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No.35536の一覧
[0] 【チラ裏より】Muv-Luv Alternative Change The World[maeve](2016/05/06 12:09)
[1] §01 2001,10,22(Mon) 08:00 白銀家武自室[maeve](2012/10/20 17:45)
[2] §02 2001,10,22(Mon) 08:35 白銀家武自室 考察 3周目[maeve](2013/05/15 19:59)
[3] §03 2001,10,22(Mon) 13:00 白銀家武自室 考察 BETA世界[maeve](2012/10/20 17:46)
[4] §04 2001,10,22(Mon) 20:00 横浜基地面会室 接触[maeve](2012/12/12 17:12)
[5] §05 2001,10,22(Mon) 21:00 B19夕呼執務室 交渉[maeve](2012/12/06 20:40)
[6] §06 2001,10,22(Mon) 21:30 B19夕呼執務室 対価[maeve](2012/10/20 17:47)
[7] §07 2001,10,22(Mon) 22:00 B19夕呼執務室 考察 鑑純夏[maeve](2012/10/20 17:47)
[8] §08 2001,10,22(Mon) 22:30 B19夕呼執務室 考察 分岐世界[maeve](2012/10/20 17:47)
[9] §09 2001,10,22(Mon) 23:00 B19シリンダールーム[maeve](2012/10/20 17:48)
[10] §10 2001,10,23(Tue) 08:00 B19夕呼執務室[maeve](2012/12/06 21:12)
[11] §11 2001,10,23(Tue) 09:15 シミュレータルーム 考察 BETA戦[maeve](2013/01/19 17:36)
[12] §12 2001,10,23(Tue) 10:00 シミュレータルーム 考察 ハイヴ戦[maeve](2015/02/08 11:03)
[13] §13 2001,10,23(Tue) 11:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:23)
[14] §14 2001,10,23(Tue) 12:20 PX それぞれの再会[maeve](2012/12/16 23:01)
[15] §15 2001,10,23(Tue) 13:00 教室[maeve](2012/12/06 00:01)
[16] §16 2001,10,23(Tue) 13:50 ブリーフィングルーム[maeve](2013/05/15 20:03)
[17] §17 2001,10,23(Tue) 18:30 シミュレータルーム[maeve](2015/03/06 21:04)
[18] §18 2001,10,23(Tue) 22:00 B15白銀武個室[maeve](2015/06/19 19:23)
[19] §19 2001,10,23(Tue) 23:10 B19夕呼執務室 考察 因果特異体[maeve](2012/10/20 17:51)
[20] §20 2001,10,24(Wed) 09:00 B05医療センター Op.Milkyway[maeve](2015/02/08 11:06)
[21] §21 2001,10,24(Wed) 10:00 シミュレータルーム 考察 XM3[maeve](2012/12/06 21:17)
[22] §22 2001,10,24(Wed) 13:00 横浜某所 遺産[maeve](2012/11/10 07:00)
[23] §23 2001,10,24(Wed) 21:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:30)
[24] §24 2001,10,24(Wed) 22:00 B19シリンダールーム 暴露(改稿)[maeve](2013/04/04 22:05)
[25] §25 2001,10,24(Wed) 23:00 B19シリンダールーム 覚醒[maeve](2013/04/08 22:10)
[26] §26 2001,10,25(Thu) 10:00 帝都城 悠陽執務室[maeve](2016/05/06 11:58)
[27] §27 2001,10,26(Fri) 22:00 B19夕呼執務室[maeve](2016/05/06 12:35)
[28] §28 2001,10,27(Sat) 09:45 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:22)
[29] §29 2001,10,27(Sat) 11:00 帝都浜離宮茶室[maeve](2015/02/08 10:15)
[30] §30 2001,10,27(Sat) 12:45 帝都浜離宮 回想(改稿)[maeve](2012/12/16 18:30)
[31] §31 2001,10,27(Sat) 14:00 帝都城第2演武場[maeve](2015/01/23 23:26)
[32] §32 2001,10,27(Sat) 15:00 帝都城第2演武場管制棟[maeve](2016/05/06 11:59)
[33] §33 2001,10,27(Sat) 16:00 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:31)
[34] §34 2001,10,28(Sun) 10:00 帝都城第2演武場講堂 初期教導[maeve](2016/05/06 12:00)
[36] §35 2001,10,28(Sun) 13:00 帝都城来賓室[maeve](2016/05/06 12:00)
[37] §36 2001,10,28(Sun) 国連横浜基地[maeve](2012/11/08 22:20)
[38] §37 2001,10,29(Mon) 15:00  B19シリンダールーム 復活[maeve](2013/04/04 22:18)
[39] §38 2001,10,30(Tue) 10:00  A-00部隊執務室 唯依出向[maeve](2016/05/06 12:01)
[40] §39 2001,10,30(Tue) 11:00  B19夕呼執務室 考察 G元素(1)[maeve](2015/03/06 21:07)
[41] §40 2001,10,30(Tue) 15:00  A-00部隊執務室[maeve](2015/02/03 20:59)
[42] §41 2001,10,31(Wed) 10:00 シミュレータルーム[maeve](2016/05/06 12:03)
[43] §42 2001,10,31(Wed) 06:00 アラスカ州ユーコン川[maeve](2016/05/06 12:03)
[44] §43 2001,10,31(Wed) 10:00 司令部ビル 来賓応接室[maeve](2016/06/03 19:20)
[45] §44 2001,10,31(Wed) 12:00 ソ連軍統治区画内 機密研究エリア[maeve](2016/05/06 12:05)
[46] §45 2001,11,01(Thu) 13:00 アルゴス試験小隊専用野外格納庫 考察 戦術機[maeve](2016/05/06 12:06)
[47] §46 2001,11,02(Fri) 12:00 テストサイト18第2演習区画 E-102演習場[maeve](2016/05/06 11:50)
[48] §47 2001,11,02(Fri) 12:15 司令部棟 B05 相互評価演習専用指揮所[maeve](2016/05/06 12:06)
[49] §48 2001,11,03(Sat) 05:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/02/03 21:01)
[50] §49 2001,11,03(Sat) 09:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/01/04 19:23)
[51] §50 2001,11,02(Fri) 20:00 ユーコン基地[maeve](2016/05/06 12:07)
[52] §51 2001,11,03(Sat) 点景[maeve](2016/05/06 12:08)
[53] §52 2001,11,04(Sun) 07:30  A-00部隊執務室[maeve](2016/05/06 12:08)
[55] §53 2001,11,04(Sun) 20:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/06/19 19:45)
[56] §54 2001,11,05(Mon) 09:00 ブリーフィングルーム[maeve](2015/01/24 18:43)
[57] §55 2001,11,06(Tue) 10:00 帝都城第2連隊戦術機ハンガー[maeve](2015/06/05 13:06)
[58] §56 2001,11,07(Wed) 10:00 横浜基地70番ハンガー[maeve](2015/03/06 20:56)
[59] §57 2001,11,08(Thu) 14:00 帝都浜離宮来賓室[maeve](2015/09/05 17:29)
[60] §58 2001,11,08(Thu) 15:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(1)[maeve](2013/04/16 21:00)
[61] §59 2001,11,08(Thu) 15:30 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(2)[maeve](2015/01/04 19:04)
