その広場は中庭にあった。西側にあるので塔の影となってしまっていた。なので日中でも日があまり差さない。決闘にはうってつけの場所と言えるだろう。それがヴェストリの広場である。
「諸君! 決闘だ!」
ギーシュが広場の中央に立つ。薔薇の造花を掲げて吠える。うおーッ! と歓声が巻き起こった。腕を振って歓声に応える。噂を聞きつけた生徒たちで、広場は溢れ返っていた。
大した注目振りである。ギーシュにはこの声援を受け、観客の期待に応える義務がある。
そう、ただ勝つだけでは駄目なのだ。娯楽にうるさい観客たちである。華麗に、派手に、勝つ必要があるだろう。
「ふん……とりあえずだ、平民。逃げずに来たことは、褒めてやろうじゃないか」
視線を戻したギーシュは冷静になろうと、務めて平静な口調で話す。
「逃げるわけにはいかないだろ? 何しろルイズの命令だ。しがない使い魔としては断る訳にもいかないだろ?」
軽口をたたく才人である。ギーシュは明確な殺意をもって睨み付ける。
「ふふ…ダーリンがあんたなんかに負けるわけないでしょ?」
「サイトさんっ! お願いですからやめてください! 貴族に逆らったら殺されちゃいます!!」
何故なら才人は四人もの女性から声援を受けていた。自身は振られたばかりなのに、決闘相手はその自分を振ったモンモランシーを含め、四人もの女性から声援を受けている。女好きのギーシュとしてこれはキツイ。
キュルケはその豊満な胸を才人に押しつけ、挑発的な視線を送ってきている。
シエスタは必死になって袖口を引っ張っている。才人は泣いているシエスタに「心配すんなって、大丈夫だから」と慰めている。
モンモランシーは「やめた方がいいわ」と気遣っている。ギーシュには侮蔑の視線を送っているというのに。
ルイズはギーシュを冷やかな目つきで睨んでいる。あのゼロが話し掛けなければこんなことにならなかった。
っこの平民めっ! モンモランシーに加えて更に三人もだと? ……くっ、レディを泣かせるのは趣味じゃないが、殺してやるッ!
レディたちに微笑まれ、心配され、期待されて決闘に臨む。ギーシュの憧れがそこにあった。振りかえてってみれば今の自分はどうだ?
怒りを感じているのは確かである。だが、本当は才人に嫉妬しているのを誤魔化し、無礼な平民に教育を施すとの名目で決闘に臨んでいるのだ。
「さてと、では始めるから来たまえ」
ギーシュだってわかっている。モンモランシーに振られてしまったのは、二股を掛けた自分の自業自得ではある。だが、だからと言ってだ。
ここまで手酷く振られる羽目になることはないではないか!
平民たちにまで軽蔑の視線を受ける謂れはないではないか!
生意気な平民に制裁を与えるべく、ギーシュは才人に、舞台へと上がるように促した。
体面を保つためには才人を一方的に打ちのめし、平民に貴族の実力を示すしかないのだから。
◇
……ったく、ここまで予定通りだと呆れるね。信じられんアホだ。この分だとこの後も予定通りにいくってか?
