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No.35536の一覧
[0] 【チラ裏より】Muv-Luv Alternative Change The World[maeve](2016/05/06 12:09)
[1] §01 2001,10,22(Mon) 08:00 白銀家武自室[maeve](2012/10/20 17:45)
[2] §02 2001,10,22(Mon) 08:35 白銀家武自室 考察 3周目[maeve](2013/05/15 19:59)
[3] §03 2001,10,22(Mon) 13:00 白銀家武自室 考察 BETA世界[maeve](2012/10/20 17:46)
[4] §04 2001,10,22(Mon) 20:00 横浜基地面会室 接触[maeve](2012/12/12 17:12)
[5] §05 2001,10,22(Mon) 21:00 B19夕呼執務室 交渉[maeve](2012/12/06 20:40)
[6] §06 2001,10,22(Mon) 21:30 B19夕呼執務室 対価[maeve](2012/10/20 17:47)
[7] §07 2001,10,22(Mon) 22:00 B19夕呼執務室 考察 鑑純夏[maeve](2012/10/20 17:47)
[8] §08 2001,10,22(Mon) 22:30 B19夕呼執務室 考察 分岐世界[maeve](2012/10/20 17:47)
[9] §09 2001,10,22(Mon) 23:00 B19シリンダールーム[maeve](2012/10/20 17:48)
[10] §10 2001,10,23(Tue) 08:00 B19夕呼執務室[maeve](2012/12/06 21:12)
[11] §11 2001,10,23(Tue) 09:15 シミュレータルーム 考察 BETA戦[maeve](2013/01/19 17:36)
[12] §12 2001,10,23(Tue) 10:00 シミュレータルーム 考察 ハイヴ戦[maeve](2015/02/08 11:03)
[13] §13 2001,10,23(Tue) 11:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:23)
[14] §14 2001,10,23(Tue) 12:20 PX それぞれの再会[maeve](2012/12/16 23:01)
[15] §15 2001,10,23(Tue) 13:00 教室[maeve](2012/12/06 00:01)
[16] §16 2001,10,23(Tue) 13:50 ブリーフィングルーム[maeve](2013/05/15 20:03)
[17] §17 2001,10,23(Tue) 18:30 シミュレータルーム[maeve](2015/03/06 21:04)
[18] §18 2001,10,23(Tue) 22:00 B15白銀武個室[maeve](2015/06/19 19:23)
[19] §19 2001,10,23(Tue) 23:10 B19夕呼執務室 考察 因果特異体[maeve](2012/10/20 17:51)
[20] §20 2001,10,24(Wed) 09:00 B05医療センター Op.Milkyway[maeve](2015/02/08 11:06)
[21] §21 2001,10,24(Wed) 10:00 シミュレータルーム 考察 XM3[maeve](2012/12/06 21:17)
[22] §22 2001,10,24(Wed) 13:00 横浜某所 遺産[maeve](2012/11/10 07:00)
[23] §23 2001,10,24(Wed) 21:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:30)
[24] §24 2001,10,24(Wed) 22:00 B19シリンダールーム 暴露(改稿)[maeve](2013/04/04 22:05)
[25] §25 2001,10,24(Wed) 23:00 B19シリンダールーム 覚醒[maeve](2013/04/08 22:10)
[26] §26 2001,10,25(Thu) 10:00 帝都城 悠陽執務室[maeve](2016/05/06 11:58)
[27] §27 2001,10,26(Fri) 22:00 B19夕呼執務室[maeve](2016/05/06 12:35)
[28] §28 2001,10,27(Sat) 09:45 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:22)
[29] §29 2001,10,27(Sat) 11:00 帝都浜離宮茶室[maeve](2015/02/08 10:15)
[30] §30 2001,10,27(Sat) 12:45 帝都浜離宮 回想(改稿)[maeve](2012/12/16 18:30)
[31] §31 2001,10,27(Sat) 14:00 帝都城第2演武場[maeve](2015/01/23 23:26)
[32] §32 2001,10,27(Sat) 15:00 帝都城第2演武場管制棟[maeve](2016/05/06 11:59)
[33] §33 2001,10,27(Sat) 16:00 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:31)
[34] §34 2001,10,28(Sun) 10:00 帝都城第2演武場講堂 初期教導[maeve](2016/05/06 12:00)
[36] §35 2001,10,28(Sun) 13:00 帝都城来賓室[maeve](2016/05/06 12:00)
[37] §36 2001,10,28(Sun) 国連横浜基地[maeve](2012/11/08 22:20)
[38] §37 2001,10,29(Mon) 15:00  B19シリンダールーム 復活[maeve](2013/04/04 22:18)
[39] §38 2001,10,30(Tue) 10:00  A-00部隊執務室 唯依出向[maeve](2016/05/06 12:01)
[40] §39 2001,10,30(Tue) 11:00  B19夕呼執務室 考察 G元素(1)[maeve](2015/03/06 21:07)
[41] §40 2001,10,30(Tue) 15:00  A-00部隊執務室[maeve](2015/02/03 20:59)
[42] §41 2001,10,31(Wed) 10:00 シミュレータルーム[maeve](2016/05/06 12:03)
[43] §42 2001,10,31(Wed) 06:00 アラスカ州ユーコン川[maeve](2016/05/06 12:03)
[44] §43 2001,10,31(Wed) 10:00 司令部ビル 来賓応接室[maeve](2016/06/03 19:20)
[45] §44 2001,10,31(Wed) 12:00 ソ連軍統治区画内 機密研究エリア[maeve](2016/05/06 12:05)
[46] §45 2001,11,01(Thu) 13:00 アルゴス試験小隊専用野外格納庫 考察 戦術機[maeve](2016/05/06 12:06)
[47] §46 2001,11,02(Fri) 12:00 テストサイト18第2演習区画 E-102演習場[maeve](2016/05/06 11:50)
[48] §47 2001,11,02(Fri) 12:15 司令部棟 B05 相互評価演習専用指揮所[maeve](2016/05/06 12:06)
[49] §48 2001,11,03(Sat) 05:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/02/03 21:01)
[50] §49 2001,11,03(Sat) 09:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/01/04 19:23)
[51] §50 2001,11,02(Fri) 20:00 ユーコン基地[maeve](2016/05/06 12:07)
[52] §51 2001,11,03(Sat) 点景[maeve](2016/05/06 12:08)
[53] §52 2001,11,04(Sun) 07:30  A-00部隊執務室[maeve](2016/05/06 12:08)
[55] §53 2001,11,04(Sun) 20:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/06/19 19:45)
[56] §54 2001,11,05(Mon) 09:00 ブリーフィングルーム[maeve](2015/01/24 18:43)
[57] §55 2001,11,06(Tue) 10:00 帝都城第2連隊戦術機ハンガー[maeve](2015/06/05 13:06)
[58] §56 2001,11,07(Wed) 10:00 横浜基地70番ハンガー[maeve](2015/03/06 20:56)
[59] §57 2001,11,08(Thu) 14:00 帝都浜離宮来賓室[maeve](2015/09/05 17:29)
[60] §58 2001,11,08(Thu) 15:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(1)[maeve](2013/04/16 21:00)
[61] §59 2001,11,08(Thu) 15:30 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(2)[maeve](2015/01/04 19:04)
