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No.19773の一覧
[0] 赤く白くゆらゆらと (ONE PIECE) (嘘企画移転しました)[うたかた](2017/04/18 22:39)
[1] 風の運ぶ導き[うたかた](2011/11/09 00:23)
[2] 赤より出づる[うたかた](2011/04/02 11:03)
[3] 幕の間[うたかた](2010/08/08 19:54)
[4] 憂い想い愁う[うたかた](2010/07/10 16:09)
[5] 失い得る[うたかた](2010/09/20 10:37)
[6] 火種は斯く広がる[うたかた](2010/07/26 17:14)
[7] 赤の手前[うたかた](2010/08/21 12:30)
[8] 幼き白夜[うたかた](2011/11/09 00:13)
[9] 怪奇な関係[うたかた](2011/05/27 12:53)
[10] 悩める夜[うたかた](2010/09/13 17:25)
[11] 間の幕[うたかた](2010/10/14 14:32)
[12] 距離が生むモノ[うたかた](2010/09/28 16:56)
[13] 鋼色の眼[うたかた](2010/10/15 12:02)
[14] 暮れゆく色は[うたかた](2010/11/15 12:10)
[15] 夜は静かに[うたかた](2010/12/31 14:52)
[16] 形ない贈り物[うたかた](2011/07/12 15:41)
[17] 鳥獣戦果[うたかた](2011/05/04 21:34)
[18] 《嘘企画》 ――喚ばれて (移転しました)[うたかた](2017/04/18 22:41)
[19] 名付け 【改訂版】[うたかた](2011/05/08 00:18)
[20] 想いは何処[うたかた](2011/10/22 22:09)
[21] 雨音の《静寂/しじま》[うたかた](2011/11/07 19:35)
[22] 恋愛戦線[うたかた](2011/10/05 14:47)
[23] 誘いの眠り[うたかた](2012/01/12 12:57)
[25] NG集[うたかた](2011/12/18 17:09)
[26] 追憶の翼[うたかた](2012/01/24 14:12)
[28] 二人目の夜[うたかた](2012/03/18 17:18)
[29] 風呂・気まぐれ・エマージェンシー[うたかた](2012/04/01 11:08)
[30] 紅散華[うたかた](2012/04/13 15:12)
[31] 緋漣絶氷[うたかた](2012/06/03 13:16)
[32] 敵は味方で味方は敵で  (改訂版――旧題・閑話)[うたかた](2014/10/24 18:08)
[33] 第一次接近遭遇[うたかた](2014/10/24 18:12)
[34] 後ろにいる君へ[うたかた](2015/10/29 14:59)
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[19773] 二人目の夜
Name: うたかた◆9efe3df0 ID:b14413d1 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/03/18 17:18
 最初の夜、初めて少女が現れた時には何とも思わなかった。
 二度目、昼の光に浮かび上がる少女の裸身に少しだけうろたえて、あっさり唇を奪われた。
 そして三度少女を目にした時、仕立てのよいドレス調の服に隠された少女の素肌が脳裏に蘇って、酷い渇きを得た。
 だから暗い部屋の中、赤い顔をした少女の衣服を手ずから脱がせ、ちょっと抵抗に遭いながらもするすると足元からショーツを抜き取り、自らも着衣を床に放り捨てて少女を組み敷いた瞬間、ようやく自分のものにできる悦びが幽かな笑みとなった。
 うぅ、とエルが両手を掴まれた姿勢で、恥ずかしげに身じろぎする。

 「こ、こんな風に、両手を押さえる意味があるのか? お、襲われてるみたいで、落ち着かない……」

 きっとエルが言っているのは肉食獣の前脚に捕らわれた草食動物の気持ちなのだろうが、意味合い的にそれほど的外れでもない。事実として、ファンはエルを襲っているのだから。

