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No.35536の一覧
[0] 【チラ裏より】Muv-Luv Alternative Change The World[maeve](2016/05/06 12:09)
[1] §01 2001,10,22(Mon) 08:00 白銀家武自室[maeve](2012/10/20 17:45)
[2] §02 2001,10,22(Mon) 08:35 白銀家武自室 考察 3周目[maeve](2013/05/15 19:59)
[3] §03 2001,10,22(Mon) 13:00 白銀家武自室 考察 BETA世界[maeve](2012/10/20 17:46)
[4] §04 2001,10,22(Mon) 20:00 横浜基地面会室 接触[maeve](2012/12/12 17:12)
[5] §05 2001,10,22(Mon) 21:00 B19夕呼執務室 交渉[maeve](2012/12/06 20:40)
[6] §06 2001,10,22(Mon) 21:30 B19夕呼執務室 対価[maeve](2012/10/20 17:47)
[7] §07 2001,10,22(Mon) 22:00 B19夕呼執務室 考察 鑑純夏[maeve](2012/10/20 17:47)
[8] §08 2001,10,22(Mon) 22:30 B19夕呼執務室 考察 分岐世界[maeve](2012/10/20 17:47)
[9] §09 2001,10,22(Mon) 23:00 B19シリンダールーム[maeve](2012/10/20 17:48)
[10] §10 2001,10,23(Tue) 08:00 B19夕呼執務室[maeve](2012/12/06 21:12)
[11] §11 2001,10,23(Tue) 09:15 シミュレータルーム 考察 BETA戦[maeve](2013/01/19 17:36)
[12] §12 2001,10,23(Tue) 10:00 シミュレータルーム 考察 ハイヴ戦[maeve](2015/02/08 11:03)
[13] §13 2001,10,23(Tue) 11:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:23)
[14] §14 2001,10,23(Tue) 12:20 PX それぞれの再会[maeve](2012/12/16 23:01)
[15] §15 2001,10,23(Tue) 13:00 教室[maeve](2012/12/06 00:01)
[16] §16 2001,10,23(Tue) 13:50 ブリーフィングルーム[maeve](2013/05/15 20:03)
[17] §17 2001,10,23(Tue) 18:30 シミュレータルーム[maeve](2015/03/06 21:04)
[18] §18 2001,10,23(Tue) 22:00 B15白銀武個室[maeve](2015/06/19 19:23)
[19] §19 2001,10,23(Tue) 23:10 B19夕呼執務室 考察 因果特異体[maeve](2012/10/20 17:51)
[20] §20 2001,10,24(Wed) 09:00 B05医療センター Op.Milkyway[maeve](2015/02/08 11:06)
[21] §21 2001,10,24(Wed) 10:00 シミュレータルーム 考察 XM3[maeve](2012/12/06 21:17)
[22] §22 2001,10,24(Wed) 13:00 横浜某所 遺産[maeve](2012/11/10 07:00)
[23] §23 2001,10,24(Wed) 21:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:30)
[24] §24 2001,10,24(Wed) 22:00 B19シリンダールーム 暴露(改稿)[maeve](2013/04/04 22:05)
[25] §25 2001,10,24(Wed) 23:00 B19シリンダールーム 覚醒[maeve](2013/04/08 22:10)
[26] §26 2001,10,25(Thu) 10:00 帝都城 悠陽執務室[maeve](2016/05/06 11:58)
[27] §27 2001,10,26(Fri) 22:00 B19夕呼執務室[maeve](2016/05/06 12:35)
[28] §28 2001,10,27(Sat) 09:45 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:22)
[29] §29 2001,10,27(Sat) 11:00 帝都浜離宮茶室[maeve](2015/02/08 10:15)
[30] §30 2001,10,27(Sat) 12:45 帝都浜離宮 回想(改稿)[maeve](2012/12/16 18:30)
[31] §31 2001,10,27(Sat) 14:00 帝都城第2演武場[maeve](2015/01/23 23:26)
[32] §32 2001,10,27(Sat) 15:00 帝都城第2演武場管制棟[maeve](2016/05/06 11:59)
[33] §33 2001,10,27(Sat) 16:00 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:31)
[34] §34 2001,10,28(Sun) 10:00 帝都城第2演武場講堂 初期教導[maeve](2016/05/06 12:00)
[36] §35 2001,10,28(Sun) 13:00 帝都城来賓室[maeve](2016/05/06 12:00)
[37] §36 2001,10,28(Sun) 国連横浜基地[maeve](2012/11/08 22:20)
[38] §37 2001,10,29(Mon) 15:00  B19シリンダールーム 復活[maeve](2013/04/04 22:18)
[39] §38 2001,10,30(Tue) 10:00  A-00部隊執務室 唯依出向[maeve](2016/05/06 12:01)
[40] §39 2001,10,30(Tue) 11:00  B19夕呼執務室 考察 G元素(1)[maeve](2015/03/06 21:07)
[41] §40 2001,10,30(Tue) 15:00  A-00部隊執務室[maeve](2015/02/03 20:59)
[42] §41 2001,10,31(Wed) 10:00 シミュレータルーム[maeve](2016/05/06 12:03)
[43] §42 2001,10,31(Wed) 06:00 アラスカ州ユーコン川[maeve](2016/05/06 12:03)
[44] §43 2001,10,31(Wed) 10:00 司令部ビル 来賓応接室[maeve](2016/06/03 19:20)
[45] §44 2001,10,31(Wed) 12:00 ソ連軍統治区画内 機密研究エリア[maeve](2016/05/06 12:05)
[46] §45 2001,11,01(Thu) 13:00 アルゴス試験小隊専用野外格納庫 考察 戦術機[maeve](2016/05/06 12:06)
[47] §46 2001,11,02(Fri) 12:00 テストサイト18第2演習区画 E-102演習場[maeve](2016/05/06 11:50)
[48] §47 2001,11,02(Fri) 12:15 司令部棟 B05 相互評価演習専用指揮所[maeve](2016/05/06 12:06)
[49] §48 2001,11,03(Sat) 05:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/02/03 21:01)
[50] §49 2001,11,03(Sat) 09:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/01/04 19:23)
[51] §50 2001,11,02(Fri) 20:00 ユーコン基地[maeve](2016/05/06 12:07)
[52] §51 2001,11,03(Sat) 点景[maeve](2016/05/06 12:08)
[53] §52 2001,11,04(Sun) 07:30  A-00部隊執務室[maeve](2016/05/06 12:08)
[55] §53 2001,11,04(Sun) 20:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/06/19 19:45)
[56] §54 2001,11,05(Mon) 09:00 ブリーフィングルーム[maeve](2015/01/24 18:43)
[57] §55 2001,11,06(Tue) 10:00 帝都城第2連隊戦術機ハンガー[maeve](2015/06/05 13:06)
[58] §56 2001,11,07(Wed) 10:00 横浜基地70番ハンガー[maeve](2015/03/06 20:56)
[59] §57 2001,11,08(Thu) 14:00 帝都浜離宮来賓室[maeve](2015/09/05 17:29)
[60] §58 2001,11,08(Thu) 15:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(1)[maeve](2013/04/16 21:00)
[61] §59 2001,11,08(Thu) 15:30 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(2)[maeve](2015/01/04 19:04)
