ども、uppersというものです。今回の作品は私のものではなく、某サイトを運営する夜桜さんという方がこちらに投稿できないという旨を頂きましたので、私が代理投稿という形になりました。
これから読む方は私が書いたのでは勘違いなさらぬように。では本文へとどうぞ。
キッチンから聞こえる調理音に耳を傾け、一分の隙もなく手際よく調理をする女性……もとい。千早の姿を想像して、雅楽乃は小さく微笑む。こうして寮へ足を運んだのは二度目だが、千早に呼ばれて来たのはこれが初めてだ。
そして何故、千早がキッチンで調理をしているかと言えば……去年のいつ頃かは正確に思い出せないが、雅楽乃が寮に遊びに来てくれたら何かご馳走するという約束をしたからだ。
「お待たせしました」
エプロン姿のまま、お盆を手にした千早が姿を現し、雅楽乃に微笑む。雅楽乃もまた、千早の笑顔に応えるように笑う。
「あぁ、千早さまの手料理が食べられるなんて……今でも夢の中にいる気分です」
「安心して下さい。これは間違いなく現実ですから。それとも、雅楽乃は夢の方が良かったかしら?」
「ふふ、現実の方が良いに決まっているではありませんか」
他愛もない言葉遊びを交えながらお盆に乗ったデザートを雅楽乃の前に差し出す。黄色くて、弾力性のあるスイーツ──プリンを前にして、雅楽乃の心は躍った。
市販のものよりも一回り大きいプリンの上にあるホイップクリームの線は細く、キャラメルというキャンパスに冬の花を模した絵が描かれている。苺は縦に切れ目を入れてスライドさせることで扇状の形を作り、プリンの周りに添えられている様はまさに花びらのようだ。そして極めつけは皿の表面にチョコレートソースで描かれた幾何学模様。もはや個人で作るレベルを遙かに凌駕した一品だ。
「なんだか食べてしまうのが勿体ないくらい、素晴らしい出来栄えです」
「それは困りましたね。これは雅楽乃の為に丹精込めて作った一品ですから、食べてもらいませんと作った人が報われません」
そんな千早の言葉に雅楽乃は『それもそうですね……』と答える。
それでもやはり、芸術の領域に片足を入れたそのデザートに口を付けるのはなかなか勇気のいることらしく、手にしたスプーンがなかなか動かない。
「……い、いただきます」
時間にして二分少々。意を決して雅楽乃はスプーンを伸ばす。一口大にカットして口の中へ運び、味わうように咀嚼する。
「…………」
プリンに生クリームが乗っていれば、甘さが口の中で残るのではと思っていたが、むしろ逆だ。口にした瞬間こそ、甘いと感じたが一噛みする度にその甘さは自然なものへと変化し、飲み込む頃には甘さが綺麗にひいていた。千早の作ったスイーツは同じエルダーである薫子を魅了して病まないと言われているがなるほど、確かにこんなにも美味しいスイーツを知ってしまえばあっという間に虜になってしまう。
「味の方はどうですか?」
「それはもう……私が今まで食べたプリンの中でも最高の一品でした!」
「大袈裟ですよ、雅楽乃。仮にそうだとしても、きっと雅楽乃の為に作ると意識しなければ、私もこんなに真心を込めて作ったりはしませんよ」
「千早さま……それは褒め殺しというものです…………」
「あら、私は本当のことを言ったつもりだけど?」
「~~~~っ」
千早の追撃に雅楽乃は反撃する術を失い、胸の葛藤と彼の極上スマイルに乱されるしかなかった。
…………。
……。
食後のデザート会も終わり、交代で風呂に入り、世間話に華を咲かせ、部屋の灯りを消した頃には午前1時を少し回っていた。
「ハァ……ァ……んっ、んん……っ」
灯りの無い部屋で雅楽乃は息を乱していた。口から出る白い息は官能の色を帯び、側で聴く千早の聴覚に訴える。
「んんっ……くちゅ、ぬちゅ…………っはぁ、千早さま、もっと……」
もっと、虐めて下さい──
聞こえる筈もない声に応えるように千早は指を這わせる。純白の雪山に訪れた汚れは輪郭をなぞるように触れて、一方の魔手は白百合の花びらをそっと愛撫する。
「……やぁ……それ、じれったい……です…………。もっと、激しくしてください……」
「ダメです。それじゃあ雅楽乃を虐める意味がなくってしまいます」
意地悪くっぽく答えつつ、雪山の外側を浸食していた指を少しずつ山頂へ近づける。強すぎず、けれども快感は残すように。絶妙な力加減によって与えられた刺激は雅楽乃を生殺しにしていた。
「本当、雅楽乃の身体はいらやしいですね。軽く触れただけでこんなにいやらしい汁が溢れてますよ?」
クチュ、クチュ……と、わざとらしく音を立てながらクレパスの割れ目に第一関節まで指を入れて、掘り返すようにすくい上げる。勿論、痙攣のスイッチを入れることも忘れない。
「ひゃぁっ! そこ、ダメなんです……」
「おやおや、さっきまで刺激を欲しがっていたのに今度はダメ、ですか……。まぁ、雅楽乃が嫌だと言うなら止めますけど?」
「ぁ……い、いえ……今のは、そういう意味では──」
「では、どういう意味です?」
ツンッと、雪山の頂上を軽く弾く。それに反応するように雅楽乃の口から声が漏れ、ぷるっと短い痙攣を起こす。
彼女の身体はもはや完全に千早という魔帝に支配されていた。彼の身体から漂う芳醇な麻薬は思考力を奪い、囁く甘言葉は善と悪の境界をあやふやにして、肢体を這う指は自由を奪い、その身を快楽という名の檻へ投じてしまう。
