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No.27351の一覧
[0] キスから始まる鬼畜なストーリー【ゼロ魔・鬼畜】[通りすがり……](2011/04/22 15:47)
[1] 異世界召喚[通りすがり……](2011/10/10 19:53)
[2] 反逆への道[通りすがり……](2011/04/23 10:43)
[3] 新しい関係[通りすがり……](2011/10/23 19:29)
[4] 最初の一夜[通りすがり……](2011/06/03 20:52)
[5] とある一日の風景[通りすがり……](2011/04/29 14:12)
[6] 第四の使い魔[通りすがり……](2011/05/02 19:47)
[7] 頼れる相棒[通りすがり……](2011/05/03 19:44)
[8] 最初の仕事[通りすがり……](2011/05/04 22:09)
[9] 強い心[通りすがり……](2011/05/06 10:27)
[10] 微熱の誘惑[通りすがり……](2011/05/07 20:31)
[11] 微熱から情熱へと[通りすがり……](2011/05/08 19:39)
[12] 情熱の行方[通りすがり……](2011/05/14 13:46)
[13] 決闘[通りすがり……](2011/05/15 21:05)
[14] 決闘の結末[通りすがり……](2011/05/17 19:13)
[15] 捜索隊結成[通りすがり……](2011/05/17 19:33)
[16] 森の広場[通りすがり……](2011/05/19 20:22)
[17] 奴隷が嗤うとき[通りすがり……](2011/05/21 15:50)
[18] 土くれのフーケ[通りすがり……](2011/10/11 20:00)
[19] 新しい一日の風景[通りすがり……](2011/06/03 20:16)
[20] トリスタニアの休日[通りすがり……](2011/06/03 20:38)
[21] 重大な決意[通りすがり……](2011/06/05 22:50)
[22] 卑劣なる男[通りすがり……](2011/06/09 23:54)
[23] 決断の時[通りすがり……](2011/06/15 20:12)
[24] 薔薇の行く末[通りすがり……](2011/06/21 23:03)
[25] 絶望のオスマン[通りすがり……](2011/10/23 19:27)
[26] 学院の支配者[通りすがり……](2011/10/23 20:05)
[27] 港町ラ・ロシェールにて[通りすがり……](2011/10/29 21:28)
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[27351] トリスタニアの休日
Name: 通りすがり……◆60293ed9 ID:52126834 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/06/03 20:38
 それはフーケの事件が落着した最初の虚無の曜日の事だった。

「ねぇ、ダーリン。街まで買い物にいかない?」

「ん? 買い物? …まあ、それは良いが何を買いに行くんだ?」

 才人はキュルケにトリスタニアの街まで行こうと誘われた。取り立ててやることはないし、街まで足を運ぶのはやぶさかではない。

「えへへ~~、実はねぇ……」

 キュルケは抱きつき、その胸を押し付けながら囁いてくる。それを聞いた才人は可愛い奴だと思い、提案に乗って買い物に行く気になった。

「ん~、ただなぁ、街まで馬で三時間だろ? それならもっと早く言やあいいのによ……」

 だが今の時刻はもう直ぐお昼と言う時間だったのである。昼食を取って街に行くとなれば、帰ってくるのは夜遅くとなってしまうであろう。どうせならもっと早く言えばいいのにと、その点が才人には不満だった。
 するとキュルケは自信満々に胸を張り、「大丈夫よ、ダーリン」と言ってくる。
 実はこの時間になったのはモンモランシーとマチルダにも話を通し、スケジュールの調整に時間が掛かってしまったからだと言う。そして遅れた分を取り戻す腹案はあると言うのだ。

「……なに企んでるんだ?」

「それはお楽しみよ。中庭に降りてきて貰える?」

 悪戯っぽく笑ってくるキュルケに、才人も苦笑するしかない。言われるままに中庭へと降りていく。そして――

 ……う~ん、ちっこい。本当に同級生か? とてもじゃないがそうとは到底思えんな。

 蒼い髪に大きな杖。眼鏡を掛けた無表情な少女。才人はキュルケからタバサを紹介されたのである。

「その、よろしく。俺、平賀才人」

「……タバサ」

 なんでもタバサはキュルケの親友なのだと言う。風のトライアングルで雪風の二つ名を持ち、風竜というレアな使い魔を使役している。これに乗せて貰えば、トリスタニアの街まで一っ飛びなのだ。

 ……うむ、何というか無口だよな。ぼそっと挨拶したきり、そのあとは本を読んでこっちを振り返ろうともしねぇ……

 才人は思った。これはちょっとばかり失礼ではないだろうか? まあ友達の友達という位置づけであるし、乗せてもらう身の上ではある。
 だが、それにしたって、こちらを見ようとともしないのはあんまりではないだろうか?
 何とも失礼な奴である。奴隷にしてやるべきではないだろうか?