さて、決闘を受けた才人だが呆れていた。ここまで簡単にギーシュが踊るとは思ってなかったのである。計画が上手くいかなかった場合に備え、モンモランシーには少しずつ露骨にアプローチさせようと思っていた。
だが、まさか微笑ませたくらいで本当に激高するとは、むしろ想定外であろう。
おっと、馬鹿が睨んでやがる。くく…このあとも上手くいくといいねぇ……。
苦笑いした才人は広場の中心へと歩いていく。ギーシュまで10メートルほどのところで止まる。そこで両者は対峙することとなった。
「……あのさ、決闘はいいんだけどさ、少し確認したいことがあるんだけどいいか?」
「……言ってみたまえ」
さあ、どうなることかと期待した。ギーシュは冷静さを装っているが、その睨みつける視線といい、しきりに撫でている薔薇の造花といい、興奮しているのが一目で見て取れる。
早く始め、才人を倒したくてうずうずしているのだろう。
「これさ、決闘って言ってるけど喧嘩なんだよな? まさか命のやり取りをするってわけじゃないんだろ?」
「……ふん、怖気づいたのかい? まったく平民らしい。命が惜しくなったのなら、そこに手を付いて謝りたまえ」
「いやいや、質問に答えてくれないか? これは命のやり取りなのか、それとも単なる喧嘩なのか、ギーシュ、答えてくれ」
「……安心したまえ。これは決闘ではあるが、命のやり取りではない。もっとも事故というものがある。だから命の保証はできん。怖くなったのなら、そこに手を付いて謝りたまえ」
「いやいや、決闘か、喧嘩かを聞いたんだけどな? つまりは決闘で、んで命の危険があるって事か? 喧嘩にする気はないのか?」
「っふざけるんじゃない! 決闘だ! 怖気づいたのならさっさとごめんなさいと謝りたまえ! そうなれば観客の諸君は知らんが僕は許してやろう。死ぬのが怖いのならさっさと手を付きたまえ!」
「ふ~ん、なるほどね。そっかそっか、決闘ねぇ……」
「っ君は僕を馬鹿にしているのかね? やる気がないのなら謝れと、先程から言ってるじゃないかね!」
直ぐにも才人を叩きのめしたいギーシュ、焦らされることでイラついてしまう。 その有様をニヤリと笑いながら才人は続けた。頭に血を上らせて置いたほうが都合がいいのだ。
ったく、正直理解できんね。決闘っていうのは、ふつーどっちかが死ぬか、致命的な傷を負うまでじゃないのか? そうじゃないなら喧嘩だと思うけどね。そんなのを決闘と言い切る神経が理解出来ん。
しかも本当なら杖を落させるのがスマートな勝ち方だってか? それじゃあ喧嘩というよりスポーツじゃないのかねぇ……。
「っいい加減にしたまえ! その気がないのなら早く謝りたまえ! そうでないならこっちから仕掛けるからそう思え!」
「や、ちょっと待ってくれ。聞きたい事があるんだって。それが済んでからからにしてくれ」
冷静さが完全に失われたと見た才人は始めることにした。こうなってしまえば相手は見下している平民だ。どんな提案でも脊髄反射で応えてくれるだろう。
ただ勝つだけならいくらでも方法はある。例えば視線を合わせて「これを食らいやがれ」とでも叫び、そのまま殴りかかればいいだろう。身体が硬直したギーシュは吹き飛ばされるはず。
だがギーシュを挑発し、完全勝利を掴んでこそ意味がある。才人はこの勝負をそう捉えていた。
「いいか? 決闘って言われてここまできたけどな。どうやれば勝ちになるとか聞いてないんだよ。それにだギーシュ、貴族と平民か? それだと決闘にはならないから処分されないとか言ってくれたけどな、俺はどうなるんだよ。
もし勝負を受けて俺が勝ったら処分されるとか、そんなことになるなら馬鹿らしい。そんなんなら勝負なんて受けれないね」
「き、きみは何を言ってるんだねっ! まさか貴族である僕に勝つつもりなのか? 情けなく土下座したのをもう忘れたって言うのかねッ!」
さあ掛かったと才人は思った。「ちょっと待てよ、ギーシュ。今の言葉は聞き捨てならないな」と問い詰めていく。
「ギーシュ、決闘ってことはどちらにも勝ち目があるから決闘なんじゃないのか? まさか魔法を使って一方的に嬲ろうって腹積りだったのか?」
