<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

XXXSS投稿掲示板




No.25212の一覧
[0] 【完結】ろくでなし子供先生ズ(ネギまでオリ主)[えなりん](2011/08/17 21:17)
[1] 第二話 打ち込まれる罪悪と言う名の楔[えなりん](2011/01/01 19:59)
[2] 第三話 脆くも小さい英雄を継ぐ者の誓い[えなりん](2011/01/05 21:53)
[3] 第四話 英雄を継ぐ者の従者、候補達?[えなりん](2011/01/08 19:38)
[4] 第五話 ムド先生の新しい生活[えなりん](2011/01/12 19:27)
[5] 第六話 第一の従者、ネカネ・スプリングフィールド[えなりん](2011/01/15 19:52)
[6] 第七話 ネギ先生の新しい生活[えなりん](2011/01/22 21:30)
[7] 第八話 強者の理論と弱者の理論[えなりん](2011/01/22 19:25)
[8] 第九話 闇の福音による悪への囁き[えなりん](2011/01/26 19:44)
[9] 第十話 勝手な想像が弱者を殺す[えなりん](2011/01/29 20:15)
[10] 第十一話 私は生きて幸せになりたい[えなりん](2011/02/05 20:25)
[11] 第十二話 棚から転がり落ちてきた従者[えなりん](2011/02/09 20:24)
[12] 第十三話 他人の思惑を乗り越えて[えなりん](2011/02/12 19:47)
[13] 第十四話 気の抜けない春休み、背後に忍び寄る影[えなりん](2011/02/12 19:34)
[14] 第十五話 胸に抱いた復讐心の行方[えなりん](2011/02/16 20:04)
[15] 第十六話 好きな女に守ってやるとさえ言えない[えなりん](2011/02/23 20:07)
[16] 第十七話 復讐の爪痕[えなりん](2011/02/23 19:56)
[17] 第十八話 刻まれる傷跡と消える傷跡[えなりん](2011/02/26 19:44)
[18] 第十九話 ネギパ対ムドパ[えなりん](2011/03/02 21:52)
[19] 第二十話 従者の昼の務めと夜のお勤め[えなりん](2011/03/05 19:58)
[20] 第二十一話 闇の福音、復活祭開始[えなりん](2011/03/09 22:15)
[21] 第二十二話 ナギのアンチョコ[えなりん](2011/03/13 19:17)
[22] 第二十三話 満月が訪れる前に[えなりん](2011/03/16 21:17)
[23] 第二十四話 ネギがアンチョコより得た答え[えなりん](2011/03/19 19:39)
[24] 第二十五話 最強の従者の代替わり[えなりん](2011/03/23 22:31)
[25] 第二十六話 事情の異なるムドの従者[えなりん](2011/03/26 21:46)
[26] 第二十七話 いざ、京都へ[えなりん](2011/03/30 20:22)
[27] 第二十八話 女難の相[えなりん](2011/04/02 20:09)
[28] 第二十九話 大切なのは親友か主か[えなりん](2011/04/06 20:49)
[29] 第三十話 夜の様々な出会い[えなりん](2011/04/09 20:31)
[30] 第三十一話 友達だから、本気で心配する[えなりん](2011/04/16 21:22)
[31] 第三十二話 エージェント朝倉[えなりん](2011/04/16 21:17)
[32] 第三十三話 ネギの従者追加作戦[えなりん](2011/04/20 21:25)
[33] 第三十四話 初めての友達の裏切り[えなりん](2011/04/23 20:25)
[34] 第三十五話 友達の境遇[えなりん](2011/04/27 20:14)
[35] 第三十六話 復活、リョウメンスクナノカミ[えなりん](2011/04/30 20:46)
[36] 第三十七話 愛を呟き広げる白い翼[えなりん](2011/05/04 19:14)
[37] 第三十八話 修学旅行最終日[えなりん](2011/05/07 19:54)
[38] 第三十九話 アーニャの気持ち[えなりん](2011/05/11 20:15)
[39] 第四十話 友達以上恋人未満[えなりん](2011/05/14 19:46)
[40] 第四十一話 ネギの気持ち、ムドの気持ち[えなりん](2011/05/18 20:39)
[41] 第四十二話 契約解除、気持ちが切れた日[えなりん](2011/05/25 20:47)
[42] 第四十三話 麻帆良に忍び寄る悪魔の影[えなりん](2011/05/28 20:14)
[43] 第四十四話 男の兄弟だから[えなりん](2011/05/29 22:05)
[44] 第四十五話 戦力外従者[えなりん](2011/06/01 20:09)
[45] 第四十六話 京都以来の再会[えなりん](2011/06/08 21:37)
[46] 第四十七話 学園祭間近の予約者たち[えなりん](2011/06/08 20:55)
[47] 第四十八話 麻帆良学園での最初の従者[えなりん](2011/06/11 20:18)
[48] 第四十九話 修復不能な兄弟の亀裂[えなりん](2011/06/15 21:04)
[49] 第五十話 アーニャとの大切な約束[えなりん](2011/06/18 19:24)
[50] 第五十一話 麻帆良祭初日[えなりん](2011/06/26 00:02)
[51] 第五十二話 ネギ対ムド、前哨戦[えなりん](2011/06/26 00:03)
[52] 第五十三話 仲良し四人組[えなりん](2011/07/02 21:07)
[53] 第五十四話 麻帆良武道会開始[えなりん](2011/07/06 21:18)
[54] 第五十五話 この体に生まれた意味[えなりん](2011/07/06 21:04)
[55] 第五十六話 フェイトの計画の妨げ[えなりん](2011/07/09 20:02)
[56] 第五十七話 師弟対決[えなりん](2011/07/13 22:12)
[57] 第五十八話 心ではなく理性からの決別[えなりん](2011/07/16 20:16)
[58] 第五十九話 続いて欲しいこんな時間[えなりん](2011/07/20 21:50)
[59] 第六十話 超軍団対ネギパ対完全なる世界[えなりん](2011/07/23 19:41)
[60] 第六十一話 スプリングフィールド家、引く一[えなりん](2011/07/27 20:00)
[61] 第六十二話 麻帆良祭の結末[えなりん](2011/07/30 20:18)
[62] 第六十三話 一方その頃、何時もの彼ら[えなりん](2011/08/03 20:28)
[63] 第六十四話 契約解除、ネギの覚悟[えなりん](2011/08/06 19:52)
[64] 第六十五話 遅れてきたヒーローユニット[えなりん](2011/08/10 20:04)
[65] 第六十六話 状況はより過酷な現実へ[えなりん](2011/08/13 19:39)
[66] 第六十七話 全てが終わった後で[えなりん](2011/08/17 20:16)
[67] 最終話その後(箇条書き)[えなりん](2011/08/17 20:18)
[68] 全体を通しての後書き[えなりん](2011/08/17 20:29)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[25212] 第二話 打ち込まれる罪悪と言う名の楔
Name: えなりん◆e5937168 ID:1238ef7e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/01/01 19:59

