「さっきのなかなか手強かったな」
「そう?」
旧都の街並みを見下ろしつつ、霊夢と魔理沙は仲良く並んで飛ぶ。
「ああ中々の初見殺しだったと思うぜ?」
「妬ましい妬ましいってうるさかったのは確かね。あら?」
へらっとした面で手を降る夜智王が霊夢の視界に入った。
隣には背の高い、頭部に見事な一本角を生やした女が居る。
「夜智王さんじゃない」
『ありゃ?』
「どうしたのよ」
通信機となった陰陽玉から萃香が妙な声を聞こえてくる。
『隣の女、ありゃぁ勇儀だ』
「知り合い?」
『ああ、あたしと同じ鬼だよ、手強いよ霊夢、気を付けな』
了承を意を返そうとした霊夢だが、すっとその目が半目になる。
「ちょっと魔理沙」
またぞろぷるぷる震え始めた魔理沙が霊夢の背中に張り付いていた、飛びにくいことこの上ない。
「な、なんで夜智王がここにいるんだよぉ」
「知らないわよ、ちょっと!離しなさいよ!どこ触って!くすぐったい!」
このままでは墜落する、そう判断した霊夢は、魔理沙ともつれ合うように地面に降下、夜智王達が居る辺りに着地する。
出迎えた夜智王は笑顔で二人に話しかけてくる。
「やぁ巫女殿に魔理沙、遠路遙々ご苦労だな」
呑むか?と駆けつけ三杯とばかりに杯を差し出す。
「結構です。それよりも本当に魔理沙に何をしたんですか?」
鬱陶しいんですけど。と酷い事を言う霊夢。
そんな霊夢の背中に隠れ、魔理沙は小動物の様に震えている。
「知りたいか?」
「別にどうでもいいです。ただなんとかしてくださいね」
そう言い魔理沙を引き剥がし、ぺいっと夜智王の方に放る。
ひぃっ!と悲鳴をあげる魔理沙、足をとられて転びそうになるのををすかさず夜智王は受け止める。
「や、やだ!離して!」
「何もせんよ魔理沙、そう怯えんでくれ」
悲しくなってしまう。と夜智王は心底楽しそうな声で言う。
地上では魔理沙のサポート要員……パチュリーとアリスが「何をしたの?」「別に?」と険悪な空気を醸し始め、霊夢は勇儀と段幕ごっこをおっ始めたので、誰も魔理沙を助ける者はない。
ぱたぱたと力なく暴れる魔理沙を逃がさぬよう夜智王は彼女を抱き締める。
「やぁだ、離せぇ」
「素敵な一夜だったというのに、魔理沙もあんなに気持ち良さそうにしておったではないか?ん?」
「やめろ!思い出させるなぁ!」
「忘れといわれてもなぁ?」
くすくすと笑う夜智王。
いけないと分かっているのだが、あまりに愛らしい魔理沙を見ていると、ついつい苛めたくなってしまう。
魔理沙が夜智王を怖がるようになった一件、身から出た錆とはいえ、少々やりすぎたかな?と思わないでもない。
話は数日前に遡る。
「派手にやられたな」
紅魔館地下大図書館。
倒れた書架、床に散乱する書物を眺めて夜智王はそんなことを言う。
現状復帰に異界から召喚された小悪魔達がぱたぱたと飛び回っていた。
別に地震があったわけではない。
長椅子にぐったりと寝そべり、頭の上に氷嚢を乗せた少女。
ここの主たる魔女、パチュリー・ノーレッジと魔理沙の段幕ごっこによって生じた被害だった。
“借りる”と称して物を無断で持って行き返さない。
世間一般では「窃盗」と呼ばれる犯罪なのだが。
独特の価値観と収集癖を持つ魔理沙が良くやる「悪癖」であった。
「で?ワシに頼みとはなんだ?」
「本を……取り返してきて……こほっ」
息も絶え絶えにしゃべり、時折空咳をするパチュリー、ごく自然に夜智王は彼女を引き起こすと背中をさすってやる。
「大丈夫か?」
ひゅーひゅーと細く喘ぐ吐息、喘息患者特有の症状である。
魔法使いの宿命とでも言おうか、魔法の実験で有毒な物質を扱うため、彼女は体が弱い。
「あり……がとう、大分楽になった……」
「まったく魔理沙にも困ったものだな。なんなら少しお仕置きしてやろうか?」
軽い気持ちで夜智王は言う。
「お願いしよう……かしら」
「おいおい、本気か?ワシの“お仕置き”だぞ?」
「本当に痛い目に会う前に、一度、思い知れば……いいのよ」
あなたなら、上手くやるでしょう?と何やら含みのある言い方をするパチュリー。
「ふふ、お主は健気だなぁ」
「うるさいわよ」
半目になってこちらを睨むパチュリー、その頬に唐突に夜智王は軽く接吻した。
突然のことにパチュリーの顔が真っ赤になる。
「なっ!なにを!」
