「ん・・・んちゅ・・・はむ・・・」
「い、いいです・・・ユイさん・・・」
私は椅子に座っているシンジの前に座り込み、シンジの股間に顔を埋めていた。
ズボンから飛び出たシンジの肉棒を夢中でしゃぶっている。
あの日以来、これが私達の日課になっていた・・・
シンジに屈して以来、彼は私をまるで玩具のように扱うようになった。
相変わらず人前ではオドオドしているし、私に勉強を教えてもらっていたりするが、時々人が変わったように私を弄ぶ。
色々なことをさせられた・・・
一日中、下着をつけることを許されなかったり・・・
以前使ったおもちゃを私の中に入れて、街中を連れまわされることもあった。
昨日は子供の遊ぶ公園で放尿を命令された・・・
「あぁ~、おのお姉ちゃん、お漏らししてるぅ~」
子供達に指差され笑われた時は、死にたい気持ちになった・・・
最近夜、一人泣いていない日のほうが少ない気がする・・・
そのたびにケンちゃんにこんなことはもうやめろと、説教された。
やめないよ・・・
これで私は壊れることが出来るかもしれない・・・
「今日は転校生がいます。」
「霧島マナです。よろしく♪」
元気そうな娘だなぁ~私の感想はそれくらいだった。
「では、霧島さんは碇君の隣に座ってください。」
先生の言葉に彼女はシンジの前まで歩いてきた。
「こんにちは、あなたが碇君?」
「う、うん・・・」
「下の名前、教えてくれる?」
「シ、シンジ・・・碇シンジだよ・・・」
彼女は思わずこちらも微笑んでしまいそうな笑みを浮かべた。
「シンジ君ね。よろしくシンジ君。」
「う、うん・・・よろしく・・・」
「あは、可愛い♪」
真っ赤になっているシンジ。何処が可愛いのか良くわからないな~
シンジもからかわれてるってわからないのかな・・・
その日から彼女はシンジにまとわりつくようになった。
「シンジ君って包丁使うのうまいね~」
「そ、そうかな・・・」
「うん!私が保証するよ。将来シェフとかなれるんじゃない?」
「ま、まさか・・・」
「あはははは♪」
家庭科の調理実習、シンジと彼女は同じ班になって楽しそうに会話していた。
「ユイ、ユイってばっ。」
「赤木さんっ、焦げてるわよ!」
アスカと洞木さんに言われて、慌てて火を消す。
「ご、ごめんなさい・・・」
「大丈夫、ユイ?」
「う、うん・・・ちょっとぼーとしてただけ・・・」
「赤木さん・・・」
二人とも心配そうな目で見てくる。
私、何やってるんだろ・・・
嫉妬?まさか・・・馬鹿馬鹿しい・・・
「シンジ君、街案内して欲しいな。」
放課後になって帰り支度をしていると、また霧島さんがシンジに話しかけてきた。
「え・・・で、でも・・・」
シンジが私の方を見てきた。
「私はかまわないわ・・・一人で帰れるから・・・」
「でも・・・」
「ほら、良いって、行こっ♪」
腕を掴まれ強引に連れて行かれてしまった。
「ふう・・・」
ため息が出た。
どうせシンジの人付き合いの悪さにすぐ振られるでしょ・・・
「帰ろう・・・」
私が席を立とうとしたとき、話しかけてくる人がいた。
「ユイさん。帰るのかい?だったらお供させてもらうよ。」
「カヲル君・・・」
「シンジ君も霧島さんに連れ行かれてしまっただろ。だったら一人で帰らせるわけにはいかないね。」
私はカヲル君の綺麗な笑顔を正面から見ることは出来なかった。
「いい・・・一人で帰れるから・・・」
するとカヲル君はこのクラスにとって切り札となる言葉を言った。
「そう言うわけにも行かないね。これは委員長命令でもあるんだ。」
にこやかに言うカヲル君。
私はびっくりして辺りを見回した。
「赤木さん、また明日ね。」
「じゃね~、ユイ~」
笑いながら手を振り教室を出て行く洞木さんとアスカ。
どういう事?
アスカもどうして?・・・カヲル君のこと・・・アスカは・・・
「ではお嬢様。参りましょうか?」
芝居がかった、でも全く嫌みのないカヲル君の差し出した手の上に、私は思わず手を重ねてしまう。
「あ・・・」
私はクラスの女子の羨望のまなざしの中を呆然としながら手を引かれ歩いていった。
結局家までカヲル君に送ってもらい、私は誰もいない部屋の中に一人たたずんでいた。
楽しくなかった・・・と言ったら嘘になる・・・
実際、楽しかった・・・
帰り道、鞄を持ってくれたりとさりげなくエスコートしてくれるカヲル君。
屋台のクレープを買ってくれて、二人で遊び回る子供達を見ながら食べた。
シンジには無い気遣いと優しさがカヲル君にはあった。
「カヲル君・・・」
思わず口に出た言葉、胸の奥が暖かくなってくる。
でも・・・
カヲル君に甘えてはダメ。
カヲル君に縋ってはダメ。
カヲル君の優しい目を見ていると、贖罪をしようとする決意が揺らいでしまう。
それはダメ!
