実を言うと、俺はあまり片付けをしないから部屋はかなり散らかっている派だ。
どうにも片付けたりするのが面倒で、つい『後で』と思って置きっぱなしにしてそのまま放置してしまう。
それはほんの少しずつでも塵も積もれば山となるわけで、結局は部屋が散らかってしまうというわけだ。
俺だって片付けが出来ない人では無い。やろうと思えば綺麗に片付けて掃除もする。
汚い部屋より綺麗な方がいいと思うし、誰かが来るというのであれば綺麗にしてから出迎えるぐらいの見栄もある。
ただ、誰かに「掃除しろ」的な事を言われると一気にやる気が無くなって、逆に反発心から放置したくなってしまうのだ。
俺は言われなくたって、ちゃんと掃除ぐらいするわ!
ただ、まだ大丈夫と思う許容範囲や掃除をしようと思う周期が、他の人よりちょ~っと広かったり長かったりするだけなんだよ!
……とまあ、そういう適当かつ天の邪鬼な俺なのだが、今住んでいる部屋はというと特に散らかっていない。というよりかなり綺麗にされている。
これは俺がまめに掃除をするなんていう面倒をやっているわけはないし、たまたま掃除をしようと思い立った直後の部屋だから、というわけでもない。
ならば何故、というならば、
「ふんふんふ~ん~」
俺以外の誰かが部屋を掃除してくれている、というわけだ。
もちろん、日々の生活に困らない程度の蓄えがあるとはいえ、人を雇って掃除をして貰うなんて真似が出来る程裕福というわけではない。
これは俺に掃除をしろと言っても逆効果だと分かっていて、なおかつ散らかっている部屋の放置は見過ごせない、という人が善意からしてくれているものだ。
俺としてもやれと言われるのは嫌でも、勝手にやってくれる分には文句はないから何も言わない。
というより、楽が出来てうれしいので感謝をしているところだ。
……まあ、中にはあえて俺にわざと「掃除しろ」的な事を言ってやる気を削いでから、「仕方が無いなぁ」と掃除をしてくれる人もいるわけだが。
「ふんふふ~……、あ、あ~~っ!?」
そして今、掃除をしているのは、月村さん家のメイドさんその2であるファリンだ。
彼女は本職として家の管理を生業としている身として、部屋が汚れていく様を放置は出来ないとこうして定期的に掃除をしていってくれている。
何ともありがたい事だし、お礼を言ってみた事もあるが、当人が「好きでやっている事ですから~」と答えるばかり。
まあ、実際鼻歌交じりに楽しそうに掃除をしている姿を見ればそれが建前ではなく本音だと分かるし、俺もそれでもいいかと思ったりしている。
……ただ、今のようにたまに隣の部屋から聞こえていた鼻歌が唐突に悲鳴と共に途切れたりすと、そこはかとない不安がこみ上げてもくるのだけど。
「あの~……」
そんな事を思っていると、隣の部屋からファリンが顔を覗かせてくる。
雰囲気から察するに、おそらくうっかり何かを壊してしまったとか、そういうところか?
「はぅっ」
なんて聞いてみると、びくりと身体を震わせて見せるファリン。うん、分かりやすい。
その伏し目がちな姿は怒られると思って委縮している子犬のようで、ぺたりと垂れた犬耳やしっぽが幻視出来るようだ。
まあ、あっちの部屋には壊されて怒るようなものは無いはずだし、掃除をして貰っていた身としては礼を言いはしても文句を言える立場では無い。
というわけで、俺から言う事といえば「まあ気にすんな」ぐらいのものだ。
「はい、申し訳ありませんでしっ……!?」
とはいえ、たとえわざとじゃないにしても、悪い事をしておいてから何の御咎め無しというのは良くは無い。
特にファリンみたいに真面目な子は無条件で許されるだけというのは逆に落ち着かないはず。
というわけで、悪い事をしたならばちゃんとペナルティを科さないとと、手に持っていたリモコンのつまみをちょいひねる。
俺からしたのはそれだけだが、丁度ファリンも頭を下げようとしていたファリンは突然の事に驚いたように身体を硬直させる。
さてさて、一体どうしたというのかい?