第二話 打ち込まれる罪悪と言う名の楔

 胸の奥から湧き上がる溜息の声を忍ばせ、アーニャは一心不乱に本を読むネギの背中を見ていた。
 貴重な魔法書や研究資料がある為に、部屋からは陽の光を届ける窓が失くされている。
 灯りといえるモノはネギが座るテーブルにある蝋燭一本だけ。
 古い紙とカビの臭いがこもる図書室の一室、それも禁書区域に二人はいた。
 二人とも飛び級する程に優秀な生徒ではあるが、入室が許されているわけではない。
 正確には何時の頃かもう憶えていない。
 ネギから禁書区域の本が読みたいと、見張りを頼まれるようになったのだ。
 本当は断りたいのだが、一度相談した時にムドからも手伝ってあげてと頼まれてしまい、そのままずるずると手伝い続けている。
 貴重な休み時間や、時には本当の休日にさえだ。

(二人で図書館に……お堅い性格の恋人同士ならありかもしれないけど)

 蝋燭の頼りない光に照らされ影を背負うネギの背中を、アーニャはじろじろと眺めた。
 既に禁書区域へと足を踏み入れてから、一時間半、そろそろ二時間は経つだろうか。
 その間に二人の間で会話は全くない。
 アーニャはネギの背中を見るか、ムドが今どうしているか考えるぐらいだ。

「はぁ……」
「アーニャ、ちゃんと見張っててよ」
「なッ!」

 ついつい溜息を漏らした途端、本に視線を落としたままのネギに注意された。
 誰の為にと思わず怒鳴りそうになった自分を落ち着け、カッと熱くなった頭に手で仰いだ風を送る。
 爽やかとは言いがたい臭いの風に、げんなりする事で怒りはとりあえず消えた。
 凹んだ気分は、ムドに頼まれた時のお願いという言葉を何度も思い返して立て直す。
 その時、ふとした疑問が湧きあがった。

(あれ? え、ちょっと待って)

 禁書区域へ忍び込む事になった件を、一番最初の記憶まで思い出してみる。
 本当に切欠はうろ覚えであるが、何度思い返してみても記憶がない。
 切欠そのものではなく、ネギにお願いと言われた事がだ。

(そう言えば、有無を言わさず引っ張られて……ネギにとって私ってなに? 便利なアラーム程度って事?)

 アーニャにとって、ネギとムドは大切な幼馴染だ。
 山奥の村で一年差あるとはいえ、同年代の子供というものは貴重であった。
 ただ山奥だろうと都会であろうと、少女の心の成長はどうしても少年より早い。
 例えそれが全体的に見れば幼くとも、漠然とこの二人のどちらかと将来結婚するのだろうぐらいは。
 アーニャの二人に対する好意の源泉はそこにあり、生活が魔法学校に移っても変わらなかった。
 つまり未だアーニャは心の奥底では、結婚相手や恋人は二人以外にはありえないのである。
 世界が狭いだけと言われればそうかもしれないが、事実でもあった。

(って、なにを飛躍した事を考えてるの私。まだ十歳、ネギってば馬鹿でドジで、人の迷惑も顧みなくて!)

