第六話 第一の従者、ネカネ・スプリングフィールド
なんの前触れも無く、夜中にふとムドは目を覚ました。
睡眠による魔力回復で熱でも上がったのかと、おでこに手を当てるがそこまで高くはない。
あくまで、ムド基準での事だが。
ただそれでも妙に目が冴えてしまい、何気なく布団を抜け出そうと起き上がった。
すると星明りも殆ど見えない暗闇の中で、規則正しい寝息が三つ聞こえていたのだが、そのうち一つがピタリと止んだ。
二段ベッドの上側、自分の隣に寝ていたネギのものである。
「う、うん……」
どうやら、ムドが布団を持ち上げた事で隙間から入り込んだ寒風に身震いを起こしたらしい。
眉間の辺りにも皺が寄っており、思いのほか寒かったようだ。
布団から抜け出したムドは、ネギに布団を掛けなおして隙間を無くし、冷たい空気を抜くようにぽんぽんと布団を叩いた。
再び温もりに包まれ、笑みさえ浮かべたネギの顔に満足して二段ベッドを降りていく。
暗い為に、梯子を慎重に降りていき、無事に床へと降り立った。
下側のベッドではネカネとアーニャが寝ているのだが、家族とはいえ紳士として女性の寝顔は覗けない。
手探りで就寝前まで着ていたカーディガンをちゃぶ台の近くから探し当てて羽織る。
そのままムドは寮長室を後にして、寮の表玄関へと向けて歩いていった。
玄関を開けた時には、室内よりもさらに冷たい空気にさらされ、パジャマの上に羽織ったカーディガンの前を閉めた。
「寒ッ……うぅ」
だが同時に、熱でぼうっとする頭や顔が冷やされた気がして、少しの爽快感も与えられた。
自分でも半分何をしているのだろうと疑問を抱きながらも、足は勝手に動いていく。
静まり返り消灯された寮の廊下を歩き、ついには外へと出てしまう。
急速に冷やされていく体、特に末端部である両手に白い息を吐きつけて暖めながら空を見上げる。
それこそ特に意味はないが、ぼやけた視界の中から幾つか星明りを見つけられた。
「星はウェールズの山奥の方が綺麗です」
曲がりなりにも学園都市と呼ばれる都会の麻帆良市とでは、空気の綺麗さが違う。
故郷を思うと同時に、あまり良い思いでのない魔法学校での生活を思い出していく。
当時の事を思えば思う程、今の生活がまるで夢のようなものに思えた。
何者かがネギを意図的に誘導しているかもしれない不安はあるが、これと言ったはっきりとした兆候はない。
むしろ、ネギのクラスの人達は明日菜を筆頭に良い人が多かった。
あの勉強会も毎日でこそないが、定期的に行われ、ネギも次第に先生として彼女達と打ち解け始めていた。
そのついでと言うべきか、自分もまた保健の先生として、暇を見つけた者がお喋りをしに着てくれる。
家族以外の殆どが天敵で、冷遇され続けていた時とは天と地ほど違う。
ただそれと同時に、徐々に大きくなる不安もあった。
この麻帆良学園都市には、ムドの目に見える形で天敵、自分を害する者がいないのだ。
他者の庇護なくしては生きていけないはずの自分が、このまま何事もなく生きていけると錯覚してしまう。
六年前、最初の故郷が悪魔の軍勢に襲われた時もそうだった。
あの時はネカネがまだ学生で、アーニャも魔法学校に入ったばかりの頃。
二人とはたまにしか会えなかったが、ネカネの父やアーニャの両親、スタンお爺さんと多くの人に囲まれネギと共に不安のない日々を過ごしていた。
今思えばネギの無謀な悪戯の数々に巻き込まれていた気がしないでもないが、平和であった。
平和な日々が何事もなく続いていくと疑う事すらなかった。
そして、ネギとムドにとってのターニングポイントとなるできごとが起きた。
「その日から兄さんはずっと……」
ギシリと噛み締めた奥歯が、軋むような音を立てる。
だが直ぐに熱が上がってしまう事に気付いて、冷たい空気を肺に取り込むよう深呼吸した。
胸で燻る炎を諌めていると、ぽふりと後ろから抱きしめられる。
自分を包み込んだ匂いや、後頭部に当たる柔らかな胸の感触をムドが間違えるはずはない。
