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No.35536の一覧
[0] 【チラ裏より】Muv-Luv Alternative Change The World[maeve](2016/05/06 12:09)
[1] §01 2001,10,22(Mon) 08:00 白銀家武自室[maeve](2012/10/20 17:45)
[2] §02 2001,10,22(Mon) 08:35 白銀家武自室 考察 3周目[maeve](2013/05/15 19:59)
[3] §03 2001,10,22(Mon) 13:00 白銀家武自室 考察 BETA世界[maeve](2012/10/20 17:46)
[4] §04 2001,10,22(Mon) 20:00 横浜基地面会室 接触[maeve](2012/12/12 17:12)
[5] §05 2001,10,22(Mon) 21:00 B19夕呼執務室 交渉[maeve](2012/12/06 20:40)
[6] §06 2001,10,22(Mon) 21:30 B19夕呼執務室 対価[maeve](2012/10/20 17:47)
[7] §07 2001,10,22(Mon) 22:00 B19夕呼執務室 考察 鑑純夏[maeve](2012/10/20 17:47)
[8] §08 2001,10,22(Mon) 22:30 B19夕呼執務室 考察 分岐世界[maeve](2012/10/20 17:47)
[9] §09 2001,10,22(Mon) 23:00 B19シリンダールーム[maeve](2012/10/20 17:48)
[10] §10 2001,10,23(Tue) 08:00 B19夕呼執務室[maeve](2012/12/06 21:12)
[11] §11 2001,10,23(Tue) 09:15 シミュレータルーム 考察 BETA戦[maeve](2013/01/19 17:36)
[12] §12 2001,10,23(Tue) 10:00 シミュレータルーム 考察 ハイヴ戦[maeve](2015/02/08 11:03)
[13] §13 2001,10,23(Tue) 11:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:23)
[14] §14 2001,10,23(Tue) 12:20 PX それぞれの再会[maeve](2012/12/16 23:01)
[15] §15 2001,10,23(Tue) 13:00 教室[maeve](2012/12/06 00:01)
[16] §16 2001,10,23(Tue) 13:50 ブリーフィングルーム[maeve](2013/05/15 20:03)
[17] §17 2001,10,23(Tue) 18:30 シミュレータルーム[maeve](2015/03/06 21:04)
[18] §18 2001,10,23(Tue) 22:00 B15白銀武個室[maeve](2015/06/19 19:23)
[19] §19 2001,10,23(Tue) 23:10 B19夕呼執務室 考察 因果特異体[maeve](2012/10/20 17:51)
[20] §20 2001,10,24(Wed) 09:00 B05医療センター Op.Milkyway[maeve](2015/02/08 11:06)
[21] §21 2001,10,24(Wed) 10:00 シミュレータルーム 考察 XM3[maeve](2012/12/06 21:17)
[22] §22 2001,10,24(Wed) 13:00 横浜某所 遺産[maeve](2012/11/10 07:00)
[23] §23 2001,10,24(Wed) 21:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:30)
[24] §24 2001,10,24(Wed) 22:00 B19シリンダールーム 暴露(改稿)[maeve](2013/04/04 22:05)
[25] §25 2001,10,24(Wed) 23:00 B19シリンダールーム 覚醒[maeve](2013/04/08 22:10)
[26] §26 2001,10,25(Thu) 10:00 帝都城 悠陽執務室[maeve](2016/05/06 11:58)
[27] §27 2001,10,26(Fri) 22:00 B19夕呼執務室[maeve](2016/05/06 12:35)
[28] §28 2001,10,27(Sat) 09:45 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:22)
[29] §29 2001,10,27(Sat) 11:00 帝都浜離宮茶室[maeve](2015/02/08 10:15)
[30] §30 2001,10,27(Sat) 12:45 帝都浜離宮 回想(改稿)[maeve](2012/12/16 18:30)
[31] §31 2001,10,27(Sat) 14:00 帝都城第2演武場[maeve](2015/01/23 23:26)
[32] §32 2001,10,27(Sat) 15:00 帝都城第2演武場管制棟[maeve](2016/05/06 11:59)
[33] §33 2001,10,27(Sat) 16:00 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:31)
[34] §34 2001,10,28(Sun) 10:00 帝都城第2演武場講堂 初期教導[maeve](2016/05/06 12:00)
[36] §35 2001,10,28(Sun) 13:00 帝都城来賓室[maeve](2016/05/06 12:00)
[37] §36 2001,10,28(Sun) 国連横浜基地[maeve](2012/11/08 22:20)
[38] §37 2001,10,29(Mon) 15:00  B19シリンダールーム 復活[maeve](2013/04/04 22:18)
[39] §38 2001,10,30(Tue) 10:00  A-00部隊執務室 唯依出向[maeve](2016/05/06 12:01)
[40] §39 2001,10,30(Tue) 11:00  B19夕呼執務室 考察 G元素(1)[maeve](2015/03/06 21:07)
[41] §40 2001,10,30(Tue) 15:00  A-00部隊執務室[maeve](2015/02/03 20:59)
