<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.36852の一覧
[0] 【チラシの裏から】リリカルなのは 管理局員奮闘記[お月見](2013/03/21 03:14)
[1] プロローグ[お月見](2013/03/07 08:27)
[2] 《第一部》 第一話[お月見](2013/03/19 11:31)
[3] 第二話[お月見](2013/03/19 11:32)
[4] 第三話[お月見](2013/03/19 11:23)
[5] 第四話[お月見](2013/03/09 20:02)
[6] 第五話[お月見](2013/03/09 19:42)
[7] 第六話[お月見](2013/03/07 08:12)
[8] 第七話[お月見](2013/03/07 01:33)
[9] 第八話[お月見](2013/03/05 19:01)
[10] 第九話[お月見](2013/03/07 01:03)
[11] 第十話[お月見](2013/03/09 20:01)
[12] 第十一話[お月見](2013/03/07 23:37)
[13] 第十二話[お月見](2013/03/10 07:20)
[14] 第十三話[お月見](2013/03/08 23:46)
[15] 第十四話[お月見](2013/03/10 13:10)
[16] 《第二部》第十五話[お月見](2013/03/10 13:38)
[17] 第十六話[お月見](2013/03/12 11:05)
[18] 第十七話[お月見](2013/03/12 11:05)
[19] 第十八話[お月見](2013/03/14 05:11)
[20] 第十九話[お月見](2013/03/19 11:30)
[21] 第二十話[お月見](2013/03/15 15:48)
[22] 第二十一話[お月見](2013/03/16 19:13)
[23] 第二十二話[お月見](2013/03/16 19:13)
[24] 第二十三話[お月見](2013/03/17 20:23)
[26] 第二十四話[お月見](2013/03/19 11:25)
[27] 第二十五話[お月見](2013/03/20 08:49)
[28] 第二十六話[お月見](2013/03/20 21:05)
[29] 第二十七話[お月見](2013/03/21 03:11)
[30] 第二十八話[お月見](2013/03/21 21:34)
[31] 第二十九話[お月見](2013/03/22 16:36)
[32] ≪第三部≫ 第三十話[お月見](2013/03/23 22:34)
[33] 第三十一話[お月見](2013/03/24 23:26)
[34] 第三十ニ話[お月見](2013/03/27 19:48)
[35] 第三十三話[お月見](2013/03/30 13:49)
[36] 第三十四話[お月見](2013/04/01 02:29)
[37] 第三十五話[お月見](2013/04/03 14:52)
[38] 第三十六話[お月見](2013/04/04 01:47)
[39] 第三十七話[お月見](2013/04/05 05:22)
[40] 第三十八話[お月見](2013/04/05 18:57)
[41] 第三十九話[お月見](2013/04/07 06:21)
[42] 第四十話[お月見](2013/04/09 18:20)
[43] 第四十一話[お月見](2013/04/10 04:00)
[44] 第四十二話[お月見](2013/04/13 05:57)
[45] 第四十三話[お月見](2013/04/14 05:29)
[46] 第四十四話[お月見](2013/04/14 19:10)
[47] 第四十五話[お月見](2013/04/15 05:21)
[48] 《第四部》 第四十六話[お月見](2013/04/16 01:49)
[49] 第四十七話[お月見](2013/04/16 19:03)
[50] 第四十八話[お月見](2013/04/16 18:55)
[51] 第四十九話[お月見](2013/04/17 06:37)
[52] 第五十話[お月見](2013/04/20 18:56)
[53] 第五十一話[お月見](2013/04/20 18:57)
[54] 第五十二話[お月見](2013/07/21 11:10)
[55] 第五十三話[お月見](2013/04/22 05:19)
[56] 第五十四話[お月見](2013/04/23 06:50)
[57] 第五十五話[お月見](2013/04/27 02:11)
[58] 第五十六話[お月見](2013/04/29 11:25)
[59] 第五十七話[お月見](2013/05/01 12:10)
[60] 第五十八話[お月見](2013/05/07 17:51)
[61] 第五十九話[お月見](2013/06/24 05:12)
[62] 第六十話[お月見](2013/06/24 05:11)
[63] 第六十一話[お月見](2013/07/01 01:22)
[64] 第六十二話[お月見](2013/07/07 04:12)
[65] 第六十三話[お月見](2013/07/18 03:57)
[66] 《第五部》 第六十四話[お月見](2013/07/21 11:08)
[67] 第六十五話[お月見](2013/07/27 04:18)
[68] 第六十六話[お月見](2013/08/05 14:38)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[36852] 第二十話
Name: お月見◆31209bc4 ID:2a54bc87 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/03/15 15:48
 新暦71年9月3日。
 午後21時37分。
 陸士110部隊隊舎・カフェテリア



