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No.25212の一覧
[0] 【完結】ろくでなし子供先生ズ(ネギまでオリ主)[えなりん](2011/08/17 21:17)
[1] 第二話 打ち込まれる罪悪と言う名の楔[えなりん](2011/01/01 19:59)
[2] 第三話 脆くも小さい英雄を継ぐ者の誓い[えなりん](2011/01/05 21:53)
[3] 第四話 英雄を継ぐ者の従者、候補達?[えなりん](2011/01/08 19:38)
[4] 第五話 ムド先生の新しい生活[えなりん](2011/01/12 19:27)
[5] 第六話 第一の従者、ネカネ・スプリングフィールド[えなりん](2011/01/15 19:52)
[6] 第七話 ネギ先生の新しい生活[えなりん](2011/01/22 21:30)
[7] 第八話 強者の理論と弱者の理論[えなりん](2011/01/22 19:25)
[8] 第九話 闇の福音による悪への囁き[えなりん](2011/01/26 19:44)
[9] 第十話 勝手な想像が弱者を殺す[えなりん](2011/01/29 20:15)
[10] 第十一話 私は生きて幸せになりたい[えなりん](2011/02/05 20:25)
[11] 第十二話 棚から転がり落ちてきた従者[えなりん](2011/02/09 20:24)
[12] 第十三話 他人の思惑を乗り越えて[えなりん](2011/02/12 19:47)
[13] 第十四話 気の抜けない春休み、背後に忍び寄る影[えなりん](2011/02/12 19:34)
[14] 第十五話 胸に抱いた復讐心の行方[えなりん](2011/02/16 20:04)
[15] 第十六話 好きな女に守ってやるとさえ言えない[えなりん](2011/02/23 20:07)
[16] 第十七話 復讐の爪痕[えなりん](2011/02/23 19:56)
[17] 第十八話 刻まれる傷跡と消える傷跡[えなりん](2011/02/26 19:44)
[18] 第十九話 ネギパ対ムドパ[えなりん](2011/03/02 21:52)
[19] 第二十話 従者の昼の務めと夜のお勤め[えなりん](2011/03/05 19:58)
[20] 第二十一話 闇の福音、復活祭開始[えなりん](2011/03/09 22:15)
[21] 第二十二話 ナギのアンチョコ[えなりん](2011/03/13 19:17)
[22] 第二十三話 満月が訪れる前に[えなりん](2011/03/16 21:17)
[23] 第二十四話 ネギがアンチョコより得た答え[えなりん](2011/03/19 19:39)
[24] 第二十五話 最強の従者の代替わり[えなりん](2011/03/23 22:31)
[25] 第二十六話 事情の異なるムドの従者[えなりん](2011/03/26 21:46)
[26] 第二十七話 いざ、京都へ[えなりん](2011/03/30 20:22)
[27] 第二十八話 女難の相[えなりん](2011/04/02 20:09)
[28] 第二十九話 大切なのは親友か主か[えなりん](2011/04/06 20:49)
[29] 第三十話 夜の様々な出会い[えなりん](2011/04/09 20:31)
[30] 第三十一話 友達だから、本気で心配する[えなりん](2011/04/16 21:22)
[31] 第三十二話 エージェント朝倉[えなりん](2011/04/16 21:17)
[32] 第三十三話 ネギの従者追加作戦[えなりん](2011/04/20 21:25)
[33] 第三十四話 初めての友達の裏切り[えなりん](2011/04/23 20:25)
[34] 第三十五話 友達の境遇[えなりん](2011/04/27 20:14)
[35] 第三十六話 復活、リョウメンスクナノカミ[えなりん](2011/04/30 20:46)
[36] 第三十七話 愛を呟き広げる白い翼[えなりん](2011/05/04 19:14)
[37] 第三十八話 修学旅行最終日[えなりん](2011/05/07 19:54)
[38] 第三十九話 アーニャの気持ち[えなりん](2011/05/11 20:15)
[39] 第四十話 友達以上恋人未満[えなりん](2011/05/14 19:46)
[40] 第四十一話 ネギの気持ち、ムドの気持ち[えなりん](2011/05/18 20:39)
[41] 第四十二話 契約解除、気持ちが切れた日[えなりん](2011/05/25 20:47)
[42] 第四十三話 麻帆良に忍び寄る悪魔の影[えなりん](2011/05/28 20:14)
[43] 第四十四話 男の兄弟だから[えなりん](2011/05/29 22:05)
[44] 第四十五話 戦力外従者[えなりん](2011/06/01 20:09)
[45] 第四十六話 京都以来の再会[えなりん](2011/06/08 21:37)
[46] 第四十七話 学園祭間近の予約者たち[えなりん](2011/06/08 20:55)
[47] 第四十八話 麻帆良学園での最初の従者[えなりん](2011/06/11 20:18)
[48] 第四十九話 修復不能な兄弟の亀裂[えなりん](2011/06/15 21:04)
[49] 第五十話 アーニャとの大切な約束[えなりん](2011/06/18 19:24)
[50] 第五十一話 麻帆良祭初日[えなりん](2011/06/26 00:02)
[51] 第五十二話 ネギ対ムド、前哨戦[えなりん](2011/06/26 00:03)
[52] 第五十三話 仲良し四人組[えなりん](2011/07/02 21:07)
[53] 第五十四話 麻帆良武道会開始[えなりん](2011/07/06 21:18)
[54] 第五十五話 この体に生まれた意味[えなりん](2011/07/06 21:04)
[55] 第五十六話 フェイトの計画の妨げ[えなりん](2011/07/09 20:02)
[56] 第五十七話 師弟対決[えなりん](2011/07/13 22:12)
[57] 第五十八話 心ではなく理性からの決別[えなりん](2011/07/16 20:16)
[58] 第五十九話 続いて欲しいこんな時間[えなりん](2011/07/20 21:50)
[59] 第六十話 超軍団対ネギパ対完全なる世界[えなりん](2011/07/23 19:41)
[60] 第六十一話 スプリングフィールド家、引く一[えなりん](2011/07/27 20:00)
[61] 第六十二話 麻帆良祭の結末[えなりん](2011/07/30 20:18)
[62] 第六十三話 一方その頃、何時もの彼ら[えなりん](2011/08/03 20:28)
[63] 第六十四話 契約解除、ネギの覚悟[えなりん](2011/08/06 19:52)
[64] 第六十五話 遅れてきたヒーローユニット[えなりん](2011/08/10 20:04)
[65] 第六十六話 状況はより過酷な現実へ[えなりん](2011/08/13 19:39)
[66] 第六十七話 全てが終わった後で[えなりん](2011/08/17 20:16)
[67] 最終話その後(箇条書き)[えなりん](2011/08/17 20:18)
[68] 全体を通しての後書き[えなりん](2011/08/17 20:29)
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[25212] 第十五話 胸に抱いた復讐心の行方
Name: えなりん◆e5937168 ID:1238ef7e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/02/16 20:04