[42] §41 2001,10,31(Wed) 10:00 シミュレータルーム[maeve](2016/05/06 12:03)
[43] §42 2001,10,31(Wed) 06:00 アラスカ州ユーコン川[maeve](2016/05/06 12:03)
[44] §43 2001,10,31(Wed) 10:00 司令部ビル 来賓応接室[maeve](2016/06/03 19:20)
[45] §44 2001,10,31(Wed) 12:00 ソ連軍統治区画内 機密研究エリア[maeve](2016/05/06 12:05)
[46] §45 2001,11,01(Thu) 13:00 アルゴス試験小隊専用野外格納庫 考察 戦術機[maeve](2016/05/06 12:06)
[47] §46 2001,11,02(Fri) 12:00 テストサイト18第2演習区画 E-102演習場[maeve](2016/05/06 11:50)
[48] §47 2001,11,02(Fri) 12:15 司令部棟 B05 相互評価演習専用指揮所[maeve](2016/05/06 12:06)
[49] §48 2001,11,03(Sat) 05:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/02/03 21:01)
[50] §49 2001,11,03(Sat) 09:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/01/04 19:23)
[51] §50 2001,11,02(Fri) 20:00 ユーコン基地[maeve](2016/05/06 12:07)
[52] §51 2001,11,03(Sat) 点景[maeve](2016/05/06 12:08)
[53] §52 2001,11,04(Sun) 07:30  A-00部隊執務室[maeve](2016/05/06 12:08)
[55] §53 2001,11,04(Sun) 20:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/06/19 19:45)
[56] §54 2001,11,05(Mon) 09:00 ブリーフィングルーム[maeve](2015/01/24 18:43)
[57] §55 2001,11,06(Tue) 10:00 帝都城第2連隊戦術機ハンガー[maeve](2015/06/05 13:06)
[58] §56 2001,11,07(Wed) 10:00 横浜基地70番ハンガー[maeve](2015/03/06 20:56)
[59] §57 2001,11,08(Thu) 14:00 帝都浜離宮来賓室[maeve](2015/09/05 17:29)
[60] §58 2001,11,08(Thu) 15:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(1)[maeve](2013/04/16 21:00)
[61] §59 2001,11,08(Thu) 15:30 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(2)[maeve](2015/01/04 19:04)
[62] §60 2001,11,08(Thu) 16:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(3)[maeve](2015/02/03 21:19)
[63] §61 2001,11,09(Fri) 11:05 新潟空港跡地付近[maeve](2015/10/07 16:50)
[64] §62 2001,11,10(Sat) 23:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/03/06 21:15)
[65] §63 2001,11,11(Sun) 05:50 燕市スポーツ施設体育センター跡[maeve](2015/06/19 19:48)
[66] §64 2001,11,11(Sun) 06:52 旧海辺の森跡付近[maeve](2016/06/03 19:25)
[67] §65 2001,11,11(Sun) 07:15 旧燕市公民館跡付近[maeve](2016/05/06 11:55)
[68] §66 2001,11,11(Sun) 07:24 連合艦隊第2艦隊旗艦“信濃”[maeve](2016/05/06 11:56)
[69] §67 2001,11,11(Sun) 07:44 旧新潟亀田IC付近[maeve](2015/09/11 17:22)
[70] §68 2001,11,11(Sun) 08:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 09:53)
[71] §69 2001,11,11(Sun) 08:15 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 10:00)
[72] §70 2001,11,11(Sun) 08:20 旧北陸自動車道新潟西IC付近[maeve](2014/12/29 20:34)
[73] §71 2001,11,11(Sun) 08:25 帝都上空[maeve](2015/08/21 18:44)
[74] §72 2001,11,11(Sun) 10:30 三条市荒沢R289沿い[maeve](2015/02/04 22:07)
[75] §73 2001.11.12(Mon) 09:30 PX[maeve](2015/09/05 17:34)
[76] §74 2001.11.13(Tue) 09:00 帝都港区赤坂 九條本家[maeve](2015/04/11 23:27)
[77] §75 2001,11,13(Tue) 10:30 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2015/12/26 14:19)
[78] §76 2001,11,13(Tue) 19:50 B19フロア 夕呼執務室 考察G元素(2)[maeve](2016/05/06 12:19)
[79] §77 2001,11,14(Wed) 09:00 講堂[maeve](2016/05/06 12:25)
[80] §78 2001,11,15(Thu) 22:22 B15 通路[maeve](2016/05/06 12:31)
