第三十六話 復活、リョウメンスクナノカミ
関西呪術協会の総本山とは谷と川を挟み、別の峰にある場所。
しんしんと降る雪のように桜吹雪を受け止める湖が、そこにはあった。
その湖には岸から桟橋が続き、中央辺りに祭壇が奉られていた。
何にを奉るかは、祭壇が向けられている先に答えがある。
全長が二十メートル近い、しめ縄で封をされたらしき大岩であった。
「あっちに見える大岩はにはな。危なすぎて今や誰も召喚できひんゆう、巨躯の大鬼が眠っとる」
祭壇の台座に横向きに寝転がされていたムドは、頭上で語る千草から大岩へと視線を向けた。
「十八年だか前に、一度暴れた時は今の長とサウザンドマスターが封じたらしいけどな。お嬢様の父君と、あんさんのお父さんやな。どや、父親の偉業を損なう感想は?」
「私は、父が嫌いなんです。別に何も感じません」
「ほな、丁度ええわ。どうせウチらはもう、お終いや。あんさんの魔力の件も正直半信半疑、それでも鬼の封印を破って世界が壊れる様を見ながらおっ死ぬのも乙なもんですえ」
感慨深げに語る千草の言葉にも、もはや興味はない。
祭壇に供物のように祭られてからは、服を剥ぎ取られ素っ裸であった。
月詠との情事の後始末もしておらず、中途半端に膨らんだ一物はまだ濡れていた。
桜吹雪を舞わせる風が身に染みて寒く、早く終わらないかなと楽観視しているぐらいだ。
それに千草と違い、ムドは死ぬつもりなどこれっぽっちもなかった。
発端はフェイトであったが、こんなつまらない事で死ぬつもりは絶対にない。
その根拠は、もう一度だけ友達を信じてみたいからという頼りない理由ではあったが。
「まあ、魔法の一つも使えへんあんさんを巻き込んだ事はかんにんな。危険はないはずやし、痛い事もあらへんはずや。それに……」
チラリとムドの一物に視線を向けてから、後ろでへばっている月詠に視線を向ける。
まだ興奮は抜けきらないらしく、ショーツのないスカート内に手を伸ばして発情していた。
そんな月詠を気味が悪い者を見るように小太郎は見ており、フェイトは完全に無視している。
「気持ちええ事はお好きみたいやし。ええ、夢みれはりましたろ? ほな、始めますえ」
耳慣れない呪文を千草が唱えると、ムドが横たわる供物の台座が輝き始める。
それはまるで仮契約の時に魔法陣から出る光と似た光であった。
真下から照らされたムドは、確かに快楽ににた感情を掻き立てられていた。
体もそれに反応して、萎え始めていたはずの一物がふくれあがる。
ムドにとって魔力を抜かれる事は、性交をする事と同義であり、そう体に染み付いていた。
だから儀式の初動とはいえ、魔力が抜かれていくのを感じて順序が逆ではあるものの体が反応したのだろう。
「げっ」
「あぁ、あんなにお互い果てましたのに。まだあんなに逞しく……」
ムドの一物の膨張に気付いた千草が、口汚い悲鳴をあげ、月詠が物欲しげに秘所を自分でかき回している。
フェイトは相変わらず無反応だが、小太郎はもはや理解が及ばないと頭を抱えてそっぽをむいていた。
「た、高天の原に神留まりまして、事始めたまひし神ろき、神ろみの命もちて。天の高市に八百萬の神等を神集へ集へたまひ」
やや詠唱の言葉に詰まりながらも、千草が封印解除の儀式を始めた。
ムドから無理やり引き出される魔力はより大きくなっていく。
それは光の柱となって空へとのぼる程であり、雲を突き抜け空へと溜まっていった。
徐々に魔力の影響からか天候も変わり始め、夜空を暗雲が覆い始めていた。
術者である千草も遅まきながらムドの魔力に気付いて、額に薄っすらと汗を浮かべる。
「ほんまに凄いわ、この坊や。最初は分からへんかったけど、道を空けたら出てきたのはお嬢様を遥かに凌ぐ力やえ」
「出来損ないでも、あのネギの弟やから当然やろ。千草の姉ちゃん、余計な事を喋ってると失敗すッ……なんやねんな、この刀は?」
背後に回った月詠が短刀を小太郎の首筋に突きつけていた。
「ムドはんを悪く言うと、ウチの刀が黙ってませんえ。大事な儀式の最中ですから、一度は我慢しますけど、二度はないですえ」
「たく、分けわからへん。急にアイツの味方しよって」
「月詠さん、小太郎君も。静かに、千草さんの集中を乱すよ」
「せや、あんさんらは黙っとき。それに、この魔力の柱に気付いて奴らが来るかもしれませんえ。警戒は怠らんとき」
酷く不服そうに月詠が短刀を下げ、小太郎は千草の言葉にネギが来るのかと上機嫌になりはじめる。
