第四十五話 戦力外従者
まだ悪魔来襲事件の熱が冷めやらぬ午後八時頃。
寮にある一室の前で、待ち人に気付いた和美が苦笑しながら手を挙げた。
「悪いね、アーニャちゃん。ちょっと、ムド君にはこっちも助けて欲しくってさ」
和美が呼び寄せたのはムドだけなのだが、当然のようにオプションとしてアーニャがついてきた。
二人共以前のように、それ以上に仲良さげに手を繋いでの登場である。
和美もそれは予想していた為、特に驚く事はなかった。
確かに心の奥では妬ける部分もあるが、ムドの一番がアーニャである事は先刻承知。
それに加え困った事態が発生していたので、深く考え込む事もできなかった。
「とりあえず木乃香だけでも解呪はできたから、後は手伝える事がないわよ。それで大変な事って、千雨も何か呪われたりとかしてたわけ?」
「そういうわけじゃないんだけどさ」
困ったように部屋の扉を見た和美の視線の先に、お札のようなものがあった。
「あれ、これ……確か刹那の人払いの呪符じゃ」
「剥がさないでね。人払いの他に、室内の騒音もシャットアウトしてるんだから」
なかなか穏やかではない言葉を前に、一体何がとムドもアーニャも不安を浮かべる。
特にアーニャは、数時間前に泣けと慰められた恩もあるのだ。
自分はハッピーエンドで終わったから、関係ないしと薄情な事はいえない。
例え、もう少しムドとイチャイチャしていたかったとしても。
ただ事情をしっているらしき和美は、説明にも困った様子で苦笑いである。
「どうにもさ、千雨ちゃんまいっちゃったみたいなんだよね。ほら、修学旅行の件から眠れない日が続いて、ムド君のおかげで少しは眠れるようになったんだけど」
「千雨にまで手を出してたの? 私、聞いてないわよ」
「出してませんよ。保健室に来た時に、眠れるまで手を握ったり、後は添い寝程度です」
「添い寝って、十分に出してるじゃないの」
あんたの基準はどうなっているんだと、アーニャがムドの頬をつねる。
対するムドは、あくまで隠していたわけじゃないと膨れるアーニャの頬にキスをした。
和美の前なので馬鹿と恥ずかしがったアーニャが、ムドを押し返す。
その手の左手薬指には、不恰好なビーズの指輪が鈍く光っていた。
「こらこら、まいってる人の部屋の前でいちゃつくんじゃないっての。それで悪いんだけどムド君、千雨ちゃんを慰めてくれないかな。多分、最終的には肉体的に」
「そんなに不安定なんですか?」
「最後によっぽどグロイもの見せられたみたいだし、自業自得と諦めてさ。それとも狙ってた?」
「アーニャを助ける事で頭が一杯で、そこまで姦計張り巡らせられないですよ」
確かにヘルマンを惨殺する必要はなく、ムドの自業自得な面はあった。
それに千雨については、ネギに丸投げする事も難しいだろう。
何しろちょくちょく睡眠不足解消を手伝っていたし、ムドを呼べと言われるのが関の山だ。
そもそも和美がここにムドを呼んだのも、千雨がそう喚いた可能性すらあった。
抱くかどうかはまた別にして、話ぐらいはと扉に手を掛ける。
その手をアーニャが待ってくれとばかりに、掴んで引き止めてきた。
「あの……ち、千雨と、エッチな事しちゃうの?」
真っ赤な顔をそらし、ちらちらとムドを見ながら尋ねられた。
その様子があまりにも可愛くて、感極まったように抱きしめてしまった。
少し迷ってからお尻に触るも、馬鹿と呟き首筋に顔を埋められるだけで抵抗されない。
ただ震えているのは明らかで、まだ実際に行為に及ぶのは先だろう。
「おいおい、ムド君。抱いて欲しいのは、千雨ちゃんなんだけど」
「まだ決定したわけじゃありませんよ。アーニャ、姉さんの方を手伝ってあげてください」
「あっ……ケチ、もうちょっと。もう、分かったわよ。仮契約したら、ちゃんと言いなさいね。もう、金輪際お互いに隠し事はなしなんだから」