第十五話 胸に抱いた復讐心の行方

 地震でも起きているのかと錯覚する程に、ぐらぐらと足元が揺れている。
 何秒経っても、何分経っても、何が起きたのか整理できない。
 少なくともムドは、不満ながらもしょうがないと一言貰えれば十分だったのだ。
 求めたのは理解ではなく最低限の納得。
 だというのに、何を与えられた。
 震える手で触れた唇には、未だにアーニャの唇の温かさが残っている。
 以前、明日菜と交わした大人のキスより稚拙なそれであるにも関わらず、心に刻み込まれた。

「アーニャと……」

 目の前に浮かんでいる仮契約カードを手にしながら呟く。

「キス、した。仮契約……」

 とても立ってはいられず、その場に女の子座りで尻餅をついた。
 それでも仮契約カードだけは、アーニャとのキスの証だけは大切に胸に抱きながら。
 ようやく、理解が進み始める。
 大好きなアーニャと、ついに仮契約してしまったのだ。
 不意を突かれての事ではあったが、事実は変わらない。
 むしろ過程などどうでも良く、アーニャと交わした契約そのものが嬉しかった。
 胸に掻き抱いた仮契約カードを中心に、じわじわと温かいものが膨れ上がる。

「嬉しい……どうしたら、嬉しいです」

 あまりの歓喜に、ぽろぽろと涙が零れ落ちてくる。
 数少ない夢を半歩前進した事になるのだから、当然だ。
 人並みの夢、幼馴染である可愛いアーニャと結婚するという夢。
 魔法使いの男女が仮契約したと言う事は、何時か結婚しましょうと約束したに等しい。
 元々仮契約とはそういうものだ。
 男同士の場合は永遠の友情等だが、兎に角お互いの絆を形にしたものである。
 ネギやムドのように、本来はむやみやたらとして良いものではない。

「強く、もっと強くならないと。私なりのやり方で、アーニャに心配かけないように」

 嬉し涙を拭いて、少しよろけながらも立ち上がる。
 そして今一度、改めてアーニャとの仮契約カードを眺めた。
 紫色のローブと三角帽子を被って杖を持った典型的な魔法使い像の姿をしたアーニャが映っている。
 アーティファクトは今度確認するとして、今は仮契約カードを大事に懐にしまった。
 ネカネと明日菜に続き、三枚目の仮契約カードだ。
 ただ三枚目という数よりも、やはりアーニャがという点が大きい。

「そろそろ戻らないと。兄さん達が心配するかな」

 アーニャが去ってからも、随分呆けてしまっていたと踵を返す。
 その時、目の前の景色がムドの意志に反して急に流れ、スーツの首元が絞まる。
 車の中から窓の外を見たときのように、横に伸びていく。
 何が起きたのか分からず、呆気にとられたが、その現象も長くは続かなかった。
 急制動、ガクンと首が揺れ、体が放り出された。
 あくまで放り出された気がしただけであったが、間違いではなかったようだ。
 森の中である為、日陰故に湿り気を帯びた地面の上を転がっていく。
 それでもまだ状況が理解できず、ようやくムドの体が止まった。
 とある木の幹に後頭部をぶつけた事で。

