※注意※
汚い言葉が多く出てきます。はっきり言って下品です。
また、卑猥な言葉も出てきます。スラングが多いです。注意しましょう。
人種差別等差別的な表現もあるかもしれませんが、作者にその意図はありませんのでご了承下さい。
それでもOK、自分は寛大な心で受け止めてやる、という方のみお読み下さい。
ざざ~ん。
ざざ~ん。
赤い海が波を立て、音を鳴らす。
今はもう誰も居ないはずの大地を満月が照らし、影を創る。
その影は、二つ。
赤い海の辺に立ち、あるいは座り込んでいる二つの影。
その立っているほうの影が揺れ、ペラリと何かをめくる音を創り出す。
「それでは、第43回目の結果報告を始めます」
「うぃ~」
もはや通例となっているのか、立っている影が話し掛けると、座り込んでいた影が動き、座り方を変える。
何故か、体育座り。
立っている影、女らしきその影は再びペラリと音を立てる。
女の手にはバインダー。恐らく挟まれている紙をめくる音だろう。
しっかりとそれに目を通し、女は報告する。
「43回目、第16使徒戦までクリア。
何を考えているのか、それまで歴史を変えるという行為を全くせず、一度目のサードインパクトと同様の行動を取る。
結果、赤木リツコ博士にターミナル・ドグマへ連れ込まれて私…、ここでは違う私なので『レイ』と呼称します。そのレイの予備ボディを見せられ、赤木リツコ博士がボディを全て破壊。
その後稼動中の『レイ』、三人目の綾波レイと接触。
話し掛けた途端懐から銃を取り出し発砲、三人目の綾波レイはその銃撃で死亡、即死。
貴方は射殺した後鼻水と涙と嘔吐物を撒き散らしたまま帰宅、入浴して就寝。
就寝中に身体の無くなった綾波レイの魂はドグマのリリスに戻り、リリス復活、綾波レイの身体をコピーする。
その身体でリリスは碇ゲンドウと接触、アダムを奪い一つになり、第17使徒を待たずにサードインパクト発生。
就寝中の碇君は眠ったままこの世界にまたやって来た。以上、終了」
手にしていたバインダーをパタリと閉じ、レイは報告の終了を告げる。
「上手くいくと思ったんだけどなぁ、最後の最後でアンタを消すって作戦」
「着眼点は良いとは思うけれど、本部の抜け殻に戻るという可能性を忘れていたわね」
『アンタを消す』と面と向かって言われたはずだが、レイはピクリとも眉を動かさずに反応する。
その言葉の主は体育座りを解き、あぐらをかいてズボンのポケットから煙草を取り出すと、慣れた手つきでそれを吸い始める。
「あぁ~…。次はどんな手でいくべか」
「その前に、今までのおさらいをしましょう」
男の言葉に、レイは再びバインダーを開きこれまでのおさらいを始める。
「貴方が来たのは…、七回目から」
「ふぅ~ん、かれこれもう36回か」
「過ごした期間は25年以上は経っているわ」
「長いな…」
ふ~、と煙を吐き出しながら男は話す。
「俺ももう40代後半かヨ…。ジジイじゃん、俺」
「でも貴方の身体は15歳、戻ればまた若くなるわよ」
「それも難儀なこった」
身につけているカッターシャツの襟元をペラペラと煽りながら男はダルそうに言う。
「それで? 通算スコアはどんぐらいよ?」
「サードインパクトが発生したのは19回。内、第17使徒以降に発生したのが8回。
第16使徒以前、つまり今回のようなケースの場合が4回。
EVAによるサードインパクトが11回、リリスによるサードインパクトが8回。
使徒がアダムと一つになるというのは碇ゲンドウがアダムを隠匿しているので今の所0回よ」
「あのファックマシーンがうざってぇんだよなぁ」
「今まで碇ゲンドウに殺されたのは2回、いずれも銃殺。
使徒戦での死亡が7回。内、作戦段階でのミスが5回、貴方のミスが2回。
自殺したのが1回、Nervの人間に殺されたのが8回。碇ゲンドウは先程言った通り2回、後は葛城ミサトが2回、赤木リツコ、青葉シゲル、日向マコト、加持リョウジがそれぞれ1回。貴方を殺していないNervメンバーは伊吹マヤと冬月コウゾウぐらいね」
「残りの1回は?」
「最後の戦自強襲の際誰も助けに来なくて戦自に殺されてるわ」
「なるほどねぇ~。つーか殺されすぎじゃねぇか?俺」