[62] §60 2001,11,08(Thu) 16:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(3)[maeve](2015/02/03 21:19)
[63] §61 2001,11,09(Fri) 11:05 新潟空港跡地付近[maeve](2015/10/07 16:50)
[64] §62 2001,11,10(Sat) 23:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/03/06 21:15)
[65] §63 2001,11,11(Sun) 05:50 燕市スポーツ施設体育センター跡[maeve](2015/06/19 19:48)
[66] §64 2001,11,11(Sun) 06:52 旧海辺の森跡付近[maeve](2016/06/03 19:25)
[67] §65 2001,11,11(Sun) 07:15 旧燕市公民館跡付近[maeve](2016/05/06 11:55)
[68] §66 2001,11,11(Sun) 07:24 連合艦隊第2艦隊旗艦“信濃”[maeve](2016/05/06 11:56)
[69] §67 2001,11,11(Sun) 07:44 旧新潟亀田IC付近[maeve](2015/09/11 17:22)
[70] §68 2001,11,11(Sun) 08:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 09:53)
[71] §69 2001,11,11(Sun) 08:15 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 10:00)
[72] §70 2001,11,11(Sun) 08:20 旧北陸自動車道新潟西IC付近[maeve](2014/12/29 20:34)
[73] §71 2001,11,11(Sun) 08:25 帝都上空[maeve](2015/08/21 18:44)
[74] §72 2001,11,11(Sun) 10:30 三条市荒沢R289沿い[maeve](2015/02/04 22:07)
[75] §73 2001.11.12(Mon) 09:30 PX[maeve](2015/09/05 17:34)
[76] §74 2001.11.13(Tue) 09:00 帝都港区赤坂 九條本家[maeve](2015/04/11 23:27)
[77] §75 2001,11,13(Tue) 10:30 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2015/12/26 14:19)
[78] §76 2001,11,13(Tue) 19:50 B19フロア 夕呼執務室 考察G元素(2)[maeve](2016/05/06 12:19)
[79] §77 2001,11,14(Wed) 09:00 講堂[maeve](2016/05/06 12:25)
[80] §78 2001,11,15(Thu) 22:22 B15 通路[maeve](2016/05/06 12:31)
[81] §79 2001,11,15(Thu) 15:00(ユーコン標準時GMT-8) ユーコン基地滑走路[maeve](2015/10/07 16:54)
[82] §80 2001,11,16(Fri) 10:15(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/09/05 17:41)
[83] §81 2001,11,16(Fri) 10:55(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト18[maeve](2015/10/07 16:57)
[84] §82 2001,11,16(Fri) 16:30(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/05/31 10:24)
[85] §83 2001,11,16(Fri) 21:00(GMT-8) リルフォート歓楽街 “Da Bone”[maeve](2015/10/07 17:03)
[86] §84 2001,11,17(Sat) 17:00(GMT-8) イーダル小隊専用野外格納庫 衛士控室[maeve](2015/06/20 23:51)
[87] §85 2001,11,18(Sun) 17:20(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト37 幕間?[maeve](2015/05/31 20:15)
[88] §86 2001,11,18(Sun) 22:00(GMT-8) アルゴス試験小隊専用野外格納庫[maeve](2016/05/06 11:46)
[89] §87 2001,11,19(Mon) 13:00(GMT-8) ユーコン基地 居住区フードコート[maeve](2015/06/19 20:13)
[90] §88 2001,11,19(Mon) 18:12(GMT-8) ユーコン基地 演習区外米国緩衝エリア[maeve](2015/12/26 14:23)
[91] §89 2001,11,19(Mon) 18:50(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/12/26 14:25)
[92] §90 2001,11,19(Mon) 20:45(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/10/07 17:13)
[93] §91 2001,11,19(Mon) 21:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画[maeve](2015/10/07 17:15)
[94] §92 2001,11,20(Tue) 03:30(GMT-8) ソビエト連邦租借地 ヴュンディック湖付近[maeve](2015/08/28 20:32)
[95] §93 2001,11,21(Wed) 14:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画内 総合司令室[maeve](2015/10/07 17:20)
[96] §94 2001.11.22(Thu) 03:00(GMT-8) アラスカ州ランパート付近[maeve](2015/12/26 14:28)
[97] §95 2001.11.23(Fri) 18:00(GMT+9) 横浜基地 B20高度機密区画[maeve](2015/08/28 20:08)
[98] §96 2001.11.24(Sat) 15:00 横浜基地 B17 A-00部隊執務室[maeve](2016/06/03 19:39)
[99] §97 2001.11.25(Sun) 02:00(GMT-?) 某国某所[maeve](2015/12/26 14:33)
[100] §98 2001.11.25(Sun) 13:30 横浜基地 北格納庫管制制御室[maeve](2016/06/04 14:06)
[101] §99 2001.11.25(Sun) 18:00 横浜基地本館 メインバンケット モニタールーム[maeve](2015/10/31 14:40)
[102] §100 2001.11.26(Mon) 06:30 横浜基地本館 ゲスト棟[maeve](2016/05/06 11:44)
[103] §101 2001.11.26(Mon) 17:15 横浜基地 モニタールーム[maeve](2016/05/15 12:14)
[104] §102 2001.11.27(Tue) 06:00 国連横浜基地 第2グランド[maeve](2016/06/03 19:42)
[105] §103 2001.11.28(Wed) 09:00 国連横浜基地 XM3トライアル V-JIVES[maeve](2016/05/14 13:10)
[106] §104 2001.11.28(Wed) 17:00 国連横浜基地 米軍割当外部ハンガー ミーティングルーム[maeve](2016/06/04 06:10)
[107] §105 2001.11.28(Wed) 17:40 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2016/06/10 23:26)
[108] §106 2001.11.28(Wed) 18:00 国連横浜基地 Bゲート付近 〈Valkyrie-04〉コックピット[maeve](2019/03/26 22:16)
[109] §107 2001.11.28(Wed) 21:00 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2019/03/30 00:03)
[110] §108 2001.11.28(Wed) 21:00(GMT-5) ニューヨーク レストラン “Par Se”[maeve](2019/06/30 17:55)
[112] §109 2001.11.29(Thu) 09:00(GMT-5) ニューヨーク国連本部 安保緊急理事会[maeve](2019/05/05 21:16)
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[35536] §97 2001.11.25(Sun) 02:00(GMT-?) 某国某所
Name: maeve◆e33a0264 ID:341fe435 前を表示する / 次を表示する
Date: 2015/12/26 14:33
'15,09,25 upload   ※直接的なグロ表現では在りませんが、想像するとエグイ部分があります。苦手な方はスルーして下さい。
'15,12,26 誤字修正


