトップであるランスは仕事らしい仕事に取り掛かった。
自由都市地域を併呑するという国家目標の為には今急速に勢力を伸ばしているコパ帝国は一番の障害。直接的な武力衝突は互いの都合で避けてはいるが、裏では自由都市での勢力拡大に向けた動きは盛んだった。両国にとって自由都市地域の中で重要な位置を占めている都市をいかに抑えられるかがポイントであり、リーザスは今後のことも考えて自由都市国家の一つカスタムと連携強化のための会談を設けることとした。
カスタムは決して大きな街ではないが、大陸でも屈指の技術力を持ち、発展も目覚ましく都市の地位は低いものでない。リーザスにとっては非常に友好的な関係を長く続けている同盟国の一つであり、故に自由都市地域における枢要な味方と言えた。
「なんだ。マリアもついてくるのか?」
支度を終えたランスが中庭に出ると、そこにマリアが待っていた。いつもの地味な作業着姿でなく、珍しくフォーマルな服装で身を固めている。
「お目付けと仲立ちよ。ランスがまともに話をするとは思えないし、かといってランにランスを上手くさばけなんて酷でしょ? 自分の出身都市とスポンサーの国の間に下手すると修正できない亀裂が入るかもしれないって思うとほっとけないじゃない」
ランはカスタムの現都市長であり、またマリアの友人でもある。ランスがわざわざカスタムに自ら赴くことにしたのは無論ランに会うことが主な目的であったのだが、どうも腹を見透かされているらしい。ランスは小さく鼻を鳴らす。
「素直に俺様が好きだから一緒にいたいと言えばいいものを」
「はいはい」
マリアは肩を上下させ、慣れたように軽く流した。
「まあついてくるのは別にかまわんが、大砲を揃える仕事のほうはどうなんだ? 自由都市が終わればすぐヘルマン戦で投入するんだ。仕事が遅れてその時に数が足りませんじゃすまんぞ」
「大丈夫よ。一号の量産は順調にいってるし、マレスケもすぐにパワーアップした姿を見せれるわよ」
力強い返答にそれならばいいとランスは居並ぶ面々をざっと見渡した。マリアの他には警護を担当する見当かなみ、そして美々しい金色の鎧を纏った親衛隊。ランスを除けば女性ばかりのメンツだった。
「……おや? レイラさんがおらんな」
ランスは眉を上げた。改めて親衛隊のメンバー一人一人を順繰りに視線を巡らしていくが、やはりそこに隊長の姿は見られない。
と、その中で一人、華やかな構成員の中でも一際目を惹く白皙の美少女が一歩前に進み出てきた。
「ランスさま、此度のカスタム会談における身辺警護はわたくしチルディ・シャープ率いる小隊が勤めさせていただきますわ」
チルディと名乗った少女は艶めいた目許を緩ます。年齢にそぐわないあだっぽい微笑が覗いた。スカートの端をちょこんと摘まんで一礼する優雅な挙措もまたどこか貴婦人めいたものがあった。
ランスは沈黙した。ただ視線だけを相手の顔から足のつま先まで這わすように動かし眺めていく。それを何度か繰り返した末に口を開いて出た言葉は、
「合格だ」
端的にして、ランスの中での最大級の賛辞。思わず、むふふっと漏れる鼻息。同時、それに重なる様にランスの隣から溜め息が飛んできた。熟練されすぎてプロレベルとも思えるその溜め息はかなみのものだった。
「……ランス、取りあえず今日のカスタムに向かうルート説明するからまず聞きなさい」
半眼のままかなみは地図を示す。指先がその上をゆっくり走った。
「まずオクの街まで転移。そこから自由都市地域に入って、うし車に乗る。テラナ高原を通ってレッドの街を経由をして、目的地カスタムに向かうわ」
「いっきにカスタムに転移すりゃ楽だろ」
「出来ないからこっちのルートでいくのよ」
「ちっ。マリア、お前も技術者ならワープシステムでも作るぐらいしろ」
「転移なんていったらそれこそ最上級の魔法よ。それだけ莫大なエネルギーが必要で、さらに集団を送るなんて考えたら魔人の力を借りるか聖魔教団のつくった無限の魔力を生み出すマナバッテリーみたいなものぐらいしか無理よ」
