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No.27351の一覧
[0] キスから始まる鬼畜なストーリー【ゼロ魔・鬼畜】[通りすがり……](2011/04/22 15:47)
[1] 異世界召喚[通りすがり……](2011/10/10 19:53)
[2] 反逆への道[通りすがり……](2011/04/23 10:43)
[3] 新しい関係[通りすがり……](2011/10/23 19:29)
[4] 最初の一夜[通りすがり……](2011/06/03 20:52)
[5] とある一日の風景[通りすがり……](2011/04/29 14:12)
[6] 第四の使い魔[通りすがり……](2011/05/02 19:47)
[7] 頼れる相棒[通りすがり……](2011/05/03 19:44)
[8] 最初の仕事[通りすがり……](2011/05/04 22:09)
[9] 強い心[通りすがり……](2011/05/06 10:27)
[10] 微熱の誘惑[通りすがり……](2011/05/07 20:31)
[11] 微熱から情熱へと[通りすがり……](2011/05/08 19:39)
[12] 情熱の行方[通りすがり……](2011/05/14 13:46)
[13] 決闘[通りすがり……](2011/05/15 21:05)
[14] 決闘の結末[通りすがり……](2011/05/17 19:13)
[15] 捜索隊結成[通りすがり……](2011/05/17 19:33)
[16] 森の広場[通りすがり……](2011/05/19 20:22)
[17] 奴隷が嗤うとき[通りすがり……](2011/05/21 15:50)
[18] 土くれのフーケ[通りすがり……](2011/10/11 20:00)
[19] 新しい一日の風景[通りすがり……](2011/06/03 20:16)
[20] トリスタニアの休日[通りすがり……](2011/06/03 20:38)
[21] 重大な決意[通りすがり……](2011/06/05 22:50)
[22] 卑劣なる男[通りすがり……](2011/06/09 23:54)
[23] 決断の時[通りすがり……](2011/06/15 20:12)
[24] 薔薇の行く末[通りすがり……](2011/06/21 23:03)
[25] 絶望のオスマン[通りすがり……](2011/10/23 19:27)
[26] 学院の支配者[通りすがり……](2011/10/23 20:05)
[27] 港町ラ・ロシェールにて[通りすがり……](2011/10/29 21:28)
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[27351] 最初の仕事
Name: 通りすがり……◆60293ed9 ID:52126834 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/05/04 22:09
“ねぇ、モンモランシー。あなたの腕を見込んでお願いがあるの。惚れ薬を作ろうと思って水の精霊の涙を手に入れたんだけど、モンモランシーなら詳しいから手伝ってもらおうと思って……”

 ルイズから話を持ちかけられてモンモランシーの心は動いていた。なんと惚れ薬である。前々から興味があったポーションであったが、残念ながら諦めていた。
 惚れ薬に必要な水の精霊の涙は希少だから手に入りにくいし、なにより高価なのである。それでもいずれ近いうちにと思っていたのだが、この機会に試せるというのなら願ってもない。一も二もなくうなずいた。

「……ルイズ、来たわよ。……ルイズ? 開けるわね?」

 コンコンコンとノックをし、それからやや時間をおいて扉を開ける。ご禁制の薬だから秘密裡に訪ねてきてというのはわかる。あまり親しくなかったルイズだが、これを機会に仲良くなるのも悪くないかな? そう思いながら、モンモランシーはルイズの部屋へと入っていく。

 部屋へと入ったモンモランシーは少し眉をひそめた。才人がいたからだ。なるほど、使い魔として召喚され、一緒の部屋で生活していることは知っていた。だが、実際に目の当りにしてみると印象が違う。使い魔――つまり使用人とはいえ男である。それと同居しているのはいかがなものかとふと思った。
 才人とは何日か前に初めて話し、よくは知らないと言うのもある。また、夜中に訪ねてきたので同衾というのを意識してしまったのもある。そのせいで一層印象が悪くなってしまったのだ。

 ……まあちゃんと身の程をわきまえているようだし…

 しかしモンモランシーは直ぐに意識を切り替えた。ちらりと壁際の藁を見る。当たり前のことだがベッドは別にし、藁の上で寝させるなどルイズもしっかりとしつけをしている。
 ならば使用人の事など気にしても仕方がない。今大事なのは惚れ薬だ。

「モンモランシー、よく来てくれたわね。ありがとう、お礼を言うわ」

「別に気にしないで。惚れ薬には興味があったから。……それよりルイズ! よく水の精霊の涙なんて手に入ったわね? 私も欲しかったんだけどアレって高いでしょ? どうやって手に入れたの? いえ、それよりルイズ、何で惚れ薬に興味なんて持ったのよ! 誰か気になる人でも出来たの?」

 テーブルへと案内されるなりモンモランシーは興奮した面持ちでしゃべりだす。それに苦笑したルイズはまあまあ落ち着いてと手振りで示し、「サイト、わたしとモンモランシーにお茶を用意しなさい」と命令した。

「わかった。ルイズ。お茶だな?」

 にやりと笑い、了解した才人はお茶の用意をし始める。アルコールランプを使ってお湯を沸かし直し、用意しておいたスコーンを皿に盛りつけるのだ。

「さてっと、知ってのとおり惚れ薬はご禁制のポーションよ? まずは誰に聞かれるかもわからないから、念のためにサイレントを掛けてくれない? 話はそれからよ、モンモランシー」

「え? ええ、そうね、その通りだわ。それじゃ、ちょっと待ってもらえるかしら?」

 悪戯っぽく笑うルイズにきょとんとしたモンモンランシ―だが、言われてみればもっともな話だ。立ち上がると杖を振り、サイレントを掛けると座り直す。

「掛けたわよ、ルイズ。っそれで? 一体どう言う事よ? 全部話しちゃいなさいな!」

 モンモランシーは興奮したままである。恋の話をするのは楽しいのだ。それが気位の高く、キツイ性格もあって噂などまったくなかったルイズに関係するかもしれないと思えば、それはもう、三度の食事と引き換えにしたって惜しくはない。
 それをルイズは苦笑しながら受け流し、焦らすようにモンモランシーこそどうなのよ? と返していく。

 ……いいぜ、ルイズ。その調子だ。そうやって警戒心を解いていけ。それでこそ俺が話し掛けたって上機嫌ならのってくれる。そしてだ。いきなりの事態に面食らうことになって、俺に命令されて逆らえない事を知って、それでこそ絶望も深くなるってもんだ……。