Side XXX


「・・・やはり“外”からの殲滅は無理か―――。」

「―――申し訳ありませんが、仰せの通りかと。
現在“巣穴”には極めて強力な電子欺瞞が存在していると推定されます。
各サイバーチームが全力で解析を行って居りますが、今以て全容さえ掴めていないのが現状。
この電子欺瞞が突破できない限り、例えICBMやIRBMであっても先のHSSTと同じ、“佐渡”に誘導され光線級に蒸発させられるものと思われます。」

「・・・高高度は佐渡からの光線級により撃破され、低空では帝都の防空網に排除される為、爆撃は不可能。
核ミサイルは距離と精度の必要上、全てが電子化された誘導型・・・、高度な技術故に電子防衛されると全く手が出ないとは・・・皮肉なものだ。
しかし、大陸間弾道弾はまだしも、艦艇発射の中距離弾までクラッキングするとなると、いよいよ“アレ”の存在する可能性が否めなくなる・・・と?」

「―――それが“牝狐”の、斯様に大胆な行動の根拠にもなりましょう。」

「・・・本来なら“神”の御子たる“器”が堕天[●●]したか・・・。
ともすればその“器”が聖杯[●●]であった可能性もある・・・な。
何れにしろ・・・到底看過は出きん―――。」

「御意―――!」


指導者[マスター]”の指摘に拳をきつく握る。
“堕天使”―――即ち魔王[ルシファー]の誕生。
明星作戦[Op.ルシファー]爆心地[グランド・ゼロ]で堕天とは何とも皮肉な巡りあわせ。
しかしそれは[]の使徒としてこの地・地球からの人類の駆逐という“吾等”の目的を阻む最大の障害と成り得る存在。
それでなくても此処1ヶ月の間に、急激にその脅威度を上げてきた第4計画の地“横浜”。
今の“横浜”は、放置するには余りに危険過ぎた。



ほんの2ヶ月前、その横浜で密かに開催された国連上層部への重要事項プレゼンに合わせ、謀略を仕掛けた。
件の重要事項がただのブラフであり、それが遅々として進まない状況の裏返しだということは把握していたが、折角殲滅の機会を提供して呉れたのだからと誘いに乗った。
牝狐が掲げた量子電導脳の開発は暗礁に乗り上げ、国連内部でも年内打ち切り判断と言うのが当時の評価であり、その脅威度は[最低]に近いDに過ぎなかったが、進展の更なる妨害を仕掛ける意味で、奪われた“器”の破壊を目論んだのだ。
無論麾下の「難民解放戦線[RLF]」として主導的な立場ではなく、キリスト教恭順派の漠然とした第4計画反対派に僅かに協力しただけだが。
“パペット”の高度機密区画潜入を図る都合上、欧州から敢えて“フェニーチェ”を派遣し道筋を作る必要があり、その為には時間を掛け潜入させた停滞工作員を捨て駒にするコトになったが・・・。
それでも、“器”の破壊には成功と聞き及ぶ。
無菌地帯である基地内はブラックボックスと化していて状況把握も一苦労だが、その当時官邸や城代には連絡員が存在した為、計画の実質的スポンサーである首相への秘匿回線を拾った結果であった。
非人道的な予備の“器”候補は在るらしいので、それで第4計画が潰えるわけではなかったが、量子電導脳の開発難航に加え、“器”の喪失が更なる遅延を招き、結果として打ち切り確定まで追い込んだのは確実と思われた。




元々、“吾等”の裾野は反国連の立場で様々なテロ活動に関わる「難民解放戦線[RLF]」であり、その裏には常にキリスト教恭順派と呼ばれる母体がある。
多方面からの資金的なスポンサーであり、欧州連合や第2時世界大戦以降徐々に宗教弾圧を緩めた東欧諸国の指導者層にもパイプを有する反米・反ソ・反国連の宗教団体である。
だが、裏の最上層部である“吾等”は、対抗している国連計画の一つである「第5計画」及びそれと密接に繋がる「中央情報局[CIA]」上層部とも極秘裡に繋がっていた。
元々、このキリスト教恭順派は明確な実体のない宗教集団で、終末思想に取り付かれた民衆が“指導者[マスター]”のカリスマ性に惹かれ集まってきた烏合の衆に過ぎない。
中身は真摯に救いを求める敬虔な信者から、興味本位で参加しているミーハーまで多種多様であり、“指導者[マスター]”の教義を各自解釈し、各自勝手に動いている状態だった。
それ故、時には恭順派が神の使徒と見做すBETAに対する脅威として、反G弾に走るのも致し方ない。
暗に粛清も進言したが、懐深き“指導者[マスター]”の言葉を借りれば、それすら“神”の意志だとか。
表向き対立する双方を巧く制御し、真の目的の障害を両面から排除しつつ、最終的に“第5計画”に導く―――それが“神”の望みであり、“吾等”の目標である。
“神”に比して塵芥に等しい人類には、“神”の御業であるG元素など過ぎたる力であり、その使用によって神の下僕[ BETA]が一時的に減少したとしても、それ以上の“災厄”が人類を平穏に導くと認識させられていた。
―――そう“吾等”とは、“指導者[マスター]”から直接の “イニシエーション”を受けた選ばれし者だけを指し、“指導者[マスター]”自身が“同志”と呼ぶ協力者を含めても十数名しか居らず、その存在を特定される固有の自称すら持たない集団。
指導者[マスター]”の存在はキリスト教恭順派の最上位と見られているが、当然“吾等”は、キリスト教恭順派ですらない。
私自身元々イスラム教徒であったが、“イニシエーション”に依り知ったのだ。
宗教に於ける概念の“神”などではなく、BETAを遣わした“創造主”こそが人類をも創生した真の“神”であることを・・・。

その神の目的に至る活動として、「難民解放戦線[RLF]」のミッションは、横浜襲撃と時期を前後して起こしたユーコン基地での大規模テロであった。
一部試験部隊の反撃によりこちら側も“少佐[クリストファー]”や、ヴァレンタイン、ジゼルと言ったそこそこ有能な手駒は消えたが、米ソの間に楔を打ち込み、尚且つ国連計画であるプロミネンスに大打撃を与え、脅威度を大幅に減じたのは大きな成果と言って良い。
横浜に遠ざけていた筈の“フェニーチェ”が想定外に参入してきたことも在り、完全なピリオドを打つことは叶わなかったが、プロミネンス計画が死に体に陥ったのは確実、帰還の機内では勝利の美酒も味わった。
当時の計画では、まだ無駄な足掻きを続ける“横浜”に爆薬入のHSSTをプレゼントして息の根を止め、我々は次の予定地欧州[古巣]に戻り平定の準備に入る予定であった。