 「…………エルは今、僕の獲物」
 「え、獲物……?」
 「そう。獲物だから…………食べる」
 「食べる!?」
 「うん…………こうやって」

 食べるという一言に焦った様子で、え、え? と混乱を口にする鳶色の少女。まず間違いなく直接的な意味しか理解してないエルに、そうっと顔を近づけていく。信頼と猜疑の狭間に陥った少女は慌ててじたばたもがこうとするが、それより早くファンは健康的な首筋に顔を埋め、ちろりと舌を這わせた。

 「ひっ!? や、あっ?」

 組み敷いた身体がびくりと跳ねる。瞬間的に背筋を這い登って行った痺れが、暴れそうになっていた少女を大人しくさせる。
 ファンは舌先を小刻みに動かしながら緩やかなペースで首筋を刺激し、鎖骨の窪みも舌で味わう。女の子の肌は甘い。そんな気がする。

 「あ、ん、ぅ……っ、あ、あ……、なに、何で、舐めて……やぁ……っ」
 「…………愛撫の、一環。……知らない?」
 「あい、ぶ?」

 不思議そうにエルが繰り返し、ファンは内心首を傾げた。秘め事に関して何の知識もないという表情で。
 ちゅ、と耳たぶに口付けて繊細な穴へ舌を伸ばしながら、ファンは訊ねる。

 「…………エル。島に、流れ着いた時……何歳?」
 「島? え、っと……六歳、だったはず……あ、ゃ」

 微細な刺激が怖いのか、弱々しい動きで逃れようとする少女を押さえ込み、足に足を絡めた。ぴく、ぴくんと肩を跳ねさせる様子を眺めながら、胸の奥で納得する。
 …………六歳で知ってたら、むしろ怖い。
 幼い頃に人と接する機会を奪われたせいで、エルの知識は六歳の時分で止まっているのだ。キスぐらいは知っていても、それ以上が皆無。例え甕の水を移すが如く頭のよい人間でも、そもそもの水がなければ何にもならない。無知故にこうして肌を舐められて、声を上げてしまう自分に戸惑っている。皮膚の一枚下に溜まって行く痺れが快楽の飛沫とも知らず、小さく身をよじらせる。
 …………じゃあ、僕が、教える。
 細く引き締まり、それでいて陶磁器のように滑らかな肌。頭の上で押さえていた手首を離し、そこから肘の内側や二の腕の感触をたどって、黒髪の少女よりもやや骨ばった背中に手の平で触れる。背筋に沿ってなぞると、こらえきれない吐息が耳元にこぼれた。あ、あ、と頬を染めて少女が目を閉じる。
 ファンは快楽を教えて行く。背中も、腕も、指の間さえも感じることを。番うとは何か、男女の交わりとは何か、言葉にせず直接身体に教え込む。
 乳房に触れた。恋人よりも発育の良い果実がふるりと震え、手の中で指の形に歪む。愛らしく膨らんだ果実の頂点を指先で弄べば、少女の背筋が弓なりに反って高い悲鳴が零れた。
溺れるように。引きずり込むように。ファンは少女を甘やかす。

 「あっ、ぁ……ぅ……ん……っ」
 「ん…………エル」
 「や、ぁ、あ……っ……だめ……ぇ、っあ!」

 身体を転がし、うつ伏せに組み敷いた少女の肩甲骨から生える翼。その付け根に舌を這わせた。びくっと二枚の羽が恐れたように震え、小さく上下に動く。

 「…………ここ?」
 「やっ、だ、だめ! 羽、敏感……だから、触るな、ぁ、ぁん、やぁ……っ」
 「…………ん」

 やだ、やめろ、と悶える少女の訴えを無言で棄却し、重点的に責める。
 エルの翼はふかふかだ。暇さえあれば毛繕いしてるから、極上の羽毛布団にも勝る触り心地。ファンは柔らかい羽に隠れた地肌へ指先を潜らせ、神経の集中していそうな場所を探す。少女は翼の先端よりも付け根に近いほど、切なく身を仰け反らせ喘いだ。