「分かってます。和美さんはどうされますか? 廊下で棒立ちも辛いんじゃ」
ネカネの研究室に向かうアーニャを見送ってから尋ねると、頬を突かれた。
「和美さんがルームメイトの危機を放っておけるわけないってのは、建前。千雨ちゃんが処女を散らした後に乱入予定に決まってるじゃん。準備は既に出来てたり。はい、あーん」
制服のスカートに手を入れた和美が、ムドに人差し指を差し出してきた。
てらてらと光るそれの匂いに誘われ、言われた通りにしゃぶった。
分かってはいたが、和美の匂いが込められた愛液である。
和美の指をしつこく舐めながら、まだ魔力を抜いていない事を思い出した。
アーニャとの仲直りが嬉しくて、高熱を発している事さえ忘れていたのだ。
気付いた途端、ふらついてぽふりと和美の豊満な胸の上に倒れこんでしまった。
「うわ、凄い熱。早く、抱くかどうかはいいから。千雨ちゃんを落ち着けて、その後で抜いてあげるから。ほらほら」
「気持ち悪くもなって……」
「人の愛液舐めた後に、そういう事を言わない!」
開け放った扉から、お尻を蹴り上げるようにして放り込まれてしまう。
転げながら飛び込んだ部屋の惨状は、凄まじいものであった。
電気はつけられておらず、この雨で日の光もないためかなり暗い。
だがその暗さであっても、部屋の惨状を把握する事に困る事はなかった。
棚は倒れて本や置物が散乱し、その本も一部は壁に投げつけられていたり、引き裂かれたり。
壊れた目覚ましからは電池が飛び出し、物という物が投げつけられていた。
これで良く電灯や窓が割れなかったと逆に感心するぐらいだ。
そして肝心の千雨であるが、京都の時と同じようにベッドの上にて布団を被って丸まっていた。
「千雨さん?」
呼びかけても返答はなく、近付いてみる。
足の踏み場もないので、悪いとは思ったが色々と踏みつけながら。
ベッドのそばに近寄り、揺り動かそうとした瞬間に、布団の中から手が伸びてきた。
抵抗する暇は全くなかった。
二段ベッドの縁に足をぶつけながら、千雨が被っていた布団の中にだ。
暗闇の中で良く状況が分からず、重みから両腕をとられ膝辺りを跨れた。
ぶつけた足が痛くて少し呻く。
それにしても布団の中は性交をする時並みに濃い匂い、千雨の匂いが充満している。
肌の熱さが分かる程に密着し、千雨の長い髪が顔にふれ、妙にあらい息遣いが近い。
目の前の千雨がしっかりと見えないぐらいだが、彼女が裸である事は察する事ができた。
「先生……アンタ、いつも避妊ってしてるのか?」
「もちろんですよ。姉さんが魔法で何時も皆の体調を看てますし。何も考えずに中だししているわけではありませんよ」
「これから私はアンタを抱く。それでアンタの子供を孕む」
見えないはずの千雨の瞳が光ったような気がした。
「千雨さん、そんな事をすれば私も貴方もここに」
「そしたら、守ってくれるよな?」
「だから私には」
「お願いだから、守ってよ。もう嫌なんだよ。何処にも逃げられない、少しの安心感じゃ足りないんだ。私も守って貰える保障、絆が欲しいんだよ!」
力一杯叫んだせいで、被っている布団がずれてその顔がさらされた。
眼鏡は外されており、何度も涙を流した後が顔にくっきりと浮かんでいる。
瞳は血走り、下手な事を言えばこのまま首の一つでも絞められそうだ。
このまま黙っていれば、恐らくは犯されて精液を奪われ子供を孕みかねない。
それなりに大きな胸の上で乳首は突起し、ムドを跨っている股の間からは岩清水のように愛液が流れ落ちている。
発端は恐怖からでも、千雨はムドを本気で犯そうと準備が整っていた。
「何度も言った通り私には人を守る力なんてありません。自分自身でさえ守れない、同じです。千雨さんと同じ、弱者なんです」
「違う、私と先生は違う。脅えて布団の中で泣くしかできない私と、力がなくてもなんとかしようとする先生とじゃ」