[62] §60 2001,11,08(Thu) 16:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(3)[maeve](2015/02/03 21:19)
[63] §61 2001,11,09(Fri) 11:05 新潟空港跡地付近[maeve](2015/10/07 16:50)
[64] §62 2001,11,10(Sat) 23:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/03/06 21:15)
[65] §63 2001,11,11(Sun) 05:50 燕市スポーツ施設体育センター跡[maeve](2015/06/19 19:48)
[66] §64 2001,11,11(Sun) 06:52 旧海辺の森跡付近[maeve](2016/06/03 19:25)
[67] §65 2001,11,11(Sun) 07:15 旧燕市公民館跡付近[maeve](2016/05/06 11:55)
[68] §66 2001,11,11(Sun) 07:24 連合艦隊第2艦隊旗艦“信濃”[maeve](2016/05/06 11:56)
[69] §67 2001,11,11(Sun) 07:44 旧新潟亀田IC付近[maeve](2015/09/11 17:22)
[70] §68 2001,11,11(Sun) 08:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 09:53)
[71] §69 2001,11,11(Sun) 08:15 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 10:00)
[72] §70 2001,11,11(Sun) 08:20 旧北陸自動車道新潟西IC付近[maeve](2014/12/29 20:34)
[73] §71 2001,11,11(Sun) 08:25 帝都上空[maeve](2015/08/21 18:44)
[74] §72 2001,11,11(Sun) 10:30 三条市荒沢R289沿い[maeve](2015/02/04 22:07)
[75] §73 2001.11.12(Mon) 09:30 PX[maeve](2015/09/05 17:34)
[76] §74 2001.11.13(Tue) 09:00 帝都港区赤坂 九條本家[maeve](2015/04/11 23:27)
[77] §75 2001,11,13(Tue) 10:30 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2015/12/26 14:19)
[78] §76 2001,11,13(Tue) 19:50 B19フロア 夕呼執務室 考察G元素(2)[maeve](2016/05/06 12:19)
[79] §77 2001,11,14(Wed) 09:00 講堂[maeve](2016/05/06 12:25)
[80] §78 2001,11,15(Thu) 22:22 B15 通路[maeve](2016/05/06 12:31)
[81] §79 2001,11,15(Thu) 15:00(ユーコン標準時GMT-8) ユーコン基地滑走路[maeve](2015/10/07 16:54)
[82] §80 2001,11,16(Fri) 10:15(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/09/05 17:41)
[83] §81 2001,11,16(Fri) 10:55(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト18[maeve](2015/10/07 16:57)
[84] §82 2001,11,16(Fri) 16:30(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/05/31 10:24)
[85] §83 2001,11,16(Fri) 21:00(GMT-8) リルフォート歓楽街 “Da Bone”[maeve](2015/10/07 17:03)
[86] §84 2001,11,17(Sat) 17:00(GMT-8) イーダル小隊専用野外格納庫 衛士控室[maeve](2015/06/20 23:51)
[87] §85 2001,11,18(Sun) 17:20(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト37 幕間?[maeve](2015/05/31 20:15)
[88] §86 2001,11,18(Sun) 22:00(GMT-8) アルゴス試験小隊専用野外格納庫[maeve](2016/05/06 11:46)
[89] §87 2001,11,19(Mon) 13:00(GMT-8) ユーコン基地 居住区フードコート[maeve](2015/06/19 20:13)
[90] §88 2001,11,19(Mon) 18:12(GMT-8) ユーコン基地 演習区外米国緩衝エリア[maeve](2015/12/26 14:23)
[91] §89 2001,11,19(Mon) 18:50(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/12/26 14:25)
[92] §90 2001,11,19(Mon) 20:45(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/10/07 17:13)
[93] §91 2001,11,19(Mon) 21:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画[maeve](2015/10/07 17:15)
[94] §92 2001,11,20(Tue) 03:30(GMT-8) ソビエト連邦租借地 ヴュンディック湖付近[maeve](2015/08/28 20:32)
[95] §93 2001,11,21(Wed) 14:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画内 総合司令室[maeve](2015/10/07 17:20)
[96] §94 2001.11.22(Thu) 03:00(GMT-8) アラスカ州ランパート付近[maeve](2015/12/26 14:28)
[97] §95 2001.11.23(Fri) 18:00(GMT+9) 横浜基地 B20高度機密区画[maeve](2015/08/28 20:08)
[98] §96 2001.11.24(Sat) 15:00 横浜基地 B17 A-00部隊執務室[maeve](2016/06/03 19:39)
[99] §97 2001.11.25(Sun) 02:00(GMT-?) 某国某所[maeve](2015/12/26 14:33)
[100] §98 2001.11.25(Sun) 13:30 横浜基地 北格納庫管制制御室[maeve](2016/06/04 14:06)
[101] §99 2001.11.25(Sun) 18:00 横浜基地本館 メインバンケット モニタールーム[maeve](2015/10/31 14:40)
[102] §100 2001.11.26(Mon) 06:30 横浜基地本館 ゲスト棟[maeve](2016/05/06 11:44)
[103] §101 2001.11.26(Mon) 17:15 横浜基地 モニタールーム[maeve](2016/05/15 12:14)
[104] §102 2001.11.27(Tue) 06:00 国連横浜基地 第2グランド[maeve](2016/06/03 19:42)
[105] §103 2001.11.28(Wed) 09:00 国連横浜基地 XM3トライアル V-JIVES[maeve](2016/05/14 13:10)
[106] §104 2001.11.28(Wed) 17:00 国連横浜基地 米軍割当外部ハンガー ミーティングルーム[maeve](2016/06/04 06:10)
[107] §105 2001.11.28(Wed) 17:40 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2016/06/10 23:26)
[108] §106 2001.11.28(Wed) 18:00 国連横浜基地 Bゲート付近 〈Valkyrie-04〉コックピット[maeve](2019/03/26 22:16)
[109] §107 2001.11.28(Wed) 21:00 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2019/03/30 00:03)
[110] §108 2001.11.28(Wed) 21:00(GMT-5) ニューヨーク レストラン “Par Se”[maeve](2019/06/30 17:55)
[112] §109 2001.11.29(Thu) 09:00(GMT-5) ニューヨーク国連本部 安保緊急理事会[maeve](2019/05/05 21:16)
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[35536] §78 2001,11,15(Thu) 22:22 B15 通路
Name: maeve◆e33a0264 ID:341fe435 前を表示する / 次を表示する
Date: 2016/05/06 12:31
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Side 晴子