「うん?いやパチュリーが可愛らしかったので、ついな」
「か、かわっ!?かわわわ!!」
「興奮するな、身体に障るぞ」
どぅどぅと興奮するパチュリーをなだめる。
むきゅーと興奮のしすぎで目を回すパチュリー。
「ま、あの手癖の悪さはワシも少々腹に据えかねておったし、丁度良かろう」
そういうことになった。
「(あれ……?なんであたしは寝てるんだ?)」
微睡みの淵で魔理沙は小首を傾げる。
「(しかも……ここはあたしの家じゃ……ない?)」
ベッドの感触も、鼻孔を刺激する空気も、住み慣れた我が家とは違う。
必死に薄ぼんやりとした記憶を探り出す。
「(そうだ、本を借りようと思って紅魔館に行って……)」
そう、あの引きこもりのパチュリーを、夜智王が連れ出しているのを目撃したのだ。
嫌がるパチュリーをお姫様抱っこして、にこにこ顔の夜智王が霧の湖の方に向かっていったのだ。
「たまには日の光を浴びんと健康に悪いぞ」とか言っていた気がする。
そうだ、間違いない。
「しめたチャンスだぜ」と魔理沙はさっそく図書館に忍び込んだ。
いつもは妨害してくるパチュリーも居ないわけだし、借り放題……だったはずなのに。
そこでぷつりと記憶は途切れていた。
「そろそろ起きろ魔理沙や。でないとちゅーしてしまうぞー」
「ひぃ!?」
つんつんと何者かが頬をつついた。その感触と、キスをする、という脅しに急速に魔理沙の意識は覚醒する。
慌てて身を起こそうとするが、果たせない。
ひどく体が重く、頭がじんじんと痛む。
「おはよう魔理沙。可愛い、というにはちと間抜けな寝顔だったぞ?」
声の主。夜智王は魔理沙の口から溢れた涎を拭ってそれをぺろりと舐める。
その行為に、魔理沙は恥ずかしさから真っ赤になる。
「や、夜智王?なんで?ていうか人の唾、なめっ!?」
「しかしあっさり引っ掛かったのぉ」
「ほ、引っ掛かった?」
「本を盗む、頭の金色な鼠退治をパチュリーに頼まれてな」
頭の金色の鼠、というのが自分だと察した魔理沙が抗議の声をあげる。
「あ、あれは借りてるだけだぞ!」
「無断で借りて、返さないのはな、窃盗というのだよ」
「だってお前らにしてみれば、むにゅ!」
人間一人の寿命なんてあっという間、あたしが死んだら取り返しにこい。
そう続けようとした魔理沙の口を、夜智王の指が阻む。
ぷにぷにと柔らかな唇の感触を楽しむようにしながらも、ふっと夜智王は寂しげな笑顔を浮かべて魔理沙を見つめる。
「お主は酷いことを言うな、魔理沙」
「な、何を……」
「人と親しむ妖怪の気持ちが、そなたに解るか?」
「……なにを」
魔理沙にしてみれば「あたしより先に死ぬなよ」という一種の好意的表現なのかもしれない。
だが、それは言われた方にしてみれば、特に長命の者にとって、酷く残酷な言葉であった。
長く生きて精々百年。
どれだけ愛そうとも、必ず人は妖を置いて先に逝く。
その短さは蜉蝣にも似て儚く。それゆえに眩しいほどの光を放つ。
闇夜に映える花火にようだ、と夜智王は人の一生を思う。
その光の強さ、死に向かって懸命に駆けていく熱に。
触れれば壊れてしまうような脆さ、儚さに、どうしようもなく妖は魅了されてしまう。
儚いがゆえに愛しく切ない。づすることもできないジレンマ。
喪失を恐れ人から距離を置く者が多い中、夜智王は好んで人と交わり、情を交わす。
当然の帰結として、幾度も消失を味わい続ける。
「あ……う……」
気がつけば儚くなっていた者もいる。
その腕の内で看取った者もいる。
愛せば愛すほど、その別離は夜智王の心にヤスリをかけ、傷付け、磨耗させていく。
「ワシは人を食わんがな。時折衝動に駆られることがあるよ。この愛しい人間を喪う前に、この手で殺めて食ってしまおうか……とな」
本能の赴くままに人を食らう低級な妖怪と違い、ある程度の力を持つ妖怪にとって「喰う」というのは歪んだ、だが最大の愛情表現なのだ。
それ程に夜智王は人が愛しい。
泥寧の闇の底に住まう妖怪は、どうしようもなく人の放つ光に惹かれ、その身を焼かれ続ける。
透明な狂気を瞳に宿した、寂しげな微笑。
それに魔理沙は圧倒される。
短い付き合いだが、どうしようもなくスケベで、カラカラと良く笑う、陽気な、変わった妖怪。そんな夜智王の印象とはまったく違う。
好んで人と交わるこの妖怪はどれ程の別離を繰り返してきたのだろうか?
