洛陽の現状は、『悲惨』の一言が似合うんじゃないかと思う。
暴君董卓の名の下に、人々は餓え、苦しんでいたんだろう。
この街には活気が感じられない。
屋台で客引きをするおじさんの声や、井戸端で会議するおばさんの声、そして何より子供の遊び声が感じられない。
いや、正確には、その痕跡すら感じられないと言うべきか。
長いこと使われずにいたのか、風化した屋台。
壁ははがれ、扉は壊され、看板が道端に落ちているお店。
草や苔が生い茂り、使うことの出来ない井戸。
そして、道端に座り込み、ただ生きているだけの人々。
これが、これが都と言われた洛陽の姿なのだろうか。
私は、地獄にでも迷い込んだのではないか。
そんなことを考えてしまう。
「桃香様……」
そんな私を心配したのか、愛紗ちゃんが声を掛けてくれる。
ありがとう、愛紗ちゃん。
でも、お願いだから、本当にお願いだから
「もう少しだけ、待ってもらっていいかな……」
目に焼き付けよう。
ともすれば忘れがちになってしまう。
白蓮ちゃんの所で楽しく過ごしていると忘れてしまうけれど。
これが、この悲惨な状態がこの大陸の現状なのだ。
この地獄のような光景が、この大陸の現状なのだ。
この光景を無くすことが、私達の願いなのだ。
この光景を笑顔に変えることが、私達の願いなのだ。
今までのような、漠然とした思いではなく、確かな現実として私の夢を叶えよう。
私は一度まぶたを閉じて、この光景を記憶する。
ゆっくりと、絶対に忘れてしまわないように。
「桃香様……」
「んっ、もう大丈夫」
時間にして一分に満たないくらいだろう。
愛紗ちゃんの声に、目を開ける。
もう、大丈夫。
私の覚悟は固まった。
右を見る。
そこには、私の夢を叶えようと言ってくれた、愛紗ちゃんと鈴々がいる。
左を見る。
そこには、私達を引っ張っていってくれる、ランスさん達がいる。
後ろを見る。
そこには、私の夢に力を貸してくれる、沢山の仲間達がいる。
大丈夫、これなら私は戦える。
この人達と一緒なら、私の夢を叶えられる。
さあ、前を向こう。
私達の力で、この光景を笑顔に変えよう。
今はまだ大陸すべてを変える力は無いけれど、それでも出来ることはあるのだから。
「さっ、それじゃあ炊き出ししよっか♪」
『はいっ!』
元気のいい返事と共に、私達は洛陽での行動を開始した。
「ランスさんは、見回りをお願いできますか?」
炊き出しを始めた劉備ちゃん達をぼーっと見ていたら、そんなことを言われてしまい、今オレ様は見回りの真っ最中だ。
見回りの主な目的は、市民を見つけて、炊き出しの存在を教えること。
出来るだけ多くの人を救いたいという、劉備ちゃんの願いの表れだろう。
正直面倒だったので断りたかったんだが、劉備ちゃんの何かを期待するような瞳と、ウルザちゃんの睨むような視線が怖くて頷いてしまった。
しかたない、かわいこちゃんを探すついでに言われたとおりにしてやるか。
ということで、オレ様は街をあるいているのだが、その現状はなかなかひどい。
表通りもだいぶひどかったが、裏通りは更にひどい。
ゼスの2級市民が住んでた町とかと変わらない感じだ。
こんなところじゃ、かわいこちゃんはいないだろう。
そう思うと、急に面倒になってきた。
「あら、ランスじゃない」
「むっ、その金髪縦ロールは華琳ではないか」
そんなことを考えながら歩いていると、赤い方を従えた華琳に出会った。
「金髪縦ロールって……、あなたねぇ……」
「がはははは。ところで、こんなところでなにをしているんだ?」
「洛陽の視察よ。色々報告は聞いたけど、やっぱり自分の目で見ておきたかったからね。