「くぅ……痛ッ、何がケホッ」

 打ち付けた後頭部を押さえ、転がりまわる。
 しばらくして痛みが治まり、顔を上げた所で見えたのは般若であった。
 もちろん比喩であり、それ程までに怒りを胸に抱いた様子の少女である。
 髪を無造作にサイドテールにし、部活でも行っていたのか麻帆良女子中学校の制服に竹刀袋を持っていた。
 他に特徴はといえば、スカートの下にスパッツを履いていた事ぐらいだろうか。

「貴方は、確か」
「貴様なのか?」

 疑問符を浮かべるよりも先に、首元を掴まれ持ち上げられた。
 桜咲刹那と、名前を思い浮かべると同時に、頭を打ちつけた木の幹に今度は背中から叩きつけられる。
 あまりに理不尽な、ある意味久しぶりの仕打ちに涙が出そうであった。
 折角、アーニャと仮契約できて幸せの絶頂だったというのに、力で無理やり壊されたのだ。

「保健医とはいえ、仮にも先生に貴様はないですよ」
「煩い、貴様なのかと聞いているのはこちらだ。貴様が、お嬢様に。お嬢様をこちら側の世界に!」
「木乃香さんの護衛なのに、学園長から何も聞いていないんですか?」
「質問に答えろ!」

 再度木の幹に叩きつけられたかと思った次の瞬間には、地面の上であった。
 瞬間移動も良い所で、衝撃に肺の奥から無理やりに空気が吐き出される。
 余程興奮しているのか、言葉が通じない。
 森に入って直ぐに感じた視線の相手はこの刹那なのか、会話出来なければムドは無力だ。
 激しく咳き込んでいると、ぼんやり熱が上がってきた。

「お嬢様は血生臭い世界には無縁の、お優しい方なんだ。このまま何も知らなければ、極普通の幸せを」

 何やら感極まったように刹那が弱々しく呟いた。
 相手の事情はどうでも良い。
 威勢が弱まったこの機会を逃しては、刹那のペースを乱す事はできなくなってしまう。
 そうなれば、暴力一辺倒に口を塞がれて殺されるだけだ。
 だからこそ、刹那が見せた傷跡らしきものをこちらからわざとえぐる。

「本当に、無縁であれば幸せになれると思ってるんですか?」

 釣り糸で餌を目前に垂らされた魚よりも速く、刹那が食いついてきた。
 喉元を締め付けるように、襟元を掴まれ持ち上げられる。

「木乃香さんが生まれ持った魔力は、父さん……ナギ・スプリングフィールドをも越えると、その筋ではもっぱらの評判ではないですか」
「ああ、そうだ。だからこそ!」
「評判になっている時点でアウトですよ。現に、今こうして木乃香さんは魔法を知った。悪意がない私達で良かったですね。でなければ今頃は、手篭めにもされて言い様に使われていますよ」
「ぬけぬけと……」

 正論を返され、刹那が僅かながらにも言葉を詰まらせた。
 わなわなとムドを締め上げる手は振るえ、自分の警備の不慮を省みているのだろう。
 あと一息で、この状況を完全に掌握できる。
 だが、次の刹那の言葉はムドも予想外であった。

「貴様に何が分かる。魔法の存在を知りながら、ネギ先生とは違い何一つ努力せず、遊び呆けているような貴様に!」

 その言葉に、暴力への抵抗の力が抜けていく。
 首を絞められもがく事もせず、刹那が自棄気味に叫んだ言葉を脳内で繰り返す。
 頭の冷静な部分では、刹那がムドの体質の事を知らないのだろうと教えてくれている。
 だが冷静ではない部分では、知らなければ何を言ってもよいのかと囁いていた。
 天秤は、酷く簡単に傾いていった。
 ムドの胸に湧き上がり始めたのは、暴力への抵抗ではなく反逆だ。

「お嬢様には、平穏な幸せをですか。それはおかしいですね」
「まだ言うか」
「では何故、貴方のような半端者が護衛なんですか?」
「え?」

 刹那が締め上げる力を緩め、ムドは熱でぼうっとする頭を振り払い拘束を逃れた。
 目の前で堂々とスーツの襟を正し、何を言われたのかわかっていない様子の刹那を見上げる。
 激昂が冷め、むしろ顔を青くしてさえいた。
 魔法世界での心理学に良く取り入れられる混血児についての考察通り、サンプル通りの反応で助かった。
 ただ少し予想以上の反応だが、続ける。

「私は保健医ですよ。特に二-Aには色々な方が集められています。例えば、吸血鬼のエヴァンジェリンさんが体がだるいと言います。これにニンニクエキスの栄養剤なんて渡せませんよね?」

 私は知っているんですよと、改めて突きつける。

「では続けましょう。極普通の幸せには、異端があってはなりません。その一つが魔法だとします。いけませんね、こんなありえない事は知る必要がありません」
「そ、その通りだ」
「ようやく意見が同じになりましたね。嬉しいです。握手でもしますか?」