 背を向けて顔を隠しながら才人は嗤う。

「もう! わたしのことなんてどうでもよろしいでしょ! それよりもルイズが話しなさいよっ!」

「ふふっ……だから言ってるじゃない、モンモランシー。ギーシュと付き合ってるんでしょ? どこまでいっているの? 教えてくれたらわたしの事を話すかもしれないわよ?」

 照れているモンモランシーに悪戯っぽくルイズはからかう。

「もうっ、二股するようなギーシュと付き合うなんてありえませんわっ!」

「へぇ…そう言うってことは、今まではやっぱり付き合っていたのよね? キスくらいまでならいっているの?」

 モンモランシーは顔を真っ赤にし、ルイズは墓穴を掘ったのを笑っている。膨れて拗ねてしまうモンモランシーだが、その目元はやはり笑っていた。
 からかわれていても、やっぱり恋の話は楽しいのだ。

 そんな最中であった。ごぽごぽと泡を立ててお湯が沸いてしまう。

 ……くく……もう少し聞いていたかった気もするが時間切れだな。そろそろ始めるとしますかね……。

 楽しく騒ぐ会話を耳に、生贄の道化ぶりを楽しんでいた才人だが、お湯が沸いてしまった以上お茶の用意をしないといけない。カップを手に取り温め、お湯を捨てると沸かしたお茶を注いでいく。スコーンを皿に盛りつけ、銀のトレイへとのせる。

 ……さっ、始めるとするか……。

 一度表情を消し、にこやかな顔へと作り直す。

「ルイズ。お茶の用意ができたぜ? せっかくだから俺もご相伴に預かっていいいか?」

「……仕方ないわね。モンモランシーに失礼なことするんじゃないわよ?」

「もちろんだって。それじゃ、モンモランシー。お茶を飲み終えるまでの間、少しだけ失礼するぜ?」

 さて、モンモランシーはどんな反応を返すかと才人は期待した。普通は主人と客が会話している最中に使用人が同席を求めるなど、あり得ないくらいの失礼のはず。ならば怒ってルイズに抗議してもおかしくはない。

「……ええ、サイト、かまわないけど……」

 果たしてモンモランシーは少しだけ不機嫌な顔つきとなった。ちらりとルイズの表情を確認する。そのルイズはといえば「仕方ないでしょ、礼儀のわかってない平民だから諦めて」と頭を振った。それで苦笑いを浮かべたモンモランシーも才人の同席を許可すべく、にっこりと笑ってみせる。ホストが認めた以上、過度に抗議するのもまた失礼なのだ。

 テーブルへとティーセットを並べた才人。ニヤリと笑いながらルイズの隣へと座った。



 眼前にいるはルイズに続く二人目の獲物。これをどう料理すべきであるか? モンモランシーは変わらずおしゃべりへと熱中し、才人のことなど眼中にない。当たり前である。
モンモランシーはルイズにこそ用事があって訪れてきたのだ。イレギュラーに加わってきた使用人のことなど気にするはずがない。

 ……ふむ、スレンダーで肉感だと物足りないって感じだな。それでもルイズと比べりゃ雲泥の差だ。それにもしかしたら意外と脱いだら凄いんですってタイプかもしれん。剥いてみるまでわからんな。
髪型はどうかと思うが…まあ、セットに苦労するのは俺じゃないしな。なかなかの美形だし、ギーシュなんぞにはもったいないっと。……くく、どんな奴隷にしてどう楽しもうかね?

 才人は改めてモンモランシーを批評する。最初はキュルケのついでのように思っていたモンモランシーだが、途中の予期せぬイベントのせいで優先順位は高くなった。今では先にして正解だと思っている。

 ……くく……まずは馬鹿をどう思ってるか、本心を聞かなくっちゃあな。それによってどう扱うか考えることにするか……。

 座っているので上半身しか鑑賞出来ないのが残念である。しかし、ならば命令し、改めてじっくりと観察すれば済む事だ。注意をひくようソーサーへと乱暴目にカップを置く。いよいよ才人は始めることにした。

「えっと、モンモランシー。少し聞きたいことがあるんだけど構わないか?」

「え? ……ええ、何かしら?」

 ガチャっと陶器のかすれる音にモンモランシーは眉をひそめた。おしゃべりに夢中になっていたのだ。邪魔をされたと不愉快になる。

「え~とさ、さっきから聞いてたんだけど、疑問に思ってさ。答えてもらい事があるんだよ」

 それどころか質問までしてくる始末である。なんと不躾であろう? 確かに同席は認めたが、会話にまで加わってくるのは明らかに行き過ぎである。その程度のこともわからないのであろうか? ますますモンモランシーは不機嫌となってしまう。
 とはいえ才人はルイズの使い魔、そのしつけはルイズの役目であろう。ここはぐっと我慢をし、貴族として寛容さを示すところだ。ここで直接叱ってはルイズの顔を潰すことになろうし、あとで二人きりにでもなった時に抗議するとしよう。
 ちらりとルイズの方を窺うと神妙な面持ちだったのが気になったが、それは無礼を働いた才人に対して怒りを堪えているのだろう。務めて笑顔を心掛けたモンモランシー、内心をおさえて才人の質問に答えることにした。

「……何かしら? 言ってみなさいな」

 ニヤリと才人は笑う。これで仕上げである。ここまで時間を与えたのに気付かない方が悪いのだ。

「“モンモランシー。黙ってそのまま聞いてくれないか? それから話が終わるまで決して席を立たないで欲しいんだ”」

 才人は視線を合わせて問いかける。それに対してモンモランシーはコクリとうなずいた。

 ……くくく…これで詰みだ。まだ気付いてないか? まっ、念のためだ。打ち合わせ通りやるとしますかね?

 視線をルイズへと向けてみる。そして口の端を釣り上げ嗤って見せる。生唾を飲み込んだルイズはコクリとうなずき、そのまま入口のほうへとパタパタと駆けていく。

「……ねぇ、モンモランシー。今何か物音がしなかった? 誰かいるのかしら? ちょっとこっちに来てくれる?」

 そうして扉を開けたルイズはひょいと首だけだして辺りを見回し、おいでおいでとモンモランシーを手招きする。これにはモンモランシーも慌てた。

 何しろご禁制のポーションである。まだ作ったわけではないが、噂になるだけでも問題だ。
 流石に退学だとか致命的な処分は下るまいが、謹慎や教室の掃除などで処分されることは充分にありえる話だ。
「っ本当なの? 今行くわ、ルイズ!」と駆けだすべく立ち上がろうとし――モンモランシーの身体はピクリとも動かなかった。
 まるで椅子とお尻とが吸い付いたようにくっつき、離れようとしなかった。

 っよし! 完璧だ! 喋らないし動かない! 何が起こってるか全く気付いてねえ!