金色の光彩のに魔理沙を写しながら、どこも見ていない瞳。その最奥に宿る闇の深さに魔理沙は恐怖した。
「あ……う……」
「だからな魔理沙や。悲しいことを言わんでくれ」
人間同士ならばな構わんよ?自分より先に死ぬな、という魔理沙なりの好意の表現なのだろう?と夜智王は続ける。
一日でも良い、自分よりも長生きしてくれ、自分を遺して逝かないで欲しい。
それは親しい相手への、孤独な愛情表現であろう。
「だがな、ワシらが目を逸らしとる、だが心の底では怯え続けとる、別れを思い出させることは言わんでおくれや」
淡々と、だが静かに慟哭するような悲しみに満ちた声で、夜智王は魔理沙に懇願した。
到底「否」と言える訳もなく、がくがくと震えるように魔理沙は首を縦に振り承諾の意を示す。
「わ、わかったよ……気を付ける」
「よし、いい子だ」
ぽんぽんと夜智王は魔理沙の頭を軽く叩く。
「まぁ、悪い子だった魔理沙へのお仕置きはするがな」
「……え?」
「安心せい痛くは無いぞ、むしろ気持ち良すぎて気が狂うかもしれんがな」
「……嘘」
「嘘ではないぞ?」
先刻までの悲しげな雰囲気は塵程も残らぬ、屈託の無い笑顔であっけらかんと言う夜智王に、さっと魔理沙の顔が青ざめる。
この蛇のする「お仕置き」など、当然いやらしいことに決まっている。
「いや……やだ!あたし、初めて……」
「あー安心せい、無理矢理処女を奪ったりせんから」
「ほ、ほんと?」
「ああ、約束する、処女はおろか、唇も乳も一切手出しはせんよ」
ほっと安堵する魔理沙だが、では一体何をされるのか?
