才人達一行は学院へと帰ってきた。怪盗フーケを討伐し、秘宝を取り返しての凱旋である。ミス・ロングビルの正体を暴き、奴隷の一人として、手駒の一人として、加える事に成功したのである。
まさに完全勝利と言っていい。才人としてはこれ以上ない結果と言えよう。
そしてその帰り道の事であった。森の出口が見えたので、才人はマチルダの散歩を終わらせた。
裸の女を犬のように引き連れているのを目撃されたら面倒なことになるかもしれない。だから奴隷たちにマチルダを洗わせ、出口の手前で服を許した。
タイトなスカートに上着を着せ、スカーフを巻いて眼鏡を掛け直せば、鞭とスパンキングの痕は服の下に隠れてしまう。そうすれば有能な秘書ロングビルが完成するのだ。
まあすこしばかりがに股にへっぴり腰なのはしょうがない。学院に着くまで時間はあるし、その間にモンモランシーに治癒を掛けさせればいい。
そしてそれでも駄目ならしょうがない。能力で一時的に痛みを無くしてやればいいだけの話である。
「くっくっく、いい旅だったな。なぁ、ロングビルさんはそう思わないか?」
「っは、はい、サイトさん。いい旅だったと思います」
手綱を握るマチルダへと声を掛ける。馬車の響きが辛いらしく、時折顔を歪めているが、才人には関係の無い話である。そんなことより、全く持っていい旅だったのだ。
そして時折びくっと震えるのだがそれはおそらく恐怖の表れだろう。往路のようにセクハラで暇を潰しているのだが、これからは自分もそのように扱われると悟ってしまい、己の運命を悲観しているのだ。
「しかし『破壊の杖』ねぇ。返す前に拝んでおいても罰は当たらないよな? ……キュルケは見たことあるんだっけか?」
「っああんっ……ぁぁはあぁぁん…はぁぁ……っそ、そうよ、ダーリン。み、見たことあるわ……」
いい仕事をしてくれたキュルケを労ってやる。むにゅむにゅとたわわな肉の弾力を味わっていたのだが、ふと才人は破壊の杖のことを思い出した。
戦利品として馬車の隅に置いてあるケースであるが、その正体はなんであろう?
この旅の目的はあくまでもマチルダだった。だからこれまで気にも留めなかった。
そしてそれが手に入ったのだから、才人は寛大な気持ちになれた。秘宝をオスマンへと返却してもいいと思っていた。
だが口に出してしまうと、どうにも好奇心が沸いてくる。いかにも重厚なケースに入っている破壊の杖。これは一体なんであろう?
ケースの大きさは50センチほど。緩衝剤でも入っているかもしれないからそれよりは小さいだろうが、どんな杖なのだろう?
まあ拝んでおいても罰は当たるまい。好奇心の赴くままに。そう思った才人はケースの蓋を開けた。
「……キュルケ、これが本当に『破壊の杖』なのか?」
「ぁあんっ…ン…そうよ、ダーリン。あたし、見たことあるもん。ぁ…か、変わった形だし、んんぅぅ…み、見たことない材質でしょう?」
秘宝である『破壊の杖』を確認する。
「っはぁぁぁぁっ……ん……、ぁ…ふぅぅ……。ねぇダーリン、こんなに精巧な円筒にどうやって作ったのかしらね?
っぁん……そ、それにね、透明でキレイだし、厚みも一定だわ。だから、凄く有名な錬金魔術師が作ったと思うの。
ん……多分ね、この取っ手を引き出して使うと思うんだけど…どうやって使うのかしら?」
「…………」
その秘宝は透明で、円筒形であった。才人はその材質を強化ガラスか、あるいはプラスチックか、そのあたりだろうと思った。
……これってどう考えてもアレだよな? ……まあ、破壊っちゃー破壊になるのか?