 ……う~ん、でもなぁ…なんていうか食指が動かないんだよな……。まあ、可愛いっていやあ可愛い。けどなぁ、多分だけどルイズよりつるぺたって有り得ないだろう? 剥いて調べようとも思わんし……
 とりあえずパスだな、パス。必要になった時に手駒にすりゃあいいか。

 しかしそんな考えは振り払った。基本的に才人はおっぱい星人なのである。つるぺたには用はない。

 キュルケの親友だと言うし、実力はあるそうだから、何かあった時は力になってくれるだろう。でも、逆に言えば取り立てて今すぐ奴隷にするべき理由もないのである。
 乗せてもらう身の上なのだ。この程度の無礼は笑って見逃してやるべきだろう。

 まっ5,6年…いやいや、年を考えれば2,3年後に期待だな。

 ロリ巨乳ででもあったならば、また話は違ったかもしれない。それなら才人は動いたかもしれない。

「それじゃ、タバサ、大人数で悪いけどさ、トリスタニアまでよろしく」

「わかった」

 だが、生憎と平原であった。そんな失礼な理由でタバサは危うく難を逃れることが出来た。この判断が後々どう影響してくるのか? それは現時点では誰にもわからないだろう。



 さて、トリスタニアの街へと出かける一行である。奴隷のうちケティは一年生で、同行するのに不自然なので却下。ルイズももう買い物を済ませているので却下。風竜の背はそんなに大きくないのである。

 一行はタバサの使い魔であるシルフィードに乗った。風竜は器用に上昇気流を掴み、200メートルほどの高さまで一気に駆け上る。そしてそのままスピードに乗って、街の入口まで運んでしまう。
 なるほど、これは凄いと思った。スピードが馬とは段違いだし、直線で来れるので、本当にあっと言う間だった。

「タバサ、ありがとうね。助かったわ」

「かまわない。日が落ちたらまた来る」

 ばっさばっさと羽ばたきをする風竜。挨拶もそこそこ、タバサは学院へと帰っていく。

「……さーて、メシはどうする? ロングビルさん、お勧めの店ってないのか?」

 タバサが消えたのを見計らった才人はニヤリと笑った。これで邪魔者がいなくなったのだ。目的を果たし、好きな買い物ができるであろう。
 だが、まずは食事である。トリスタニアの街に一番詳しいマチルダへと、お勧めの店を聞く。
 すると少し考え込んだマチルダは「そうですわね、では少し変わった店ですが」と、ある居酒屋を紹介した。
 何でも一見ただの居酒屋だが、かわいい女の子がきわどい恰好で飲み物を運んでくれるので人気のお店があるらしい。

「その…サイトさんはかわいい女の子が好きかと思いまして……」

「くく…まあ否定はしないけどな。んじゃ、そこでメシ食って、そこで作戦会議といこう」

 何とも失礼な言いぐさだが、事実であるだけに反論しづらい。かわいい女の子は大好きなのだ。
 もっとも奴隷の分際で酷い言い分である。帰ってからこの事をネタに責めてやるべきであろう。
 そんなことを思いながら、才人は裏通りへと入っていく。そして魅惑の妖精亭と言う居酒屋へと案内された。


 魅惑の妖精亭。店の雰囲気を確認した才人は思った。なるほど、かわいい女の子。きわどい恰好。ちょっと変わった店。全ての条件を満たしていた。だが

 最後の条件は必要ねーだろ! ここは二丁目じゃねーんだよ!

 才人は怒りを抑えるのに必死だった。帰ったら絶対にマチルダを責めてやろうと思った。何故なら店長が問題なのである。

 才人だってそんな店があるのは知っているし、怖いもの見たさで見てみようと思わないではない。
 しかしである。かわいい女の子の店であれはないと思った。全てが台無しになっているのである。
 考えてみて欲しい。例えば制服が人気のファミレスにでも入ったとしよう。その店長が店の真ん中で「トレビアーン」とか回ってポージングしていたらどう思う?

 その店長の名前はスカロン。黒髪をオイルで撫でつけ、ぴかぴかに輝かせ、大きく胸元の開いた紫のサテン地のシャツに、もじゃもじゃした胸毛をのぞかせているのである。
 鼻の下と見事に割れた顎に、小粋なひげをはやし、香水の香りが凄い、ガタイのいいマッチョなおかま。

 酔客の対策に男手の必要があるなら、黒服でもおいておけばいいではないか! 

 あんな生き物を見ながら、かわいい女の子と楽しくお話しが出来るわけがないと思う。はっきり言えば、メシと酒がまずくなる。客は文句を言わないのであろうか?
 ハルキゲニアの風俗は一体何を考えているのだろう。それでも店は繁盛していた。

「……まあ入っちまったもんは仕方がない。キュルケ、あの生き物が近づいて来たら燃やせ。俺が許す」

「わ、わかったわ、ダーリン」

 一気に不機嫌となった才人だが、入ってしまった以上は諦めるしかない。それにいつまでも不機嫌を引きずっていても、また仕方がないだろう。さっさと食事をして出ていくしかない。
 店にいる女の子も、なるほど、かわいいとは思う。だが、所有している奴隷に比べて勝っているとも思わない。
 今更まっとうな手段でかわいい女の子を手に入れたいとも思わないし、それにきわどい恰好なら、もっときわどい恰好を、奴隷達にやらせる事が可能なのだ。

 くっ、それでもあの生き物さえいなけりゃ楽しーんだよ! あんなことさせたい、こんなことしてやるって、楽しめるんだよ! 剥く前には剥く前の良さがあるんだよ! 
 ったく、なーにがミ・マドモワゼルだ。いいから視界から消えてくれってーの!

 何もしゃべらずに食事を進める才人だった。時折おっほほほと声がするし、女の子を鑑賞しようとすると、思い出したようにスカロンが視界に入ってくる。食事に集中するよりしょうがないのである。
 静かな怒気に当てられ、マチルダは後悔していた。普通の店に案内すれば良かったのだ。

 っでもでもっ! ご主人様ってば女の子好きじゃないのよ! 普通の店に案内して、それで代わり映えしないなとか言われたら、あたし、どーすれば良かったのよっ!