本人を除いて、世界で一番多くその匂いを吸い込み、胸に触れてきたのだから。
「姉さん?」
「こら、体が冷えるまで外にいちゃいけないじゃない。熱が上がったらどうするの?」
体をコレでもかと密着させられ、かじかみ始めていた両手をネカネの手で包み込まれる。
「もう、震えてるじゃない。こっち、いらっしゃい」
もう一度ギュッと強く抱きしめられた後、手を引いて連れて行かれる。
寮内へと逆戻りし、一階にある寮長室の前さえ通り過ぎようとしていた。
ネカネが立ち止まったのは、一つ隣の部屋の前であり、羽織っていたコートのポケットから鍵を取り出す。
そのうちの一つを使い扉を開け、ムドを押し込むように入っていく。
部屋の中は家具が殆どない空き部屋であり、あるといえば備え付けのエアコンやクローゼットに二段ベッドと必要最低限のものであった。
玄関に再び鍵を掛けたネカネは、最初から間取りを知っているかのようにエアコンをつけた。
「見てのとおりの空き部屋よ。そこを学園長にお願いして、研究室として貰ったの。ここなら、私の完全なプライベート空間だから、ね?」
二段ベッドの下側に腰掛けたネカネに抱き寄せられ、その膝の上に座らされる。
そのままチロチロと首筋や耳を舐められた。
更には下腹部に手を伸ばされ身じろぎつつ、続きを期待してしまう。
だがこのまま流されたくないと、なんとか精神力を振り絞って制止する。
「ん、姉さんが冷えたムドの体を温めてあげるわ」
「待って、姉さん。姉さんは……」
「なに、ムド? もしかして、嫌だった?」
「嫌だなんてとんでもないです。けれど……一つ、聞きたい事があるんです」
ムドのそんな言葉を重く受け止めたのか、一時行為を中断したネカネが見下ろしてくる。
「知っての通り、私は魔法が使えません。恐らくは気も同様です。どんなに知識があっても魔法使いになる事は出来ません」
「ええ、知ってるわ。ムドがそれに悩み、苦しんでる事も」
「だから私は、立派な魔法使いになった兄さんに守って欲しいんです。それだけでも足りない、強い従者に守って欲しい。だから私は手始めに姉さんを……」
「知ってる」
ネギの事は兎も角、ネカネをその為に従者にした事は初めての告白であった。
何故自分がそんな不利になるような事を突然言いだしたか、感情的になっていたとしか言いようがない。
だと言うのに、ネカネは怒るわけでもなく、知っているという一言と共に笑みを見せてくれていた。
「仮契約した日からずっと知ってたわ。本当はムドが守ってくれますかって聞いてきた時、起きてたの。自分の乱れっぷりが恥ずかしくてまともに顔も見れず、寝た振りをしてただけで」
「なのに、これまでずっと私に付き合ってくれたんですか? どうして、だって姉さんを騙してたんですよ。姉さんの気持ちを逆手にとって、それで!」
「それでも、ムドは精一杯お姉ちゃんを愛してくれた。もう従者になったからってぞんざいにあつかわず、お姉ちゃんの我が侭も色々と聞いてくれた」
「姉さん……」
「お姉ちゃんは、ネカネ・スプリングフィールドは、ムド・スプリングフィールドを愛しています。お姉ちゃんとしても、女の子としても」
普段以上に滲んだ視界から、涙をこぼしそうであった。
全てを知った上での告白に、胸が詰まり、鼻をすする。
「けどね……」
だがそんな言葉の切り返し方に、ビクリと体が震えた。
「お姉ちゃんだけだと、ムドを守れない。私は極普通の魔力しか持たない、治癒魔法使いだから。六年前も、そうだった。スタンさんがいなかったら……」
「止め、止めないでください。私の従者でいてください。私の我が侭を聞いてください」
「止めたりなんかしないわ。けれど、私だとムドを守れないのも事実。だから、もっと一杯従者を集めなさい。ここを使っても良いわ」
幾分和らいだとは言え、寒さによって縮みあがっていた一物をズボンの上からにぎにぎと握られる。