そしてピストンがあり、目盛が刻まれている。まるで超大型の注射器のような形状だと才人は思う。
そう、それはどう考えても浣腸器であった。まごうことなく浣腸器であった。
「……まぁ確かに破壊だな。使いようによっちゃあ、凶悪な威力を発揮してくれると思う」
何でこれが秘宝なのか? オスマンに小一時間ほど問い詰めたくなった才人だが、これはこれで使える。もったいないので、返却しないことにする。
ただこの秘宝。オスマンは用途を知っていたのだろうか? それなら、考慮の余地なく没収だと思った。
「本当? 凄いわダーリン! 使い方がわかるのね? 一体どうやって使うの?」
ようやく落ち着いたキュルケは尊敬の眼差しだった。才人としては苦笑するしかなかったが、まあ教えておいてもいいだろう。日本においてとある目的に使う器具だと説明してやる。
くっくっくっ…そりゃあそうだ。どんなモンか知りゃあそうなるだろうぜ。
そうするとであった。正体と使い道を聞いたマチルダは深く落ち込むことになったのである。
頬を引くつかせながら「あのジジイ……」とぶつぶつ呟いてしまったが、それはどうでも良い話であろう。
学院にたどり着いた一行はマチルダからオスマンに“フーケは隠れ家を引き払ったあとであり、秘宝も見当たらず、周辺を捜索したが、手掛かりは見つからなかった”と、そういう風に報告させた。
才人は今オスマンに会ってしまうと、どうしたってツッコミたくてしょうがなく、その危険を避けたかったのである。
そしてそのオスマンであるが「そういうことなら仕方があるまい」と納得した。教師たちには異論があるものもいたようだが、突ついてしまうには学生に任せたとの弱みがある。しぶしぶとだが、納得せざるをえなかった。
学生たちはどうか? そもそも詳しい事情は周知されていなかったし、土くれのフーケと言えばトリステインを騒がす大怪盗である。
討伐に向かったとの事実だけでそれなりの尊敬を勝ち得たし、隠れ家に向かうも引き払ったあとだったと説明されれば、結局は捕まえられなかったと騒ぐ一部の傲慢な学生も納得せざるを得なかった。
つまり、結果として教師たちの評価は変わらず、学生の中でちょっぴりと地位が上がった。それがルイズ、モンモランシー、キュルケの結果である。
才人自身といえば「危ないことしないでください」と、シエスタから泣かれてしまう結果となった。
そして公式的にはルイズの使い魔である才人の評価は、その主人に帰結する。だから貴族の中での評価はあまり変わらず、ただシエスタを除く平民の従業員には勇気があると、少しばかり株が上がった。
再度盗みに入られたり、噂が大きくなりでもすれば、また違う展開にもなろう。だが今後土くれのフーケが活動することは無かろうし、そうなれば自然と人々から忘れられていくことになるだろう。
こうして怪盗フーケの一件は落着を見せたのである。
◇
ルイズの一日は才人を起こすことから始まる。寝床である藁の上から起き上がり、そして寝ている才人へとフェラチオし、ルイズの一日が始まる。
ベッドへと上がり、布団の中に潜り込む。黙ったままに、しかしぴちゃぴちゃと水音は隠しようがない。
優しく起こすのが目的なのであくまでもソフト目に舐めていき、起きれば指と唇を駆使しての本格的なフェラチオへと移行させる。
予告なく射精される粘つく特濃の精液。これは予兆を読み取っておく必要がある。えずきや吐き出すなどの粗相をしないように注意しなければならないだろう。
そして相変わらずの量に飲み干してから「サイト、朝よ。美味しかったわ」と挨拶をしなければならない。
どうやれば才人が満足できるんだろう? 無理なく、そしてキレイに飲み込むコツはなんだろう?
ルイズはもう慣れっこになってしまっていた。だからフェラチオや精液自体にはもうそんなに抵抗はない。いろいろと試し、研究を行ってきたのだ。当然今だって練習と実践はかかせない。
悔しさや恥ずかしさはもちろんあるが、それよりも当たり前の事と受け入れた。何故ならルイズは才人の使い魔。それも恥ずかしいちんぽの使い魔。当たり前と受け入れなければならない。
罰はもらいたくないし、どうせならご褒美が欲しい。そしてそのご褒美は確かにその肉棒から生み出される。ならばそれを愛し、奉仕することになんの躊躇いがいると言うのか?
どうせなら一生懸命やってご褒美につなげるべき。ルイズはそう割り切ることにしたのだった。
「おはよう、ルイズ。今日も熱心ですわね」
「じゅぶっ、ちゅるるっ……えろんっ…ぱはっ…ちろちろ…お、おはよう、モンモランシー。…っあんむぅぅぅ…じゅぶぢゅぶぶっ……」
起き抜けのモンモランシーが挨拶をしてきた。ルイズとしても同じ奴隷仲間である彼女なら、肉棒を口一杯に頬張る姿を見られるにしても恥ずかしくはない。何故ならお互い様であるからだ。
ルイズはもう才人の奴隷であることを受け入れている。それはモンモランシーにしても同様であろう。
お互いに知恵を出し合い、テクニックの向上に努める仲になれたのである。
「!? ……ごくっ、ごくっ、ごくっ……んン、じゅるるるっっ……ちゅゅぅぅうぅぅ……、ちろれれろっ…べろんっ……。
っお、おはよう、サイト。今日もありがとう! れろ……れろ……、ぁ…っあんむぁっ…じゅぶ…じゅぶ…ちゅぶっ……ぢゅるっちゅぅ……」
才人が本日一番をルイズに飲ませる。そして「美味かったか?」と頭を撫でてやり、そのまま後始末を楽しむ。
ルイズはそれに「えへへ」とニッコリと微笑み、それからもっと満足して貰えるよう、肉棒へと意識を集中させる。
起き抜けのフェラチオ奉仕のあとは部屋の掃除になるだろう。昨夜の凌辱の痕跡は掃除をしておかなければならない。そしてそれを終わらせ、首輪を外してもらうのだ。
遠慮のない喘ぎ声と、同じく責める声を聴きながら顔を洗い、歯を磨き、制服へと着替えれば準備完了。ルイズは朝食へと出かける。
「よし。んじゃあ行って来い。モンモランシーは少し遅刻だ。何かあったら適当に言い訳しといてくれな?」
「ん、わかったわ。それじゃあ行ってくるわね?」
ぺたんと床に座り込み、ぐっぽぐっぽと熱心に頭を振るモンモランシー。それを見ながらルイズは思う。明日の朝は誰なんだろう?