だが、そこまで予定通り進行していたプロセスに、何時の間にか破綻が生じていた。
その兆し[特異点]が何時であったのか、未だ定かではない。

気がつけば、XM3というOSがエマージング・ウイルスの如き猖獗を極めていた。
その感染力は凄まじく、瞬く間に日本帝国帝都城を席巻し、すぐさま帝国軍にも蔓延していた。
そればかりか、“同志”の余計な画策により海外にまで飛び火したXM3は、ユーコンにてF-22EMDをも完封し、即座にプロミネンスにまで感染した。
それにより、死に体だったプロミネンスはゾンビの如く復活を遂げてしまった。

指導者[マスター]”によれば、“同志”と云えども“格”が存在しており、“格”の低いものは全体が見えていないのだという。
目先の利益優先で第4計画関係者抹殺に無理を通したため、逆に大きなものを喪う結果と成った悪い例でもあった。

だが、このOSはマズイ。
これがハードを伴う兵器なら対処・規制のしようもある。
開発に時間がかかるし、配備にも費用がかかる。
原料や物理的輸送路を押さえれば、拡散は防げる。

しかし相手がソフトウェアの場合は実質インストーラさえ手に入れば、通信だけでも拡散していく。
しかもXM3の場合、その性能向上幅が尋常ではない。
実質一世代分機動性が上がるOSを導入しない衛士は居ない。
これでライセンス料設定すら格安となれば、全世界にアウトブレイクし、全てのOSが書き換わるのは時間の問題と言えた。

此の様な状況は予測すらされておらず、“吾等”の対処想定にも含まれていなかった。


だが派手なパフォーマンスを魅せたその裏で、震撼すべき事態が進行していた。

XM3と同時に世界に対して音もなく漏出された禁断の猛毒・・・原理を踏まえた“情報”は、深く静かに浸透し、“吾等”の気付かぬ間に世界を汚染していた。
人類自決兵器・・・G弾の乱用が地球環境に何を齎すのか、明確に解明してみせたのだ。
・・・図らずも私自身、“神の災厄”の内容をそのレポートで知る。

ド派手なXM3デモンストレーションに気を取られ、“吾等”が気がついたときには、地味な猛毒の汚染は既に致死量を超えていた。
当然“吾等”を除くキリスト教恭順派は、反G弾論者が多数を占める。
御使と認識するBETAを殲滅し、そして“自決”に至るG弾は、自殺を忌避するキリスト教では到底受け入れられない。
御使に導かれるのは天国だが、自殺の行き先は地獄であるとの認識が強い。
それが中立派までも反G弾に傾かせてしまった。
それは計画を推進する第5計画内部でも同じ、“同志”を除く推進派はG弾こそがBETAを駆逐すると信じていたからこその推進派で、結果国土を沈めることなど容認できるわけがなかった。

たった一編のレポートが、あの強大だった第5計画を瓦解に追い込んだ。
目標に至る勢いは一気に失速し、既に瀕死の状態、第5計画内部は闘争の真っ最中―――。



何れにしろ“吾等”は目標に至る道筋を大幅に変更する必要に迫られることになった。
それもコレも、全て発信源は、“横浜”第4計画―――。


そんな中、“横浜”第4計画の実行部隊は、インペリアル・ガードや帝国軍をも巻き込んで、暢気に新潟に遠征―――と思いきや、今度はその地で27,000という BETA[下僕]の侵攻を妨いでみせた。
影響はそれだけに留まらず、権限干犯により実権を持たないはずの“将軍”が復権し、その勢いのまま電撃的に軍部国政の大粛清を断行した。
帝国内部に幾重にも構築されていた各諜報組織の情報網はあらゆる所で千々に分断され、殆ど根こそぎ刈り取られた。
何よりも、“指導者[マスター]”が“同志”と呼ぶ一人、九條兼実が失墜したのだ。
“格”が低いとは言え、帝国内には相当の権力を有していただけに、今後の日帝に対する影響力激減は免れない。



日増しに悪化する状況に危惧すら覚えつつ、全ての汚染源である横浜の浄化を目標に決行されたHSST突入は、しかしあっさりルートを誤って佐渡からの照射で爆散―――。

コト此処に至り、漸く“吾等”も認識する。

この事態は、“情報”と言う今迄とは全く異なる概念の“武器”を駆使した“情報戦”であったのだと。
しかも効果証明と根本原理を有する情報の信頼性は高く、脆弱性が微塵もない理論に一切の反証が封殺されてしまう。
言いがかりレベルの反論は、寧ろ自軍の論理性の欠如を露呈するだけの悪手となった。


こうした情報戦の一方でBETAを殲滅し得る具体的な“兵器”をも新潟で示した“横浜”の脅威度は、今や最高レベルのAを突破したSであった。




「フムン・・・。
たしかに“魔王”の存在を肯定すれば、今の事態も全て説明可能―――。
つまりは成功したと聞いた“器”の破壊も、牝狐の“欺瞞”であったと言うことか、或いは新たな“器”を創る禁忌を犯したか・・・。」

「御意。
・・・今となっては唯一の機会であったあの折、木偶の坊[パペット]には“器”の破壊など指示せずに、首魁である“牝狐”を真っ先に排除すべきでした・・・。」

「フッ・・・仕方なかろう、それは未来を知るものだけが言える言葉だ。
何事にも段取りと言うのはある。
事実当時の状況はそこまで差し迫ったものではなかった。
拙速が過ぎれば逆に大願に達しない事もある。
それはしかし横浜の牝狐もまた同じ、故に緊急安保理出席などという賭けに出たとも言える。
だが―――これ以上は・・・。

それで?・・・オマエなら、殲滅可能か?」

「―――見え透いた罠、明らかに誘いでしょうな。」

「・・・無理、だとでも?」

Ja[いいえ]―――、当然喰い破ってご覧に入れましょう。」


そう、今回の外部にオープンしたトライアル、そして“牝狐”香月夕呼の外遊は、恐らく最大の罠にして基地内部を直接攻撃できる最後のチャンス。
強固な罠を承知で喰い破れば、そこには最大の好機が生まれる!