やがて千草が召喚の儀式を再開する中で、フェイトはムドの魔力の柱がのぼる場所とは別の空を見上げていた。
その視線の先には、和美の渡鴉の人見の一体がこの光景を見下ろしていたのだ。
それが何かまでは分からなかったが、あえてフェイトは気付かぬふりで見逃した。
来て貰わなければ意味がないからだ、ネギ・スプリングフィールドには。
「茂しゃくはえの如く萌え騰がる。生く魂、足る魂、神魂なり」
やがて暗雲渦巻く空に溜まったムドの魔力が、落雷のように封印の大岩へと落ちた。
魔力の光が質量をともなうように大岩を揺るがし、それを抱きとめている湖の湖面を揺さぶった。
時化を思わせる荒波を生み出し、それを受けてさらに封印の大岩が震えて亀裂が入る。
その亀裂から溢れるムドのものとは異なる力に、あたりの空気が痛い程に震えた。
「やばい空気やで。千草の姉ちゃん、失敗せんといてな。さすがの俺も、フォローしきれへんで」
「しっ、黙っとき」
少しでも集中を乱したくないとばかりに、小太郎の軽口に千草が過剰に反応した。
この時、フェイトが月詠に瞳で合図をしたとも知らずに。
さらに千草が儀式の詠唱を続けると、ムドの体が浮き上がり、胎児のようにその体を丸める。
そして辺り一体の魔力に抱かれるように、封印の大岩まで浮かび移動していく。
動きが止まったのは、封印の大岩に亀裂が入った箇所の真上であった。
一際大きくひびが入ったかと思った次の瞬間、辺りの魔力が具現化したかのような光の鬼の顔にムドが食われた。
「ふふふ、まさか本当にあの坊やで儀式が成るやなんて、これでもう怖いものなんかなんもあらしまへんえ!」
ムドを喰った鬼は瞬く間にその巨大な姿をさらしていった。
身の丈五十メートルは優に超える四つ手の鬼神。
リョウメンスクナノカミが封印の大岩を破って、その姿を現した。
その産声は空を揺るがし、遥か遠方まで届くかのような巨大なものであった。
祭壇付近も湖の荒波が飛沫どころか津波さえ起こし、立っているのもやっとの状態である。
だがそんな事すら忘れ千草はリョウメンスクナノカミを見上げて、高笑いを続けていた。
小太郎も、想像以上の鬼神の圧倒的な存在感と力に見ほれている。
その隙をついてフェイトと月詠は、ついに行動を起こした。
「これで、もう君らは用済みだよ。退場願おうか」
「短い間でしたけど、楽しかったですえ」
「月詠はッ、ぎゃぁぁぁぁッ!」
千草の背後に回り込んだ月詠が、その手に握った小太刀によって斬り裂いた。
「千草の姉ちゃん! 月詠の姉ちゃん、自分が何ッ!」
「君こそ、自分が何をしているのか自覚するべきだ。この世界にいるなら、いつかこういう日が来るはずだからね。君の事は嫌いじゃなかったけど、すまないね」
「速ッ、んなろぉッ!」
月詠に気をとられた小太郎の隙を突いて、フェイトが拳を振るう。
だが間一髪でそれを避けた小太郎は、フェイトや月詠には目もくれず背中を斬られ倒れていく千草を抱え上げた。
そして、振り返る事すらなく、一目散に祭壇から桟橋を駆け抜けて森の中へと逃げていった。
「思ったより、小太郎君もしぶとかったみたいだね」
「そないな事を言いはって、わざとやないんですか」
『フェイト君は優しいからね』
その呟きに驚きフェイトや月詠ですら、まさかとリョウメンスクナノカミへと振り返り見上げていた。
『術者がいなくなったせいかな。まるで自分の手足のようにリョウメンスクナノカミを動かせるみたいだ』
嘘ではない、それを示すようにリョウメンスクナノカミと一体化したムドは今再びの咆哮を空へと撃ち放った。
関西呪術協会の総本山の別邸、そこへ通されたネギ達は重苦しい雰囲気の中ただ待っていた。
すすり泣くような声も幾つかあり、アーニャはネカネが、亜子はアキラが慰めている。
そんな中で持て成しの為に用意されたお酒や料理に手をつけるような者はいない。
例外が、茶々ゼロぐらいだろうか。
エヴァンジェリンが何度取り上げても飲むので、そのうちに誰も注意しなくなった。
現在、詠春を初めとした関西呪術協会の面々が全力でムドの行方を追っているはずだ。
同時に、和美が渡鴉の人見を、エヴァンジェリンが使い魔の蝙蝠を放って捜索している。
「いたッ、ムド君を見つけた。大きな湖の中に祭壇がある場所。ここから、そんなに遠くもない。ただし、直線距離なら!」
「朝倉、それどこ。アイツ、無事なの!?」