 「…………もう、ほぐれた?」
 「んっ、ぁ、あ……なに……?」
 「準備…………できた?」
 「だか、ら……ぁ、う、なんの、話」
 「…………ここの、話」

 腰骨に指を滑らせた。波打つように震える肌を下り、やや体温の低いお尻を撫で回して恥ずかしがらせ、その谷間に指を下ろしていく。あ、と何かを予感した少女が怯えた声を漏らし、ぎゅっとシーツを握り締め、耐えるように額を枕に押し当てた。
 ファンは幽かな笑みを忍ばせつつ、少女の大切な部分に触れた。そこは熱い雫で満たされていた。とろりと零れる愛蜜が指に絡みつき、それだけでは飽き足らずに滴り落ちてシーツを汚す。

 「うん。…………ちゃんと、濡れてる」
 「濡れ、る?」
 「エルも…………確かめて」

 手を掴み、そっと少女自身の蜜壷へと導いた。指先が恐る恐るぬかるみに触れた瞬間、少女の身体がびくっと竦んだ。表情に不安がよぎる。

 「え、あ……なに、これ、なんで……」
 「気持ちよくなると…………女の子は、濡れる。大丈夫。濡れるのが……普通で、生理現象」
 「そう、なのか? ……お前が、そう言うなら、いいが」
 「安心、して。今のエルは…………とっても、可愛い」
 「き、綺麗と言え! 可愛いとか、柄じゃな……あ、こら、やぁ……っ」

 指先が妖しくエルの入り口を探った。トロトロの蜜をすくい取り、指にまぶして中への道を探し出す。
 そこは狭く、危険な隧道だ。男を誘う蠱惑的な香りで満たされ、蠕動する薄桃色の肉壁が淫らに侵入者を食む。
 …………挿れたい。
 くちゅ、と音を立てて肉の穴から指を引き抜く。少女の喉が、あ、と不服そうな声を形作り、それに気付いたエルは恥ずかしげに顔を伏せる。だが抱きしめる枕と腕の間から、蕩けたとしか表現しようのない瞳でファンを見ていた。恐らくは無意識に、内股を擦り合わせながら。
 ファンは汗に濡れた少女の身体を翻す。顔と、胸から上を隠すように少女が抱き締めていた白い枕を透過で奪い、後ろに捨てた。正面から向き合う最初の体勢に戻る。が、最初に戻っただけなのに、少女はバッと両手で顔を隠す。

 「み、見るなっ、馬鹿!」
 「…………何で?」
 「だ、だって今、ぜったい、変な顔してる、から……」
 「…………」

 やっぱり、可愛い。
 …………けど、微妙にずれてる。
 愛らしく膨らんだ乳房の先端も、立てられた膝の奥で濡れる割れ目も丸見えなのに、顔を気にしてる。
 ファンは膝に手をかけて、ゆっくりと左右に開いていった。そのまま身体を進めて、少女が足を閉じられないようにしてしまう。硬く反り返った竿で、隠されなかったワレメを上下に擦る。
 はっきりと少女の身体が緊張を帯びた。かつてない灼熱に秘所を擦られて、鋭く息を飲む。

 「…………顔」
 「あ、え……?」
 「顔、見せて…………隠さ、ないで」
 「……っや」
 「…………」

 首を振って拒絶され、ファンの無表情に別種の感情が混ざる。腕を伸ばし、両手首を掴んだ途端に少女の起こした抵抗も、くちゅ、くちゅと少女の入り口を擦って弱らせ、隙を突いて無理やり腕を左右に広げさせた。――そこで現れたものに、ファンの思考が止まる。
 エルは、泣いていた。
 頬に伝うほどの雫が、ポロポロと、落ちていく。

 「…………エル?」
 「だから、見るなって、言ったのに……」
 「…………何、で」

 エルが、望んだことなのに。番いになれと、初めに求愛したのはエルの方なのに。
 …………何で、今更になって……泣く?