 慇懃無礼に演技をして、顔色の悪い刹那の手を取り握手する。
 その手は小刻みに震えており、恐怖に慄いているのが分かった。
 もちろん、ムドの隠れた実力と才能に、なんて事はない。
 木乃香が魔法の存在を知らなかった事からも想像し易いが、刹那が半端者である事も知らないはずだ。
 昼食時に木乃香が妙に熱く刹那を語った事からも、何かあった事は想像に難くない。
 幼少時には親しかったが、その片割れは混血の半端者。
 この現実世界ではどうか知らないが、魔法世界では良くある話であり誰もそんな事は気にしない。
 なにしろ普通の人間よりも、獣人や幻想種の方が多いぐらいだからだ。
 刹那の不幸は半端者でありながらこちらの現実世界に生まれてしまった事だろう。
 だからといって、ムドも手は抜かないが。

「さて、では問題です。お嬢様の護衛に、薄汚い妖怪である烏族と人間のハーフである者が最適なのでしょうか? 桜咲刹那さん、どう思いますか?」
「だ、まれ……」
「質問に対し、黙れでは採点の対象外ですよ。仕方がないですね。では私の私見でも」
「黙れ!」

 首を掴まれ、押し倒された。
 背中を強打しただけに飽き足らず、又しても後頭部を地面に打ちつける。
 しかもムドにまたがった刹那は、片手で首を絞め、もう片方の腕は振り上げていた。
 来るか、そう覚悟するよりも速く拳がムドの頬を殴りぬけていく。

「貴様なんかに、私の苦しみが分かってたまるか!」
「ええ、理解するつもりはありません。それよりも、手を離して離れてはくれませんか? 貴方、少し臭いますよ? 妖怪の臭いですか?」

 一度は通り過ぎたはずの拳が戻り、再度ムドを殴りつける。
 口の中を切ったと、他ごとを考えながらムドは続けた。

「野蛮ですね。こんな凶暴な半端者をお嬢様の近くに置いておくとは……学園長も何を考えているんですか。そうだ、私が一度進言して貴方を」
「その薄汚い口を閉じろ。お嬢様を守るのは私の役目だ。私だけの!」
「ぐッ……だからガ、その貴方が」
「黙れ、黙れ、ダマレダマレダマレッ!」

 連続で頬を殴られ、さすがのムドも口が動かなくなってきた。
 その上、拳を痛めながらも殴り続けた刹那は、瞳の色が何処かおかしくなっている。
 息を乱し、振り上げた拳が緩んだかと思えば、ムドの首に直接かかってきた。
 まずい、そう思った次の瞬間には、ムドの細い首に刹那の両手が絡みつく。
 雑巾でも絞るかのように、両手で首を絞められる。

「お嬢様を、このちゃんを守るのは……渡さない、このちゃんを奪う者は死ね。シネシネシネ……」
「カハッ……」

 絞られた分だけ空気が逃げていき、新たに吸い込まれることはなかった。
 どうやら一線を踏み越えたのは、お互い様であったらしい。
 何かに乗り移られたように奇妙な音調で呟く刹那の瞳が、どす黒く染まり縦に割れていた。
 これまでのように過失ではなく、意志を持って殺しに来ている。
 背中が冷たく、何か得体の知れないものが死を告げに現れたようにも感じた。
 自業自得の部分があるとはいえ、アーニャと仮契約して直ぐに死ねるかと抵抗する。
 その時、近くの茂みがガサリと音を立てて揺れた。
 遅くなったムドを心配して、誰かが迎えに来て、見つからず探し始めたのか。
 兎に角、ムドだけでなく刹那もまたその音に気付いて、振り返っていた。
 そして振り返りなおすと同時に、自分がしていた行いに驚いてムドの上から飛び退った。

「ゴホッ……うぇ、はッ」

 助かったと、締められていた喉に触れながら咳き込む。
 何よりもまず呼吸をして空気が欲しいのに、溜まりに溜まった唾液がそれを邪魔する。
 引っ込んでろと言いたいが声すら出ず、止む無く唾液を履く為にさらに息を吐いた。
 唾液だと思っていたものは、血であった。
 ベチャリと赤黒い塊が地面の上に広がり、それでようやく喉が開いて空気が通っていく。
 そして呼吸が正常になればなる程、正確に体の状態が把握できるようになってくる。
 頭が重い、気がつかない内に魔力が体内でうごめき始めていた。
 魔法の射手が掠っただけで体は危険を感じて魔力を生成して、高熱に侵されるのだ。
 実際に首でも絞められようものなら、こうなるのは当たり前であった。

「あ……申しわッ」

 心配し、伸ばされた手を打ち払う。
 闇雲に振った為、払えるかどうか分からなかったがどうにか当たったようだ。
 滲む視界の中で、払われた手を抱えている刹那が何とか見えた。
 ただし、その表情までは良く見る事ができなかった。

「言ったでしょう。臭いから近寄らないでくれって」

 相手が我に返ろうと、頑として意志を貫く。
 その言葉で刹那がどんな表情を浮かべたかも分からなかったが、立ち上がった事だけは分かった。
 立ち去る刹那の背中を見送り、決着は次だと睨みつける。
 が、ムドも限界が近かった。
 倒れこんだまま腕だけで体を支えていたが、腕が肘から折れた。
 自重さえも支えられず、ムドはその場で倒れ込んでいった。