 黙々と食事を進める。早くしないと、スカロンが近づいてくるかもしれない。特にキュルケとしては冗談だとは思うが、才人が本気ならスカロンを燃やさなくてはいけない。
 喧噪のなか、ちょっとした緊張感であった。

「……ごちそーさん。いくぞ」

 最後にぐいっとワインをあおる。長居は無用と、才人はとっとと魅惑の妖精亭をあとにすることにした。



 食事をしながら作戦会議をしたかった才人だったが、それはスカロンの存在で脆くも崩れ去った。実は才人には買い物の他に大きな目的があったのだ。それは一行に加わったマチルダの存在である。
 彼女ならアンダーグラウンドに詳しいし、食事をしながら作戦会議に丁度いいと思っていたのだが、スカロンの存在で台無しになった。不機嫌にもなろうと言うものだ。
 魅惑の妖精亭を出て、裏通りを歩く。才人は黙りこくったままである。

「……マチルダ」

「!はいっ、ご主人様っ!」

 思わず「ご主人様」と呼んでしまった。才人は薄く嗤って見せる。それで、マチルダは間違えに気付いてしまった。

 ……もう、駄目だわ。……どんなお仕置きされるのかしら……

 沈み込んだ表情を見せてしまう。だが、それを気にせず才人は続けた。

「えーと、ロングビルさん。店であんまり話せなかったしさ、ここで良いから教えてくれ。
 持ち金を増やしたいんだが、大きめの勝負を受けてくれそうな賭場って知らないか? それでいて噂になりにくいのがいい。そんな賭場って知らないか?」

 何故ならここで怒鳴るわけにはいかない。ここはトリスタニアの街の中。怒鳴ったりすれば目立ってしまう。
 ならば仕方がないであろう。帰ってから、じっくりと思い知らせばいい。ニヤリと合図を送ることでそれを知らせ、今は用事が先決なのだ。

 くく…さあて、どんな罰にしましょうかね?

 一体何をされるのだろう? 絶望したマチルダだが、それを顔に出すわけにはいかない。
 少しでも失点を回復し、怒りが収まるのを待つしかない。にっこりと表情を作り直し、才人の質問に答えていく。

「……そうですわね。いくらくらいお持ちですか? それからどのくらい増やそうと思ってます?」

「えーと、キュルケ。いくらくらい用意出来る?」

 才人に問い掛けられたキュルケは答える。

「そうね、両替商にいけば3000エキューくらいなら小切手をきれるわ」

 そう、才人の目的はズバリ賭博にあった。必要がないから文無しのままでいた才人だが、この機会にある程度の金を稼いでおきたかったのである。

「ふむ…じゃあ目標は3000エキューかな。けっこうな金額だけど、受けてくれそうなところってあるか? 勝てたとして、すんなり払って、それでいて噂にならないところってあるか?」

 奴隷の金は才人の金である。だがいちいち貰うのも面倒くさい。リーヴスラシルの能力を使えば、賭博に勝つ自信があるのだ。

「……そうですね。それだけの金額ですと、受けてくれるところは限られてきますわね……」

 少し考え込んだマチルダが質問していく。才人はどんな賭博をやりたいのか? そしてどんな方法で勝つつもりでいるのか?
 それを知らないことには賭博場へは連れていけないだろう。
 だが質問され、ここで才人はハタと気付いた。地球の賭博とハルキゲニアの賭博は一緒なのであろうか?

 っくっ、だから作戦会議したかったんだよ!

「……その前に教えてくれ。ハルキゲニアではどんな賭博が出来るんだ?」

 機嫌が悪くなった才人はマチルダを睨む。マチルダは諦めた。今夜か、明日か、とにかく近いうち、お仕置きを受けるのが確定されたのだ。
 絶望しながらも、表情には出さない様に気を付ける。賭博の種類と、ルールから説明していくことにした。

「……ふむ、何というか意外っちゅうか、名前こそ違うのもあるが、俺の知ってるのと同じなんだな……」

 そうするとである。幸いなことに知っている賭博がいくつかあった。さて、そうなるとゲームを選ぶ必要がある。候補としてあげられるのはルーレット、ブラックジャック、ポーカー、クラップス。

「よし、そんじゃポーカーだな。どこに賭場がたってる?」

 そしてその中ではポーカーが望ましいと思った。次点がブラックジャックであろう。
 何故ならダイスを使うクラップスは運が全てであるし、ルーレットもそうだ。ディーラーとサシの勝負が出来、心理を操れるゲームがいい。
 何故ならポーカーならハッタリと思いこますことでレイズさせ、自滅に追い込むことができる。あるいは弱気にさせることで降りさせることができる。
 ブラックジャックもそうだが、万一数字が21になってしまう場合があるだろう。紛れを嫌い、才人はポーカーがいいことを説明した。

 ……なるほど……リーヴスラシルって便利よね。それなら万が一にも負けはないわ。

 マチルダは説明を聞いて納得した。なるほど、心配するのは勝ち負けじゃない。
 素直に負け金を払ってくれるか、あるいは今後を考えて噂にならないよう気を付けるだけである。

「では恰好の場所がありますわ。大手の賭場で、大口だと観客なしで勝負を受けてくれるところを知っています」

「よし、そんじゃそこにしよう。キュルケもそういう事だけどかまわないな?」

「もちろんよ、ダーリン。それじゃあ早くしましょ? ショッピングの時間がなくなっちゃうわ」 

 方針が決まれば行動に移すだけだった。一行は早速両替商で資金を手に入れると賭博場へと向かう。

 まっ、当たり前の結果だな。今後もこうやって資金を稼がせてもらうぜ!