「はぅ……、えと、な、なんでもないですぅ」
固まっている様子のファリンに声をかけてみたが、どうやら何でもないらしい。
若干頬が赤いが、本人がそう言っているのだから問題は無いのだろう。
いや~、体調が悪くなったわけじゃなくて良かったよかったと、一瞬だけつまみのメモリを『強』に入れる。
「~~っ!?」
その一瞬に合わせて、ファリンもまた身体を強張らせる。突然の事であっても、今度は声を出さないようにと必死に耐えているようだ。
だが、本人が大丈夫だと言っていたのだから、きっと俺が心配する事は何もない。
という事で、そこにある荷物をちょっと部屋の隅に移動させておいてくれないか?
「は、はい、わかりましたぁ……」
ファリンは何かの余韻に引きずられるようだったが、それでも俺の頼みごとは優先してくれるらしい。
俺の目の届く場所に留めるために適当に言った事に従うべく、ファリンは若干覚束ないような足取りで部屋に入ってくる。
う~む、まだ大丈夫そうだし、心配する事は特になさそうだな。
という事で今度はメモリをちょっと強めのぐらいに入れっぱなしにしてみる。
「ぅ……、あの、これで……いいんですよね?」
ファリンはまた身体を震わせるも、今度のは前もって心構えでも出来ていたのか、平然じゃないにしても、俺の指し示した荷物に手を掛けると確認を取ってくる。
もちろんその確認で間違いは無いので、その通りだと頷いておく。
「そ、それじゃあ運びますね……。ぁ、ぅ……っ」
そしてファリンは荷物を持ち上げて移動を開始するのだが……、やはりどうにも動きがぎこちない。
その足取りは何かに我慢するかのように非常にゆっくりとしたもので、普段なら数秒もかからない距離を少しづつ詰めていく。
呼吸の方も少し荒くなってきている。なんとも健気に頑張っているなぁというところだ。
まあ、どうせあの荷物は壊れるようなものでもないのだが、下手にファリンに転ばられたりしても可哀想だから、ここは何もせずに素直に見守っておこう。
そんな風に頑張るメイドさんの後ろ姿を眺めていたのだが、不意に携帯の着信を告げるメロディが鳴り響く。
これは俺の携帯のじゃないなとすぐに分かるし、何より音の発生源がファリンなのだから、ファリンに電話がかかってきたとは考えるまでも無い。
まあ、荷物の移動を頼みはしたがそれは別にとり急ぐ事でもないし、もしかしたらファリンの方は急用かもしれない。
というわけで、早く電話に出るんだファリン!
「な、何でそんなに急かすんですかぁ……」
そりゃあ電話が鳴っているなら出ないわけにはいかないだろ。
それより、早くしないと向こうの人に悪いだろ。
「で、でも今は、その……、ほら、両手も塞がってますし……」
だが、ファリンはどうにも歯切れが悪い、というかあまり今は電話に出たくないらしい。荷物を持っている事を理由に電話に出られないという。
まあ、今のちょっと普段とは違う色の混ざっている声を他の誰かに聞かれるのは恥ずかしいというのは何となくは分かる。
それでも俺がファリンに電話を無視させてしまったとあっては、こっちが申し訳が立たない。
まったく仕方が無いなぁとファリンに歩み寄ると、その手に抱えていた荷物を取り上げる。
ほら、これなら電話にも出られるだろ?
「うぅ~、わ、わかりましたぁ」
ここまで来て、ようやくファリンも観念したらしい。ポケットから未だ鳴っている携帯を取り出すのだった。
それを確認して、俺もまた何時までも突っ立っていても仕方が無いとさっさと荷物を置いて所定の位置に戻る。
「ぁぅ……っ!?」
まあ、折角なのでリモコンのスイッチをさらに強めにしていたが。
これくらいならまだ我慢は出来ても移動する余裕が無いだろうし、ファリンが何処かに行かないように足止めになる、はず?
「……もしもし、お、お姉さまですか?」
そして俺の思惑通りなのか何なのか、ファリンは多少の躊躇いがあったようだったが、それでもその場で電話を取る。
どうやら電話の向こうに居るのはノエルだったらしい。電話の向こうからの声は当然聞こえないが、ファリンの態度からそう予想する。
というかファリン、結構頑張るな。多少どもったりもしているが、十分に平静を装えていると言い張れるような口ぶりだ。
これは刺激が強くとも単調だから慣れてきたとか、そういう部分もあったりするのか?