「・・・最大効率の第5計画が封殺されたとて、BETAの有利は揺るがぬ。
しかし第4計画に、“魔王”が存在する以上、何をしてくるか予想できない。
これ以上“神の御業”が流出することも許されない。
・・・私も他方面の方策を当たるが・・・オマエはどうする?」

「お預かりした“聖遺物”より合成した、新たなABS[指向性蛋白]を使用します。」

「・・・“フェニーチェ”は?」

「既に対策は講じてあります。
伊達に今まで様々なパターンでキャリアーを捕捉させた訳では在りません。
奴の放つ思考波は、より複雑な指示を与えた暗示部分に効果を及ぼしている事が判明しています。
故に、思考・判断を介せず、即時発動する種のABS[指向性蛋白]であれば、奴の思考波で “誤作動”を起こさない事が、確認できています。」

「即時発動・・・“パイロキネシス”系か。
しかしアレの威力は、せいぜい手榴弾並と聞くが?」

「今までの“パイロキネシス”系ABS[指向性蛋白]は、細胞の内呼吸であるAPT結合を強引に過剰進行させるものでした。
60兆の細胞が一気に熱を発生することで、細胞内の水分に依る水蒸気爆発を引き起こします。
けれど、ATPの結合エネルギーそのものは、爆薬に比すればモル当たり1/8程度、重量比では更に下がります。
しかも反応に酸素を必要とするため手榴弾程度の威力が限界だったのです。」

「・・・執事[バトラー]は元々戦闘工兵だったな―――。」


ニヤリと唇端が歪む。
潜入・爆破のスペシャリストとしての腕は曇っていない。


「しかし今回開発されたABS[指向性蛋白]・・・今知られる最も簡単なレトロウイルスの半分程度の分子量を持つのですが・・・は真核生物には存在しなかったベンゼン環合成酵素を生成する遺伝子そのものを付加します。
生成するニトロ化合物の関係で、取り付くのは骨格筋細胞ですが、それが存在する限り自己増殖を続ける最強の自爆ABS[指向性蛋白]・・・。
このABS[指向性蛋白]を摂取すれば2日程で全身の骨格筋細胞に取り付き、そのまま潜伏するでしょう。
動作に暗示は必要なく、特定の音韻を含む起動キーで発動、即座に全ての骨格筋をニトロ基を有する芳香族に強制置換した後、起爆します。
発動後の進行解除は不可能であり、音律は変更可能で、既存の曲の特定部位を設定することも可能です。
今までの“パイロキネシス”系と異なり、爆薬置換に3分程掛かりますが、人体体重の2/3を占める骨格筋が全て[●●]TNTを凌駕する“爆薬”に置換されるコトになる・・・。
唯一残念なのは筋肉内部でのみ増殖するのと、遺伝子を有していた嫌気性細菌の名残か、大気中酸素に触れると崩壊するので、人から人への感染や他の生物を媒介する伝播をしないことですが、それでも100人程に摂取させれば、“巣穴”を内部から完全破壊出来るでしょう。」

「・・・フッ―――良かろう。
但し、“牝狐”と“魔王”は確実に屠れ。」

「御意――――。」

「朗報を待つこととしよう―――。」

「ハッ! 必ずや“牝狐”を仕留め、“巣穴”を壊滅してご覧にいれましょう。」


Sideout





Side 晴子

横浜基地 ブリーフィングルーム  09:00


傾注[アテンション]ッ!」


姿を見せた副司令に伊隅大尉の号令が飛ぶが、それすら何処か照れを含んで聞こえた―――。

日曜、朝9時―――。
ブリーフィングルームに集められたのはA-01部隊の面々だけで、A-00部隊は居ない。
本来なら休養日ではあるが、A-0大隊は来るハイヴ前に向け、既に臨戦態勢と言っても良い。
当然、明日から始まるここ横浜でのXM3トライアル、今日の午後から続々と参加部隊が到着する予定。
それに合わせてA-01部隊の任務指示といった所なのだが、軽い挨拶と共に入って来た香月副司令は私達の姿を見て、以前にも増してニヤニヤ顔。
あー、先が思い遣られる・・・。



元々A-01連隊と呼ばれた時から極秘部隊であり、その詳細は秘匿されていた。
それが再編成されA-0大隊のA-01中隊、ハイヴ攻略の中核タスク・フォースとなる“特殊潜行”部隊と成ったわけだけど―――以前と同様機密度が高く公には何も公表されていない部隊である。
その辺が“概念実証”部隊であり、新装備のデモンストレーションやPR任務を含むA-00部隊と趣が異なり、・・・要するに此度の横浜トライアルでも“裏方”との事だ。

―――A-00は、“概念実証” 部隊、そしてA-01は“特殊潜行”部隊・・・。
明確に役割が区別されているし、その意味が判らない訳ではない。
それでも先週のユーコン遠征等、衛士として華やかな表舞台にある彼女らに羨望や嫉妬が無かったわけでもない。
軍なんて理不尽なんだよと達観した先任はまだしも、特に涼宮(妹)なんかは、明らかに不満顔してたっけね。
本来同期であり半年遅れて後から任官した彼女たちが、易々と追いぬかれて先を征くのは釈然としないのも、まあ理解は出来るかな。

勿論、A-00が特殊な立ち位置に在るコトは誰もが理解もしていた。
その苗字から家柄も知れるし、特に新任である207B訓練小隊メンバー全員は、既にここA-01でも白銀少佐の“嫁達”として知られている。
そもそも白銀はA-01教導の度に宗像中尉や速瀬中尉からからかわれていたのだが、ここ最近は開き直ったように言い訳すらしなくなった。
大っぴらに宣言したわけではないが、その変化は劇的、同じ大隊にいて今は既に普段の訓練が合同だから、感じるものもあるわけで、そこは女同士ある程度は判ってしまう。
彼氏持ちや、片思いが多いA-01では、そこに羨望する者が少ないのは、寧ろ驚いた。
新兵[ルーキー]に有り得ない技量も、“白銀の嫁だし”、というフレーズが定着しつつある。
・・・今のところ私は最後発でまだその枠に入っていないけど・・・。

極めつけ、遠征したユーコンではメンバー全員の“レベル5er[ファイヴァー]”到達が確認された。
当然余りにも急激なレベル上昇にはA-01からも特別待遇が在ったのではないかという疑問の声が上がったが、帰国後開示されたのは、『仮想現実[VR]シミュレータ:“VRS”による模擬戦闘システムの試験運用』という返答だった。
疑問の声と言っても半分ヤッカミに近いので、“Need to Know”で片付ける事も可能だが、同じA-0大隊内に変なしこりを作りたくない白銀少佐と、効果実証は出来たので、A-01にも公開していんじゃね?という御子神大佐の意向だとか。

そしてその事がA-00への隔意を大幅に減らしたのは確かだった。

元207Bのメンバーが実施していたのは、寝る間も惜しみ実時間の二倍速で展開されるヴァーチャル・シミュレーション。
それは人体や精神に与える副作用さえ未知である、一種狂気の訓練システムとも言えた。
コレを彼女たちは、小隊の総意で大佐に依願作成してもらい、そして弛まず修練し続けていたというのだ。
―――ただ強くなり、白銀に少しでも追いつくために・・・。

勿論最終的にステップアップに至ったのは、鑑とのナストロイカ[疑似合一]によるループ記憶の取得だということは、同じ立場の私には判っているし、VRSを実施していなかった私については、今のところ鑑が意図的にレベル4に欺瞞してくれている。
それでも彼女らの努力は鬼気迫るものがある訳で、なにしろ一度そのVRSを体験して、真っ青な顔で戻ってきた速瀬中尉が以降一切の文句を付けなかったシロモノなのだ。
中尉も詳しくは明言しなかったが、どうやらオリジナルハイヴ攻略ルートでBETAに喰われる捕食ENDを実体験したらしく、訓練でPTSDを量産しかねない超危険なシステムと言うのがあの速瀬中尉の評価。
一発でトラウマになりかねない程“リアル”な戦場を、訓練兵の時からかれこれ1ヶ月、人の2倍速で就寝後・起床前に全員がずっと挑戦し続けてきたと言うのだから、もう誰も何も言えない。
望むならどうぞ、という選択肢が与えられてしまったら、文句があるなら遣ればイイ、と言う事。