「ムド先生は、ご無事ですか!?」
「朝倉和美、詳しい場所を教えろ。お前達、どけ。どかんか!」
和美が操作していたノートパソコンに明日菜や刹那を筆頭に皆が群がり始める。
その中をエヴァンジェリンが、押しのけながら前に出た。
画面上に映し出されている光景は確かに湖で行われる何かしらの儀式であった。
「あっ、ここ鬼さんの祭壇や。何度か連れられてお参りした事があるえ。よう知らんけど、大事な場所やからって。せっちゃんも……せっちゃん?」
その場所を知っているらしい事を木乃香が述べる。
同意を得ようと刹那にも尋ねたが、その様子は尋常ではなかった。
顔は青ざめ、事の重要さを示すように体を震わせてさえいた。
「さ、最悪の事態です。私は伝え聞いた話でしか知りませんが。十八年前、とある鬼神が暴れたのを長とサウザンドマスターが苦心の末に封じ込めたと」
「聞いた事がある。リョウメンスクナノカミか。しかし、関西呪術協会は本気でムドを探す気がなかったと見える」
「それは、どういう事ですか。エヴァンジェリンさん?」
真顔で聞いてきたネギを前に、エヴァンジェリンは苛立ちを隠さず答えた。
「天ヶ崎千草が近衛木乃香を狙った以上、関西の事情に詳しい者が誰か一人ぐらいはこの可能性に気付いたはずだ。だが、その大切な祭壇を見に誰も行かなかった」
「お父様はちゃんと探してくれる言うてくれたえ」
「木乃香ちゃん、詠春さんが探せといってもその命令を聞いた人が真面目に探さなかったら同じなのよ。誰だってよそ者の、しかも仲の悪い組織側の子供なんか捜したくないんでしょうね」
ネカネの辛辣な言葉に、木乃香はおろか誰一人として反論できる者はいなかった。
直前のエヴァンジェリンの理屈が理解できてしまったからだ。
事実、次期当主に最も近い木乃香が何度も参拝するような場所を探さないはずがない。
見捨てられたどころか、最初からどうでもよいように扱われた。
「高畑先生、木乃香さんのお父さんも急いでください」
「ムド君が見つかったっていうは本当かい?」
「一体何処に!?」
何時の間にかふらりと消えていた千鶴が、高畑と詠春を伴なって現れた。
まだ魔法を知って時はそれ程経ってはいないのだが、とんだ度胸であった。
「見つかったぞ、リョウメンスクナノカミが封印されている大岩のところだそうだ。あの女、ムドを生贄に伝説の鬼神を蘇らせるつもりらしい」
「そんなまさか、あの場所は真っ先に確認に向かえと……くっ、腹心の部下達が方々に出ていた事が悔やまれる。直ぐに、彼の場所に」
「詠春さん僕もその部隊に」
「いや、もう遅い」
エヴァンジェリンが呟き、和美のノートパソコンの画面を閉じた。
その行動の意味は、即座に現れる。
京都全体を震わせるような異形の遠吠えが、総本山を揺るがしながら広がっていく。
和美が近いとは称したものの数キロは離れているというのにだ。
空気がビリビリと震え、痛いぐらいに音が肌に突き刺さる。
咄嗟に駆け出した詠春と高畑が、部屋の窓に駆け寄り開け放った。
夜風に吹かれた桜吹雪が舞う夜空の向こうに、月を掴もうかと空へと四本の腕を伸ばす鬼神が蘇っていた。
産声を上げる赤子のように、リョウメンスクナノカミが遠吠えを繰り返す。
「嘘、だろ。冗談じゃねえ、ただの化け物どころか、怪物じゃねえか。おい、あのガキ。生贄って、もう死んじまったのか!?」
「死ぬって、ねえ。そろそろ誰か嘘だって言ってよ」
リョウメンスクナノカミの遠吠えを前に両腕をかき抱いていた千雨が錯乱したように叫ぶ。
死という単語を前に、夏美や亜子が腰を抜かしたようにへたり込む。
「いえ、術者が制御に成功していれば魔力が持つ限り生きていられるはずです。十八年前も、生贄にされた巫女は……木乃香の母は無事でした」
「詠春様、封印の大岩からリョウメンスクナノカミが蘇っております!」
「見れば分かる。直ぐに討伐隊を編成、それから各地に散っている腕利きを今からでも至急呼び寄せなさい。少なくとも、三日三晩は戦いは続きます」
三日三晩と聞かされ、報告に現れた呪術師が顔をさらに青ざめさせていた。
それは既に戦といって良い程の激戦である。
それ程までに激しい戦いは、十八年前に同じ鬼神が蘇っていこう行われてはいない。
ただし三日三晩というのも全盛期のナギと詠春がいてこそ。
実際にはそれ以上に続く事が、むしろ関西呪術協会の存亡でさえかかっていた。
「詠春さん、僕もお手伝い」