才人はその日の気分によって、どの奴隷を使うか決めるのだ。
「あんっ、もう! あたしだったらもっと上手にご奉仕できるのに!」
「……まあ、ツェルプストーはおしゃぶり好きだもんね。いつも嬉しそうにおちんぽ咥えてるし……」
「当然よ! 情熱を表すにはね、一生懸命おちんぽをしゃぶるに勝るものはないわ! まあ、ヴァリエールにはわからないかも知れないけどね」
腕を組み、挑発的に笑って言い返してくるキュルケだった。朝から一体何を言っているのか? ルイズはいかにも呆れ、やれやれと頭を振る。だが、遺憾ながらほんのちょっぴりキュルケの気持ちがわかってしまった。
確かに貪欲さというか、情熱を表しているような気がするのである。
「ったく、馬鹿なこと言ってないでいくわよ?」
「それじゃあ、ダーリン! 行ってくるわ!」
そんな彼女たちに才人は「おう、行って来い」とニヤニヤしながら言い放ち、そしてモンモランシーといえば、いまだ口唇奉仕の真っ最中である。
口をすぼめてんっんっんっと頭を振る。それから根元から舌を這わせながら見上げてみたり、玉袋をやわやわと揉みしだき、そしてちろちろと舌先で亀頭や幹を刺激したりと忙しい。
近頃の朝はいつもこんな感じであった。才人は添い寝をさせる奴隷を選ぶ。そして登校の時間まで、指名した奴隷に奉仕をさせる。今日はたまたまモンモランシーだったと言うわけだ。
……でもね。羨ましいってわけじゃないけどね。
扉を開け、部屋の外へとルイズは出た。隣のキュルケは早くいきましょうと、その腕を引っ張っている。お腹が空いているのだろう。その気持ちはよくわかる。
何しろ近頃は運動量が増えたので、お腹が空いてしまうのだ。
「ふん、まったくゲルマニアの女ははしたないわ。少しくらいは我慢出来なのかしらね」
「あら? 言ってくれるじゃない。そういえばヴァリエールはダイエットしてるんじゃなかったかしら? それなら別に無理にとは誘わないわよ?」
憎まれ口を叩くルイズだった。すっかり仲良くなった二人だが、やはりキュルケとはこんな関係が楽しいと思う。
だが痛いところを突かれ、これには苦笑するしかなかった。キュルケはルイズが食事を抜かれた経緯を知ってしまったのである。
「わかったわよ、わたしの負け」と降参するしかないだろう。確かに食事をして、昨夜消費してしまったカロリーを回復させておかないと拙い。
今夜もまた散々に責められるか、あるいは責め合うかして、体力を使う事になる。一食だって大事にしないといけない。
だからルイズは口喧嘩を早々に切り上げ、食堂への道のりを歩く。そしてそんなルイズだったが、実は心中に一つの決意を持っていた。
……やっぱり拙いと思うわ。なんとかしないといけないわよね? っそ、そう、羨ましいわけじゃないんだからねっ!
ではルイズの決意とはなんであろうか? それは才人がマチルダを奴隷としたことが切っ掛けだった。
フーケの討伐へと赴いた才人一行であるが、表向きはフーケが逃げたあとだと、そう学院に説明した。
もちろん真実は違う。逃げたことにした方が都合が良かったから、そう報告させたに過ぎない。
真実はロングビルことマチルダの正体を暴き、奴隷として手駒の一つに加えたのである。
そしてその夜の事であった。才人はマチルダを犯しぬいた。それは中途半端だった責めの続きをやりぬき、本当のご主人様が誰であるかを、その身体に叩きこむためだ。
そんな目的だったから才人はマチルダの身体を乱暴に扱い、泣こうが喚こうが中出しを繰り返す。能力を使って苦痛と快楽を交互に送り続け、天国と地獄を交互に味あわせた。
マチルダには何度止めてほしいと懇願したか、絶頂へと送り込まれたのかわからなかった。もっとも数えても意味のない話だっただろう。
確かなことは幾度となく失神にまで追い込まれ、その度ごとにルイズたちの愛撫とスパンキングで現実へと引き戻されたことである。
改めて身分を思い知らされたマチルダはすっかり従順となり、才人を“ご主人様”。ルイズたちを“お姉様”と呼ぶのに何ら抵抗感はなくなっていた。
そして、ルイズにとっての問題はここからだった。深夜遅く、日付が変わってから解放されたマチルダだったが、才人はそのままベッドで休むことを許したのである。
それは単なる気紛れだったのかもしれないが、ルイズにとっては納得できなかった。だが不平があったにしても、奴隷の身分としては抗議するのは躊躇われる。
結果として次の朝にどうなったかであるが……
「っあ、あの。おはようございます。ルイズお姉様」
才人の隣で寝ていたマチルダは淫靡な水音で目を覚まし、そして奉仕の真っ最中のルイズを視界に認め、申し訳なさげに挨拶をしてきたのである。
「……おはよう、便女。っぁ、はんむふぅう……っ…ぢゅるるっるッ…ぴちゃ、ぴちゃ、…ずっじゅぢゅるるっっ…れろれおっ……れろれろっ……」
態度に表さないよう気を付けたが、どうにも語尾が荒くなっていた気がする。当然の義務を実行中のルイズはマチルダと顔を合わす結果となったのである。
でもね。便女はあたしの奴隷なのよ? それがベッドで、あたしが床っておかしくない?