その夜、珠瀬を見かけたのは、ホントたまたまだった。
もっと正直に言えば、最初は猫を幻視したのだけど・・・。

もう22時過ぎ、明日も過酷な訓練であるコトを思えば、早く眠った方がいいのは理解している。
その日は、本当になんとなく[●●●●●]、フラリと散歩して個室エリアまでもどってきた時。
ふと通路の角に猫を見た様な気がした。
この基地内機密区画に?、と追った少し先には珠瀬が歩いていた。

最初は声を掛けようとしたが、何しろこんな時間、何やらありそうな予感。
好奇心がむくむくと湧き上がり、つい、後をつけてみることにしたのだ。


―――それが私の運命をも変えてしまうとは思っても居なかった。





何気なく珠瀬の追えば、すぐに行き先は上級士官の私室エリアに入る。
むむ・・・。
まさか・・・白銀少佐との逢い引きか?

向かった先にふとそう思うが、珠瀬は彼の個室前を素通りした。
次の角を曲がった先でノックの音、そして角から覗いた時には閉じかける扉。

殆ど何も考えず、或いは運命に誘われるままに、私は咄嗟にその扉に滑り込んでしまった―――。





「遅かったな、珠s・・・柏木!?」


室内に居たのは、御剣ほか元207Bのメンバー全員・・・に加え、うさ耳を付けた少女の姿。
その長い耳がピコピコ動いた。
確か社臨時少尉・・・副司令の研究補佐をしてたはず?
時折機密区画のPXで、白銀少佐と喫食していた光景を見たことがある。
アーンについては・・・何も言うまい。
他のメンバーは御剣の言葉に私を振り返り、すこし驚いたような顔をしている。
特に、後をつけられていた珠瀬は、すぐ背後に居た私に目を丸くしていた。


「・・・なんか、お邪魔しちゃったかな・・・?
パジャマトーク?
恋バナ女子会?」

「・・・なんで柏木来たの?」


・・・相変わらず彩峰はストレート。


「ん―――メイワクなら帰るけど・・・なんでかな。
珠瀬を見かけて声を掛けようとしたら此処に着いただけなんだけど・・・。

そうね―――うまく言えないけど、乗り遅れる[●●●●●]様な気がしたんだよねェ。
・・・逆に聞くけど・・・みんなこそ、こんな遅くどうしたの?
彩峰達なんかは明日早くからユーコンに遠征って聞いたけど・・・?」


閉じかけるドアに“〆切り”を連想したのはホント。
珠瀬が居ることで変なことではないと直感したし、ここが確か鑑の部屋、と言うことも頭にあった。
顔を見合わせる面々。


「我等は・・・純夏に乞われたのだ。
大事な話がある、と。」


その鑑は私の顔を見て、仕方なさそうに笑った。


まったく、タケルちゃんてば・・・。


幽かに聞こえた呟き。
スマン、少佐―――なんかフラグ立てたみたい・・・。



「しょーがないなぁー、もー。
・・・ま、いっか、柏木さんも対象といえば対象だし・・・。」

「は??」

「じゃ、始めるね、『第1回 タケルちゃんの全嫁[ All the Brides Of Takeru](予定)会議』を!」

「「「 な? 」」」 「 え? 」 「・・・ん」 「ウム!」 「・・・。」


ちょっと・・・と言うか、かなり吃驚。
承知なのは鑑と御剣、あと社、かな。
他は驚いた声をあげた。
・・・彩峰は知らん。


「・・・柏木さんも、拡大婚姻法・・・知ってるでしょ?」

「あ・・・ああ。
男子ひとりに、女子8人・・・って何!?
ここに居るのって、皆そういう事ッ!?」

「うん。
だから、タケルちゃんの嫁(予定)。
でも、今からする話は、そんなお気楽な話じゃなくて、思い切りダークサイドだから・・・。
―――みんなも、心して。
多分、聞いたら戻れない―――。」

「「「「 な? 」」」」 「・・・ん」 「「・・・。」」


茶化そうにも、鑑の思い詰めた様に真剣味を帯びた表情がそれを許さない。


「・・・話を聞いちゃうと、それは副司令の実施している極秘計画の最高機密に該当するんだ。
同じ覚悟を持ってタケルちゃんと居る、と言うならわたしは彼方くん[御子神大佐]の許可を得ているから護ってあげられる。
でも、その覚悟がないなら、今、ここで降りて[●●●●●●]欲しい・・・。」

「「「「「・・・。」」」」」


押し黙る。
副司令の機密―――それは軍でもトップシークレットに当たるのだろうことは想像に難くない。
となれば、副司令の対応次第で最悪秘密裏に処分される事もありうると言うことだ。
A-01が機密部隊とは言え、元は連隊規模の部隊だったハズが、少佐や大佐が来るまでは僅かに一個中隊規模だった。
ここのところ大規模な戦闘はなく、横浜基地という立地からもむしろ帝国軍に護られている様な状態なのに、A-01だけは別・・・それにしても幾ら何でも損耗率が激しすぎた。
横浜ハイヴ攻略時には、人の脳髄が沢山残っていて、副司令がその研究を引き継いでいるという怪談話さえある。
魔窟とさえ呼ばれる横浜基地で、最も昏い深淵が副司令の“秘密計画”であることは間違いない。
鑑の言葉は、それに触れると言うことだ。


「・・・選ぶ為の情報はもらえない、って事なのね、それ。」


榊が問う。


「その情報自体が機密に当たるから無理。
世の中には、人の思考が読める能力者の存在も確認されているから、聞いてから黙っているという選択肢も上げられない。」

「「「・・・。」」」

「―――そのように難しく考えるでない。
武と今後も共に在りたいか、それとも今スッパリと諦めるか、―――それだけなのだ。
私は何があろうと、自分の心に嘘はつけぬ。
・・・だからここにいるのだ。」

「フ・・・そうだったわね。
単純に言えば、それだけね。
・・・なら私は残るわ。」

「先に言われた。
でも同じ、私も残る―――。」

「私も残りますゥ!」

「ボクも!」


そして皆の目が私に向く。
このドアに入っちゃったばっかりに、イキナリ究極の選択を迫られるとは!