「っ僕はメイジだ! 魔法を使って何が悪いって言うんだ!」
これで詰みか? そう思いながら続ける。
「ん? だから言っただろ? 喧嘩だと思ってたからさ、武器も何にも用意してきてないんだよ。ギーシュ、オマエのこったから下手に怪我させようもんなら逆恨みするんじゃないかと思ってさ。
ここは一つ素手の勝負ってことにしない? そうすりゃお互い致命的な怪我をしないだろ?」
「っ……僕に怪我をさせると心配しているっていうのかね? ……いいだろう。素手での勝負にしようじゃないか。それに僕を傷つけてもかまわない。っその代わりだ。どんな怪我をすることになっても恨んだりするなよッ!」
憤怒で真っ赤な顔をしているギーシュ。これで詰んだと才人は思った。
くく……馬鹿な奴だぜ。有利さを自ら捨てるとはねぇ……。
ギーシュは気付いていないが、これで勝ちは揺るがなくなった。ルイズたちの情報からギーシュの魔法がワルキューレと言う名の青銅製のゴーレムだとわかっている。
中身のないゴーレムだと言うが表面は金属で、人間なみの動きすると言う。それが七体。しかも武器を持っているというのだから、魔法を使われては勝ち目はない。
「くく…そう? じゃ、そういうことにしよう。決闘を受けたのは俺だから勝利条件は俺が決めさせてもらうぜ?」
「かまわん! 言いたまえ!」
「おー怖い怖い。んじゃ言うぜ? どっちかが参ったと言うまでだ。それまではどれだけ怪我をしても自己責任ってことでいいか? それから貴族を殴ったとかで因縁をつけてくれるな。それを誓ってくれるなら決闘を受けてやる。それで構わないか?」
もう我慢の限界に来ていたギーシュ。「それで構わん!」と吠え、そのまま殴りかかってきた。
◇
言うが早いか、ギーシュは駆けだした。才人は魔法を使わないとわかったとたん、あからさまにほっとした顔をしたのだ。
それからはニヤニヤ嗤いながら挑発的な言動を繰り返してくる。
怪我をしても自己責任? 殴ったからと因縁をつけるな?
思い上がった平民がっ! 情けなく土下座したのをもう忘れてるのか! 貴族に平民は勝てないって思い出させてやる!
才人の言動はもう勝負に勝っているかのような物言いである。あの思い上がりの鼻っ柱を叩き折る! 平民は貴族には勝てないのだと教育してくれる! 感情の高ぶりのままに、ギーシュは渾身の力で殴りつける。
……あー、ホント、アホ丸出し。
才人はそんなギーシュを余裕の笑みで見つめると、ひょいとその身を縮めてみせた。
「……え?」
やったことは単純である。ただ屈んでみせ、そのまま足を引っかけただけ。何しろ顔面を殴ると丸わかりのテレフォンパンチ。それも渾身の力を込め、足元の注意はお留守。
空振れば当然身体は流れるのだから、足を引っかけるくらい簡単だった。散々焦らし、挑発した甲斐があったというものである。
「ぐ、ぐおぉぉおぉ……!」
ずっしゃあああ……と派手にすっ転んだ。真っ赤な顔になったギーシュ。観客から一斉に笑い声が沸き起こった。
痛みと屈辱に顔が歪みそうになるのをじっとして耐え、それでもなんとか起き上がろうとする。これからこの屈辱を与えたくれた平民に制裁を加えなくてはならないのだ。
ったく、怒りを堪えるよりも今はやるべきことがあるだろうによっ!
それを才人は胸に刺してあった、地面に落ちた造花を拾おうとしていた腕を蹴り、そのままギーシュにマウントポジションを取ったのだった。
「き、きさま……」
「はい、ご苦労さん。降参するか?」
「っだ、誰が平民などに……」
その言葉を待っていた。
何しろプライドの高い貴族。一発も殴られないで負けを認めるわけがない。マウントポジションの不利を充分に理解しているとも思えない。
だが、これだけは聞いておかなくてはならなかった。降参を勧めたという事実がなくてはならない。これから行う事には正当性がなくてはならないのだ。
「ぶふっ!」
あとは単純である。ただひたすら殴りつけるだけ。マウントを取ったのだから、キザなそのツラをボコボコにすればいい。
……くく、どこまで耐えられる? 今の俺の相手をするのは辛いぜ? 殴り疲れるなんてありえないんだからよ!