 一人で顔を赤くし、蝋燭よりも光ってなかろうかと心配して顔をぶんぶん振ったり。
 一頻り慌てて結婚の二文字を頭から追い出したアーニャは、改めてネギの背中を眺めた。
 正直、こうしてネギの背中を見るのは嫌いではないし、本に視線を落とす真面目な顔はボケボケとした普段とのギャップもあって格好良いと思う事もある。
 他の同年代の魔法学校の生徒よりは数段大人っぽいだろう。

(でも、精神面で言ったらムドの方がよっぽど大人っぽいかな?)

 魔法こそ使えないが、ムドは座学だけで言えばネギよりもできる。
 石化された人の治療法についてレポートを作成し、それが大きく評価され、博士号も取得していた。
 そのレポートについても、魔法が使えないだけで当時は色々と騒ぎになったが、あまり思い出したくないので振り払う。
 頭脳という面では、ある程度の差こそあれ大人顔負けという点では変わりない。
 一番大きく違うのは、ほんの些細な気遣いだ。
 たわいのない行為に対するありがとうの一言。
 何よりも正面から好きだと言われて、女の子なら悪い気はしない。
 相手がムドだからかもしれないが。

「ねえ、ネギ。私そろそろ疲れてきた。もう今日は止めにしましょう」
「んー、もうちょっと」

 疲れは色々と考えすぎたからかもしれないが、アーニャの言葉は軽く一蹴されてしまう。
 普通そこは、大丈夫かとか、せめてごめんの一言がと思いながら食い下がる。

「ムドのところに行きたいのよ。今日も、調子が悪そうだったし」
「そっか、じゃあこの本を読みきったらね」

 そう言って今読んでいた本を脇にどけ、ネギは新たに本を一冊手にとる。
 そこがアーニャの我慢の限界であった。
 アーニャだけならまだしも、ムドの事まで蔑ろにされては黙っていられない。

「いい加減にしなさいよ。本を読むのがそんなに大事? だいたい、私がここに拘束されてる間にも、ムドはね!」
「ムドが、どうかしたの?」

 アーニャの剣幕に、さすがに双子の弟がどうかしたのかネギが本から目を離して振り返った。
 ムドが魔力を使えない事は、当然ながらネギも知っている。
 だが上級生、同級生、果てには下級生にまで苛められている事は知らない。
 いっそ今ここでそれをネギに暴露してしまいたいが、本人とネカネから黙っていてとお願いされている。
 喉もとの直ぐそこにまで出掛かっている言葉を必死にアーニャは耐えていた。

「こら、誰かいるのか!」

 そこへ天の助けというべきか、地獄からの使者というべきか。
 アーニャの声を聞きつけた誰かが怒声と共に現れた。
 まだ入り口付近で気配をうかがっているだけだが、踏み込んでくるまで時間は掛からないだろう。

「ほら、逃げるわよ!」
「う、うん!」

 律儀に読んでいた本を片付けようとしていたネギの手を取り、アーニャはもう一つの出入り口へと向かった。
 コレまでに何度かは、禁書区域への侵入に気づかれ踏み込まれている。
 逃走はお手の物で、二人は人気のない廊下を選びに選んで誰にも気付かれる事なく逃げ切った。
 膝に両手を置いて息を整え、冷や汗を拭う。
 ただネギは出しっぱなしの本を気にしているようだが、さすがのアーニャもそこまでは付き合いきれない。
 それに一緒に怒られてくれとまでは、ムドにも頼まれてはいないのだ。

「どうせもう卒業でしょ、もう私は付き合わないわよ」
「ええ、手伝ってよアーニャ」
「いーやーよ。絶対、いや!」

 お願いする側なのに不満気な言葉に、そっぽを向いてアーニャは一人歩き出した。
 そしてしばらくしてから、チラリと振り返る。
 そこには誰もいなかった。

「って、何で追いかけてこないのよ。そこは普通、追いかけてきてごめんなさいでしょ。これじゃあ本当に付き合えないじゃない!」

 むがっと頭を抱え、近くの壁をゴスっと殴った。
 思いのほか力強く殴ってしまい、手の痛みで涙目のところで追い討ちがかかる。
 何をしているのかと、焦点の合わない瞳で見つめているムドであった。

「ア、アーニャ大丈夫ですか?」
「え、ムド……もしかして、見てた?」
「すみません。頭を抱えてから壁を殴って、一人相撲まで全て見てしまいました。ですが駄目ですよ。女の子がはしたない真似をしては」
「ネ、ネギが悪いのよ。アイツのせいで見つかりそうになったんだから」