―――けど、冷静に考えれば、乗り遅れたらこの選択肢すら与えられなかったのだろう。


白銀武・・・、か―――。

ふと思う。
世界的に有名な“白銀の雷閃[シルバー・ライトニング]”なる二つ名持ち。
余りに隔絶した技量の持ち主だった故に、憧れこそ抱いたが、今までそういう対象として考えたこともなかった。

でも・・・。
単騎世界最高戦力とも言われ、それに悖らぬ技量を持つ佐官でありながら、厳しいのは教導中だけ。
普段は歳相応に気さくで、決して威張ることもなく、・・・そして甘い。
A-01では、何時も宗像中尉に弄られ、速瀬中尉に絡まれている・・・笑顔で。
先日任官と成ったこの207B分隊が、直属のA-00に配属となった事を正直羨ましく思った。

・・・そう、そんな白銀武の傍に居る自分の姿がいとも容易く想像が出来たのだ。
その中で、私は笑っていた。
一方・・・。
他の男性と一緒になる自分を想像をしてみたが、まるでイメージが湧かない。
別に知っている男性が他に居ないわけでもないのだが、例えば同じような御子神大佐を考えても、私が傍に居るという情景が欠片も浮かばなかった。


・・・ならば、そういうコトなのだろう。



幻視した[タマ]に誘われて運命の扉とか、何処の寓話[FABLE]だと思う。
でも、それが運命ならば、乗ってみるのも悪くない。


「・・・判った、残るわ。」

「「「「・・・」」」・・・そう、ちょっと気分的には複雑だけど、私達もまだ新参だし、宜しくね。」


本当に複雑そうな表情で榊が返す言葉に、私は微笑んだ。












「・・・で、どういう話なのだ?」

「うん―――。
細かい話は色々在るんだけど、徐々に解ってくると思うから結論だけ先に簡単に言うと、
―――タケルちゃんはこの世界で極めて特殊な存在なんだ。」

「・・・それは承知しているわね、あの技量は考えられないわ。」

「人外。」

「神様です。」

「・・・でも純夏さんの言いたいのはそこ?」

「・・・鎧衣さん正解。
勿論、特殊な存在だからこそ、あそこまで天元突破したって言うのもあるけど、ここで言うのは、副司令の提唱する“因果律量子論”的に一つの特異点[●●●]、って言うコトなんだよ。」

「「「「「・・・。」」」」」

「・・・タケルちゃんは、BETAとは全く関係なく、この世界を消失させてしまうかも知れない存在―――。」

「「「「「・・・。」」」」」

「・・・頭湧いてる?と思われても仕方ないけど、これは彼方くんが予測し、わたしが“森羅”として弾きだした一つの帰結だよ。」

「「「「「 !! 」」」」」


鑑の言葉は真剣だった。
あの御子神大佐が予測し、鑑が“森羅”として結論付けたと言い切る。


「そして、タケルちゃんが世界を消失する、その結末を回避する為にここにいる全員の協力が必要―――、わたしはそう判断した。
正直言えば、柏木さんもその因子を持つ可能性があるから、参加を認めた。

・・・でも、一方でそれをみんなにお願いすることは、想像も出来ない負荷を負わせることにもなる・・・。
今なら降りられる、・・・だからもう一度訊くね?

本当に―――その覚悟はある?―――」

「・・・私の命はそなたに預けたのだ。」

「・・・当然ね。」

「問答無用。」

「・・・大丈夫です!」

「退けないよね、今更。」

「・・・はぁ、重いわね。
―――でもそれが運命の重さなら賭けてみるのも悪くないかな。」

「・・・・・・ありがとう・・・。」


鑑は泣き笑いの表情で深く頭を下げた。












その30分後―――。

私たちは打ちのめされた。

呆然とする榊・彩峰。
天を仰ぎハラハラと声もなく哭く御剣。
小さなテーブルに突っ伏した珠瀬に、頭を抱える鎧衣。





「・・・これは、何なの?」


尋ねる私の声も震えていた。
悲痛な表情の鑑と、悲しげな瞳に涙を浮かべたうさ耳、それでも凛然と前を向く二人。


「・・・これが、この世界[●●●●]の真実・・・。今まで辿ってきた歴史[ループ]、その全てに於ける、各々の記憶[●●●●●]だよ。」


意味は判る。
繰り返される場面。
重複する記憶。


「どうやってそんなものを・・・?。」

「“森羅”―――00ユニットっていうのは、本来副司令の因果律量子論に基づき、虚数空間、言い換えればこの世界のアカシックレコード[●●●●●●●●●]に至る為の装備なの。
隔絶した計算能力も数多の世界を繋げているから発揮できるんだよ。
勿論かなり限定的で、出来ない事のほうが多いから、こんな記憶を引き出せるのはタケルちゃんと縁の深かった人に限定されるけど・・・。
元々アカシックレコードにあったみんなの記憶が“特異点”であるタケルちゃんに付随していて、それを渡したって言えばいいのかな。」

「そんなコトが出来るんだ・・・。」

「“プロジェクション”と言う“森羅”の能力の応用なんだよ。
因みにこの辺の情報は全部計画絡みのトップシークレット。
間違っても副司令や、タケルちゃん本人にも知っていると知られないほうがいい・・・。

記憶を渡せるのは正確に言うと、この前クリスカさんとイーニァちゃん・・・ビャーチェノワ少尉とシェスチナ少尉が行っている並列同調効果:ナストロイカって言うのを、参考にしたんだよ。
霞ちゃんの協力で特定の条件に当てはまる人には、その現象を任意に起こす事が出来るようになった、と言うことなんだけどね。
・・・簡単に言うと、わたしの意識と一体化することで、わたしが持っていたみんなの記憶因子を渡した。
尤も個人的な記憶因子は本人じゃないと解らないので、わたしも其々の中身は知らないから安心して。」

「・・・けど、これは・・・。」


それ以上言葉が出ない。


「・・・まだ混乱していると思うけど、みんなに渡したループの中を、タケルちゃんはずっと辿ってきたんだよ。
そして、タケルちゃんが死ぬと、再び起点、今年の10月22日に戻る・・・。
“特異点”であるタケルちゃんは、今も、そういう存在なんだよ。」

「「「「「「 !!!ッ 」」」」」」





そして鑑が語ったそれは、正しくお伽話じみていた。


BETAに囚われた鑑の資質。
喪われた白銀。
壊された鑑の身体と精神。
狂気。
G弾、G元素。

それらによって喪われた白銀を他の世界[●●●●]から強引に引き込んだのが、“超因果体”だった鑑。

そしてその事で“因果導体”と成った白銀は、ループの起点となり、この世界を繰り返し繰り返し生きてきたという。
今渡されたのは、その全てのループに於ける私達の記憶。


「・・・純夏・・・一つ教えて欲しい。
別の世界から引き込んだ武、と言うのは、この世界の武とは別人、と言うことなのか?」

「・・・彼方くんに言わせると、根源の魂魄は同一だって。
肉体は一度BETAに壊されたかも知れない。
冥夜が肉体も同じではなければ別人、と言うのなら、タケルちゃんも、私も、それからループしているみんなも全部別人、となる。
けど、記憶も人格の一部だと言うなら、この世界の記憶も持っている今のタケルちゃんは、間違いなく“同じ”タケルちゃん―――。
そして、少なくとも前のループであ号標的を撃ったのは、紛れもなく今のタケルちゃん。
・・・何よりも冥夜の魂は、タケルちゃんを偽物だと思った?」