 モンモランシーは異常事態に慌てている。椅子からお尻が離れようとせず、得体の知れなさに「何よコレ? ルイズ、助けて!」と悲鳴をあげようとしたのだが、その声を上げることが出来ないのだ。

「どうしたんだ? 何でそんなに慌ててる? ルイズが呼んでるぜ?」

 その声にモンモランシーは振り向いた。すると才人の顔を見てしまったモンモランシーは「ひぃっ!」と悲鳴をあげようとする。それは才人がニヤニヤ嗤っていたからだ。その表情は一見笑ってはいるよう見えるのだが、目は全く笑っていないのに気付いてしまったからだ。

 モンモランシーはそれで瞬間的に理解した。理解してしまった。この異常事態は眼前の才人の仕業だ。この嗤いで才人の仕業で間違いないと判断出来てしまった。慌ててポケットを探り、愛用の杖を取り出す。
 放っておいたら何をされるかわからないのだ。その前に呪文を唱えなければならない。
 唱える呪文は“ウォーターハンマー”。空気中から水蒸気を集め、それを水流としてぶつける水属性の数少ない攻撃呪文の一つである。杖を才人へと向け、ルーンを唱える。
 その様子を才人はカップを傾けながらニヤリとし、モンモランシーの好きなようにさせる。

 ……くく…必死だねぇ…口をパクパクさせるばかりじゃ何言ってるかわからないぜ? モンモランシー……。

 モンモランシーの心は恐怖で一杯だった。メイジに杖を向けられて平気な平民などいるはずがないのだ。そんな平民など見たことも聞いたこともない。そして、何より、全く声が出ないのである。
 いくら杖を振ろうとも、呪文を唱えなければ意味がない。ルーンの一言さえ口に出せない。まるで空気を求める金魚のように口をパクパクさせるだけで、一言だって声を出せない。平然として座り続ける才人にモンモランシーの全身に怖気が走る。

「……ふ~~っ、わかっちゃあいたがやっぱり最初は怖かったな。……ルイズ、終わりだ。一応聞いておくけど誰もいなかったよな?」

 背もたれに体重を預けながら、才人は安堵の溜息をついた。それからニヤニヤしながらモンモランシーを頭の先からじっくりと眺め、入口に立ったままだったルイズへと声を掛ける。それでモンモランシーもハッと気付く。ルイズはどうなったのであろうか?

「……いなかったわ。もう大丈夫なの?」

 振り返って目にしたルイズは心配そうな、悔やんでいるような、申し訳なさそうな、そんな目つきでモンモランシーを見つめていた。うなずきながら才人へと返事をし、そのあとはまたじっとモンモランシーを見つめてくる。

「ああ、上手くいった。大丈夫だとは思ってたけどドキドキもんだったぜ! あとは念のための仕上げだな」

 ルイズは「……わかった」とうなずき、モンモランシーへと近づいてくる。心配げな面持ちのルイズだがモンモランシーにはそれが怖い。「ひぃぃっ」と悲鳴をあげて杖を振る。
 だが――確かに杖は振れる。何度だって振れる。なのにお尻はぴったりと椅子に張り付いていて動けないし、どうしたって声が出ないのである。

 口をパクパクさせながら恐怖のあまり引きつった顔。何とか状況を打開しようと、唯一動かせる腕で杖を何度も振り、精一杯の抵抗をするモンモランシー。それを悲しそうな顔をしたルイズが近づき、「ごめんね、モンモランシー」と謝りながら、希望である杖をもぎ取っていく。

「……さ、モンモランシー。説明してやるから聞く気はあるか? まあ聞きたくなくても聞いてもらうんだけどな? 驚いてるだろうし少しだけ待ってやる。準備ができたらうなずいてくれ」

 ニヤニヤしながら才人が問い掛ける。そのいやらしい嗤いにモンモランシーは目を見開きながらコクコクと首を振った。それには才人も苦笑して「早いな……」と呟き、それでも首を振ったのだからと説明していくことにした。
「ルイズ」と声を掛け、顎をしゃくって合図を送る。

 うなずいたルイズはクローゼットへと走っていった。



「くく……話ってのは他でもない。ギーシュのことをどう思ってるのかを聞きたいんだよ。それからモンモランシーにやって欲しいことがあってさ、それについても同意を得られたらって思ってるんだけどな?」

 クローゼットへとたどり着いたルイズは引き出しを開ける。そして――鞭と首輪を探し出すとそれを手に取って戻ってくる。それを見たモンモランシーはひいっと悲鳴をあげようとするが、残念ながらしゃべることは出来ない。テーブルに投げ出された二品から目を背けようとするばかりだった。

「ま、大丈夫だと思うけど時間切れも怖いしな。始めることにするか」

 そう笑いかけてくる才人。それでモンモランシーは気付いた。そう、お茶に何かを盛られてしまったのだ! ……でも、そうするとルイズの態度はどうなのだろう? 疑問は残るが何か怪しげな薬でも盛られたに違いないとモンモランシーは判断した。

 異常事態の疑問が解け、それでモンモランシーは余裕を取り戻す。そうなると眼前の男が俄然憎くなってくる。なんと卑怯な男だろうと精一杯の憎しみを込め、モンモランシーは才人を睨み付ける。そしておそらくルイズは何か弱みを握られているのだと思い当たり、視線で殺さんとばかりに睨み付けた。

 おおぅ! 迫力あるねぇ! おいちゃん怖くて怖くてちびりそうだ!

 こうでなければいけないと思った。これを絶望の表情へと変えることこそが才人の望みである。
くっくっくっと嗤いそうになった。楽しくて楽しくて、ついつい時間を気にせず遊びたくなってしまう。

「ルイズ! 始めるからモンモランシーの服を脱がせろ! “それからモンモランシー! 立ちあがってルイズに抵抗するな! 協力するんだ! 全部脱いだら背筋を伸ばしてバンザイしろ! 足を肩幅まで広げてじっとしてろ! そうなったらしゃべることを許す!”」

 それももう終わりにすることした。しゃべらないモンモランシーを相手にしていてもつまらない。どうせ相手をするのなら全裸に剥いて、屈辱と羞恥の表情をさせていた方がいい。

 怒鳴られたモンモランシー。流石に表情が蒼くなる。最悪の予想として考えないでもなかったが、それはありえないと思っていたからだ。何故なら貴族に対して平民が全裸になれ、などと命令したとなれば、殺されたって文句は言えない。
 開拓事業の失敗から資金繰りに困り、没落の危機にあるモンモランシ家ではあるが、なんといっても伯爵家である。殺されたって文句は言えないのだ。

 だが

 命令された瞬間、モンモランシーは雷に打たれたかのように背筋を伸ばして立ち上がっていた。「わかったわ、サイト」とうなずいたルイズがモンモランシーへと近づいてくる。

「……ごめんね、モンモランシー。ご主人様のご命令には逆らえないの……」

 申し訳なさそうな顔をしたルイズはモンモランシーの背後に回る。
 マントを外し、ブラウスを脱がし、プリーツスカートを脱がしていく。

「ごめんね、モンモランシー。ショーツを取るから足を上げてもらえる?」

 モンモランシーは足を上げる。言われた通りに足を上げる。それをルイズは申し訳ないと、悲しそうな顔をしながらもショーツを脱がす。
 モンモランシーは身体が勝手に動いたのに驚愕したあと茫然とする。そしてそのあとは怒りによって才人を睨み付け、ブラウスを脱がされた辺りからは羞恥によって身もだえ、全裸にされてしまうと下を向いてうつむくしかなかった。

 っう、嘘でしょ? な、なんで? どうして?

