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No.35536の一覧
[0] 【チラ裏より】Muv-Luv Alternative Change The World[maeve](2016/05/06 12:09)
[1] §01 2001,10,22(Mon) 08:00 白銀家武自室[maeve](2012/10/20 17:45)
[2] §02 2001,10,22(Mon) 08:35 白銀家武自室 考察 3周目[maeve](2013/05/15 19:59)
[3] §03 2001,10,22(Mon) 13:00 白銀家武自室 考察 BETA世界[maeve](2012/10/20 17:46)
[4] §04 2001,10,22(Mon) 20:00 横浜基地面会室 接触[maeve](2012/12/12 17:12)
[5] §05 2001,10,22(Mon) 21:00 B19夕呼執務室 交渉[maeve](2012/12/06 20:40)
[6] §06 2001,10,22(Mon) 21:30 B19夕呼執務室 対価[maeve](2012/10/20 17:47)
[7] §07 2001,10,22(Mon) 22:00 B19夕呼執務室 考察 鑑純夏[maeve](2012/10/20 17:47)
[8] §08 2001,10,22(Mon) 22:30 B19夕呼執務室 考察 分岐世界[maeve](2012/10/20 17:47)
[9] §09 2001,10,22(Mon) 23:00 B19シリンダールーム[maeve](2012/10/20 17:48)
[10] §10 2001,10,23(Tue) 08:00 B19夕呼執務室[maeve](2012/12/06 21:12)
[11] §11 2001,10,23(Tue) 09:15 シミュレータルーム 考察 BETA戦[maeve](2013/01/19 17:36)
[12] §12 2001,10,23(Tue) 10:00 シミュレータルーム 考察 ハイヴ戦[maeve](2015/02/08 11:03)
[13] §13 2001,10,23(Tue) 11:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:23)
[14] §14 2001,10,23(Tue) 12:20 PX それぞれの再会[maeve](2012/12/16 23:01)
[15] §15 2001,10,23(Tue) 13:00 教室[maeve](2012/12/06 00:01)
[16] §16 2001,10,23(Tue) 13:50 ブリーフィングルーム[maeve](2013/05/15 20:03)
[17] §17 2001,10,23(Tue) 18:30 シミュレータルーム[maeve](2015/03/06 21:04)
[18] §18 2001,10,23(Tue) 22:00 B15白銀武個室[maeve](2015/06/19 19:23)
[19] §19 2001,10,23(Tue) 23:10 B19夕呼執務室 考察 因果特異体[maeve](2012/10/20 17:51)
[20] §20 2001,10,24(Wed) 09:00 B05医療センター Op.Milkyway[maeve](2015/02/08 11:06)
[21] §21 2001,10,24(Wed) 10:00 シミュレータルーム 考察 XM3[maeve](2012/12/06 21:17)
[22] §22 2001,10,24(Wed) 13:00 横浜某所 遺産[maeve](2012/11/10 07:00)
[23] §23 2001,10,24(Wed) 21:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:30)
[24] §24 2001,10,24(Wed) 22:00 B19シリンダールーム 暴露(改稿)[maeve](2013/04/04 22:05)
[25] §25 2001,10,24(Wed) 23:00 B19シリンダールーム 覚醒[maeve](2013/04/08 22:10)
[26] §26 2001,10,25(Thu) 10:00 帝都城 悠陽執務室[maeve](2016/05/06 11:58)
[27] §27 2001,10,26(Fri) 22:00 B19夕呼執務室[maeve](2016/05/06 12:35)
[28] §28 2001,10,27(Sat) 09:45 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:22)
[29] §29 2001,10,27(Sat) 11:00 帝都浜離宮茶室[maeve](2015/02/08 10:15)
[30] §30 2001,10,27(Sat) 12:45 帝都浜離宮 回想(改稿)[maeve](2012/12/16 18:30)
[31] §31 2001,10,27(Sat) 14:00 帝都城第2演武場[maeve](2015/01/23 23:26)
[32] §32 2001,10,27(Sat) 15:00 帝都城第2演武場管制棟[maeve](2016/05/06 11:59)
[33] §33 2001,10,27(Sat) 16:00 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:31)
[34] §34 2001,10,28(Sun) 10:00 帝都城第2演武場講堂 初期教導[maeve](2016/05/06 12:00)
[36] §35 2001,10,28(Sun) 13:00 帝都城来賓室[maeve](2016/05/06 12:00)
[37] §36 2001,10,28(Sun) 国連横浜基地[maeve](2012/11/08 22:20)
[38] §37 2001,10,29(Mon) 15:00  B19シリンダールーム 復活[maeve](2013/04/04 22:18)
[39] §38 2001,10,30(Tue) 10:00  A-00部隊執務室 唯依出向[maeve](2016/05/06 12:01)
[40] §39 2001,10,30(Tue) 11:00  B19夕呼執務室 考察 G元素(1)[maeve](2015/03/06 21:07)
[41] §40 2001,10,30(Tue) 15:00  A-00部隊執務室[maeve](2015/02/03 20:59)
[42] §41 2001,10,31(Wed) 10:00 シミュレータルーム[maeve](2016/05/06 12:03)
[43] §42 2001,10,31(Wed) 06:00 アラスカ州ユーコン川[maeve](2016/05/06 12:03)
[44] §43 2001,10,31(Wed) 10:00 司令部ビル 来賓応接室[maeve](2016/06/03 19:20)
[45] §44 2001,10,31(Wed) 12:00 ソ連軍統治区画内 機密研究エリア[maeve](2016/05/06 12:05)
[46] §45 2001,11,01(Thu) 13:00 アルゴス試験小隊専用野外格納庫 考察 戦術機[maeve](2016/05/06 12:06)
[47] §46 2001,11,02(Fri) 12:00 テストサイト18第2演習区画 E-102演習場[maeve](2016/05/06 11:50)
[48] §47 2001,11,02(Fri) 12:15 司令部棟 B05 相互評価演習専用指揮所[maeve](2016/05/06 12:06)
[49] §48 2001,11,03(Sat) 05:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/02/03 21:01)
[50] §49 2001,11,03(Sat) 09:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/01/04 19:23)
[51] §50 2001,11,02(Fri) 20:00 ユーコン基地[maeve](2016/05/06 12:07)
[52] §51 2001,11,03(Sat) 点景[maeve](2016/05/06 12:08)
[53] §52 2001,11,04(Sun) 07:30  A-00部隊執務室[maeve](2016/05/06 12:08)
[55] §53 2001,11,04(Sun) 20:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/06/19 19:45)
[56] §54 2001,11,05(Mon) 09:00 ブリーフィングルーム[maeve](2015/01/24 18:43)
[57] §55 2001,11,06(Tue) 10:00 帝都城第2連隊戦術機ハンガー[maeve](2015/06/05 13:06)
[58] §56 2001,11,07(Wed) 10:00 横浜基地70番ハンガー[maeve](2015/03/06 20:56)
[59] §57 2001,11,08(Thu) 14:00 帝都浜離宮来賓室[maeve](2015/09/05 17:29)
[60] §58 2001,11,08(Thu) 15:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(1)[maeve](2013/04/16 21:00)
[61] §59 2001,11,08(Thu) 15:30 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(2)[maeve](2015/01/04 19:04)