「・・・愚かだな私は。
見せかけの肉体など唯の入れ物、武の魂は同じ、それ以外の何者でもない―――な。
・・・今の問い、忘れるがよい―――。」

「多分、記憶は膨大でまだまだ整理がつかないと思うから、仕方ないんだよ。
無意識に世界をねじ曲げたわたしが言うのもなんだけど、そもそもわたし如きにねじ曲げられてループし続けているこの世界の状況がおかしいの。
もし意識してそんな事が出来るなら、とっくに直してるんだけど。」


苦笑するしか無い。
そんな力が意識して使えるなら神様だ。


「一応、解りやすく言うと、わたしが此処横浜基地に現れず、G弾によるハイヴ総攻撃とバーナード星移民計画が実施されたのが、タケルちゃんの言う、“1周目”の記憶群。
これは何十周、何百周と在るから全部ごっちゃになって細かくは解らないと思うけど、多分、その記憶群には、様々なパターンがあると思う。
みんなにも其々にタケルちゃんと結ばれた記憶もあれば、それを見ていた記憶、更には移民船に乗った事もあるかも知れないし、“大海崩”を経験して尚、戦い続けた記憶もあるかもしれない・・・。

―――それら全てが、この世界が辿ったかも知れない確率分岐の世界、あり得た過去、あるいは未来の一つの姿。」

「「「「・・・・・・。」」」」


確かに私にも、白銀と結ばれた記憶がある。
―――それも、何通りも。
刹那的には甘い、ほんのささやかな幸せも在った。
だが、果てはその全てが崩壊していく世界の記憶そのもの。
国を喪い流れるか、移民船で諍いながら漂うか。
悲しみが、絶望が全てを塗りつぶす世界・・・何れにしてもとても再び辿りたい記憶とは言えなかった。

そして、みんなと照らし合わせれば、その記憶に齟齬がないのだ。
記憶の中に居る皆には、やはり同じ系列の記憶が全員にあった。


「・・・そしてタケルちゃんがXM3を発案し、12月にクーデターが起きるのが、“2周目”の世界―――。」


みんなの顔が歪む。
そう、それは、一番新しく、一番鮮烈で、一番生々しい記憶―――。

“1周目”が過酷で悲惨な世界なら、“2周目”は凄惨で壮絶な世界―――。

私の記憶で言えば、この先12月24日の“甲21号作戦”まで。
先の新潟戦までにも幾人もの先任を亡くし、この後同期の高原や築地を喪い、神宮司教官までもが殉職となる。
かくいう私自身も甲21号作戦展開中、佐渡で凄乃皇弐型の護衛に残った後、最期の記憶は管制ユニットを突き破る巨大な衝撃・・・。


「・・・柏木さんは甲21号作戦の結末以降を知らないだろうから簡単に言うと、甲21号は伊隅大尉が凄乃皇弐型を自爆させて佐渡島ごと消滅。」

「なッ!?」


周囲のみんなが俯く。
同じ記憶を全員が有しているのだ。


「・・・けれど、その4日後に佐渡の大深度地下に残っていた数万のBETAが反応炉に向け、ここ横浜を襲撃、基地は大半の機能・装備を喪失、その際速瀬中尉、涼宮中尉が殉職。
他の先任A-01メンバーは全員重傷―――。
その混乱の中で、12月31日にオリジナルハイヴ攻略“桜花作戦”が決行された・・・。」

「!!、オリジナルハイヴ? え、だって今先任は皆重傷って・・・」

「・・・ハイヴ潜行し、重頭脳級“あ号標的”の破壊に向かったのは、今ここに居る元207Bの皆と社嬢、そして武の8名なのだ。
武と純夏・社嬢は、凄乃皇四型、他は殿下と私の警護小隊から借り受けた武御雷にて出陣した。
その時の横浜基地にはマトモな不知火すら残されていなかった―――。」

「・・・無謀でしょそれ? なんでそんな無c「仕方がなかったんだよ・・・」・・・。」

「・・・その時の00ユニットは今ほど効率よくなかったから、機能を保持する為に必要な“循環流体”の確保をここの反応炉に頼っていたんだよ。
佐渡で凄乃皇弐型が擱座したのも、この“循環流体”の劣化が原因。
でも本来BETAの機能を保持する“循環流体”は、一方では情報伝達の役割も持っていて、そこから00ユニットが有していた人類の戦略がBETAに漏洩したことがその時になって初めて判明した・・・。」

「なッ・・・!!」

「・・・だから人類の戦略が、凄乃皇四型が有効なうちに、BETAの総司令塔であるオリジナルハイヴの重頭脳級“あ号標的”を破壊できなければ、人類の敗北が決定的と成る・・・。」


衝撃的な鑑の言葉。


「・・・そんな事が・・・。
結果は・・・?」

「全人類を挙げた反抗作戦は、膨大な犠牲の上にA-04と私達がオリジナルハイヴ潜行に成功。
でも・・・私と彩峰は30万のBETA流入を防ぐためにS-11で自爆したわ。」

「・・・30万・・・。」

「ん、・・・タイミングは合ってた?」


余りの数と、あっさり自爆と言う榊に呆然とする私に、軽く彩峰が問い、鎧衣が応える。


「ウン、バッチリだったよ。
ボクと壬姫さんは、その後、門級っていうBETAの破壊と隔壁閉鎖のために残って、そこで・・・、ね。」

「あんな大きなBETA、反則ですッ!」


軽く言うが、そこでBETAの中に没したということか・・・。


「・・・最後に残った私が、あ号標的の触手攻撃から四型を守り、最後は荷電粒子砲で、私の武御雷ごとあ号を破壊してもらったのだ。」

「えッ!? タケルが冥夜さんごと撃ったの? 荷電粒子砲を?」


先に戦死した者は、結末を知らない訳で、鎧衣が訊く。
確かに、あの甘い白銀が御剣を犠牲にするのは腑に落ちない。


「ウム―――。
その時私はあ号の触手に全身が侵蝕されていて、既に助かる状態ではなかったのでな・・・。
・・・光に包まれた事が最期の記憶だ。」

「・・・わたしもその時はもうほとんど意識もなくて、しかも横浜ハイヴが破壞されて機能の維持に必須な循環流体が切れたから、帰還途中で完全機能停止―――。
わたし自身の記憶はそこまでなんだ。」

「・・・無事に基地まで帰還したのは、ワタシと、武さんだけです。
そして武さんは、帰還した次の日、元の世界に還りました・・・。」

「「「「「「 なッ!? 」」」」」」


最終的に驚愕の結末を語ったのは、社。
みんなも死んだ後のこと、記憶にはない結末。


「・・・そう、タケルちゃんを因果導体にして、わたしに辿りつくまでずっとループさせていたのは、無意識領域のわたし・・・。
そのわたしが、・・・わたしの意識が完全に消えたことで、タケルちゃんは、元の世界に戻った。
そして、この世界は“2周目”にわたし達が辿った歴史のまま、続いていく・・・筈だった[●●●●]。」