まあ、“概念実証”とは、悪く言えば“テストケース”、“被験者”、“実験台”・・・なんだよね。
毀れて戦場に立てなくなるくらいならマシ、最悪テスト中の事故で死亡、と言ったリスクが常に付き纏う、ということ。
成功例のデモンストレータと言う華やかな立場の裏側にあるその過酷さを、A-01全員が明確に認識したとも言える。




そのA-00が表向きデモンストレータなのだから、つまりA-01は“裏方”の筈・・・。

それが何故、こんな[●●●]デザインの正装で集められているのか・・・?

A型軍装[AKGコス]―――各国の国連基地で文化や気候に配慮した地域性・独自性を求めて設定される個別軍装の一つとして、2ヶ月程前に副司令が制定したそれは、まるで何処か異世界のアイドルグループを彷彿とさせるコスチュームだった。
実際殆ど世界共通とも言われるC型軍装でもスカート丈は結構短いのだが、華やかさのないタイト系に黒いタイツとの組み合わせは正しく正装らしい堅さしか感じられない。
それに対し、タイトなベストに明るい国連ブルーのチェックを多用したボレロ、同じチェックでフレアミニのボックスプリーツと、ハイソックスやニーソックスを組み合わせることも出来るこのスタイル。
ブラウスにネクタイ、ベストに襟付きのジャケットと、確かに“制服”の要素を踏襲してはいるが、幾分先進的[プログレッシブ]・・・というか寧ろ前衛的[アヴァンギャルド]な?なんちゃって要素を多分に含む。
白銀が妙に固執する“絶対領域”が醸しだすチラ見せ効果も併せ、着る者が恥ずかしくなるくらい艶やかなのだ。
しかも2ヶ月前は選抜メンバーだけに支給され召集されたのに対し、今回はA-01全員・・・13名全てに支給され着用の上集合とされた。

前回私は着ていないが、その時と比べると冬仕様として生地が厚めになり、ボレロが7分袖、脚まわりの選択にニーハイソックスやニーハイブーツが追加されていたが、まあどう考えてもエコじゃなく、副司令の趣味全開。
正直、着る者に相当高いレベルを要求する服装でもある。
だがA-0大隊員は全員が素材レベルが高い上に毎日の訓練で駄肉も無く、極めて高レベルのスタイルを維持しており、それが13人も集まると、何処ぞのアイドル慰問団?と言った雰囲気になる。
本当のモデル経験もあると聞く相原が堂々としている分僅かに頭抜けているが、恥ずかしがる素振りすら様になる、いずれ劣らぬ百花繚乱と言う状況だったりする。

だが、こんな服装で召集したということは、ロクな任務では無いのだろう、微妙に引き攣る先任達の顔がそれを物語っていた。
そう言えば2ヶ月前、新任で唯一選抜メンバーに入った筈の涼宮(妹)の魂が、暫く戻ってこなかった・・・。



「はいはい、堅っ苦しい儀礼は要らないわ、楽にしていいわよ。
判ってるとは思うけど、明日から始まるトライアルについてアンタ達の“任務”を伝えるから。
・・・しっかりヤッて頂戴。」


言葉はそれらしいが、副司令の顔はニヤニヤが加速し、それはそれは愉しそう・・・。
全員の背筋に簾が掛かる・・・“魔女”だ、“魔女”が居るッ!


「―――まずは、こんな馬鹿騒ぎを遣る理由なんだけど、・・・要するにPRよ。」


あっけらかんと言う言葉は、けれどバリバリの違和感が否めない。
秘密主義の塊である副司令の言葉とは到底思えないのだ。


「まァ、極秘極秘と煩く言われたアンタ達にはすっごくなじまないと思うけど、プラチナコードにブルーフラッグ・・・その実戦証明は新潟で知らしめて、先週ユーコンでもぶっちゃけちゃったから、今更よ、今更。
本来国連の予算で開発してるから、建前上は全人類の共有資産・・・勿論権利は認められてるって言うか、そっちが暴走して殆ど公開なんかされてないのが現状なのよね。
だから本質に立ち戻って出すんだけど、・・・当然隠すものは徹底して隠す、その為のデコイと思ってくれてもいいわ。」


成程―――。


「XM3については、言ったとおり既に公開もし、限定的でも供与を始めた・・・ならばその圧倒的な優位性を示すのよ―――米国に、ねッ!」


―――そう、今回のトライアルは、正しくその一点、米国に対する優位性のPRに尽きる。
G弾=人類自決兵器という等式が成立した今、米国の、特に親日派が第4計画に急接近を始めているとも言う。
最近姿が見えないのは、副司令の公式な会談要請が一気に増えたらしい。
御子神大佐がぶっ壊したATSFドクトリン、香月レポートによるその根幹だったG弾ドクトリンの崩壊は米国内の急進派を沈め、良識派を台頭させつつ在る、と言う訳だ。
そこにXM3トライアルを踏まえての副司令の安保理緊急動議・・・当然A-01が年内2つと予言されていたハイヴの攻略戦に間違いない。

BETAによるユーラシア侵攻でタナボタ式に世界の覇権をほぼ手中にしていながら、G弾を用いた横浜以外、結局ハイヴには手も出せず、その潜行装備すら準備のない米国にとっても、それを実行しうる第4計画の動向は以降の世界趨勢を決め兼ねないものとして注目しているのである。

今後のハイヴ殲滅戦に戦術機が必須である以上、不可欠であるXM3―――。
その優位性を魅せつけて高く売る―――ウン、そう考えれば副司令の行動原理として全く違和感がないかな。



「―――それは理解しました。
でも、それとこの服装に何の因果関係が在るんですか?」


宗像中尉が突っ込む。
詳細は明かしてくれないが、前回の最大の被害者にして功労者?とも聞いた。
色々吹っ切ったとかで、ムフフな話は聞いていないが、風間少尉は宣言されてしまいましたわとぼやいてた。

―――曰く。
Yesバイ、No百合―――ってマジ?
両刀王に、オレはなる―――ってウソん!?
ハンサム・ウーマンだからそれもあり?ってか、余りに嵌り過ぎて“無い[ノーマル]”と思っていたのに、裏の裏で“有り[ガチ]”ってこと?
中途半端はしないと言うポリシーらしいけど、それって両極端な気もする。
そう思って訊いても、それ以上はうふふと微笑むだけの風間少尉、躱す躱す。
・・・結局何処までがホントで、何処からがウソなのか、判別すら出来なかった自分の未熟さを反省した。