 そして当たり前のように大勝したのだった。

 ここぞと言うときにレイズをし、視線を合わせて念を送った。すると相手は気付かないうちに弱気になって降りてしまうし、あるいは強気になって更にプッシュをしてくるのである。勝つことは簡単だったのだ。

 いや、ホント、便利だね。一番初めに癖をつけるように仕向けて、んでそれを忘れさせておきゃよかった。くく…勝つ金額を調整するだけの勝負なんて初めてだぜ!

 こうして才人は最悪なイカサマをし、必要な資金を調達したのである。



 首尾よく資金を調達した才人はホクホク顔だった。これでもう一つの目的も上手くいく。買い物で資金不足は辛いのである。

“ねぇ、ダーリン。ルイズには一杯下着なんかを買わせたんでしょう? あたしもダーリンの好みの下着が欲しいわ。
それとね、あたしもダーリンのものだって証が欲しいの。ルイズみたいに首輪をもらえるかしら?”

 キュルケはそう言って才人に買い物をせがんだのだった。

 モンモランシーには異論があったが、こうなってはどうしようもない。おそらくは恥ずかしい下着と、なんとも情けなくなる首輪であるが、キュルケがそうしてしまえば、もうどうしようもない。

 何故ならそうなってしまえば、才人は遠からずモンモランシーにも強要してくるだろう。その時、モンモランシーに断ると言う選択肢はないのである。
 ならば、せめて自主的に恥ずかしい下着を購入し、首輪を巻くことにし、忠誠心を表しておいたほうがマシと言うものだ。
 そうすればご褒美の対象となろうし、そうでなければもっと酷い境遇へと追い込まれるかもしれない。ケティやマチルダという前例があるのだ。決して杞憂とは思ってはいけない。
 そう思えば選択肢はなく、諦めるしかなかった。

 ……はぁ…本当、キュルケにも困ったものですわ……。いくら言っても聞かないんですもの……

 モンモランシーは恥ずかしかったが、どうしようもない。ならばと、当然の選択として己の奴隷も同じ境遇にしようと考えるしかなかった。
 キュルケも元よりそのつもりだったし、こうしてマチルダとケティも巻き込まれることになったのである。

「おっ、ここだここだ。新商品が入ってるといいな」

 才人は怪しげな店へと入っていく。そこは以前、ルイズと一緒に買い物した店であった。
 ハルキゲニアでショーツと言えば貴族御用達である。だが、流石に大通りに構えていれば、顧客である貴族は入店しづらい。そして顧客にはもう一種類の職業の人がいる。

 いや~、ハルキゲニアを舐めてたね。ブラがないってんだから大した品揃えじゃないだろって、そう高を括ってたんだが、なかなかどうして。くく…結構な品ぞろえで良かったぜ。

 そう、娼婦や、踊りを披露する類の女性。魅惑の妖精亭の妖精たちもそうかもしれないが、とにかくそんな彼女たちも顧客なのだ。
 そうなると裏通りに店を構えるに相応しいラインナップになる。それは必然だったかもしれない。
 才人が満足するレベルにまで、ハルキゲニアの下着は発達していた。

「さっ、モンモランシーにロングビルさん。そんなとこに突っ立ってないで早く入ろうぜ? ほら、キュルケなんて興味深々なんだからさ」

「そうよ、早く入りましょ? あたし、こんな店があるなんて知らなかったわ」

 マチルダはこの店がどんな店か知っている。以前変装と情報収集とで必要に迫られたことがある。それだけに気後れしてしまい、入るのを躊躇ってしまう。
 そしてモンモランシー。どんな店かは知らない。ただ顔を真っ赤に染めたマチルダの様子から想像は出来る。だから、入るのに気後れしてしまう。

 その店は路地裏の一角にあった。立派な店構えなのだが、それだけに怪しい。裏通りでポツンと一つだけ立派なのである。怪しいと、モンモランシーは思う。

「っ、そうですわね。わたしもこんな店があるなんて知りませんでしたわ」

「っわかりました。今、参ります」

 だが、この為にトリスタニアの街まで来た。そしてご主人様である才人が早くしろと促している。ならば奴隷に選択の余地は、ない。
 才人の腕に絡みつくキュルケと違い、とぼとぼとした足取りの二人。店の中へと入っていった。



 店に入ると出迎えたのは女性であった。年齢は30から35くらいであろうか?化粧が上手いので、判断するのは難しい。
 そんな見た目は20代で通じる女主人。にこにこと微笑みながら「いらっしゃいませ」と挨拶してくる。室内は清潔さを保ち、商品は綺麗に並べられて陳列されていた。
 だが窓を閉め切り、各所にランプを灯し、それが幻想的で怪しげな雰囲気を保つのに一役買っている。

「さっ、キュルケ。どんなのがいいんだ?」

「そうね~、ダーリンはどんなのがいいの? あたし、ダーリンのためならどんなのだって着けてみせちゃうわ!」

 店主に向かってニヤリと笑って見せる。すると店主はニコリと微笑み返すだけ。いかにも初対面ですよというその対応。才人は大いに満足できた。

 ……ほほう…大したもんだ。印象的な客だったから覚えているはずなんだけどな。おくびにも出しやらがねえ。
 やっぱ客商売ってのはこうじゃなきゃいけねえよな。

 もしかしたら長い付き合いになるかもしれない。ひいきにしてやろうと思った。

 女主人が「お客様、どのようなものがご入り用でしょう?」と聞いてくる。才人はどうしたものかと考え「そうだな。お勧めを持ってきてくれ」と、ウインクしながら合図を送ってみた。