「・・・何が起きたのだ?」

「・・・その前に一つ訊かせて欲しい。
オリジナルハイヴに潜行して、誰に言われるまでもなく、相談する事もなく、みんな同じことを思っていたんだよね?
タケルちゃんを、タケルちゃんだけは護る―――って。

榊さんや彩峰さんが自爆しても、残った3人はニセのマーカーまで作って、最後まで生きているように見せかけた。
壬姫ちゃんや鎧衣さんとの通信が途絶しても、冥夜は通信が在るように欺瞞した。

誰が決めるでもなくそう成った。
残ったものが、そうした。
勿論誰かが死んだことを知ってタケルちゃんが折れてしまえば凄乃皇四型も墜ち、人類の希望は絶える。
凄乃皇のコントロールを受け持つタケルちゃんを最優先させる状況も理解できる。

でも、タケルちゃんの・・・好きな人の為に死ぬことって、幸せだと思わなかった?」

「・・・1周目の悲惨な状況よりは、達成感は在ったわね。」

「少し返せた。」

「精一杯、やりました。」

「・・・満足だったかな。」

「・・・・・・私は・・・今際の際、愛する者の手で逝きたいと武に願った。
それが叶ったのだ、後悔など無い。」

「・・・わたしも幸せに成りたかった。
でも、タケルちゃんが幸せになるなら、それでもいいやって思ってたんだ。」








「・・・私はイヤだな、そう言うの・・・。」

「「「「「・・・え?」」」」」

「・・・例えば御剣、私が佐渡で死んだ時、どう思った?」

「・・・む・・・、勝手に死におって、と、余裕を教えると言っていたでは無いかと、思ったな。」

「同じことでしょ?
残された方は、堪らないわよね。
それも6人分も・・・。
・・・ま、私も人のこと言える立場じゃないけど・・・特に白銀だと引き摺りそうだよね・・・。」

「「「「「 あ 」」」」」

「・・・柏木さんの言うとおりなんだよ。
霞ちゃんが先刻言ったように、大部分の[●●●●]タケルちゃんは、元の世界に戻った。
でも、前のループの結果に、どうしても納得が行かなくって、喪った私達に拘泥して、他の大部分が元の世界に戻った後もこの世界に残ったタケルちゃんの想い―――。
それを核にして、今までの全てのループや、因果導体解放後に確率分岐したタケルちゃん達、今のループのBETAに殺されるまでの記憶をも統合した、因果特異体[●●●●●]が新たなループを生じさせた―――それが、今のタケルちゃん―――。

―――この世界は“因果特異体”であるタケルちゃんを起点に今も閉じちゃっているんだよ。」


“因果導体”とかからは解放されたのに、白銀だけがその傷を引きずって戻れるはずの世界にも戻らず、再びループを繋いでしまうほどに、喪ったものが大きすぎた訳か・・・。
この世界を閉じたループにしてしまったのは、武の心に生きていたいという強烈な我儘を通した私たち自身、と言う事になる。

死ぬ者の方が幸せ。
想う人を守り、想う人の手で逝ける。
しかし立場を変えてみれば、それは残された者の心情など考慮せぬ究極の我儘。




「―――でもでも、“桜花”の時は本当にギリギリで、他に選択肢はなかったですゥ・・・。」

「―――うん。
そうなんだよね。
わたしも、別にわたし達は悪くないと思うんだよ。
死んだわたし達なんかほっといて、タケルちゃんが元の世界に戻れば新たな未来が拓けたんだから。
わたしたちはそれで良いって納得してたしね。」

「・・・ウム。」

「・・・そう言われればそうね。」

「そだね。」

「そうですッ!」

「だよね。」

「・・・それは結局、白銀がヘタレ[●●●●●●]ってコト?」

「そう!
それが言いたかったの!
タケルちゃんは究極のヘタレなのッ!


―――でもわたしはそれ[●●]にスッゴク感謝してるの!
そんなタケルちゃんが、何よりも大事なの!
タケルちゃんが、引き摺って、拘って、諦めきれなかったからこそ、“現在”が、あるの!

―――タケルちゃんが・・・わたし達に、この世界に、最後のチャンス[●●●●●●●]を与えてくれたとも言えるんだよ?」

「「「「・・・あ」」」」


白銀の甘さ、ヘタレッぷり故に起きた今のループ、それが最後のチャンス[]


「私達が追い込まれたのは、つまりそれはそういう状況に陥った前提が間違っているということだよね。
元の世界に戻ったタケルちゃんも残した心を認識していたみたいで、周囲で一番チートだった友人を、自分が戻った反動で送り返してきた。
それが、―――彼方くん・・・。」

「・・・今の状況が、記憶にある嘗てのループと違い、余りに好転しているのは、そのお陰・・・か・・・。」


冥夜の言葉にみんなが同意した。

純夏の話によれば、今回はその最悪の状況を脱しつつある。
確かに、今までのループにはない存在、御子神大佐がいらっしゃる。
純夏の言う元の世界に還った武が送り返してくれた反則級の存在。
最悪の状況が変わりつつあるのは確かだった。


「唯、彼方くんは今回限りのイレギュラーだから、もう一度ループが起きればもう存在しない。
そうなれば、次は恐らく00ユニットも完成しない1周目の様なループに陥る。
それはもう喪い続ける無限ループ・・・タケルちゃんの精神が持つと思う?」


・・・考えるまでもない。
そこまで拘泥したみんなを延々と失いつづける繰り返し。
当然ヘタレの白銀が耐えられる訳がない。
そして世界を閉じている存在が精神崩壊したら・・・、恐らく世界は消失するだろう。


「・・・武がこの世界で死んだら、その無限ループに入る、と言うことなのだな?」

「タケルちゃんだけじゃないんだよ。
タケルちゃんが拘って、守りたかったみんな・・・、喪ってしまった親しい人たち・・・。
その誰かが欠けただけで、ループが生じるかも知れない。」

「「「「「 !! 」」」」」

「な・・・つまり武は・・・今の状態なら、私達の誰かが死んだ時点で壊れてしまうと言うのかッ!?」

「うん・・・。
そこまでヘタレで、ワガママなの、タケルちゃんは!
自分が前回取り零した人を、誰も喪わない事だけを望んでいる―――。」

「「「「・・・。」」」」

「・・・でも、それは逆に言えば、一種の“呪縛” 。
仕方なかったとは言え、わたし達の“死”がタケルちゃんをこの世界に縛り付けてしまった結果―――。


わたしは、その呪縛からタケルちゃんを開放したい・・・。
どんなにヘタレでも、わたしたちに拘り、この世界を救いたいと足掻き続けている今のタケルちゃんを!