モンモランシーやキュルケなら仕方がない。現在の境遇は自業自得から始まったのだから、諦めるしかないと思った。
しかし、マチルダは話が別だと思う。奴隷の奴隷のくせして、ベッドで眠る? それがどうにも、ルイズには我慢できなかった。
本来なら這っているしかない便女なのよ? それなのにベッドで、主人であるわたしが床の上って、やっぱりおかしいわよね?
ルイズだってわかっている。全ての法は才人が決めるのだから、文句を言っても変わらない。むしろ過度に抗議しようものなら奴隷の立場さえ奪われ、奴隷の奴隷であるマチルダの下にさせられるかもしれない。
便女のくせに! 便女のくせに! 便女のくせにっ!
だがしかしである。それでもやっぱり頭にきた。少なくとも今のマチルダはルイズの奴隷でもある。その主人が床の上に寝ていたのに、奴隷の身分で安穏としてベッドを使っていたら、それはやっぱり頭にくるのだ。
……ふぅぅぅ…、やっぱり納得がいかないわ。どうしても納得がいかないわよ。
モンモランシーやキュルケなら我慢出来た。同じ部屋にいて片方はベッド、片方は床でも我慢出来た。それなのにマチルダはベッドで寝た。ルイズが床の上に寝ているにも関わらずである。
……やっぱりおかしいわよね? 便女はあたしの奴隷でもあるんだし……
せめてマチルダがいる時くらいはベッドを使わせてもらえないだろうか?
ルイズはそう考えた時閃いた。頭にきたのは当然として、これは転機になるのではないか?
そう、マチルダでさえベッドを使っているのだからと、自分も使えるように頼んでみるのだ。
……とはいえ、いきなり同じベッドで寝たいなんて言えないわ。そんなことしても、サイトがうんと言うとも思えない。となると……
何か大きな手柄を立てる必要があるだろう。下手な願い方をすれば、藪蛇になりかねない。そう、どうしたって大きな手柄が必要となるだろう。
そして才人から褒美は何がいいと聞かれたなら「同じベッドで寝させてほしい」と頼んでみれば、案外すんなりと、うんと言ってくれるかもしれない。
うふふ……便女が勘違いするといけないわ。だから早いとこそうなるようにしないとね?
ベッドを使えるようになれば、マチルダに対して主人として恥を晒さないで済む。そしてそうなれば嬉しいから、感謝の気持ちでご奉仕だって楽しくできるというものだ。
うん! これはいい考えよね? 何か事件でも起きてくれないかな? それともやっぱり、次の奴隷を誰にするかよね? そこで手柄を立てて、そしてサイトに一緒に寝てってお願いするの!
ルイズはにやけるのを抑えきれない。だから足取りも軽くなり、ちょっと浮かれて食堂へと歩いていった。
◇
日が翳り、二つの月がうっすらと姿を見せてきた。ヴェストリの広場である。この広場はあまり人が来なく、夜ともなればまず近寄るものはいなかった。
「おー、やっぱこれだよな。いい湯だぜ、こりゃ」
タオルを頭にのせ、鼻歌を歌う。
才人は気分が良かった。何故なら風呂へと入っているからであった。
トリステイン魔法学院に風呂は、もちろんある。ただし湯を張るタイプの風呂は貴族専用であり、平民用の風呂は掘っ立て小屋のようなサウナ風呂だった。これには才人は我慢ならなかった。
何故なら日本人にとって風呂とは浴槽に浸かって温まるもの。サウナでは物足りなかったのである。
「いい気分だぜ、まったく」
仕方がないので自作することにしたのが、今浸かっている風呂である。マルトー親父に頼んで古い大釡をもらい、それを五右衛門風呂のように使っている。
ただこれは非常に手間が掛かった。大量の薪と水を用意しなければいけない。だから毎日ではなく、我慢できなくなったときにこの風呂を使うのである。
そして苦労に見合う価値があったのだ。そうなれば鼻歌の一つも出ようというものだろう。
……くっくっくっ…それにしてもだ。マチルダを手に入れたのは大きい。こんな苦労もあと少しでオサラバだな。
才人は本当に気分が良かった。土系統のスペシャリストを手に入れ、立派な風呂を作れる目処が立ったのである。
錬金によって石造りの土台を作り、湯炊き用の窯を作る。工具についても同様だし、これで小屋や風呂桶を作れるだろう。
燃料だって土くれを石炭にでも錬金させられるし、台車を作れば水だって運びやすい。そしてそうなった暁には
そうなりゃアイツらにも使わせてやれる。もう一人寂しく風呂なんてこりごりだぜ。
そう、ソーププレイが楽しめる。実行するにはまだまだハードルが高いが、とにかく風呂がないと話にならない。
それにそれをさておいても、こんな五右衛門風呂ではなく立派な風呂が出来れば、それはやっぱり嬉しいのだ。
そして風呂からあがれば調教の時間となろう。今日はどのようにして奴隷を嬲ってやろうか? そんなこと考えながら鼻歌を歌い、汗を流す。
奴隷たちもかなりこなれてきたし、テクニックにしても同様だ。
まだ拡張しきってないので痛みは残っているようだが、それを差し引いても充分と言える。もうアナルでだって快感を感じるほどに、奴隷たちはこなれてきている。
くく…もう普通に入れてやるのがご褒美になりかけてるしな。そろそろ次のステップに進もうかね?