「わかりました。ではお勧めを持ってまいります」

 女主人も心得ている。その合図にニコリと微笑むことで応え、どのような関係かはわからないが、一行の中で一番の権力者が誰であるかを掴んだ。
 そしてその才人は以前にもう一人と買い物をしてくれた。ならばである。

 ……うふふ……おもしろいわ。この人って貴族じゃないみたいだけど、どう考えてもこの中で一番発言力があるわよね? そうなると選んでくるのは……

 主人は倉庫へと向かい、いくつかの商品を手に取ってくる。そして「こんなのはいかがでしょう?」と、テーブルの上一杯に広げ、満面の笑顔で説明していく。

「ほっほぅ、こりゃあいい。キュルケ、どうだ? こんなのを勧めてきてくれてるぜ?」

「え? そうね。い、いいんじゃないかしら?」

「モンモランシー。それからロングビルさん。こんなのがお勧めだってさ」

「っい、いいんじゃないかしら? わたし、気に入りましたわ」

「そ、そうですね。わたしも気にいりました」

 才人は店主のセンスにうなずいた。やはり見込んだ通り、女主人は使える人物だったのである。

 ……あらあら…うふふ……やっぱり正解だったみたいね。そういうことなら遠慮なんてする必要ないわよね? うふふ…恥ずかしいの、一杯売りつけなくっちゃ!

 調子にのった女主人。心の中でガッツポーズだった。フラストレーションが貯まっていたのである。

 購買力のある貴族は恥ずかしがって無難なものしか選ばない。それどころか下手に勧めると、目をつけられる恐れさえあった。なんで貴族はこの良さがわからないんだろう?
 夜の商売の女性は自分の勧めた商品を身に着けてくれる。だが下着は衣装であり、財産であるから大事に大事に使うのである。本当にありがたい話だが、それでは商売にならない。
 だからエッチな下着が大好きな女主人。いつかこうやって思う存分に売りまくりたかったのだ。

 さあ、張り切って売っちゃうわよぉ! こんな機会、なかなかないんですもの!

 上客と見た女主人はクローズドの看板を掛け、才人たちへと集中することにした。こんな楽しいひと時を邪魔されたくない。
 もし他の客が来て、それでしらけた才人が買い物を切り上げたらどうする?
 女主人には耐えられることではない。それならこうやって集中したほうがよっぽどいい。

「ほう…こいつなんかいいな。スケスケじゃねーか。これじゃあ丸見えになっちまうんじゃねーか?」

「あらお客様。それがいいんですわ。こんなのを穿いて迫っていけば、もう男性なんてイチコロですもの!」

「くっくっく、なるほどね。じゃあコイツなんていいよな? やっぱ色は黒に限るってか?」

「いえいえ、お客様。赤でも、紫でも、様々な種類をご用意していますわ。でも、清楚な白や黄色も、これはこれでよろしいんですのよ?」

 うふふふ……、くくくく……と、才人と女主人は話し合う。すっかり二人は意気投合してしまう。

「なぁ、在庫をありったけ持ってきてくれないか? んで選んでもらっててだな、その間出来るかどうか聞きたい事があるんだよ」

「あら? どういったご注文でしょう?」

 奴隷たちは頬を引くつかせ、冷や汗を流しながらその会話を聞く。だが、それでも口に出しては興味深々と選んでいく。

「あら、これなんかいいわね」とモンモランシー。
「やだ、こんな恥ずかしいの? でもダーリンのためなら着けちゃうわ」とキュルケ。
「こんなのもありますのね……少し冒険してみようかしら?」とマチルダ。

 とにかく恥ずかしかった。それはキュルケにしても例外ではなかった。ルイズにもっと詳しく話を聞いておけばと、少し後悔してしまっていた。
 ベビードールならともかくショーツで丸見えになるまでスケスケにさせたり、あるいはその部分が開けるようになって、意図が丸わかりになる。そんなのまでは予想していなかったのである。
 もっとも両脇の二人はそれどころではなく、真っ赤な顔に恨めしげな視線となっていたが、こうなっては仕方がない。それでも、なるべくエロいの選ぶしかないのが、才人の奴隷なのだ。

「いやな、東方の文化にブラジャーってのがあるんだよ。それからレースはいいんだけどな、こういったアイデアがあってだな……」

 そんな奴隷たちにニヤリとしながらも、才人は説明を続けていく。もう、すっかりこの店が気にいっていた。
 だからブラジャーの良さを力説し、新しいアイデアを提供していく。

「あら、それってエッチですわね。踊り子の衣装なら似たモノはありますけど、それならもっとエッチになると思いますわ。
 大変そうですけど、やる価値はありそうですわね」