[62] §60 2001,11,08(Thu) 16:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(3)[maeve](2015/02/03 21:19)
[63] §61 2001,11,09(Fri) 11:05 新潟空港跡地付近[maeve](2015/10/07 16:50)
[64] §62 2001,11,10(Sat) 23:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/03/06 21:15)
[65] §63 2001,11,11(Sun) 05:50 燕市スポーツ施設体育センター跡[maeve](2015/06/19 19:48)
[66] §64 2001,11,11(Sun) 06:52 旧海辺の森跡付近[maeve](2016/06/03 19:25)
[67] §65 2001,11,11(Sun) 07:15 旧燕市公民館跡付近[maeve](2016/05/06 11:55)
[68] §66 2001,11,11(Sun) 07:24 連合艦隊第2艦隊旗艦“信濃”[maeve](2016/05/06 11:56)
[69] §67 2001,11,11(Sun) 07:44 旧新潟亀田IC付近[maeve](2015/09/11 17:22)
[70] §68 2001,11,11(Sun) 08:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 09:53)
[71] §69 2001,11,11(Sun) 08:15 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 10:00)
[72] §70 2001,11,11(Sun) 08:20 旧北陸自動車道新潟西IC付近[maeve](2014/12/29 20:34)
[73] §71 2001,11,11(Sun) 08:25 帝都上空[maeve](2015/08/21 18:44)
[74] §72 2001,11,11(Sun) 10:30 三条市荒沢R289沿い[maeve](2015/02/04 22:07)
[75] §73 2001.11.12(Mon) 09:30 PX[maeve](2015/09/05 17:34)
[76] §74 2001.11.13(Tue) 09:00 帝都港区赤坂 九條本家[maeve](2015/04/11 23:27)
[77] §75 2001,11,13(Tue) 10:30 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2015/12/26 14:19)
[78] §76 2001,11,13(Tue) 19:50 B19フロア 夕呼執務室 考察G元素(2)[maeve](2016/05/06 12:19)
[79] §77 2001,11,14(Wed) 09:00 講堂[maeve](2016/05/06 12:25)
[80] §78 2001,11,15(Thu) 22:22 B15 通路[maeve](2016/05/06 12:31)
[81] §79 2001,11,15(Thu) 15:00(ユーコン標準時GMT-8) ユーコン基地滑走路[maeve](2015/10/07 16:54)
[82] §80 2001,11,16(Fri) 10:15(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/09/05 17:41)
[83] §81 2001,11,16(Fri) 10:55(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト18[maeve](2015/10/07 16:57)
[84] §82 2001,11,16(Fri) 16:30(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/05/31 10:24)
[85] §83 2001,11,16(Fri) 21:00(GMT-8) リルフォート歓楽街 “Da Bone”[maeve](2015/10/07 17:03)
[86] §84 2001,11,17(Sat) 17:00(GMT-8) イーダル小隊専用野外格納庫 衛士控室[maeve](2015/06/20 23:51)
[87] §85 2001,11,18(Sun) 17:20(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト37 幕間?[maeve](2015/05/31 20:15)
[88] §86 2001,11,18(Sun) 22:00(GMT-8) アルゴス試験小隊専用野外格納庫[maeve](2016/05/06 11:46)
[89] §87 2001,11,19(Mon) 13:00(GMT-8) ユーコン基地 居住区フードコート[maeve](2015/06/19 20:13)
[90] §88 2001,11,19(Mon) 18:12(GMT-8) ユーコン基地 演習区外米国緩衝エリア[maeve](2015/12/26 14:23)
[91] §89 2001,11,19(Mon) 18:50(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/12/26 14:25)
[92] §90 2001,11,19(Mon) 20:45(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/10/07 17:13)
[93] §91 2001,11,19(Mon) 21:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画[maeve](2015/10/07 17:15)
[94] §92 2001,11,20(Tue) 03:30(GMT-8) ソビエト連邦租借地 ヴュンディック湖付近[maeve](2015/08/28 20:32)
[95] §93 2001,11,21(Wed) 14:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画内 総合司令室[maeve](2015/10/07 17:20)
[96] §94 2001.11.22(Thu) 03:00(GMT-8) アラスカ州ランパート付近[maeve](2015/12/26 14:28)
[97] §95 2001.11.23(Fri) 18:00(GMT+9) 横浜基地 B20高度機密区画[maeve](2015/08/28 20:08)
[98] §96 2001.11.24(Sat) 15:00 横浜基地 B17 A-00部隊執務室[maeve](2016/06/03 19:39)
[99] §97 2001.11.25(Sun) 02:00(GMT-?) 某国某所[maeve](2015/12/26 14:33)
[100] §98 2001.11.25(Sun) 13:30 横浜基地 北格納庫管制制御室[maeve](2016/06/04 14:06)
[101] §99 2001.11.25(Sun) 18:00 横浜基地本館 メインバンケット モニタールーム[maeve](2015/10/31 14:40)
[102] §100 2001.11.26(Mon) 06:30 横浜基地本館 ゲスト棟[maeve](2016/05/06 11:44)
[103] §101 2001.11.26(Mon) 17:15 横浜基地 モニタールーム[maeve](2016/05/15 12:14)
[104] §102 2001.11.27(Tue) 06:00 国連横浜基地 第2グランド[maeve](2016/06/03 19:42)
[105] §103 2001.11.28(Wed) 09:00 国連横浜基地 XM3トライアル V-JIVES[maeve](2016/05/14 13:10)
[106] §104 2001.11.28(Wed) 17:00 国連横浜基地 米軍割当外部ハンガー ミーティングルーム[maeve](2016/06/04 06:10)
[107] §105 2001.11.28(Wed) 17:40 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2016/06/10 23:26)
[108] §106 2001.11.28(Wed) 18:00 国連横浜基地 Bゲート付近 〈Valkyrie-04〉コックピット[maeve](2019/03/26 22:16)
[109] §107 2001.11.28(Wed) 21:00 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2019/03/30 00:03)
[110] §108 2001.11.28(Wed) 21:00(GMT-5) ニューヨーク レストラン “Par Se”[maeve](2019/06/30 17:55)
[112] §109 2001.11.29(Thu) 09:00(GMT-5) ニューヨーク国連本部 安保緊急理事会[maeve](2019/05/05 21:16)
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[35536] §76 2001,11,13(Tue) 19:50 B19フロア 夕呼執務室 考察G元素(2)
Name: maeve◆e33a0264 ID:341fe435 前を表示する / 次を表示する
Date: 2016/05/06 12:19
'15,02,15 upload  ※G[ご都合]弾投下! v^^;
             感想、誤字・誤記ご指摘、いつもありがとうございます。
             個別に返信しておりませんが、大変感謝しています。
'16,05,06 誤字修正