千雨の手の平が、するするとムドの首に向けて動き出した。
「抱いてくれなくても良い。私が勝手に抱く。やった事はねえけど、知識はあるんだ」
首に向くはずだった手は、幸運にもパジャマの襟首へと向き先を変えた。
ただスーツとは違い、たいした時間稼ぎにもならずに上を脱がされてしまう。
助けは呼びたいが、そうすれば恐らくは二度と千雨は誰にも心を開かなくなる。
当然だ、誰にも縋れずこうと決めたムドに拒否されてしまうのだから。
だが愛する従者としかしないと決めた今、安易に千雨を抱く事もできなかった。
「少し我慢してください」
「え、うわ!」
もう考えている時間もないと、ムドは上半身を起こして千雨のお腹に抱きついた。
それから合気道の要領で、隙だらけの千雨を背中からベッドに叩き落とす。
ついつい素の悲鳴をあげた千雨の上に跨り、抱く気がないわけではないとテントを張るパジャマのズボンを見せ付けた。
「千雨さん、私は愛する人としかしません。これは絶対です。私を愛する事はできますか?」
「これから先生の子供を孕もうってんだ。愛してみせる、アンタに私を愛させてみせる」
「後で、泣き言は聞きませんよ。ちゃんと私を守ってくださいね」
「アンタが私を守れよ。私がんっ」
お互いに守ってくれと外れた事を言いつつ、ムドは倒れこむようにして千雨の唇を奪った。
千雨の方から抱きしめられては、頭を抱えて押さえつけられる。
息苦しくはあるが、必死に鼻で呼吸しつつ、舌同士を絡めてむさぼり合う。
一方で胸に手を伸ばして、両方の乳首をそっとつまみあげた。
「はぅ……馬鹿、野郎。そういう事はいいから、はやく入れろ」
「ちゃんとほぐしてからです。十分に濡れてますけどね」
「うるせえ。てめえが早く来ねえから、ほぐしておいてやったんだよ!」
「だったら、股を閉じないで下さい」
体を横にずらして千雨の体を滑り落ち、胸を弄りながら片手を下腹部へと伸ばす。
やはり口では威勢の良い事を言いながらも、陰毛にふれた途端に足を閉じられた。
膝を立てて厳重に、実際に挿入する前の試練だとばかりにだ。
一応は太ももの間を滑り込み濡れそぼった秘所に指先を向けてみる。
ただやはり固く閉じられた足は頑丈で、指先がたどり着くので精一杯であった。
「千雨さん……やる気あるんですか?」
「男なら、無理やり膝を割ってぶち込めよ」
「はあ、言動と行動を一致させてくださいよ。もう……」
狂気が一時去っただけでもマシだがと思いつつ、足元に回り込んだ。
もちろん全力で膝を閉じているところを、ムドの筋力では開かせる事はできない。
なのにどうして回り込んだのかというと、持ち上げる為であった。
立てられた膝より先、足のかかとにそれぞれ手を添えて持ち上げた。
手の平を返してへそを超えた辺りで、持ち上がった腹を抱えて全力で引き寄せる。
足が閉じられてはいるが、少々変則のまんぐり返しであった。
「待て、おい。処女になにとんでもない格好させやがる!」
「お尻の穴まで見えてますよ。舐められたくなかったら、足を開いてください。千雨さんが変態さんなら、構いませんけど」
「陰険な方向に強引かよ!」
「はーい、さーん。にー」
短いよという突っ込みも受けながし、お尻のすぼまりに息を吹き掛けていく。
くっと小さく呻いた後で、震えながらゆっくりと膝が開かれていった。
太もも同士で愛液の橋をにちゃりと作りながら、ある意味で無理やりご開帳させられた。
当然の事ながら、心情的には不本意な行いに千雨は両手で顔を覆っている。
「やればできるじゃないですか」
「くそぉ、そこで喋んな。後で殺すぞ。開いたから入れろ!」
「分かりました、入れますよ」
「って、何を入れて。ゃっ、やめ……音を立てるな。なんか背中に、胸も。死ぬ、恥か死する!」
わけのわからない事を千雨が喚いた理由は、ムドが秘所を舌で舐め上げたからだ。