その他にも仕組みを作る上で様々な問題があることをマリアが次々と上げていくが、ちんぷんかんぷんのランスは適当な所で切る。
「まあいい少なくともオクまでは一瞬か」
ランスは鉢植えに入った強い帰巣本能を持つ不思議な植物を取り出す。それはオクで栽培された貴重なお帰り盆栽だった。国はリーザスの各街に移るためのお帰り盆栽を保有するようにしている。
まずかなみが一人帰り木を掲げて、一足先に街に先行する。
姿が消えてしばらくすると、ピーピーと信号音が鳴った。転移先の安全が確認された知らせだった。
「大丈夫みたいですわね。では、ランスさま参りましょう」
チルディや親衛隊がランスを囲むようにする。頷いたランスは盆栽の枝を折った。同時魔力の光が眩しいほど広がる。それが徐々に収束していき、視界を取り戻した頃には周囲の景色は一変していた。
待機していたかなみを再び加えると、ランス達はオクの郊外を出て自由都市地域へと発向する。
自由都市国家が並ぶ地帯は約五百年前にリーザスが当時の大国ヘルマンに対して反乱を起こすことで大陸が混乱した機に乗じて独立していったことで成立した背景をもつ。そのため今も各地に都市ひとつづつを統治しているような小国ばかりが多く点在している。それぞれが独自の文化と特色を持つがさすがにリーザスのすぐ周辺ともなればその影響も強くリーザス色が色濃い部分もある。
他国とは言えどそうした近しい部分もあってか、親衛隊を引き連れて歩くリーザス王というのは民の注目を十分に集め、ランスが少しでも手を振れば自国領民と変わらぬ好意的な反応が返ってくる。
歓呼に迎えられ少しいい気分になるが、しばらく歩いているとランスの顔が気だるげに歪んできた。
「なんか歩くのがだるいな。うし車はまだか」
疲れたように呟くとかなみが目線だけを向けてくる。
「もう少し進めば街の外で広い街道に出るわよ。というかまだたいして歩いてないでしょ」
「いや、どうも前より体がずっと重いし、鈍く感じる」
「そう言えば、あんた相当レベルが下がってそうね」
「レベルなんぞゼスでは魔軍と魔人を殺してきて、さらにはJAPANでも魔人と使徒を殺して50は優に越えていたはずなのに、いつの間にか20にも満たない数値にまで落ちてやがる」
「ヘルマンで重傷負ってしばらく入院。王になってからはずーっと自堕落な生活。こんなんでレベルが保てるわけないでしょ」
「……かなみ、お前は今いくつだ?」
「レベルなら25よ」
ブンッ!
出し抜けにランスは拳をかなみの顔面に放った。かなみはぎょっと目を見開きながらも首を振り動かし、間一髪で回避する。
「な、なにすんのよ、いきなり!」
「お前を殴れば経験値があがるはず。後、生意気にも俺様より高くて単純にムカついた」
「あんたねえ……」
かなみが非難の目つきで見てくる。ランスは空気の殴った感触しか残らない拳を開閉した。
「くそ、かなみに避けられるなんて不愉快だ。おまけにレベルで劣るなんて俺様のプライドが許さん」
「ランスさま、でしたら練磨のお手伝いとなるかわかりませんが、わたくしとここで一つ剣を軽く交えてみませんか?」
と、すぐ隣に侍っていたチルディが提案を口にした。
「なに?」
「英雄と相対するには不肖の身なれど、わたくしもそれなりのレベルを身につけています。ランスさまを決して退屈させるような真似は致しません。いかがでしょうか?」
気取った淑やかさを纏いつつ、その視線にはどこか試すようなものが滲んでいた。
少しばかり気にいらない感情がランスの胸を染める。余計にもかなみが「やめておいたほうが無難よ」というような目線をくれていたからだ。
「ふんっ!」
故にランスはろくな前触れも見せず直ぐに腰からリーザス聖剣を抜き放つと、チルディに向かって一気に踏み込んだ。
「いきなりランスアターック!」
風を裂くようにして鋭い一撃を見舞う。