殴る。殴る。殴る。才人はルーンの効果で強化されている。何故なら奴隷を責めるにはそれなりの力と体力がいる。
ガンダールヴには及びもつかない。だがリーヴスラシルには熟練の戦士くらいの身体能力は備わっているのだ。
殴る。殴る。殴る。ギーシュが降参しないのだから仕方がない。タップの合図などないのだから仕方がない。うめき声をあげそうになったらひたすら殴る。
この程度で済ますわけにはいかないのだ。万が一にも「参った」と言わせないため、その憎むべき顔を殴りつける。
あまりの一方的な展開に周囲がざわめき出す。貴族が平民を、ならば問題がなかったであろうが、才人は平民、ギーシュは貴族なのだ。予想外の展開に戸惑っているのである。
くっくっくっ! そういやレフェリーがいないんだったな! 確かにこいつは決闘だぜ! 前言を取り消してやるよ、ギーシュ!
それが才人には心地良い。顔面を殴りつけ、抵抗しようと伸ばしてくる腕をスゥェーし、肩口を殴りつけてから、再度顔面を殴りにかかる。血に酔った才人はひたすら殴る。その時であった。
「サ、サイトさん! もうやめてください!」
心優しいシエスタが止めに入った。それで才人は殴るのをやめた。
「……ギーシュ、降参するか?」
ギーシュは答えない。顔全体が腫れ上がり、鼻も折れて鼻血が吹き出し、血まみれの顔になっている。
だがその表情には怯えが見え、才人がニヤリと嗤いながらゆっくりと腕をあげていくと、ようやく「ひぃっ」と小さく悲鳴をあげた。
「くく…随分と男前になったな、ギーシュ。続けるか? しゃべれないなら態度で示せ」
ギーシュは力なく首を振る。完全に戦意を喪失していた。
「ギーシュ。シエスタの優しさに感謝しろよ? 貴族だって威張ったところで、オマエ程度なら楽勝なんだよ」
ギーシュはうなずく。心が折れ、逆らう気がまったくおきない。
「さっ、シエスタ。仇は取ってやったぜ?」
「もうっ! サイトさん、やりすぎです!」
才人はニヤリとシエスタに笑い掛けた。その悪戯っぽい笑みにシエスタは顔を赤らめる。
ギーシュはこれでやっと終わったんだと重い疲労感が体を襲う。意識が急に遠くなって気絶した。
……馬鹿が。くく…シエスタももうちょっと待ってくれりゃあなぁ、…殴り足りないぜ。ったく。
ギーシュの顛末を見届けた才人はニヤリと笑う。これでいくらかスッキリ出来た。あとは仕上げである。
ルイズとモンモランシーに後始末を任せ、正々堂々とした決闘であったことをアピールさせなければいけないだろう。
そして平民が貴族を打ちのめしたなど、事実を認められない馬鹿に備える必要がある。
「すごいわ! サイト! 勝つとは思ってたけどあんなに一方的になるなんて!」
「んなもんギーシュくらい楽勝だって。食堂で謝ったのは丸く収めようとしただけ。流石に二回も勘違いさせるとギーシュのためにも良くないしな」
そのためにはキュルケを張り付かせておけばいいだろう。トライアングルのキュルケに突っかかる馬鹿はそうそういまい。いたとしても奇襲さえ防げればそれでいい。
衆人環視でなければ力は使い放題なのだから、忘れさせてしまえばいい。
「さっ、腹が減ったし厨房にいこう。勝利を祝って乾杯でもするか?」
「そうね、そうしましょ、ダーリン!」
厨房へと戻った才人はマルトー親父に「よくやってくれた! 我らの拳!」と感謝され、シエスタに微笑まれて気分が良かった。
そしてギーシュである。無様に負けてしまい、周囲から憐れみと侮蔑の視線を受け、失意のままに医務室へと運ばれたのだった。
◇
「はああぅンぁぁあぁあああぁああっッ……! す、すごいぃぃ……凄すぎですうぅぁぁ……!」
「おう! くく…ちゃんと働きゃあ、褒美をやる。だから頑張るんだぜ?」
石造りの部屋である。淡いランプの光が室内を支配している。ベッドにサイドボード。本棚に机。一つ特徴をあげるならビンやフラスコの類が目立つことであろう。その部屋では才人が一人の女を後ろから責めていた。