 モンモランシーはうつむくことで羞恥に耐える。何故なら身体は自然にぴんと背筋を伸ばした。バンザイするように天井へと手を伸ばした。足は肩幅へと自然と開いていった。

「くくっ……そこじゃあ全部見ることは出来ん。“部屋の中央へと移動してもらおうか?”」

 力ない足取りでモンモランシーは部屋の中央へと向かう。そうして再度足を開き、おずおずと両手をバンザイさせていく。才人は乗馬鞭片手にモンモランシーの前へと回り込んだ。

「ほう……なかなかのもんだ。胸こそ小さ目だがバランスがいい。まあルイズとは比べもんにならないってか? くく……それから腰回りはくびれも充分っと。ケツは……まあ小さいな。でも子供体形ってわけじゃないし、バランス的にはいい。これはこれでアリだな」

 周りを回りながら、才人はモンモランシーの身体を舐めるように観察する。じっとうつむき目を瞑り、歯を食いしばったままに耐えるしかなかった。

「!っひひぃいぃぃッ……!」

 股の間にくいっと鞭を差しこまれる。堪らずモンモランシーが悲鳴をあげた。ひんやりとした革の感触がおぞましかった。

「ふむ……陰毛は薄目で髪とおんなじプロンドか。当たり前だな。それから腋毛もナシっと。くく…乙女の嗜みってやつで剃ってるのか? クリトリスにも異常ナシ。皮を被ってるからよくわからんが小さくもなく、大きくもなくって感じか? ……あとは見たところ黒子だとかも見当たらず、か。……くく…合格だな、モンモランシー。これなら充分だ」

 満足した才人は正面へと戻った。モンモランシーはあまりの羞恥に顔をあげることが出来ない。

「さ、モンモランシー。頼みたいことがある。もうしゃべる事が出来るよな? “正直に答えて欲しい。ギーシュの事をどう思ってる?”」

 問われたモンモランシーはハッと気付いた。先ほどの屈辱の批評の際、鞭を股間に差し込まれて悲鳴をあげることが出来ていた。

 っこの平民! よくもわたしにこんな恥ずかしい真似をっ……!

 どうしてかはわからないがこれはチャンスだ。才人には言いたい事が山ほどある。どうしたって思いつく限りに罵声を浴びせてやりたい。そう、どうしたってだ。

 無礼者! 恥知らず! 卑怯者! 貴族にこんなことをしたあんたは明日にだって縛り首よ! いい気になってるんじゃないわよ! 明日になればあんたは終わりなのよ! それが嫌ならさっさっとわたしを解放なさい! そうすれば100に一回くらいなら終身刑で終わらせてあげるかもしれないわっ! だからこの平民! さっさとわたしを解放しなさい!
 
 羞恥と屈辱に顔を歪めながらも、勇気を振り絞ってモンモランシーは口を開く。

「ギーシュは友達よ! キスしたけどあんな浮気も……の…」

「……ん? 浮気者か? くく……続きは?」

「っ…ぁ…う、浮気者だから、別れたわ。…そ、それでも付きまとってくるけど…、悪くない気分だわ……」

「……それから? 悪くない気分でどうしたって?」

 モンモランシーは信じられないと言う表情をした。罵声を浴びせるはずだったのに、口にしたのは問われたギーシュへの感情だったのだ。それをルイズは悲しそうな目で見つめ、才人はニヤニヤしながら続きをうながす。

「わ、悪くない気分だし、反省するならヨリを戻してもいいかなって。簡単に許す気はないけど、反省するなら悪くないかなって……」

「ほう、なるほどね。キスしたって言ってたけど本当か? 何回した? それはもちろん口でって事か? それからそれはいつの事なんだ?」

「キスしたのは一回。もちろん口よ。付き合い始めて半年くらいして、湖へと遠乗りした時したわ」

 更にである。驚愕が治まってくると口の回りも良くなってくる。問われた事に何ら違和感なく喋ってしまう。恥ずかしくて今まで誰にも喋った事がないと言うの に。
 茫然としながら、モンモランシーは才人の質問に答えていく。

「ふんっ、ギーシュなんぞとホントにキスしやがったってか? そいつは大幅なマイナスポイントだな。それから……そうだ、ギーシュのいいところと悪いところを言ってみろ。どんなところに惚れた? どんなところが我慢ならん? そいつを言ってみろ」

「ギーシュ、わたしを女神さまだとか、僕の太陽だとか褒めてくれたし、我慢できないのはセンスが悪いところ。文句を言ったら照れているんだねって、本気にしないのが我慢できないわ」

「くっ、そりゃそうだ! あれで恰好いいとか思ってるんだから馬鹿なんだよ! バラを口に咥えて気持ち悪いっつーの! しっかしいくら褒められたからってそんなセリフでふつー惚れるか? モンモランシー、馬鹿なことしたとか後悔してないか?」

「そ、それは…。でも大げさだけど褒めてくれたのは嬉しかったし、付き合えば僕の良さがわかるって言うから、それなら試してみようかなって思ったから」

 話をしながらモンモランシーは途方もない恐怖に襲われていた。どうして話をしてしまう? 滑らかに、ためらう事なくしゃべってしまう。
 どうして? どうして? と、思いながらもその口は止まらない。

 ニヤニヤ笑いながら質問をした。そして才人は答えを聞いて満足した。試したとはいえ流石にここまで込み入ったことまで試していなかったし、裸に剥いてなどいなかった。
 それにだ。そう、何より重要なのはリーヴスラシルの能力を本番で試し、結果が満足出来るものだったからだ。
 これなら、精液を体内に取り込ませれば、一生逆らえなくなると言うのも本当だろう。
 素晴らしい。全く持って最高である。

「くく……大変参考になりましたよ、モンモランシー」

 くっくっくっと才人は嗤う。答えてしまったモンモランシー、そんな才人を恐怖も露わに、信じられないと茫然として見つめるだけだった。

「さ、質問はコイツで取りあえずはお終いだ。あとでまたじっくりとすることにして、頼み事のほうを説明していくぜ?」

 ニヤリと笑って才人は進める。ギーシュとの関係を確認するのは、今後のための参考資料にすぎない。目的とは違うのだ。

「くく……信じられないって顔してるな? ま、もっともな話だが今は関係がない。モンモランシーには頼みがある。素直にうなずいてくれると嬉しいんだけどな?」

 目的はモンモランシーを支配することである。支配して、奴隷の一人に加えることである。

「“モンモランシー、オマエには俺の奴隷となってもらう。ルイズ同様、ちんぽの使い魔となってもらう。俺のちんぽに忠誠のキスでもしてもらおうか”」

 そうやって、モンモランシーへと説明する。何故、ルイズの部屋へと招き入れたか、説明と同時に運命を突き付ける。

 おおぅ! ルイズの時とはまた違った反応だぜ! 同じ睨まれるでもずいぶんと違うもんだ! 悔しさと恥ずかしさが混じり合ってるって感じだな! くく……さあ、始まりだぜ? これからその表情をどう変えてくれるんだ? モンモランシー?