あなた達は炊き出しをしていたんじゃないのかしら?」
「オレ様は別行動で見回りだ」
「そう」
「あら、楽しそうね。私も混ぜてくれないかしら?」
「む?」
声のした方を向いてみると、おっぱいが4つあった。
4つのおっぱいが、今にも溢れんばかりに服にしまわれていた。
うーむでかい。とても揉みがいがありそうだ。
「貴様は孫策!何しに来たっ!?」
そう叫んで剣を抜き、華琳を守るように立つ赤いの。
どうも、4つのおっぱいのうち2つの持ち主は孫策と言うらしい。
「あらっ?なんか警戒されてるわよ?」
「雪蓮、だから言ったじゃない。普通は警戒するぞ」
「貴様らごちゃごちゃと!何をしにきたのかと聞いている!」
「うーん、面白そうなことしてたから、ただ混ざりに来ただけなんだけど……。信じてもらえないかしらね?」
改めておっぱいの持ち主を観察してみる。
ピンク色の髪の持ち主、シェレンと呼ばれた方は、エロイ服装に素晴らしいおっぱいが特徴だ。
オレ様的には今すぐにでもお相手してもらいたい位いい女だ。
黒髪の持ち主も、エロイ服装に素晴らしいおっぱいが特徴だ。
こっちの方が若干おっぱいが大きい気がする。
眼鏡を掛けてるんで、その大きすぎるおっぱいでパイずりさせた後、あの眼鏡にかけるのが面白そうだ。
「下がりなさい、春蘭」
「し、しかし華琳様……」
「大丈夫よ。下がりなさい、春蘭」
「はい……」
うーむ、なんか前にも同じような場面を見た気がする。
「さっすが、曹操。器が大きいわねー」
「ふふふ、ありがとう」
「君達、名前は?」
「あらごめんなさい、名乗ってなかったわね。私は孫策よ」
「周瑜だ」
ピンク色の髪の毛をした方が孫策。眼鏡を掛けている方が周瑜らしい。
「それにしても面白そう……か。確かにそうね。この場所に、洛陽とはいえ廃れた街の一角に、
この大陸を納められる器を持つ人間が勢ぞろいしてしまっているんだから」
「あら?袁紹とか袁術とか、勢力だけなら大きいところはまだあるわよ?」
「ふぅ、本気で言ってるのかしら?なら私も、貴女の認識を改めなければならないのだけれど」
「じょーだんよ。あんな奴ら、今はいいけど直ぐにいなくなるわ」
「雪蓮!」
「安心しなさい、周瑜。別に袁術に話したりはしないわ」
さっきから、何話してるのかさっぱりわからん。
難しい話ならよそでしてほしいもんだが……まあいいか。とりあえず、おっぱいを眺めてよう。
「さて、私はそろそろ戻るわ。
江東の虎が娘、孫策。
異国から来た英雄、ランス。
この私、覇道を往く者曹操は、あなた達と相見える時を楽しみにしてるわ」
オレ様がおっぱいに見とれている間に、華琳は言ってしまった。
慌しい奴だ。結局何がしたかったんだ?
「それじゃあ私も行くわ。ランス、まったねー」
「む、行く前にどうだ、オレ様と一発」
「さっきから私達の胸ばっかり見てたもんねー。でもだーめ」
「ほら行くぞ、雪蓮」
「あーん、待ってよ冥琳」
「オレ様も戻るか……」
こうして、それなりにいい時間を過ごしたオレ様は、見回りをやめて帰っていくのであった。
――次回予告!――
ついに相対した三英雄
これからは、彼らが時代を動かすことになる!
そしてキングクリムゾン!
時は流れ、大陸は三分された。
袁紹を倒し、河北四洲を制覇した ランス
袁術から独立し、江東一帯を治めた 孫策
破竹の勢いで周辺を平定していった 曹操
そして今、最大の戦いが始まる
次回、混ぜるな†危険 ~鬼畜戦士と三国志演義~
「こうして、北郷一刀は○○を手に入れた」
の一本です
お楽しみに!