Side 唯依


全く別の理由―――。

大佐はそう言うと、それを取り出した。
一辺が10cm程度の正四面体、その角を切り落とした形状の金属フレームに、透明なガラスをはめ込んだオブジェの様な容器。
見ればその四面体の内部中央にキラキラと光る透明な、靄の様な何か[●●]が蟠っていた。


「・・・なにこれ?」


受け取って覗いた副司令が首を傾げる。
それは、容器を傾けると、溶液にでも密封されているのか、崩れるように形を変え、常に[]に流れて張り付いている。


「―――G-6[グレイ・シックス]
H-21で、こいつが欲しいのさ―――。」

「「「・・・はぁ!?」」」



G-6[グレイ・シックス]!?

“負の質量”を有するというエキゾチック物質。
ウィリアム・グレイ博士がアサバスカから回収したBETA着陸ユニットの残骸内で発見したと言う人類未発見元素の一つ。
その時に回収されたG-6[グレイ・シックス]は、その後の事故で散逸したと言われ、質量が負で在る事以外の詳細は全く不明。
一部ではその存在さえ疑問視されているG元素だった。


「・・・なんでそんな物が、今、此処に在るのよ?」

「前回G元素を説明したときは、存在が未確定だったから詳細を飛ばしたがな、大凡の予想はしていた。
これは、G-コア[ジオメトリー・リアクタ]で、G-11[グレイ・イレブン]を完全に核子崩壊させた後に残ったモノ[●●]
―――それがG-6[グレイ・シックス]なんだ。
因みに計測した質量値とかは、ロスアラモスの公表通りだから同一物質であることは間違いない―――。」

「・・・核子崩壊なんでしょ?
―――G-11[グレイ・イレブン]の全質量を消費した後に何が残るっていうの?」

G-11[グレイ・イレブン]を構成していた中性子の[●●●●]全質量を消費するんだから、残るのはその中性子を結びつけていた[]、つまりグルーオン[●●●●●]が残る。」

「! グルーオンって“強い相互作用”のゲージ粒子でしょ?
そんなものが安定的に残るわけ無いじゃない!」

「ま、普通そう思うよな―――。
実際グルーオンは他のゲージ粒子、フォトンなんかと違い、通常の温度・密度では単独で取り出すことは不可能であるとされているからな。
―――けれどグルーオンには、“色荷”という3相相互作用があるから、グルーオンのみの構造体、所謂“グルーボール[●●●●●●]”の存在は、幾つかの有力理論から示唆されている。」

「!!、グルーボール!」

「そう―――。
G-6[グレイ・シックス]は、 中性子クラスタの緩やかな“核子崩壊”なんていう特殊状況に於いてのみ生成される極めて特異なケース、安定的な“グルーボール”の一種、と考えられる―――。」

「!!―――それは・・・標準模型にも反しない、と言うことね?」

「ああ―――。
但し、元々グルーオンは質量0の粒子なんだが、本来核子と干渉しその質量を決めていたヒッグス粒子、あるいはヒッグス場の一部を内側[●●]に閉じ込めているらしく、質量は外の場に対して反転、つまり負の質量を示す。
その部分は、今後重力理論を構築する際に検証・追記が必要だと思うけどな。」