 赤くなった手を取られ、癒すように撫でられそっぽを向きながら強めに言う。
 すると撫でられていた手、その指先に違和感を感じて視線を向ける。
 右手の薬指、ムドの手によってはめられたのは不恰好なビーズの指輪であった。
 明らかに手作り感あふれるそれは、一目でムドが作ったものだと分かる。

「もう直ぐ、私達は学校を卒業なので……お世話になったアーニャにプレゼントです」
「あ、ありがとう。でも、ムドってこういう細かい事、苦手じゃなかった?」

 アーニャの言う通り、高熱により視界がぼやけているムドは、針に糸を通すような細かい仕事は苦手であった。

「気合を込めれば人並みには見えますよ。ほら、こうやって」

 ムドが眉間に皺を寄せるようにすると、それに伴い瞳の焦点が合い始める。
 ただそれだけ疲れも出やすいらしく、直ぐに額に薄っすらと汗が滲みはじめていた。
 ポケットから取り出したハンカチで汗を拭いてあげたアーニャは、何よりもまず分かったからと気合を止めさせる。

「本当にありがとう、大切にするわ」
「是非お願いします。そうですね、出来ればもっと立派な指輪を反対の手の同じ指にはめる日までは」
「反対の手の、同じ指……」

 両手を目線の位置に持ち上げ、右手と左手を見比べる。
 右手の逆は左手で、ビーズの指輪は薬指にはまっていた。
 つまりはそういう事で、湯気が出そうな程に顔が紅潮していくのが分かった。

「ちょっと待って、お願い待って。突然過ぎる、わけでもない気がするけど。もう少し、手順を踏んでお願い。まだ私達、デートとかキ、キキ、キスとかも!」
「こら、廊下で何を騒いでいる!」

 戸惑っているというよりは、両手を頬に当ててクネクネ動いていたアーニャに冷や水となる声が浴びせられた。
 再び焦点の合わなくなった瞳のムドと、怒られて硬直したアーニャが振り返る。
 やや早足で歩いてくるのは、魔法学校の先生の一人だ。
 ただしアーニャが硬直しているのは、怒られただけではなく、その人が先程図書室の禁書区域に踏み込んできた人だからである。
 まさかバレたのかと言う意味で体を硬直させたのだ。

「ん、なんだ。ココロウァ君と……スプリングフィールドの弟か」
「ごめんなさい、卒業記念のプレゼントを貰って浮かれてしまいました。浮かれるのは寮に戻ってからにします。それじゃあ、失礼します!」

 騒いだ理由もちゃんとありましたよと印象付けて、アーニャはムドの手を取って歩き出す。
 どうやら慌てすぎて、先生が含みのある声でムドを呼んだ事に気がつかなかったようだ。

「待ちたまえ」
「はひッ、なにか?」
「いや、ココロウァ君ではなくスプリングフィールドの弟の方だ。実は、先程図書室の禁書区域に忍び込んだ学生がいたようだが、君は知らないかね?」
「いえ、知りませんが」

 だから慌てたのかと、ようやくムドもアーニャの様子のおかしさに合点が行く。

「本当にそうかね? 君は、以前にも提出したレポートの件で騒ぎなっていたね。自分のレポートがとある教師の名で出されたと」
「その件については、既に教師が罪を認め、決着がついています」
「しかし、君は魔法が使えないのだろう。私もまた、常々あの件はおかしいと思っていたのだが……少し話を聞かせてもらおうか、禁書区域の件と一緒に」
「魔法の実験は姉さんに手伝ってもらい、協力者として名前も載せています。と言っても、納得しないんでしょうね」

 もはや諦めの境地で、ムドは自分の腕を強く握ってくる手に抵抗はしなかった。
 どうせまともな会話にならないのだから、抵抗するだけ無駄である。
 決定的な証拠も理論もなければ、直ぐに目の前の教師も自爆して勝手な注意で終わらせるだけだ。
 抵抗しようとしたのは、本当の事を喋ろうとしたのはアーニャであった。

「待ちなさいよ。あそこに忍び込んでたのは本当はッ!」

 そのアーニャの口を、つかまれていない方の手で塞いだ。
 首を横に振り、アーニャにだけ聞こえるように呟いた。

「兄さんが禁書区域にいたなんて不祥事、まずいです。これはこれで、良い目くらましになりますから」
「口止めか。ますますもって怪しいな、ほら来るんだ!」

 有無を言わさず引っ張られ、引き離される。
 迷惑そうな顔をしながらもムドはされるがままで、唯一大丈夫だからとアーニャに手を振っていた。
 ムドが好都合という以上、アーニャも食い下がれず、もやもやとした気持ちが胸に溜まっていく。
 折角、良いところだったのに邪魔だけならまだしも、引き離され。
 その気持ちを何処にぶつければ良いか分からず、今一度壁を殴ろうとして思いとどまった。
 右手にはめられていた不恰好なビーズの指輪のおかげである。
 その指輪を指ごと左手で握り、アーニャは胸に燻る気持ちをなんとか押し込めた。