 ガンガンと金槌で頭を叩かれ続けているように痛む。
 体を動かすのが億劫で、浮上しかけた意識をもう一度、闇の底へと落としたい。
 中途半端に意識が覚醒したムドと包むのは倦怠感であった。
 まるでつい先程まで、本当に死にかけていて、体が死後硬直にでもなっていたかのような。
 そんな嫌な倦怠感の中で、極一部だけ感覚の違う場所がある。
 むしろ、その極一部だけはもっと動かしたい。
 心地良い快感をと思った所で、ムドはハッと意識を取り戻して瞳を開いた。

「はぁ、良かった。目を覚ましてくれんんっ、ぅぁん……本当、にぃ」
「姉、さん……」

 ムドを上から涙ながらに覗き込んでいたのは、ネカネであった。
 場所は、変わらず森の中だ。
 移動させる手間すら惜しんだのか、ネカネがロングスカートを履いたままムドに跨り、必死に腰を動かしていた。
 グチュグチュと互いの陰部が卑猥な音をたてるのが聞こえる。
 体の中で倦怠感に抗っていたのは、どうやらムドの一物であったらしい。
 ネカネの体に生きた証を埋め込もうと、そそり立つ事で貫いていた。

「姉さん、一人でさせてすみません。今からは私も」
「あん、大丈夫。大丈夫よ、お姉ちゃんに任せ。そんなに突き上げちゃ……また、イっちゃう!」
「好きなだけイッてください。姉さんは、命の恩人なんですから」
「駄目、もう五回目。ああ、本当にこれ以上は駄目なのぉ」

 ムドからすれば、最初から降りてきていた子宮口を小突き、ネカネがその身を震わせた。
 息遣いも荒く、ムドに頭痛さえなければどちらが死にそうだったか分からない。
 やがて足で自分を支えられず、より深く一物が挿入され、ムドは腰を横に振って亀頭で子宮口をぐりぐり刺激する。
 その度にネカネは連続して果て続け、ムドの方へとへたり込んできた。
 それでもなんとか体を丸めて小さなムドに、顔の高さをあわせ、口付けを交わす。
 陰部に負けないように、ピチャピチャと唾液を交換しあう深いキスだ。
 結構な血が失われていたのか、非常に喉が渇いていた為、吸い付き飲ませてもらう。

「ムド……お姉ちゃんを、置いていかないで。貴方がいないと、駄目なの」
「死にません。死んでたまりますか。絶対に……」
「その意気よ。ふふ、またカチカチ随分、溜まってたのね。お姉ちゃん疲れたから、今度はムドが上ね。もっと一杯、注いで」
「おい、こら!」

 とろんとした意識があるのかないのか分からない瞳で懇願される。
 ごろんと転がり、正常位になって続きをという所で、外野から怒られた。
 だが二人とも頭が沸いていた為、構わず続きを始めようとする。
 むしろ、他に誰かがいた事で、興奮はより高まっていたのかもしれない。
 ムドは小さな体でネカネに覆いかぶさり、グイッと腰を奥へと推し進めた。
 まるで煮えたように熱い膣が、蒸発した傍から次の精液を求めるように射精を促がしてくる。

「来た、ムドのが……犯すのも好きだけど、犯されるのはもっと好き。ムド、お姉ちゃんを犯してぇ」
「完全に、出来上がっちゃってますね。愛液なのか精液なのか、姉さんの中がとろとろで……腰が止まらない、死ぬ。病み上がりで、腹上死する」
「だったら止めんか。淫猥姉弟が!」

 今度は外野からの介入は、実力行使の為に無視は出来なかった。
 ムドが前から持ち上げられた足で肩を蹴られ、仰向けに転がり、ぬぷりと一物がネカネの中から抜けた。
 温かい場所から春先とは言え外気に晒され、キュッと少し一物が縮んだ。
 それでもまだ、射精先を求めてゆらゆらと揺れていたが。

「はやく、それをしまえ。これでは、話も出来ん」
「ちょっと待ってください」

 本音ではもう少し魔力を抜きたかったが、相手がエヴァンジェリンでは仕方がない。
 春休みらしく白のゴシック調のドレスでお出かけ前に見える。
 だが欠伸をかみ殺している様子から、機嫌は少し悪そうだ。
 瞳の奥は先程のムドとネカネの痴態が映っていたが、睡眠欲求の方が少々強いらしい。
 完全に勃起状態、それも処置前の濡れすぼった一物をなんとかトランクスとスーツの奥に押し込む。
 それから疲労と共に、刹那の事を思い出してへなへなと尻餅をつく。
 そのムドの横に、腰砕けになりながらもネカネが寄り添って頭を撫でてくれた。
 死の恐怖を忘れるように、ムドも寄り添いネカネの腕を抱きこんだ。

「しかし、こう短期間に何度も死にかけるのは何だ? まさか貴様の趣味か?」
「トラブルが向こうからやって来るんです。えっと、あの時に茂みを鳴らしてくれたのはエヴァンジェリンさんですか? それなら、お礼を申し上げないといけませんね」

