「ちょっと!!チェンジってどういうことよ!」
現在目の前でわめいているのは、呉の使者として来たちびっこだ。
どうにも、俺様の判断が気に入らないらしい。
しかしだ、むしろ文句を言いたいのは俺様なのだ。
今日の会見は、呉の使者との正式なものだという話だった。
そして俺様が知っている呉の人間といえば、孫策と周瑜だ(名前はこの前聞いた)
つまるところ、どっちもむちむちでおっぱいがバインバインなのだっ!
だから、呉の使者と聞いてワクワクして来て見ればこんなちびっ子……。
俺様がどれほど落胆したことか……。
「そ、そうは言うがな、ランス。そんなけんもほろろに送り返す訳には……」
「それこそ何を言う、白蓮ちゃん。俺様がこんながきんちょに欲情するとでも思うのか?」
「い、いや……。確かにランスは小さい子には手を出さないから孫尚香には欲情しないとは思うが、そういう話ではなく……」
「何だ、ちゃんと分かっているじゃないか白蓮ちゃん。俺様が手を出すのは、バインバインな大人の女性だけなのだ。
まあ、たまにバインバインでなくても手は出すが、少なくともお子様には手をださんのだ。
つまり、こんながきんちょを結婚する理由なんぞまったくないのだ。
というかそもそも、俺様は結婚などせん。
英雄で超絶格好いい俺様が結婚なんてしてしまえば、何人もの俺様を愛してる女を泣かせることになるからな。がはははは!」
そもそもの前提として、俺様が結婚する気が無いということを無視しているこいつらが悪いのだ、俺様は何にも悪くない。
……まあ、来たのがバインバインのねーちゃんだったら、口約束ぐらいはしておいて、おいしくいただいていたかもしれんがな。がはははは!
む、白蓮ちゃんやらウルザちゃんやらみんなして俺様を見ているな。
俺様の言葉に感動してしまったか。照れるではないか。
「ま、まぁそういうわけだから、婚姻の話は置いておくとして……だ。
公としては、同盟の話は大いに賛成なんだ。むしろ、こっちからお願いに行こうと思ってたくらいにな。
だから、政略結婚とか人質とか無しに、普通に同盟してくれればいいかなぁ……なんて……」
なんというか、恐る恐る声をかける白蓮ちゃん。
向こうにとって悪いことなんか何一つ無いんだ、俺様みたいにバシっと言ってやればいいのに。
がきんちょは、なんか知らんが俯いてプルプルしてるし。
「わかったわ……」
「おっ、そ、そうか、わかってくれたか!それじゃあ早速、同盟の調印を……」
「貴方の考えはよーーーーーっくわかったわ、ランス」
ん、ここでなんで俺様なんだ?
「確かに貴方の言うとおり、シャオの体はちょーっとばかり貧相かもしれないわ。
でも、それは成長途中なだけで、直ぐにお姉ちゃん達みたいにばいんばいんのぼいんぼいんになるもんっ!
それに、体型以外の女性としての魅力なら、シャオは誰にも負けないわ!
そこの貴女達にも、お姉ちゃん達にもね!
見てなさい……、直ぐにそれをわからせてあげるわ……。
そこのあなたっ!そう、私と一緒に呉から来たあなたよっ!」
「はっ、はいぃっ!」
「帰ってお姉ちゃんに伝えなさいっ!結婚式の準備をしておくようにって!」
「え……あの……正しく伝えた方が……」
「直ぐに本当になるんだから、この程度誤差よ誤差っ!
つべこべ言わずに、さっさと行きなさいっ!」
「はいぃぃぃ!」
慌てて駆け出す男。
残されたのは、ぷんすかしてるがきんちょと、ぽかーんとする俺様達。
で、結局どうなったんだ?
「というわけだから、しばらくお世話になるわっ!いいわねっ!?」
「いや、だから婚姻とか無くても同盟は結ぶと……」
「ということで、ランス!行くわよ、案内してっ!」
「いや、ちょっと待て、何で俺様が……」
「いいから行くのっ!」
「いやっ、だから、どわっ、引っ張るなぁあああああ!」
こうして、がきんちょは居座ることになった。
俺様のような英雄がもててしまうのはしょうがないことではあるが、さすがにがきんちょはないな、うん。
ちなみに
「そういえばランス」
「ん?」
「チェンジって何?」
がきんちょはチェンジの意味を知ら無かったにもかかわらず、雰囲気で内容を察していたらしかった……。
「……という訳でして、はい」
「なるほど、分かった。下がっていいぞ」
シャオについて同盟の締結に向かい、なのに一人帰ってきたやつの報告を聞くと、冥琳はそいつを下がらせた。
眉間の辺りを押さえて、何か難しそうな顔をしている。
「そんなに難しく考えなくてもいいんじゃないの?一応同盟は締結できてるっぽいし」
「はぁ……。まあそのとおりなんだが、天の御使いには我々の常識が通用しないということを身をもって知らされたよ」
「そうよねー。まさか理由が、ちびっ子過ぎて欲情しないからいらないなんて。普通に戦争の口実になるわよねー」
私としては、理由がすっきりしてる分好感が持てるんだけど……ね。
「それに……だ。小蓮様も何をやっているやら。帰っていいと言われたんだから、帰ってくればいいものを……」
「あら?私としてはそっちの方は理解出きるわよ。いい女じゃないからいらないって言われたのよ、見返してやりたくならない?」
「生憎と私は軍師でね。そんなことには拘らないさ」
そう言って自嘲気味に笑う冥琳。
まったく、まだまだ女を捨てるには早いでしょうに……。
「で……だ。今後のことなんだが」
「そうねぇ、魏との国境付近に兵力を集結させつつ、公と連絡を密に取るくらい?」
「そうだな。下手に我々が打って出る、ということで公に打診する訳にはいかないな。
もしそんなことをして、作戦の主体がこちらにあるのだから魏の本隊はこちらで相手にしろとか言われたらたまったものではないしな」
「んーそうなんだけど……、でもランスはそんなつまらないことするような人には見えなかったけどなぁ……」
「それは私も同じ考えだよ、雪蓮。しかし、ランスに関してはそうかもしれないが、周りはそうとは限らないということさ」
「ようするに、待つしか出来ないってこと?」
「そういうことさ。何か大きいことが起きるなら、小蓮様が伝えてきてくれるだろう」
「ちぇー、つまんないのー」
そう言う私を見て、冥琳は笑う。
それはとても柔らかい笑み。
それを見て、私も何故か笑い出す。
私は、呉の国の持つ、こういう雰囲気が大好きだ。
だからこそ呉を守りたいとも思うし、笑顔を持つ人が増えるようにと、発展させたいとも願うのだろう。
「ねえ冥琳」
「ん、なんだ、雪蓮?」
「頑張ろうね♪」
「……ああ、そうだな」
そうして、私と冥琳はまた笑いあうのだった。
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終わらせるまでが作者の仕事。
ちょっとgdgdしてるなーとか思っても負けない。がんばる