 メルディアナ魔法学校の大聖堂。
 明るい陽の光がステンドグラスにより、艶やかに色を変え聖堂内を照らしていた。
 今日と言う特別な日を天が祝うように、あるいは前途有望な子供の未来を示すように。
 聖堂の中央に横並びに立つのは、ムドやネギ、アーニャを加えた六人の卒業生である。
 特別な日とは、魔法学校卒業という巣立ちの日の事であった。
 通常は七年間、アーニャは一年、ネギとムドは二年の飛び級を経て卒業と言う事になる。

「卒業証書授与」

 式の司会進行を任された教師が厳格な声色で告げた。
 より一層身を正すように六人の卒業生が背筋を伸ばす中で、彼らの視線の先で卒業証書と共に待つ校長がにこりと笑った。
 通称お祖父ちゃんと生徒から慕われる校長の笑みに、ふっと誰しも緊張がほどけていく。
 魔法どころか言葉一つなく、人柄や人徳とは偉大である。

「この七年、良く頑張ってきた。だが、これからの修行が本番だ。気を抜くでないぞ」

 自分で肩の力を抜かせておいて、気を抜く出ないとは言葉こそありがたいが意地悪なものである。
 大聖堂に集まった教師や在校生の中からも忍び笑いが漏れ、校長は咳払い一つで静まらせた。

「首席卒業、ネギ・スプリングフィールド君」
「はい!」

 その名前と元気な返事に、忍びきれずおおっと歓声にも似たどよめきが起こる。
 実技座学共に過去に類を見ない優秀な成績で、これで名実共に立派な魔法使い候補として巣立つのだ。
 周りが色めき立つのも仕方ないというところか。
 立派な魔法使いは誰しもが思い描く最高の未来絵図である。
 ネギは小さな体で精一杯身なりを正し、校長の待つ壇上まで歩いていく。
 何度も練習した通り、まずは校長と礼をし合い、修行先の書かれた卒業証書を与えられると拍手が巻き起こる。
 ムドやアーニャといった同じ卒業生からも、祝福の拍手が惜しみなく送られた。

「次席卒業、アンナ・ユーリエウナ・ココロウァ君」
「はい!」

 優秀なネギの影に隠れてはいるものの、アーニャも一年飛び級での卒業となる秀才である。
 ネギが一足先に卒業証書を受け取っている為、緊張はそれ程大きくはなく校長から卒業証書を受け取った。
 祝福の拍手もネギに負けず劣らず、やや照れながらも満足そうに笑みを浮かべていた。
 アーニャの次からは、成績順に卒業証書が授与されたものの何番であったかは呼ばれなかった。
 一人、また一人と未来の立派な魔法使い候補に卒業証書が送られ、大勢の教師や在校生に祝福されていく。
 そして一番最後、ネギと同じように二年の飛び級でありながら、一番最後に呼ばれるムドの番となった。

「ムド・スプリングフィールド君」
「ブッ」

 ムドが返事を行う前に、吹き出すような無粋な声が遮った。
 人垣の向こうでそれが誰かは分からないが、校長がそちらを睨むと、わざとらしい咳払いが響いた。
 厳かな雰囲気がぶち壊し、わざとぶち壊されたがムドはそれに反して変わらない声で返事を行った。

「はい」

 ただしそれは、自分を冷遇する者への反骨心からではなかった。
 悔しそうに唇を噛むアーニャや、校長と同じく吹き出した誰かを睨むネカネ。
 自分を案ずる三人を安心させる為でもなく、ムドは横目でネギを見ていた。
 何故誰かが吹き出したのか、わざとらしい咳をしたのか。
 キョロキョロと純真な瞳で辺りを見渡し、不思議がっているネギを。
 好都合過ぎるともいえる状況に、瞳の焦点が合い、ぼやけていた視界がクリアとなっていく。
 少し度が過ぎて熱が上がり、ややふらつきながらも、壇上で待ってくれている校長のもとへと歩き出す。
 この為に、この時の為に五年間ずっと肉体的な虐めや、精神的な冷遇に耐えてきたのだ。
 今ここで倒れては何にもならないと、壇上への階段を上りつめた。

「すまんな、ムド君。私は君に何かを……いや、こんな言葉は今日という日に相応しくないな。おめでとう、心から君の卒業を祝福しよう」
「校長は、立派な魔法使いです。必死に私を守ってくれた事を、生涯忘れません。願わくば、兄さんも貴方のような魔法使いになって欲しいと思っています」