 「……別に、お前が嫌だとか、怖いとか……そんなんじゃ、ない」
 「…………」
 「番いたい。私はファンと、そういう関係になりたい。……けどファンは、お前自身はどうなのかと思って」
 「…………?」
 「今夜の契りが、お前の気まぐれでないと……誰に分かるんだ」

 語尾を震わせて、少女が訴える。

 「人で嬉しいとは、言ってくれた。嬉しかった。……でもそれ以外は何も、私は、私……は、何も聞いてない。好きも、愛してるも……なくて。番いたいとさえ、お前は言ってくれなくて……きゅ、急に、不安になったんだっ。今夜だけで、お前が私を、捨ててしまうんじゃないか、って……は、はは。おかしいな、今更、本当に今更、こんなこと言って。き、気にするな。私は、平気だから――」
 「エル」

 遮るように言って、ファンはその翼ごと少女を掻き抱く。
 不安に揺れる気弱げな――強気さのまるで見えない瞳を間近で覗き込み、



 「僕の子供…………産んで?」



 鳶色の瞳が、大きく、揺れる。真珠に似た涙の粒が、つ、と頬を滑り落ちて。
 掛け替えのない宝物をもらったように、少女はその言葉を胸の奥で抱き締め、俯き。声を震わせて、小さく、けれど確かに、はい、と頷いた。



 ・
 ・
 ・



 終わってみればそう長い時間でなかったのだと思う。だがファンも、エルも、そうは感じなかった。五感の全てが一点に凝縮され、時計の針は濃密な意識の狭間で速度を落とす。
 くちゅ、と音を立てて灼熱の切っ先がエルの中に沈んだ。おずおずと秘肉がファンを出迎える。抵抗は呆気ないほど弱く、儚く、ぐっと腰を進めた瞬間、一気にファンは少女の中に入り込んだ。
 あ、とエルの身体が震えて、掻き抱く四肢の力が強くなる。上擦った吐息に切なく眉が寄って、初めてを喪った衝撃に喉を反らす。

 「あ……ぁ、ファン、ファン……っ!」

 自分を求める声にファンは優しく口付け、唇を味わいながらゆっくりと腰を動かした。絡みつく襞を引き剥がし、深く擦り上げる。

 「やっ……あぁ……ぁんっ……だ…め、あっ、だめ――っ」

 や、やっ、と少女が喘ぎ啼く。ナカを何度も擦られ、初めて知った快楽が瞼の裏で火花となって弾ける。ファンの先端に奥まった部分を突かれた瞬間、背筋を這い登った信じられない電流にエルは悲鳴し、耐え切れず猛然と広がった背中の翼がベッドを叩いた。

 「っ…………!?」

 勢い、反動で組み敷いていたファンの身体が跳ね上がり、危うく後ろ頭をベッドの端でぶつける寸前角を透過する。当然少女の中からも抜け出てしまって、一旦床に降り立ったファンは少女にもの言いたげな視線を送った。我に返ったエルがベッドに座った姿勢で、自らの犯した過ちに顔を青ざめさせた。

 「あ……ご、ごめ……わた、し、そんなつもりじゃ……!」
 「…………暴れ鳥」

 冷たい言い様にひくっ、とエルが喉を鳴らし、震えながら俯いた。翼と一緒に縮こまってしまった少女に憤然と近付き、ファンは下を向く少女の顎に手を当て無理やり自分の方を向かせる。失敗に涙の浮いた瞳を無表情に睨みつけ。

 「…………バカ」
 「ひ、ぅ……っ」
 「羽、動かしたいなら…………ちゃんと、言う」
 「………………え……?」

 呆然と、鳶色の瞳が見上げた。そこに浮かぶ雫を、やや乱暴に拭ってやりながら、

 「…………エルが、楽な姿勢で……もう一回」

 常と変らぬ、眠たげな無表情でそう告げた。
 少女はしばらく自失した様子で言葉を失い、やがて日を浴びて花開く朝顔のようにぱぁっと満面に大輪を咲かせる。

 「うん……もう、一回……うん! ――なぁ、ファン!」
 「?」
 「やっぱり私、ファンが大好きだ!!」

 数秒前が嘘のような笑顔を浮かべ、全身で腕の中に飛び込んでくる少女を、わ、と少しよろめきながら抱き止めた。身体中で喜びを表現する少女を眠たげながら困った風に見下ろし、その背中を叩いて落ち着かせる。