「だろ? そう思うよな? くく…金を出すからやってみる気はないか? んで上手くいったら儲けは折半ってことでどうだ?」

 そしてブラジャーだけでは当然ない。話は当然ショーツにも及ぶ。

 ハルキゲニアに緻密なレースを作る技術はある。ならばバタフライショーツを作れるのでは? 花や動物を刺繍で作り、それを布きれとして紐だけで結ぶアレである。
 それから紐だけで下着を作る発想もなかったらしい。何故だ? ビスチェやコルセットのように持ち上げてるのがあるではないか。ならばもう一歩進めて枠組みだけでも充分だと何故わからない?
 どうやら下着とは下着としての機能がなくてはならない、そんな常識を捨てきれなかったようだ。
 あとはサスペンダーのアイデアもいいだろう。意味のない紐のブラジャーと一体化した、肩から引っ掛けるショーツである。
 身体を動かすたびに、きゅぅっと食い込む。才人としてはそれがなんとも、ぐっと心に響いてくるのだ。これも是非とも作ってみたい。

 そう、童貞だった才人でさえそれくらいは知っていた。紙でも映像でも、それくらいは当たり前に溢れていた。

 日本がハルキゲニアに、エロの文化で負けるわけにはいかないのである。

 へぇ~、凄いわね、東方って。……うん、わたしも負けるわけにはいかないわ。もっといろいろ教えてもらわないといけないわね!

 そして女主人もまた、才人のことを気に入ってしまった。

「いいか? レースで下着を飾るんじゃなくてだな、レースで肉体を飾る下着にするんだ。同じようだが全然違うだろ? それを念頭におきゃあ、まだまだ下着はエロくなる」

「あら。言われてみればそうかもしれませんわ。まだまだその意識が足りなかったかもしれませんわ」

「ああ、そこんところが大事なんだよな。身に着けたときこそ映えるようにならなくちゃいかん!」
 
「うふふ……ではお客様、こういったアイデアはどう思いますか? いっそのことスカートに縫い付けちゃうんです。それなら今すぐにでもできますわ」

「おおっ! それはアリかもしれん! 下着のようで、実は下着じゃありませんってやつだな? スリットで結ぶんだし、案外簡単にできるかもしんねーよな!」

 背後でなんとも楽しげにされている会話だった。だが聞く方としては冷や汗を流すしかない。何しろこれから自分がどんな下着を使うことになるか、その自分の運命を決めているのである。
 そして羞恥に身悶え、それでも楽しげに選んでいく奴隷たち。とにかく恥ずかしい。とてつもなく恥ずかしい。
 だが、どこか楽しかった奴隷たち。ルイズもこんな気持ちだったのだろうか? 
 そう思い、身に着けたところを想像し、きゃあきゃあ笑いながら恥ずかしい下着を選んでいく。

「いや~、また寄らせてもらうからさ。そん時また話をしようぜ」

「もちろんです。是非ともまたお寄りください」

 最後に才人は女主人とがっちりと握手を交わした。同好の士として認めあったのである。
 それにキュルケ、モンモランシー、マチルダに加え、ルイズとケティへのお土産を合わせて5人分ものビックビジネス。
 大量に購入してもらい、しかも楽しい話でいくつものアイデアを提供してもらった。

「ありがとうございました。またのご来店お待ちしております」との挨拶。それは心からのものであった。



 怪しげな衣料店。いや、ランジェリーショップでいいだろう。そこから出てきた時、三人は羞恥で真っ赤な顔となっていた。無理もないと言えるだろう。
 何故なら興味深々ということは色違いを求めたり、違うデザインがないかと聞いたりしないといけなかった。
 すると調子にのっている女主人である。でしたら……と勧めてくるのはもっと恥ずかしいシロモノだったのだ。
 そしてそれを「あら、いいわね」と答えていかなくてはならなかったのだ。恥ずかしいったりゃありゃしない。

 才人はそんな三人を眺めて満足していた。

 彼女たちはランジェリーショップの買い物で羞恥に顔を紅潮させていた。これはこれで楽しい。だがこのまま羞恥心を忘れないようになるか、それとも平気なようになるか。その行く末が楽しみになったのだ。
 一体どんな風に堕としていく? 例えば羞恥心の麻痺した奴隷にするか、それとも普段は清楚な仮面をかぶらせるか。いずれにしても同じパターンで仕上げては面白くないのである。

 くっくっくっ、適性を見極めて、相応しい方向へ導いてやらなくっちゃあな。 

 肉棒のためなら何でもする。それは当たり前のことであるが、その奴隷たちには変化をつけたいところだ。
 シエスタとの一件があって、その思いは強くなった。どんなことでもこなせるのは当たり前として、能力によらないご褒美を作りたい。
 例えばケティなら中出しじゃなくて外出しにするとか、キュルケをフェラチオ中毒に仕上げてから、後始末を他の奴隷にやらせるとかだ。
 そうなれば次こそはと、奴隷は一層働いてくれるだろう。

「さっ、次は首輪だな。んと、ロングビルさん。ペットショップってどこだ?」

「あ、はい。それはブルドンネ街にあります。ただ……」

 マチルダは辺りを見回し、人気がないのを確認した。一気に噂になって広がってしまい、不測の事態が起こりかねない。

「ご主人様。ペットショップで便女に首輪を巻いてみろとか言われますか? キュルケお姉様やモンモランシーお姉様にもそう言われますか?
 もしもそうならマントを外したほうがいいと思うんです」

 考えすぎかもしれないが、聞いておかなければならないと思った。いや、勝手に口から出てしまった。
 マチルダとしてはふと拙いかもしれないと思い当たっただけなのだが、気が付けば自然に進言していたのである。

 何故なら普通に買い物するつもりならそれでいい。だが、もしもその場で着けてみろと言われたら、一体どうすればいいのだろう?
 自分はいい。マントをつけていないから貴族でないとわかる。だが、キュルケとモンモランシーは拙い。
 貴族が平民と買い物し、そして貴族の方が首輪を巻こうとする。それは例えそれが冗談だったにしろ問題になる。だからそれは拙いのである。

 忠告を受けた才人はむぅと考え込んだ。

 ……なるほど…言われてみりゃそうだ。考えなしに着けてみろって言ってたかもしれん。って言うか、言われてみりゃそうさせたくなってきちまったよな?