 感極まったように、校長が卒業証書を受け取ったムドの頭に手を伸ばした。
 節くれだった手の平は、氷のように冷たく冷やされており、ぐりぐりと強めに撫でられて熱がすこしとれていった。
 パラパラとまばらに、それこそ数人からしか祝福されないムドを祝うように。
 実技こそ体質により特別免除を行っているが、座学ではトップなのだ。
 優秀な人材は同じ年に集まり、そして数年平凡な年が続き、再び優秀な人材が集まる年がある。
 長年教育者を続けている校長はそれを知っていた。
 だからこそ、せめて目の前の少年が平凡な年に生まれていればと思わずにはいられない。
 そのムドが卒業生の列に戻るのを見届け、通例の言葉を校長が述べた。

「時をおかずして、君達の卒業証書には相応しい修行の場と内容が浮かび上がる事だろう。新天地にて出会いと別れ、修行を繰り返し立派な魔法使いになれる事を願っている。卒業、おめでとう」
「卒業式、閉幕」

 司会者による閉幕の言葉と同時に、静粛だった聖堂内がざわめき出す。
 卒業生のもとへは、懇意にしていた下級生や教師、そして晴れ舞台を見に来ていた親が集まり始める。
 ネギやアーニャ、ムドのもとへは、保護者であるネカネが駆け寄ってきた。
 真っ先にその足が向く先は、もろもろの事情からムドであったが、制された手の平により急遽ネギへと向かう。
 仮契約をし、秘密の恋人となってもネギやアーニャの姉を止めない事、そんな約束である。

「ネギ、アーニャとムドも。卒業おめでとう。修行地は出てきた?」

 それぞれの頭を撫でてから、ネカネがそう尋ねてきた。
 この修行先についても、卒業式の直後に行われる定例的な会話であった。
 他の卒業生達も、修行先やその内容で家族を含め、一喜一憂している。

「うー……三人ともバラバラになったらどうしよう」
「それも含めて、修行でしょ?」
「簡単に言わないでよ。ネギこそ、私やネカネお姉ちゃんがいなくて大丈夫なの? 一人じゃなんにも出来ないくせに!」

 ネギのさも当然といった言葉に、思わずアーニャも強く言い返してしまう。
 売り言葉に買い言葉、ムッとしたネギが言い返そうとしたところでムドが開いていた卒業証書が光を浮かべた。
 卒業証書の右下にある卒業者名と卒業日付の上にあるスペースに、光で文字が刻まれていく。
 日本の学校で養護教諭をする事と、通称は保健の先生である。

「日本、日本ってジャパンよね。え、嘘……そんな遠い所でムドだけ。そんな、無理よ。何かあったらどうするの。ネカネお姉ちゃんからも何か言ってよ!」

 ムドの卒業証書を覗いていたアーニャが、本人よりも驚き動転していた。

「あら、一人じゃないわよアーニャ。私も研究職を辞めてついていくもの」
「ついて……それって、良いの? というか、何時決めたの? どうして!?」
「ムドがまた倒れたらどうするの? 校長先生の許可もとってあるわ」
「あ、そっか。けどネカネお姉ちゃんと二人きり……か、ムムッ」

 こそこそとネギに聞こえないように、ネカネがアーニャへと耳打ちする。
 すると一部は納得しつつも、乙女の勘と言うべきかアーニャが難しい顔となってムドを見ていた。
 その視線に気付いたムドは、アーニャに見つめられる事に照れながらも嬉しそうに笑い返す。
 首が折れるのではと心配になる程に素早くそっぽを向いたアーニャをくすりと笑い、ムドはネギの卒業証書を覗いた。

「兄さんはどうですか?」
「今、浮かび上がるとこ……え、あれ?」

 意外とでも言いたげな疑問の声は、ネギもまた日本で教師をする事と浮かび上がったからだ。

「ムドも一緒だね。と言う事は……」
「あら、ネギもなの?」

 ネギも、と聞かされ卒業証書を引っ手繰ったアーニャは、頭を抱えた。

「嘘、なんでネギも日本なの。怖い、卒業証書を見るのが。私だけロンドンとか全く違ったらどうしよう!」
「なんだよ、一人で心配なのはアーニャの方じゃないか」
「一人が心配とかじゃないわよ、チビネギすけ。一人とか、ムドが……」
「二人とも落ち着いて。ほら、アーニャの修行先が浮かびあがりますよ」

 直ぐに口喧嘩に発展する二人の間に入り、アーニャの卒業証書を覗き込む。
 ムドに間に入られたネギは、反対側に回り込み、ネカネはアーニャの正面から。
 自分だけ違ったらどうしようと、目をぐるぐるさせるアーニャの目の前で、光が文字を浮かび上がらせていった。
 日本の学校で寮長とする事と。
 その瞬間、大きく、本当に大きくアーニャが安堵の息を吐いていた。

「アーニャとまで一緒なんだ」
「兄さん、嫌なんですか? 私はアーニャと一緒にいられて嬉しいですけれど」
「べー、ネギなんかもう面倒みてあげないんだから」
「三人とも日本でなんて、バラバラにならなくて本当に良かったわ」