・・・相変わらず大佐と副司令の本格的な量子力学の話には、中々ついて行けない。
大佐が既知のようにあっさり口にする内容は、この世界における物理学の最先端、それも幾つか突き抜けてしまったレベルの話なのだろう。
もしこれらのG元素構造に纏わる話が公開され実証されたら、それこそノーベル物理学賞級の発見と成るのではないだろうか。
それに平然と応える副司令も勿論同じレベルに存在する。
目のあった白銀少佐も苦笑い。
・・・人類の英知を纏めたと言われるウィキ博士にでも訊けば理解できるのだろうか?
鑑少尉だけはキラキラした目で、手にした容器のG-6[グレイ・シックス]を観察していた。

それでも乏しい知識で理解するに―――つまり簡単に言えば、中性子という荷を纏めるのに木枠[●●]が必要だったが、中にあった中性子は核子崩壊でエネルギーになって消えてしまった。
通常の枠はその消滅の際、激しい反動で壊れてしまうが、内部の消失が穏やかであったため、“色荷”という“釘”で構成されていた木枠は崩れること無く残った―――、とでも考えれば良いのか。
それは現象として直観的には理解できるし、G-6[グレイ・シックス]という実物があるのだから、専門的にも何らかの実証はできるのだろう。

しかし、問題はそんな学術的な探求の話ではない。
前回、大佐が説明したG-11[グレイ・イレブン]G-9[グレイ・ナイン]の構造。
その理解から今のG-コアや00ユニットが構成されているという事実。

そして今度のG-6[グレイ・シックス]の構造解明は、何を切り開いてくれるのだろう?



「・・・で、そんな怪しい物質を何に使うの?」


副司令も、思いは同じらしい。


「―――最初に結論[●●]から簡単に言えば、
G-6[グレイ・シックス]を当量混入した G弾[●●]を高度500km程度でハゲ[ High Atitude Graviton Explotion ]させると、
地球上では爆心中央から半径約840km以内の地表上BETAを全て無力化[●●●●●]することが可能―――
ってとこかな。」

「「「「・・・・・・はぁッ!?」」」」



御子神大佐の投下した爆弾発言は、正しくG弾並みの破壊力を有していた。












「・・・・・・“ハゲ”、ってアンタ・・・・G-弾を“ハネ”の様に使おうって言うの?」

「“ハネ”?」


私も疑問に思った単語を白銀少佐が返してくれた。


「ああ―――。
HANE・・・High Atitude Nucluer Explotion、高々度核爆発の事だ。」

「高々度核爆発?」

「要するに核爆弾を上空500km位で爆発させる。
勿論大気圏外だから、地表に爆風や熱の影響は出ないし、放射能も問題にならない。」

「なんでそんなことを?」

「目的は核爆発の際に発生する強強度のEMP:Electromagnetic pulse。
規模にも依るが、この強烈な電磁パルスは半径100~1000km内の半導体を一瞬で焼き切る。」

「!! 半導体の範囲殲滅!
―――!! じゃあ“はげ”って・・・!」

「そ。
HAGE・・・High Atitude Graviton Explotion、―――高々度重力爆発。
その時に発生する崩壊重力波Gravitic Disintegration WaveでBETAの重要器官[●●●●]を破壊するって訳。」

「―――全く、何処からそんな話が出てくるのよ・・・。」


副司令が、頭痛を抑えるように額に指を当てながら呆れたようにつぶやいた。


「その発端としたワークス・レポートの一部を読もうか?

―――更に地下茎構造深部に存在していたBETAの多くが謎の機能停止[●●●●●●]に至り、地表に撤退した部隊が再度地下茎構造に突入することで反応炉を始めとするBETA施設の制圧に成功した―――。」

「!!ッ、―――それって明星作戦、この横浜ハイヴ制圧時のレポートじゃないっ!}

「そうだよ。
―――この一文が、全ての起点[●●●●●]さ。

そして―――当時使われたのは、G弾。
まさしく此処に投下されたG弾の超臨界に達したG-11[グレイ・イレブン]は多重乱数指向重力効果域を形成し、地上構造物や地表のBETAを分解した。
けれどその重乱数指向重力効果域外でも、スタブ内部のBETAを相当数無力化[●●●]している。
その事で人類初のハイヴ制圧が成功した訳だ。

まあ―――支払った犠牲もまた多大だったがな。」

「・・・。」


多くの犠牲―――帝国軍・斯衛軍も多数・・・父もその明星作戦で戦死しているし、前身のA-01にも犠牲はあったらしい。
そういう本人だってその余波で記憶を喪っている。


「無論、当時の米軍のやり方が正当化出来る訳もないが、それでもG弾が様々なモノを齎したことは否めない。
俺達に出来ることは、その事実に目を背け忌避することではなく、得られた知見を有効に活かすことで人類の存続を叶えることだろう。
それが出来てこそ多大な犠牲に報いるってコトだ。」

「・・・。」


確かに元々御子神大佐はG弾の使用にあまり忌憚を持っていない様子ではあった。
飽くまで第5計画派のG弾運用[●●]方法を否定していただけだ。

全ての起点[●●●●●]―――。
事実を否定せず、齎された結果を忌避せず、重要なポイントを見逃すことなく受け止め、そのメカニズムを理解することで最大の効果を醸す―――。
それが犠牲に報いる最大の手向け・・・。

技術将校として、最も見習うべき御子神大佐の本質が、そこに在る―――。



G-11[グレイ・イレブン]がジオメトリ崩壊を起こす際に、超臨界状態なら次元崩壊範囲は拡大し多重乱数指向重力効果域を形成する。
そして、それとは別に核子が崩壊する際、乱数重力波[●●●●●]を周囲に放出していると考えられる。
周辺地殻の重力を狂わし、“大海崩”を引き起こす引き金になるのも、この乱数重力波の、特に超低周波数領域の影響だろう事は、前に“香月レポート”でも触れた。
この乱数重力波は超臨界が継続し崩壊が続く間放出される核子の崩壊重力波であり、ホワイトノイズ・・・あらゆる周波数成分を含むランダム波であると予測される。
そしてこの強烈な崩壊重力波Gravitic Disintegration Waveが、当時横浜ハイヴに潜んでいたBETAの重要器官・・・恐らくは感覚器[●●●]を破壊したために機能停止に至った―――と推測している。」