「止めておけ、タカミチ。貴様は既に、次期麻帆良学園の学園長だ。関西呪術協会の内身のごたごたに顔を突っ込めば、後々遺恨が残るぞ」
「ちょっと、さっきから何わけわかんない事を言ってるのよ。なんか悪いのが蘇ったんでしょ、倒せば良いじゃない。エヴァちゃん、最強の魔法使いなんでしょ?」
「まあ、私になら倒せない事はない」
明日菜の言葉に、半信半疑の瞳も含めエヴァンジェリンに視線が集まった。
「だが、私は直ぐには手を貸さん。関西呪術協会が全滅した時のみ、手をかしてやる」
「ちょっとエヴァンジェリン、あんたこんな時に何言ってるのよ。生贄にされたのはムドなのよ。私も手伝うから、助けに行こう」
「生贄にされたのがムドだからだ。部下を御しきれない詠春にも腹が立つが、ムドの場合はそれ以上だ。自分が弱者である事を忘れ、ふらふら敵になんぞついていきよって。自業自得だ」
アーニャの言葉に対し、それでもエヴァンジェリンは首を横に振っていた。
もちろん、本心では直ぐにでも助けに行きたい。
だがやはり、腑抜けて敵に捕まるような馬鹿をするムドは愛せなかった。
自分さえも手玉にとって手篭めにするような悪に戻って欲しかったのだ。
そうでなければ愛しがいがない、生涯を掛けた伴侶としては相応しくない。
「刹那君、君に譲った夕凪だが今回に限り私に貸してもらえないだろうか?」
「いえ、このような業物はお嬢様をお守りする為にお借りしただけで。それに、今の私には相応しい剣があります。ですので、問題ありません」
「すまないね、では一時的に返してもらうよ。お嬢さん方は危険ですので、この部屋から極力出ないでもらえますか。それでは、失礼します」
「お父様、気をつけてな」
詠春が慌しく去り、再び部屋の中が静けさに包まれる。
元々、高畑以外も東側の人間と目されて自由には動けない身だ。
下手に首を突っ込めば、西と東の仲も逆戻りになりかねない。
「タカミチ、確か……十八年前にも父さんはリョウメンスクナノカミと戦ったんだよね?」
「ああ、僕は参加してないけれど話だけは聞いてるよ」
「でも父さんは魔法使いだったんだよね。どうして、戦いに参加できたの?」
ネギの言葉に、狙っているモノに気付いて高畑がハッとなる。
当時のナギは詠春の戦友として、関西呪術協会の要請で参加する事になった。
だがそれは関東魔法協会の人間としてではなく、フリーの人間としてである。
魔法の知識と戦う術は持っているが、何処にも所属しない魔法使いとして参加してだ。
「ネギ君、君の安全は全くといって良い程に保障できない。これは半分、戦争だ。関西呪術協会の覇権をかけた内紛」
「それでも行くよ。エヴァンジェリンさんの気持ちも分かるけど、その後の恨みがムドに向かわないとも限らない。だから、ただのネギ・スプリングフィールドとして詠春さんに協力するよ」
「ウチも、半分は家庭の事やし、それにムド君を巻き込んでるから行くえ」
ネギに続き、木乃香が自分もと言い出した。
こうなったら、誰も彼もが止まらない。
「ネギ坊主、従者を置いていくのは感心しないでござる。主と従者は一心同体、何時も一緒でござるよ」
「そうアル。普段の修行はこんな時の為にあるアル。それを使わないでどうするアルか」
「及ばずながら、私も同意見です。関西呪術協会に見捨てられたからこそ、私達がムド先生を助けてあげるべきです」
「ちょっと、良くわかんないけど皆ずるい。私も行く!」
楓が、古、夕映、明日菜が次々に名乗りを上げる。
不満そうに鼻を鳴らしながら見ていたエヴァンジェリンも、止める気配はない。
それに元々エヴァンジェリンとて助けにはいきたいのだ。
だが悪に徹しきれないムドを愛せるのか不安で二の足を踏んでしまう。
そのエヴァンジェリンの前にアーニャが立ち、手を差し出した。
「エヴァンジェリン、顔に助けに行きたいって書いてあるわよ。アンタ、本当はムドの事が好きなんでしょ? 一緒に、助けにいきましょう。ただし、アイツは私のだからね」
「だ、誰があんなガキ。私は吸血鬼の真祖、六百歳を超える大魔法使いだぞ!」
深い事情を知らぬ面々の前でまで好きだとは言えず、心にもない言葉を発していた。
「あー、ウチも。ウチもムド君の事が好きやから助けにいくわ。アーニャちゃんと一緒やね」
「えッ、なにそれ!?」
「あらあら、ムドってばモテ期ね。ちなみに、私もムドの事は好きよ?」