才人は思う。いくら貴族だと威張ったところで、所詮はメスに過ぎなかった。貪欲に快楽を求めるメスであった。
ならこの調子で奴隷をしつけ、もっともっと楽しめばいい。そのためにはどうするのがいいだろう?
ったく、楽しいねぇ。とことんまで堕としてやる。アイツら、どこまでやってくれんだろうね? くっくっくっ…楽しい、楽しいっと。
淫乱となり掛けている奴隷だが、まだまだ足りない。ケティのように能力を使うのではなく、自主的に心からの忠誠を誓うようにならなければならないといけない。
そう、例えば才人がリーブスラシルの能力を失ったとしても、そのまま奴隷として仕えるくらいまでに堕とさなければならない。
その肉棒のためになんでもする、正真正銘、ちんぽの使い魔にしなければならないのだ。
能力がなくなったとたんに反逆するような奴隷では、飼い続ける価値がないというものではないか?
だからより一層のしつけと調教を進める必要がある。そんなことを考えながら、才人は自作の風呂を楽しんでいた。
……そうだな、全部同じタイプに堕としても面白くないよな? ケティみたいに中出しが好きとか、あるいは塗りたくるのが好きとか、そんな風にしていくべきか?
にやにやと笑い、とりあえずは今日をどうやって楽しむべきか? そう思いながら鼻歌を歌う。
その時であった。月に照らされて、人影があらわれた。才人は「誰?」と誰何し、そして表情を取り繕う。これまでこんなことはなかったので緊張してしまう。
もしかしたら表情を見られたかもしれない。これからはもっと注意を払うべきだろうと反省した。
っく、やっぱ見張りが必要だよな。でも…そうなるとデルフか? しかしアイツ重いし、目立っちまうしな。
誰何された人影はびくっ! として、持っていた何かを取り落とした。がちゃーん! と月夜に陶器の何かが割れる音が響き渡る。
「わわわ、やっちゃった……。また、怒られちゃう……くすん」
「シエスタ!?」
その声で、才人は暗がりからあらわれた人物に気づいた。月明かりに照らされて姿を見せたのは、アルヴィーズの食堂で働く、メイドのシエスタだった。
いつものメイド服だったが、頭のカチューシャをはずしていた。肩の上で切りそろえられた黒髪が、艶やかに光っていた。しゃがみこんで落っこちた何かを一生懸命に拾っている。
ふぅ……驚かすなって。誰かと思ったじゃねーか。
どうやら不審な何かに気付いた様子はなかったようである。だが、そうなると疑問に思った。これまでこんなことはなかったのだ。
何でシエスタは人気のない、夜のヴェストリの広場になんて来たんだろう?
「シエスタ、なにやってるんだ?」
「あ! あのっ! その! あれです! とても珍しい品が手に入ったので、サイトさんにご馳走しようと思って! 今日、厨房で飲ませてあげようと思ったんですけどおいでにならないから! わあ!」
なるほどと才人は得心した。確かに今日は厨房に行っていない。風呂の設計をして、その指示をマチルダにしていて忙しかったのだ。
そして落してしまったのはどうやら何かの飲み物らしい。見ればシエスタの隣にはお盆がある。驚いた拍子にカップを一個、落して割ってしまったらしい。
「そっか、悪いね。驚かすつもりじゃなかったんだけど」
なんとも微笑ましく、そしていじらしいと思った。あわあわと弁解する様には好感が持てる。
珍しい品を手に入れたと言うので、わざわざ持ってきてくれたのだ。
っ虐めてやりてえっ! 泣かして、喘がせてやりてえっ!
これはあれだろう。ここまでしてくれるくらいだから、シエスタは好意を持ってくれている。そうすると才人としては、ムクムクと肉棒に血が滾ってくるのを抑えることができなかった。
何故なら性癖を自覚し、リーヴスラシルを理解するにつれ、才人の欲望は素直になってきている。実際に女を奴隷に堕とし、毎日好きなようにいたぶっている。
そしてシエスタだ。ハルキゲニアに来て最初に親切にしてくれた女であるし、顔もスタイルも合格点をやれる。ならば自分の女にしたいとの欲望は当たり前だった。
っくううっっ! いかんいかん。シエスタはそんなんじゃねえっ! 俺には縁のない女だっつーの!