 オレは目の前のテーブルに広げられたお弁当に開いた口を閉じる事が出来なかった。
 お弁当だ。お弁当の筈なのに、普段、オレが食べる料理より美味そうだ。見た目的にも匂い的にも。
 はやては二種類のポットを持ってきていて、一つはお茶。もう一つはスープで、熱いのか、湯気が器から出ている。
 お弁当は二段。一つは御菜でもう一つはサンドイッチ。

「忙しくてゆっくり出来んかったらあかん思うて、サンドイッチにしたんやけど。これならもうちょっと手間掛けたもんも用意できたんやけど」
「いや、十分すぎる。これ以上すごいのなんて想像できない」
「家族で出かける時はもうちょっと頑張るんやで? でもおおきに。さぁ食べてや」

 料理が得意とは聞いていたが、これほどとは思わなかった。
 料理好きらしく、食べる姿も好きなのだろう。はやてはオレが食べるのを笑顔で待っている。
 ちょっと恥ずかしいが、まぁいいだろう。
 オレはサンドイッチに手を伸ばそうとして、止める。
 はやてが不思議そうに首を傾げる。

「どないしたん? 何か嫌いなもんでも入ってたん?」
「い、いや、そうじゃない。ちょっと、食べるの勿体無いなぁって……」

 オレの言葉にはやては呆れたように笑う。オレもそれに合わせて笑うが、実際はそれどころじゃない。
 視線が痛いのだ。はやてのではない。
 はやての背中側からこっそりこちらを伺っている三人の先輩の視線が、だ。
 特にマッシュ先輩はデバイスを展開している。このまま食べたら、目にも止まらぬ速さの射撃魔法が飛んでくるだろう。あの目は本気でやりかねない。

「勿体無いって、お弁当は食べる為のものやで? お弁当でええなら、また今度会う時も作ったるよ」

 ヤバイ。視線が強くなった。思わず嫌な汗が背中に流れるくらいだ。特にマッシュ先輩のデバイスがこっちに向いているのがヤバイ。いつでも撃てる体勢だ。
 笑顔のはやてには申し訳ないが、このまま食べる訳にはいかない。どうすればいいんだ。

『あそこの三バカも呼べばいいだろうよ。八神一尉の前じゃ下手の事はしないだろうさ』
『流石だ! ヴァリアント!』
『早く相棒がそのお弁当食わねぇと、八神一尉が話を聞いてくれねぇからな』

 念話で助言してきたヴァリアントに感謝しつつ、オレは自然を装う為、まず、サンドイッチに手を伸ばし、何かに気づいたかのように視線をサンドイッチからはやての後ろ、つまり先輩たちの方へへ向ける。

「あっ! 先輩」

 オレの声と視線に釣られてはやてが後ろを振り向く。
 はやてには、はやてとオレをデバイスを展開させながら覗き見てた変人と言う印象を抱かれるだろう。ちょっといい気味だ。
 しかし、オレの思惑は外れる。

「ああ。カイトか。休憩中か?」

 分隊長がいきなり前に出てきてはやての視線を遮ったのだ。
 その間にデバイスを待機状態に戻したマッシュ先輩と、表情を戻したアウル先輩が続いて出てくる。
 三人はオレに声を掛けた後、はやてを見て、さも今気づきましたとばかりに敬礼する。

「これは八神一尉。お久しぶりです」

 分隊長がそう言いながら敬礼する。
 はやては立ち上がり敬礼すると、すぐに右手を下ろして、分隊長に話しかける。

「お久しぶりです。クライアンツ三尉。この前は助けて頂きありがとうございます。お二人は確か」

 はやてが分隊長にお礼を言った後、一歩下がっているアウル先輩とマッシュ先輩に視線を向ける。
 アウル先輩が前に出て敬礼する。

「アウル・ベルファスト陸曹長であります」
「ベルファスト曹長も助けてくれて、ありがとうございます」

 はやてがそう言うと、アウル先輩は柔らかな笑みを浮かべて答える。

「いえ。お礼を言うのはこちらです。あの場に八神一尉が居たからこそ、市民の避難も間に合いました。後、ウチの手の掛かる後輩の面倒を見ていただき、ありがとうございます」

 誰だ。この人は。その柔らかい笑みはどこからだした。
 口調といい、表情といい、いつもとはまるっきり違う。こっちに向けてくる手の掛かると言う気持ちに満ちた笑みが非常に気持ち悪い。あんたの手を煩わせた事は殆どない。
 それを分隊長が笑いを噛み殺しながら見ている。やっぱりこの人の目当てははやてじゃない。はやての前で面白い反応をするだろうアウル先輩とマッシュ先輩を楽しむ為に来たんだ。
 アウル先輩と一通り会話した後、はやてはマッシュ先輩の方へ視線を移す。
 マッシュ先輩はその場で敬礼する。