急速に不安が沸き上がる。
「な、なにする気だよぉ」
「まぁ手始めに、着せ替えごっこかな」
「ひっ、やだ、はずかしい」
「ダメだ、言ったろう?お・し・お・きだと」
やだやだぁ!と悲鳴をあげて半泣きになる魔理沙。
そんな魔理沙に、嗜虐心に満ちた笑顔を向ける夜智王。
ぱんぱんと手を叩くとドアが開き、パチュリーと小悪魔が入ってくる。
「どう首尾は」
「上々だ」
「そう、さすがね」
「ぱ、パチュリー!いやパチュリーさん!た、助けてくれ!」
「嫌よ」
にべもないパチュリーであった。無理もないが……
「さて小悪魔や、魔理沙の着替え任せたぞ、ワシは準備があるでな」
「は~い」
すみませんねぇ魔理沙さん、と心底申し訳なさそうに小悪魔が魔理沙を脱がし始める。
抵抗しようにも体が思うように動かない魔理沙は為す術もなく素っ裸にひんむかれ、夜智王が用意したらしい衣装に着替えさせられる。
「うむ。よぉ似合っておるぞ。可愛い可愛い」
「ひっく!……はずかしいよぉ……みるなぁ!ばか!すけべ!」
「しかし最初からジャージにブルマーとは、小悪魔、お主中々に通だな」
「お褒めに預かり恐縮ですぅ」
外界の現実からは絶滅した「ブルマ」を履かせた体操着スタイル。
少し小さめのサイズを用意したせいか、ぴっちぴちで、体の線がもろわかり、でいやらしいことこの上ない。
「胸は小さめですけど、魔理沙さんはスタイルが良いですよねぇ」
「うむ眼福だの」
くびれた腰から突き出した尻の曲線をじっとりと夜智王が視姦する。
そのいやらしい視線に、魔理沙はたまらず悲鳴を上げる。
ままならぬ体を懸命に動け!と命じて視線から逃れようとするが、かえって悩ましい動きになり、見るものを楽しませるばかりである。
「見るなよぉ!ばかぁ!」
「小悪魔、上着の裾をちとめくれ、ヘソチラだ」
「かしこまりました~」
「や、やめろ……あ、やめてぇ」
ぺろりと裾から捲り上げられ、可愛らしい臍が覗く。
「うむ、よいのぉよいのぉ、可愛いぞ魔理沙」
ぱしゃり、と夜智王が取り出したカメラで魔理沙の恥ずかしい格好を撮る。
「写真!?写真だめ、とっちゃだめ……」
「何を言っとる、記念撮影は大事だ、なぁパチュリー」
「そうね、脅しの材料になるし」
「ひ、ひぃ!」
「よーし小悪魔、ひっくり返せ、次は後ろから撮るぞ」
「はーい」
「やだ、やだぁぁぁ!」
「うむ良い尻だ、魔理沙は安産型だな」
夜智王はぱしゃぱしゃとシャッターを切りまくった。
「も、もぉ許してぇ」
体操服に始まり、チャイナドレス、ナース服、セーラー服、メイド服、巫女服(脇巫女仕様)、スク水、ビキニ、バニー、エプロン、と取っ替え引っ替えにコスチュームプレイ&セクシーポーズでの撮影を繰り返され、魔理沙の心はすでにボロボロだった。
だというのに、止めとばかりに最後の衣装に着替えさせられる。
セクシーランジェリーであった。
肌が透けて見える紗製のキャミソール、随所のレースやリボンなど一見可愛らしく見えるが、胸元のリボンで留めるタイプで前は大胆に開いており、可愛らしいヘソが覗いている。
ブラジャーは清楚な純白、これまた縁取りのフリルや胸元のリボンが愛らしい。
しかし肝心のカップが薄い生地の上に大胆なデザインで、桜色の先端こそ隠していたが、薄い膨らみを覆うにはあまりに頼りない。
普段のドロワーズと違い、穿かされたショーツはこれまた白。
ワンポイントの赤いリボンが可愛いらしいが、布地がやたら小さく辛うじて秘所を隠しているいるものの、前は下腹部の大半、後ろも尻がほとんど丸出しだった。
おまけに紐パンである。
一見すれば可愛らしいが、実のところおそろしくいやらしい下着姿にされてしまった魔理沙は、半べそかきながら、はずかしそうに身をくねらせる。
その仕草が愛らしさといやらしさを、一層煽っていることに彼女の理解は追い付いていないようだった。
「本当はガータートストッキングもと思ったが……むしろ生足の方がそそるな、健康的なエロさがある。可愛いぞ、魔理沙」