「ネカネお姉ちゃんまで、え……あれ、どういう事なの!?」
亜子に続きネカネと思わぬ飛び火に、アーニャが頭を抱えた。
「わ、私はまだ……だけど、助けにはいった方が良い。いきたい」
「私もムド様を愛しています。その証明の為にも、即座に助けに行くべきです」
「あ……愛、それに様付け。あの馬鹿、私のいないところで何してんのよ、もう。絶対に助け出して吐かせてやるんだから!」
さらにはアキラや刹那までと、アーニャが混乱しつつ地団駄を踏む。
まるでその様子は、愛する夫に次々に愛人が見つかった妻のようである。
関西呪術協会の危機が一転、異なる意味での修羅場へと発展してしまった。
こっそり私もと参戦しようとしていたあやかは、千鶴に止められていた。
「ちょっと、朝倉。なにこれ、まるで私まで」
「いや、そう言われても私も惚れてるし。明日菜も実はそうだったんじゃないの? そもそも従者ってそういうもんでしょ?」
「ぎゃー、違、違います。高畑先生、私は違いますからね!」
「はっはっは、そういう事は当人同士で話し合ってもらうとして」
明日菜の主張はあっさり受け流し、高畑は真面目な顔を作って皆に尋ねた。
「残念だが、所属がはっきりしている僕は動けない。それでも、君達は行くかい?」
意固地になってそっぽを向いたエヴァンジェリン以外の全員が頷いた。
ネギ達の志願は詠春も喉から手が出る程に欲しかったらしい。
それにネギはあのサウザンドマスターの息子であった。
リョウメンスクナノカミを封印したサウザンドマスターの息子ともなれば、戦意高揚にもなる。
それ程、周りから反対意見が出る事もなく、あっさりと受け入れられる事になった。
当座の戦力として集められた総勢百名の神鳴流剣士や呪術師の大小様々な部隊に、一部隊としてだ。
もちろんリーダーはネギであり、十二名になる部隊は一番大きな部隊だったりする。
数もさる事ながらネギを担ぎあげる為にも、詠春の部隊の左翼後方に配置されていた。
現在、先頭に立つ詠春の部隊に続いて現地へ向かう途中であった。
祭壇のある湖を目指し、両脇を森に囲まれた河川をさかのぼり、石ころだらけ地面の上を走る。
「て言うか、なんでここにいいんちょがいるのよ。なんで千鶴さん達みたいに留守番組じゃないわけ? 朝倉も留守番組だけど!」
「おーっほっほっほ、聞けばこの仮契約カードは愛の印だとか。それを持つ私が大人しくネギ先生のお帰りをお待ちするわけありませんわ」
「あらあら、良かったわねネギ。あやかちゃんの事はしっかり守ってあげないとね。あやかちゃんもうちのネギの事をよろしくお願いしますね」
「ネギ先生の保護者公認とは、この雪広あやか。粉骨砕身の所存でネギ先生をお守りいたしますわ!」
石ころもそうだが、勾配すらある河原を走りながら、あやかが器用にネカネの手を握った。
ちなみに、さすがのネカネも鼻血をたらしながら言われたので引いていた。
「ある意味、パルよりも知られてはならない人に知られてしまったです」
「今まではそこまで皆も貪欲やなかったからな。これは本腰を入れんとあかんえ」
「最大のライバル出現アル」
「それはそれで、良い刺激となるでござるよ」
一戦をやらかす前の一時の息抜きとばかりに、三人ほどが溜息をついていた。
もはや一線引いた位置に立っているのは、楓ぐらいだろうか。
そんな四人、あやかを含め五人のやり取りを眺めながら、アーニャが額に血管を浮かべている。
だが何も五人のやり取りに怒っているわけではない。
何しろ前後左右、何処を見てもムドに好意を寄せていると暴露した人がいるのだ。
しかもムドはそれに気づいているのかいないのか、全員が従者なのである。
「あんなアーニャちゃん」
「ごめん、亜子。今は冷静に聞けそうもない。後で、ムドを助けたらちゃんと聞くから。それに、特に亜子は好きになるだけの理由があるもん」
「うん、今まで黙っててごめんな。先に謝る事だけはしときたかったん」
「別に誰を好きになるかは自由よ。それに、私とムドはまだ付き合ってるわけじゃないむぎゅ」
その話はここまでと止めようとした瞬間、アーニャが目の前を走っていたアキラのお尻にぶつかった。
幾つかの部隊が団子状態で走っていた為に、お互いに近付きすぎていたのだ
もっとも、アーニャが単に余所見をしていたせいでもあったが。
「ごめん、アキラ。でも、なんで皆立ち止まってるの?」
「あれ、見てみて」
背の低いアーニャを抱えて、アキラが妙に簡単に肩車を行った。