とまあ、そんな疑問がふと湧いてきた。
よし、それならば少し試してみよう。
スイッチを指の腹で挟んで、クリクリ転がすように緩急をつけて弱くしたり強くしたりしてみる。
「ふぁ、ん……っ!?」
おお、どうやら俺の推測は割と正解だったらしい。それまで何とか我慢出来ていたはずのファリンの口から甘い色の吐息が漏れる。
目をきつく閉じるようにして、最初に漏れてしまった以上は出さないように耐えようとするも、身体の方は強弱の波に翻弄されるかのように震えている。
「あっ、いえ、何でもない、です、ぅ……っ!?」
そしてその白い素肌が朱に染まってきているのは、身体に感じている刺激に興奮を覚えているのか。
それとも漏れてしまった声が電話の向こうの人に聞き咎められてしまったからか。
「はい、はい……、い、いいえ……っ」
さすがにもうまともに会話をする余裕も無いらしい。それでも少しでもノエルに今の自分の状態を悟られないよう、非常に簡潔な受け答えをしている。
だが、それでどれだけ隠せているのかは俺には分かりようもないんだけどな。
「うぅ~っ」
そんなこんなで眺めていたのだが、そろそろ本気で限界らしい。ファリンが涙目になってもう勘弁してと訴えてくる。
……うん、ごめん。ちょっと調子に乗り過ぎました。
罪悪感が凄くこみ上げてくる事に耐えられないので、とりあえず最弱にメモリを合わせる。
スイッチのオフはこっちでは出来ないので、これで勘弁して下さい。
「はふぅ~……。あ、いえっ何でもないです!」
とりあえずこれで良かったらしい、ファリンも安堵の息を吐く。どうやら本当にきつかったらしい。
まあ、電話の向こうで何をそんな溜め息をついているのかと聞かれて慌てて答えていたのはご愛嬌というところか。
「分かりました~。ではそれは帰りがけに済ませますね。はい、それでは……」
スイッチはオンのままでも、さっきまでと比べたなら最弱は割と楽に我慢出来るらしい。その後はファリンも普通に応対してみせていた。
そしてしばらくしてノエルの方も用件は伝え終わったらしく、また家で会いましょうと電話を切ろうとする。
ファリンもまた俺が手を緩めて、電話も終わったと、完全に一安心といった様子。
だが油断は禁物。俺の悪戯心はまだ罪悪感に屈したわけではないのだよ、ファリン君?
というわけで、電話が終わるというその瞬間、手元のそれを最弱から一気に最強に切り替える!
「~~っ!!??」
完全な不意打ちであるそれに、ファリンは耐える事は全く出来なかった。
声にならない声を上げて、最強のそれに身体を付き上げられるように目を見開いて背を仰け反らせる。
手に持っていた携帯も落としてしまっている事に気付けないほど、その刺激に翻弄される。
「はぅ……。はぁ、はぁ……」
そして俺が再びスイッチを最弱に戻した時には、完全に限界を迎えたらしい。まるで糸が切れたようにその場にへたり込み、肩で息をして見せる。
気が抜けてぼんやりするように視線が定まっていないファリンに歩み寄ると、落ちていた携帯を拾い、電源を切って差し出す。
とりあえずお疲れ様、かな?
「……うぅ~、ひどいですよ~っ」
俺の労いの言葉は不服だったらしい。へたり込んだまま、俺が全部悪いというような非難を乗せて見上げてくる。
ただ、メイドさんが頬を上気させながら潤んだ瞳で見つめてくるというのは、申し訳ないとは別な想いを俺に抱かせる。
「……それじゃあそろそろ、どうなっているか確認してみるか?」
だから、俺は謝ったりはしない。むしろ、まだ終わりじゃないだろうとファリンに問いかける。
「………………はい」
そしてファリンも羞恥からか躊躇いをみせる。だが、それでも幾分かの秒を数える合間に頷いてみせる。
まず、ファリンにテーブルの上に四つん這いになるように指示をだす。
俺が言ったのはそれだけでも、ファリンはその意図をはっきりと理解したと言うようにお尻を突き出すような格好になる。
あとは肩越しに振り返りながら、俺の手でやって欲しいと言葉も無く訴えてくる。
その瞳には既に俺への非難の色はない。むしろ期待に揺れるようだった。
なら俺も応えないわけにもいかないだろうと、そのスカートに手を掛けるとめくり上げていく。
そして顕わになるのは、じっとりとなるまでに濡れた下着と、その奥で小さな駆動音を鳴らしながら震えるソレ。
「……やっぱり、恥ずかしいですぅ」
既にこんなになるまで濡らしてしまっている事を見られてか。
それともこんな物を入れたまま俺の部屋を掃除していた事を改めて自覚したのか。
どちらにしろ、ファリンは羞恥に身体を震わせるようにしながら俺から視線を逸らす。
だが、それはちょっと違うだろう?