ぴちゃぴちゃと音を立てながら、まだほぐしきれていない恥丘から膣の入り口まで。
それだけではなく、胸全体でお尻を受け止めて体勢を維持していた。
その為、勃起した一物の先端で背中を擦り上げ、両手で胸までもと三点責めであった。
顔を両手で覆っていた千雨に抵抗の術は無く、ムドにされるがままである。
歳や体格こそ千雨が上とはいえ、ベッドの上では何枚もムドが上手であったという事だ。
「やべぇ、ガキに舐められて。ふぅっ、感じ……て、たまるかぁ!」
「痛、痛いいたたたたっ千雨さ!」
「死ね、死ねこのクソガキ。ネットナンバーワン、元ナンバーワンアイドルちう様の処女は、そんなに安かねえんだよ、ゴラァ!」
ただ力ずくという意味では、やはり千雨に分があったようだが。
千雨が再び足を閉じた事で、太ももに顔を挟まれチョークチョークとムドはお尻を叩いた。
なんだか良く分からないうちに、大人がする言い訳のように裸でプロレスである。
主に一方的にムドが技をかけられ、タップはなしだ。
審判がいないので当たり前で、千雨が再び我を取り返すまでは続けられた。
「あの……帰っても良いですか? 元気になられたようなので。私、そろそろ限界なんですが。過剰魔力がアレなので」
だからベッドにへたり込みながらこのようにムドが言い出すのも仕方のない事であった。
半分目は回っており、羞恥とは別の理由で全身が桜色に火照っていた。
「待て、帰るなら種仕込んでから帰れ」
「自分が何したか自覚してますか?」
「悪かったよ。だけどまだ駄目なんだ」
腕をとられ引き止められては、胸を押し付けられた。
「なあ、先生。アンタ、一つ勘違いしてるぜ。守れないってアンタは言うけどさ、敵を殴り飛ばす事がそうなんじゃねえよ。頭が固いぞ、天才少年」
「だって、力がないと守れないじゃないですか。私は魔法が使えないから」
「だからそれが勘違いだっての。あのなあ、魔法が使えない存在すらしらない人間が何人いると思ってるんだ。絶対、知ってる方が小数派だろ?」
「そう言われれば、そうですね。圧倒的に、知らない人の方が多いです」
引き止められ、ムドの意識が自分に向いた事を喜ぶように千雨が顔を近づけた。
もうあと一息で唇が届く範囲にて、してやったりとばかりに微笑んだ。
涙の後はまだ残ってはいるものの、ムドの心臓が高鳴るには十分な笑顔であった。
「誰も彼もが腕力で女を守るわけじゃない。財力や知力、果ては気持ちだけでも十分なんだよ。お前を守る、その一言だけで、少なくとも私は救われる」
だろっと同意を求めるように、千雨がさらに笑みを深めた。
「まあ、子供云々は抜きにしても先生がそもそも子供だし。絆、くれよ。それだけでも、十分アンタは私を守られる。仮契約、だったか?」
「全然、気付かなかった。意外に私も、魔法に被れていたみたいです。お前を守る、そうかそれだけで良かったんだ」
「なあ先生、もう一度聞くぜ。私を守ってくれるか? 対価は私の愛、他全てだ」
「ええ、千雨さん……千雨を私が守ります」
生まれて初めて呟いた言葉に自分で感激しながら、ムドは背伸びをして唇を向ける。
千雨も体を丸めるようにして、自分の唇を押し付けた。
ただ静かに雨音と互いの心音を聞きながら、唇を合わせ続ける。
むさぼりあうのではなく、気持ちを与え合う。
そして側位で向かいあい唇を合わせたままで、互いの性器に手を伸ばしていった。
ムドはもとより、千雨も今度は強く足を閉じたりせず小さな手を迎え入れた。
「朝倉が自慢するだけの事はあるな。その歳でネットで見たのと同じぐらいでけえよ」
「千雨、今度からは私が相手をしますから。他の人は見ないでもらえます?」
「いっちょまえに独占欲かよ。自分は散々、おい音を立てるな。くぅ……」
同意の上でしょうとばかりに、濡れた恥丘の上を滑らせていた指を谷間に埋めた。