「姉さんは、嫌じゃないんですか?」
「お姉ちゃんはエッチだから、ムドの断り無くそこに混ざるわよ。放って置かれるのはいやだけど、一緒に愛してくれれば良い。いずれ、アーニャも二人で愛しましょう?」
「アーニャも一緒に……」
「ほら、頭では迷っててもここは正直ね。大きくなってきてる。さすがに少し悔しいわ」
再び耳元を舐められながら、固くなり始めた一物を握り、さすられる。
本当にこれで最後の最後、なけなしの気力を振り絞ってムドはそれらを振り切った。
膝の上からも降りて、正面から向き直る。
意識を集中して瞳の焦点を合わせて、ネカネという女性そのものを見据えた。
すると今までアーニャにしか感じた事がないような不思議な気持ちが湧き上がってくる。
カッと顔が熱くなり、明らかに熱っぽくなるのだが、いつもの不快感はなかった。
純か不純かはさておいて、今明らかにムドはネカネに恋をしていた。
「今日は、魔力の事を一切抜きにして……純粋に姉さんだけの事を想って、抱きたいです」
だから思いの丈を正直に述べたつもりであったが、思い切り不評であった。
ムドの台詞を聞かされたネカネは、可愛らしく頬を膨らませていた。
「今まで何度もシテきて、混じり気なしに好意のみでシタ事なかったの?」
「え、いや……それは言葉のあやといいますか」
「こら、待ちなさい!」
思わず後ずさった所を、手を伸ばし捕まえられる。
そのままベッドの上に引きずりこまれ、両手を上にして組み伏せられた。
怒りの延長なのか、舌なめずりしてムドを見下ろしてくるネカネの瞳に恐怖心が浮かぶ。
間違っても乱暴こそされないだろうが、今までに見た事の無い光をたたえている。
今まで虐めは何度と無く受けてきたが、レイプされる前の被害者とはこんな気持ちなのかと不謹慎な考えが浮かんだ。
そんな考えから引きつっているムドの顔、その頬を大きく開いた口から舌を伸ばしてネカネが舐めていく。
「本当に、お姉ちゃん怒ったんだから。魔力が空になって、ムドの中に愛しかなくなるまで抜いてあげる」
「お、お手柔らかにお願いします」
「ふふ、ムドが良い声で可愛く鳴いてくれたら考えようかしら」
妖しく笑みを浮かべたネカネが、再びムドの顔を舐めていく。
それからフレンチキスを落としながら、その位置を舌へとずらしていった。
額から頬へ、唇は素通りして首筋へと。
「い、痛ッ……」
「あれ、上手くつかないわ。キスマークって意外と難しいのね」
「姉さん、そんなもの付けないでください。バレたら」
「駄目、ムドが悪いのよ。あ、こら暴れないの」
グイッと無理やりパジャマの上を脱がされ、そのまま腕に絡み付けられる。
そしてパジャマの袖の部分で手首をグルグルに巻き付け、二段ベッドのパイプに縛り付けられてしまった。
もう既に本当にレイプと変わらない状況になってきていた。
ムドへの怒りに加え、ネギやアーニャを気にせず久しぶりに出来る状況にかなり興奮しているようだ。
やがて残念そうにキスマークをつける事を諦め、ネカネがまたキスを下へ下へとおろし始める。
「ムドのおっぱい、発見。ん……ちっちゃくて、噛んだらプチっといっちゃいそう」
「怖ろしい事をいわないでください」
「あは、固くなってきたわ。期待させちゃったかしら?」
もはやムドの言葉が届いているのか、どうなのか。
ムドの胸を舐めては乳首を吸い上げ、もう片方は指先でこねられる。
そんなネカネのやりたい放題の状況に、むくむくと反骨心が膨れていく。
だが両腕は縛られたままで、膨れ上がりはしても発散する場所が何処にも無かった。
愛撫されるだけの状況ながら、先に一物が爆発する方が先かもしれない。
「ムドが私のおっぱい好きなのが少し分かるわ。なんていうか、とっても落ち着く。赤ちゃんの頃の記憶? 強く吸ったら、ミルクでるかしら」
「姉さん、止め……そんな事されて出るわけ。クッ、それよりもっと下を」