 一応、茂みが鳴らなければ仮契約カードでネカネを召喚するつもりだったが。
 その後にネカネが襲われた危険性を考えると、礼を言うには十分過ぎた。

「言ったろう、今の私の趣味は弱者である貴様を愛でる事だ。手を貸すつもりはさらさらないが、ただこうも早々に死なれては興ざめだ。だからと言って、以後は期待するなよ?」
「私からもお礼を言わせてください。ありがとうございました、エヴァンジェリンさん。えっと……お礼に、血を飲みますか?」
「後で頂こう。こいつの精液を常時飲み続けている貴様の血には興味がある。魔力が程良く薄まり、熟成されているかもしれんからな」

 そうなのと視線でネカネに尋ねられ、ムドは小首を傾げる。
 さすがに吸血鬼の嗜好など理解は不能だ。
 ただムドの魔力が濃すぎて蒸せた事からも、ありえない話ではない。
 ネカネは性交を通して常にムドの魔力を体内に吸収しているのだから。
 割とどうでも良い考察を続けていると、話が反れたなとエヴァンジェリンが元に戻した。

「さて、それで貴様はあの桜咲刹那をどうするつもりだ? まさか、爺に告げ口をして追い出すなどという詰まらん事は言わないだろうな」
「しませんよ。あの人には、生き地獄を味わって貰います」
「ムド、あまり危ない事は止めてね」
「おい、貴様の役目は癒しだろう。コイツの生き様にまで口を出すな。さあ、聞かせろ。どうするつもりだ?」

 ムドを胸元に抱き寄せたネカネに釘を刺し、エヴァンジェリンが答えを急かした。
 その瞳は爛々と輝いており、本当に楽しそうだ。
 弱者を愛でるという言葉通り、まるでペットが新しい芸に挑戦するのを楽しみにしているかのようだ。
 ただし迂闊な事を言えば、その愛もコレまでの事になるだろう。
 所詮はペット、飽きられたらポイが当たり前である。
 だがムドは、自身を持ってエヴァンジェリンへと答えを披露した。

「桜咲刹那さんに戦いを挑み、私が一人で彼女を倒します」

 当たり前だが、予想外の答えだったのだろう。
 爛々とした輝きが失せたエヴァンジェリンの瞳は、点となっていた。
 又してもペットに例えるならば、チワワがドーベルマンを倒すと言ったに等しい。
 呆れを通り越して、怒りを買ってしまったらしい。

「ただ私の興味を引く為だけにそう言ったのならば、爺への告げ口という考え以下だぞ。貴様、分かっているのか?」
「私だって、貴方からの寵愛は惜しい。真面目に答えています。危険な賭けの部分もありますが、勝機はあります。あの人は、少なくとも私より心が弱い」

 武道で言う所の、心技体である。
 ムドは技も体も持ってはいないが、心を持っている。
 刹那は技も体ももってはいるが、心を持っていない。
 心技体の中でも一番大切だからこそ、心は一番最初に並べられているのだ。
 ならば一番大切な部分を持っているムドに勝機がないとは必ずしも言えない。
 もっともそれはただの理屈をこね回しただけで、勝機を呼び込む為の作戦は不可欠だが。
 作戦の要は、既に胸の内に定まっている。

「ですが、詳しい所は後でのお楽しみです。芸も種が筒抜けでは、面白くもないでしょう?」
「ならせめて決行日を教えろ」
「早ければ今夜にでも。ただし、仕込には姉さんにも手を貸してもらいます」
「それぐらいは大目にみるさ。私が知りたいのは結果、過程は二の次だ」

 刹那への反撃に対する内容については、合格点を貰えたらしい。
 満足そうに微笑んだエヴァンジェリンは、妖しく瞳を光らせながら満足そうに頷いていた。
 そしてそのまま立ち去るかとおもいきや、ネカネの後ろに回り込んだ。

「では、今夜の貴様の行動を監視する為に使い魔の蝙蝠を数匹操る程度は、魔力を貰っていくぞ。先程の、礼とやらもあるしな」
「姉さんが良いのなら、ただし吸い過ぎたりはしないでください」
「お姉ちゃんは大丈夫よ。さっき、一杯ムドから魔力貰ったから」

 ここにねと、子宮がある辺りをサマーセーターの上から撫でつける。
 そして後ろにいるエヴァンジェリンへと、どうぞとばかりに髪をかき上げ首筋をさらす。
 ムドの為とは言え、従順なその姿を前に少しエヴァンジェリンは不満そうであった。
 吸血行為は言葉通り魔力の補充だけではないからだ。
 獲物の悲鳴をBGMに追い詰め、恐怖に歪むその顔を見ながら狩る。
 中世の貴族が狐狩りをしたように、吸血鬼としてのたしなみでもあった。
 そのつもりはないのだろうが、別に怖くありませんけどという態度はいただけない。

「あの……お吸いにならないのでしょうか?」

 そしてそんなネカネの疑問の声が、エヴァンジェリンを怒らせた。

「ああ、頂こうか」

 そう呟いたエヴァンジェリンは、ネカネの脇に腕を通して胸に手を伸ばした。
 首に来るかと思っていた所で胸を触られ、ネカネはいたく驚いたらしい。
 何度も「え」と呟きながら、振り返ろうとしたり、横にいるムドに見ないでと体を丸めようとしたり。
 ムドも驚いたのだから、何もネカネだけと言うわけではなかったが。