[81] §79 2001,11,15(Thu) 15:00(ユーコン標準時GMT-8) ユーコン基地滑走路[maeve](2015/10/07 16:54)
[82] §80 2001,11,16(Fri) 10:15(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/09/05 17:41)
[83] §81 2001,11,16(Fri) 10:55(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト18[maeve](2015/10/07 16:57)
[84] §82 2001,11,16(Fri) 16:30(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/05/31 10:24)
[85] §83 2001,11,16(Fri) 21:00(GMT-8) リルフォート歓楽街 “Da Bone”[maeve](2015/10/07 17:03)
[86] §84 2001,11,17(Sat) 17:00(GMT-8) イーダル小隊専用野外格納庫 衛士控室[maeve](2015/06/20 23:51)
[87] §85 2001,11,18(Sun) 17:20(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト37 幕間?[maeve](2015/05/31 20:15)
[88] §86 2001,11,18(Sun) 22:00(GMT-8) アルゴス試験小隊専用野外格納庫[maeve](2016/05/06 11:46)
[89] §87 2001,11,19(Mon) 13:00(GMT-8) ユーコン基地 居住区フードコート[maeve](2015/06/19 20:13)
[90] §88 2001,11,19(Mon) 18:12(GMT-8) ユーコン基地 演習区外米国緩衝エリア[maeve](2015/12/26 14:23)
[91] §89 2001,11,19(Mon) 18:50(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/12/26 14:25)
[92] §90 2001,11,19(Mon) 20:45(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/10/07 17:13)
[93] §91 2001,11,19(Mon) 21:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画[maeve](2015/10/07 17:15)
[94] §92 2001,11,20(Tue) 03:30(GMT-8) ソビエト連邦租借地 ヴュンディック湖付近[maeve](2015/08/28 20:32)
[95] §93 2001,11,21(Wed) 14:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画内 総合司令室[maeve](2015/10/07 17:20)
[96] §94 2001.11.22(Thu) 03:00(GMT-8) アラスカ州ランパート付近[maeve](2015/12/26 14:28)
[97] §95 2001.11.23(Fri) 18:00(GMT+9) 横浜基地 B20高度機密区画[maeve](2015/08/28 20:08)
[98] §96 2001.11.24(Sat) 15:00 横浜基地 B17 A-00部隊執務室[maeve](2016/06/03 19:39)
[99] §97 2001.11.25(Sun) 02:00(GMT-?) 某国某所[maeve](2015/12/26 14:33)
[100] §98 2001.11.25(Sun) 13:30 横浜基地 北格納庫管制制御室[maeve](2016/06/04 14:06)
[101] §99 2001.11.25(Sun) 18:00 横浜基地本館 メインバンケット モニタールーム[maeve](2015/10/31 14:40)
[102] §100 2001.11.26(Mon) 06:30 横浜基地本館 ゲスト棟[maeve](2016/05/06 11:44)
[103] §101 2001.11.26(Mon) 17:15 横浜基地 モニタールーム[maeve](2016/05/15 12:14)
[104] §102 2001.11.27(Tue) 06:00 国連横浜基地 第2グランド[maeve](2016/06/03 19:42)
[105] §103 2001.11.28(Wed) 09:00 国連横浜基地 XM3トライアル V-JIVES[maeve](2016/05/14 13:10)
[106] §104 2001.11.28(Wed) 17:00 国連横浜基地 米軍割当外部ハンガー ミーティングルーム[maeve](2016/06/04 06:10)
[107] §105 2001.11.28(Wed) 17:40 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2016/06/10 23:26)
[108] §106 2001.11.28(Wed) 18:00 国連横浜基地 Bゲート付近 〈Valkyrie-04〉コックピット[maeve](2019/03/26 22:16)
[109] §107 2001.11.28(Wed) 21:00 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2019/03/30 00:03)
[110] §108 2001.11.28(Wed) 21:00(GMT-5) ニューヨーク レストラン “Par Se”[maeve](2019/06/30 17:55)
[112] §109 2001.11.29(Thu) 09:00(GMT-5) ニューヨーク国連本部 安保緊急理事会[maeve](2019/05/05 21:16)
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[35536] §66 2001,11,11(Sun) 07:24 連合艦隊第2艦隊旗艦“信濃”
Name: maeve◆e33a0264 ID:c23374a1 前を表示する / 次を表示する
Date: 2016/05/06 11:56
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Side 安部(日本帝国海軍連合艦隊第2艦隊総司令)