「当然A-01にはコンパニ・・・ナレーターとして説明を行ってもらう為よ。
今回のお題はXM3トライアルなのよねェ。
同じ横浜基地とは言え、一般衛士はXM3の中身を詳しく知っているわけじゃないわ。
ましてや白銀や御子神に直接指導されてきたアンタ達との差は歴然、問題ないでしょ?」

「はいはいはいッ、ってことはあたし達はトライアル期間中戦術機乗れないってコトですかァ!?」

「ま、脳筋の速瀬には酷だけど、公式に“特殊潜行”部隊は依然極秘よ。
逆にその格好でナレーター遣らせて、本質を隠すって意味もあるわ。

―――でもそうね、最終日の大トリに一度だけV-JIVESでハイヴ攻略戦やってもらうのもいいわねェ。
アタシの緊急安保理壮行って意味で、衛士は隠してエボ4[●●●]仕様、で、ね。
まだ実機のG-コア換装が終わってない者も居るだろうから、トライアルが終了する17時以降、機密区画でなにしようとアンタ達の自由よ。」

「・・・今ある装備の性能を見せつける―――訳ですか。」

「少しでも“可能性”を見せなきゃ後方支援国家は乗ってくれないでしょ?」

「・・・・・・ナレーターと大トリの件、了解しました。
たった一度のデモンストレーションだろうと、全力を尽くします。
・・・しかし態々警備部隊だけではなく、我々を会場に配備するには、それだけでは無い・・・ということですか。」

「―――そう言うことね、察しが良くて助かるわ。
前回は所詮狐と狸の化かし合いだったけど、今回は白銀語でいうガチンコ[●●●●]ね。
しかも今回は仕方ないこととは言え、他国の軍隊、それも戦術機大隊規模の入場を許した。
当然、何か[●●]が起こってもおかしくはない・・・。」

「「「「「・・・。」」」」」

「だから裏ミッションはあと2つ―――。

一つはを米国始めとする全世界へのPRの為に、帝国軍偵察・記録部隊を招聘しているのよ。
これは参加部隊に公開も有りうることを確認済みだから問題ない。
ただ撮影する方は、基地に慣れていないから機密に類する事を無意識に撮られても困る。
なので、大尉権限を持つ伊隅が、その案内と機密管理をしてちょうだい。」

「・・・帝国軍部隊・・・ですか?」

「そうよ、偵察専用戦術機を有する唯一の部隊。
伊隅、アンタがディレクターね。
撮影はレベル1制限区域まで可能とするから機密管理も任せるわ。

それと第4計画側の放送専属ナレーターとして相原が喋りなさい。
あとは、撮影助手として遠乃、アンタも手伝い。」

「「は、はいッ!」」

「撮影時、及び映像のチェックは大尉である伊隅が相当よね。
勿論、これは裏ミッションでもあるから、撮影された映像から不審な動きをする人物をピックアップしてマークすること。
相原は元々タレント志望で中学からその手のモデルしてたと聞くし、遠乃も撮影に関しては経験者なんだってね。
じゃ、紹介するわ、・・・入って来なさい。」


入ってきた男性の姿に伊隅大尉だけではなく、相原や遠乃までが凍りついた。
・・・副司令が選んだのがその3人、当然裏がある。


「・・・本土防衛軍戦術機甲戦闘団特殊戦第5戦術機甲戦隊所属、―――前島正樹です。
この度、此処横浜のXM3トライアル専任記録係を任されました。
―――宜しくお願い致します。」


型通りの挨拶、3人に一瞬反応したものの、何事もないように流す。
だが驚愕に見開かれていた伊隅大尉の瞳は、徐々にその様子を見、痛々しいものを目にした悲しげな色に移ろっていた。

本土防衛軍戦術機甲戦闘団特殊戦第5戦術機甲戦隊―――たしか通称“パパラッチ”部隊。
だがその呼称が使われることは殆ど無いらしい。
聞いたことがあるのは・・・“アルコル[死兆星]”隊―――それが帝国軍や本土防衛軍の中での部隊通り名だ。

まだ二十歳に届いていないだろうシュッとした端正な相貌に張り付いているのは、感情そのものを感じさせないのっぺらな仮面。
微かに引きつったような口元にも、その深淵を見つめてきたような目は、微塵も笑っていない。
ループにある記憶・・・この先戦況が絶望に近づくに連れ、そんな目をした人々が増えていた。

―――諦念・・・。


「・・・特殊戦隊長・香月中佐[ミツコ]から追伸が来てるわ。
腑抜けた映像[モノ]しか撮れないなら、帰って来なくてイイ―――だそうよ?」


後ろから副司令の声がかかる。


「・・・ハハ、相変わらず厳しいや・・・」

「・・・ま、いいわ。
―――伊隅、後任せるから。」

「ハッ!」



ループ記憶の一つに在った。

戦術機甲戦闘団―――帝国軍に存在している特殊部隊であり、そして基本極秘部隊。
偵察や記録は勿論、中には督戦隊も含まれるという噂もある。
主に戦域偵察を任務とする特殊戦第5戦隊もその運用は公にされることはなく、所謂パパラッチの様に目立つことも全くない。
寧ろ一部ではその存在さえ疑問視される。
―――その理由は運用される機体にある。

戦術機甲戦闘電子偵察機SR-71“黒烏[レイヴェン]”―――。
米国でも32機しか生産されなかった偵察専用機体で、機密の塊だったその導入には当時まだ蜜月であった日米間でさえ高度な政治取引があったとも噂される曰く付き。
当然導入数は極めて少なく、1個小隊4機のみ、損耗しても補充はない条件で運用されたと聞く。
既に帝都防衛戦で1機、明星作戦で1機撃墜された為、現在は2機しか残っていない筈だ。

その姿だけは写真で公開されていて、肩から膝裏にかけ長大な主推進器を有する。
推進器の間には、殆ど縦に配された制御ユニットと平たく尖った頭部を有し、全身、腕や脚の全てがブレンディットウイングであるウェッジシェイプであり、匍匐飛行では全て推進器に張付ける形状であるが、それは逆に電磁炭素帯を極限まで削ぎ落とし運動機動を潔く切り捨てた結果だろう。
主推進器が大きすぎるため、地表滑空用に別の小型スラスターを装備している。
最高速度は公表されていないが、飛行速度のみを求めた結果、戦術機でありながら地表付近でM2を超えることが出来る唯一の機体であるとされる。
加え、真っ黒なフェライト塗料など極めて初期のステルス装備が施された機体とも言われ、特に匍匐飛行時はその形状から存外にステルス性は高いらしい。
近年では、ステルス性を向上する塗料や細部形状の小変更等帝国技術に依るテストも兼ねたステルス性向上を繰り返しており、国内では全く手が付いていないアクティブ・ステルスを除けば、F-22と同等レベルの性能を有しているとの噂もあった。
当然機体に攻撃装備は殆ど無く、その少ない容積の全てが光学系電子系の観測機で占められていると言う。
突撃砲の装備くらいは出来るが、機体に給弾機構も存在しないため、突撃砲内の弾薬を消費すればそれで尽きるシロモノだし、速度重視のため担架機構も存在せず、音速飛行時は手にも持てない。


