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No.25212の一覧
[0] 【完結】ろくでなし子供先生ズ(ネギまでオリ主)[えなりん](2011/08/17 21:17)
[1] 第二話 打ち込まれる罪悪と言う名の楔[えなりん](2011/01/01 19:59)
[2] 第三話 脆くも小さい英雄を継ぐ者の誓い[えなりん](2011/01/05 21:53)
[3] 第四話 英雄を継ぐ者の従者、候補達?[えなりん](2011/01/08 19:38)
[4] 第五話 ムド先生の新しい生活[えなりん](2011/01/12 19:27)
[5] 第六話 第一の従者、ネカネ・スプリングフィールド[えなりん](2011/01/15 19:52)
[6] 第七話 ネギ先生の新しい生活[えなりん](2011/01/22 21:30)
[7] 第八話 強者の理論と弱者の理論[えなりん](2011/01/22 19:25)
[8] 第九話 闇の福音による悪への囁き[えなりん](2011/01/26 19:44)
[9] 第十話 勝手な想像が弱者を殺す[えなりん](2011/01/29 20:15)
[10] 第十一話 私は生きて幸せになりたい[えなりん](2011/02/05 20:25)
[11] 第十二話 棚から転がり落ちてきた従者[えなりん](2011/02/09 20:24)
[12] 第十三話 他人の思惑を乗り越えて[えなりん](2011/02/12 19:47)
[13] 第十四話 気の抜けない春休み、背後に忍び寄る影[えなりん](2011/02/12 19:34)
[14] 第十五話 胸に抱いた復讐心の行方[えなりん](2011/02/16 20:04)
[15] 第十六話 好きな女に守ってやるとさえ言えない[えなりん](2011/02/23 20:07)
[16] 第十七話 復讐の爪痕[えなりん](2011/02/23 19:56)
[17] 第十八話 刻まれる傷跡と消える傷跡[えなりん](2011/02/26 19:44)
[18] 第十九話 ネギパ対ムドパ[えなりん](2011/03/02 21:52)
[19] 第二十話 従者の昼の務めと夜のお勤め[えなりん](2011/03/05 19:58)
[20] 第二十一話 闇の福音、復活祭開始[えなりん](2011/03/09 22:15)
[21] 第二十二話 ナギのアンチョコ[えなりん](2011/03/13 19:17)
[22] 第二十三話 満月が訪れる前に[えなりん](2011/03/16 21:17)
[23] 第二十四話 ネギがアンチョコより得た答え[えなりん](2011/03/19 19:39)
[24] 第二十五話 最強の従者の代替わり[えなりん](2011/03/23 22:31)
[25] 第二十六話 事情の異なるムドの従者[えなりん](2011/03/26 21:46)
[26] 第二十七話 いざ、京都へ[えなりん](2011/03/30 20:22)
[27] 第二十八話 女難の相[えなりん](2011/04/02 20:09)
[28] 第二十九話 大切なのは親友か主か[えなりん](2011/04/06 20:49)
[29] 第三十話 夜の様々な出会い[えなりん](2011/04/09 20:31)
[30] 第三十一話 友達だから、本気で心配する[えなりん](2011/04/16 21:22)
[31] 第三十二話 エージェント朝倉[えなりん](2011/04/16 21:17)
[32] 第三十三話 ネギの従者追加作戦[えなりん](2011/04/20 21:25)
[33] 第三十四話 初めての友達の裏切り[えなりん](2011/04/23 20:25)
[34] 第三十五話 友達の境遇[えなりん](2011/04/27 20:14)
[35] 第三十六話 復活、リョウメンスクナノカミ[えなりん](2011/04/30 20:46)
[36] 第三十七話 愛を呟き広げる白い翼[えなりん](2011/05/04 19:14)
[37] 第三十八話 修学旅行最終日[えなりん](2011/05/07 19:54)
[38] 第三十九話 アーニャの気持ち[えなりん](2011/05/11 20:15)
[39] 第四十話 友達以上恋人未満[えなりん](2011/05/14 19:46)
[40] 第四十一話 ネギの気持ち、ムドの気持ち[えなりん](2011/05/18 20:39)
[41] 第四十二話 契約解除、気持ちが切れた日[えなりん](2011/05/25 20:47)
[42] 第四十三話 麻帆良に忍び寄る悪魔の影[えなりん](2011/05/28 20:14)
[43] 第四十四話 男の兄弟だから[えなりん](2011/05/29 22:05)
[44] 第四十五話 戦力外従者[えなりん](2011/06/01 20:09)
[45] 第四十六話 京都以来の再会[えなりん](2011/06/08 21:37)
[46] 第四十七話 学園祭間近の予約者たち[えなりん](2011/06/08 20:55)
[47] 第四十八話 麻帆良学園での最初の従者[えなりん](2011/06/11 20:18)
[48] 第四十九話 修復不能な兄弟の亀裂[えなりん](2011/06/15 21:04)
[49] 第五十話 アーニャとの大切な約束[えなりん](2011/06/18 19:24)
[50] 第五十一話 麻帆良祭初日[えなりん](2011/06/26 00:02)
[51] 第五十二話 ネギ対ムド、前哨戦[えなりん](2011/06/26 00:03)
[52] 第五十三話 仲良し四人組[えなりん](2011/07/02 21:07)
[53] 第五十四話 麻帆良武道会開始[えなりん](2011/07/06 21:18)
[54] 第五十五話 この体に生まれた意味[えなりん](2011/07/06 21:04)
[55] 第五十六話 フェイトの計画の妨げ[えなりん](2011/07/09 20:02)
[56] 第五十七話 師弟対決[えなりん](2011/07/13 22:12)
[57] 第五十八話 心ではなく理性からの決別[えなりん](2011/07/16 20:16)
[58] 第五十九話 続いて欲しいこんな時間[えなりん](2011/07/20 21:50)
[59] 第六十話 超軍団対ネギパ対完全なる世界[えなりん](2011/07/23 19:41)
[60] 第六十一話 スプリングフィールド家、引く一[えなりん](2011/07/27 20:00)
[61] 第六十二話 麻帆良祭の結末[えなりん](2011/07/30 20:18)
[62] 第六十三話 一方その頃、何時もの彼ら[えなりん](2011/08/03 20:28)
[63] 第六十四話 契約解除、ネギの覚悟[えなりん](2011/08/06 19:52)
[64] 第六十五話 遅れてきたヒーローユニット[えなりん](2011/08/10 20:04)
[65] 第六十六話 状況はより過酷な現実へ[えなりん](2011/08/13 19:39)
[66] 第六十七話 全てが終わった後で[えなりん](2011/08/17 20:16)
[67] 最終話その後(箇条書き)[えなりん](2011/08/17 20:18)
[68] 全体を通しての後書き[えなりん](2011/08/17 20:29)
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[25212] 第四十話 友達以上恋人未満
Name: えなりん◆e5937168 ID:1238ef7e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/05/14 19:46

