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No.24192の一覧
[0] もしも行人が大学生だったら(ながされて藍蘭島再構成?) [森林 樹](2010/12/26 02:20)
[1] ながされて[森林 樹](2010/11/09 20:00)
[2] せまられて1[森林 樹](2010/11/09 20:01)
[3] せまられて2[森林 樹](2010/11/09 23:26)
[4] おいかけられて[森林 樹](2010/11/10 09:36)
[6] 日が暮れて[森林 樹](2010/11/13 00:33)
[10] キレちゃって[森林 樹](2010/11/15 19:29)
[11] しゃべっちゃって[森林 樹](2010/11/17 11:47)
[12] たべちゃって[森林 樹](2010/11/19 23:19)
[13] たべちゃって番外編 のぞいちゃって[森林 樹](2010/11/20 20:51)
[14] 朝がきて[森林 樹](2010/11/22 10:10)
[15] まねかれて1[森林 樹](2010/11/26 21:26)
[16] まねかれて2[森林 樹](2010/11/29 22:13)
[17] 夜が明けて[森林 樹](2010/12/04 17:18)
[18] 温泉宿で[森林 樹](2010/12/07 01:37)
[19] 稽古をはじめて[森林 樹](2010/12/21 01:03)
[22] 登場人物設定(ネタばれ注意)12月6日新項目追加[森林 樹](2010/12/06 20:41)
[23] いろいろランキング(物語進行ごとに変化あり)[森林 樹](2010/12/04 18:00)
[24] PV20万記念 外伝 美咲ちゃんの独白[森林 樹](2010/12/08 16:06)
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[24192] ながされて
Name: 森林 樹◆dff00a94 ID:66f9b4ab 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/11/09 20:00
「午前10時、いつもなら今頃一時限目の講義の最中か・・・」

青年は空を見上げてつぶやいた。






第一話 ながされて




Side行人


「うわーーーーー!!」

顔面に水しぶきがぶつかる。風で巻き上げられた海水が視界を奪う。
つい先ほどまで雲ひとつないような快晴だったのに、今じゃ凄い嵐だ。
波が俺の体を左右上下に揺さぶり、水面に顔を出すのがやっとだ。

俺の名前は東方院行人(20)、某大学に通う二回生だ。
実家でいろいろ悩むことがあり、自分を見つめなおそうと思った。
思い立ったが吉日、自分探しの旅に出た。
旅をすれば簡単に自分が見つかるとも思えないが、気分転換にはなるだろう。
どうせなら以前からあこがれていた南の島に行ってみよう。
そんな単純な考えで一週間ほどの予定の旅のつもりだった。
しかし思うようにはいかないもので、船から転落。
俺を一人海に残したまま船は行ってしまった。
そして五日間の漂流の末、今に至る。

「あー、やばい。本気で死ぬかも・・・」

暴風雨の吹き荒れる海の中、頼りになるのは浮き輪のみ。
そしてゴゴゴという低く響く音とともにだんだんと近づく大波。
うん、五メートルはありそうかな?ここまででかいと何も思い浮かばない。
巨大な波にのまれ、俺は意識を手放した。






Side???

太陽が照りつける浜辺に一人の少女が現れた。
手には釣竿を持っており、傍らに豚をデフォルメしたかのような生き物を連れている。
少女と豚もどきは手ごろな岩場に着くと、

「せーの、それ!」

少女は勢いよく竿をふり、釣り針を遠投し海へと沈めた。

「待っててねー、とんかつ。今おいしいごちそう釣ったげるね。」

「ぷ」

少女にとんかつと呼ばれた生き物は、言葉に返事をするかのように鳴いた。

「昨夜は嵐だったからね、きっとすっごいのが・・・」

とんかつに話しかけている間にも、竿には何かがかかった反応があった。

「やった!!さっそく当たり!!」

少女が勢いよく竿を引く。
水しぶきをあげて針にかかった獲物が水面に顔を出す。
しかし、かかっていたモノは魚ではなく、溺れて気絶している人間、行人だった。

「え!?わっわっ大変っ人が釣れちゃったよ~。どどど~しよ~。」

初めての事態に少女は困惑して取り乱していた。

「ぷー。」

とんかつは、呑気にその光景を眺めているだけだった。



Side行人

「ーっかり、しっかり!」

誰かが自分に呼びかけている声が聞こえる。確か、俺は大波にのまれたはずだ。
助かったのだろうか?目を開けようとした時、思いっきり頬を叩かれた。

「!?」

な、何だ!?いきなりのことに混乱していると・・・

「わーん、しっかりしてー!!」

見知らぬ少女に何度も何度も往復びんたを喰らわされる。

「ぐふ!?」

「死んじゃ駄目だよー、水はいてー!!」

「ごは!?」

さらに鳩尾に何度もこぶしを入れられる。
覚醒しかけた意識が、再び飛びそうになる。
駄目だ、状況がいまいちよくわからないがこれ以上されたら死ぬ。
このままではあの世に行ってしまう。
そう思っていた時、ふいに唇にやわらかな感触を感じた。
薄く瞼を上げると、視界いっぱいに見知らぬ女の子の顔があった。
それでキスされているのだと理解する。
なんだ?俺はもう死んだのか?ここは天国・・・だったり?
初めて感じる女の子の唇の感触に、心地よさを覚えていた。
が、それもつかの間。