ぱんぱんぱんと腰を振り、その度に女は嬌声をあげる。
女が才人に抱かれるのは初めてではない。だが、とても回数をこなしているとは言えないだろう。膣もアナルも含めて、これでようやく両手の指にかかったと言ったところである。
だが、女の身体は才人を求めてやまないようにされていた。
……ったく、なんでギーシュなんぞに惚れたのかねぇ……俺にはわからんぜ。
女の名前はケティ・ド・ラ・ロッタ。トリステイン魔法学院の一年生。蓑火の二つ名を持ち、お菓子作りが趣味な火メイジである。栗色の髪をした、ちょっと内気な可愛い少女だった。
「おうらっ、出してやんぜ! 中が良いか、飲んでみたいか言ってみろ!」
「!っな、中です! 中にたっぷりくださいっ! わ、わたしそれがいいのぉおぉぉ……!」
それなのに今は中出しをせがむ女になってしまっている。それは何故か? 答えは簡単であった。才人にはその方が都合良かったのである。
「!はぁああぁんンン……っ、い、イぐぅうぅぅうぅうふぅぅ……!」
膣内に大量の射精。同時に本日一番の快楽で絶頂へと追い込まれる。
中出しが何よりも大好きなケティ。膣奥に迸りを感じたならば、イってしまうのは当たり前だった。
「ふぅ……さ、褒美は終いだ。後始末を始めろ」
「っはあぁあぁぁんぅぅ……、わ、わかりまひたぁ…ら、ららいまやりましゅぅぅう………ああんむ…うふっ、お、おいひいのぉおぉ…ちゅる…ちゅぱちゅぱぁ…んふふふふ……ちゅばああっ……」
今のケティは中出しマニアの精液中毒。もちろん才人限定である。試してはいないが、もしも他人のならば嫌悪感を示すであろう。
そして才人はケティの忠誠心を最高に、そう、神に仕える狂信者のようにしたいと願った。
「ぅうふふ…じゅろるる…お、おいひいぃい…おいひいのぉぉ…ぴちゃぴちゃ…じゅる…ぱはぁつ…んふふふン……ぺろっ…」
それは何故か? ケティがリーヴスラシルの能力確認に丁度良かったからだ。
別塔の一年生。つまり終始構っている訳にはいかない。そうなると何処でボロが出るかわからない。
まだ完璧に能力を把握しているとは言い切れないし、不自然な点を見張らせるには、今の手駒は全て二年生なので不適当である。
実験の丁度良い時期に手に入れた奴隷であるし、どうせ精神をいじくるならばと、才人のことを至上にするようにと考えた。その方がボロが出にくいと思ったのだ。
これからケティは才人のためならと、どんなことでもするようになるだろう。
……くく…まあ、一番の理由は面白そうだったからなんだけどな……。
淫蕩な笑みを浮かべ、ケティは肉棒の後始末へと熱中している。
「うふ…ぬふふふっ…あ~んっ、…ぬっぽぐっぽ…うふ…くふふふ……ちろちろっ…」
「…………」
そしてそれを辛そうな表情で見つめる金髪の少女。
「モンモランシーもお手柄だったな。終わったし褒美をやる。…くく…それとだ。ケティは嫌がるかも知れんが、まんこの中身を吸い取ってやれ」
「…わかったわ。ケティ、お尻を向けてちょうだい」
「!っあぁんんんぅぅ…嫌ですぅぅう……このせーしもわたしのなんですぅぅ……うふ…あぁン…ほ、ほいしいのぉぉおぉ……! ぬぷぷっ…じゅじゅるるるっつ…ぱはぁン……ちゅううっ…」
肉棒を咥え、お尻を振りながら逃げる。ケティにとっては数少ないチャンスなのだ。思う存分味わいたいと思うのは仕方がない。いずれ才人は「もうお終いだ」と言うだろう。そうなったらケティとしては中身を掻きだし、ゆっくりと味わいたかったのだ。
「そんなこと言わないで。ねっ、ケティ。サイトが言ってるの。わたしにも精液ちょうだい」
「んふふ……サイトさまがおっしゃるならぁ、しかたないですぅ……もったいないけどぉ、せーしあげますぅぅ……」
「……ありがとう、ケティ。…………はむ…じゅ…じゅるるるるっ…ぴちゃ、ぴちゃ…ずずず……ちゅるっ」