力持ちだと思ってしまったアーニャだが、女の子にそれはないと考えを振り切る。
そして改めて、前方を眺めると部隊を制止させる為に、手をあげた詠春の前方に人がいた。
息を切らせながらも、長身の女性を抱えた一人の男の子だ。
二人共に血を流しており、大量の血を流している女性はぐったりとしていた。
何かから逃げるように身長差故に女性を引きずるようにしながら河原の中を歩いてくる。
「天ヶ崎、千草でござるか?」
アーニャはその人を直接見た事がなかったので確信はなかったが、楓がそう呟いていた。
彼女も長身故に人垣に視界を遮られる事なく、その光景が見えていたのだ。
怪我をしているとはいえ、いきなりの首謀者の登場にまわりがどよめいていた。
何しろ、リョウメンスクナノカミはまだ健在なのだ。
少し遠くを眺めれば月の光を受けて金色に輝くようなその姿は、夜空に浮かんでいる。
ただ少し以前と違うのは、遠吠えを止めて何やら屈むようにしているところだろうか。
「天ヶ崎千草とその一味である小太郎君と見たが。これはどういう事かね?」
まだ十メートル近い距離があるうちにと、声を大きくして先頭にいる詠春が尋ねた。
余程必死であったのか、小太郎はこちらの事に気がついてなかったようだ。
一瞬喜んだような表情を浮かべ、後ろを振り返りながら急いで走る。
「そこで止まりなさい、止まらなければ」
「んな事を言っとる場合か。鬼が来るで、リョウメンスクナノカミやない。大量の鬼どもが、三千はくだらんで。もっと戦力あらへんかったんかいな!」
小太郎の必死な声と迫り来る何かから逃げる様に、またしても周囲がどよめいた。
今までは自分達が移動する音で分からなかったが、集団が移動する音が別途聞こえる。
歩調を合わせて行進する軍隊をもっと乱雑にしたような。
その足音に加えて下世話な笑い声や、戦を前に鼓舞するような声まで聞こえてきた。
まだ遠いか、そう詠春が判断して前進の合図をだそうとした時、先手を打たれてしまった。
暗い夜空を覆い尽くすかと思えるような矢の雨が、両脇の森の中から放たれた。
「神鳴流剣士、迎撃の斬空閃。呪術師は防御の符を!」
前方からはゆっくり進んでいるように見せかけ、別働隊に両翼を取られたのだ。
だが詠春はまだ間に合うと、それぞれの部隊に合図を出した。
各所から神鳴流剣士達がほぼ予備動作零で斬撃を空へと撃ち放ち、矢の雨を斬り裂いていく。
もちろん、刹那もまた斬空閃を空へと撃ち放ち周囲の矢をできるだけ撃ち落とそうとする。
だが雨のように放たれた矢の全てを撃ち落とせはしない。
何しろ現在は夜間であり、視認することですら困難なのだ。
「アデアット、炎の衣。最低限で良いから、矢を焼き払って!」
十二人も守りきれないとある程度は見限りながら、アーニャがアーティファクトを呼び出した。
最優先で守るべきは、治癒魔法使いであるネカネである。
木乃香はネギのパーティに任せきり、亜子と戦いに不慣れなアキラも守った。
炎の衣がオートガード機能にて、降り注ぐ矢を燃やし尽くしていったのだ。
それでも手が回らない分は刹那や明日菜が斬り落とし、なんとか初撃は無傷でやり過ごす事ができた。
だが前方から鬼の大群が掛けてくる轟音が聞こえ、両翼の森の中からはやや小柄で身軽そうな鬼たちが飛び出してくる。
「人間だ、人間を殴り倒せ!」
「小生意気に隊列組んでやがるぜ、突き壊せ!」
こちらが浮き足立つ中で、異様に統率の取れた鬼たちが襲いかかってきた。
「各部隊、鬼を討ち取れ一匹たりとて討ちもらすな!」
当然と言えば当然の詠春の号令であった。
目的がリョウメンスクナノカミの討伐とはいえ、鬼を見逃して良いはずがない。
仮に小太郎の言葉を信じ、三千の鬼がいるとして無視して進める数ではなかった。
無理をして背後をとられても、鬼達が戦力の減った総本山に攻め入っても終わりだ。
ここで食い止めるという選択肢しか、詠春には選べなかった。
「楓さん、古さんは僕の両脇について正面から来る鬼を。刹那さんと明日菜さんは左手から来る鬼をお願いします。あやかさんとアキラさんは後衛の護衛です。無理はしないでください」
「え、ネギ先生お待ちを」
「いいんちょ、追いかけちゃ駄目。邪魔になる、たぶん」
ネギの言葉の後、楓や古に続いて追いかけようとしたあやかをアキラが引き止めた。
その事を即座にあやかは感謝し、頭を下げる事になる。