第四十話 友達以上恋人未満

 修学旅行から数日、ついにムドのパーティもエヴァンジェリンの別荘にて修行を始めた。
 ただしムドが提案した条件を必ずクリアしての事であった。
 一日の終わりの放課後に丁度一時間、別荘内での一日分だけしかいない事。
 それから必ず従者全員が揃った時にしか、別荘内に立ち入らない事などだ。
 自由に出入りしているネギとは異なり、それは中々に厳しい条件である。
 だがムドとしてもお互いの人生が一日とてズレたまま浪費される事は好まなかった。
 非戦闘員であり特別な修行を必要としない和美でさえも例外ではない。
 そして今日は全員が予定もなく、放課後に別荘へとやってこれた日であった。
 ちなみにまだムドの従者達には素人が多い為、ネギ達とは時間をずらしている。
 こちらがある程度、形になってきたらまた春休みの時のように模擬戦も良いだろうが。

「アキラさん、もう一度お願いします」
「うん、いいよ」

 ムドの頼みを前に、アキラが浜辺から素足で波打ち際にまで歩いていった。
 素足の上を波が通り過ぎ、膝下辺りに来るまで。
 その腕にはアーティファクトである赤い手甲、金剛手甲が装着されていて、おもむろに海の中に手を突っ込んだ。
 かと思った次の瞬間に、ごぽりと塩水を一抱え以上持ち上げた。
 三百キロ分ぐらいはあるだろうか。

「面白い効果だな。腕力の向上と、エネルギーといった無形物を持てる効果だったか?」
「夕映に調べて貰ったんだ。腕の力が耐えられる分だけ、水でも空気でも、光さえも受け止められる、らしい」

 全くの素人であったアキラを個別に見る為に来ていたエヴァンジェリンが呟いた。
 そして答えながらアキラが海水を海に戻し、おもむろに光に手をかざし始める。
 すると言葉通り、手の平が光を受け止め、手の甲より後ろが薄暗くなった。
 完全な闇に陥らないのは、手のひらとは別方向からの光があるからだろう。

「わっ、本当に光を受け止められた。えい」

 ある程度、手の平に光が集まった事を感じたアキラが、それを軽く放り投げる。
 小さく放物線を描いた光の塊は、海水に着弾して爆ぜた。
 海水を飛び散らせながら、水滴となったそれらを蒸発させていく。
 光を受け止めたのは数秒にも満たないが、光の射手一発分ぐらいはありそうだ。