 ネギに舌を出し、ムドの腕に抱きついたアーニャと三人まとめてネカネが抱きしめた。
 やはり魔法学校を卒業したとしても、まだまだ子供。
 ムドと二人きりでない事は少し残念だが、それ以上に三人一緒であった事をネカネは喜んでいた。
 テレビや誰かの話でしか知らない日本に想いをはせ、引越しの準備等の相談をしていると一人の研究者が歩み寄ってきた。

「ネカネ君、すまないが話を少し聞かさせてもらった。まさか君も彼らについて日本についていくとか聞こえた気がするのだが」
「ええ、ついて行きますよ。この魔法学校での研究職も辞めて……というよりも、ムドが卒業した事ですし、もう少し本格的に石化解除の研究に専念したいと思います」

 なにを当たり前の事をとネカネは答えたつもりだが、その男は明らかな敵意を持ってムドを睨んでから言った。

「またスプリングフィールドの弟か。ネカネ君、目を覚ましたまえ。君がそこまでアレに尽力する事はない。研究ならば、この魔法学校以上の施設は多くはない」
「施設や道具は補えても、頭脳はそうはいきません。石化治療のみに限定すれば、ムド以上に知識のある魔法使いはこの学校にはいません」
「知識はあっても、アレは魔法が使えない出来そこないだ。いや、知識も本当かどうか怪しッ!」

 大聖堂の中に力一杯頬を叩いた音が響き渡る。
 頬を張られたのは迂闊にも公の場でムドをでき損ないと言った男であり、頬を張ったのはネカネであった。

「謝罪はいりません。即刻、私と私の家族の前から消え失せてください」
「き、さま……」
「アンタね、ムドが呼ばれた時にわざと吹き出したのは!」
「ぐッ、何を根拠に。失礼する!」

 思わずといった感じで男が言葉に詰まり、本気でそう思っていたわけではないアーニャの方が驚いてしまった。
 不愉快な男を適当な理由で大聖堂から追い出そうと、罪をなすりつけたつもりなのだが。
 アーニャのみならず、ネカネも驚いており、足早に逃げる男を追いかけ損なってしまった。

「まだ、今から追いかければ」
「アーニャ、あの人は私と同じ研究室の人よ。顔は既に割れているんだから、あとは校長に任せましょう」
「姉さんの言う通りですよ。折角の卒業式なんですから、わざわざ巣立つ時に水を濁す事はないです」
「けど!」

 ムドとネカネの二人から諌められ、しぶしぶアーニャが引き下がる。
 周りの人間も今の騒ぎによりざわついており、罰はそお遠くないうちに与えられる事だろう。
 そう考えて溜飲を下げた所で、ムドに対する冷遇を知らないネギが火に油を注いでしまった。

「アーニャ、ムドが呼ばれた時誰かが変な声を上げたけどわざとじゃないよ」
「アンタねえ、わざとじゃないって」
「それより日本ってどんなところかな。魔法学校だと図書室ばかりにいたから、少し外に出てみようかな。ムドは、何か特別な思い出ってある?」
「いい加減にしなさいよ、ネギ。さっきから黙って聞いてれば、わざとに決まってるじゃない!」

 大聖堂の喧騒がアーニャの叫びにより封じられ、再び静寂が訪れる。
 さすがに見咎めた教師が注意に走るも、校長に行くなと足止めを掛けられた。
 これは知っておくべき事だと、判断したのかもしれない。
 本当にムドを、そしてネギを思っての事なのだろう。
 今を逃せば、恐らくはネギは真実を何も知らされないまま大人になってしまうと。
 例えそれがネギには黙っていてくれと、毎度頼んできたムドの願いに背くとも。
 そんな校長の心情とは裏腹に、ムドの内心は歪んだ笑みで埋め尽くされていた。

(ああ、アーニャ大好きです。最高のタイミング、それもアーニャからだなんて。この役目は、アーニャかネカネ姉さんにしか出来ないと思っていました)

 今はまだ自分が飛び出すタイミングではないと、秘密にしてくれと周りに頼んだムドが静観する。

「ねえ、知ってる? ムドはね、二度殺されかけたのよ。そいつらは退学させられたけどね。他にもあるわ、日常的に苛められて、教師がそこに居ても助けてもらえず!」
「う、嘘……だって、ここは立派な魔法使いを目指す人が」
「アイツもアイツも、それからアイツとアイツ。他にもいるわ。お爺ちゃんもネカネお姉ちゃんも知ってるわ。けど、頼まれたのよムドに。ネギには黙っていてって!」

 アーニャに指を指された人物をネギが見ると、即座に目をそらされた。
 その通りだと肯定されるように。
 のみならず、指さされていない人達もこぞって視線をそらしていた。