「マッシュ・フェルニア陸曹長であります」

 めちゃくちゃハキハキしている。その爽やかな笑顔は誰のモノなのだろうか。とりあえず、オレが知ってるマッシュ・フェルニア陸曹長は、軽い口調にヘラヘラとした笑顔が特徴なのだけど。

「フェルニア曹長は病院で何度かすれ違ってますね。あの時は声を掛けずにごめんなさい」
「お気になさらず。あの時は自分もカイトの事で頭が一杯だったので」
「ふふ。皆さん後輩思いなんですね。覚えとります。あの時、何も出来んかった私の代わりにランディ部隊長が指示を出して、皆さんが一生懸命動いてはったのを。ホンマにありがとうございます」

 はやての言葉や本人達の言葉を聞けば、三人がとても良い人に聞こえるが、オレからすればかなり違う。
 まず、アウル先輩はオレがある程度動けるようになるまで見舞いに来なかった。面倒だったのだろう。
 そして動けるようになったら、リハビリを手伝うと言って勤務中に来ておきながら、病院の中を散策していた。勿論、病院のスタッフに可愛い子が居ないかチェックする為だ。
 マッシュ先輩はもっと最低だ。オレの事で頭が一杯だったと言うが、オレの病室に居た時間なんて僅かで、その殆どを病院のスタッフ、患者の中で綺麗、可愛い女性を探す事に当てていた。更に綺麗な病院スタッフが居れば、オレをダシにして病室に呼んだりしていた。極めて最低だ。
 分隊長に至っては、オレの看病と言いながら、病院内で彼女と会っていた。元彼女が病院のスタッフで、修羅場になったが。
 とりあえず、三人とも後輩思いでは無いし、なにより、現場で動いていたのも、はやての目に入る所だけ頑張ったに違いない。そうじゃなければ、はやてに印象に残る訳がない。この三人は基本的には仕事がしたくない人種だ。
 オレはとりあえず、先輩たちがはやての視界内に居る内にサンドイッチを食べようとして、止められる。

「カイト? お前、弁当なんか持ってきてたか?」
「珍しいなぁ。カイトが自分でお弁当を作ってくるなんて」

 アウル先輩の後にマッシュ先輩が続く。とりあえず、絡んでくるのは良いが、その柔らかい笑みと爽やかな笑顔は止めて欲しい。それを向けられるオレは気持ち悪いし、見ている分隊長は笑いの限界まで近づき始めている。
 知っているにも関わらず、オレのとでも言わんばかりに感心する二人は近寄って来て、サンドイッチに手を伸ばす。
 オレは左右から伸びてきた二人の手を瞬時に掴む。

「おいおい。どうした?」
「サンドイッチも食べさせてくれないのか?」

 からかうようにそう言う二人だが、手にはとんでもない力が込められている。
 特にアウル先輩は片手じゃ抑えきれない。
 オレは無理だと判断して、はやてのだと言う事に決める。それでおいそれとは手は出せまい。

「違いますよ。これは」
「まさかお前!? これ、あの可愛い訓練校の同期の子に作ってもらったのか!? またか!?」

 アウル先輩のその言葉で空気が凍った。
 最低だ最低だとは思っていたが、ここまでとは。その情報を売るなんて。
 マッシュ先輩は自分は関係ないとばかりに手を引っ込めた。分隊長は笑いを堪える顔から、一転して近くに居るはやての様子を気にし始めた。
 アウル先輩だけは気づいていない。
 はやての笑顔が若干強ばったのを。

「美味しい美味しいって食べてたからな? また作ってくれって頼んだのか?」

 ニヤニヤと笑うアウル先輩だが、オレはその言葉に曖昧な笑みを浮かべる。とてもじゃないが、今の空気で喋る勇気は無い。
 アウル先輩もようやく場の空気に気づいたのか、手にかけていた力を緩めて、手を引っ込めると、視線をあらぬ方向へ持っていく。そのまま口笛でも吹きそうな勢いだ。やったら容赦なく殴るが。
 とりあえず、この空気をどうにかしなくては。そう思った時にヴァリアントが喋りだす。

『先輩さん達よう。長い事ここに居ちゃ拙いんじゃねぇか? まだ待機は解けてないだろ?』

 ヴァリアントの起死回生の言葉に三人が必死に飛びつく。

「そうだ! カイトがここに居る以上、誰かが待機室に居なきゃだしな」
「そうですね! 休憩はカイトだけだし、俺たちは待機室に行きましょう」
「そ、そうだな! じゃあ、カイト。ゆっくり休めよ」