「あの……止め、まだ子宮がたぷたぷで敏感んふぅ。ムド、見ちゃ、いや」
「この大きさは忌々しいが、愛撫するには申し分ない。ブラが邪魔だな。おい、貴様。姉のブラを脱がせろ」
「そんな止めて、お願い。早く血を……」
「弱者とその従者を強者がどうしようと勝手だ。恨むなら、気安く血を吸えと言った自分を恨むんだな」

 淫乱なネカネというのは見飽きる程見てきたが、羞恥に頬を染める姿は結構珍しい。
 自分以外の誰かがネカネを弄ぶのは気にいらないが、知り合いの女の子であればギリギリ問題なかった。
 むしろ、羞恥に悶え、止めてとお願いするネカネを見せてもらえて感謝したいぐらいだ。
 だからムドがどちらに味方するかは、考えるまでもなかった。
 後ろから攻めるエヴァンジェリンとは逆、ネカネの正面に回りこみサマーセーターをぐいっとたくし上げる。

「いや、こんなの……ムド、お姉ちゃんを苛めないで」
「ごめんなさい、姉さん。私もエヴァンジェリンさんには逆らえないんです」

 いやいやと首を振るネカネに何処まで本気か分からない言葉を突きつけ続ける。
 グレーのサマーセーターの下から出てきたのは、淡いピンクのブラジャーであった。
 ホックは後ろなので胸に顔を埋めながら、背中に手を伸ばす。
 胸に包まれながら、それを揉みしだくエヴァンジェリンの指が時々意図して顔を撫でていく。
 そういえば自分でネカネのブラジャーを外した事がないと思い出し、苦戦する。

「ち、違うわ。そうじゃなくて、そう。ホックは一つじゃないの。全部、外して」
「ククク、なんだかんだ言いながら協力的ではないか」
「だって、どうせ苛められるなら気持ちよく、なりたいんですもの」
「欲望に正直な人間は嫌いではないぞ。ほら、褒美だ。好い声で鳴けよ?」

 ようやくブラジャーが外れた所で、エヴァンジェリンが乳首を強く抓り上げた。
 ブラジャー越しのもどかしい感触から一転しての強い攻めに、ネカネが嬌声を上げながら仰け反って打ち震える。
 やがてくてりと力を失くしたネカネの耳元で、エヴァンジェリンが悪魔の如く囁く。

「なんだ、もうイッたのか。愛する弟以外に愛撫されてもイけるとは、まさか誰でも良いのか?」
「ちが、違う。お姉ちゃんはムドが、ムドじゃないと……痛ッ、駄目。乳首ばかり苛めないで!」
「こんなにも乳首を硬くしておいて、良く言う。おい、スカートをたくし上げて、良く見えるように足を開かせろ」
「お願いです。酷い事はしないで」

 しゃくり上げるネカネを見ていると、流石に心が重くなってくる。
 だが同時に、興奮しているのも事実だ。
 後でちゃんと可愛がってあげるからと、フレアスカートをふわりとまくりあげた。
 先程に一度ムドとしていたせいか、ショーツは見当たらず、愛液溢れる秘所が陽の下にさらされる。
 ただその愛液にも時々白いものがまざっており、子宮からあふれたものか。
 ネカネの両足を抱えてM字にし、体を仰向けに傾けさせる。
 少々ネカネにとっては窮屈かもしれないが、頭の方はエヴァンジェリンが膝枕しているのでなんとか大丈夫だろう。

「まだ何もするな。見ても良いが、触れるな」
「そ、そんな……」
「泣きそうな声を出すな。後で好きなだけ出させてやる」

 生殺しかと情けない声が出てしまったが、なんとか耐える。

「息が、ムドの息があたってる。お尻の穴までみられちゃってる」
「さて状況が整った所で、貴様の愛とやらを試させてもらうぞ。先程貴様は、弟でなければ駄目だとか言ったな。ならば、私の愛撫は耐えられるはずだ」
「だって、そんな。ムドに見られてるのに」
「ククク、言い訳は無用だ」

 ネカネを見下ろしながらいやらしく笑ったエヴァンジェリンが、再び乳房へと手を伸ばした。
 本当にいやらしいなとムドは思う。
 そもそも、エヴァンジェリンは焦るネカネの心の隙をついて、何時までとの時間を制限しなかった。
 これでは余程の下手糞でなければ、元々でき上がっているネカネぐらいイかせられる。

「姉さん、頑張って……私は信じています。姉さんが私以外の人の愛撫でイクはずがないと」
「わ、分かったから、そこで喋らないで。息がかかって冷たいのに、見られてると思うと逆に熱いの!」
「おいおい、まだ始まったばかりだぞ。うろたえ過ぎだ。しかし、この感触は癖になりそうだ。私も、そうそう男を馬鹿に出来ん」

 先程までは乳首ばかりを攻めていたくせに、今度は一転して胸全体を揉みしだいている。
 それがもどかしいのか、ネカネが腰を動かそうとする為、ムドは大わらわだ。
 しっかりとネカネの足を抱えなおし、湧き水のように愛液を溢れさせる秘所を凝視する。
 まだ使い始めて一年と経っておらず綺麗な色をしていた。
 早くここに入れたい、入れたいとそればかりになってしまう。