一つ目、角持ち、成人男性が子供に見えてしまうような巨躯を持つ鬼等。
人外の生物たちがそれぞれ武器を持って、波のように襲いかかってきていたのだ。
詠春や他の神鳴流剣士と共に、ネギや楓、古は飛び込んでいった。
「楓さん、古さん。同士討ちには気をつけてください。戦いの歌!」
「おお、元気な坊主やな。どれいっちょ手合わせ願ったろうやないか」
身体強化を施して早々、一際大きな体を持つ鬼とネギが拳を衝突させる。
がっぷりよっつ、膠着するかと思いきやネギが力の焦点をずらし相手の鬼の拳をいなした。
たたらを踏んで地面に拳を打ちつけた鬼の懐へ飛び込み、巨躯を打ち上げ数匹の鬼を巻き込んでなぎ倒してしまった。
その勇ましい姿に触発され、特に神鳴流剣士達が時の声を上げて斬り込んでいく。
「ネギ坊主、言うようになったでござるな。だが、まだまだ拙者らの心配は早いでござるよ」
「そうアル。そういう事は、私達から一本とれるようになってから言うアルよ。来たれ、神珍鉄自在棍!」
拳を振り上げた状態でやや隙があったねぎの両脇を固める。
隙をついた鬼を楓がクナイを手に串刺し、古が神珍鉄自在棍にて打ちのめした。
「契約代行、ムドの従者桜咲刹那。明日菜さん、相手は素早いです。大振りは禁物で体捌きを重視してください。はあっ、神鳴流奥義、斬魔剣!」
「契約代行、ムドの従者神楽坂明日菜。了解、刹那さん。ちょこまかと、逆転ホームランかますわよ。チビッ子!」
「チッ、あの命令さえなければ。だが鬼を舐めるな、童がッ!」
一方左翼へ向かった刹那と明日菜も、数こそ前面に劣るが小柄で身の軽い鬼達を切り伏せていく。
後衛もそれらの活躍に負けてはいなかった。
夕映や木乃香、そこにアーニャ加わり魔法の射手で弾幕を張っていく。
光や炎の矢が数が多すぎて立ち往生していた後方の鬼たちへと降り注いだ。
要は先程、先手を打たれて矢を撃たれたお返しである。
敵と直に衝突する前方よりも、後方の方が阿鼻叫喚の図となっていた。
「ウ、ウチも頑張らんと。アデアット、傷跡の旋律」
そしてさらに渦中に油を撒き散らすように、亜子がビンッとエレキベースの弦を弾いた。
少しはマシになった演奏技術で練習中の曲を掻き鳴らしていった。
だが練習中であろうと何だろうと、効果は如実に現れる。
効果範囲にいた鬼達が次々に頭を抱えては蹲り、泣き喚いたり地面を転がり始めた。
「ぎゃーっ、そらあかん。イダダダダッ、蕎麦の畑が真っ赤に染まるわボケッ! やってええ事と悪い事があるやろうが、人間めぇ!」
「お腹痛いよう、お腹痛い。豆怖い、豆怖い。まんまーッ!」
「青鬼、わしゃー、わしゃー肝心な事をわすれちょった。きさんが、きさんが一番のダチンコやったんけぇ!」
何やら昔話で聞いた事のあるような悲鳴をあげている鬼もいたが。
「亜子ちゃん、凄い。もっとやって、もっと。すっごく倒すのが楽!」
「私、やっぱりコレ嫌いや。良心がずっきんずっきんするわ!」
「明日菜さん、前を。しまった。抜けられた!」
「げっ、気をつけて一匹いっちゃった!」
気を抜いて振り返った明日菜の脇を、一匹の鬼が耳を押さえながら駆け抜けた。
狐の面をつけた小柄な鬼であり、その足が何処へ向くかは明白だ。
気付いてアーニャが火の矢を飛ばすも、かわされてしまう。
「ひっ!」
腕から伸びた鎌のような刃を振り上げ、亜子へと切りかかる。
「楽師、貴様は危険だ。ここで眠ッ!」
さらにアーニャの炎の衣がオートガードで動こうとした瞬間、一本の腕がその鬼の顔を掴んだ。
そのままバキバキと狐の面をひび割らせながら、手の平だけで締め付けていく。
「私の亜子に手を出さないで」
「アキラ、さすがに照れるわ。けど嬉しい」
「うっ……うん。来たれ、金剛手甲。貴方は、あっちへいっていて!」
「ぎゃあぁぁぁっ!」
肘先まで覆う赤い手甲を身につけたアキラが、小柄な鬼を遠くに投げ捨てた。
兎に角遠くへ、その願いどおり小柄とはいえネギやムドと変わらない体躯の鬼が森の彼方まで飛んでいった。
やけに遠い場所で轟音がなり、木が倒れたような音が鳴ったのは気のせいか。
投げた本人でさえ驚いてしまうような怪力である。
「なる程、ネギ先生との愛が形となるわけですね。えっと、来たれ五火神焔扇。ネギ先生の助成の前にこちらで肩慣らしですわ!」
「わ、なんかショタコン来た。危ない事を言いつつ来た!」