「アキラさんは、亜子さんやアーニャ、それから姉さんの護衛役ですね。前衛は既に明日菜さんと刹那さんがいて、小回りが利く月詠さんも入りましたし」
「亜子をそばで守れるなら、それが一番良い。もちろん、君の事も守るよ。先生」
「はい、頼りにしてますよアキラさん」

 ぐりぐりと頭を撫でられ、笑顔でそう答えた。
 アキラはまだ弟を見るような瞳だが、そこはおいおいである。

「それじゃあ、アキラさんの事はお願いしますね。エヴァンジェリンさん」
「私の方も試したい事があるからな。お前は……」

 手にしていた巻物を見せながら、エヴァンジェリンがとある方角を見つめた。
 限りはあるが別荘の空間内に広がる海の沖合いである。
 雨を知らない空間内にて雷鳴が轟き、小波が大きくなっていった。
 雷鳴を生み出したのは、建御雷を手に生やした翼で空を飛翔している刹那だ。
 明日菜を相手にそこまでするはずもなく、やはり相手は月詠である。
 こちらは虚空瞬動や次元刀を使って刹那から逃げ回り、時に反撃していた。

「月詠、今日こそ貴様を魚の餌にしてやる。ムド様の寵愛を受ける神鳴流剣士は私一人で十分だ!」
「あははは、そないな事言うはりまして。昨晩は心も体も一つに果てたやないですか。あの時の先輩の言葉は嘘やったん? 好き、月詠だいちゅきって言ってくれはりましたやん」
「だ、黙れ黙れ!」

 あまりに遠くてその会話こそムド達には届かなかったが、また一つ雷鳴が落ちた。

「きゃーッ、死ぬ。私、普通の女の子。剣の修行が海の上って!」

 そして一人、ゴムボートで沖合いにいた明日菜は破魔の剣のハリセンをオール代わりに荒れ狂う波間を生き延びていた。

「神楽坂さん、大丈夫かな」
「ムドが行くと、死ぬな。アレは私がなんとかしておくから、大人しい方を見に行け。屋上でのお勉強会だ」
「あ、分かりました。頼みます、エヴァンジェリンさん。それから、アキラさん」
「ん、なに?」

 心配そうに沖合いを眺めていたアキラを振り向かせる。

「神楽坂さんではなく、明日菜さん。呼び捨てでも良いですけど、同じ仲間を苗字で呼んでいては他人行儀ですよ?」
「分かった、後で本人にそう呼ぶ事を伝えてみる」

 素直に受け取られ、微笑み返してからムドは荒れ模様の沖合いに背を向けて歩き出した。
 悲鳴を上げて助けを求めている明日菜には申し訳ないが。
 それに仲が悪い刹那も月詠も、エヴァンジェリンを除いてムドの従者の中ではツートップだ。
 その二人について行く為にも、明日菜にはもっと強くなってもらわなければならない。
 以前、高畑に争いのない人生をと託されたが、既に京都で巻き込んでしまった。
 その事について高畑からは何も言われていないので、強くするのは大丈夫だろう。
 もっともと思いながら、塔をぐるりと回る螺旋階段の途中から先程の砂浜や沖合いを眺める。

「何時までやっとるか。遊んでいる暇があったら修行をしろ、氷神の戦鎚!」
「申し訳ありま、きゃーッ!」
「ひゃぇー、さすがのウチもかないませんわ」
「ぎゃー、私関係ないのに!」

 沖合いに巨大な氷の塊が叩き落され、海は大時化を迎えていた。
 この様子であれば、放っておいても明日菜はそれなりに強くなりそうだと次の段に足をかける。
 そのまま汗水たらし、時に頭痛に苛まれながら塔を上っていく。
 普通の魔法使いならば一瞬だが、普通以下のムドでは一時間近く掛かってしまう。
 エレベーターが欲しい、切実にそう思いながら屋上に上がった。
 そこで亜子とアーニャがネカネから魔法を習っていた。

「プラクテ ビギ・ナル、風よ吹け!」
「亜子、それいちいち掻き鳴らさないと出来ないわけ? 正直、ちょっとうるさいわよ?」

 アーティファクトである傷跡の旋律を奏でながら、亜子が初歩的な魔法を唱えた。
 するとふわりと湿気のない爽やかな風が屋上に吹き流れていき、少し涼しくなる。
 反面、アーニャの突っ込み通り、エレキベースの音が体感温度を上げていたが。