 嗤いながらルイズへと視線を向けた。青褪めながら一連のやり取りを見届け、申し訳なさげな視線をモンモランシーへと送っていたルイズだったが、合図を貰うと生唾を飲み込んでコクリとうなずく。そしてその手をブラウスのボタンへと伸ばしていく。

「さて、それじゃあ最初の頼みだ。“モンモランシー、俺の服をその手で脱がしてくれ。丁寧に頼むぜ? んで、脱がしたら元の位置に戻って、それから直立不動に指示を待ってくれるとありがたいかな?”」

 あまりの内容にモンモランシーは信じられない。最初は裸を鑑賞されるくらいだと思っていたが、雲行きの怪しさから貞操を奪われるのではないかと覚悟した。ところがだ、とてもではないがそれどころの話ではなかったのだ。

 っこ、この平民……わたしに奴隷になれですって? そ、そして、お、おちんぽの使い魔になって! あげくは、キ、キスをしなさいですってぇっ!?

 とてつもない怒りに羞恥も忘れて睨み付けた。そんなモンモランシーに才人はニヤリと笑い、ルイズへと顎をしゃくって合図を送る。ハッとルイズへと視線を向けるモンモランシー。そこには制服のボタンへと、躊躇いなく手を掛けているルイズがいた。

 ル、ルイズ! っあ、あなた、この平民の奴隷になってるって言うの? ご主人様ってどういうことなの? お、おちんぽの使い魔になってるっておっしゃるの!?

 ルイズの行動に驚愕する。だが、一番信じられないのはそれではない。ふらふらと、一歩一歩、確実に才人へと近づいていく、その自分の両足こそが、モンモランシーには理解できなかった。

「“止まれ”。くくっ、モンモランシー、脱がすときに何か一言ないのか? 今から脱がせますわ、とか何か一言あってしかるべきじゃないか? 貴族ってのはその程度の気遣いも出来ないってか?」

 くっくっくと才人が嗤う。

「っ……こ、この平民! い、一体どんな薬を飲ませたのよっ! っこの卑怯ものっ!」

 このモンモランシーの言葉に才人は驚いた。まじまじとモンモランシーを見つめてしまう。

 なるほど、言われてみればその通りだ。リーヴスラシルなんて知らないのだし、お茶か、あるいはスコーンかに何か仕込まれたと勘違いして当たり前だった。ファンタジーなこのハルキゲニアの世界、もしかしたらそんな薬もあるかもしれない。
 自然な流れにまかせ、警戒心を解いてから会話に参加する。その小道具として用意したお茶でしかなかったので、モンモランシーの指摘は意外であり、また同時に納得できた。

「っ……くくっ……モンモランシー、何を勘違いしてるのか知らないけどさ、俺はお茶に何の細工もしてないぜ?」

「!っ…う、嘘おっしゃい! それなら何でわたしの身体が勝手に動くのよ? ルイズにだって何かしたんでしょう? それで何か弱みを握って脅迫しているんでしょう? っこの恥知らずな平民! 覚えてらっしゃい! わたしはそんな脅しになんて絶対に屈しないわ!」

 なるほど、なるほどと、才人は感心する。そんな風に勘違いしていれば、この強気ぶりは良く理解できる。怯えよりも、屈辱よりも、羞恥よりも、怒りと復讐心が勝っているのだろう。
 ルイズを生かしているのだから朝になれば解放されると信じているのだろうし、そうなればその足で才人の告発にでも動こうと思っているのだろう。

「まあ、予想とは違ったが一言は貰ったしな。“続きを始めてくれ”」

「っくううっ……!っお、覚えてらっしゃい! 薬さえ切れれば絶対に思い知らせてやるわ! だから覚えていらっしゃいっ!」

 だから才人はその勘違いを利用することにした。

「ああ、覚えておくからさ、丁寧に頼むぜ? で、明日になったらなんとでもしてくれ。まあ、出来るもんならだけどな?」

「っくぅ……!っお、覚えておきなさいっ、卑怯者!」

 思いつく限りの罵声を浴びせ続け、同時に才人の服をモンモランシーは脱がせていく。言葉とは違ってその手つきは気配りが届いている。それが忌々しく、悔しくて悔しくて堪らない。

 っこの平民絶対に殺してやるわ! 明日を覚えていらっしゃいよ!

 精一杯の憎しみを込めながら才人を睨み付ける。それを才人はニヤニヤと受け流し、モンモランシーのさせるがままに状況を楽しんだ。

 くく……最後のネタばらしでモンモランシーはどんな表情を見せてくれる? 今から楽しみで楽しみで、ますますおっ勃ちそうだせ……。

 モンモランシーは怒りもあらわにパーカーを脱がせ、シャツを脱がす。その罵声は相変わらずで、それが才人には心地いい。
 怒鳴ったりするなと一言命じれば、モンモランシーは黙らざるを得なくなる。だがそんな野暮な真似がどうして出来る?

「っぐぅぅっ……! ひっ、ひいぃいぃぃい……っ!」

 そうして罵声を浴びせながらモンモランシーは服を脱がせていく。だがズボンへと手を伸ばした時、あまりのおぞましさと恐怖から悲鳴をあげることになった。

「ん? どうしたんだモンモランシー。まだ途中だぜ?」

 ルイズに比べればモンモランシ―とて男というものを知っている。耳年増にいろいろと知識があって、勃起している肉棒がどういうものか聞き及んではいた。

「っふ、ふんっ……ちゃんと脱がしてるでしょ! これで満足なんでしょ! ただちょっと驚いただけじゃないのよ! っこの平民!」

「そいつは失礼、悪かったな。構わず続けてくれ」

「っ…………」

 だがやはり見ると聞くとでは大違いであった。ジッパーを下ろしてパンツが剥きだしとなった時から、その盛り上がりに嫌悪感から身が震えたというのに、ズボンを下ろし、さあいよいよとパンツに手を掛けた。
 そうしたらだ。ボロンと反り返った肉棒が眼前に現れたのだから、モンモランシーとしては堪ったものではなかった。

 っ……こ、コココレにキスしろって言うの? 冗談じゃないわよっ! そんな事するわけないでしょっ!