「・・・・・見事だ・・・。」

スクリーンの片隅に映る、“美濃”、“加賀”の艦長も無言で深く頷き、同意する。

そのスクリーンの7割を占める戦況図には、上陸し進軍するBETAから、海底を進むBETAからまでが示されている。
未だ、戦闘は完了していないのだ。
気を抜くには早過ぎる。

それでも。
・・・判って居るのに、身体の芯がしびれ、背筋が打ち震えるのを留めることが出来ない。

人類の新たな黎明に立ち会っている―――その想いを抑えることは叶わなかった。




「エリア6、本隊上陸まで30秒! 目標範囲・周辺、友軍無し! 3番砲塔照準ッ!」

「三式“改”通常弾、装填完了ッ! 射角偏差、修正マイナス8秒っ!」

「3番砲塔、砲撃準備完了――!」

「信濃、主砲砲撃―――、撃て[てぃ] ッ―――ッ!」

胃を揺さぶる砲撃の重低音さえ今は心地良い。
続けて、美濃、加賀の艦砲も火を吹く。
加賀は、佐渡本島で“門”から顔を覗かせようとする光線級に向け、美濃はエリア3、4、5の上陸BETA本隊に向け、それぞれ照準を合わせている。

この艦橋に飛び交う言葉さえが、キビキビと明るい。
誰もが、確かな“希望”を感じ取っているのだ。





思えば、我が第2艦隊による佐渡本島への手動艦砲射撃で幕を開けた新潟侵攻防衛戦―――。

しかしその直ぐ後に知らされたそれは未曽有の侵攻数、中型種以上15,000超、総数では20,000と言うBETA大禍以来最大の規模で在った。
誘導された通りすがりとは言え、正に祖国の危機であることは間違いなく、BETA光線属種と撃ち合いを覚悟すると言うことは死も厭わない事。
――寧ろ、老艦にこの舞台を与えてくれた殿下に感謝すらした。



―――にも拘らず、今に到るまで戦況は極めて友軍有利に推移している。



そう、我が艦隊に依る佐渡本島光線属種排除は、それを以て沿岸に展開した機動艦隊の魚雷攻撃による上陸光線属種の集中排除を成功させた。
佐渡本島の地下にまで索敵範囲を拡げた“森羅”が佐渡海峡海底の光線属種を見逃すはずもなく、海中ではさしものレーザーも発揮できないBETAは、尽く狙い撃ちされた。
それにより空の自由を得た戦術機部隊は、8つのエリアに順次上陸したBETA本隊を適宜誘導、要塞級をも前線に配置した戦車・自走砲による砲撃で撃破。
本隊は誘導したS-11爆破防衛線[シフト]によって上陸後わずか30分足らずで第1波を完全殲滅せしめる多大な戦果を挙げたのである。