さすがに警護のスペシャリストたる親衛隊とあって、奇襲にも機敏に反応したチルディは即座に鞘から剣を抜くことでそれを受けた。甲高い金属音が打ち鳴らされる。
間を置かずランスは再度剣を強引に打ち込んだ。火花が散り、白刃が弾ける。ランスの手に激しい衝撃が返るが、それ以上にビリっとチルディの剣が痙攣を起こす。彼女の顔が苦しげに歪んだ。
そして三合目。チルディは力押しでの勝負は分が悪いことを悟ったのか、引こうとする。ふわり――彼女の足が宙を浮いた。
だが、それはチルディが望んでなしたものではなかった。それを彼女の唖然と硬直した顔が如実に示している。
ランスは後ろに引こうとチルディが体重移動をしたその絶妙のタイミングで彼女の足を払っていた。綺麗に体が傾き、そのまま地に腰を下ろす。ランスはすかさず無防備な相手の首筋すれすれに刃を向けた。そこで完全に勝敗が決した。
「俺様の実力がわかったか」
「……勉強になりましたわ」
チルディは諸手を挙げて降参の意を示す。
ランスは溜飲が下がる思いをするものの、肝心のレベルの問題は解決を見せてはいない。自身が間違いなく最強であるという自負はあるが、レベルは高ければ高いにこしたことはないはず。
そこで、
「来い、ウィリス!」
高々と呼び声を上げた。音の広がりに合わせるように虚空から光の粒子が溢れると、それが人の形を作り出す。
現れたのは息を飲むほどの精緻な美貌の女性。神秘的とも呼べる霊妙なる輝きに満ちているあたり彼女が只人ではないと一目にわかる。レベル神ウィリス。生命体のレベルアップ管理を司る天使であり、ランスのレベル管理の担当をしている。
「しばらくぶりですね、ランスさん。呼びました?」
妖しさと色香が宿った唇から放たれたのは麗らかで親しみ深い声だった。
「うむ。レベルアップを頼む」
レベルを上げることができるのはレベル神のみ。
ウィリスは頷くと浮かべた水晶を翳してランスを覗き込む。
「またしばらく見ないうちに随分とレベルが落ちてますね。いつものことですが」
光を漏らす水晶が少しづつ輝きを増す。それを眺めるウィリスはうーんと唸って形の良い眉を落とした。
「ランスさんはまだ次のレベルアップまで経験値が足りてませんね」
「後で返すから、五百万くらい経験値よこせ」
「そんなことできません」
「俺様とお前の仲だろう。少しは融通きかせろ」
「私とランスさんの仲なんてレベル神と冒険者の関係でしかないですし、そもそも経験値が足りない以上どうあってもレベルをあげることは出来ませんよ。ズルはいけません」
「だったら、こうしよう」
「なんです?」
「俺様とセックス勝負。一回勝つごとにレベル上げるというのは」
「…………」
ウィリスは無言で背を向けて帰ろうとする。ランスは慌てた。
「だあーー! 待て待て! わかった。じゃあレベル上げんでいいから、セックスだけさせろ」
ランスの中での最大限の譲歩を見せるが、すでにウィリスは姿を消していた。
「こらーーーーっ!! セーーーーックス!!」
叫びだけが虚しく木霊する。結局、呼び出しただけで何があるわけでも無く終わってしまった。
「ええいっ、神の癖に俺様の細やかな願いを一つも叶えないとは慈悲も無い女神だ」
散々悪態ついて地団太すると、八つ当たり気味に睨むような視線を周りに向ける。
「おい、ストレス解消と経験値稼ぎのためにモンスター退治でもするぞ」
「ちょっと、まさか今からダンジョンにでも潜る気? 言っておくけどそんな時間ないし、わざわざ危険な所に向かうなんて反対だから」
思いつきに対してかなみが反対の声を上げる。だが、ランスは飄然と頷く。
「うむ。俺様も動きたくない。わざわざダンジョンに向かうなんてめんどくさいしな」
「……それでどうやってモンスター退治なんて出来るのよ」
「モンスターのほうから俺様のとこに来ればできるだろう」
「……馬鹿なこといってないでさっさと出発するわよ」