「日頃の行いの所為よ。人に殺されているのは全て私怨、恨みによる犯行」
「自分の甲斐性が無いのを俺の所為にしてるわけか」
「葛城ミサト、赤木リツコの場合はほとんど心中ね」
「あ~あ~、女ってのは怖いねぇ~」
「でも、全て貴方の所為」
「しょうがねぇだろ?イイ女がゴロゴロ目の前に出てくれば抱きたくなるもんだ」
「欲望に素直すぎるのは問題よ」
「へぇへぇ、気をつけますよ」
「何度死のうが貴方の自由だけれど」
「わかったわかった、気をつけるって」
「そう」
ズボンに手を突っ込みボリボリと尻を掻きながら答える目の前の男に、レイは何事も無かったように再び話し掛ける。
「それでは、そろそろ恒例のケンイチ君鑑賞会を行いましょう」
「おうっ!それそれ、待ってたっつ~の」
レイの言葉に大声で答え、男はバンバンと自分の太股を叩く。
すると、レイの横の空間にスクリーンのようなものが突然現れ、一人の青年を映し出した。
「まずは前回のあらすじ。
ケンイチ君。正確にはこの世界から六回目終了時に逃亡した碇シンジ君の精神を宿した貴方の身体は二年の猛勉強の末24歳で大検を取得。
22歳で某国立大学の政経に入った所までだったわよね?」
「あぁ、入学式が終わった所で前回は終わった」
「では、上半期半年は恐らく彼の場合コンパやその程度のイベントしかないはずだからその半年後を見てみましょう」
「まぁ、それでいいや。とっとと見せてくれ」
「では、スタート」
何の感情も表さず、レイは棒読みでスクリーンにピッと触れる。
スクリーンはまるで映画上映前のカウントのように【5】という数字を写す。
カウントはやはり続き、【4】に変わる。
【3】
【2】
【1】
『ハァッ!ハァッ!ハァッ!』
『あっ!あぁぁ~っ!イイッ!イイのぉぉ~っ!!』
「いきなりエロシーンかよっ!」
『あぁっ!お、お尻っ!お尻気持ちいいのぉ~っ!』
「しかもアナルプレイッ!濃ゆすぎんだろお前よぉっ!」
突然始まったアナルファックシーンに男はブチギレ。
「……やはりムッツリスケベ。いえ、ここまで来ると変態の域に届いているかもしれないわ」
レイは目の前の淫行を余す所無く目を皿のようにしてじっくりと観察する。
言っている事は失礼すぎるが。
「よぉっ!この女はダレだっ!俺の知り合いにあんな女いねぇぞっ!」
「彼女は記録によれば大学の新歓コンパで知り合った同期入学の19歳、一人暮らしの女性よ。
スリーサイズは上から79.55.81。
グラマーというよりはスレンダーなタイプね」
「半年でアナルファックかよ、どんな手を使ったんだかコイツ」
「クスリ、それと調教ね。肛門は徐々にほぐしていけば括約筋が柔らかくなるからロストバージンする時より楽だという話よ」
「ふぅ~ん…」
会話が途切れ、しばらくぼ~っとスクリーンを見つめる。
上映中のアナルファックは次第に熱を増し、激しかったものが更に激しくなっていく。
『ホラッ!こんなに入ってるよっ!お尻っ!』
『あぁ~っ!ダメェッ!言わないでぇ~っ!』
「……まるでAVだな」
ポツリと感想を漏らしながら横目で隣に座るレイを見る。
彼女は相変わらずスクリーンを凝視して目を激しく動かしている。
恐らく画面の女性の動きを目で追っているんだろう。
その綺麗な横顔を見て、ゴクリと唾を飲む。
「……なぁ」
「嫌よ」
レイに話し掛けた瞬間、レイは速攻で拒絶。
恐らく彼が何を言いたいのかが判っているのだろう。
「何も言ってないだろうが…」
「自分も同じ事をしたいと、顔に書いてあるわ」
そうジト目で睨みながら、ツツツーと男から距離を取る。
図星を指されてしまった男はチッ、と舌打ちをしてポケットから再び煙草を取り出す。
「なぁ、もうアイツの覗き見はいいよ。溜まっちまう」
「性欲の権化みたいね」
「ウッセ!あ~聞きたくない聞きたくない!」
これ以上何か言われるとたまらんと、男は両手で耳を塞ぎソッポを向く。
その様子にレイはクスリと小さく笑うと立ち上がり、スクリーンに手を伸ばす。
『あぁっ!あぁ~っ!もう、イ、イクッ!イっちゃうぅ~っ!』
「……………」
スクリーンが消えたのは、それから10分後の事だった。