[62] §60 2001,11,08(Thu) 16:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(3)[maeve](2015/02/03 21:19)
[63] §61 2001,11,09(Fri) 11:05 新潟空港跡地付近[maeve](2015/10/07 16:50)
[64] §62 2001,11,10(Sat) 23:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/03/06 21:15)
[65] §63 2001,11,11(Sun) 05:50 燕市スポーツ施設体育センター跡[maeve](2015/06/19 19:48)
[66] §64 2001,11,11(Sun) 06:52 旧海辺の森跡付近[maeve](2016/06/03 19:25)
[67] §65 2001,11,11(Sun) 07:15 旧燕市公民館跡付近[maeve](2016/05/06 11:55)
[68] §66 2001,11,11(Sun) 07:24 連合艦隊第2艦隊旗艦“信濃”[maeve](2016/05/06 11:56)
[69] §67 2001,11,11(Sun) 07:44 旧新潟亀田IC付近[maeve](2015/09/11 17:22)
[70] §68 2001,11,11(Sun) 08:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 09:53)
[71] §69 2001,11,11(Sun) 08:15 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 10:00)
[72] §70 2001,11,11(Sun) 08:20 旧北陸自動車道新潟西IC付近[maeve](2014/12/29 20:34)
[73] §71 2001,11,11(Sun) 08:25 帝都上空[maeve](2015/08/21 18:44)
[74] §72 2001,11,11(Sun) 10:30 三条市荒沢R289沿い[maeve](2015/02/04 22:07)
[75] §73 2001.11.12(Mon) 09:30 PX[maeve](2015/09/05 17:34)
[76] §74 2001.11.13(Tue) 09:00 帝都港区赤坂 九條本家[maeve](2015/04/11 23:27)
[77] §75 2001,11,13(Tue) 10:30 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2015/12/26 14:19)
[78] §76 2001,11,13(Tue) 19:50 B19フロア 夕呼執務室 考察G元素(2)[maeve](2016/05/06 12:19)
[79] §77 2001,11,14(Wed) 09:00 講堂[maeve](2016/05/06 12:25)
[80] §78 2001,11,15(Thu) 22:22 B15 通路[maeve](2016/05/06 12:31)
[81] §79 2001,11,15(Thu) 15:00(ユーコン標準時GMT-8) ユーコン基地滑走路[maeve](2015/10/07 16:54)
[82] §80 2001,11,16(Fri) 10:15(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/09/05 17:41)
[83] §81 2001,11,16(Fri) 10:55(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト18[maeve](2015/10/07 16:57)
[84] §82 2001,11,16(Fri) 16:30(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/05/31 10:24)
[85] §83 2001,11,16(Fri) 21:00(GMT-8) リルフォート歓楽街 “Da Bone”[maeve](2015/10/07 17:03)
[86] §84 2001,11,17(Sat) 17:00(GMT-8) イーダル小隊専用野外格納庫 衛士控室[maeve](2015/06/20 23:51)
[87] §85 2001,11,18(Sun) 17:20(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト37 幕間?[maeve](2015/05/31 20:15)
[88] §86 2001,11,18(Sun) 22:00(GMT-8) アルゴス試験小隊専用野外格納庫[maeve](2016/05/06 11:46)
[89] §87 2001,11,19(Mon) 13:00(GMT-8) ユーコン基地 居住区フードコート[maeve](2015/06/19 20:13)
[90] §88 2001,11,19(Mon) 18:12(GMT-8) ユーコン基地 演習区外米国緩衝エリア[maeve](2015/12/26 14:23)
[91] §89 2001,11,19(Mon) 18:50(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/12/26 14:25)
[92] §90 2001,11,19(Mon) 20:45(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/10/07 17:13)
[93] §91 2001,11,19(Mon) 21:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画[maeve](2015/10/07 17:15)
[94] §92 2001,11,20(Tue) 03:30(GMT-8) ソビエト連邦租借地 ヴュンディック湖付近[maeve](2015/08/28 20:32)
[95] §93 2001,11,21(Wed) 14:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画内 総合司令室[maeve](2015/10/07 17:20)
[96] §94 2001.11.22(Thu) 03:00(GMT-8) アラスカ州ランパート付近[maeve](2015/12/26 14:28)
[97] §95 2001.11.23(Fri) 18:00(GMT+9) 横浜基地 B20高度機密区画[maeve](2015/08/28 20:08)
[98] §96 2001.11.24(Sat) 15:00 横浜基地 B17 A-00部隊執務室[maeve](2016/06/03 19:39)
[99] §97 2001.11.25(Sun) 02:00(GMT-?) 某国某所[maeve](2015/12/26 14:33)
[100] §98 2001.11.25(Sun) 13:30 横浜基地 北格納庫管制制御室[maeve](2016/06/04 14:06)
[101] §99 2001.11.25(Sun) 18:00 横浜基地本館 メインバンケット モニタールーム[maeve](2015/10/31 14:40)
[102] §100 2001.11.26(Mon) 06:30 横浜基地本館 ゲスト棟[maeve](2016/05/06 11:44)
[103] §101 2001.11.26(Mon) 17:15 横浜基地 モニタールーム[maeve](2016/05/15 12:14)
[104] §102 2001.11.27(Tue) 06:00 国連横浜基地 第2グランド[maeve](2016/06/03 19:42)
[105] §103 2001.11.28(Wed) 09:00 国連横浜基地 XM3トライアル V-JIVES[maeve](2016/05/14 13:10)
[106] §104 2001.11.28(Wed) 17:00 国連横浜基地 米軍割当外部ハンガー ミーティングルーム[maeve](2016/06/04 06:10)
[107] §105 2001.11.28(Wed) 17:40 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2016/06/10 23:26)
[108] §106 2001.11.28(Wed) 18:00 国連横浜基地 Bゲート付近 〈Valkyrie-04〉コックピット[maeve](2019/03/26 22:16)
[109] §107 2001.11.28(Wed) 21:00 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2019/03/30 00:03)
[110] §108 2001.11.28(Wed) 21:00(GMT-5) ニューヨーク レストラン “Par Se”[maeve](2019/06/30 17:55)
[112] §109 2001.11.29(Thu) 09:00(GMT-5) ニューヨーク国連本部 安保緊急理事会[maeve](2019/05/05 21:16)
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[35536] §94 2001.11.22(Thu) 03:00(GMT-8) アラスカ州ランパート付近
Name: maeve◆e33a0264 ID:341fe435 前を表示する / 次を表示する
Date: 2015/12/26 14:28
'15,08,01 upload
'15,12,26 誤字修正