かなみが額に手を当てて呆れ混じりに呟く。ここは街中だからモンスターと出会うことなんて基本的にありえない。まさに当然というような常識をふりかざすが、その常識が力を失うのは思うよりはやかった。
一人の男性が、こちらに向かって走ってくるのが見えた。必死の形相。倒けつ転びつ。それは非常に不穏で、ただならぬ事態を十分匂わす光景だった。そしてまもなく聞き捨てならない悲鳴が響き渡った。
「うわあああ!? モンスターが村に侵入してきた!」
「…………」
ランスを除くメンバーが皆愕然と固まっていた。
「ふん……やはりな」
ただ一人、ランスだけが不敵に笑う。
「ラ、ランスさま。モンスターがやってくると確信してらしたんですか?」
チルディが驚きに目を見開いて、まじまじと見つめてくる。
「まあな」
「それはいったいどうして……」
「簡単だ。俺様みたいな物語のヒーロー的な存在は、常に英雄として活躍する場面と遭遇する決まりみたいなもんがあるからな」
「………………は?」
ランスの圧倒的根拠を聞いたチルディは目を点にして、優雅さも気品も何もない表情になってしまった。
どどど、という地響きが鳴る。粉塵がまっているのが見えた。モンスターの群れが近づいて次第に大きくなる姿がついに視界に収まった。
「さて、がんがん斬りこむぞ。ぼさっとしてないでお前らも俺様に続け」
ランスは引き抜いた聖剣を天に振り上げた。長大な両刃が白銀に輝き冴える。
小さく息を吐き、モンスターの群れに向かってまっしぐらに駆けた。
「――ワット!?」
集団の先頭にいたタンクトップ姿の浅黒い肌の魔物――ヤンキー――が突撃に気付くと驚いたように目を開く。ランスはその相手の首筋に体ごとぶち当てるほどの勢いで聖剣を突きこむ。貫通すると同時、ヤンキーの表情は驚愕に固定されたままに目が飛び出るように天を向き、真っ赤な泡が口から噴きこぼれる。
剣を切る様にして首から抜くと、盛大に血を散らしながらヤンキーはべしゃりと地に倒れこんだ。さらに血滴も飛ばす勢いで剣を振るってまた魔物を斬り伏せる。
同朋が殺されたことで、魔物たちの血走った目がランスに集中する。
「ぶっ殺してさしあげますよ」
すぐ近くでいきり立つような熱気が膨れ上がるのを感じた。炎の魔術の兆し。だが、ランスはそっちに一瞥もくれなかった。何の対応をすることなく、自身が最も攻撃しやすい位置にいるものを優先的に潰していく。
熱をもった小さな赤い光は揺らめく紅蓮の火球へと変わっていった。それがランスに向けられ、放たれる寸前、炎がそこで霧散した。魔法を撃とうとしていた魔物が断末魔の叫びをあげてもんどりをうつ。その目には鈍い銀色の光――手裏剣が刺さっていた。
すぐそばに赤い影が降り立った。
「勝手に一人でつっこまないでよ、ランス。ただでさえレベル下がってるんだから無茶な攻めは控えてくれないと、フォローするこっちが大変なんだから」
「そっちこそドジ踏んだりして無敵の俺様の足を引っ張らないよう大人しく援護してろ」
憎まれ口を叩きながら、ランスはなおもガンガン切りこんでいく。そして悪態をつきながらもかなみが状況に合わせて肩を並べ、時に背中に立つことでランスの側面、あるいは背後といった死角からの攻撃を潰すように立ちまわる。ランスはかなみが全方位に気を配って動いてくれるために余計なことを気にせず豪快に攻撃が出来る。逆にかなみはランスが派手に動き回り魔物を引きつけるから不意打ちがやりやすい。
二人は絶妙なコンビネーションを重ねて魔物を次々斬り伏せていく。しかし、数の上では当然不利。考えなしでただ突っ込んでいけば当然のごとく周囲が敵だらけに囲まれて、かなみ一人がフォローするには限界も出てくる。
そのタイミングを見計らったように、後方から煙幕弾が放たれた。全ての視界を遮るような煙がもうもうと立ち込めた。ランスとかなみはその隙に後方に下がる。
煙が独特の臭気を放つ。そのために魔物の嗅覚をきかせない効果があった。それでいて特殊な幕が音を歪める効果をもっているために聴覚をも狂わす。敵を察知する術をなくした魔物は完全にランス達を見失う。