「何を仰いますか。貴方も既に私と同好の士。共に愛らしい少年愛について語り合おうではありませんか!」
「不穏な言動振り撒きながら来た。だから、私はムドの事なんか何とも思ってないってば。ほら、アーニャちゃんが凄い睨んでる!」
妙な掛け合いをしつつも、明日菜はきちんと戦いに集中していた。
直前のミスを取り返すように、大振りな破魔の剣を自在な体重移動で小回りに振り回す。
それでも限界はあるようで、その隙間を埋めるように飛び込んできたあやかが金色の鉄扇である五火神焔扇を振るった。
すると薙ぎ払われたそばから鬼が火に包まれては灰燼へと返って行く。
「おーっほっほ、ネギ先生と私の愛の炎をお浴びになりなさい!」
「熱ッ、あんまり近付かないでよ。馬鹿言ってないで前を見なさい。ほら、そっちから来てる!」
「何気に、二人共息があってますね。雪広さんも何気にお強い」
「刹那君、こちらにこれるかい!」
若干呆れも混じった呟きを刹那が漏らしていると、何やら前方にて動きがあったようだ。
夕凪を手に詠春が合図を出してきている。
一瞬自分が行ってもと不安になったが、あやかが予想以上にふんばっていてくれた。
「刹那さん行って、大丈夫。いいんちょがいれば、なんとか頑張れそう」
「仕方ありませんわね。委員長として、集団の和を乱すわけにもまいりません。お行きなさい、桜咲さん」
「申し訳ありません、この場はお任せします!」
軽く頭を下げて、刹那は戦乱の最中を大将である詠春の元まで急いだ。
するとそこには、最前線で戦っているはずのネギがいた。
何時の間にと最前線を眺めると、ネギがいた場所には代わりに小太郎が戦っている。
一応はそれで戦力としては問題ないようで、立派に代わりを果たしていた。
だが問題は、小太郎ではなかった。
「貴様……天ヶ崎、千草!」
詠春のもとには、後ろ手に縄を掛けられながら跪いている千草がいた。
治癒術が施されたようで血も止まり、意識も一応は戻っているようであった。
既にお縄に掛かっていると分かってはいても、刹那が建御雷を振り上げた。
「待って、落ち着いてください刹那さん」
「刹那君、まだ決め付けるつもりはないが天ヶ崎千草は一杯食わされたようだ。リョウメンスクナノカミを見て、どう思うかね?」
「そう言えば……全く動きを見せていないです」
当初より、何やら地面に方膝をついたように変わってはいたが、それっきり動いていない。
「当たり前や、既に制御はウチの手を離れとりますえ。フェイトはんと月詠はんに裏切られたんや。裏切りの主犯はフェイトはんや。狙いはあんさん、サウザンドマスターの息子や」
「僕、どうして!?」
「そんなん知りまへんわ。ムドとかいう坊やを連れて来て、ウチらを牢屋から連れ出したのもフェイトはんや。リョウメンスクナノカミも蘇らせて直ぐに奪われてしもたわ」
吐き捨てるように千草は洗いざらい全てを話してきた。
何故自分なのか、やはりサウザンドマスターの息子だからか。
だがその為にムドがと思い悩んだネギへと、詠春が耳打ちをするように語った。
「ネギ君、今は理由を考えるべき時ではありません。そう時間も掛かる事なく、鬼の討伐も完了するでしょうが。それでは時間が掛かり過ぎます」
「確かに京都全域に認識障害を張ったとしても、リョウメンスクナノカミは大き過ぎます」
「十八年前とは違い、昨今は家庭でも気軽に撮影できる記録媒体もあります。ですから、まずは私とネギ君、そして刹那君で先行します」
「私もですか、長!?」
まさかそんな大事な役目に自分も含まれていると聞かされ、刹那が仰天していた。
「君はムド君の従者でしょう。仮契約カードの念話で、呼びかけられるかもしれません。最初は穏便に会話を行い、駄目ならフェイトと月詠を打ち倒します」
「わ、分かりました。ムド様のもとへとお供いたします」
「ネギ君も構いませんね。ここで父の偉業を取り返し、ムド君を救出する為にも」
「はい、行きます。父さんの同じ道を歩む為にも、ムドの為にも」
良い返事ですと詠春は頷き、自分達が先行する為に部隊を動かし始めた。
-あとがき-
ども、えなりんです。
ムドのH以外の才能……それが生贄。
おおっぴらになったら、狙われる確率あがりますね。
しかも変に衰弱等しないので再利用可能ときたもんだ。
これほど便利な生贄もないもんです。
そして、鬼と関西呪術協会の激突。
亜子やアキラは、初の本格的な戦闘ですね。
アキラ……吹っ切れたw
それでは次回は水曜です。