ケティのお尻を割り広げる。トロトロと流れている白濁液。お尻へと顔を埋めたモンモランシーは口に含み、味わうように舐め、啜り取っていく。
…ふふっ…これでわたしもキュルケと合わせて二人目、か。偽善だとわかっていても慰めたくもなってくるわよね……。
モンモランシーは己の罪深さにケティの顔を見るのが辛い。ほんの数日前まではケティはこんな淫乱ではなかった。内気な可愛い少女だった。こうなったのは自分のせいなのだ。
……今ならルイズの気持ちが良くわかるわ。どうしたって逆らえないもの。それでも可哀想で、経験から気持ちがわかって、せめてわたしもあなたと一緒よって。
そう言うには態度で示すしかないんですもの……。
上級生の立場を利用し、話があるとケティを招いた。
びくびく警戒しているので「アドバイスしたいと思っただけですわ。…ケティ、これからギーシュと付き合うことになるんでしょう?」と微笑んで見せた。
自分がルイズにやられたように、ケティにこれからの運命を説明し、準備の手伝いをさせられた。
絶望しているケティの身体を押さえつけ、「サイト、ケティの準備が出来たわ」と、自らの手で生贄を差し出した。
……ケティ、わたしも一緒。引き返せないのはわたしも一緒よ。いずれはわたしもケティと同じになるかもしれない。…だからケティ、それまで待っていてちょうだいね……。
中出しをされた時、ケティは泣き狂っていた。それなのに――才人が言い聞かせていくうちに段々とおとなしくなり、肉棒の後始末を命じた時には嬉しさに顔を輝かせるほどに変えられた。
その一部始終を真っ青になりながらモンモランシーは見守った。精神を変える力が本当であると知ってしまったのだ。
その時だろう。折れていた心は粉々に砕け散ってしまう。
……ごめんね、ケティ。あなたの大好きな精液を奪ってしまって。その代わり一生懸命やるから許してちょうだい……。
何でこうなってしまったのか? それが才人の計画だったからである。
あれだけ無様に叩きのめされたギーシュだ。ならもう学院に立場がないと、自主退学を選んでしまうかもしれない。体面を重視するトリステイン貴族なら尚更だ。
くく…希望があれば、残りたいって思わないか?
ルイズやモンモランシーに言わせれば退学は実家に面目が立たない。だからそうそう選択は出来ないだろうと言う。だが、才人としてはもっと確実性が欲しかったのだ。
「ケティ。わかってるな? ギーシュの行動を逐一一年生に流せ。そうすれば気持ち悪いって近づくやつはいなくなる。どこか適当なところで別れさせてやるからそれまで耐えるんだぜ?」
「はーい、わかってますわぁ…うふふんぅぅ…ちゅぱ…それまではぁ、んふっ頑張りますぅ……れろえろっ…ちゅぅうぅッ……」
故にケティを手駒にしようと思った。モンモランシーにギーシュの件で話があると部屋に呼び出させ、その場で犯した。そんな理由でケティは中出しマニアの精液中毒に堕とされたのだ。
これからケティにはギーシュの慰め役を務めてもらい、一年生の情報収集をさせる。そして落ち着いたところで、ギーシュを捨ててもらう。
そうなればどうなる?
ギーシュは今後、友人たちから平民に負けたと嗤われ続けるだろう。従業員たちにも表面はともかく内心で嗤われ、一層嫌われたままに過ごすことになろう。
そんな中、ケティだけが唯一ギーシュに優しく接する。そうなれば必ずや食いついてくる。そしてその思慕がピークになった時、摘み取ってやる。
ギーシュはさぞや落胆するに違いないのだ。
馬鹿が! せいぜい希望を持って生きろ! そして立ち直ったらまた絶望に落ちろ!
足元に目を向ければ嬉しそうに肉棒を頬張るケティ。
その背後にはぴちゃぴちゃとそのケティの秘所から精液の残滓を舐め取っているモンモランシー。
ギーシュが執着していた二人の女。それを奴隷とすることが出来、才人は満足だった。