「下って何処の事かしらね。はっきり言ってくれないと、お姉ちゃん分からないわ」
そう言いつつ、乳首を弄っていた指先が腹からおへそをなぞり、パジャマのズボンのテント周辺を滑らかに滑っていく。
その滑りパジャマやトランクスの布地が僅かにでも一物が圧迫される。
さわさわとしたそよ風にも似た弱さであったが、その強弱が絶妙で腰が浮き上がった。
「私のおちんちんを弄ってください。姉さんの手でも口でも膣でも、何処でも良いですから。これ以上、焦らさないで下さい!」
「この前、制服を着てたお姉ちゃんを苛めた罰よ。それじゃあ、望み通り。一杯、抜いてあげる」
雄々しく立つ一物にやや苦戦しながら、足元に回り込んだネカネがズボンとトランクスを脱がせた。
さらに自分もパジャマのズボンを脱ぎ、ショーツに手を掛けるかとおもいきや、脱がずにムドの腰にまたがった。
そのままショーツに覆われた秘所をムドの一物に押し付け、押し倒す。
秘所の割れ目とそこを覆うショーツの布地を使って、腰をグラインドさせながら一物の上を擦りあげる。
既に一物の先端を覆っていた先走り汁が、塗り広げられていく。
「ね、姉さん、待って。焦らされて直ぐに出ちゃいそうなんです。このままじゃ」
「男の子は我慢よ、ムド。そうでないと、分かってるわね」
ムドの震えた声さえ媚薬代わりに、ネカネはムドの一物の裏筋を擦り続ける。
押し倒された一物はようやく与えられた快感に打ち震えながら、何時射精してもおかしくない状態であった。
仰向けに押し倒されたムドを真下から打ち上げるような格好で。
必死にそんな状況を避けようと歯を食い縛るムドを、楽しそうにネカネが見下ろす。
「自分自身に射精しちゃうのは変態さんだけね。ムドは、一体どっちかしら」
「ぐゥ……まだ、姉さん。お願い、だから……中に入れ」
「もう、ムドは頑張りやさんなんだから。そんなムドにお姉ちゃんがご褒美上げるわ」
明らかに苛める気満々で、腰のグラインドはそのままにネカネが体を丸めた。
恋人からデザートでも食べさせてもらう時のように口をひらき、パクリと咥える。
口に含んだまま、ムドの乳首を強めに噛んだ。
「だ、で。あぁッ!」
ご褒美所か、明らかな止めを前にムドは抗う事すら出来なかった。
ネカネの体が浮かび上がる程に腰を跳ね上げ、これまで耐えてきたモノを迸らさせる。
唯一の幸運は、乳首を噛む為にネカネが体を丸めていた事だろうか。
弓なりになったムドが射精した精液のうち、遠くへ跳ぶはずだったものが全てネカネの体に受け止められていた。
ネカネが止めを刺しに来なかった時の事などは考えたくも無い。
それでも、跳ばずどろりと射精された精液がおへその下辺りから腹部へと流れていく。
「うぅ……気持ち、悪いです。姉さん、さすがに酷いです」
「その酷いモノを何時もお姉ちゃんは飲んであげてるのよ。治癒魔法使いの基礎、人の痛みを最初に覚えるのと一緒よ」
「止め、広げないで下さい」
「うふふ、ぷりぷりでぬるぬるしてる」
密着するように抱きつかれ、お腹の上の精液を薄く延ばされる。
もはや恥も外聞もなく、ムドはそろそろ本気で泣きたくなってきていた。
「ふぅ……ぐす、姉さん謝りますから。苛めないでください。姉さん」
いや、認めたくないものの本当に泣いていた。
魔法学校での虐めは種類こそ違え、耐える事に意味があり、耐えられた。
だがネカネに苛められては、耐える事そのものには意味がない。
意味がなければ耐えられず、ネカネに苛められたという事実がなんだか悲しかった。
「ご、ごめんなさいムド。お姉ちゃんどうかしてたわ。こんなレイプみたいな」
嬌声ではなく、本気の鳴き声にさすがのネカネも暴走状態を抜け、背筋が冷えたらしい。
ムドの拘束を解いて抱き寄せ、背中を叩いてくれた。
「ムドに心の何処かで何時も魔力を抜く為の手段って思われてたと思ったらつい。本当に、ごめんなさい」
「いえ、私も……言葉がまずかったです。姉さんの事は大好きです。好意がなければ、こんな事はとても出来ません」