「雰囲気、雰囲気やて。そうでもないと、恥ずかしくて詠唱なんて唱えとられへんわ」
「うん、やっぱり亜子ちゃんは思った通り風と相性が良いみたいね。普段から音を飛ばす事に慣れていたからかしら」
「えへへ、やっと少しこのアーティファクトが好きになれそうや」
「はー、ついに亜子も魔法使いの仲間入りか。私はてんで駄目だけどね。まあ、後方支援担当だから強さはそれ程まで必要ないけどさ」

 口ぶりは笑っているが、その一方で和美は真剣に練習用の杖を振っていたりする。
 その和美は、ムドがいた事に気付くと、恥ずかしいのか慌てて練習用の杖を後ろに隠した。

「お、お帰りムド君。んー、汗だくの美少年。こっちまで局部に汗かきそうな光景だね」
「本当や、すごい汗。言ってくれれば迎えにぐらいいったのに」
「風邪ひくわよ、もう。ハンカチぐらい持ってないの?」

 早速駆け寄ってきたアーニャが、ハンカチでムドの汗を拭いてくれた。
 以前ならば照れながらも仕方がないという振りであったが、今はそれがなかった。
 極自然に、そうする事が当たり前であるかのようである。
 先日のキスのおかげか、にやつきそうになる顔を必死にムドは抑えていた。

「ふふ、ムドったら嬉しそうね」
「ムド君、だらしない顔やて。ちょっと格好悪ぅ」
「題して幼い恋の開花ってところ?」

 ネカネ、亜子に突っ込まれ、和美には写真まで撮られてしまった。

「変な事を言わないで下さい、三人共」
「ほら、動かないの」

 顔を無理やりアーニャの方に向けられ、拭いきれない汗を拭かれる。
 なんだか立場が逆転してしまったかのようで、さらに笑われてしまった。
 それからしばらくしてようやくアーニャの気も済んだらしい。
 少し、拭いすぎて顔がひりひりしたぐらいだ。

「あ、せや。あんなムド君」

 改めて修行の状況を尋ねようとしたところで、亜子が軽く手を挙げてきた。

「なんかまき絵が相談したい事があるんやて。明日にでもええから、時間とってくれへん?」
「もしかして、兄さんの従者としてやる気を出したとかですかね?」
「ううん、違うと思うわ。新体操の事やと思う、ウチも思い当たる節があるし。お願いするわ」
「私にアドバイスできる事なんてないとは思いますが、分かりました」

 問題ない事を亜子に伝え、改めて修行の状況をネカネに尋ね始めた。
 基本的に後衛であるネカネやアーニャ、亜子は特別な事は何もしない。
 ネカネはより治癒魔法に磨きをかけ、アーニャも気休め程度には習っておく予定だ。
 治癒魔法使いが一人では、そこがウィークポイントになってしまう為である。
 亜子も魔法を覚えるのも良いが、傷跡の旋律を使いこなす方が先であった。
 いずれムドも自分の修行方法が定まればそちらに手をとられるので、ネカネとは特に方針については語り合っておいた。









 翌日のお昼休み、約束通り亜子がまき絵を伴なってやってきた。
 相談事だという事で、やはり悩んでいるせいかまき絵の表情も少し沈んでいる。
 普段の天真爛漫さは何処へやら、ネギではなくムドに相談する辺り重症なのかもしれない。
 とりあえず、紅茶とお菓子を用意してティーテーブルを勧める。
 それから個人的な相談のようなので不用意に人がこないように鍵も閉めておく。
 最初は戸惑っていたまき絵も、紅茶を一口飲むと僅かながらに気が楽になったようだ。

「あ、美味しい」
「その気になったらで良いですよ。気楽に、お喋りでもしてましょう」

 肩に力が入った状態では相談しづらいだろうと、最近のネギの様子などを聞いてみる。
 修行を頑張っている事は知っているが、やはり普段の様子も気になるからだ。
 先生業も半年近くなり、他の先生と見劣りしないぐらいになってきたらしい。
 それでも失敗談は結構あるようで、まき絵の話を笑いながら亜子と共に聞き入った。
 そんなおり、ふと亜子が何かに気付いたようにムドの頬に手を伸ばした。

「ムド君、ほっぺたにお菓子の粉ついとるやん。ほら、とったるわ」
「すみません。お恥ずかしいところを」

 クッキーの食べかすを摘んだ亜子が、そのままパクリと口に含んで微笑んだ。

「あ」

 この時、声を上げたのはムドではなくまき絵であった。

「亜子って、最近……大人っぽくなったよね」

 楽しげな表情が一変し、まき絵が唐突にそんな事を呟いた。

「そんな事はないと思うけど。まき絵、やっぱり二ノ宮先生が言った事、気にしとったん?」

 亜子の言葉にこくりと頷いたまき絵が、ぽつりぽつりと話し始めた。
 悩みの種はやはり亜子の危惧した通りであり、部活の新体操であった。
 次回の大会に向けての選抜テストを前に、スランプに入ってしまったのだ。
 その原因は、顧問の二ノ宮先生がまき絵の演技を子供っぽいと評した事を偶然聞いてしまったかららしい。