Side ユウヤ


「・・・こいがたき、か」


素肌のまま腕の中にいるクリスカがぽつんとつぶやく。

時刻は、午前3:00―――。




T-50の爆発からギリギリ、間一髪逃げ切ったオレ達は、この後なにかと調査の入るであろう爆心地を出来るだけ遠く離れた末に、昨夜この山小屋を見つけて入り込んだ。

爆発後一旦確認のため戻ってみれば、爆心は結構な範囲が楕球状の東に向けた偏心クレーターになっている。
オレ達がS-11による広い爆発範囲から逃げ切れたのは、その爆発に指向性が設定してあった為らしい。
通常の無指向性起爆であったら完全に巻き込まれていた。

当然最高機密の保持を図った狙い通り、T-50の機体は跡形も無く消し飛んでいて、それがオレ達の戦闘の痕跡もキレイに吹き飛ばしてくれた。
当面、ソ連の大部隊に追い回されるコトは回避できそうだ。
・・・後はステルスを頼りに、時間の許す限りクリスカ達の故郷に近づきたい。



ここは、小屋と言っても夏場の別荘なのか、結構瀟洒な室内に十分な備蓄もあった。
勝手に入り込んで備蓄も一部戴いたが、申し訳ばかりに僅かではあるが代金を置いていくコトにする。
昨日の激しい戦闘でかなり疲れているらしく、食事を済ませると早々に眠ってしまった二人を隣室のベッドに寝かせた後、戻ってきたクリスカと暖炉の前で愛し合った。

昨夜は感情の昂ったクリスカが慟哭する場面も在ったが、今はそれもストンと抜け落ちたように達観している。
まるで“刻”を悟ってしまったようなその態度が辛い。
が、オレが悲哀を感じればクリスカが懊悩する。
今は全てを意識の奥底に、強引に沈めておくしかない。



「ふ・・・認めてしまえば・・・何のことはないな・・・」

「・・・なんだ?」

「ふふふ・・・」


心から可笑しそうなその笑顔。


「・・・?」

「なあ、ユウヤ・・・私、やっとわかった・・・。」

「ユウヤの心にある負の輝きは、ユウヤが生きた証・・・。
ユウヤが選んできたすべての輝き・・・。」

「・・・・・・。」

「その最も美しい輝きにイーニァが惹かれ・・・受け取った私がユウヤに・・・恋した・・・。
そして・・・マーティカも・・・」

「・・・・・・。」

「私たちの想いは・・・作り物なのかもしれない。
・・・紛い物なのかも知れない。」

「・・・・・・。」

「それでも私たちのユウヤへの想いが・・・確定しているはずの未来を・・・凌駕したんだな・・・。」

「ああ・・・そうだな・・・。」



「・・・クリスカ」

「・・・なんだ」

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

「あっている・・・。」

「え・・・?」

「私も同じだ・・・。言ってみろ」

「・・・へっ
・・・ありがとう、クリスカ。」

「・・・ありがとう、ユウヤ。」


もう一度、その存在を抱きしめる。

万感の想いを込めて―――。






何よりも、この時間を大切にしたい・・・。

その想いを引き裂く様な警報音が無機質な音を立ててがなる。


「ッッ!!、警戒用にばらまいていた動体センサーだ。
念のため強化装備を―――。」


イーニァもベッドルームを飛び出してきた。
素早く装備を着けながら、センサーを確認する。
位置は・・・。


「―――ッツ!! 直上ッ!?」


ヤラれたッ!

完全に捕捉されている。

今から振り切れるか?




外に飛び出せば、漸く強い風は治まったが、今も降りしきる雪の中、聳え立つ2騎。
雪明りに増感された網膜投影に映るのは、国連ブルーに彩られたXFJ-01―――しかもこの機体は!


「こ・・・れって」

「エボ4だぁ!」


イーニァが嬉しそうに叫ぶ。


「エボ4―――やっぱ“御大[Great Colonel]”・・・かァ。」


全身から力が抜けた。

これでノーサイド―――。

最早そこには、ソ連も米国もない。



元々インフィニティーズとのAH戦で“御大[Great Colonel]”が横浜から持ち込んだ機体―――ハイヴ潜行スペシャル、それが新潟で“Amazing5”と呼ばれた5騎の特異な戦術機のうちの3騎。
つい先日の白銀少佐麾下A-00中隊がユーコン・トライアルで大暴れし、全ての模擬戦に勝利した機体―――。
不知火弐型Phase3が、正式に試製XFJ-01の開発コード付与されて以降、先行試作が進められる中にあって、更に“横浜”でチューンされる“横浜”にしか存在しない限定版“Evolution4”がそこに在る。



―――まあなァ。

・・・来るのが遅すぎるくらいだぜ。


アルゴスにXFJを貸し出しているのは“御大[Great Colonel]”その人。

オレとイーニァが表向きMIA、クリスカは行方不明。
とはいえ、ハルトウィック大佐やハイネマンのおっさんからも実情は伝えられていると思うし、昨日のS-11爆発程度で誤魔化せるわけがない・・・か。


XM3正規版や恐らくXSSTでもアクティブ・ステルスなんぞ無効だし。


見上げる機体は、2機共ガンブレードに長刀各2装備・・・ガチガチの実戦仕様。
対してコッチPhase4はT-50との激戦で、あちこちにガタが来ている。
突撃砲すら無い。
推進剤だって既に殆ど無く、今後の長駆にはどこかの国境線哨戒部隊を襲撃する必要があるレベル。
ここでエボ4、2機を相手に今更逃げ切れるとは思えない。

しかも、2機の内の1機は“Evolution4”から更にその形状が異なる。
これは・・・!
高速空戦型・・・今まで乗っていたXFJ-01、1号機Phase4の改修を受け継ぎ、更に洗練させたような機体。
オレの改修案がハイネマンから“御大[Great Colonel]”にも流れているとすれば、採用も可能・・・ってコトか。
Phase4唯一のアドバンテージも差は無いと見るべきだろう。



勿論、最早抵抗の意味はなく、手を挙げて投降の意志を示せば、2機とも膝を折ってハッチを開いた。



降りてきたのは、案の定御子神大佐と、篁唯依大尉。
唯依は厳しい顔で睨んでいたが、大佐は相変わらず飄々とした態度。



「・・・おたのしみのところ、邪魔して悪いなブリッジス。」

「え?、あ、・・・なッ?、ちょッ!」

「あんま野暮はしたくないんだが―――お蔭で漸く覚醒[●●]したか。
ビャーチェノワ、ちょっとチェックするから、このコードを強化装備のLANコネクタに繋いでくれ。」


クリスカの強化装備に結線したPDAで、バイタルの詳細チェックを始める大佐。

訳が判らず唯依を見れば、ギン、と睨まれた。


「・・・どういうコト・・・」

「・・・MIAを装っておいて、軍から敵前逃亡とはな。
更に米国・日本帝国からは、資産の奪取・窃盗、ソビエト連邦には、施設破壊、戦術機の破壊、燃料・弾薬の強奪、そして衛士の誘拐、―――それが現状貴様に掛かる嫌疑だ。
・・・・・・公に成ればな。」