「うん、うん。ムドがお姉ちゃんを想ってくれてた事は分かってる。だから、今度はムドが我が侭を言って。何でもさせてあげる」
やや赤みを帯びた手首で涙を拭いながら、極端だと思う。
だがここで変に引いてはネカネも引きずってしまうだろかと、何か考える。
ネカネも自分も楽しめて、すっきり出来る方法を。
とは言っても、ネカネの言う通り多少の我が侭なら許されるべきだろう。
「えっと、姉さんがもう一度麻帆良女子中の制服を着て、ツインテールにした状態でしたいです。試したい事もありますし、駄目ですか?」
「全然構わないわ。実はあの後……」
ムドをベッドに座らせたネカネは、そう呟きながらクローゼットの方へと歩き出す。
そして開けられたクローゼットの中には、何故か麻帆良女子中の制服が掛けられていた。
白シャツにタイ、それから厚手のブレザーにチェックのスカート。
自分で希望しておいてなんだが、何故そんなものがネカネの研究室予定の場所にあるのか疑問は尽きない。
少しばかり唖然とするムドの前で、ネカネはパジャマを脱ぎ捨てて着替え出す。
きちんと購買で買ったものなのか、以前のものよりもサイズが合っているようであった。
「日本の制服は諸外国で人気で友達に頼まれたからって言って、購買のおばさんに売ってもらったの。どう、似合う?」
制服を着て、最後にゴムで髪の毛を括ってツインテールにしたネカネがくるりと回る。
今回は化粧まで手が行き届いてはおらず、大人の女性が着ている事がありありと分かった。
それでも十分、ムドの心は鷲づかみにされていた。
「可愛いです、姉さん」
「えへへ、ありがとうムド。でも、無闇やたらと生徒に手は出しちゃ駄目よ。この人なら守ってくれるって人を厳選しないと」
「それは……考えておきます。少し、そんな気になれなくなってきてるので」
「確かに、この街に住んでるとそう思えても仕方がないわね。この話はここでストップ。で、ムドはこの格好のお姉ちゃんをどうしたいの?」
「ここに座ってもらえますか?」
「ムドの前に……おしゃぶりすればいいの?」
指差された正面に座り込み、さっそくと半分萎えていたムドの一物にネカネが手を伸ばす。
だがそれを口に含む前に、頭の上に小さな手が乗せられた。
緩やかに撫でられ、次にムドが二つに括られたツインテールを弄び始める。
「姉さんの髪、さらさらで綺麗です。一度チャンスがあれば姉さん程でなくても、兄さんぐらいに髪を伸ばしてみたいです」
「嬉しいわ、ムド。お姉ちゃんがおしゃぶりする間、好きに触ってていいわ」
珍しく子供っぽいムドの行動に笑みを浮かべ、ネカネは半萎えの一物を両手で支えて舌を伸ばした。
精液でべとべとに汚れたそれを洗うように舐め取り、代わりに唾液を置いていく。
竿の裏筋から亀頭まで、丹念に舐め上げ、時に元凶ともいえる袋をまるまる口に含んだ。
口内で緩やかにそしゃくし、その間寂しくなるであろう竿は手でしごいていた。
「んくぅ、気持ち良いです姉さん」
「あむ……ムドの手の平も気持ちよいわ。もっと撫でてちょうだい」
今度は一方的ではなく、お互いに快感を求め合い要望を聞きあう。
次第に気分も高まってきたのか、一物を弄ぶのを止めてネカネが竿をくわえ込み始めた。
根元まで一気にくわえ込み、竿を舐りながら首を下げる。
それを何度か繰り返していると、ネカネはムドの手が頭から離れたのを感じた。
快感に押し流されその余裕を失ったのか、少々残念に思っていると何故か頭の両側にムドの手が触れる。
そこはツインテールにした髪を丁度縛り上げている箇所であった。
「姉さん、苦しかったら後で謝ります。止めようかと思っていたんですが、やっぱりやってみたくなりました」
「んーッ!」
ぐいっとツインテールを掴まれたまま引っ張られ、無理やり口の中に挿入された。
ムドの一物の亀頭が喉の奥をコツンと突き、また引っ張られるように引き剥がされる。