私の罪は決して許されない。私は幸せなんて求めてはいけない。
「カヲル君・・・」
私は暗くなっていく部屋の中、ずっとたたずんでいた。
「ユ、ユイさん、僕、今日出かけてきますんで、えっと、お昼はいらないです。」
「そう・・・行ってらっしゃい・・・」
日曜日の朝早くからシンジは出かけていった。服装も結構気合が入っている。
霧島さんと会うのかな・・・
彼女は一向にシンジに飽きる様子を見せず、相変わらず付きまとってくる。
何がそんなに気に入ったんだろ・・・
きっと、いいように振り回されて奢らされてるに決まってる・・・
「馬鹿みたい・・・」
なんだかイライラする・・・
私もどこか出かけよう・・・
私は商店街をぶらぶらとあてもなく歩いていた。
周りを見れば日曜日ということもあって家族連れや恋人同士が目立つ。
はあ・・・
なんだかため息が洩れた。
気がつけばショーウインドウの前で立ち止まっていた。
そこには純白のウェディングドレス・・・
綺麗・・・
でも、私には関係ないか。
一瞬、脳裏にカヲル君の顔が浮かんで、私は慌てて頭を振った。
横を通り過ぎた人たちが不思議そうな顔で見ている。
恥ずかし・・・
何考えてるんだろ、私・・・
私はそこから早足で立ち去った。
「あ~、彼女っ、一人?」
「ぼ、僕らと、あ、遊ばない?」
突然声をかけられて振り向くと、そこには浅黒い肌の少年と線の細い感じの少年の二人が立っていた。
「え・・・私?」
思わず聞き返す。ナンパ?
「そう、も、もしかしてヒマしてる?カラオケでも行かない?」
浅黒い肌の少年がちょっとぎこちなく言った。笑いも引きつっているみたい。
「ム、ムサシ君・・・やっぱ、やめようよ・・・」
細いほうの少年が気弱そうに言っている。
初めてナンパするのかな。悪い人たちには見えないけど・・・
私、いつもシンジが隣にいるからナンパなんてされたことないけど、クラスの女の子達の会話でどんなものかは知っている。
カラオケか・・・シンジは連れてってもくれないけど・・・
行くのはデートマニュアルに載ってそうな映画館や遊園地ばっかり。面白くもなかった。
「やっ、やっぱ、ダメかな・・・」
ムサシと呼ばれた少年が頬を掻きながら言った。細いほうの少年もうつむいている。
なんか、断るの悪いような気がしてきた・・・
「いいよ。」
「えっ?!マジ?」
「ほ、本当にいいの?!」
シンジも他の女の子と遊んでるんだから・・・カラオケくらい・・・
私は頷き、彼らに連れられて歩き出した。
「ユイちゃん、歌上手いなぁ~」
「そ、そうかな・・・」
「そ、そうだよ、声綺麗だし、可愛いし、アイドルになれるよ、きっと。」
「そんなこと・・・」
二人ともおだてるの上手いなぁ~
「ムサシ君とケイタ君も上手いと思うよ。」
「そんなこと無いって。」
「僕ら、歌のレパートリー少ないしね。」
「滅多に歌うことも無いしな~」
「そうなの?」
「うん、ラジオの歌聴いてるばっかだからね。僕たち。」
ふ~ん、今時珍しいね・・・
苦学生なのかな?
カラオケって楽しいな。そう言えば来たのって初めてのような気がする。
今回も“前回”も行ったこと無いし・・・
まあ、“前回”もし行っててもアスカの独断場になってそうな・・・
「はい、ユイちゃん。」
「あ、ありがと・・・」
ケイタ君がジュースを渡してくれた。
ムサシ君はマイクを持って熱唱中。軍歌?渋いね・・・
「ユイちゃんって・・・彼氏いないの?」
「え・・・別に・・・」
シンジは彼氏じゃないと思う・・・“僕”だし・・・
それに私は彼の“物”だもの・・・
カヲル君は・・・違う・・・考えちゃダメ。
「ユイちゃん?」
考え込んでたみたい。二人が顔をのぞき込んでいた。
「あ、なんでもないの。ご、こめんね・・・」
空になったコップをテーブルにおこうとしたとき、手から力が抜けた。
カラン・・・
床に乾いた音を立ててコップが落ちる。
「あれ・・・?」
手だけじゃない。体中力が入らない。頭がぼーとする・・・
「わたし・・・」
どうしたんだろう・・・めが・・・ねむい・・・
「ごめんねユイちゃん・・・」
「すまん・・・」
意識を失う瞬間、二人の謝る声が聞こえたような気がした。