だが、その欲望を必死に抑える。シエスタは駄目なのだ。才人が望むような関係を受け入れるとは思えない。奴隷の扱いをするわけにはいかない。
何故なら純粋な好意なのだ。落ち込んでいた時に救いとなってくれた女なのだ。それを裏切るわけにはいかないと、欲望を必死の思いで抑え込む。
「っい、いえ! わたしが勝手に驚いたんですから、サイトさんは悪くありません! 気にしないでください。はい!」
ちょっと恥ずかしげに目をそらしたシエスタだった。才人が素っ裸なことに気付いたのだろう。
才人は微笑ましいと思い、そしてやっぱり裏切れないなと、その決意を新たにする。
「そ、それでですね。東方、ロバ・アル・カリイエから運ばれた珍しい品とか。『お茶』っていうんです」
「お茶?」
シエスタはニコリと微笑み、ティーポットから、割れなかったカップに注ぐと「どうぞ」と才人に差し出した。「ありがとう」と受け取り、それを口に含む。……なるほど、お茶だった。
いい香りが鼻腔をくすぐるし、日本の緑茶とさほど変わらない味だった。
っく…シエスタ……!
なんといい娘であろう。シエスタが珍しいというなら本当に珍しいのだ。それをわざわざ持ってきてくれて、振る舞ってくれたのである。
こんないい娘と縁がない? 大釡の風呂の中で、思わず目頭をぬぐった。
「ど、どうなさいました! だいじょうぶですか!」と、シエスタが身を乗り出してくる。才人は曖昧に笑って見せ、「いや、ちょっと嬉しくなっただけ」と返した。
本当の理由は話せないので、代わりに再びカップを口に運ぶ。心配げなシエスタには本当に悲しくなる。
こんないい娘と、縁がない。それは才人の涙を誘うに充分だったのである。
「いや、でも、良く俺がここにいるのがわかったよな」
誤魔化すために話題を変える。するとシエスタは顔を赤らめてきた。一体どう言う事だろう? 自然と怪訝な顔になると、「実は……」と、シエスタは理由を話してきた。
「え、えと、その。たまにここで、こうやってお湯につかっているのを見てたもんですから……」
これは拙いと思った。悪巧みを企んでいた顔や、その呟きを聞かれていたかもしれない。
「……覗いてたのか?」
「っいえ、その、そういうわけじゃ!」
だがシエスタは慌てて首を振ってくる。ほぅと、才人は安堵した。シエスタは嘘をつくような娘ではない。
不都合なことはバレていないようである。ニコリと微笑み返し、今後は注意しようと思う。
と、その時であった。釡の回りはこぼれたお湯でぬかるんでいたので、慌てた拍子にシエスタは足を滑らせてしまう。
「きゃあああああッ!」
そして前のめりに釡の中に滑り落ち、どぼーんと釡の中に飛び込んできたのである。
「あいたた……わーん、びしょびしょだぁ……」
するとであった。びしょぬれのシエスタがお湯から頭を出した。これはいい。メイド服が濡れて、悲惨なことになっている。服が透けて色っぽいので大変よろしい。
っおいおいおいっ! っシ、シエスタまずいって!
問題は次だった。釡から立ち上がろうとした拍子に手頃だったモノを掴んでしまい、それからそのモノが何か確かめようと、ぎゅっと握って、それからこすこすと擦ってきたのである。
「そ、その、シエスタ。その握ってるモノなんだけど……」
「い、いえ、その、すいませんっ!」
謝りつつも、シエスタは風呂から出ようとはしない。それからその握っているモノからも手を放そうとはしない。
「うふふ」
メイド服のまま、大釡に浸かってシエスタは笑った。笑う状況じゃないのだが、笑った。シエスタは一体何を考えているのか?
才人は質問するのも、やめてくれと言うのも躊躇われた。なんだか拙いことになりそうな気がしたのである。
「えへへ、気持ちいいですよね。これがサイトさんの国のお風呂なんですか?」
一体何が気持ちいいのか? なんとなく別の意味に聞こえてしまったが、お風呂というのだからお風呂のことに違いない。
だが才人は焦っていたのだろう。ついつい「ま、まあそうだな。普通は服を着ながら入ったりはしないけど」と答えてしまう。
「あら? そうなんですか? でも、考えてみればそうですよね。じゃあ、脱ぎます」
しまったと思った時はもう遅かった。才人が見守る中、シエスタはお湯から出ると服を脱ぎ始める。なんとも気持ちのいい脱ぎっぷりで、ぽんぽんとブラウスのボタンやスカートのホックを外していく。
才人が「まずい」だの「やめろ」だの諭しても、シエスタは「キチンと入りたい」だの「乾かさないといけない」だのと、脱いでいくその手を休めないのである。そして――
「えへへ……、サイトさん、気持ちいいですよね?」
「っあ、ああ。まあ、そうだな。気持ちいい風呂だよな」
シエスタは脱いだメイド服や下着を、薪を使って火のそばに干した。それから風呂へと入り、当たり前のようにそっとモノを優しく握り、すっすっすっと擦ってくる。
っシ、シエスタさん? あなた一体何を考えてらっしゃいます?
考えるまでもないだろう。シエスタは誘惑してきているのである。
っ、だからまずいって! 我慢できなくなっちゃうじゃねーかよ!