指に愛液を絡め、少し叩くようにしながら淫らな音を誘う。
「手、止まってますよ」
「うるせえ、リードすんじゃねえ」
ムドの竿を千雨が両手でさすり、先走り汁を使ってにちゃにちゃと音を立てる。
雨音とは別に、互いの性器からも水音を立てての三重奏であった。
いや、深いキスによる唾液の音も含めると四重奏か。
その演奏により高揚し、千雨もまたムドと同じように肌を桜色に染めていく。
「ふぁ……やべえ、気持ち良い。んっ、オナニーなんて目じゃねえ。あっ、ゃぁ……」
「中まで、入れますね」
「マジ、あっ……嘘、ぁっくぁ入ってんんっ」
恥丘を割り込み、指先を膣の入り口から奥にぬぷりと入れた。
途端に異物を察して愛液の量が増え、膣の壁が締め付けてくる。
押し返そうとではなく、射精を促す為に。
「まだちょっと硬いですね。緊張してるからですか。一度、イッておきますか」
「待て馬鹿、ちょ。そんなに激しく、ぁっ……良い、気持ち良いよ先生」
「ムドって名前で呼んでください。もう恋人なんですから」
「ムド、このクソガキ。止め、待てイク。イッちまうだろ。ヒッ、ひゃぁぁんっ!」
罵倒する言葉とは裏腹に、果てる瞬間だけは女の子らしい嬌声である。
半分は悲鳴のようでもあったが、肩を軽く押すと脱力するまま仰向けになった。
軽く短距離走を終えたかのように荒く呼吸を繰り返していた。
千雨の呼吸が整わない間に、膝の中に体を入れて挿入の体勢に入ってみる。
亀頭を秘所の割れ目に合わせてみると、さすがにピクリと緊張したように千雨が震えた。
しかし膣と同じく処女喪失前の緊張はそれなりにほぐれていたようだ。
恥丘を竿で割り込むように腰を前後させても、膝を閉じられる事はなかった。
「おい、遊んでんじゃねえよ。入れるなら、今のうちだ。膝が震えて動かねえんだ」
「千雨、愛しています。貴方の一生を私が守る事を誓います」
「恥かしい台詞真顔で言ってんじゃねえよ……私も、守ってやるよ。戦い以外でな」
ギュッとベッドのシーツを千雨が握ったのを見て、ムドも亀頭を膣の入り口に添えた。
来るかとさすがに千雨が緊張していたが、ゆっくりとそのまま押しすすめていった。
狭い入り口にて指では分からなかった処女膜の抵抗を受ける。
「くそ、痛ぇ」
小さくそう千雨が呻いた瞬間、ムドは一気に腰を推し進めて膣の奥まで貫いた。
「ひぐぅ、か……こんちくしょう、女って奴は本当に損だな。気持ち良いだけじゃ、駄目なのかよ」
千雨の言う通り、処女貫通の証である血が秘所よりムドの一物を避けるように流れていた。
ムドはこれまで何人もの処女を破ってきたが、未だにその痛みが理解できない。
自分にあるのは常に快楽だけで、以降もずっと理解できそうにはなかった。
だから自分にできる事は優しくする事だけだと、静かに腰を引き始めた。
当然、それに伴い奥まで挿入した一物が、引き抜かれ、かり部分が膣内を引っかいていく。
「痛ぁっ……ぁっ、ゃふぁ。それ止め。ぬ、抜くのか?」
「そんなまさかです。気持ちよくなってもらいます」
「ふきゅ、やべ変な声が出た。腹の中が掻き回れ、んぁっ」
ゆっくり千雨の体に負担を掛けたり、痛みをできるだけ与えないように。
ただしそれはムドにとっては諸刃の剣でもあった。
この部屋に入る直前でも倒れかけたのに、もう既に一時間近くは射精もせず無駄にしてきた。
視界がぼやけ、悶える千雨の姿が良く見えない。
顔には大量の汗が浮かび、それが顎から雫となって千雨のおへその辺りに落ちた。
「って、ムドお前……ガキが何を気遣ってんだよ。やれよ、もう全然痛くねえからよ」
「すみません、限界みたいです」
「お、おい……なんで膝を、あぁっ!」
両腕で千雨の膝を抱えたムドは、頭の配線がキレたように腰を前に突き出した。
より深く、奥にまで届くように千雨を突き上げる。
それも一度や二度では終わらない。