数秒後、煙が晴れはじめる頃にはランス達は十分安全圏に逃げられていた。魔物たちは怒気をまとって追いかけてこようとするが、その出鼻を挫くように黒い影が高速で来襲。マリアのチューリップ一号。辺りに轟音を響かせ炸裂した。
その砲声を合図にランスはまた魔物のもとへ走りだして、攻撃を再開する。そして不利になればまた後方からマリアの援護で体勢を立て直すとを繰り返す。
かなみにしろ、マリアにしろランスにとっては長き付き合いで、幾度の冒険と戦を共に乗り越えてきた。だからこそ良好な連携があった。
「親衛隊、突撃!」
チルディが鋭い声を発する。命令一下、金色の波が魔物に襲いかかる。
秩序だった隊形、その先鋒を担うチルディはやはり群を抜いて動きが良い。
流れるようにステップを踏み、魔物を翻弄していく。余裕綽々の笑みに華麗なる体さばきによる剣のダンス。それを血しぶき舞う赤いステージと魔物の呻きや叫びによるミュージックの演出で彩っていく。
ひゅう。その光景をランスはちらりと眺めながら、口笛を吹く。応えるように艶やかな流し目と淑やかな微笑をチルディが返した。
と、視線が逸れたその隙をつく形で、でっぷりと肥え太ったぶたの魔物――ぶたバンバラ――がぶほおと興奮に広げた鼻穴から荒い息を吹きつつ、槍の刺突をくりだしてきた。思わず見開いたランスの目に入ったのは笑みの歪みを深めたチルディ。
向かってくるその穂先を剣の切っ先を跳ねあげることで軽くいなすと、直後、二度剣光が閃く。
一撃は弧を描がせての斬撃。それがぶたバンバラの首を飛ばし、さらに返す刀で同じく隙を狙っていたローパーの眼球を貫く。あまつさえ乱れたおぐしを整えて、余裕であることのアピールまでした。
ランスはほう、と思うと同時、負けてられんという気持ちも出てくる。さらに意気を上げて、魔物をひとつふたつと屠っていく。
そうして調子よく狩っていき、半刻ほどでモンスターの死骸が累々と積み重なっていった。
「……モンスターはあらかた倒したか、逃げていったみたいね」
周りを見渡しながらかなみが言う。街にやってきた魔物のおよそ半数を討伐し、残りは戦闘中に逃げていった。
味方の死者はゼロ。負傷者が少し。他愛もない、とランスが呼吸を整えて剣を鞘に収めようとした。
その時――。
「きゃあああああああ!」
絹を裂くような悲鳴が耳朶を打った。さっと緊張が走る。
「っ。こっちか!」
最も早く反応したのはランスだった。ぴくりと耳が動く。大いに神経を刺激されたのは、それが若い女性の声だったからだ。
間違いなく美少女のもの。ランスの勘が告げていた。
モンスターとの戦闘での疲れもないように快速で疾走する。
音の方角を追い、現場に辿りつくと腰を抜かしたように地面に座り込んでいる少女と、それに襲いかからんとしている魔物の集団がいた。さきほどの残党だろう。ランスは舌打ちする。
「ひっ! いやぁぁぁぁああああ!!」
迫りくる恐怖から逃れるよう少女は目を瞑って、叫喚した。
ランスは猛然と駆けると、地面を強く蹴った。少女の頭上を飛び越し、ハニーを足蹴にしてさらに速さと勢いを乗せて、高々と飛び上がる。そのまま片手から両手に剣を持ちかえ、
「俺様必殺! フライ~ングランスアターーック!!」
地面を穿つように激しく着弾すると激突音と衝撃が大気に撒き散らされるように爆発した。巻き起こる突風に突きあげられたように魔物の体が乱れ吹き飛ぶ。
「う……けほ、けほ」
煽りをくったのか、少女がせき込む。手で頭をさすりながら彼女は瞼をゆっくりと持ち上げた。
「……え?」
ぱちぱちと瞬き。きょとんとした顔をしてランスを見上げ、その後、血のついた剣を見てぎょっとして、さらに散らばる魔物の躯にびくっとする。
しばらくしてから、自身が無事であることを確認するようにぺたぺたと頬に触れていった。それでようやく目の前の人物によって命を助けられたことに気付いたようだった。