このままじゃいずれタケルちゃんの魂は、この閉じた世界と一緒に消失してしまうんだよ!!」

「「「「「・・・・・・。」」」」」」






「―――でも、わたしだけじゃ、ダメなの!

足りないッ!!



・・・みんなにループの記憶を戻すことが、どんなに酷い事かも判ってた。
真実を知ったコトで、色々思うこともある筈・・・。
元を正せば、無意識とは言え世界をねじ曲げたのはわたし・・・。
だけど、―――今の状況を完全に理解して貰うには、こうするしか無かった。
わたしの事ならどんなに恨んでもいい―――。

でも、タケルちゃんを、この世界を救うには、みんなの協力がどうしても必要なのッ!!



だから・・・。




―――おねがい・・・、力を貸して・・・!!!」















「―――純夏・・・私を・・・我等を無礼るでない。」

「―――冥夜・・・。」

「・・・むしろ―――そなたに心よりの感謝を。
―――私は武を愛しておる・・・愛する者の力になりたいと思うのは当然であろう?
その機会を与えてくれたそなたに感謝こそすれ、恨むなど有り得んぞ?」

「―――私もお礼を言うわ。
確かに白銀はヘタレだけど、・・・ホント筋金入りのヘタレね。
―――そこまで行くと、逆に愛しいわ。」

「ん、最大級に感謝。
そんなに拘泥してもらえるのは、むしろ女冥利。」

「知らせて貰って嬉しいですゥ。
武さん、可愛いッ!」

「覚悟は在るって言ったんだし、今も在る・・・純夏さんが気に病む事じゃないよ。
そしてボクたちが逆にタケルを助けることが出来るなんて最高だよ!」

「・・・私もその中に居れることが、凄く嬉しいとおもってるんだけど・・・?」



「―――ありがとう!!」











「しかし・・・前のループ、確かに我等には柏木の言う余裕が無かった様だ。
それを此度は学ばねばならん。
柏木の参入は、僥倖かも知れんな・・・。」

「記憶を貰った私たちは、“桜花”を経験しているせいか、逆に白銀に入れ込み過ぎる嫌いがあるから、一歩退いた立場の意見は有り難いわね。」

「・・・柏木、白銀好き?愛してる?」

「う、え?、あ・・・、―――そうね。
好き、・・・かな。」

「なら、仲間ですゥ。」

「宜しくね!」

「・・・多分、なんだけどタケルちゃんに重い因果を残しているのは、“2周目”のループでタケルちゃんが喪った人たち、それに霞ちゃんと副司令までだと思うんだ。
でも、副司令と神宮司教官は、彼方君が引き受けてくれたことで、大分因果が解けているみたいに感じる。
実際前回喪った柏木さんは、むしろ此処に加わってくれて凄く嬉しい。」

「・・・そうなると、残るは伊隅大尉、速瀬中尉、涼宮中尉・・・であろうな。」

「大尉は好きな人が居るみたいだし、速瀬・涼宮中尉はライバルだって茜が言ってたね。」


サクっとA-01情報を暴露する。


「ウム、実質それほど接点のなかったA-01の内情に通じる者が居るのも良いな。」

「・・・今のまま行ければ、大尉達は大丈夫だと思う・・・。
今年のクリスマスまでには、オリジナルハイヴを攻略する予定だから。」

「そうか、それは重畳。」


方針は決まった。
協力もする。
―――で?


「・・・ところで、私達が白銀を救うって、具体的には何をすれば良いの?」


私が切り出す。


「簡単に言うと、タケルちゃんと仲良くなって、たくさんエッチして、心繋げて欲しい。」

「「「「 え? 」」」」

「わたしが態々みんなの記憶を渡さなくても、タケルちゃんには好意を持ってくれてるから、何れはそうなったかも知れない・・・。
でも悠長なことはしていられないし、ちゃんと状況を認識してもらうためには、こうするのが一番だと思った。」

「それはそうね。
なんで鑑が私達までけしかけるか、ずっと疑問だったし。」

「それはタケルちゃんと目指して欲しい事があるの。
“合一”・・・って言うんだって。
先刻言ってた並列同調効果[ナストロイカ]って言うのは、その合一を人為的に行った結果の人格の融合状態を示すみたい。
霞ちゃんの力を借りて、わたしがみんなと部分的に“合一”することで、記憶因子を共有したんだ。
合一中は人格や記憶が融合し、凄い力が得られることもあるみたいで、実際紅の姉妹は、戦闘中その状態を維持することで、数秒先の未来を観ることが出来る。」

「「「「・・・。」」」」


なるほど、それが紅の姉妹の秘密か。
知ったところで対処の仕様がない、厄介な能力。
でも何故白銀との“合一”を目指すの?


「元々魂は“完全”な形じゃなくで、欠けたところを埋めようとする情動があるんだって。
そして互いに欠けたところを求め合う・・・。
私とタケルちゃんの適合率が高いのは確かだけど、みんなも相当高いはず。
じゃなければ、こんなにすぐ惹かれたりしないでしょ?」

「・・・ウム、魂から惹かれ合ったのだな―――。」

「そして適合率が高いと、先刻みたいにわたしや霞ちゃんのサポートが無くてもセックスする事で、いずれその境地に至れるんだよ。
互いに信頼と愛情を深めるには、むしろサポートとか邪魔でしょ?
みんなと合一に至れれば、喪い続けて無意識に世界に呪縛されちゃったタケルちゃんも、その呪縛を外すことができると思うの。
完全合一に至れば、記憶や能力の共有とかも出来るらしいし。
そして全ての呪縛が外れれば、タケルちゃんは世界の“特異点”では無くなる・・・。」

「なぜ外すことが出来るのだ?」

「―――“合一”に至ることは、謂わば“永遠”を得ること。
物質[エレメント]の世界だけでなく、精神[アストラル]魂魄[イデアル]の世界で繋がることだから。
拘泥したわたしたちとの“永遠”が得られれば、もう拘る必要が無くなる。
それが私達の“死”に囚われ閉じちゃったタケルちゃんの、“無意識の世界”を変えられる。」

「―――そういう事か・・・。」

「・・・それでこのタイミングなのね、ユーコン遠征前の・・・。」

「・・・そっか、肉体で餌付け。」

「あうあう・・・本当に孫、出来ちゃいますゥ。」

「・・・良いかも♪、・・・こんどこそだね!」

「彼方くんが、タケルちゃんに避妊の気功を掛けて呉れているから、妊娠については年内大丈夫だよ。
年明けたら、出来ちゃっても全然問題ないし・・・。

因みに、みんなでこんな画策していることは知られないほうがいいと思う。
基本このABOT[武の全嫁]会議の内容は、部外秘。
タケルちゃんとは“完全合一” に至ればお互い隠し事も出来なくなるけど、それまではループの記憶を得たことも言わないほうがいい。」