「お爺ちゃん、ネカネお姉ちゃん……本当、なの? でも、なんで僕だけ」
「残念ながら、本当の事じゃ。ネカネ君が治療法を見つけていなければ、ムド君は死んでいた。そのムド君が、望んだのじゃ」
「でも理由が、苛められる理由なんて」
「魔法が使えないからよ。ナギさんの息子なのにって……出来損ない、出がらし。言葉だけじゃなくて、実際に何度も暴力を振るわれていたわ」

 一人ずつ逃げ道を塞がれ、顔面蒼白になって尻餅をつくネギを庇うようにムドは両手を広げた。

「アーニャ、姉さんも校長も兄さんを責めないで、知らなかったんだから仕方ないです」
「ムド、なんで黙ってたの?」
「兄さんは、いずれ立派な魔法使いになる人だからです」

 黙っていて欲しいという願いの意味だけは、同じく知らされていなかったアーニャやネカネ、校長が耳をそばだてる。

「父さんと同じ立派な魔法使いになって、広い世界へ出て多くの人を助けにいく」
「うん……」
「そして、父さんと同じように私や姉さん、アーニャといった家族を捨てる」
「え?」

 疑問の声はネギのみならず、大聖堂にいる人全てが浮かべたものであった。
 なにしろ当の本人の息子が、その偉業を否定するような事を呟いたからだ。
 ざわめきや疑問、怒りといったあらゆる感情を受けて、ムドは振りかってしゃがみ込みネギの顔を両手で包み込み呟いた。

「立派な魔法使いになるなら、世界よりも個人をとる事なんてあってはならないんです。だから私みたいなでき損ないは捨てるべきなんです。兄さんの力はもっと有意義に使うべきです」
「い、嫌だ」

 ネギの拒否は、立派な魔法使いを目指す者としては当然の答えだろう。
 だがそれだけでは足りないと、ムドは続ける。

「兄さん、我が侭を言わないで下さい。世界の何処かに百人困っている人が居れば、私一人を捨ててください。千人困っている人がいれば、私を含め、百一人捨ててください」

 ムドが望むのは、世界をとるなんて言葉ではなく、かといって両方だなんて言葉でもなかった。
 いずれネギは立派な魔法使いとなる。
 類稀なる魔力と、抜群の知識と思考能力を持って、それはほぼ確定した未来。
 そしてその上で、世界よりも自分を、アーニャやネカネという家族を守って欲しい。
 決して強くなる事ができない自分の代わりに、世界よりも優先して守ってもらいたいのだ。
 だから楔を打ち込む、ネギの心に何も知らなかったという罪の楔を打ち込まなければならない。
 その為に五年間も、根本的解決をさせず、ネギに知らせないよう動いてきた。

「嫌だ、父さんは絶対に見捨てない」

 欲しい言葉はそれではないと、ムドは改めて世界と家族の両天秤を問いかけようとする。

「六年前だって僕らを助けて、杖だってくれた。ムドだって貰ったでしょ。父さんの手記を!」

 だが父の手記と聞かされ、思わずネギの顔を挟む手に力が込められる。

「確かに父さんは六年前は助けてくれました。じゃあ、どうして今度は助けてくれなかったんですか? 二度も死にかけ、日常的に暴行を受けても。俺ができ損ないだからか、六年前も兄さんを助けるついでに助けたのか!」
「ム、ムド?」
「兄さんとは違って、俺は捨てられたんだよ。いずれ兄さんも俺を捨てて世界をとる。そうでなきゃ立派な魔法使いになんかなれないんだ。なりたいんだろ、立派な魔法使いに。家族を捨てるようなッ!」

 ふいにネギの顔を強く挟んでいたムドの手から、力が抜ける。
 糸が切れた人形のように力なく尻餅をついていたネギの腕のなかに倒れこんだ。
 ムドの体は熱く、このまま触れていれば大火傷を負ってしまいそうにさえ思えた。
 そんな灼熱の体の重みが、ネギの胸に深々と突き刺さる。

「ネギ、ムドを渡して直ぐに治療を。興奮しすぎてまた魔力が!」
「いかん、医務室を」
「ムド、しっかりしなさいよ!」

 途端に騒然となる大聖堂の中で、ネギはムドが腕の中にいた熱さを何時までも忘れる事はなかった。
 ムドが運ばれ、ネカネが一人治療にあたっている間も。
 捨てられたと叫ぶムドの声、その熱が何時までも胸に突き刺さっていた。








-後書き-
ども、引き続きのえなりんです。

どうせ書くからには、他の作者様と差別化をはかりたい。
そんな思いから、ネカネとアーニャを同行させました。
あとネカネがいないと、主人公死にますからね。
暴走魔力を抜く為にエッチとは、得したのか損したのか。
相手はもちろん、自前で調達しなければなりませんので……
私なら調達できずに死ねる自信があります。

まあ、そんな虚しいことはさておき。
麻帆良についたら、もう少し明るい感じになってきます。
見捨てず読んでやってください。
全話投稿までおそらく半年以上かかりますが、おつきあいください。

それでは、次の投稿は水曜になります。
えなりんでした。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.029030084609985