削岩機のように何度も何度も、千雨がつい先程まで処女であった事すら忘れて。
愛液と破瓜の血が飛び散り、シーツを汚すのもお構い無しだ。
「待て、さっきのなし、なしだから。痛いのと気持ち良いのが痺れてわけがわからねえ!」
千雨の悲鳴も今は届かず、腰を前後に振り続けては責め立てる。
やがては千雨も制止の言葉すら投げられず、耐えるのみであった。
痛みと快楽、肌同士がぶつかりあう音に股間部からの卑猥な水音。
頭に血が上り、言葉通り何もかもが分からない程に混乱してしまっていた。
「ムド、声。はぁぅ、声……ぁっ、あん。聞かせて」
「ち、千雨……」
「もっと、声。愛してるって。一人は嫌だぁ……ぁっ、守って。怖いんだ、一人はもう嫌だ!」
「千雨、愛してます。千雨!」
誰からも理解されない、そんな心の奥底に眠る感情まで吐露して千雨がムドに抱きついた。
体を精一杯丸めて、自分の希望を叶えてくれた事を感謝するように。
「ひゃぁっ、イク……また、真っ白なのが。ぁっ、いっゃぁ……ぁぁっ」
「わ、私も」
「一緒に、ムド……私も、だあ。エロ漫画みてえな事言うなぁ、ぁっぃイ、いぐぁぁっ!」
やっとの思いで射精する事ができたムドの勢いは凄まじかった。
電流でも受けたようにムド自身が身震いを起こし、千雨の膣の中を精液で染め上げる。
一回、二回と際限なく射精し続け、痙攣さえ起こしてしまっていた。
「ひゃぅ、どんだけ。んぁぅっ、ゃぁ……止め、んんっ!」
中出しされる千雨もたまったものではなく、果てた後が大変であった。
「もう無理だって、おいムド……あれ、おい?」
射精は続けているものの、自分に倒れこんできていたムドが動かない。
軽く揺すっても反応は得られず、肌が重なりあう面の熱さとは裏腹に背筋が凍りつく。
腹上死、そんな言葉が一瞬で脳裏を過ぎり、涙が溢れてきた。
慌ててムドを自分の上からどかして、仰向けで寝かせなおす。
瞼は開いていたが、濁りきった瞳に千雨が映る事はなかった。
逆流した精液が膣の中からあふれても全く気にする余裕もなく、呼びかける。
何も考えられずゆさゆさとムドを揺らし、馬鹿みたいにそれを繰り返した。
「ちょっと、止めろよ。守ってくれるって、こんな馬鹿みたいな……一人にしないでよ」
「はいはい、落ち着きなって千雨ちゃん。我慢させ過ぎるからだよ」
めそめそと泣いていた千雨の前に現れたのは、極普通に入室してきた和美であった。
まるで全てを見ていたかのように、ベッドの上のムドを抱き起こした。
そして持っていたペットボトルの水を口移しで飲ませると、ムドの喉が動く。
冷たい水を飲ませた後は、千雨に膝枕をさせて、残りの精液を口淫で吸い上げ始める。
吸い上げるうちにまた一度ムドが射精し、ようやくそれで息を吹き返した。
「あれ……私、気絶してました?」
「馬鹿野郎、誓ったそばから一人にするなよ。でも、良かった。朝倉……初めてお前がルームメイトでよかっ、口元に精液ついてんぞ」
「おっと、もったいない」
感謝が吹き飛んだというジト目をさらりとかわし、和美がムドを覗き込む。
「いやいや危なかったね。本気で私も死んじゃうかと思って焦ったよ。ほい、水まだ飲む? それともまた和美さんが、口移しで飲ませてあげようか?」
「おい、ちょっと待てやこら」
ムドが応えるより先に、水を口に含もうとした和美からペットボトルを千雨が奪った。
自分で飲んでろというようにムドに手渡し、和美を睨む。
確かに感謝はしている。
まだ言葉にするには抵抗があるが、愛する男が死ぬところを救ってくれたのだ。
だが冷静に考えてみると、タイミングが良過ぎしないだろうかと。
「てめえ、隠しカメラでも仕掛けてやがったな。見ただろ、私の初めて全部!」
「まあ似たようなものかな。私のアーティファクトでね。だって、部屋に入る前から結構、ムド君限界だったからね。悪魔に殴られてたし、皆忙しくて忘れかけてたけど」