「自分でも考えて見たり、逆に何も考えずに朝に自主練習もしてみたんだけど」

 答えは一向に見つからず、ただただ時間が過ぎ去っていったらしい。
 何時もならば、それでも一心に練習に打ち込んだだろうが、今回はわけが違う。
 何しろ、まき絵はネギの従者でありながら、部活の新体操をとって修行を辞退した。
 大会での優秀成績はもちろん、選抜テストに落ちてはならないと余計なプレッシャーがかかっているようだ。

「それで、最近の亜子がなんだか大人っぽいなって思って。ムド君と何かあったのかなって……お願い、何かあったなら見せて!」
「まき絵、もの凄いお願いしとるの分かっとる?」

 両手をパチンと合わせて、深々と頭を下げられてしまう。
 若干、相談から道が外れ掛けている気がしないでもないが、まき絵は真剣であった。
 だが見せてと言われても、何をどう見せれば良いものか。
 大人っぽいところと言われても、二人の情事を見せるわけにもいかない。
 かといってあまりまき絵が沈んでしまっても、ネギの気がそれかねないので何かしないわけにもいかなかった。

「ムド君、ちょっと立ってもらってええ?」
「いいですけど、まさか本当にするんですか?」
「キスだけやて。まき絵、皆に言いふらしたりしたら絶交やからね」
「うん、うん。もち……へ?」

 亜子が膝を曲げて高さを合わせ、まき絵に背を向けていたムドが見上げた。
 お互いに瞳を閉じて唇を合わせながら抱き合う。

「わっわわ、亜子。ムド君も……キスしてる。てっきり、腕組んだり、膝枕とか」

 まき絵の動揺した言葉に、小学生かと思ったがもう止まれなかった。
 釘付けと成ったまき絵の視線を感じながら、薄く開いた唇の間からお互いに舌を伸ばした。
 挨拶代わりに舌先同士で突きあい、それからぴちゃぴちゃと舐めあう。
 背の高さから必然的に亜子が唾液をムドの口に流し込み、舌で広げあった。

「ムド君、背中さわって」

 一呼吸の間に、呟かれムドは亜子の制服の背中から手の平を滑り込ませた。
 まき絵からは死角になっている為、分からないはずだ。
 肌着の裾をスカートから脱がし、直接肌に、今はもう消えたはずの傷跡に手を這わせる。
 ムドの記憶の中にある傷跡の形通りに、指を滑らせなぞっていく。
 口はムドに塞がれている為、亜子が呻いたのが肌と舌を通して感じられた。

「亜子さん」
「んっ、あかんて……」

 次第にムドも制御が利かなくなり、片手を大胆にも亜子のお尻へと伸ばしていた。
 肌触りの良いショーツの上からお尻を撫で回す。
 身を捩りお尻を振って軽い抵抗を示す亜子の態度でさえ、お誘いにしか思えない。
 スーツのズボンの中で勃起し始めた一物をスカートの上から押し付け、こちらからもお誘いをかける。
 だがコーヒーの飲み過ぎで眠れない子供のように、目を見開いているまき絵が直ぐそこにいるのだ。
 これ以上は本当にと、修学旅行の新幹線で千雨に怒られた事を思い出してなんとか踏みとどまった。

「あのまき絵さん、これぐらいで」
「あ、うん。あは、ははは……私、凄くドキドキしてる。あの教室に、もど」
「待ってまき絵、選抜テストで合格したないん? したいやろ?」
「したい、けど」

 動揺しながらも椅子から立ち上がり、逃げるように去ろうとしたまき絵の腕を亜子が掴んで止めた。
 そしてまき絵の弱点を攻めては、腕を引っ張っていく。
 保健室のパイプベッドまで連れて行き、まき絵を強く抱きしめながら倒れこんだ。
 亜子が下になり、まき絵をその胸の中にすっぽり覆いかこったままで。
 二人でぼふりとパイプベッドのマットの上で弾む。

「あ、亜子大丈夫? 今、結構な勢いで」
「平気やて。ほら、まき絵もっと顔近づけて。ウチの顔、見といてな」

 腰の辺りを跨がせてまき絵を膝立ちにさせると、亜子もまた膝を立てて開いた。
 そのまま亜子は、まき絵の顔を両手で挟んで固定している。
 決して後ろを振り返らせないように、言葉でもよく見てとばかりに。
 その意図が分からないムドではなかった。
 膝を立てて開いた事でスカートの奥からも、意図を悟れとばかりに見せ付けられている。
 亜子の淡いブルーのショーツ、布地の皺とは違う縦筋から染みが広がり始めていた。
 だからムドもまたパイプベッドに上がり込み、立てられた膝の間に陣取った。