 才人の服をすべて脱がせたモンモランシーは部屋の中央へと戻っていく。直立不動の体勢へと身体が動いてしまう。視線で殺せるものなら殺してやりたいと言わんばかりに、精一杯の憎しみを込めて才人を睨み付ける。

 ほう……まだ心が折れてないって感じだな。くく…大変結構。やっぱ金髪縦ロールのお嬢様ってのはこうでなくっちゃいけないよなぁ。くく…この調子をいつまで保てる? モンモランシーさんよ?

 ニヤニヤと才人は嗤う。モンモランシーは憎々しげに睨み付けてくる。それが楽しくて楽しくて、期待感だけで射精してしまいそうである。ルイズに続く第二の獲物。それをいよいよ奴隷にすべく、才人は始める。「ルイズ」と声を掛け、顎をしゃくって見せた。

 その合図によってルイズは動いた。モンモランシーのもとへと歩いていく。
 
「さ、モンモランシー。“ルイズの指示に従ってくれ”いろいろ奴隷としての作法を教えてもらうんだな」

 コクリとうなずいたルイズは「ごめんね、モンモランシー。ご主人様のご命令には逆らえないの……」と申し訳なさげに声を掛けた。本当に申し訳なく思っているのだ。
 逆らえないのは本当だが、そんなことが言い訳になるはずがない。これからすること、これからさせることを考えると、モンモランシーはルイズを恨むようになるだろう。

 それでもルイズに道はない。命令通りに動くしかない。

「……いい? 今からモンモランシーはご主人様のおちんぽにキスするの。精液とお小水が出る穴があるのがわかるでしょ? その先端にモンモランシーはキスするの。深い忠誠の証として息の続く限りキスするの」

 悲しみを堪えてルイズは話す。すると才人を睨み付けるのに集中していたモンモランシーだが、身体はアドバイスを聞こうと自然に動く。それが忌々しく、ルイズに何を言わせているんだと、深い同情と才人に対しての怒りが湧き上がってくるのを感じる。

「!……ル、ルイズ、それは、一体どういうことなの?」

 だがそれは驚愕へと塗り替えられることになった。

 ルイズは全裸であった。それはいい。予想出来ていたことだ。背後に衣擦れの音が聞こえていたから全裸であろうと思っていた。
 何しろ自分自身が全裸に剥かれ、才人も服を脱いでいるのだから、ルイズもそうであろうと思っていた。

「……答えて、ルイズ。股間のその印しは一体何? そんなものまでこの平民につけられてしまったの?」

 首輪もいい。見せつけられ、ルイズが手に持っていったのだから予想出来た。だが、股間にある服従のルーンは予想出来るはずもなかった。こんなことまでされていたんだと、モンモランシーの心に改めて怒りが湧き上がる。
 ルイズは何も答えず、ただ悲しそうに顔を伏せるのみだった。

 ……ごめんね、モンモランシー……

 何故なら答えようとした瞬間、ニヤニヤと嗤いながら首を振るのが視界に入ってしまったからである。その意図は明らかだった。才人は「予定変更だ、ネタばらしは最後にするぞ」と言っているのがルイズにはわかった。
 だから黙って顔を伏せるよりなかったのだ。

「っルイズ! 答えなさいよ! っ……この男にやられたんでしょ? 他に何をされたの? ねっ、ねぇ、答えてよ。答えて頂戴よルイズ! 答えてよ!」

 ……くく…まっ裸に直立して首だけ傾けててもなぁ、説得力なんてないと思うぜ? せめて服を着て肩を揺さぶるくらいしないとな、マヌケなだけだと俺は思うね。

 モンモランシーは必死だった。激高して問いただしたのだが、話すうちに自分もそうなってしまうかもと、そう思い当たってしまったのだ。もしそうなってしまえば、憎むべき才人を死刑台に送ったところで気が晴れるはずもない。取り返しのつかないことになってしまう。

 処女を失うならまだしも、股間に恥ずかしいマークなど入れられては生涯他人の前で裸になれなくなる。そうなると結婚も不可能になってしまうだろう。
もし、もしもだ。自分がそんな目にあってしまったらどうなってしまう?

「答えなさいルイズ! どうしてそんなことになってるの! いっ、いつやられたのよ! ね、ねぇっ! 答えて頂戴よ! ねえったら、ルイズ!」

 モンモランシ家は取り潰しとなってしまうかもしれない。何故ならモンモランシーは一人娘であり、よって総領娘なのだ。どうしたって婿を取らないといけないのに、股間に恥ずかしいマークなどあれば結婚など不可能になってしまう。だからモンモランシーは必死になる。泣きそうな顔になってルイズに問い質すのだ。

 ……拙いな。心が折れちまうか? 

 そんなモンモランシーに才人は予定を変更することにした。まだ心が折れてもらっては困る。

 そう、せめて儀式までは強い心でいてもらいたい。だから「モンモランシー、答えたくないってのを無理に聞き出そうとするのは良くないと思うぜ? それとだ、多分だがモンモランシーはルイズみたいにはならんと思うから安心しろ」と笑って見せた。

 その挑発にモンモランシーは憎悪の対象に目をむける。憎々しげに睨み付け、そんな態度に安心した才人は「ルイズ」と声を掛ける。そのまま進めるように促した。まだまだ始まったばかりなのだ。

「!っ……いい? モンモランシー。それが終わったらおちんぽをしゃぶらせて貰って、出された精液を頂くの。いい? 一滴残らず頂くようにするのよ? それがあたし達みたいな奴隷の務めなの」

 あまりの内容に茫然としてしまう。それをやれというのか? 貴族であるのに平民にフェラチオをし、その精液を一滴残らず飲み干せと? それが奴隷であることの務めであると?

 聞いていくうちにモンモランシーはルイズにも怒りを抱くようになってきた。脅迫されて言わされているのだろうがあんまりな内容だった。苦々しくルイズを睨み付けるより、感情を抑える術がないと、モンモランシーは思わざるをえなくなっていた。

 ルイズは続ける。説明はまだ半ばなのだ。

「それが終わったらおまんこに入れて頂いて、満足して貰って、そのまま出して頂くわ。そして……それが終わったらお尻にも入れて頂くの。満足して貰って、そのまま出して頂く。そうすればお終い。……モンモランシーは眠る事が許されるから……」

「っルイズ。っあ、あなた、何を言ってるかわかってるの? それを今からわたしにやれって言ってるの? っあ、あなた、正気で言ってるの?」

 モンモランシーは声が震えるのがわかった。考えたこともない屈辱である。処女を失うばかりか中出しも許し、あまつさえアナルも犯されると言っているのだ。いくら脅迫されて逆らえないとはいえ、そこまでするのに協力するとは一体何を考えているのか!
 もうこうなってはルイズとて憎しみの対象である。憐れみを覚えていたのだが、もうこうなっては関係がないと、震える声でルイズを問い詰める。だが、更にルイズは続けた。