「・・・つまり強烈な崩壊重力波はBETAの感覚器を破壊し、機能停止させる事が出来る、・・・と?」

「当時のデータを確認したところ、G弾単体でのBETA無力化効果範囲は、地表でもせいぜい10km程度。
但し地表は既に爆風で飛ばされていたから具体的事例は殆ど無い。
後日外傷のないBETAの死骸が数体存在したと記述されてる。
そして、恐らくBETAに対して効果が在るのは超々高周波数の虚数波動と予測されるため、質量透過力が弱い。
それ故、横浜ハイヴでも最深部、反応炉や反応炉周囲のBETAは機能不全に陥らなかったと記録されている。」

「・・・確かに最深部では戦闘があったとそう報告されているわ。
でもそれじゃ効果範囲はせいぜい10kmなんでしょ?」

だから[●●●]G-6[グレイ・シックス]を混入する。
と言うのも、BETAの感覚器・受信機を構成しているのは、G-6[グレイ・シックス]を利用していると予測しているからな。」

「・・・G-6[グレイ・シックス]そのものを破壞する事で励起される共振周波数[●●●●●]の重力波を、多重乱数指向重力効果域で増幅することにより、共鳴破壊[●●●●]を引き起こす、と言うことねっ!?」

「正解―――。
謂わばResonant[共鳴]-G弾―――。
―――気がつけば単純なんだけど、辿り着くのに結構手間は喰ったな・・・。

で、これにより得られる効果域は、計算上、今のG弾規模で約1,000km。
残念ながら先述のとおり地下の効果範囲は、恐らく深度100m程度までだから、反応炉殲滅にハイヴ潜行が必要なのは今と変わらないんだけどな。
そしてG-6[グレイ・シックス]の共振周波数は質量がマイナスだから、今の人類の技術では測定も出来ない程の超々高周波虚数波動。
その周波数帯なら“大海崩”には全く寄与しないし、その他の生物にも一切影響しない。」


背中が冷たい。
ゾクゾクと冷気を覚えているというのに、油汗がにじむ。
―――大佐の話が真実であるならとんでもないことだ。
対BETA戦略が、激変する―――。




「・・・・・・検証は?」


尋ねる副司令の声さえ震えている。


「―――この前新潟で篁に試して貰った“試製120mm対BETA弾”なんだけどな。
実はアレ、1mgにも満たない量のG-11[グレイ・イレブン]を使った謂わばマイクロG弾なんだ。」

「え―――?」

「着弾時に超臨界に入るんだけど勿論、多重乱数指向重力効果域のサイズは数ミリで、継続時間も1msec程度だから、それ自体には破壊力はないし地殻にも影響もしない。
試してもらったのは、No1がG-6[グレイ・シックス]無添加、No2は1ユニット=仮定元素量に対して1モル相当、No3が3ユニットの3種。
――――まあ、見てもらったほうが早いな。」


そう言ってモニターに映像を並べる大佐。


「―――因みに確認して欲しいのは、120mm弾そのものの威力で倒した要撃級ではなく、その周囲の闘士級や、兵士級の動き。」


!!!―――。

確かに!

比較された動画に於いて、無添加では倒した要撃級の影からすぐに闘士級や兵士級が湧いてでた。
1ユニット添加の場合、その数が減り、3ユニット添加した3では、画面内のBETAの動きが確かに停止していた。
撃破した要撃級の後ろのBETAなど映像の最後の一瞬にしか映っていないため、その事を意識して見なければその違いは解らなかった。


「この時の効果範囲は、最大でもせいぜい20m―――。
結果を元に効果試算したんだけど、これ以上効果エリアを広くしようとすると、どうしても起爆するG-11[グレイ・イレブン]が大量に必要となり、地殻に影響を与える。
故に局地戦用の装備としては使用困難。
実用運用としては広域殲滅の高高度重力爆発[ High Atitude Graviton Explotion ]が最も適している。」

「「「・・・・・・。」」」




場を沈黙が支配する。
私自身、呆然とし暫く思考すら忘れていた。

御子神大佐には今までにも、何度も驚かされてきた。
が、―――これは無いだろう。


何と言う―――、何と言う―――!!



Resonant[共鳴]-G弾。

対BETA超広域大量殲滅兵器―――。
しかも他の何物も破壊しない運用方法。


それは正に―――遥か遠き理想。








「問題は―――、必要とされるG-6[グレイ・シックス]の量がそれなりに必要で、今あるだけだと1発[●●]しか作れない、って事だ。」


・・・但し、まだまだその道程は険しいと言うことか。










淹れ直したコーヒーを配る。
余りの衝撃に、副司令からリクエストが入り、一息入れた。


「さっき、G-6[グレイ・シックス]がBEATの感覚器に使われてるって言ってたじゃん、ヤツラからは回収できないのか?」

「・・・至極尤もな意見なんだけどな、G-6[グレイ・シックス]に関しては、結構難しいんだ。
武の持ってる其の容器、実はマイクロML装置で作った“重力籠[グラビティ・ケージ]”だぜ。」

「え?」

G-6[グレイ・シックス]は、さっき言ったようにグルーオンの“色荷”による相互作用のみで構成されている。
つまりはマイナスという特殊な質量を持つ以外は、一切の電荷を持たない。
クォークも無いから、核子内部の半端な電荷すら持たないわけだ。
この場合“色荷”の相互作用が外側にも多少及ぶから、かろうじて隣の原子とクラスタ様結晶構造をとるけど、その結合力は通常分子の共有結合他に比べてもかなり小さい。
・・・故にちょっとした重力変動[ショック]で、すぐ単原子に分解される。
その瞬間に地球重力に反発して、宇宙の彼方に飛んでいってしまうのさ。」