 だが、結論は直ぐに出た。街で調子に乗りすぎてはいけないのだ。

「心配すんな。お披露目は帰ってからにするさ。いちいちマントを外させるのも面倒くさいからな」

 そして何食わぬ顔をしながら会話を楽しみ、ほくそ笑んでいればいいだけの話である。つまりこれまでと同じに振る舞うしかないということだ。
 才人としてもそれはそれで楽しいから、それくらいは我慢できるのである。

「さ、そういうわけだから早く行こう。愚図愚図してたらタバサがきちまう。それまでに買い物しとかないといけないしな」

 才人はニコリと微笑む。

「あとマチルダ。いいアドバイスだった。あとで褒美をやるから一緒に買いに行くぞ?」

「あ、はい。ありがとうございます、ご主人様!」

 その言葉にマチルダは喜んだ。どうやら才人は楽しい買い物で機嫌が直ったみたいなのだ。これなら、もしかしたらお仕置きを受けずに済むのでは?
 何しろ褒美だと言って何かを買ってくれるほどだ。これだけ機嫌が直ったのなら、お仕置きだってなくなるのに違いない。

 報われたと、そんな風に思ったマチルダである。その表情がパッと明るくなった。

「……ねぇ、ダーリン。あたしにはご褒美はないの?」

「そうですわ。わたしにご褒美はありませんの?」

 だがそうなると納まらないのがキュルケとモンモランシーだった。何といってもマチルダはこの二人の奴隷でもある。
 その奴隷にご褒美が行くのに、自分には何もないとなれば、それは当然納得がいかない。特にキュルケにとってはそうだった。
 何故ならこの買い物を提案したのは自分なのだ。ご褒美を貰えて当たり前だと思った。

 そんな不満を表す二人に才人は苦笑する。だが説明してやらないと納得しないだろう。

「まあそう言うなって。今回一番のお手柄はマチルダだろ? 3000エキューも稼げたのは良い賭場を紹介してくれたマチルダのお蔭だしな」

 二人はじっと聞き入っているので、才人は続けた。

「それからキュルケにはタバサとの待ち合わせ場所で待機して欲しいんだよ。大丈夫だとは思うけど、わざわざ迎えに来てくれるんだ。待たせるのも失礼だしな。
 それとモンモランシー。オマエは今回、特に何もなかっただろ? 褒美がなくて当たり前だっつーの!」
 
 そんな風に苦笑しながら言われれば、二人としても納得するしかないだろう。確かにその通りではある。

「っでもダーリン。賭場のお金を出したのはあたしよ? ねぇ、ダーリン。やっぱりあたしにも何か買ってもらえないの? モンモランシーには悪いけど、出迎えは一人いればいいと思うんだけど……」

 だが、それでもキュルケは食い下がった。何しろ形に残るご褒美なのだ。諦めようとして、やっぱり諦めきれなかったのである。
 なんとか翻意してもらえないかと、じいっと、上目使いにねだってみる。

「くく…そんな目をしても駄目だって。いずれはキュルケにもプレゼントしてやるからさ。今回は諦めろ」

 だが、才人は笑いながらその要望を却下する。こうなると奴隷の身の上であった。これ以上のおねだりは許されないだろう。

 っなんで便女がもらえて、あたしがもらえないのよっ!

 悔しさは残る。ついついマチルダを睨んでしまう。

 っそ、そんな目をされても……わたしにはどうにもなりませんわ。キュルケお姉様……。

 マチルダは居心地が悪かった。だが、どうしようもないのである。くれると言っているのを、断ると言う選択肢はない。困った顔をして、身をすくめるしかない。
 才人に「いりませんわ」とでも言ったら、せっかくの好意を無駄にするのかと思われてしまう。そうなると下手をしたら、怒られてしまうでは済まないだろう。

「さ、そういうわけだ。けっこう時間を食っちまったしな。愚図愚図してたら本当に待たせちまう」

 才人はそんな争いを纏める。こんなところで争っている場合ではないのである。何故ならカジノに行き、ランジェリーショップで時間を使ってしまった。
 そしてこれからペットショップに行き、それからマチルダへの褒美を買いに行くとなれば、本当に余裕はない。

「さあ、行くぞ?」と才人が言い、歩き出した。それでしぶしぶとだが、キュルケも矛を収めることにする。ご主人様が行くのに、遅れるわけにはいかないのだ。

 ……ふぅ……しょうがないわよね。何か大きな手柄を立てて、それでその時にお願いするしかないわよね……。

 こうして一行はペットショップに向かい、買い物をすることになった。雌犬を飼うのだと店員に説明し、各々気に入った首輪を選ぶ。ケティの分は才人が選んだのである。

「じゃあそういうことだからさ、行ってくる。遅くなるかもしれないけど待っててくれな」

「もう! ダーリンを置いて帰るわけないじゃないの! でも、早く帰ってきてね?」

「くく…ああ、わかってるって。じゃあロングビルさん、キュルケをこれ以上怒らせないよう早くいくとしようぜ?」

「あ、はい。ではミス・ツェルプストーにミス・モンモランシ。すいません、行ってきますので……」

 そして買い物が終わり、才人は約束通りに褒美を買うことにしたのである。その為マチルダを引き連れ、一件の宝石店へと赴いたのであった。

 っく、くやしいっ……! っ便女のくせに! 便女のくせに! 便女のくせにっ!