「・・・・・・。」


orz――――――だろうな。

言われなくても理解している。
けど・・・言い訳なんかないさ。
同じ状況になったら、オレは何度でも同じ行動を取る。
逡巡も、そして後悔もない。
大佐に向き直る。


「―――お願いがあります。
オレはその後どんな罪で捕まるのも構いません。
けど・・・、クリスカに残された時間だけでも、一緒に居たいんです!」


・・・多分、あと1日もないのだろう。
それでも、同じ時を過ごした思い出があれば、生きて行ける。
・・・きっとお袋も、同じだったんだろうな。


「残された時間って・・・、ブリッジス、おまえあと70年も逃亡するのか?」

「はァ?!、―――違います! クリスカには機密漏洩防止措ch「知ってる。」・・・え?」

「想定外の事態にヒヤヒヤさせられたがな。
―――超簡単に言えば、ブリッジスの愛がビャーチェノワとシェスチナを救った、ってコトだ。」


3人で顔を見合わせる。


「・・・すいません、大佐。
もうちょっと詳しく・・・。」

「そうだな・・・。
まあ、真面目な話、第3計画を接収した第4計画は、内容を大まかに承知してたし、その後の極秘計画であるПЗ[ペー]計画についても、俺は内容をある程度把握していた。
ビャーチェノワやシェスチナの機密漏洩防止措置については、第3計画当時からあるからな。」

「あ・・・・・・。」

「第4計画には、シェスチナと同じ第6世代の社が居る。
社の場合、“母集団”が第4計画・・・つまり夕呼・・・香月副司令に設定されていたから今まで問題無かったが、何れにしろ既に対処した。」

「・・・そっか、既に経験があるんだ・・・。」

「勿論、外科的な切除処置や後付のインプラントと違って、成体の遺伝子改竄を修正するのが結構厄介だったのは確かだが、・・・横浜で神経細胞修復する合間に、特殊な自己増殖型のベクターによる遺伝子修復と、“再分化”と言う手法で細胞更新する対処はしていた。」

「!!、そんな事までしてたんですかッ!?」

「同じ処置を他で行うのは無理だが―――、“横浜”は違う。
公開情報ではないが、“横浜ハイヴ”にはBETAに捕獲された人が多数いたことを聞いたことがあるか?」

「・・・噂レベルですが、BETAが人体の調査や実験をしていたのではないか、とは。」

「・・・残念ながら、事実だ。
BETAの犠牲になった数十億という人の中で、最も凄惨と言える犠牲者たちだろう。
その数は横浜だけで数百人に及び、様々な実験や遺伝子操作の対象とされた。
ビャーチェノワやシェスチナは知っているが、横浜にはそこからの唯一の生還者も居る。
謂わばBETAが凄惨な人体実験の末に集めた膨大な人類の調査結果・人体や遺伝子の操作技術・・・それらもすべて“横浜”は鹵獲した訳だ。」

「ッ!!、BETA鹵獲技術ッッ!」

「その中には、当然アポトーシスやネクローシスに関わる情報もある。
なにせヤツらアポトーシスと“再分化”を使った人体の“変態”まで制御してた。

で、問題の第5世代用機密漏洩防止措置である自壊プロセスも、その在り方はプログラムされたアポトーシスの様態を取る。
だが、本来アポトーシス・プロセスは穏やかな細胞の更新をするためのもので、周囲の細胞にまで悪影響をおよぼすことはない。
そもそも自壊プロセスの説明に在る“壊死”と言う単語は、アポトーシスてはなくネクローシスと言う細胞の破壊死を指す言葉だ。
現在人類の生理学的知識では、ネクローシスは突発的に起きると考えられていたが、中にはプログラムされたネクローシスが存在することもBETAのデータから判明した。
つまり・・・ビャーチェノワに施された自壊プロセスは、それに該当する訳だ。

ここで通常細胞自身のアポトーシスは極めて複雑で、多様な作用が複雑にからみあっているから原因蛋白の特定が難しいんだが、逆にネクローシス・プロセスに絡む蛋白はかなり少なく、特定もそれ程苦労は無かった。
勿論、仕組みを知っている“横浜”でしか出来ないが、な。
それがFADD:Fas Asociated Death Domainと言われる特殊蛋白―――。

これ以上は更に専門的なんで端折るが―――要するに、2人を治療するに当たって、機密漏洩防止措置が組み込まれているのは判っていたから、遺伝子治療も実施した。
ただし成体の場合、全身60兆の細胞を一気に更新すると、重篤なショック症状を引き起こすので、その更新には約1ヶ月掛ける。
更にその遺伝子の更新が完了するまでの1ヶ月間については、先のネクローシス・プロセスを阻害するカウンター機構・・・これは主にミトコンドリアDNAに対してROS(活性酸素)耐性を向上することで自壊プロセスの発動を抑制する措置・・・を施した。」

「・・・じゃあ、・・・オレがこんなコト引き起こさなくても、クリスカは無事だった?」

「―――当初の予定では、な。
と言うか、そもそも二人を偏執的研究者の居るリスキーなユーコンなんかに戻す気はなくて、ブリッジスを原隊復帰させてそこに亡命させるつもりだった。

それが、・・・そう言うわけにいかなくなった。」

「え・・・?」

「組み替えた遺伝子について、核遺伝子の修正は問題なく発現したし、使われているインプラントを取り出せば済んだんだけどな。
ビャーチェノワは、そのカウンター機構に組んだミトコンドリア遺伝子が、発現していない[●●●●●●●]事が新潟戦後の検査で判明したんだ。」

「な・・・?」

「此方も晴天の霹靂―――完全に想定外だったんだが、・・・遺伝子の発現に条件が必要、つまり特定の状況でしか発動しない遺伝子って言うのがあるんだ。

実際人の遺伝子の90%以上は生涯発現しない謎遺伝子で、それは生命進化の過程を記録しているとも言われている。
胎児の時には指の間に水かきがあるのもその名残とされているし、時折起きる先祖返りも偶発的に謎遺伝子が発現したのではないかと推測されている。
例えば彼女たちの有するESP能力だって、その遺伝子を持っている人も居れば、持たない人も居るし、持っていても大多数は発現しないで生涯を終える。
彼女たちは、そういった中で発現しやすい人の遺伝子を更に人工的に発現確率を上げただけに過ぎない。」

「・・・・・・。」

「で、今回のネクローシス・カウンター機構を構成したミトコンドリア遺伝子は本来、普通に発現するはずだったんだがな・・・。
実はそこに発動条件が在ったということだ。」

「・・・・・・。」

[エキスパート]が調べてくれた結果―――その遺伝子が発現する鍵は、簡単に言えば本人の“意志”―――、生きたいという強い意志[●●●●]に関わるらしいんだ。」

「 ッッ!! 」

「普通は生命の持つ根源的な欲求であるはずの生への渇望が・・・多分、誰かの為とか、祖国の為とか、そんな理由付けのない、純然たる“生”への意志・・・それがビャーチェノワの場合、妙に希薄だった。
そしてこの本人の意志[●●●●●]ばっかりは、生命工学や、遺伝子操作でどうにかなるものじゃない。