「な?」

「電子ニュートリノよりは大きさ的に幾分マシって程度。
本来電荷のない粒子を一所に留めるのは極めて難しいんだ。」

「電子ニュートリノ?」

「電荷を持たない電子サイズの粒子。
宇宙線と共に地球にも多数飛来しているが、簡単に地球を透過してしまう。
その検出や性質を把握することで平和な世ならノーベル賞が貰える程の代物。」

「―――透過って、どういう事なんだ?」

「・・・一番小さな水素原子の大きさは凡そ100pm[ピコ・メートル]
小さめの分子間距離も同じくらいで、ダイヤモンド結晶で120pm[ピコ・メートル]程度。
その大きさの殆どが電荷を有する電子雲の大きさだ。

其れに対し、電荷がなく電子雲を持たない中性子の大きさは、1fm[フェムト・メートル]程度。
グルーボールであるG-6[グレイ・シックス]の大きさもそれに近いと推測される。

因みにp ピコは0.000000000001、10のマイナス12乗、f フェムトは0.000000000000001、10のマイナス15乗の単位。

イメージがし難いだろうから例えて簡単に言うと、G-6[グレイ・シックス]単原子の大きさを1mm[●●●]程度の砂粒とすれば、その辺にある物質は、120m[●●●●]程度の間隔をもつ点の集合体、ということになる。
電荷が無いので、電子雲に阻まれないのはニュートリノと同じだからな、通常その点群間にある電子雲の網[●●●●●]に一切引っかからない。
―――負の質量で地球重力に反発するG-6[グレイ・シックス]を捕まえて置けると思うか?」

「!!―――」

「米国が一端回収したG-6[グレイ・シックス]を事故で散逸したのもそれが理由だろう。
何かのショックでクラスタ分子構造が崩れ、通常物質[●●●●]の密封容器を簡単にすり抜けて[●●●●●]宇宙の彼方に飛散したと推測される。
その構造を理解していなければ、正しく原因不明の“消失”、事故で散逸としか、言い様がないさ。」

「・・・。」

「そしてそれはBETAの場合も同じ。
恐らく通常は近ML器官で重力拘束しているはず。
けど、BETAを破壊殲滅し、その拘束エネルギーを断ってしまえば、G-6[グレイ・シックス]はすぐ虚空に散逸してしまう。
もしBETAから集めるには、生け捕りしてきて専用の施設で屠殺するしか無いってことだ。
勿論将来的には可能かもしれないが、近々には必要な設備を構築するなんて到底無理。

今こうして手元に残っているのはG-6[グレイ・シックス]の構造を予測して、予めG-コアに負の質量に対する“重力籠[グラビティ・ケージ]”をセットしてたからさ。」

「・・・そのG-6[グレイ・シックス]を獲得する為に、H-21の攻略、反応炉の確保が必要、ということなのね。」

「ああ―――。
G-6[グレイ・シックス]の人工合成など到底不可能。
得られるのは緩やかな核子崩壊を実現しているG-コアとBETA反応炉だけ。
G-コアは稼働数がまだ少なすぎて且つ燃費が良いだけに大量には稼げない。
逆に凄乃皇のML機関は臨界域の反応が激しすぎてG-6[グレイ・シックス]が残らない。」

「・・・。」

「勿論反応炉は、G-11[グレイ・イレブン]の燃えカスであるG-6[グレイ・シックス]を利用してBETAを造っているから当然溜め込んでいる。
此処のH-22反応炉をX線CTスキャンして質量密度分布を測ったんだけど、密度がマイナスになる領域が存在するから、内部に在ることは確認した。
ただ、そこに穴開けると反応炉そのものが停止しかねない位置なので、00ユニットの駆動にODLを必要とする現在、横浜で確保するわけにはいかないのさ。」

「・・・それで、先に佐渡を陥としてG-6[グレイ・シックス]を確保できれば、その量によっては全ハイヴの湧出BETAを一気に無力化できる・・・と言うことか・・・。」

「そ―――。
軌道降下時に光線属種の集中砲火を浴びたくないからな。
蜂の巣突いて誘い出し、それを一気にRes-G弾で無効化すれば、降下時間は十分稼げる。
H-1の反応炉については、重頭脳級を殲滅する以上、G-6[グレイ・シックス]を確保できるかどうかはかなり微妙。
G-6[グレイ・シックス]はその性質上アトリエで精製されるG-11[グレイ・イレブン]と違い、そのG-11[グレイ・イレブン]を消費する反応炉内部に存在している。
降下時の光線属種排除と、反応炉破壊後の汪溢BETA殲滅を考えれば、最低でも2発が必要。
可能なら、人類の損耗を抑える為に陽動を掛ける周辺ハイヴにも使いたい。」

「・・・。」

「―――それに、最悪実戦証明のためResonant[共鳴]-G弾を佐渡で使うことに成っても・・・これはBETAにも対策不能だと思う。」

「え?」

「共鳴破壊を防ぐほどの質量でBETAの感覚器を覆えば、そもそもBETAの知覚である“重力波”感知を阻害する。
自分で目隠ししてしまう様なもの。
高度500kmで爆発するRes-G弾を覆うラザフォード場の展開はいくらBETAでも無理。
せいぜい爆発前のミサイルを狙うくらいしか対応できないだろう。
さっき言った、エヴェンスクに出現が予測される新種みたいにな。」