 そして帰ってきたマチルダを見て、キュルケは嫉妬で狂いそうになった。
 申し訳なさげながらも、どこか誇らしげなマチルダの表情。それはキュルケの嫉妬を買うには充分だった。

 ……似合ってますわね。あれなら注目を浴びて、気分が良くなると思いますわ……。

 何故ならマチルダの耳には高価そうなイヤリングが輝いていたのである。



「んんっっ……! はぁ…はぁ…っああン…ぁ……~~ぁぁああンぁっ……!」

 さて、そうして才人が休日を楽しんでいる時、ルイズはどうしていたのであろうか?

「~~~ッッっあっ~くっ~ぁふぅぅうぅぅ……っくっ…ぁん…く…ああン……」

 そう、正解は自慰に熱中していたのだった。ようやく使えるようになってきたコモンマジックで部屋にロックを掛け、サイレントを使い、全裸となって自慰をしていた。

「かかかかっ、娘っ子は置いてきぼりか。相棒も酷いやつだーね。放ったらかしにして、娘っ子は一人でやってろだとさ」

「っ~~っはぁぁぁあンっ……はぁ……はぁ……ン…っ黙りなさいよ、デルフ。だってしょうがないじゃない。あたしはもう一杯買ってもらったんだしさ」

 中庭から一度戻ってきた才人は言ったのだった。

“風竜の搭乗数と買ってくる荷物を考えれば余裕がない。だから今回は留守番をしてろ。それとまだまだ狭いし、締め付けも足りないからいつも通り訓練をしとけ”

 そのせいでルイズは居室にこもっていた。マチルダが作り、モンモランシーが仕上げたディルドーで、一人寂しく自慰をする羽目となっていたのである。

「だ、大体ね、放ったらかしなのはデルフ、あんただって一緒でしょ? わたしのことを笑ってるんじゃないわよ!」

「そりゃあ、しょうがねってもんよ。俺様を持ち歩いたら目立ってしょうがねぇ。それに相棒は買い物に行ったんだろ? 荷物になる俺様を持って行っても仕方がねーてもんだ」

「だからそんなこと言ってんじゃないわよ! デルフの扱いが普段から悪いって言ってるの!
 サイトったら、あんたを相棒って言ってるのに、普段から持ち歩こうとしないじゃない。わたしを笑える立場じゃないでしょ!」

「くかかかっ! だから仕方ねぇじゃねえか。護衛はいるんだし、それにやってる最中だと、煩いって相棒は嫌がるしな。
 それとも、何だ。娘っ子は相棒に放っておかれて寂しいってーのか? くかかっ、素直じゃねーよな」

「!な、なななんてこと言うのよ! そんなわけないじゃないのよ! サイトがいなけりゃね、わたしはこんな恥ずかしいことしなくても済んでるのよっ! じょーだん言うのはやめてよねっ!」

 全くなんてことを言うのだろう? 6000年も生きているのだ。デルフは頭が錆びてしまっているに違いない。ルイズとしてはそう思わざるをえない。

「くかかっ、じゃあそういうことにしといてやらーね。相棒はお土産を買ってくるって話だったしな。それまで精々マンズリに精を出すこったぜ」

「っくむううっっ……ふ、ふんだっ! い、言われなくてもそうするわよっ! ……っ…ぁあん……はぁ…~~~っっあぁああぁンぅ……はぁ…んんぅ……っ」

 自分の部屋なのだ。才人はいないのである。それなのに全裸は当たり前で、ベッドを使う事も許されない。藁の上に寝転がり、ズボズボ、ぬぽぬぽ、ディルドーを使っているのである。
 そうして一人、才人が帰ってくるまで、延々と自慰をしているよう命令されているのだ。
 放っておかれて、寂しいなどある訳がない。ただ悔しいだけに決まっているではないか。

 ったく、デルフはなんてこというのよ! そ、そりゃ寂しいとは思うけどさ、それは昼間からこうして一人で部屋にいれば当たり前でしょうに……。く、悔しいだけに決まってるでしょっ!

 全く当たり前の話である。休日なのに窓を閉め、一人で部屋にこもっていれば、それは寂しいと思って当たり前の話ではないだろうか?

「~~~ッ、い、いいわ……はあンぅ……い、ぃい……ッくうん……はぁ……はぁ……」

 膣、あるいはアナルへとディルドーを埋め込み、きゅううっと締めることで鍛え、そして空いている方の穴を別のディルドーでほじくって拡張するのである。

「っ……はぁ…はぁ…んんっ……ふぅ……まだまだサイトのサイズは痛いのよね……。まだおっきくなってるみたいだし……もっともっと頑張らないといけないわよね……」

「かかかっ、んなこと言-ながら、結構楽しんでるじゃねーか? 今日は何回イくつもりなんだ?」

「お、お黙り、デルフ。仕方ないでしょっ! き、気持ちいいんだから……」

「かかかっ! 娘っ子も複雑だーね。そりゃ相棒のはデカいし、オナれば気持ちいいのは仕方ねーしな!」

 そうしてデルフに対して憎まれ口を叩きつつ、恥ずかしい自慰をお昼から夕方まで。ルイズは本当に才人が帰ってくるまで続けたのである。


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