―――だからベリャーエフに狙われるリスクも覚悟の上でユーコンに送り返したし、一連の逃亡にも此処迄なんの手助けもしなかった。

ビャーチェノワが、自ら望む生きたいという意志―――、それを引き出せるのはブリッジス、オマエしか居ないだろう?」


あぁ・・・そう言うことか。

確かにウェラーの話を聞いたときから違和感があった。
二人にとってユーコンは決して安全ではないはず、それを十分承知している筈の“御大[Great Colonel]”が、何故早々に送り返してきたのか、と。

そして―――その理由も納得してしまった・・・。

死ぬことさえ冷然と受け止めていたクリスカ自身は、つまり自ら生きるコトに全く固執していなかった。
自分の命は国家のために在ると納得し、イーニァのバディとしてのみの存在意義しか持たなかったクリスカには、自らの根源的な生への渇望が欠如していた。
それは、オレ自身も薄々感じていたのだ。


「―――!!ッ、じゃあ、もしかして夕べの・・・!!」

「―――心当たりが在るなら、多分そういう事だ。
・・・細かい詮索は馬に蹴られるからしないが、ビャーチェノワ自らが、生きることを強く望んだ。
ミトコンドリアは核細胞分裂とは別のサイクルで常時分裂融合を繰り返しているから、カウンター遺伝子が発現しさえすれば、FADDの欠失に関係なく即座にネクローシス・プロセスそのものを停止させる。」


昨夜・・・どこか生きることを達観していたようなクリスカが、初めて貴方と生きたいと、死にたくないと、感情を吐露して慟哭したのだ。

こうして3人で幾つもの危機を乗り越えて、そして漸く掴んだ生だからこそ、貴重で愛おしい、
残された時間を共に過ごす事しか出来ることはなく、従容と受け入れるしか無いと思っていた。

それでも生きることを切望した魂の慟哭―――それこそが、トリガーだったとは・・・。


その願いが、叶う―――?


「・・・でも記憶に混乱があったし、リーディングも出来ないって・・・」

「記憶については悪液質ってヤツだな。
アポトーシスと違い、ネクローシスは細胞壁の破壊を伴うから、色々な物質の血中濃度を増加させるため、謂わば末期癌のような様態を示す。
重い倦怠や悪心、意識レベルも阻害するし、酷いと朦朧としたりもする。

今細かくチェックしたが、ネクローシス・プロセスの進行は既に停止し、今までに破壊された細胞の残骸も問題ないレベルまで改善されつつある。
今後更に悪液質が緩和されるから、夕べより体調は良くなっている筈だが・・・どうだ?」

「は、・・・はい、そういえば、だいぶ楽になっています。」

「あと、リーディングに関しては、別の問題。
二人とも制御装置を外しただろ?
なので自衛措置で自動的にリーディングを抑制しているんだ。

第4計画には同じ第3計画の第6世代である社がいるから、その問題に関してはクリア済み。
神経細胞再生の過程で、社が抑制方法を無自覚領域にティーチングしておいてくれたはず。
それが徐々に発効されてきたから読めなくなったように感じるだけだ。
リーディングが本当に必要なときは、強く念じれば出来るようになる。」

「―――じゃあ、クリスカは・・・?」

「・・・ああ、もう大丈夫だ。
先刻も言ったが威張[ドヤ]っていいぜ、ブリッジス。
オマエの言葉で言えば、此処までのコトを為したからこそ、ビャーチェノワを救えた。
それは俺じゃない、此処迄粘り抜き最終的に共に生きたいと強く思わせたオマエだ。
生きる意志は当人の問題・・・こればかりは、技術云々でどうにも出来ないからな。

―――オマエとビャーチェノワ、そしてシェスチナは、自らが望む未来を、自分たちで掴み取ったんだ。」

「「「・・・ハイッ!」」」


二人を抱き上げて快哉を叫びたかったが、流石にここはじっと我慢・・・唯依の目が怖い。
それでも体の奥底からゾクゾクと滲み出てくる歓喜。
握りしめた両拳がフルフルと震える


「・・・能力[ちから]が無くなることは、ないの?」

「ないよ。
もうクスリも催眠も使わず、自分たちで“合一”できるだろう?
しかも、昨日はブリッジスまで含めて3P[●●]とはな。
それは、単純な脳細胞の活性化なんてレベルじゃない、君らの精神が獲得したスキル。
もうしっかり定着している。」

「・・・じゃあ、大佐がこのタイミングで来たのって?」

「データリンクでバイタルは監視していた。
通信で送れるデータ量は少ないんで、先刻細かくチェックしたけどな。

その様子から見て最悪、 mtDNA[ミトコンドリアDNA]が発現しなかった場合、今日の午にでもビャーチェノワは昏睡に陥ると予測していた。
そうなったら、外科的に自壊プロセスの影響を受けていない脳神経細胞を保全して別途再生するしかない。」

「え?・・・なら、最悪サンダークの提案通り “繭化”でも直せたってコトですか?」

「“繭化”ってПЗ[ペー]計画のか?
・・・まあ、俺が把握している術式通りの施術なら、横浜[こっち]の“保全”とかなり違うから微妙だったな。」


は?


「アレは本来戦術機の生体制御部品化する技術で、“個の資質”を保全する技術じゃない。
元の術式通りなら、記憶野も、感情を司る部位も、意志を持つ領域も全て不要とされ切除される。
そこから再生した身体は、確かに本人の遺伝子ではあるが、果たして同じ人格、自我が再現されるか何とも言えない。
・・・少なくとも記憶はないと想うぞ?」

「あ・・・。」


オレ達は顔を見合わせた。
少なくとも、クリスカについてはサンダークの提案を拒否って正解と言うことか。


「それに、クローンによる全身再生そのものにリスクが無いわけじゃない。
特に“能力[ESP]”に関しては偶発的要素が強い。
元々偶発的な遺伝子発現は、クローンによっても遺伝子が必ず発現するとは限らない・・・ようするに、ESP発現者は、クローンが困難なんだ。
第6世代の発現率が低いのは知っていると思うが、第5世代だって決して高くはない。
今回のように脳と身体の発現遺伝子が異なっていた場合、その齟齬が問題になるコトもある。
能力の弱化や喪失、最悪は拒絶反応に因る死亡も有り得るから、この手段は最後の賭け、ってとこだった。
そっちが安全確実ならとっくに遣ってるさ―――。」

「・・・・・・。」


様々なリスクを計り、結果としてオレに託された訳か・・・。
そして此処迄の道程を思う。
危機ではあったがこのプロセスが無ければ、そして何かが一つズレたら、クリスカを失っていたかも知れない。
昨夜の慟哭に至る、本当に細く解り難い一筋の途を選んできたという事なのだ。
・・・その末に辿り着いた結末―――。
僥倖を噛み締める・・・。