「それから……モンモランシーは初めてよね? 準備を手伝うように言われているから協力して欲しいの……」

「っ、ル、ルイズ……。きょ、協力って、何のこと、かしら?」

 思い至る節はある。嫌な予感はある。だがそこまではすまいと、一縷の望みを賭けてモンモランシーは問いただした。辛そうな表情をしながらもルイズは質問に答える。

「……初めては痛いわ、モンモランシー。ご主人様から言われてるの。……おまんことお尻を揉みほぐして、舐めて濡らすようにって。モンモランシーには愛撫しやすいように協力して欲しいの」

「っっル、ルイズッ!!」

 もうモンモランシーは限界だった。まさかと思ったが本当にそうであるとは信じられなかった。もうルイズは身も心も奴隷になってしまっている。もうこうなってはルイズは同情すべき存在ではない。もう憎むべき才人と同類の人間のクズだと思った。

「……ルイズ、正面に来て顔を見せてもらえる? わ、わたしは動けないし、ルイズに来て、貰うしかないから……」

 怒りを抑えた低い声でモンモランシーは話す。ルイズは黙ったままに正面へと回り、「これでいいかしら? モンモランシー」と顔をあげた。どうなるかは予想がついたが、甘んじて受けなければならない。そう思ったのだ。

 モンモランシーは涙を浮かべながら睨み付ける。そして――「っこの裏切り者っ!」と叫び、そのままルイズの顔へと唾を吐きかけた。

「…………」

 つつっ……とルイズの頬から唾液が垂れる。ルイズは黙ったままに受け入れた。悲しいが仕方がないと思う。悔しいと思わないのも当然だと思う。ただただ、黙って受け入れるしかないではないか。
 惚れ薬を作りたいからと騙して部屋に招き、才人の言うとおりに行動しているのだ。悲しいが受け入れなくてはならない。ルイズはそう思ってモンモランシーからの侮蔑を受け入れた。

「くく……ルイズ、まだ説明は済んでなかったぜ? フェラの指導も任せたはずだ。ソイツも説明しとかなくっちゃあな。それとだ、儀式の文句も説明しとかないとな?」

 その言葉にモンモランシーはキッと才人を睨み付ける。元凶はこの男なのだ。何としても復讐してやると、モンモランシーは固く、固く、心に誓う。

 殺してやる! 殺してやる! 絶対にこの平民を殺してやるっ!

 才人はニヤニヤと嗤うばかりだ。こうした展開こそを期待していたのだ! 下半身に熱が集まり、肉棒がぴくぴく蠢いているのを才人は意識した。

「さ、ルイズ、教えてやれ。どうやればいいか教えてやるんだ」

「!っ……モンモランシー。今から言う事を覚えて。……いい? “我が名はモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。五つの力を司るペンダゴン。このおちんぽのために生き、おちんぽのためなら何でもし、おちんぽのことだけ考える。我はおちんぽの使い魔となる”」

「っ…………」

「……言ってみて。それで言ったあとにおちんぽにキスするの。モンモランシー、言ってみて」

 そんな恥知らずな真似が出来るわけがない。ぼやける瞳でモンモランシーはルイズを睨んだ。だが

「っ…ぅ…わ、我が名はモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシー。いっ、五つの力を司るペンダゴン。ぅ…このおちんぽのために生き、おちんぽのためなら何でもし、おちんぽのことだけ考える。わ、我はおちんぽの使い魔となる……」

 どうしてかはわからない。舌を噛み切ってでも言いたくないのに、モンモランシーは屈辱の誓いを口にする。ほっと安心したルイズは「ご主人様」と才人を見上げた。モンモランシーはそんな二人を憎々しげに睨み付けるしかない。
 もう、罵倒するのに口を広げようとすれば、悔しさのあまりぼろぼろと涙が止まらないとわかってしまったのだ。それがモンモランシーに残った最後のプライドだった。

 それが才人には心地よい。

 もう頃合いだろうと考えた。ルイズに向かって「じゃあ始めるか」と呟く。この屈辱と憎悪がピークになった、今この時こそが儀式を始めるに相応しい。これ以上の時間を置くと、何かの拍子でモンモランシーの心が折れてしまうかもしれないのだ。

「じゃ、モンモランシー。始めるぞ? いいか、“まずはちんぽに対して土下座しろ。んで身を乗り出して誓いながら口だけ使ってキス。それが終わったらルイズの指示に従ってフェラだ。”満足出来たら出してやるし、そうなればモンモランシーは晴れてちんぽの使い魔になれるって寸法だ。是非とも頑張ってくれ!」

 ルイズも通った道ではある。だが、そんなことは知らないし、知っていたとしても慰められることなどないだろう。才人を睨み付けるモンモランシーはふらふらとした足取りで足元へとたどり着き、正座となって、その状態で再度、憎むべき敵を睨み付ける。
 鷹揚に才人がうなずいたのを合図として平伏した。

「わ、我が名はモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。五つの力を司るペンダゴン。こ、このおちんぽのために生き、おちんぽのためなら何でもし、おちんぽのことだけ考える。っ我はおちんぽの使い魔となる……」

 膝立ちでにじり寄るモンモランシーは身を乗り出し、屈辱の誓いを口にし、肉棒へと長い長いキスを施す。 

 っうっぅうぅぅ……くうっ……! っく、くさいっ! き、気持ち悪いっ! っっ悔しいっ! 何で言いなりになっちゃうのよ! そんな薬なんて聞いたこともないのにっ! どこでこの平民は見つけてきたのよぉ!

 頭をあげると石の床にはわずかな沁みがあった。堪えきれない涙、それがこぼれてしまったのだろう。だがこれで終わったわけではない。これは屈辱の始まりに過ぎないのだ。

「ルイズ」

「わかってるわ、サイト。……モンモランシー、おしゃぶりも初めてよね? わたしが指示するから、その通りにやって頂戴」

 傷心であろうモンモランシーを少しでも慰めようと、その両肩を優しく抱きしめる。そんなルイズがモンモランシーには憎くて憎くて堪らない。
 悪魔の手先となっているのに、優しい振りをするなどなんという偽善者だろうか。それならば自分がどうなろうとも、才人を告発すればいいではないか。いや、今すぐにも、そのまま他の部屋へと駆けこんで助けを求めればいいのだ。
 そうすれば自分は救われると言うのに、どんな弱みを握られているか知らないが、何を躊躇っていると言うのか。

「じゃあね、まずはおちんぽを優しく握って擦ってみて。カウパーを手に取って、それで手のひらをぬるぬるにするの。そうやってしこしこして、馴染んだと思ったら竿に舌を這わせる。頑張って、モンモランシー」

 そんなモンモランシーの内心にルイズは気付けない。いや、気付かない振りをする。自分だってそうだったのだから、その屈辱や嫌悪、羞恥に悲哀。そんなことはよくわかっている。
 それでも――ルイズとしては選択肢がないのだ。恨まれているのは理解しているが、偽善だとはよくわかっているが、どうしたって慰めたいのだ。