「まき絵さん、良く見ておいてくださいね」
「う、うん……」

 まき絵の返事の後で、ムドは染みがつき始めた場所を指で擦りあげた。

「んっ、ふぁ……」

 片手を置いていた亜子の膝が僅かに閉じられそうになったが、直ぐにその力も抜けた。
 瞬く間に染みが広がるショーツの上を、指の腹でしつこく擦りあげる。
 その為、最初は小さな衣擦れの音が、水気により甲高くなる事もあった。

「なに、この音?」
「ええから、ふぅ……まき絵はウチだけ見ててゃぁ、ぁっ」
「あ、亜子、なんだか凄い。あの、エッチな顔してる」

 やがてショーツだけでは受け止めきれなかった愛液が溢れだした。
 恥丘を下るその愛液を今度は指ではなく、舌で受け止める。
 脳髄を痺れさせる甘い匂いに加え、舌先を刺激する酸味に誘われさらに下を伸ばす。
 溢れ出る愛液を舐めとり、なくなればさらに量を求めてズラしたショーツの奥を目指した。
 幾度となくムドを迎え入れた膣の入り口の中にまで舌を侵入させていく。

「あっ、中に……ゃぁ、まき絵ちゃんとふぅんっ、見て」
「見てるけど、なんだかお股がむずむずして」

 まき絵の言葉に誘われ上を見上げてみれば、頭上は淡いピンクが一面を占めていた。
 四つん這いの格好で突き出されたお尻から、股をくぐって前まで覆うショーツである。
 その縦筋部分へと伸ばそうかとさ迷うまき絵の手があった。
 躊躇うという事はまだ、自慰を経験した事がないのか。
 だったら子供っぽいといわれてもと、ある意味仕方のない事であったかもしれない。
 ムドは亜子の秘所から舌を抜くと、愛液に濡れた顔をハンカチで拭った。

「亜子さん、そろそろいいですか?」
「うん、ウチの中に来て……んっ、あぁっう」
「え、なに中って何処? ひゃっ、誰ってムド君しかいないよね!?」

 社会の窓から膨張しきった一物を取り出すと、亜子の中へと挿入していく。
 アキラと順番が変わってしまったが、一応は亜子とその親友との三Pであった。
 それが嬉しいのか、亜子の膣がきゅうきゅうとムドの一物を嬉しそうに締め付けてきた。
 だがそう簡単に欲しがっているものは上げられないと、ムドも尿道を締めて耐える。
 そのまま腰を前後させて亜子を攻めるかたわら、まき絵の自慰を手伝ってやった。
 さ迷っていたまき絵の手を、秘所の部分へと導いたのだ。
 まき絵の手をとって慰める場所はここだとばかりに、手をショーツの上で擦らせた。

「ふぅはぁっく……まき絵も、エッチな顔になってきたやん」
「え、嘘。大人っぽい? 大人、気持ち良いかも。んっ」

 小さく快楽を感じたのか、呻いたまき絵がお尻を振るわせた。
 だがやはり経験不足は否めなく、少しでもムドが手を放せば自慰が滞ってしまう。
 それで気持ちよくなりたい気持ちと、どうすれば良いか分からないジレンマにはまる。

「まき絵さん、今日は私がしてあげますから。次からはご自分でお願いしますね」
「え、私がって。ムド君待っ」
「大丈夫やて、まき絵。ムド君は上手やからだから、こっちんっ。まき絵、ウチも手伝ったるから」
「んーっ、亜子。んぁはぷ、おぼれちゃう。それにお股、お股が気持ちぃっ」

 亜子に口を塞がれ、まるで本当に溺れた人のようにまき絵が空気を求めて喘ぐ。
 その間も、ムドはようやく染みができ始めたまき絵のショーツを指で攻め立てた。
 まだ正確には初めてではないが、初体験がこれではまき絵も大変だろう。
 ムドも亜子も、手を緩めるつもりはもはや既に欠片もなかったが。
 硬く閉ざされた窓や扉の向こうから、お昼休みを満喫する女子生徒達の声が響く。
 そんな保健室の中で、二人の少女と一人の少年が絡み合う。
 方や一線を遥かに越えて秘所に挿入され、方や一線前ながら秘所を弄ばれ自慰を教えられる。