そう言って、夜智王は魔理沙の足を取ると、ちゅと接吻する。
「ひっ!やめ……っ!……なめっ、やめろ、なめるなぁ」
ぺろり、ぺろりと足の指を舐められ、そこから電流のようにこそばゆさと不可思議な感覚が魔理沙の体を走る。
「やだ、なんかぞくぞくするよ。やめてよぉ」
「なんじゃ魔理沙はおこちゃまだの、快楽が怖いのか?」
「やっ!やぁぁぁ」
脚を這い上がるように夜智王の舌が舐めあげる。
膝小僧に接吻の雨を降らされ、魔理沙が悶え転がる。
性に不馴れな、まるきり生娘まるだしな様子に夜智王がにぃ、と笑う。
「お主霖之助を想って自慰などせんのか?ん?」
「そ、そんなこと、しないよぉ!」
羞恥に染まる白い肌を愛でつつ、夜智王は「それはいかんなぁ」としたり顔で言う。
「乙女の時は短いのだ。もっと色気を身に付けて、積極的に誘惑せんとあの鈍感は落とせんぞ?」
「香霖とは、そんな、関係……ゃあっ!やだ、お尻なでちゃだめっ!うぅぅぅ、やっ、くすぐったい!みみ!やめろ、息を……ふぁぁぁぁ」
ふぅと夜智王が魔理沙の耳に息を吹き掛ける。全身に走る快楽にも似たこそばゆさに魔理沙が体を震わせ愛らしい声を漏らす。
「なんじゃ、嫌だ、恥ずかしいといいながら、ずいぶんと艶めいた声で鳴くなぁ?うん?」
実に愉しそうに夜智王が魔理沙に囁きかけながら、むき出しの魔理沙の胴に指を伸ばす。
体の正中線にそって胸元から下へ指を這わして行く。
「あっ……ふぁぁ……やだぁ」
薄い胸の膨らみの縁を指が這う。
確かに乳房には触れてはいないのだが、ただ肌をなぞられているだけだというのに、魔理沙の口からは快楽の混じった切ない声が漏れる。
「そろそろ効果が出る頃なのだがな」
「こう……か?」
「パチュリーとワシが共同開発した特製薬だ。永遠亭の月の賢者殿も「問題なく効果を発揮する、人体に害はない」と太鼓判をおしてくれたそうだから安心せい」
「ひぇ……や、やだやだ!なにするきだよぉ!」
ひぃ!と突然魔理沙が悲鳴をあげる。
どくん、と心臓が脈打ち、全身の血の気が下腹部に集まるような感覚に恐怖する。
「あ、あつい……なにこれ、お、おなかが……いやだ、こわいよぉ」
「すぐに楽になるから安心せい」
恐怖と謎の感覚に震える魔理沙を労るように、手を握ってやると反射的に魔理沙は握り返す。
爪が食い込む程に夜智王の手を握りしめ、悶え狂わんばかりの感覚に耐える。
「あ、あ、なんか……へん、きちゃう、なんか……でてきちゃうよぉ!」
まるで絶頂でも迎えたかのように、背を弓なりに反らせ全身を痙攣させた魔理沙が悲鳴をあげる。
震えが終わり、ぐったりとベッドに身を投げ出した魔理沙は、はぁ…はぁ…と荒い呼吸を繰り返し、なにやらもぞもぞと脚を動かしている。
「ふむ、どうやら問題なく効いたようだな」
「やち……はぁ……なにしたんだよぉ……ふぅ……なんか苦しい……え?え?きゃぁ!」
苦しげに喘ぐ魔理沙の股間を夜智王が指差すと、可愛らしい悲鳴が漏れる。
小さな下着からはみ出した物。
先刻から感じていた股間の違和感の正体、それは……
「おう、これはまた立派なモノが生えたな」
「な、なに、これ?」
「何ってナニだよ。ちんぽだちんぽ」
わざと卑猥な言い方をして、夜智王はつんつんと魔理沙の股間に生えた一物をつつく。
「や、やめ!つついちゃだめ。やめてぇ!」
男性器で感じる未知の感覚、淡い快楽にびくびくと魔理沙が痙攣する、無視して夜智王は魔理沙に生えた男根を玩ぶ。
「ははは、敏感なちんぽだなぁ、ほれむくむくと大きくなり始めたぞ?」
本来なら秘裂があるべき魔理沙の股間はすっかり男の物と化しており、睾丸まで備わっていた。
弄られあっさりと半勃ちになった魔理沙の肉棒に、女の様にほっそりとした夜智王の指が絡み付く。
「もっと可愛いのが生えるかと思っておったが、いやはや中々に立派なちんぽではないか」
根本をくにくにと弄りながら、先端から裏筋にそってつつつと指を這わす。
当然のように魔理沙が悲鳴をあげる。