確かに俺は色々とスイッチを弄っていたが、それは最初にファリンに渡された物。俺はファリンのここにこんな物を入れた事は無い。
ファリンは自分でこれを入れて、自分でその操作権を俺に渡していた。弄って欲しいと望んだのはお前の方だろう。
だというのに、視線を逸らすなんて酷いじゃないか。
そう言って、濡れた下着を膝程までに下げてその部分を完全に日の下に晒す。さらにそこに入っている物に手を掛けてゆっくりと出し入れさせる。
「あっ、んんっ……」
既に十分以上に濡れすぼっていたそこはちょっと動かすだけでもいやらしい水音を立てる。甘い喘ぎ声を上げて、その出し入れされている事を悦んでいる。
口では恥ずかしいなんて言っておいてから、身体は正直な反応をしてみせる。
本当に、エロいメイドさんだな、ファリン?
「あ、あの……」
俺がそんな事を言っていると、ファリンはそれまでとは少し違う、何処かおずおずとしたような声色で、
「こんなえっちなメイドは……、お嫌いですか……?」
そう尋ねてきた。
不安に揺れていて、でも肯定して欲しいという期待感が熱となって帯びているような瞳。
そんな風に真っ直ぐ見つめられて、俺に嫌いだなんて言えると思っているのか?
「あん……っ!?」
言葉で返すのももどかしい。ファリンの中にあった邪魔ものを抜き去って、手早くズボンを下ろしていきり立つモノを取り出す。
もうずっと前からファリンが欲しかったと自己主張するそれを瞳に映し、ファリンのその表情からは不安は消えて喜色が浮かび上がる。
そんなファリンを見て、もう我慢など出来ようはずもない。ファリンのそこに宛がうと、了承を尋ねる間も惜しんで一気に挿入する。
「んぁっ、入って、入ってきたぁ……っ!!」
先客によって広げられて濡れていたというのに、まるで初めてのように力強く締め付けてくる。
それが凄く気持ち良くて、理性をあっさり溶解する。もっとファリンを貪りたいという欲求を抑えられない。
ただひとりの女を蹂躙するように全力で幾度と腰を打ちつける。
「あぁ、あぁ……っ。いいっ、いいです~っ!!」
そしてそれがファリンにとっても悦びとなっているのか、抑える事も忘れてもっと責めて欲しいと声を荒げる。
ならもっとだ。もっと激しくヤッてやる。その想いが溢れだすと共に、それが俺の視界に入る。
それは俺より先にファリンの中をかき回していた、既に用済みとなっていた道具。
躊躇う事など無い。すぐさまそれを手に取ると、俺のモノが入っている場所では無い、ファリンのもうひとつの穴にあてがう。
「……え、そ、それは無理……っ」
俺がやろうとしている事にファリンもすぐに気付いたらしい、そっちは違うと狼狽してみせる。
だが、俺は止まらないし、そもそもこんな事をして誘ってきたそっちの方だ。こっちの穴をされる事も期待していたんじゃないのか?
「あ、ぅっ、ぐぅ……っ!?」
だから無理矢理に押し進める。既に濡れていて小さく震動を続けるそれではあるが、さすがに解していないそこには中々入らない。
太さもそれなりにあるのだから、当然だが、そんな事は構いはしないと耳に届く苦悶の声も無視して掘り進める。
そして先端が何とか入ったなら、そのまま一気に突き入れる。
「ああぁあああぁっ!?」
「ぐ、ぁ……!?」
とたん、ファリンの絶叫がこだますると共に、俺のモノを締め付けるファリンのそこがさらに強くきつくなる。
その刺激は俺の限界を完全に上回り、耐える事など出来ずに目の前が真っ白になる。それと共に、ファリンの中に出してしまう。
ファリンの膣内もまた、その俺の欲望の丈を一滴たりとも逃さないと言うように、尿道に残っている物も絞り出すべく蠢き、扱きあげる。
「はぁ、はぁ……」
ふたりで息も絶え絶えに余韻の中を漂うが、まだ終わっていない。
俺はリモコンを手に取る。
このスイッチをひねったなら、ファリンはどんな乱れた姿を俺に晒すのか?
そんな事を思いながら、二回戦目の幕を上げるのだった。
あとがき
うん、今回は「こんなメイドさんはお嫌い、ですか……?」と誰かに言わせてみたかった、ただそれだけなんだ。
そしてこんなメイドさんは大好きです(キリッ)