「それは……確かにそうだけど。おい、なんでお前まで脱ぐんだよ!」
納得しきれないと拳を握る千雨だが、もっと別の問題が目の前に現れていた。
和美が制服をぽいぽいその辺に脱ぎ散らかしながら、下着姿になったからだ。
しかもそこで終わりとおもいきや、あっさりとブラジャーを脱ぎ捨て、ショーツにまで手をかけた。
一切の躊躇なく、見慣れているだろうとばかりに全裸になってしまった。
「固い事言わないでよ千雨ちゃん。それに千雨ちゃん一人じゃ、無理だって。ムド君が普段から何人相手にして魔力抜いてると思ってるの?」
「まさか、あんだけ出して……まだ、なのか?」
「言いにくいのですが、峠を越えたばかりです。平時なら五、六回ですみますけど。悪魔に殴られたり色々と……感覚的に十は超えそうです」
「うわ、想像以上。こりゃ、途中で他も呼ばなきゃいけないね。まあ、それまでは二人占め?」
パチンと指を鳴らして喜びながら、和美が胸の谷間を広げてムドの一物を挟み込んだ。
まだまだ硬さを失わないそれを乳房ではさみ、柔らかな肉で扱きあげた。
「うぅ……和美、気持ち良いです」
「てめえ、アレだけ私に出しておいて」
「千雨ちゃん嫉妬しても無駄だって。悔しかったら、取り返してみれば?」
「くそ、勝てるわけ……ああ、やってやろうじゃねえかよ!」
和美がムドの足元から横に移動し、その対面に千雨が座り込んだ。
二人で一つのムドの一物を、胸を押し付けあって圧迫する。
熱された鉄の棒のように厚い一物もさることながら、互いの乳首が擦れ合う。
最初はムキになっていただけの千雨も、それに気づいて和美を上目遣いに見上げる。
だからこそとばかりに微笑まれ、共に乳房の隙間から出てくる亀頭に舌を伸ばした。
タイミングを見計らい、チロチロと時折、千雨と和美が互いの舌を絡ませたりしながら。
「ああ、頭が麻痺してくる。リア充馬鹿にできねえ。猿になってもいいやって感じだ」
「予言するけど、いいやじゃなくてなるね。毎日の朝と晩、私ら盛り狂ってるからね。三P、四Pは当たり前。ソフトSMからレズ、お尻はまだ誰もだけど」
「うわ、死にてえ。猿の仲間入りかよ」
口で言う程は、千雨も嫌がってはないようであった
和美には劣るものの年齢的には大きな胸で、ムドの一物を一生懸命扱いている。
「和美、千雨も……そろそろ、出します」
「ちょい待って。千雨ちゃん、飲む?」
「の、飲まねえよ!」
「じゃあ貰い、良いよ。ムド君」
亀頭が顔を出す位置に顔を置いた和美がそう呟いた。
「はぁ、はぁ……んぐぁっ!」
ほぼその直後、二人の乳房に挟まれながら、ムドが射精を行った。
直前で上手く口に亀頭をほお張った和美が、迸る精液を口内で受け止めた。
口内で飛び散る精液を舌で集めては喉の奥に運んで、こくりと飲み込む。
本当に飲むのかよとひいている千雨を上目遣いで見ながら、音を鳴らして。
「ほら、千雨ちゃん。あらかた飲んだから、回しのみ。ストローみたいに吸えば、出てくるよ?」
「回しのみって、お前……」
「和美、あまり千雨をからかわないでください。自分のペースで良いんですから」
「ごめんごめん、さすがにね。和美さんとした事が、ちょっと怒ってたかな。本当に、ムド君が危なかったから。だからお詫び」
ムドの一物から最後まで精液を飲み込んだ後、和美は千雨の両肩を掴んで共に倒れ込んだ。
おどろいて声も出なかった千雨とは対照的に、和美はさっさと自分が上に重なる。
頭が向く位置が変わり、ムドからは折り重なる二人の秘所が丸見えであった。
ただ少し濡れ方が足りなかったのか、和美は千雨から愛液を分けて貰うように腰を振っていた。
にちゃにちゃと秘所同士をなすりあい、二人で一つの膣を作り上げる。
そんな和美のおおよその意図を察して、ムドは亀頭を添えた。