 「エル。…………後ろ、向いて」
 「後ろ? ……こう、か? っあ、ん……っ」

 仕切り直すように、背後から抱き締めるように回した両手で柔らかい少女の乳房を掴んだ。ふにふにと揉みほぐし、うなじへ熱い息を吹きかける。乳頭をあやして快感を思い出させ、そっと片手を下に滑らせる。や、とエルは身をよじった。ファンは構わず、破瓜を終えたばかりの秘所に指を挿し入れる。ねっとりと絡む愛蜜に交じり、微量の赤色が指に纏わりつく。ラナの時より、出血が少ない。そう思いながら少女の感じるだろう場所を探り当て、指の腹で撫でた。

 「ひぁっ! ……ぁ、あ、あっ、そこ、や……っあ」

 びくびくと姿態が痙攣し、羽もまた刺激に耐えかねてその身を伸ばす。
 翼は少女の一部。快楽を得て身体が反り返るように、あ、あ、と喘ぐ少女に呼応して天井へと伸び上がる。
 手足と一緒で、時折反射的に跳ね除けようと動く翼をすり抜けつつ、ファンはゆっくりと少女の身体を前に倒す。優しくうつ伏せにベッドへ横たえ、腰に回した両手でお尻を高く上げさせる。少女の秘すべき部分が、前も後ろも全て見えた。
 どこに視線が注がれているか悟り、やぁ、とエルが腰を揺らす。しわのような窄まりをなぞりファンが軽く意地悪してやれば、姿態を震わせてぎゅっとシーツを掴み、だがラナと違って抵抗しなかった。ファンは仄かな愉悦を口の端に乗せ、少女の背中へ覆いかぶさるようにして角度を合わせる。
 背に乗った重みと秘所へ宛がわれた灼熱――喜びの予感に、ん、とエルが呻く。
 ファンは腰を進めて、再び少女の中に入り込んだ。

 「ふぁっ……ぁ、あ……ん……っ」

 二度目の挿入に蕩けそうな声でエルが啼いた。悦楽の痺れが肌を重ねたファンにも伝わる。
 初めてを終えたばかりだと言うのに、少女のナカは何枚もの襞を複雑にうねらせてファンの雄に絡みつき、奥へ奥へと手繰り寄せ誘う。は、とファンは荒い息をつく。顎から滴った汗が少女のうなじに落ちた。自分が食べているのか、少女が食んでいるのか分からなくなりながら、込み上げる衝動を押し殺し力強く抽送を開始する。

 「ひっ、あ、あ、ん……んっ……う……!」

 濡れそぼった姫割れに湿った音が連続し、後ろから腰を打ち付ける都度部屋に響いた。は、は、と二人分の荒い息がただ一瞬に無かって昂ぶり疾走する。
 ファンはまるで初めてのような荒々しさで少女を犯した。ただ自らを包み込む温もりに集中し、少女との交わりに全てを傾けた。あん、あん、と擦るたびに上がる声。腕の中で、身体の下で、失っていた時を取り戻すよう急速に“女”へ目覚めていく異性。
 ――――この少女はもう、僕のもの。

 「……っ…………!」

 暗い情動に身を染めつつファンは呻く。本能的に締め付けてくる少女の奥を最後の一突きで穿ち、止まる。刹那の予兆を感じ取った聖なる器官が、波打った。
 直後、魂が抜けるほどの至悦を伴い吐き出された白濁が最奥を埋め尽くす。

 「ふわっ、あ、ぁ、ぁぁあああ………っっっ」

 注がれ、白く炙られ、ぴんと張りつめた姿態がわななき震え、少女はあ、ぁ、と声を遠のかせてファンの欲望を受け止めた。尿道を這い上がった白濁液に膣奥を嬲られ、焼けるような熱さに弛緩した身体がくずおれる。