だが・・・。


「・・・けどなブリッジス、問題なのは―――お前だ。」

「あ」


やっぱり?
冷や汗がたらり。


「今も表向きはパーチ・クリークでシェスチナと訓練中MIAだ。
もうアルゴスも、ハルトウィックも裏の状況を知っているから、捜索隊も出ないけどな。
拐取されたビャーチェノワの救出、って事にするには、その後の逃亡が意味不明。
アルゴスの説得にも応じる様子はなかったと訊くし、それが筋立てて説明できないと現状では先刻篁が言った罪状が列挙される。」


Q√Z


そうだった。
御大[Great Colonel]”が来たってオレの状況が変わるわけじゃない。

ベリャーエフに拐取されたクリスカを奪還するために、皆を騙して戦術機を持ち出し、ソ連側エリアに入り込んで施設破壊。
サンダーク、更に追撃に当たった中隊規模を薙ぎ倒し、推進剤や弾薬も強奪。
アルゴスの皆の提案も振り切って、最後に繭化されたマーティカ・スイミィのT-50を撃破し此処まで来た。


「まあ、ブリッジスの取り得る選択肢としては4つ、か。
1・やっぱり米国に戻る
2・意を決してソ連に出頭する
3・意表をついて日本に行く
4・我を徹して彷徨う」

「・・・それって選択肢ですか」

「米国に戻るには、やはりソ連に強制略取された国連軍兵士の奪還を主張するしかないな。
まあ、被害者であるビャーチェノワやシェスチナの証言が得られるから、逃亡罪は推定無罪。
機密に関しては、XFJが完了した後の独自検討ということでPhase4から付けたことになっていて、問題なしってのはアルゴスに聞いて知ってるだろう?
まあ、ソ連はしらばっくれるだろうが、コレ以上の査察は上層部としても望ましくないはずだから、少なくとも施設破壊や戦術機強襲とチャラにするしか無いだろう。
米国にしてみれば、その彼女たちを救いソ連軍の追撃を振り切った英雄譚―――、だな。
迷走の理由は上手く考えることだな。」


楽しそうな“御大[Great Colonel]”にジト目を向ける。


「・・・それは選べません。
オレはクリスカとイーニァの在り方や今も在る祖国への想いを否定したくない。
ここまでの仕打ちを受けていても、二人にとってソ連は自分たちを生み出したてくれた祖国なんです。
オレはその想いごと、二人を受け入れるって決めた。
自分たちの事で米国の政治に利用されてソ連が貶められるのは望まない。
そして人体実験の証拠を得るとして、二人に強制調査とか確認とか行われれば、結局同じような状況になり、本末転倒。
ウェラーは今後の展望を語ってくれましたが、無防備にその途を選べば、クリスカやイーニァのリスクは寧ろ高くなる。」

「―――なるほど、それで仲間の説得にも応じずそのまま逃走か。
ならば逆にソ連に出頭すれば、それも高待遇だろうな。
不知火弐型Phase4、しかも第2世代アクティブ・ステルス、BETA戦線でこそ欲しい統合補給支援機構[JRSS]付き。
今のビャーチェノワやシェスチナはサンダークがПЗ計画で目指したひとつの理想形。
横浜のサポートを受けて既に自律制御ができ、安定性・再現性は言うまでもない。
ソ連に対する全ての罪は帳消し、凄腕の衛士として優遇される。」

「・・・マーティカにもサンダークにもしつこく誘われましたが、それもダメです。
何より不知火弐型Phase4を・・・、唯依の誇りを売るような真似は絶対出来ません。
サンダークにはXFJ無しでも構わない、とまで言われましたが、当面の障害が排除されていても、ソ連の権力構造上、クリスカとイーニァの能力を考えれば何れまた同じことが起こる。
二人を物のように扱うのも我慢出来ない。」

「嫁には過保護なヤツだな・・・。
なら日本に来れば・・・横浜だろうな。
F-22EMDを落とした英雄だから斯衛って線もあるか・・・。」

「・・・日本の立場はどうなるんですか?」

「フム・・・。
そういえばそうだな。
不知火弐型1号機はまだ帝国の財産だが、Phase4はボーニングが独自に進化、此方もそれを認めているから、協議事項。
書類上Phase4からアクティブ・ステルスが付き、ソビエトの哨戒部隊を向こうに回して逃げ切ったんだ、その扱いは揉めるだろうな。
まあ、国内のステルス信奉派は接収を望むだろうし、DIAとの駆け引き次第。
何れにしろPhase4がイキナリ日本に現れれば、荒れるのは必至、か。
ビャーチェノワやシェスチナは横浜で籍を抑えたが、国連軍出向とは言えブリッジスは原隊米国。
DIAがどんな未来を示したのか知らないが、大方次世代機開発関係だろう。
実際現時点で米国人唯一のXM3“レベル5er[ファイヴァー]”を国外に出すなど問題視されるのは確実。
一方のソビエトに関してもサンダークが居れば強引にも出れたが、どうもこの件の不始末と言う名目で配置換えが在ったようだし、二人はその突き抜けた能力を見せつけてしまったから、欲深いあの国なら尚も固執する所もあるだろう。
当然、何らかの政治決着を計る必要があるな。」

「・・・正直日本政府には何の借りもありませんが、それをすれば矢面に立つのは結局唯依や大佐になる。
オレの不手際で二人にそんなビハインドを強いるなんて死んでも出来ません―――。
結局・・・4番目・・・彷徨うしかないってことですね。」

「・・・律儀で損な性格だな。
まあ、こだわりや気遣いを優先するなら、致し方無し、か。

4番ね―――。

なら・・・当面カムチャッカの東海岸に忘れられた寒村がある。
シャノアが補給基地に使ってるんだけどな。
そこに難民や逃亡兵なんかが集まって隠れ里を作っている。
一応、ソビエトの地方軍司令には話を通して目こぼしてもらってる。」

「カムチャッカ・・・。」

「どうせこのご時世、所詮何処に行っても安定などない。
これは実際他の選択肢も同じだ。

今月末に公表されるが―――、第4計画は対BETA戦略の魁として、来月下旬に神槌作戦[Op.ミョルニル]を決行する。」

「オペレーション・ミョルニル?」

「H-1・・・オリジナルハイヴ殲滅作戦だ。」

「「「!!!」」―――来月ッ!?、しかもいきなりオリジナルハイヴですかッ!?」

「H-1が他の全てのハイヴを支配下に置いていることが判明したからな。
勿論、実戦証明を兼ねた前哨戦は佐渡だが・・・神槌作戦[Op.ミョルニル]は国連軍のみならず、全世界規模の人類が一丸となった一大反抗作戦となるだろう。
全世界同時に周辺ハイヴへの陽動が開始され、次いで国連横浜軍のタスクフォース他H-1降下部隊がスタブに侵入。
全てのハイヴの頂点、主幹反応炉“重頭脳級”の破壊を目指す。」