だが、これを認めるわけにはいかない。シエスタを奴隷には出来ないのだ。
何故なら奴隷とすれば、今所有している奴隷を紹介しなくてはいけなくなる。そうなればシエスタはショックを受け、才人を嫌うようになるであろう。
だから誘惑にのるわけにはいかない。欲望を発散するには今の奴隷たちは必要だし、これからも思うままに奴隷を増やしたいのだ。
「うわあ、本当、気持ちいいですよね? サイトさん、お風呂って気持ちいいですよね?」
「うむ、まあ、気持ちいいよな」
白くて健康そうな足であった。着やせするタイプらしく、才人が満足できるだけのボリュームがあった。日本人であるからには艶やかな黒髪もいいし、低めの鼻も愛嬌がある。
そう、シエスタの魅力を例えるなら野に咲く可憐な花であろう。美人というよりは可愛い。大きな黒い瞳は親しみを持ちやすいのである。
おぅっ! だんだんと力を込めてきやがるっ! って、くいくい引っ張るんじゃないってーの!
なかなかのテクニックである。とてもではないが、片手でしているとは思えなかった。それになんというか、愛情を感じるのである。
っくぅうぅうぅっ……惜しい! 惜しすぎるっ!
だが、それでも才人はシエスタの誘惑に乗るわけにはいかないのである。
これだけのテクニックに規格外の肉棒を恐れない豪胆さ。おそらくは経験済だろうが、そんなことは関係がない。奴隷としてしまえば、これまでの良好な関係がご和算となってしまう。
血の涙を流す思いの才人だったが、必死になって誘惑に抗うのだ。
「っもう! サイトさん! わたしの話を聞いてました?」
「あ、ああ、聞いてる。聞いてるって。続きを話してくれ」
なんだかうわの空で、何を質問されても「ああ、そうだな」としか答えていなかった気がした。
他にはそう、日本の話をしたかもしれない。ただそれどころじゃなかっただけ。
っくううぅぅぅ……! 一回くらい構わないんじゃないか? いや、まてまて、それをしたら奴隷にしちゃうことになるんだって! シエスタを奴隷には出来ないんだって!
顔を伏せがちに、そして頬を染めて、はにかみながら話し掛けてくるシエスタだった。それが何とも色っぽく。才人は虐めてやりたくて仕方がない。
だが、それをしてはいけない。してしまえば取り返しがつかなくなる。だから才人は必死の努力で自制するしかなかったのだ。
「……だめ、なんですか、サイトさん」
「……シエスタ?」
そして、そんな様子を見せられ続けたシエスタにとって、才人の態度は落胆に値したのであった。
勇気を振り絞って行為をしていたのだが、諦めたのであろう。沈み込んだ口調でぼそりと呟いたのである。
「……そうですよね。わたしなんて単なる村娘だし、ミス・ヴァリエールやミス・ツェルプストーにはかないっこありませんから……」
「シ、シエスタ!?」
深く落ち込んだ様子だった。「違う! そうじゃないんだ!」と叫びたい。シエスタはシエスタで充分に魅力的なのだ。
ルイズやキュルケに劣っているとは、才人は考えてもいないのだ。
掛ける言葉が見つからない。だから沈黙が続いてしまう。受け入れたいのだが、受け入れるとシエスタを奴隷にしなければならない。
まさか「そういうことなら仕方ない。奴隷としてなら受け入れてやる」とは言えないだろう。傷つくのは小さい方がいいと、才人は何も言えなかった。
っはぁぁ……本当、惜しいよなぁ……。でも、これがシエスタのためなんだからわかってくれよな。ほんっとうに惜しいんだけどな……。
シエスタは胸を押さえて立ち上がった。罪悪感が残る才人は見るわけにはいかない。だから慌ててその目をそらす。
乾いた服を身に着けたシエスタは、才人にぺこりと礼をした。
「ありがとうございます。とても楽しかったです。このお風呂も素敵だし、サイトさんの話も素敵でしたわ」
なんとも寂しそうなシエスタだった。
「また…聞かせてくれますか?」
才人は一瞬だが逡巡した。だが、やがてゆっくりと頷いてみせる。今後シエスタとの関係がどうなるのか、それは才人にはわからない。
手酷く振ったようなものだから、本当はいいえと首を振るのが正解だったかもしれない。
でもな、あんな寂しそうな顔をされて、それでだめなんて、俺にはできないぜ……
だから未練かもしれないが、やっぱりシエスタとは付合い続けたい。そうしてシエスタが吹っ切れたなら、これまでのように笑い掛けてやりたいのだ。
関係を断ち切ってしまうような振り方までは、したくなかった。
「……サイトさん」
「……うん。なに、シエスタ」
シエスタはうつむいたままだったが、やがてその顔をあげてくる。そしてじっと才人を見つめてからぽつりと呟く。才人は何を言われるのかと思ったが、答えなければいけないだろうと思った。
「あの、ですね……」
「うん」
シエスタはそれから頬を染め、胸の前で手を組み、微笑みながら言った。
「えっとですね。お話も、お風呂も素敵でしたけど……」
「…………」
「やっぱり諦めきれません。何とかして振り向かせてみせますから」
「な、なんですとッ!?」
シエスタは小走りに駆けていった。
っおいおいおいおいっ! そんなこと言われちゃ、我慢出来なくなるじゃねーかよ! っシエスタ! オマエはそんなに奴隷になりたいってゆーのかよッ!