 「……は…………ふ……」

 渾身の息を吐いて、ファンは心地よい少女の中から己を引き抜いた。鳶色の翼がぴくんと揺れ、悦楽に惑う少女の喘ぎが、ぁ、と仄かな寂しさを滲ませる。そんな少女の隣に脱力した身体を沈ませたファンは、数秒、少女を見つめ、それからおもむろに腕を伸ばし、ぐったりした身体を抱き寄せた。少女の両手が半ば以上無意識に縋りついてきて、互いを慰め合うように、そっと無衣の身体を重ね合った。

 「…………エル」

 舌の上で、自分のものになった名前を転がす。
 ファンは最前まで、胸に抱く少女の中にいた。呼吸も、鼓動も、快楽も、全てが一体化したかのような共感の狭間で繋がっていた。なのに今や解け、肌を合わせていても離れ離れになった寂しさが拭えない。ずっと繋がっていられたら、どんなに素敵だろう。
 少しずつ、少女の意識が復帰する。初めての悦びに果てた瞳が忘我の淵からゆっくりと浮き上がり、光を得た。

 「……あ……ファン」
 「ん…………どう、だった?」

 静かに問いかけると、鳶色の少女は瞬きして、かぁっと頬を染めてお腹を押さえた。

 「その……まだ、中が……熱い」
 「…………」
 「すご、かった。……まだちょっと、ふわふわする」
 「…………もっと、したい?」

 背骨に沿って指を這わせると、びくんっ、と信じられないぐらい感度の良い反応が返り、エルの身体が大きく竦んだ。

 「はっ、ぁ、や……ぁ、今、や……。また……また、今度」

 恥ずかしげに俯き、“次”のお願いをする少女に、ファンは少しだけ残念な気持ちで頷いた。
 心地よい疲労感が二人を包み、瞼を重くしていく。エルの瞳が、睡魔に連れ去られながらファンを見上げた。

 「私は……ファンを満足させられたか……?」
 「…………うん」
 「ラナ、よりも?」
 「…………」

 答えに窮して、沈黙してしまったファンにエルはそっと微笑む。

 「いい。後れを取ってるのは……分かってるから」
 「…………エル」
 「でも、すぐ……追い付く。……がんばる。私、だって……ファンに、相応しい……女に………」

 瞼が落ち、すう、と穏やかな寝息が零れる。ファンは眠りについた少女を見つめながら、腕を透かして掛け布団を手繰り寄せて自分達の上に掛けた。
 エルは安堵しきった表情で、ファンの腕に抱かれて眠る。普段の勝気さは薄れ、絶対の安心をもたらしてくれる父母に抱かれているような、幼い子供の顔。
 何となく、ファンは理解した。エルが本当に欲しかったのは、父か母なのだ。無条件に自分を守り愛し甘えさせてくれる存在として、両親や家族以上のものはない。けれど年下のファンを父や兄のように慕うことなどできなかったから、一生を寄り添い支え合う比翼連理の番いとして、自分を求めたのだ。
 でも、とファンは心の中で囁く。
 父にも兄にもなれない。羽を持たず、寿命だってどうなるか分からない。そんな自分はきっと、番いと言うにはちぐはぐで、不適。
 …………でも、エルは僕のもの。
 少女の裸身を抱き締める。この身体は僕のもの。唇も、瞳も、涙も、胸も、秘所も、膣も、子宮も、蜜も、心の中も、全部僕のもの。愛おしく見つめ、誰にも渡さないと心に決める。処女はもらって、唇もくれて、想いもまた自分に向けられて。孕んだ時を思い浮かべ、暗く不吉に、ファンは哂う。





 エルが願う通り、ずっと守って、愛して、甘えさせてあげる。子供を作って、家族となって、ラナと一緒にいつの日か分からない未来まで、幸せいっぱいにしてあげるから。





 …………だからいつか、命も頂戴?




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