そんな事をして快楽は兎も角、楽しいのかと疑問を抱きながら、それでもと抵抗はしない。
先程、レイプまがいの事をしてしまった謝罪のつもりでもあった。
それに元々、ネカネはムドから強引にされるのは嫌いではないどころか、好きであったのだ。
二人の間に立ちはだかるいかんともしがたい年齢差。
多少強引にでも無理やりされるのは、それだけ自分が求められていると感じられる。
口をそのまま秘所にみたてた乱暴な行いをされても、よりムドが気持ちよくなれるように口をすぼめた。
竿を吸い上げ、口内の肉壁で挟み込む。
すると本当に口が秘所にでもなったかのように、唾液を愛液代わりにジュブジュブと淫らな音が鳴り始めた。
息詰まりながらも、ネカネは首筋の辺りがカッと熱くなるのを感じてしまった。
これはネカネからムドへの奉仕ではなく、正にムドがネカネの口を犯しているのだ。
「姉さん、気持ち良いです。姉さん!」
「んー、んんーッ!」
そのまま出してという言葉は声にならず、呻きとして上がるだけであった。
普段のムドならばネカネが苦しいのかと止めていたかもしれないが、それさえ届かない程に夢中らしい。
段々とツインテールが引っ張られる力が強くなる中で、一際強く引っ張られた。
「くぁ……あぁ」
子宮口を無理やり開けられるように、亀頭で喉をこじ開けられる。
ぶわっと鼻から性臭が駆け抜け、どろりとまだまだ濃厚な精液が直接流し込まれた。
呼吸も満足にままならない状況で、ネカネは健気にもその獣欲に答えていった。
こくこくと小刻みに喉を動かし、粘つく精液を流し込んでいく。
濁流のようなそれらも、時をおけばやがて大人しくなっていった。
「ぷッはぁ……けほ、凄い喉に絡み付いて。窒息するかと思ったわ」
「す、すみません姉さん。途中からわけがわからなくなって」
「まさかムドがツインテール好きだったなんて、アーニャの影響かしら」
「え……そかもしれないですけれど、姉さんをアーニャに見立てたわけじゃないです。純粋に姉さんが可愛くて、こう抑え切れないものが」
真相はさておいて、ネカネは必死の弁明をするムドを見ながらブレザーの前を白シャツのボタンを外し始めていた。
ショーツに合わせたかなり可愛らしいフリル付きのピンクのブラジャーが露となる。
もちろん、ブラジャーが支えているムドの大好きな胸も。
「同じように愛してくれるのなら、お姉ちゃんは何も言わないわ。思い切り、お姉ちゃんを愛して、今度はこっちに頂戴、ムド」
白シャツの中から器用にブラジャーだけを外し、チェックのスカートからもショーツをずり下ろす。
「そのまま来て下さい。なんとか支えてみます」
「大丈夫よ、お姉ちゃんも頑張るから」
ベッドから足を出して座っているムドへと、ベッドの上に膝立ちになりながらネカネがまたがった。
さすがに普通の対面座位では、もろもと床に投げ出されるようにひっくり返ってしまうからだ。
膝を立てた状態から、徐々に腰を沈め女の子座りへと格好を変えていく。
もちろん、ムドの一物もネカネの秘所へと沈めながら。
「まだまだ全然、ん……硬い。こんな所だけ元気なんだから。はぁ……奥まで、コツンって来た」
「今日は何時もに増して中がうねうね、子宮も降りてきてて」
「だって、今日はムドばっかり、だったから……ほら、おっぱいも良いのよ。その代わり、一杯突いて」
お互いこれまでが激しかったせいか、スタートは緩やかであった。
ネカネが膝を使って腰を動かし、ムドはベッドのスプリングを利用して腰を上下させながら胸へとしゃぶりつく。
もはや冬を忘れるぐらいに温かくなった屋内に、エアコンが温風を送る音とベッドが軋む音だけが静かに響いていた。
その中を二人とも、最後の爆発の助走をするように、緩やにだが段々と変化を付けていった。
「気持ち良い……ムドのおちんちんが、グイ、グイって広げてくるわ」
「姉さんの中も、気をつけてないと直ぐに出してしまいそうです」