「なるほど、そう言う事ね・・・。」

「―――何れにしろ、BETAが利用しているG元素にこそ、BETA最大の弱点[●●●●●]が内包されているのは、皮肉としか言いようがないが、な。」

「「「・・・・・・。」」」






「ところで、さっき、G-6[グレイ・シックス]がBETAの感覚器に使われているって言ってたけど、その検証は?」

「そこは今のところ仮説でしかないけどな。
何しろ重力波そのものでさえ、人類は未検出。
けれど、BETAが何らかの方法で周囲を知覚し、電波以外の何かで通信しているとすれば、重力波くらいしか考えられない。
そして、G-6[グレイ・シックス]が負の質量を有するグルーボールであるなら、一切の電荷を持たないから、全ての電磁波の干渉を受けない。
それでいて負の質量を有するため、重力波は感知する。
G-11[グレイ・イレブン]を使った近ML器官でその挙動を観測することが出来、電磁波のノイズが乗らないからS/N比は無限大、感度は上げ放題―――。」

「―――つまりBETAは、周囲全ての質量の動き[●●●●●●●●]を感知している―――と言うの?」

「元々重力波による力は小さい。
グルーオンの力を1とすれば、電磁波のゲージ粒子であるフォトンは0.01。
それに対し、重力子は10のマイナス40乗とも言われる。
にも拘らず、その減衰は小さく到達距離はほぼ無限。
今仮定しているのは、10km程度圏内でなら電子の質量[●●●●●]さえも知覚しているんじゃないか、ということさ。」

「「「な・・・。」」―――例え検出が可能でも、そんな膨大な情報処理が出来るわけ無いじゃない!」

「勿論、周囲全部を把握する必要なんかない。
おそらくはパターン認識しかしてないと思う。
自己に向かって来る高速で重い飛翔体、そして小さな範囲で激しく動く電子―――その密度が高ければ高いほどBETAは指向性が上がる。
或いは、その有する質量に対し、一切電子挙動の存在がないG元素、とかな。
より高速なCPU、あるいは人の脳だって物質交換という形で電子が激しく動いているんじゃないか?」

「あ・・・・・・。」


・・・一致する。
一致してしまう―――。
BETAの持つ特性、誘引の優先度。
同じ生命なら、より活動の激しい植物より動物。
同じ動物ならより知能の高い、脳内活動の高い対象を選ぶ。
同じ電子機器なら、より高性能、つまり小さくてクロックが高く、実装密度の高いCPU、といった具合。
電磁波を感知しているわけではないから、ステルスも、光学迷彩も、無効。
電波を遮断してしまう重金属雲も無関係。


「―――序に言うと、BETAは通信もこの重力波を使って居る可能性が高い。
光線種が同種を攻撃しないこと。
光線種の照射前に群れが割れること。
しかもこの時後列も最前列も同時に割れる。
反応炉が停止した途端に一斉に逃げ出す。
何れも個体間、或いは反応炉(も個体だが)、との間に電波並みの高速通信が存在していなければ不可能な事象。
と言って作業用生体機械であるBETAには、社のようなESPも認められない。

けれど、G-11[グレイ・イレブン]を使った近ML器官を重力波発振器、G-6[グレイ・シックス]を使ったグラビトン・センサー[●●●●●●●●●●]を受信機とすれば、可能。
尤も、下位種間では、複雑な情報伝達は行われていないみたいだが、反応炉との伝達は在る。
先の撤退や、はぐれBETAも迷わず手近な反応炉を目指すのは、言わずもがな、だろう。」

「・・・元々BETAには微量のG元素が使われている、って言われてたのはそれらの感覚器・受送信機に使っていた・・・と言うことね?
広範囲の索敵や一部通信を行うことを考えれば、光線属種のG元素コストが高いのも当然・・・。
辻褄は合う・・・のね。
逆にG-6[グレイ・シックス]を使って、人間がそれを作ることは出来ないの?」

「―――残念ながら、今の技術じゃ人間には無理そう。
G-6[グレイ・シックス]の細かな制御にはナノレベルML場を制御する必要がありそう。
BETAはそれをナノマシンと思われるODLで行っているらしい。
夕呼センセのmmレベルML場ですらそんなに簡単に作れるもんじゃない。
何より何でもかんでも “電子”で制御しようとすると、その変換だけで多大なロスを生む。
マイクロマシンすらマトモに動かせない現状で、ナノマシンなんか遥か先。
多分、そのスケールで言うと、今の技術で光線属種並の重力波センサーを作ろうと思ったら10km位の構造体に成るんじゃないか?」

「・・・それは、すぐには利用できないけど、逆に他国に利用される可能性も無いってことね。」

「苦労して作ってもRes-G弾一発で速攻無効化されるしな。」


ふっと息を付く副司令。


「・・・アンタ・・・一体、どこまで予測してたのよ―――。」

「―――いや、G元素がBETAの製造に使われているとしたら、感覚器や発信機だろうと当たりを付けたし、それがG-6[グレイ・シックス]ならBETAの知覚や通信に重力波を利用している事も想定した。
そして明星作戦で崩壊重力波がBETAに何らかの作用をした、ということも事実―――。
―――ただ、最初は崩壊重力波がその“組織”を破壊するものだとばかり思っていたから、まさかG-6[グレイ・シックス]そのもの[●●●●]を破壊するとまでは予想していなかった。
お陰で当初試した施策は全部空振りだったしな・・・。
ふと思いつきで作った試製弾を篁に託した段階では、正直50/50で、余り期待してなかったな。」

「・・・何よ、思いつきって?」

「さっき言ったけど、G-6[グレイ・シックス]には、“重力”と色荷による“強い相互作用”以外の力が作用しない。
―――逆に言えば、“減衰”が無いんじゃないか?ってコト・・・。」

「・・・成る程、通常の物質、あるいは原子、クォークに至るまで、内部に何らかの電荷を有し、それが逆に周囲と干渉することにより、摩擦、即ち“減衰”を有する。
減衰は抵抗によるエネルギーロスそのものだけど、それは共振を起こした時に増幅を抑制するリミッターにもなる・・・。
―――それが無いということは、一旦共振を起こすエネルギーが与えられれば自己崩壊を生じる、という事なのね。」