才人はシエスタの好意が本当に嬉しかった。でも、必死の自制を台無しにしてくれるようなその好意が本当に面倒だった。
長湯のせいもあってのぼせてしまい、大釡にぐったりと寄り添ったのである。
◇
湯からあがってルイズの部屋に戻ると、そこには裸の女が三人いた。特に用事がない場合、キュルケもモンモランシーも、食事と入浴が終わればルイズの部屋へと集まってくるのだ。
「あ、おかえりなさい、サイト。今日はどうするの?」
自慰にふけっていたルイズが声を掛けてくる。いや、自慰と言うよりは拡張訓練であった。身体が小さい分ルイズは膣もアナルも細く、まだまだ痛みが強かった。
だから才人は課題として、暇さえあれば自慰にふけるように命令していたのである。
「おかえりなさいですわ。サイト、指示を頂けますか?」
そしてモンモランシーである。彼女はとある作業に没頭していた。土のスペシャリストであるマチルダを手に入れたことで道具造りが容易になったのである。
それでまあ、そのスキルでぶっちゃけディルドーを作らせたのだが、そのままではフィットしない。
水の魔法で滑らかに仕上げ、肉になじむ様に手を加える必要があるのだ。
「っぱはっ…はぁ…はぁ…ン…っおかえりなさい、ダーリン! 今日はあたしを調教してくれるのよね?」
最後にキュルケだった。彼女はモンモランシーにアドバイスをし、使い心地を実際に咥えることで確認していたのである。フェラチオが好きな彼女に似合いの役割と言えるだろう。
もちろん膣にだって、アナルにだって実際に使ってみせ、こうすればいい、ああして欲しいと、そんな要望を伝えるのだ。
「くっくくく……そうだよな。俺はそういう男なんだよな」
才人は自嘲するしかなかった。シエスタと触れ合ったことで、何かを勘違いしてしまっていたと、そう気付いてしまったのだ。
帰ってくるまでシエスタへの対応をこれからどうしたものかと考えていたが、奴隷を集めて裸で出迎えさせるのが平賀才人という男なのだ。
ルイズたちはいきなり苦笑しだした才人に戸惑い、顔を見合わせている。
「いや、ちょっと考え事してて、それがおかしくなっただけの話だって。それより今日は……」
才人はニヤリと嗤ってみせる。
それで奴隷たちは安堵の表情をみせた。こんな態度こそがいつもの才人だからだ。
くっくっくっ…本当、何を勘違いしてたんでしょうね? 今更いい人ぶったところでしょうがないってのによ。
才人は顎をしゃくり、床の上を示してみせる。すると忠実な奴隷たちはそこに並び、平伏することで命令を待つ。
「今日は誰ってのはないな。全員纏めて使ってやる。だからモンモランシー、お前はケティを連れてこい。それからルイズ。オマエはマチルダを連れてこい。んでキュルケ。オマエはそれまでちんぽでもしゃぶってろ」
それで奴隷たちは動き出す。ルイズとモンモランシーは手早く着替えに走り、キュルケは膝立ちのままに才人へと這い寄ってくるのだ。
才人はキュルケの頭を撫でてやった。
「くく…がっつくなって。ベッドに寝るからそこでやってくれ」
「うん! わかったわ! あたし、一生懸命やるからっ!」
才人もまた、シエスタのように吹っ切れたのかもしれない。そう、奴隷たちのように、才人こそが後戻りできない立場にある。部屋へと戻り、そのことを思い出したのである。
……そうさ。俺はこんな奴だったんだ。欲望を躊躇わないリーヴスラシルが平賀才人だよな。元々の予定じゃねーか、なら躊躇ってどうするんだ?
才人は改めて覚悟し直した。このままの自分でないと、堕としてしまった奴隷にこそ申し訳が立たないのである。
だから当初の誓い通りに貴族に復讐し、奴隷に堕とし、そして嗤ってやる。邪魔をするようなら、誰であろうと容赦はしない。
くく…やっぱ縁がなかったんだ。シエスタは諦める。それしかねー。
だが、だからこそだ。シエスタだけは奴隷にしないと、才人は誓う。これは外道の道を行くと覚悟し直した平賀才人の、最後の良心だと思った。
「うふふふっ……、どうぉ? だいぶ上手くなったでしょ?」
「ん? くく…なに言ってんだ。まだまだだな。もっと奴隷らしく下品にすすってみろ。それから咥えるだけでびしょ濡れになって、最終的にはそれだけでイけるよーになんねーとな」
ベッドへと寝転がり、その豊満な胸でパイズリフェラを楽しむ。足元のキュルケはにっこり笑って「その通りよね、もっと頑張らなくっちゃ!」と水音を大きくし、ぐっぽぐっぽと頭の振りを大きくしていく。
くく…そうだな。キュルケはこのまま奉仕を大好きにするよう仕向けよう。そんでそうだな…他にも特徴を作りたい。
なら女への奉仕も好きにさせるか? それとも精液だけじゃなく小便も好きにさせるか? くく…どんな奴隷にしていくか、だな。
ほどなくマチルダとケティもやってくるであろう。とにかく今夜は徹底的にいたぶり尽くす。全員の足腰を立たなくなるまで犯し尽くしてやる。
才人はそれまで奴隷たちをどう変えていくか考え、そしてキュルケの奉仕を楽しむことにしたのだった。