「・・・そんな全世界規模の作戦が・・・。」

「XM3の性急な全世界頒布も、新潟で実証・公開した装備の数々も、全てその為の布石だ。」

「・・・!!」



・・・そっか―――。

世界は・・・人類はそこまで切羽詰ってたって訳か。
最重要機密をバラ撒く信じられないような大佐の行動も、ウェラーの言った自分たちのリスク回避なんかじゃなく、本質はそのための布石ってことか。
その日[●●●]の、全世界の衛士生存率を上げ、BETA駆逐率を稼ぐため、破格とも言える条件でばら蒔いている・・・。

・・・恐らく唯依が突然横浜に引っ張られたのもそのせい。
前回インフィニティーズ戦でユーコンに戻ってきた時から、その覚悟まで違って見えたのは、唯依が既にそれを見据えていたからってことか・・・。
目指すものの違いが、決定的な差となって顕れていたんだな。

結局大佐や唯依は、ウェラーの言ってた国家の思惑や米国の国防なんかより遥かに上のレベルで動いていたわけだ。

だとすれば、そんな“御大[Great Colonel]”の顔色を気にして要らない気遣いをしているサンダークが滑稽に思える。
イデオロギーなど関係なく、“御大[Great Colonel]”は末端の衛士の為にXM3を頒布しているのだから、一国の上層部の思惑なんか一々構って対処することなどしない。
謀略ばっか気にしてるから、大きな意志が見えない愚者・・・って事か。

―――尤も意趣返しにソ連だけ新技術の公開分量を減らすくらい“御大[Great Colonel]”なら、これまた平気でヤリそうだが・・・。




全世界規模の人類反抗一大作戦・・・か。

・・・オレはなにも返せていないってのに。
クリスカやイーニァにすら還してもらってばかりだと気づいてしまったのに。
逃亡したまんまじゃ、何もできない―――。



「・・・参加したいか?」

「―――当然です!!」

「じゃあ話すが・・・実は第4計画では、一つの重大な危惧を抱いている。

「重大な危惧?」

「ああ―――。
例の行動予測プログラムに於いて推定されたBETAの今後として、この作戦の際エヴェンスクハイヴに新種のBETAが出現する可能性を探り当てた。
エヴェンスクの光線属種出現比率が、他のハイヴに比して極端に低いんだ。
カムチャッカ防衛戦に参加したことのあるオマエ等は心当たりがあるだろう?
―――その素材を使って、何か作っている、と。
的中する確率は50/50だが、素材から言って大型の光線級亜種、それが出現した場合この反攻作戦が瓦解する可能性が高いことも、な。」

「エヴェンスク・・・、って、カムチャッカの!?」

「・・・ああ。
決戦の際には、全世界規模の陽動が実施されるから、正規のソ連軍がこのエリアを担当するだろうが、そんなのが出現した日には、壊滅しかねない。
けれどその際、横浜から戦力を割くわけには行かない。
ブリッジスが4を選択すれば、どの道そこに集う兵士と共にその殲滅に向かうだろうな。」

「・・・遣ります―――やらせて下さいッ!」

「新種だから事前対策検討不能。
―――過酷・・・下手するとH-1潜行より損耗率が厳しくなるとしても?」

「構いません!
オレはまだこの世界に何も返せていない!」

「―――判った。
・・・ビャーチェノワやシェスチナはどうする?」

「私たちは、ユウヤの生きるこの世界を護ると決めています。
そしてユウヤと共に[●●]生きることを切望しました。
その望みが叶った今、その世界を・・・未来を護るために戦います。」

「・・・OK。
―――じゃ、辞令だ。」

「え?」

「ユウヤ・ブリッジス[]尉、クリスカ・ビャーチェノワ少尉、イーニァ・シェスチナ少尉。」

「「「 は 」」」

「貴君らは11月18日に遡って、国連太平洋方面第11軍・通称横浜軍に一時的に転属、それに伴いブリッジスは中尉昇格。」

「え?、は「「はいッ!」」」

「―――その上で、極秘任務を命じる。
神槌作戦[Op.ミョルニル]発動の折り、貴エレメントにてエヴェンスクハイヴに出現する新型BETAを殲滅、オリジナルハイヴ軌道降下部隊の安全を確保せよ。」

「―――は?」

「ちなみに、ダンバー准将には一応話を通した。
中尉昇格も含めてな。
・・・・・・本人が望むなら構わん、とさ。」


ニヤニヤ笑う大佐と、少し後ろでやれやれと呆れる唯依。



これは・・・。

―――つまり、俺とイーニァ、更にはクリスカの行方不明も極秘作戦の準備の為で、その新型をぶっ倒せばALL CLEARってことか?
新型BETAの殲滅に必要な過程だと、面倒なコトは全てぶっ飛ばせる、と。
ソ連区画の襲撃は自国の戦術機暴走で押し通して、クリスカの拐取も実質無しにしちまって、オレとは完全無関係。
MIA偽装ですら一ヶ月後に迫った全世界規模で実施する人類反抗作戦準備の為ってことにすれば、多少の無茶は通せる、って言うかこの大佐なら通す・・・だろうなぁ・・・。
ユーコンからエヴェンスクじゃ、距離有り過ぎで事態が判明してからじゃ間に合わないし、作戦の発動に合わせ、プロミネンスの試験小隊だって解隊されるだろう全世界規模の作戦ならば、予測に備え戦力を隠蔽しとくのは突入部隊の安全確保上必要だったと言えば良いだけ・・・。

けど、―――それならば、作戦完遂の後、堂々と原隊復帰出来る―――ってコトかッ!



クゥウッ!

どの選択肢を選んでも、きっと好きなようにさせてくれただろう。
けど、オレ的には選ばざるを得ない4番で、こんな展開が在るなんて!
なんか手の上で踊っていたみたいで釈然としないが、もう遣るしかねぇって事か!

そして得られる対価は、H-1の攻略=人類の未来。
それはクリスカとイーニァと共にある未来。

そう、ウェラーが示した未来予想図よりも、サンダークに諭された将来構想よりも、滅茶苦茶危険で死ぬ可能性だってずっと高いのに、何より現実感を感じられる新型BETAとの決戦―――。

これが、オレのリアル!



―――悪くない・・・。

それどころか、望みうる最上だ!