「ああ―――。
効果があるなら、あとは必要な周波数の重力波をどうやって発生するか、だけだからな。
G-11[グレイ・イレブン]必要量の兼ね合いで運用が高高度重力爆発[ High Atitude Graviton Explotion ]に成ったのも予想外。
・・・個人的にはS-11程度の効果範囲が一番使い勝手が良いと思っていたんだけどな。」

「・・・それは、贅沢というもの、今の効果だって望外の僥倖よ。
―――結論として、BETAはRes-G弾の共鳴破壊で破壊されることにより、感覚器である目も耳も喪う・・・と言う事はほぼ確定。
そして、その実証と、次のH-1攻略実現の為にも、佐渡のH-21を陥落する必要がある―――。」

「―――そういう事だ。
・・・で、実はこのプロセスにはもう一つ、大きなメリットがある。」


御子神大佐は、ニヤニヤと黒い笑顔―――。


「・・・なに?」

「次の神鎚作戦[Op.ミョルニル]で、第5計画派を利用[●●●●●●●●]できる。」

「「「・・・は?」」」

「奴らが使いたがっているG弾を、G-6[グレイ・シックス]を提供することで、全部Res-G弾化し、吐き出させればイイ。
コッチはG-コアや凄乃皇の燃料だから、1発10kgなんていうG-11[グレイ・イレブン]の余計な消費はしたくない。
今や使い道なくて余してるんだから、堂々と使える方法を教えれば、第5計画派が喜んで[●●●●●●●●●]協力してくれる。
効果はBETA限定で実質人類間の闘争にはなにも寄与しないし。
―――世界の盟主を自負しているんだ、さぞや面子も立つことだろうさ。」

「「「「・・・あ、悪どい・・・。」」」」



あれだけ落としておいて、そこまで持ち上げる?
どんだけな規模のマッチポンプですか!


―――そして彼らはそれを喜んでヤルだろう。

第5計画派とて、G弾こそが対BETAに対する切り札と信じていたから固執していた者が殆ど。
その実行に障害だった第4計画を敵視していたに過ぎない。
BETAを殲滅することそのものに反対する者など、傀儡級と目される者を除けば、居ない。
その傀儡級とて、表立った反対は出来ない筈。

今までは他国の反対、使用の反動や与える環境影響が大きすぎて運用出来なかった問題が、全て一気に解決する。
確かにハイヴ内部までは届かないが、広域殲滅範囲は、むしろ多重乱数指向重力効果域より余程広大。
オリジナルハイヴから流出する200万に及ぶBETAだって、それこそ1発で殲滅できるBETA専用大量破壊兵器。

そんな“手柄”を譲ってくれるなら、使わない選択肢がない。
その評判を地まで落した第5計画派だけでなく、それこそ穏健派含めた全米軍で・・・。


―――いや・・・と言うよりも、米国には神鎚作戦[Op.ミョルニル]を断るという選択肢が存在しないのかも知れない・・・。

もし断れば・・・、オリジナルハイヴ攻略を含め、第4計画はハイヴの存在する中国やソビエト、EUと共闘するだろう。
佐渡である程度のG-6[グレイ・シックス]が得られれば、今第4計画が有するG弾だけでも、それは不可能ではないのだ。
今は足りなくても、ハイヴ攻略が成れば、G-11[グレイ・イレブン]は手に入る。
それをサイクルし当然その後のハイヴ攻略も同じ様に進めていくことになる。

そして、そうなった場合、米国は本当に蚊帳の外、G元素獲得に一切関われないことになりかねない。
米国としては、神鎚作戦[Op.ミョルニル]含め今後も貢献することでG元素の分配を主張する事しか出来ないのである。


Res-G弾は、何よりも確実に米国を引き込み、全世界規模の作戦を展開できる布石の[]に他ならない―――!



―――しかも、である。
その状況下に於いてさえ、米軍は今までの対人類戦に偏る誤ったドクトリンから、ハイヴ潜行を実行する戦術機・ノウハウを有していない。
Res-G弾にて地上を一掃することは出来ても、反応炉を攻略する戦術を構築できていないということ。
つまりは、既にG-コアというハイヴ潜行装備・戦術を確立し、ノウハウを獲得している第4計画を今後も無視することができない、と言う状況に追い込まれることになる・・・。


副司令ですら呆れ顔をして、次に心の底からこみ上げるような、妖艶で凄絶な笑みを溢した。


「勿論、―――移民派、アイツ等はダメだけどな、建造している宇宙船は、月や火星への足代わりにするって手もある。」


・・・・く・・・黒い、・・・余りに黒い、極黒です! 大佐!

さすが“漆黒の殲滅者[ダーク・アニヒレーター]”。

しかも暗黒[光でない]の重力波で、大量BETA殺戮を齎した者―――。

・・・正しく二つ名そのもの[●●●●]じゃないですか!!






副司令は、暫しの瞑目―――。


「―――いいわ、得られるものが甚大なのだから、H-21を先に潰しましょう。
・・・そして10日以内には、H-1、ね。

あたしはその方向で安保理緊急動議をかける準備をするわ。
当然米軍を釣るために、遠慮無くRes-G弾も使う。
―――彼方と篁はその準備ね。
佐渡を先に攻める以上、当然殿下にも話を通さないといけないでしょうし・・・。

白銀も、その順番で攻略するからA-00及びA-01にシミュレーションさせなさい。
鑑はそのデータ構築と、帝国軍も含めた戦術構築。

当初予定通りハイヴ潜行は必須、しかも今回H-21は反応炉温存がミッションオーダーよ!」

「「「「 Yes,Ma’am!! 」」」」







後からにして思う。

―――この日、世界は変わったのだ、と。


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