つまりは、幽霊の様に希薄な存在であり、攻撃力はほぼ皆無。
そして記録だけ行い、例えそこで戦闘する部隊が壊滅の危機に在っても、全てを置き去りに帰還する。

―――その姿を戦場で見てしまった時、彼らに訪れるのは“死”・・・そんな都市伝説が生まれるのはある意味しかたないことだった。。

部隊に付いた仇名が“アルコル[死兆星]”なら、その機体に付いた2つ名は、“タナトス”―――ギリシャ神話の死神そのものを指す。
元々発見されにくいステルス性の高さ、通常では考えられない高速飛行機動、そして最前線に赴いた時の友軍帰還率の低さ―――、それらがこの偵察機を死神と呼ばせた。


・・・前島少尉、か―――。
偵察特化とは言え、国内に2機しかない貴重なSR-71をこの齢で任されているのだから、撮影も含め腕は良いのだろう。
だが、BETAを屠ることも出来ず、ただ迫り来る友軍の“死”を撮り続ける日々だったのだろうか。

副司令は打ち合わせをするように、と4人を隣の会議室に追いやる。
勿論部外者に内容を訊かせないためなのは解かるけど・・・。


「・・・ったくミツコの奴、こんなだから交換条件もなしに寄越したわね。」


・・・察するに伊隅大尉以下を弄るつもりで前島少尉を呼んだのに、いきなりのハードモード、余りの落差に流石の副司令も面食らったと言うことか。


「ま、いいわ、チャッチャと進めましょ。
基本的に残る10人でヤッて貰うのはもう一つの裏ミッション―――当然カウンター・テロ、だからね!」


切り替え早ッッ!

けど・・・だろうなァ。
ここまで悪目立ちしている横浜基地が本殿を“御開帳”するのだ。
2ヶ月前の重要事項プレゼンだって偉い人しか招いていないのに重要機密区画である19層襲撃というテロが起きている。
それが今度は他国の、しかも一番怪しい米国の戦術機部隊まで招き入れてのトライアル。
起きて当たり前、と言うか、相手が起こすことを誘っている節がある訳で・・・。


「勿論、アンタたちだけでヤレとは言わないわ。
―――入って。」

「「・・・え・・・」」「「・・・あ・・・」」


入ってきたのは、サングラスに金髪のイケメン顔。
再び何人かの動きが止まった。
サングラスがサイドまで周りこむ様なグッヂに替わっているのは流石伊達な伊太利野郎。
生産地がアフリカに替わってもグッヂはグッヂらしい。
それでもさりげなく、微かに哀愁さえ感じさせる、無駄にイイ男。
見たことあるのは、前回私達選抜組じゃないメンバーも宗像中尉とイチャつく様を見てるから。
異常行動を取り始めたABSキャリアを回収したのは、私達だったのだから・・・。


「・・・改めて、シルヴィオ・オルランディだ。
2度目になるが、嬉しくも華麗なる“戦乙女”達とまた同じミッションに携わるコトとなった・・・宜しく頼む。」

「―――と言うわけで、内容は判っていると思うわ。
前回紹介してないメンバーも居るけど、そこは後で勝手にやって頂戴。
―――それとも、パートナーはアンタが改めて選ぶ?」

「・・・何れ劣らぬ美しい花々だが、俺のパートナーは決めている。
宗像中尉―――頼めるだろうか?」

「あらァ、アンタの為に折角新しい娘も入れたのに。
今は得意の盗撮も機能してないみたいだし、イタリア男の名折れじゃない?
どっかで頭打った?」

「ドクターの期待に添えないのは心苦しいが、俺は本来北部産まれなんだ。
ミラノやトリノ・・・主要な工業都市は北部にあって、そこは結構勤勉でお堅い性格でね。
南部生まれのお気楽男に憧れていたが、本人が生きていたので肩代わりをする必要がなくなったのさ。」

「・・・それは、私のコトも盗撮しないと誓う、と言う事で良いのだな? オルランディ中尉。」


ニヤニヤ顔の副司令。
悪戯っぽい微笑を浮かべながら、天に翳した掌で指し指を作る何時ものポーズで宗像中尉が突っ込む。


「ム・・・、それは同意できないな。
君だけが唯一無二・・・君じゃないと任務に支障をきたす。」

「「「「「 オオオオォォォォーーーー!! 」」」」」

「へぇ・・・フーン・・・そこまで言い切るんだ・・・。
アンタも変わったわね―――まいいわ、支障をきたされちゃ堪んないから、宗像、いいわね?」

「ハッ! ・・・ご命令とあれば。」

「命令よ。
コイツと一緒にキャリアを炙り出しなさい。
ま、篭絡してコイツを引きぬいてくれるのは許可するけど、陥落して引き抜かれるのは許可しないからね。」

「・・・・・・鋭意努力します。」

「さて、他のメンバーはナレーターを扮しながら伊隅と宗像のサポートに当たる訳だけど、CPは涼宮(姉)として、今回はサポートを付けるわ。」

「・・・サポート、ですか?」

「アスタ、いいわよ。」


3人目―――現れたのは、小学校高学年位の超高級アンティーク・ドール?
豪奢な金髪、透き通るような肌に、魔性さえ感じさせる美貌、華奢でいて小さくても完璧な黄金率。


「な、な、な、なんですか~!?
この可愛い生き物はァ~~~!!??」

「―――抱きつくのは止めないけど、高原・・・、この子一応“臨時特務大尉”なのよねェ~。」

「「「「 は!? 」」」」


その瞬間、抱きつく寸前だった高原が倒立して宙を舞った。
飛びついた勢いと重力加速度そのままに、背中から叩きつけられる!、と危惧した瞬間、極めた腕を引いて着地寸前に一瞬止まる。
直後、ぽふん、と床に墜ちた。


「―――次は、・・・死ぬか―――?」


―――ウソん!?
この齢で御子神大佐並のキレ、達人ぢゃないッ!


「はぁ―――それで、何者なんですか、臨時特務大尉殿は?」


速瀬中尉の双眸がキランと光る―――こんな小さな子相手だっていうのに、また病気が・・・。


「・・・アナスタシア・マクダネルだ。
階級は気にせんが、敬語も使わん。
ソビエト式の略し方は気に入らんから、アスタ[●●●]と呼ぶがいい。」

「・・・何かと、訳ありってことですか―――。」

「―――そうよ、何せこの子こそがアタシの極秘計画の、“最終目標”なのよねェ~。」


―――またそんな特大の爆弾を放りこまないでほしいかな・・・。


Sideout




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