撃破数は約10,000に対し、その時点の損耗は戦術機中破が2,小破が9―――。
何よりも戦闘による人的損耗は0、と言う正に歴史的快挙が成された瞬間、であった。


初め呆然とし、―――そして漸く現実として認識し、歓喜が爆発した艦橋、否、艦隊全体が雄叫びを上げ、多くのものが涙さえ浮かべて抱き合った。



しかし気付けば第2波の上陸は、S-11爆破防衛線[シフト]爆破完了後、僅か2分!
既にBETA群はエリア1に残留した自走砲大隊の目前に迫っていた。
予測を余りに越えた侵攻数から第2波に於ける海底での光線属種排除が魚雷不足から完遂出来なかったこともあり、第2波上陸以降の戦線混乱は必至、という情勢であったのだ。


艦砲による援護も具申されたが、上陸地点と友軍展開位置が近すぎて艦砲では巻き込むのは必至。
それは最早援護とも呼べぬ。
それでも祖国の安寧を最優先にし、BETA殲滅を強行する選択肢も存在したが、それを抑えたのもまた“森羅”。


その迫る第2波から、決死の覚悟でエリア1に残留した自走砲大隊を援護したのは、第1波誘導から補給も行わず天翔た実数2個小隊にしか満たぬたった8騎―――国連太平洋方面第11軍A-0大隊大隊長、あの“白銀の雷閃”白銀武少佐率いるA-00中隊であった。

そして件の8騎は“森羅”の言葉通り、第2波エリア1上陸総数2,000近いBETAから、見事自走砲大隊を守りぬいたのだ。

そして彼らに援護された自走砲大隊は既にエリア1、エリア2に上陸しようとした光線級を水際砲撃で吹き飛ばし、HIMARS中隊は重光線級の頭部を爆散させている―――。



「―――エリア3から6,上陸BETA群に砲撃命中! 新規上陸分の約70%――600を殲滅ッ!」

「・・・・やはり、上陸したBETAは、東進[●●]している模様。
―――“森羅”のBETA誘引特性は、極めて高いと推測されます。」

「―――ウム――。」


現在8つのエリアに分かれてBETAを誘導し、順次起爆によって第1波を殲滅した戦術機部隊は、誘導の早かった部隊から折り返すようにBETAの上陸するエリアに戻りつつ在る。
実際1,2エリアは、待機していた自走砲大隊や、その援護にかなり先行した戦術機部隊が存在したことで、艦砲援護要請は来ず、友軍を巻き込む事を覚悟の砲撃も抑止された。
既に補給を終えたもう一つの国連太平洋方面第11軍A-0大隊A-01中隊通称 “伊隅ヴァルキリーズ”もエリア2に到着・戦闘を開始し、第16斯衛大隊や斯衛第2連隊第4大隊もエリア3に向かっている最中である。
光線属種の排除が継続されていることで、戦術機の機動は高い自由度を保持し続けている。

そしてそのBETA上陸と対応部隊の復帰到着に時間差が生じるエリア3からエリア6に、砲撃要請が届いたのはやはり“森羅”からだった。
補給を挟み前線に再展開する戦術機部隊と、上陸するBETAには若干のタイムラグが存在し、エリア3以降エリア6までは、上陸から接敵まで暫しの時間差が存在していた。
その“隙”に、可能なかぎり上陸したBETAを殲滅して欲しい、それが“森羅”の要請であった。
その要請が、侵攻第1波の見事な殲滅に高揚し、その諸端と成り得たとは言え今は佐渡本島への散発的な光線属種のモグラ叩きだけでは物足りなかった砲手に火を付けたのは確かであった。




そう、この迎撃戦に於いて現在の優勢を成し得る原動となった新装備“森羅”。
同じ実戦検証であるXM3が戦術機の機動に革命的な恩恵を齎した様に、“森羅”は対BETAの戦術、或いは今後の戦略に極めて大きな変革を醸した、と言える。
その圧倒的な情報収集能力と分析力、そして精緻なそれらに基づくBETA行動予測が、今の有利な状況を齎した主因であることは疑う余地もない。