「さすが以心伝心。千雨ちゃん、一緒に気持ち良くなろう」
「もう、どうとでもしてくれ」
色々と諦めの境地である千雨に、和美が上からキスを落とした。
唾液を流し込まれた時はさすがに嫌そうにしたが、千雨も舌を自分から伸ばしたりする。
愛し合う二人を見ながらムドも、腰を進めて二人の肌を一度に味わっていく。
恥丘の盛り上がりを過ぎて小さな突起を擦り上げ、濡れてへばりついた若草に辿り着く。
圧迫感は膣には劣るが、挿入時の快感の変化がまた味わい深いものがある。
「千雨ちゃん、やっぱ眼鏡ない方が可愛いね。コンタクトにしたら?」
「お前にんっ……言われても、嬉しくねえよ。それに目が悪いんじゃなくて、ただの上がり症なんだよ」
「へえ、予想はしてたけど。ムド君、お願い」
「千雨は眼鏡も可愛らしいですが、素顔も十分に可愛らしいですよ」
ひょいと和美が顔を傾け、そうムドが言い放った瞬間を千雨に見せ付ける。
効果は抜群であり、カッと赤くなった顔は隠しきれない程であった。
「ば、馬鹿野郎。素の顔で、言うんじゃ。やだ、またぃっ」
「イきそうなんだ。くく、可愛いね。初々しいよ、ちひゃぁっ!」
「だから、苛めない。苛めるにしても本人の同意は得てください」
言葉で止められないなら実力行使とばかりに、和美を徹底的に責め上げる。
イきかけていた千雨には悪いが、それに順番的にも次は和美の番だ。
水をくれたお礼もかねて、ガンガンと腰をぶつけていく。
和美も疲れる度に腰を振り、さらにとムドを誘っていた。
「たまんない、良い。ムド君、もっと。奥まで、突いて良いよ」
「私、こんな顔してたのかよ。いやいや、朝倉がエロイだけだなうん」
「皆、エッチする時はそれなりの顔ですよ」
「うるせえよ、納得しかけてたところを掘り返すな。いや、現在進行形で掘ってるけどよ。全く、ほらエロ記者。胸揉んでやるから、せいぜいよがってろ」
やや体を下にずらした千雨が、ぶるぶると震える和美の胸を両手で鷲掴んだ。
かなりぎこちない手つきであるが、オナニーの経験を生かしてこね回していった。
この巨乳がと、少々の怒りもプラスして。
「千雨ちゃん、乳首。乳首をギュって、ぁっ、もう直ぐ来る。ゃぁんっ」
「スパートかけますから、千雨も言われた通りに手伝ってあげてください」
「分かったから、次私にしろよ。ほら、はやくイけ」
「まだ、もっと……ぁっ、イきそう。ムド君もっと、つい。ぁっゃぁ、う。あイぅぁっ!」
ついに和美が気をやり、体を大きく反りながらムドの精液を受け止めた。
ネカネの次に許容量の深いその体で、射精されるそばから飲み込んでいく。
だがそれにも限界はあり、飲み干せなかった分が秘所から勢い良くあふれ出した。
どろりと流れ出しては、ぼたりと下になっていた千雨のへそより下の辺りに落ちる。
ぼたり、ぼたりと精液が皮膚と肉壁を通した向こう側にある千雨の子宮を刺激して止まない。
「ああ、勿体無い。次は子宮が降りてきそうな感じ。待ち遠しいね、こりゃ」
「重い、どけ……ムド、早く次ぎ私だろ。お腹が熱いんだ、お前ので慰めてくれよぉ」
「分かってますよ、まだまだ終わりそうにないです」
まだ射精し終わらないうちに、再びムドは一物を千雨の膣へと納めていく。
一度目よりもさらに深く入れられながら、千雨が嬌声を上げた。
ムドの言葉通り、まだまだ今日という日が終わるのは、先のようであった。
-後書き-
ども、えなりんです。
千雨、色々限界過ぎてヤンデレ(?)に片足突っ込みました。
まあ、以降彼女が病む事はありませんけどね。
しかし、これまた千雨も従者になるまで長かったなあ。
残っているのはアキラ半分、と明日菜か。
ちなみに物語上、千雨が最後の従者となります。
あとは物語の終わりへ向けて進むだけです。
今回のように、ムドが腹上死仕掛けない程度にw
それでは次回は土曜日です。