「片方だけじゃなくて、こっちも吸って」
「あ、はい……」
片方の胸ばかり吸っていた事に気付き、吸い付き先を変えた。
だがそれに何処までの意味があった事か。
ふうふうと、疲れではなく興奮から来る息遣いが二人とも強くなってきた。
穏やかな心の繋がりを遥かに振り切って、体の繋がり、粘膜と肉との結合をより顕著に感じようと腰を動かし始める。
おかげで激しくなったピストン運動により、ムドはネカネの胸を口に含む余裕さえなくなった。
「いや、腰が止まらない。もっと、もっと突いてムド。お姉ちゃんのいやらしいおまんこ突いて!」
「くッ、姉さんあまり跳ねないでください。動きがかち合って腰がぶつかり合うと、良すぎて……」
「止まらないの、腰が止まらないの!」
口々に文句を言いあうようにしながら、それでも腰だけは動かし続ける。
そしてついに、二人の動きが完全な形で合致する事になった。
腰でもぬけたのかふっと力が抜けたネカネが、足の支えなく重力にしたがって腰を落とした。
偶然にも、ベッドのスプリングを利用していたムドの腰が、体ごと跳ね上がる。
下から竿を突き上げるムドと、上から秘所を落とすネカネ。
収まるべきところに、収まるべきものがはまり込み、激しく突きこまれた。
「あ、はあぁぁ…………ああ、おしっこ。おしっこ出ちゃった」
「ぐうぅ、出る。止まらない、どんどん出て、射精が止まらない!」
秘所へと挿入された一物がどくりどくりと精液を流し込む傍ら、居場所を取られたように潮が噴出される。
まかり間違っても小水ではないのだが、天井を見上げたまま虚ろな瞳で果てるネカネに班別はつかない。
そんなネカネへとムドもまた精液を流し込み、小水を出しているかのように止まらない。
やがて二人は、辛うじて意識を繋ぎとめながら、共にベッドの上へと倒れこんだ。
弾みでようやく小さくなったムドの一物が抜け落ち、ネカネの膣内から流し込まれていた白い精液が逆流して流れ出してきていた。
「はあ……はあぁ、今までで一番気持ちよかったわ。何も考えられない」
「目の前がチカチカします」
気だるい時間を抱き合いながら無為に過ごし、時折緩慢な動きでキスをする。
動きがのろいせいか、キス一つでも自然と深いものになりさらにネカネが一度果てていた。
お返しにとムドも萎えていたはずの竿を両手で握られ、最後の一滴とも言える精液を搾り出される事になった。
ようやく二人が落ち着いたのは、三十分以上立ってからの事である。
それでもまだ立つには至らず、ベッドで抱き合いながら言葉を交わしていた。
「ムド、何があってもお姉ちゃんはムドの味方よ。普段は皆のお姉ちゃんでも、最後の最後にはムドを選んであげる」
「姉さんが、最初の従者で良かったです。この先、姉さん以上に私を理解してくれる人は現れないとさえ思えます」
「あら、それだとアーニャが妬いちゃうわね」
「お嫁さんが必ずしも最大の理解者とは限らないですよ。姉さんが理解者であっただけで、やっぱり私のお嫁さんはアーニャです」
普通の姉ならばここは呆れて叱る所だろうが、ネカネはより強くムドを抱きしめた。
随分の熱の収まった頭を撫でつけ、胸にかき抱く。
早速胸をちゅうちゅうと吸われたが、もうっと簡単に許してしまえる。
「ムドが望むなら、私はずっと理解者でいるわ。それが私だけの役目、アーニャ出さえ出来ない私だけの……」
その言葉を最後に、体力の限界としてネカネは意識を落としていく。
そしてムドも、しばらくは夢うつつにネカネの胸をすいながら眠り込んでいった。
-後書き-
ども、えなりんです。
ネカネ祭りは一先ず終了。
しかし、エロくて浮気どころか、複数同時OKってどんな最強キャラ?
彼女には今後も、新しい従者のフォロー等、働いてもらいます。
さて次回から少しお話が動いて、図書館島編へと移っていきます。
原作とはかけ離れた結果となりますのでお楽しみに。
それでは、次回は水曜の投稿です。