「せーの、ぷう!!」

口に勢いよく肺活量以上の空気が流れ込む。
それは肺を満たすだけでなく、内側から俺の内臓を圧迫した。

「ぐぼ!?」

俺は今度こそ意識を手放した。




どれくらいたったのか、胸の上に重みを感じて俺は再び目が覚めた。

「なんだ、胸が重い。・・・金縛りか?」

目を開けると、仰向けに寝ている俺の上に豚のぱちもんくさい生き物が乗っていた。

「ぷー。」

豚もどきはまるで俺に起きた?とでも聞いているかのように鳴いた。

「なんだこりゃ。」

呆然としていると横から声がかけられた。

「よかったー、気がついたんだ!」

声の方を向くと、気を失う前に見た女の子がそこにいた。



少女の名前はすずというらしい。長い髪をポニーテールにした活発そうな女の子だ。
俺が運び込まれたのは、すずの住む村にある家の一つらしい。
そこの家主である婆さんにご飯をごちそうになりながら、いろいろ話した。
話を聞くと、どうやら俺はすずに溺れているところを助けられたらしい。

「そっか、君が助けてくれたのか。ありがとう、すず。」

「あー、うにゃ。大したことしてないよ?ほんと。」

俺が礼を言うと、どこか困ったような顔をした。
どうしたんだろうか?

「助けたのはいいが、とどめを刺したのもすずなんだがね。」

「うにゃ!?ちょ、お婆ー!?」

婆さんの言葉にすずがうろたえている。
ああそうか、人工呼吸の失敗のことを言っているのか。
こうして助かったんだし気にしなくてもいいのに。

「あー、それよりも行人さんすごいね!?五日間も漂流してたんでしょ?」

「ああ、飲まず食わずはしんどかったな。」

まったく我ながらよく生きていたものだ。

「まぁ、流れ着いたのが日本だったのが不幸中の幸いか・・・」

本当によかった。これが北のアレな国とかまずい場所だったらえらいことになってたかも。

「へ?ここ日本じゃないよ?」

「え、違うの?」

「うん、住んでるのは日本人だけど、この島はどこかわかんないよ。」

「・・・どういうこと?」


すずと婆さんの話を聞くと、彼女たちも元々は漂流者とのことだ。
今から丁度130年前、日本開国後のこと。
最新の技術や医療を学びにヨーロッパに渡った一隻の船。
しかし、日本へと帰る途中嵐にあい船は沈没。
その船に乗っていた人たちは目の前にあった無人島に流れ着く。
そして、島の環境が生活に適していたことから住み着いたという。
島には船の名前をとって藍蘭島とつけたそうだ。
ちなみに婆さんは当時その船に乗っていたという。
いったい何歳なんだ婆さん?日本の公式の最長寿の人より年上なんじゃないか?
彼らはそれきり外界との接触は一切なかったらしい。
つまりこの島の文明は明治ごろから変わらないのだ。
しかしこれは問題だ。
文明も明治ごろ、外界の接触も一切ないということは、
この島と行き来する定期船などもなければ、電話などの連絡手段もない。
つまり、このままでは日本に帰れないのである。

「それは困る!!」

もともと一週間ほどの旅の予定だったのだ。
これ以上休んでは大学の単位を落とす。
いや、それどころか大学に入るためにしたあれだけの苦労がすべて無駄になる。
なんせ帰れなければ、落第どころか通うことすらできない。
俺はまだ、大学生らしいことをしていないというのに!?

「まぁ、運命と思ってあきらめるんじゃな。」

「こ、この島もいいとこだよ?」


なんとか船で日本に戻ることってできないかな?
もともと南の島に向かっていたわけだし、素人なりの天測でも何とかなりそうな気がする。

「それは無理じゃな。」

「?何でですか?」

「この島の周囲すべてが激流の渦潮に囲まれておる。
船では外に出れないんじゃよ。
嵐の日にたまに通れるくらいでな、ワシらが外に出なかったのもそれが理由じゃ。
実際に見た方が早いじゃろ、ついてきなさい。」

そう言って婆さんは俺を海へと連れてきた。
すずが何かを呼ぶと、大きなシャチが出てきた。
さしみというらしく、人語を解し、この海を守っているのだという。
大丈夫だからと言われその背に乗った。
しばらく行くと、確かにそこには大渦が見られた。
とてもじゃないが船でここを通るのは無理みたいだ。
外に出られるのであれば130年もあれば誰かが試しているはず。
渦潮のせいで無理だったのか。
これはもう、諦めるしかないのか・・・

「この島も悪いところではないぞ。
開き直ってこれからのことを考えるんじゃな。」

「はぁ、さよなら俺のキャンパスライフ・・・」

まさか自分探しの旅に出て、戻れないなんてことになるとはなー。
開き直ってこの島での自分を探すか・・・日本じゃ今頃騒ぎになってるかもな。

「あー、とりあえず、しばらく世話になります。」

「うむ。決心がついたようじゃな。」

「よろしくね、行人さん。」

何がうれしいのか婆さんとすずが俺に笑いかけた。
とりあえず今夜は、すずの家に泊めてもらうことになった。
これから、この藍蘭島での俺の生活が始まる。
この時はまだ、これからの生活があんなにも刺激的だとは思っていなかった。



Sideお婆(こと)

すずと行人という男が楽しげに話しているのを眺める。

「やれやれ、これでこの島にも未来が見えてきたな・・・」

呟いて行人とすずの後方、茂みを見やる。
そこにはいくつもの人の目が隠れていた。



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