「ふふ、以外に粘るじゃないか。やはり、ここを攻めねば……やはり止めておくか」
「ああ……止め、ちゃうんですか?」
「ゲームの趣旨を忘れたわけではあるまい?」

 どうやらイかせるゲームのはずが、焦らしに移行してしまっていたらしい。
 もう我慢出来ないと、ムドはネカネの両足を抱え上げるふりをしてお尻の穴が自分の目の前に来るようにした。
 秘所と同じようにひくついて小さく涎をたらすそこへ、ふっと息を吹きかける。

「お、さすがにイきそうになってきたのか?」
「あ、あ……駄目、止め」

 止めてといいながらも、ネカネはムドが何をしたのか口にはしていない。
 続けて、短い吐息を連続して吹きかけて刺激していく。

「来た、イッちゃう。お姉ちゃん、エヴァンジェリンさんに胸を弄られて!」
「終わりの見えたゲームには興味がないな」

 だがふいにエヴァンジェリンは胸への愛撫を止め、ネカネの頭を降ろすと立ち上がった。
 改めてネカネの頭を跨いで、ドレスのスカートを少したくし上げながら腰を落としていく。
 ムドからはその中身がどうなっているかは見えない。
 興味は確かに尽きないが、今使いたいのはネカネの秘所だけであった。

「貴様だけ、イクんじゃないぞ。次のゲームは、私とコイツの両方がイクまで耐える事だ」

 それこそが本筋だったのか。
 ネカネの悲鳴は、エヴァジェリンが腰を最後まで下ろす事で封じられた。
 エヴァンジェリンのドレスのスカートの中からは、くぐもった声しか聞こえない。
 それでもネカネが舌を使い始めたのは、ピクリとエヴァンジェリンが震える事で知れた。
 満足そうに打ち震えながら、体勢を崩してたくし上げたサマーセーターから零れ落ちた乳首に吸い付いく。
 ネカネから見たいつものムドは、こんな感じかともエヴァンジェリンを見て思ったが、既にゴーサインは出ている。
 スーツのズボンを下ろし、やっとかと待ち焦がれた様子の一物を取り出した。
 狙いはもちろん、愛液溢れるネカネの秘所の中であった。
 つぷりと液体の中に入れるような感触の中を、奥にまで挿入していく。

「あ、あ……瞬く間にふやけてしまいそうです。気持ち、良い……」
「誰が愛撫をし、準備したと思っている。おい、舌が止まっているぞ。さっさと動かせ」
「ンーッ、んー!」

 とことん二人でネカネを苛め抜き、何かを訴えられてもエヴァンジェリンが文字通り押さえ込む。
 その間にもムドは腰砕けになりそうなのを利用して、ネカネの足を抱える事を止めた。
 エヴァンジェリンが吸い付いている方とは逆の乳房に吸い付く為だ。

「姉さん、気持ち良い。私も姉さん無しでは生きられません」
「くう……舌使いは姉仕込か。全く歪みが偶々合致した、良いコンビだな貴様らは。さぞかし、相性も良い事だろう」
「エヴァンジェリンさん、もっと乳首をギュッとすると下も締められて気持ち良いんです」
「私の方はその分、緩慢になる。先に脱いでおけばよかったか。悔やまれる」

 そう呟いた途端、エヴァンジェリンがピクリと体を震わせ頬を染める。

「くッ、急に根を詰めて。誰が一番最初にイッてたま……はぅぁ、み、道ずれにしてやる!」
「締まる……私も、意地でも先には」

 誰を一番最初にイかせるのか、何やら競争になってきた。
 エヴァンジェリンはネカネの舌使いに負けまいと乳首を攻め上げる。
 すると膣が締まり、ムドは乳首への攻めがおろそかになり、腰だけを一心に動かす。
 回りまわってネカネが負けまいと、エヴァンジェリンの秘所へ伸ばした舌を酷使して攻め上げる。
 三人で仲良くジャンケンをしているようなものだ。

「く、そ……駄目だ。イク、まだ後やっぱり駄目だ!」
「姉さん出すよ、また。姉さんの中に。くがぁッ!」

 エヴァンジェリンがネカネにしがみ付くようにして体を身震いさせた。
 ほぼ時を同じくして、ムドもまたネカネにしがみ付きながら欲望詰まる精液をほとばしらさせる。
 ムドが精液を送り込むたびにネカネの体は痙攣し、エヴァンジェリンが隠微な吐息を漏らす。
 半ば気絶するように倒れた二人は、それでもまた意地汚くネカネの乳房に吸い付き余韻を楽しんでいた。
 一番酷使されていたネカネはというと、殆ど動かない。
 こちらは本当に気絶してしまったようで、意識を取り戻してからもしばらくは二人に弄ばれるのであった。









-後書き-
ども、えなりんです。

せっちゃんが狂犬だった理由は次回。
一応、意味もなく狂犬化させたわけではございません。

ネカネの淫乱度が回をおうごとに増している。
そして意外、初3Pはエヴァとネカネ。
なんだかんだで、エヴァもこの姉弟に感化されてるような気がします。

それでは次回は土曜日です。


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