 分隊長の言葉の言葉にマッシュ先輩が答え、最後にアウル先輩がオレの肩に手を置いて、三人はこの場から逃げるように去った。
 どうでもいいが、最後まで柔らかい笑みと爽やかな笑顔を保った二人には感心せざるおえない。本当にどうでもいいが。
 残ったオレは盛大にため息を吐く。あの三人には申し訳ないが、オレははやてがそこまで機嫌を悪くしてない事を知っていた。
 現に、今、椅子に座り直して笑っている。

「面白い人たちやね」
「完全にはやての機嫌を損ねたと思ってただろうな」

 はやては滅多に怒らない。機嫌が悪くなっても、表面上は笑顔だ。だから表情に出る場合はワザとやって、相手をからかっている時だ。何度もやられたから、見抜き方も分かっている。流石に発している雰囲気は怖かったが。

「だっていつまで経ってもカイト君が食事できへんのやもん」
『全くだぜ。早く食べろ。今は緊急事態で、時間が無いんだぜ?』

 言われたオレは肩を竦める。オレに言わずにあの三人に言って欲しい。
 オレはちょっと冷めたスープを自分の方へ引き寄せながら、サンドイッチを口に入れる。
 空腹だった事を差し引いても、美味い。同じ材料でサンドイッチを作っても、他の人はこうはならないだろうと思うくらい美味い。
 かなりビックリした。何か気の利いた事を言おうかと思ったが、そう言うレベルじゃない。

「美味しい。めちゃくちゃ美味しいよ!」
「ホンマか!? 良かったぁ。口に合わんかったらどないしようかと思ってたんよ」

 オレははやての言葉を聞きつつ、置いてあるフォークを手に取る。多分、前に箸が上手く使えないって言ったからか。こう言う所も気が利いている。
 オレは最初に唐揚げを食べ、次にサラダを食べ、そしてスープを飲んで一言呟く。

「美味い!」
「ゆっくり食べなあかんよ?」
「気をつける」

 言いつつ、オレはサンドイッチを頬張る。サンドイッチも具材がそれぞれ違うようで、テリヤキだったり、野菜だったりとバリエーション豊富だ。
 落ち着いて食うなど到底無理だった。この感動は初めてオライオンのマスターのカルボナーラを食べた時に匹敵する。流石はマスターと料理の話ができるだけある。もう達人と言っても良い。
 完食するまでに五分と掛からなかった。結構量のあったサンドイッチも食べきり、ポットに残っているスープも全部飲みきり、食後のお茶を楽しんだ後、オレははやてがやっていたように両手を合わせてお辞儀する。

「ご馳走様でした」
「はい。お粗末さまでした」

 はやてはそう言うと、ニコニコと笑いながらお弁当の空を片付け始める。オレはそれを見つつ、背もたれに体重を預けて呟く。

「あー、生きてて良かったぁ」
「大げさや。あんまりそう言う事を言うもんやないで?」
『そうだぜ。相棒。これから相棒は仕事なんだしな』

 オレはそう注意されるが、イマイチやる気が湧いてこない。恐るべしはやてのお弁当。緊張をズタズタにされてしまった。
 大体、もう何か行動するにも、時間が遅すぎる。確か、犯人の犯行時間は基本的には二十時から二十一時の帰宅時間だ。既に二十一時を過ぎてる犯人が無理をするとは思えない。

「気を抜き過ぎや。早う。部隊長室行くで」
「ちょっと待った。説明が終わってないけど……」
「念話でもうヴァリアントに説明してもらっとるし、聞きたい事も聞いた。後、作戦もな」

 忘れてた。最近、何だか普通の女の子の部分ばかりが目立っていたが、はやてはやり手の特別捜査官だ。もっと言えば、基本的には何でもできる万能人間だ。オレが弁当を食べてる姿を見ながら、ヴァリアントに事件の説明を受け、作戦を立てるくらいなら平然とやってのけるだろう。この若さで一尉の階級に居るのは、魔導師としての実力よりも、その他の部分が優れているからだ。
 弁当を片付け終えたはやては二つのカバンを持って、足元に居た子犬を連れて、隊舎の部隊長室の方向へ歩いていく。

「どうして部隊長室の方向を知ってる……?」
『聞かれたから教えた』
「さっきまでとのギャップが……」

 そう呟きつつ、オレは慌てて椅子から立ち上がり、またしても先を歩いていくはやてを早足で追いかける事になった。
 


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.029036998748779