「はぁっ、ゃっ……まき絵分かる? 自分が、ふぁっ。大人になってくのが」
「なんとなく、だけど。んっ、お股がピリピリしてなんか。おしっこしたい時に似てる」
「まき絵さん、少しの間だけご自分でお願いします。亜子さん、スパートかけます」
「ええよ、ガンガンついてや」

 まき絵のショーツからそっと手を放し、ムドは亜子の腰を両手で掴んだ。
 恐る恐るながらまき絵がムドの真似をして自慰を始めたのを確認してから、突き上げる。

「はぅっあ!」

 挿入のみに気を注いだ突き上げに、悲鳴を上げながら亜子が仰け反る。
 そのまままき絵の顔を固定していた手が離れるが、問題はなかった。
 自慰の魅力に取り付かれたまき絵は、もはや亜子はおろかムドさえ見ていなかったからだ。
 一心不乱にショーツの上から秘所を指の腹で擦り上げ、快楽を得ようとしていた。
 その様子を眺めながらムドもまた再び、亜子をつき上げていった。

「ぁっ、くぅ……ムド君、なんやまき絵のオナニーで興奮、大きいゃん」
「亜子さんこそ、ぐぅ。締め付けが、きついですよ」
「うええ、お股がねばねば。嫌だけど、気持ち良いから止められないよぉ」

 嫌悪を示し、涙目になりながらもまき絵はひたすらに自慰を続けていた。
 ムドも亜子も、そんな初心なまき絵の様子に興奮しお互いを責め立てていった。

「ムド君、ウチそろそろイき。あっ、あかん。もう来た、来る。ふぁ、ぁぁっゃっ、はうぁっ!」
「亜子さん、出しますよ。受け止めてください!」
「え、何が二人共何して。気持ち良いのが一杯。ふにゃぁっ!」

 まるで猫のような盛り声を出して、まき絵までもが果てていった。
 ぐったりと横たわる亜子の上に重なり、ふうふうと興奮した息遣いのまま唇を重ねる。
 そんな二人を見下ろしながら、ムドもまた亜子のなかに精液を流し続けていた。
 ただし今回ばかりはそう長くは、射精の余韻に浸ってもいられない。
 自慰を教えたのは保健医としての教育だと誤魔化せても、亜子と体を重ねた事はそうはいかなかった。
 まき絵はまだ亜子とのキスに夢中だが、一頻り射精を終えると後始末もそこそこにトランクスとスーツの中に一物をしまいこんだ。
 さらに可能な限り、亜子の秘所から溢れる精液や愛液の処理も済ませる。
 それから何食わぬ顔で先生の顔をつくり、時計を見上げてから二人に伝えた。

「まき絵さん、あまり知識がない状態で一人でしてはいけませんよ。最初は亜子さんから色々と教えてもらってください」
「ふ、ふぁい……亜子、んっ。気持ち良い事、一杯教えてね」
「ええよ、一杯な。その時にはアキラも、一緒に。まき絵、もっと」
「はいはい、二人共。午後の授業まで五分を切りましたよ。急いでください」

 あっと我に返ったように声をあげ、二人が仲良く同時に時計を見上げた。
 ムドの言葉が嘘ではなかった事を確認して直ぐに、パイプベッドを飛び降りる。
 その時、妙な着地の仕方を亜子がしたのは、震動で精液が溢れてしまったからだろう。
 使ってくださいとこっそりムドは、保健室に常備されている変えのショーツを二枚渡しておいた。
 もちろん新品のもので、突然の月のもの用に元から用意されていたものだ。

「亜子、ほら急いで。はやく、はやく!」
「そんな事を言ったかて。ムド君のが、溢れて。先におトイレいかせてや」
「廊下は走ってはいけませんよ」
「ムド君が出しすぎるから、もう馬鹿」

 内股で急ぐまき絵にひっぱられ、ひょこひょこ歩く亜子を見送った。
 それからまず換気の為に締めっぱなしであった窓を開けて、念の為に消臭スプレーを撒いておく。
 これも修学旅行の新幹線にて千雨がコロンを洗面所に吹き付けた行動から憶えた事だ。
 いそいそと手早く汚してしまったシーツを取り替えていると、保健室のドアがノックされた。
 同時に、午後の授業の鐘が鳴り響いていった。
 このタイミングでやってくる生徒は、大抵がエヴァンジェリンかサボりの生徒である。
 結構ギリギリなタイミングであったと冷や汗を拭っていると、千雨が入ってきた。
 しかも、入ってくるなり鼻をすんすんと鳴らし、まるでナニをしていたか知っているような素振りであった。

「おいクソガキ、眠たいからサボらせろ」
「千雨さん……まあ、良いですけど。ちょうどシーツを変えたところなので」

 このベッドでと勧めると、あっさり無視されて隣のパイプベッドに千雨が上がりこんだ。
 やはり先程までムドが亜子とまき絵とシテいた事を知っているらしい。
 早々にシーツを目深に被って体を丸めて眠り始める。