「―――はいッ!」

「・・・本当はもう少し穏便な道筋を描いていたんだがな。
本当に無茶しやがる。」

「「・・・申し訳ありません。」」


大佐の愚痴に、何故か唯依の謝罪が唱和[ハモ]った。
その唯依に呆れたように睨まれる。


「・・・まったく・・・[]の男共ときたら・・・。」


何故ここで唯依に怒られるのか、よく判らなかったが、逆らっちゃいけない・・・そう遺伝子が囁く・・・それだけは理解する。
額に指を当てる唯依に大佐が苦笑していた。



「―――で、だ。
ビャーチェノワとシェスチナは、コレを使え。
横浜で騎乗してた機体だから慣れてるだろ。
コールサインは〈Jörmungandr-02〉。」

「え?―――でもその機体にはG-コアが搭載されて居るのでは?」

「ああ、・・・追加装備もある。
ユーコン・トライアルで武の使ったガンブレードの要望が多かったんでな、今必死に量産化している。
見ての通り2機ともその仕様だ。
それと、新潟で篁が使っていたIRFGも搭載した。
タケミーと違ってエボ4だと、ちと制御が難しいんだが、武がそこそこモデル化しちゃったんでな。
タケミーより限定的になるが使いドコロはある・・・自分たちで模索してくれ。」

「「!!―――」」

「・・・おそらくそれほど[●●●●]の相手だって事だ。」

「!・・・判りました。」


オレには3人の会話が今ひとつ通じない。


「? G-コアとかIRFGって?」

「ああ、―――ビャーチェノワ、プロジェクションしてやってくれ。」

「Yes,Sir」

「―――え?、・・・な、・・・な!、・・・ナンじゃこりゃぁぁ!!」



規格外―――。

確かに唯依の言うとおり、まるで次元が違う。
これがハイネマンが想定し、サンダークが何を犠牲にしてまでも渇望し、新潟で垣間見せた“横浜”の魔術・・・BETA由来の技術か!
数字が大きすぎてまだピンと来ないが、既存の戦術機を遙か後方に置き去りにするスペック。
しかも、このIRFGに至っては―――ッ!


「ということで、ブリッジスの機体はこっち、因みにそいつも当然G-コア持ちな。
コールサインは〈Jörmungandr-01〉だ。
2機とも神槌作戦[Op.ミョルニル]時は、国際的に国連太平洋方面第11軍A-0大隊A-00概念実証試験中隊所属と認識される。
装備の詳細はビャーチェノワとシェスチナに教えてもらえ。
ブリッジスの機体には、オマエがPhase4で慣熟した高速空力仕様が一部織り込んである。
過不足は無いはずだ。」

「・・・はぁ。」


オレにもッ!?
余りのコトに状況についていけず、気抜けた返事になっちまった・・・。


「あと、名残惜しいだろうがXFJ 1号機Phase4は還してもらう。
帰属や装備が微妙なんで回収して極秘裏にユーコンに戻したことにしておかないと五月蝿いからな。」


背後に跪坐する機体を見やる。
試験機だから換装換装で元の部品が何処まで残っているかも判らないが、間違いなく俺が、そして唯依が全てを掛けた機体。
傷だらけのそのボディは―――此処まで共に来た勲章。


その感傷を振り切る様に、新しい機体を見上げる。

XFJ-01 Evolution4―――本来はハイヴ侵攻SPL。
基本的にはPhase3をベースとしているらしいが、レスポンスのケタが違う電磁推進器を装備しているだけに、空力や推進器廻りなどより特化した形状にシェイプされているわけだ。
二人の機体はトライアルで見た機体を複座にしただけだが、オレの機体はPhase4からのフィードバックと思われる改修が何点か見受けられた。

―――ちゃんと、Phase4をも受け継いでる。


そして

コイツは強い―――。
見た瞬間に底知れないポテンシャルを感じさせる。

その心臓部は世界中の軍部が垂涎するBETA由来のG元素利用技術―――G-コア。
一度、カムチャッカで俺が撃ったEMLさえ既に別の形で再現されている。
あの “新潟の奇跡”で唯依の見せた超絶機動が、クリスカとイーニァが見せた突撃級の衝角さえたたき斬る長刀が、そして白銀少佐と日本の姫将軍が5,000のBETA塊を撃破した電磁投射砲が、今手の内にある。


「一応G-11[グレイ・イレブン]アンプルは両機とも予備として10本ほど搭載してある。
武器を使わない戦闘機動継続時間は100時間ほど。
S-11弾以外の弾薬の補充は隠れ里で可能だから、余りソビエト正規軍を虐めるなよ。」

「・・・。」


100時間・・・もう出鱈目だ。
丸4日、戦えってか?
クリスカでさえその数字に驚いている。


「―――序に・・・この2機にはXSST譲りのステルス機能を搭載した。
ハイネマンの言う、アクティブ・ステルスの一種。
世代が幾つに当たるのか知らん。
まあ、相手の戦術機をハックするのではなく、戦域データリンクそのものに介入し支配してしまう。
戦術機に搭載できるレベルだから戦域情報全体を改竄すろようなことは出来ないが、自機についてなら戦域情報からも見えず、網膜投影すら欺瞞する。
強化装備のデータリンクは保持したまま、存在だけを欺瞞することも出来る。
システム特権使っているから、そこらのXM3正規版にも有効―――、戦術機に搭乗している限り視認もできない。
肉眼に関しては、流石に形状が変形する戦術機では光学迷彩が搭載できないから無理だけどな。
同じEvolution4か、“森羅”、あるいはXSSTが居ない限り戦術機相手なら“完全透明化”する。

ただし、同じように演算量を喰うIRFG発生時には作動しないから、新種BETA対戦時はどうせ晒すことになるが、その時にはもう必要ないだろう。

今回は一種の潜入ミッションだから必要なら、使え。」


―――確かにこんなのをいつも使っている大佐に、F-22のステルスなんか玩具の訳だ。


「―――作戦が完了してお互い無事なら、迎えに来る。」

「大佐―――。」

「なんだ?」

「・・・ついでに[●●●●]エヴェンスクハイヴ、―――ぶっ潰してしまっても構わないんですよね?」

「ふ・・・、ああ、構わん。―――嫁達の故郷くらいいずれ取り戻してやれ。
ハバロフスクなら、外縁に近いからH-1さえ墜とせばじきに奪還できるだろ。
エヴェンスクを潰せば更に近くなるからな。」

「―――ハバロフスク?」

「・・・違ったか?
第3計画絡みの施設があったトコと資料に在ったが・・・。」

「・・・。」

「往時で有名なランドマークは、・・・こんな建物だ。」


PDAに示された画像は、“Spaso-Transfiguration Cathedral”とあった・・・。
これは・・・!
クリスカがプロジェクションした金色の尖塔を持つ白亜の建物!

目を見開いてお互い見つめ合ったオレ達に、大佐はイイ笑顔でサムズアップした。



ふと、後ろで控えていた唯依がクリスカとイーニァの前にでる。


「クリスカ―――。」

「唯依・・・。」

「そんな顔をするな、貴様らしくない。
―――色々、しょうもない[(あに)]だが、ユウヤを頼む―――。」


何かをリーディングしたのか、クリスカが吃驚した表情を見せた。


「―――了解・・・した。」

「苦難の途だとは思うが・・・、クリスカ、どうか幸せに―――。」

「―――ありがとう、唯依・・・。」


しばしの逡巡の後、はにかんだような笑顔を見せる。
唯依はその笑顔に頷くと、更にイーニァに向く。


「イーニァも、ユウヤを宜しくな。」

「うんッ!」


無邪気な笑顔が弾けた。


Sideout



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