ランスはちょっと鈍い女だなあと思いつつ、
「無事か?」
「……は、はいっ! 大丈夫です。ありがとうございます」
ぺこりと少女は頭を下げる。
セーラー服姿を見るにおそらく学生だろうか。
面を上げた際に見えた顔は、目鼻立ちは十分整ってはいるが、地味にまとまった感じでどことなく華やかさに欠ける印象があった。
とはいえランスの勘のとおり可愛らしい少女で、十分食指が動く。素朴なのも悪くはない。
そうしてランスが凝視していると、同じように少女もまたランスの顔をじいっと真っすぐ見つめていた。
「なんだ? 俺様に惚れたか」
「い、いえ……その、新しいリーザス王さまの顔にそっくりだなあと」
「はあ? 何言ってんだ。俺様は……」
「ランス!」
そこにかなみ、マリア、親衛隊が駆けつけてくる。
「もう、警護の人間を置いて一人勝手に突っ走らないでよ」
「知らん。お前らがちゃんとついてくればいいだけだろ」
かなみが憤然と言うが、ランスは耳をほじくりどこ吹く風。
そのやり取りを眺めながら少女が茫然とした呟きを零した。
「ランスって確か新しいリーザス王さまの名前じゃ……それに金の鎧の部隊はあの有名なリーザスの親衛隊……」
そこで少女ははっと息を飲んだ。
「ほほほ本物のリーザス王さま!?」
「いまごろかよ」
ランスが言うと、少女は慌てて跪いた。
「わ、私、王さまと知らず、とんだ御無礼を」
ぺこぺこと謙る。
「ねえ、ランス。この子は?」
マリアが少女とランスの間を視線を行き来させて聞く。
「さっきの悲鳴を上げていた女だ。モンスターに襲われそうになっていたところを間一髪俺様がばばーんと華麗に助けて救ってやった」
「それはいいけど、あんたまさか、いつもの"お礼"とかいうのをこのコにも要求するんじゃないでしょうね」
かなみが半眼で睨む。
「お礼……その、王さまを満足させられるようなものは持ってませんけど、私に出来る事だったら何だってします」
「ほう。なんだって、か?」
「はいっ!」
ランスの確認に少女は力強く頷く。すぐ近くでかなみが頭を抱えていた。
ランスは顎に手をやる。
「ふぅむ。礼ねえ……」
じっくりと思案し、
「…………」
「お前、名は?」
「は、はい。サチコ・センターズと申します」
「そうか、じゃあサチコ」
「……はい」
ごくりとサチコは唾を嚥下し、ランスの言葉を待つ。
「サチコ。お前を今日から俺様のところで召し抱える」
「はい、わかりました…………って、えーーーー!?」
一拍置いて天地がひっくり返るほどの衝撃を受けたような叫びがこだまする。
それを聞き味わいながらランスは内心ひそかにほくそ笑んで確信する。これは絶対にいいオモチャになるはずだ。
お知らせ的なもの
既に理解していただけていると思いますが、私の作品は鬼畜王キャラと鬼畜王以降に出たキャラとが絡んだり、正史では通常冒険者ランスとして絡むキャラがリーザス王の立場として接するものに変化していたりとで、場合によっては原作にないキャラの呼び方をひねりださなくてはならないことが間々あります。例えば、今回のお話では魔想志津香が戦姫のことを「戦姫さん」と呼び、サチコがランスのことを「王さま」と呼んだりしています。この呼び方に関しては原作に該当するものがない以上、完全に私のイメージによるものでやるしかありません。人によってはそんな呼び方しないんじゃないと思うことがあるかもしれません。読者の方がこのキャラはもっと違う呼び方しそうと思えば、仰ってください。これらに関してはいくらでも修正がきく部分ですので、作者がなるほどと思ったり、他にも多くの方が賛同するようなら変更いたします。ただし、これは例え話で真に受けないでほしいのですが、仮に、もし仮に後にシーラと足利超神の会話があったとして、シーラが「足利将軍」と呼ぶのを見て、読者がシーラには超神を「うんこ」と呼んでほしいと明らかにおかしい呼び方をすすめられても作者にはとても叶えられませんのでどうかご了承ください。