「私もうっかりですけど、千雨さんも間が悪い体質みたいですね」
「うるせえよ。ところ構わずハメ倒しやがって。あと、喋りかけんな淫行教師。本当に、頼むから腹上死でもして死んでくれ」

 京都でおねしょを庇ってあげた恩義は何処へやら。
 迷惑をかけているのはお互いさまなので、ムドも肩を竦めて受け流した。
 執務机につき、お互い無言のまま午後の仕事を始める。
 十五分近くは本当に無言で、時計の秒針が動く音さえ聞こえるぐらい静かであった。
 ムドも仕事がはかどり、半ば千雨の存在を忘れかけていた程だ。
 そんなおりにふと顔を上げて、千雨の様子がおかしい事に遅まきながら気付いた。
 何しろ頭までシーツを被り、京都での引きこもりを彷彿とさせるように体を丸めていたからだ。

「千雨さん」
「んだよ」

 まさかと思い喋りかけてみると、不機嫌そうな声が即座に返ってきた。
 眠気よりも不機嫌が強調された棘のある声が。

「千雨さん、本当は何処か具合が悪いとかないですか?」
「悪いに決まってるだろ。毎日、眠れねえんだよ。夜、寝ようとするとあの化け物を思い出しちまう、くそが。とことん、私の生活を狂わせやがる」
「直ぐには睡眠薬等出せませんけど、処方してもらいましょうか?」
「ああ、頼むわ。それと、こっちこいクソガキ」

 弱っている相手にクソガキ呼ばわりされても、もはや強がりにしか思えなかった。
 呼ばれた通りに、千雨が眠るパイプベッドの脇へと足を運ぶ。
 するとシーツの中から腕が一本のばされた。

「責任とって、私が眠るまで握ってろ」

 完全な退行現象ではないかと、突っ込みはしなかった。
 素直に差し出された手にふれ、両手で包み込む。
 ただ一つ、さすがに立ったままでは、ムドも辛い。
 せめて看病用のパイプ椅子をと千雨に話しかけた。

「千雨さん、一度だけ手を放してもらえますか? 椅子を持ってこないと」
「ああ、もう。うるせえな……なにもするんじゃねえぞ。胸とかさわったら、ぶっとばすからな」

 苛立った声の後で、ムドは千雨が被るシーツの中に引っ張り込まれていた。
 腕力ではとても敵わず、あっというまであった。
 しかも抱き枕のように抱きかかえられ、顔が胸に押し付けられている状態だ。
 大丈夫かとやや不安に思いつつ、そっと千雨を抱きしめ、ぶっとばされない事を確認する。
 それからあやすようにその背中を撫で付けた。

「大丈夫です、ここは安全ですから」
「なにを根拠に言ってやがる。手前も私と同じか弱い一般人だろうが。たく、イカ臭えんだよ。ガキの癖に盛ってんじゃねえよ。学校で女を抱いてんじゃねえよ」
「女性を抱いてないと死ぬんですよ、冗談抜きに。イカくさくない、兄さんでも呼びましょうか?」
「イカ臭いのがミルク臭いのに変わるだけだろ、抱き枕が喋るな。くそ、なんでクソガキ抱きしめて安心するんだよ。他の女の匂いが腹立つな」

 まさに罵詈雑言を聞きながら、根気良く背中を撫で付ける。
 早口ながらもその呂律が少しずつ怪しくなっていっているようだ。
 そして腹が立つと言われてからは、自分の匂いをつけるように体を押し付けられた。
 意味が良く分からないが、黙ってされるがままでいるとポツリと呟かれてしまった。

「おぃ……キス、しろ」

 胸の中から見上げた千雨の目は、八割方閉じかけている。
 意識してか、無意識でかは分からないがムドはその呟きに応えた。









-後書き-
ども、えなりんです。

寝取りとまではいきませんが、ネギの従者に手を出しましたw
まあ、まき絵は戦闘を拒否してますし、厳密にそう言えるか分かりませんが。
ただ、ムドの心情描写をもう少し濃くしたら寝取りっぽく見えたかな?
兄さんの従者なのに的な……その場合、最後までいってたでしょうが。

あとラストの千雨ね。
京都での事件後、誰からもフォローされてないのでまいってます。
あと一つ、駄目押しがあれば堕ちます。
次のイベント、何か分かりますね?

最後に、アキラのアーティファクト金剛手甲はキーアイテム。
月詠の次元刀とのコンボで、とある危機を回避できます。
ずっと後の話ですが、それでは次回は水曜です。


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