「ひっ……やぁ……ううっ!やめ、やめてぇ!」
「泣かんでもいいだろう……気持ちよかろ?」
そういって紐をほどいて下着を取り、可愛らしい“おいなりさん”を機能を確かめるように揉みしだく。
奇妙な「男の快楽」に魔理沙は頭が真っ白になり、くらくらとしてくる。
「やだ、こわいよぉ、こんなのへんだよぉ」
ぼろぼろと涙をこぼしはじめた魔理沙。
さすがに少し可哀想になったのか、夜智王の手が離れる。
「反省したか?」
「したよぉ……だから」
「もうあんなことは言わんな?」
「言わない、言わないから」
とってぇ、と魔理沙は懇願する。
よしよし、と泣きじゃくる魔理沙の頬に接吻し、こぼれ落ちる涙を舐めとる。
「よし、ではお仕置きも住んだし、いい子の魔理沙にご褒美をあげねばな」
にぃ、と夜智王の顔が嗜虐に歪む。
「やだ!やだよぉ、やめてよぉ!」
「そうは言ってもな魔理沙や。これは出すものを出さねば消えんぞ?」
この玉袋につまっとる精液を全部吐き出さんとなぁ、とまたつんつんと睾丸を弄る。
「う、嘘!」
「嘘でも冗談でもない、しかもこのまま放置すると、お主の身体に定着してしまうぞ?」
「や、やだぁ!ばかばかばかぁ!なにが「害はない」だよぉ!嘘つきぃ!」
「まぁ元々お仕置き用だからな、仕方あるまい?」
「ひどいよ、ひっく!もうお嫁にいけないよぉ……うぇぇん」
「そうしたらワシが貰ってやるよ、あとお主なら婿に欲しいという奴も多いのではないか?」
「そんなのやぁだぁ!こーりんのおよめさんになるのぉ!うわぁぁぁぁぁん!」
恥も外聞も無く泣き喚き始める魔理沙は、ばたばたと手足を降って暴れ始める。
ショックの余り幼児退行した魔理沙に、さしもの夜智王も苦笑するしかなかった。
散々に泣き喚き、暴れ疲れた魔理沙はぐったりとした様子でベッドに身を投げ出し、ぐずぐずと嗚咽をあげる。
「さて、気は済んだか?」
「もういいよ、煮るなる焼くなり好きにしろよ……ぐすっ」
「ふて腐れても魔理沙は可愛いなぁ」
よしよしと頭を撫でて魔理沙を慰めるが、すっかりやさぐれてしまった魔理沙は反応しない。
「おやおや、どうせなのだ楽しんだ方が徳だぞ?」
「うるさい、なんだよ男の癖に男のアレ嬉しそうに弄りやがって、この節操無し!腐れホモ!」
「どこでそんな悪い言葉を覚えたのだ?まったく……確かにワシは両刀だがなぁ」
カカカと笑う夜智王。
「まぁ安心せい。そう言うと思ってちゃんと準備がしてある」
「え?」
何をさせるのか、不安にびくりと魔理沙が震える。
「小悪魔、どうだ?」
「はい、上々です」
陽気な声で小悪魔が答える。
紅茶片手に魔理沙の痴態を眺め、時折冷笑していたはずのパチュリーの様子がおかしい。
上気した頬は紅色に染まり、とろんとした目は潤み、愛らしい唇からは悩ましげな吐息が漏れる。
「や、夜智王……あなた、私に……何を……」
「その茶に一服盛って置いた。魔理沙は男にイカさせるのは嫌だそうだ、パチュリーや協力してやれ」
「え……?」「い、嫌よ!」
夜智王の言葉に魔理沙はぽかん、とし、パチュリーは叫ぶ。
「そんなことを言っても体は素直だの、そなたの視線はさっきから魔理沙のちんぽに釘付けではないか?ん?」
「や、やだ……パチュリー、見ないで、恥ずかしいよぉ」
「ま、魔理沙……バカ!」
魔理沙のその仕草が一層にパチュリーを刺激してしまう。
「ふふ、さぁて楽しい時間になりそうだな」
「夜智王さま、私も混ざっていいですよね?」
「四人で乱交か、それは実にいいな」
夜智王と小悪魔(実は淫魔)のくすくすと淫靡な忍び笑いを漏らす。
魔法使い二人はサバトの生贄の子羊の様にぷるぷると震える他術が無かった。
次回はふたなり魔理沙Xパチュリーを中心とした百合ん百合ん展開になります。
ふたなり、百合、が苦手な方は御気を付けください。
資料用にショタ系のBL本とか男の娘物の本を買った所を同僚(アイマスとイナイレをこよなく愛す淑女)に目撃され色々大変でした。