「雅楽乃は、僕に愛されるのは嫌なんですか?」
「ち、違います……っ。千早さまに愛されるは嬉しいと言いますか、望むところ言うか……」
「でしたら、今のままでも問題ありませんね?」
「はぅ……」
会話を打ち切るように、少しだけ刺激を強くしてみる。
指先で弾く程度だった乳首を指で挟みながらこすり、残った指で雪山を覆い尽くすように掴む。軽く押し込めただけで反発力が指先いっぱいに広がるそれを無視して、少しずつ力を込めながら揉んでいく。
「あぁっ! いいです、それ……」
「では、こんなのはどうです?」
それまで第一関節まで沈めていた指の深度を下げながら首筋に顔を近づけていく。
「んっ……」
雅楽乃の匂いをいっぱいに感じながら鎖骨に舌を這わせる。それが別のスイッチとなったのか、彼女の口から発せられていた嬌声に変化が見られた。
「ひゃぁああっ! ぁあ、すごい……身体中に、電気がはしった、みたい…………」
「雅楽乃は鎖骨も弱いんですね。もしかして敏感体質ですか?」
「わ、分かりません……。ですが……千早さまに、してもらってるからだと、思うのですが……」
「では、今から試して見ましょうか?」
「えっ……?」
訪ねるよりも早く、千早が動く。
鎖骨に舌を這わせながらクレパスの割れ目に入れた指を、まるでピアノの鍵盤を叩くかのようにリズムカルに動かす。それまでじわじわと獲物を弱らせるような攻めから一転、総攻撃を開始する。
手に収まりきらない乳房はその手に弄ばれ、幾度となく形を変えていく。上体が弓のように反れ、汗が滴となって飛び散る。だが雅楽乃の身体はベッドに投げ出されることなく、磁石のように千早の身体へと吸い寄せられていく。
「んあああっ! だ、だめ……いきなり、そんな──」
「雅楽乃がいけないんですよ? こんなに僕を誘惑するんですから」
上と下。双方からの攻めに加えて耳元でなじられる雅楽乃。もはや全身の筋肉は脱力し、僅かな抵抗力さえ失われていた。今の彼女にできるのは千早という芳香に酔いしれ、激流の如く押し寄せる波に身を任せるだけ。
だがその波は突然、静まりを見せた。
「えっ……千早さま?」
「どうしました?」
困惑気味に彼の顔を見つめる雅楽乃に対して、いたずらっ子のような笑顔を見せる千早。
雅楽乃にはすぐ分かった。彼は愉しんでいるのだ。羞恥に耐えながらも懇願する自分を見たいがために、わざとイかせない。
「そんなおねだりしたそうな顔をして、どうしました? ちゃんと言って下さい……」
「千早さま……狡いです。私が何をして欲しいか、おわかりのくせに……」
「僕にだって分からないことぐらい、ありますよ?」
割れ目とクリトリスに軽く触れる程度に中指を這わせ、余韻が完全に引かないように押し止める。普段なら大した効果もない愛撫だが、火照りきった雅楽乃の身体には充分すぎるほどの効果をもたらした。
「ぁ……んんんっ」
「我慢は身体に良くありませんよ? 僕は素直な娘にはちゃんとご褒美をあげる人ですから」
「…………だ、さい……」
「なにを、どこに欲しいんですか?」
きゅっと、気持ち軽めに急所を掴みながら訪ねる。
「あぁっ! ほ、欲しい、ですッ! 千早さまの精を……っ、私の中に……注いで下さいっ!」
「はい、良く言えました」
満面の笑みを浮かべながら、雅楽乃の腰を少し動かして自身の分身を押し込む。
ずるぅぅ、と音を立てながら肉槍は蜜壺を突き進み、奥へ到達すると溢れかえった蜜が外へ漏れ出す。
「すみません、雅楽乃。僕も随分焦れてましたので、加減が効きそうにありませんけど……」
「はい……千早さまの、お好きなように、動いて下さい……」
「……っ、雅楽乃!」
ぐちゅん、ぐちゅん……と、卑猥な音を立てながら激しくピストン運動をする。一突きする度に淫らな声が吐き出され、下がる度に次の一撃を催促するように、中での絡み合いが激しくなる。
「……っ、雅楽乃……そろそろ…………」
「はぁぁ……、ぁ……きて……私の中に、たくさん注いで……っ! 私を、千早さま色に、染めて下さい……っ!」
「──!」
ごぽっ…ごぷっ…ごっぽ──
深めに腰を突き上げたと同時に怒号の如く雅楽乃の中で千早の種が爆裂した。中に吐き出された真っ白な精を取り零さないとばかりに雅楽乃自身の締め付けもまた、より一層厳しくなり、尿道に残った精をも絞り取る。
「ハァ、ハァ……。千早さま……」
「うん」
短く返事をして、答える代わりに繋がったままキスを交わす。唇を啄むようなキスから舌を絡め取り、時には舌を甘噛みしてみたり、様々な刺激を与える。
…………。
……。
「ん……今日の千早さま、いつもより激しかったですね……」
「最初に誘ったのは雅楽乃ですよ?」
「だって、私だけ美味しい想いをするのは不公平ではありませんか?」
「では、今日の雅楽乃は僕だけのデザートということですね?」
ごく自然な動作で腰を引き寄せ、軽いキスを交わす。雅楽乃は一切抵抗せず、ただ千早という銀狼にその身を委ねる。
「ところで千早さま……お代わりの方は如何なさいます? 私、今夜はめいっぱいサービスして差し上げますよ?」
「そうですね……では、僕は男の子ですから、大盛りでお願いします」
二人の夜は、まだ続きそうだ……。