 モンモランシーは才人の肉棒を手に取って舌を這わせる。

「……そう、その調子よ、モンモランシー。次はね、おちんぽの根本に細かく何度もキスしていくの。……そう、そんな感じ。…そしたらその周辺を舐めまわして……そう、そのまま下に降りていくの。そしたら玉袋を口に入れて転がしてみて。優しく、優しくよ。絶対に噛んだりしないように口を大きく開けて、唇で閉じるような感じ……そう、上手だわ、モンモランシー。そのまま舌を使って転がしてみて……」

 口の中が柔らかい皮で一杯となった。嫌悪感と生臭い臭いに吐き気を堪えるのに必死だった。

「上手よ、モンモランシー。一度口から離して、舌先だけで竿を舐めて。何回も往復させるの。……そう、そんな感じ。凄いわモンモランシー。じゃあそろそろおちんぽを咥えてみて。鼻でしか呼吸できなくなるから気を付けてね」

 モンモランシーは肉棒を咥える。鼻でしか呼吸が出来ず、息苦しさには不快極まりない悪臭が付きまとう。

 っうっうげぇえぇぇえぇ……きもぢわるいぃぃぃ……! っぐ、ぐさいしねちゃねちゃしてるのぉおぉほぉぉ……! こんあのもういあよぉおぉ……!

 ルイズの指示に従うモンモランシー。例えようのない不快感と嫌悪感にもう限界だった。それでも身体は自分の意志を裏切ってしまう。どうしても肉棒から離れたいと思っているのに、逆に舌先で追いかけてしまう。顎が痛くて閉じようとしたいのに、それどころか肉棒を奥に奥にと咥えようとしていく。

 モンモランシーは望まないフェラチオに熱中させられる。ぐっぽぐっぽと唇を往復させ、丸めた舌先を尿道口へとほじくり入れる。エラの裏から恥垢を絡め取り、それをそのまま咀嚼して味わう。息継ぎに休む時でも、手コキによって肉棒を刺激しなければならなかった。

「……サイト、初めてだしこのくらいで許してあげない? このままだと吐いちゃうかもしれないし……」

 限界と見たルイズが才人に提案した。今の才人は自由自在なのだ。まだまだ耐えることが出来るだろう。でも、それだとモンモランシーの限界が先に来る。まだ先は長いのだし、そろそろ許してあげたいと思ったのだ。

「……まあそうかもしれんな。それならどうするか……」

 才人はモンモランシーの口からぐぽっと肉棒を抜いた。確かに先は長い。ここで吐かせてしまえばモンモランシーの心が折れてしまうかもしれない。

「ふむ……よし、じゃあ手加減してやるとするか。“モンモランシー、呼吸が整ったら口を大きく開いて俺の目を見ろ。んで、そのまま出されるのを待って飲めるだけ全部飲め”」

 だから才人は手加減する事にした。確かにイマラチオで出したりしたら、おそらくは堪えきれずに吐いてしまうだろう。それならばと、モンモランシーの口を便器に見立てて射精しようと思い立つ。口中で咥え、舌先だけのテクニックで追い込む。それだけの技量がモンモランシーにはないのだからこれしかない。

「っ……げええっほっっ……はぁ、はぁ………っじょ、冗談は止めなさいよっ! 何考えてるのよあなたっ!っはぁ、はぁ……っ」

 怒りをあらわに抗議する。だが才人はにやにやしながら笑うだけ。ルイズは悲しそうな顔をするだけだった。

「っう、うそ……」

 呼吸が平静となってきたモンモランシーの口が開いていく。ぺたんと尻餅をついたままに大きく口を広げ、背筋を伸ばし、才人の顔を仰ぎ見る体勢となる。ニヤリと嗤った才人は肉棒を一擦り、二擦り……

「よーし、そのままだ。そのまま待ってろ」

 狙いを定めて肉棒をこする。どぴゅるるるるるるるっっ! とモンモランシーの口を目がけて射精した。

 おう! 飲んでるぜ? 飲んでるぜ、モンモランシー! そんなに慌てると…あらら、案の定だったな。くくっ…お疲れさん、モンモランシー。これでちんぽの使い魔確定、だな……。
 
 才人の目にもはっきりと映る。モンモランシーの喉が鳴る。ごくりごくりと喉が鳴る。モンモランシーは才人の精液を、確かに体内へと取り込んでいく。
 そして――結局は生臭さと不快感に耐えきれず、モンモランシーは鼻から精液を吹き出す羽目となった。

「ぐぇほほほおおっっ…げほっ、げほっ…かはっっ…ぅけほっ…っ!」

 えずき、飲みきれなかった精液を吐き散らす。苦しみで涙を湛えるモンモランシー。けほっ、けほっと喉に張り付く不快な塊を吐きだそうとする。ルイズはモンモランシーの背中を何度も何度もさすってあげる。その表情は申し訳なさと情けなさに歪んでいる。

「ルイズ」

「……わかってるわ、サイト」

 そう、まだ終わっていないのだ。これは単なる儀式にすぎない。本番はこれからなのである。合図を送られたルイズがクローゼットへと駆けだす。

「くく……おめでとう、モンモランシー。これでオマエも俺の奴隷になれた。立派なちんぽの使い魔だよ……」

 床に手を突き苦しんでいるモンモランシーを見おろす。ようやく呼吸が落ち着いたモンモランシーはそんな才人をキッと睨み付けてくる。憎悪に溢れた顔である。だが、そんな顔をされて怖いわけがない。

 くっくっくっ……まあ手加減してやるって言ったしな、舐めとらせるのは勘弁してやる。せっかく強気な態度を取ってくれてるんだしな、心が折れても困るってもんだ……。
 
 何故ならモンモランシーの顔は口の回りを中心に精液でドロドロ。鼻から精液を垂らし、口元からも糸が引いているのだ。怖いわけがないであろう。

「……サイト、モンモランシーの顔を拭いてもいい?」

「ん? ああ、かまわん。拭いてやれ。それからモンモランシー。“ルイズの指示に従え。逆らおうとするな。ベッドに大の字になって指示を待つんだ”」

「大丈夫? モンモランシー」と気遣いながら、ルイズは顔を拭いていく。涙を拭かれ、精液を拭かれ、気遣われているのは痛いほどわかったモンモランシーだが、感謝したいとは全く思わない。

 っルイズ! あなただって同罪なんだからね! 明日になって解放された時を見てなさい! 絶対に復讐してやるわ! っっ覚えておきなさい!

 ルイズの肩を借りながら歩く。ベッドへと歩いていく。ベッドまでいくと、身体を投げ出して大の字となる。どうせ身体が思い通りにならないのはわかっているのだ。せめてもの意地として、モンモランシーは自らの意志で大の字となる。
 目を伏せるルイズ、街で購入してきたロープで括り付けていった。


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