「心得た。」

「そうね、変に気を回されても困るわね。」

「ん・・・。」

「了解です。」

「うん解った・・・、ゴメンね、晴子さん、ボク達だけ先に・・・。」

「私は最後発だから、その辺は構わないわ。」

「柏木さんは、アプローチから始めないとね。」


鑑がそう言ってくれる。
―――普通ならライバルで恋敵だと思うのだけど・・・。
案外いい関係なのかも知れない。


「・・・それなんだけどさ、とりあえず印象だけはつけたいから、明日行く前に告ってもいい?
ほら、私完全に出遅れてるじゃん。
ま、殿は殿なりに、前を煽ったりしないからさ。」

「構わぬ。」

「まあ、良いんじゃない?」

「無問題。」

「応援しますゥ」

「協力するよ!」


うん・・・。
こうなった以上、早めに意識だけでもさせたい。
どうせ鑑の言う“合一”に至ることだって、そうそう簡単にできることじゃないはず。


「・・・ところで、素朴な疑問なんだけど、社嬢―――、大丈夫なの?」

「「「「 あ 」」」」


皆の顔が引き攣る。
ここに居ると言うことは彼女も“嫁”。
好きな人が炉裏と言うのは確かに微妙・・・?。


「・・・大丈夫です・・・。
身体がまだ成熟していないので、リアル[●●●]では2,3年待って貰う事になります。
でも、“合一”はバーチャル[●●●●●]でも可能なので・・・。」


耳がぴくぴく動き、透き通る様な白い頬がうっすら桜色に染まる。


「・・・霞ちゃんと副司令は、前回も喪っていないからそこまで縛りきつくないし、大丈夫なんだよ。
―――あ、あと、記憶を得ると、ループの中で得ていた技量は重畳されるみたいだから気を付けてね。」


鑑が少し強引に話を変えた。
バーチャル云々には色々興味を惹かれるものはあるが・・・今は、その内容に突っ込まない方が賢明だろう。


「技量の重畳?」

「辿るルートは同じでもループごとに状況は違うから、経験値は上がるんだってタケルちゃんが言ってた。
だから、今のみんなは、少ない人でも出撃回数200以上に相当するハズだからね。」

「「「出撃回数・・・」」」

「「「200以上―――?」」」

「「「「「なんじゃそりゃーッ!!」」」」」







「・・・まあ、戦術機の技量が上がるのは吝かでないから良しとしよう。
だが、しかし―――、これ以上の参入を認めるわけにはいかんな。」

「・・・柏木が人数的にも滑りこみセーフね。」

「・・・だね。」

「にゃはは!」

「ウンウン。」

「・・・。」


今思えば、先刻降りなくてホント良かった。

神宮司大尉と香月副司令は、御子神大佐が抑えてくれていると言ってた。
そういえば最近副司令も穏やかだし、神宮司大尉も肌艶が見違えるように良くなったのは、そういう事か。
篁大尉も・・・今更白銀には靡かないだろう。
ビャーチェノワ少尉とシェスチナ少尉は、ユーコンに帰り相手が居るという。


「A-01の動向は、柏木に任せればいいわよね?」

「あー、うん・・・。」


伊隅みちる大尉・・・、それに遠乃優莉少尉・相原美沙少尉はどうやら同じ男性に懸想中。

涼宮遙中尉・速瀬水月中尉、そして涼宮茜も同じなんだけど、こっちはおそらくA-01の先任で、明星作戦で亡くなっている可能性が高い。
まだ引き摺っていそうだから、当面は除外。

辻村晶代中尉、高原眞美、麻倉美波は既に特定の相手持ちと見た。

風間祷子少尉、宗像美冴中尉と、築地多恵は・・・・訳わからん。
ここが・・・不明ね。


「・・・そういう意味では、不明要素はあるけど、当面の問題は無いかな・・・。」

「引き続き警戒頼むわね。」

「りょーかい。」



「・・・そして最大の問題は、此度のユーコンであるな。」

「・・・マズいわね。
参加は小隊単位で既に50と聞いたわ。
世界的に見ても積極的に参加してくる最前線国家は軍も女性比率が上がっているから、その60%以上が女性―――。」

「混ぜるな危険。」

「ガードですぅ。」

「チェックだね。」


あ―――、確かに・・・。

聞いたところによると今回のXM3トライアル―――まあ実戦証明も済んでいるのだから、デモンストレーションでも構わないのだが、模擬戦メインに成ることから、敢えてトライアルとしたらしい。
世界・・・欧州や中東、ソ連と言った最前線で戦い続ける猛者に、白銀を放り込むのだ。

到底遅れを取るコトなど有り得ないだけに、その手の誘惑も多そうだ。




「冥夜さん・・・。」


ふと、[うさ耳]が御剣に声を掛けた。


「ウム・・・そなたに感謝を。
忝ないが私は此処で中座する・・・許すがよい。

ユーコンでのコトはそなたらに一任するしかないのでな。
武運がそなたたちと共に在らんことを祈ろう。」

「・・・わかったわ。」

「ん・・・。」


御剣はそれだけ言うと、そそくさと部屋を後にした。



「・・・なんなんですかァ?」

「なにか用事なのかな?」

「・・・タケルちゃんが戻ってきたの。
明日からの機体のチェックとか、彼方くんと一緒に全員分、全部やるって・・・。」

「「「「・・・。」」」」

「いいなぁ、愛されてるねぇ。」

「―――でね、今晩は冥夜の番なんだ。」

「な」

「あ」

「え」

「!」

「・・・そういう事か・・・。」

「みんなは、ユーコンから帰って来たら、だね。
代わりにユーコンの基地や周辺情報、プロジェクションしてあげるよ?
篁大尉や、彼方くん情報だから、超正確。
日程は比較的緩いから夕方からは自然素材が食べ放題!
デートコースもバッチリ!
今の時期はもう冬至に近くて真昼でも日没時みたいな感じだけど、運がよければオーロラが見られるかも知れないって!
もってけドロボー!」



・・・なるほど。

鑑の願うみんなの協力―――。

それは、BETAと戦うコトとは全く別次元、つまり白銀に幸せを感じて貰うコト。
辛く厳しいBETAとの闘争の中でつい忘れがちになり、余裕が無いと置き去りにされるコト。

その為には、みんな其々が心から幸せを感じていなければならないのだ。
個別に恋の鞘当てをし、いがみ合っていたら辿りつけないだろう。

だから、ABOT[武の全嫁]会議、か―――。



でも―――悪くはない、な。

私はもう一度、みんなと一緒に白銀の傍で微笑む自分を思った。


Sideout


 ※ “合一”についての彼方的説明は§49内に在ります。蛇足まで。



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