―――しかし、何故その“森羅”のコールサインが白銀少佐のそれである〈Thor-01〉であったのか――。

その理由をたった8騎の戦術機が総数2,000ものBETAと相対し、自走砲部隊からBETAの目を逸らした時に理解した。
ケタ違いの処理能力を有するシステムは、その性能故に使用しているCPUも破格の性能で在ることは間違いなく、BETA誘引特性が極めて高いのであろうと・・・。
その様なシステムは本来臨時新潟防衛総合司令室[HQ]のある後方に設置するのが常道とて、今20kmも離れて上陸したBETAさえ向きを返させる程の強烈な誘引特性では、やがて上陸した全てのBETAに囲まれることとなる。
最重要拠点となるヘッドクオーター目がけて20,000のBETAが押し寄せてくるのは頂けない。
その為に逆説的だが、常に移動が可能、しかも最も高い機動性を有する戦術機、“白銀の雷閃”に装備された、と言うことなのだ。

そして、白銀少佐或いは“森羅”自身は、その強い誘引特性を寧ろ積極的に利用し、友軍からBETAを引き剥がすのに活用していると言うのだから恐れ入る。


今スクリーンの右側で今まで見たことのない3次元機動でBETAを翻弄しているのは、国連カラーも鮮やかな試製XFJ-01、それもその横浜仕様のチューニングが施された事が明白に見て取れる“改”。
光線属種排除や第1波殲滅から急遽総合司令室[HQ]が用意した戦域監視カメラは、エリア1から2に掛けてBETAを翻弄する〈Thor-01〉以下ソール隊、フェンリア隊、ガルム隊の姿を捉えている。



補給を無視してエリア1に急行し、薄氷の状況を打破せしめた事により得た効果は多大であった。
それは前線に砲撃可能な戦力を温存した。
残弾数は半分を切っていたものの、エリア1からエリア4までに上陸する光線級を水際砲撃する自走砲部隊と、全エリアに上陸する重光線級に対するロケット弾攻撃を敢行するHIMARS部隊の確保に成功した。
約3割の友軍を巻き添えにしただろう艦砲に対し、無謀とも見える1個中隊、実質8騎の吶喊でそれを成し遂げた。

―――それが白銀武少佐であった。





画面を舞う試製XFJ-01の動きから目が離せない―――。
ただでさえ光線属種の初期照射を察知して本照射を躱すと言う“白銀の雷閃[シルバーライトニング]”に、“空の自由”を与えたらもはや無敵。
残弾や推進剤の消耗さえなければ、万に届くBETAをも屠る――それが誇張や冗談に思えないほどの機動。
“単騎世界最高戦力”という触れ込みに、何の虚飾も偽りも無いことを直観してしまう。

恐らくこの迎撃戦における“最重要装備”である“森羅”をそこに載むのも理解できる。
数千のBETAを相手取り、飛び出してくる突撃級を排除しながら誘導していく。
膨大な物量を背景とし、戦術を蹂躙してきたBETAに対し、単騎で戦況を引っ繰り返せる“個体”。

それが“白銀の雷閃”―――。


率いるは、A-00概念実証試験中隊。
あの“横浜の魔女”麾下の試験中隊と言うだけ在って、国内のみ成らず世界の国連部隊からもトップガンクラスを集めたと思われるその中隊は、見ていてもその練度の高さが伺えた。

量産先行機の実戦検証を兼ねると思われる試製XFJ-01を駆る4騎の機動ですら、XM3練度の高さもあり、既に帝国軍の上位者、斯衛でもかなりにレベルになると思われる機動をしている。
何よりも、XM3の特徴と言われる滑らかで繋ぎのない動きを自然と戦闘機動に使えている。
ガルム隊で突出気味の隊長機に追従する〈Garm-03〉は機動がいい。
最前線でBETAと闘いながら、時に飛び掛って来た要撃級を投げ飛ばす機動すら行う。
これがXM3の齎す動きかと瞠目させられた。
そして〈Garm-02〉は、〈Garm-01〉の指示を受けつつ、必要な距離必要な援護を的確に行う広い視野を有している。
更に〈Garm-04〉は、突発的なBETAの変化や新たな別働隊の出現時に、何故かそこにいる。
小さな危機を潰すことで大きな危機を招かない、そんなポジションだった。

そしてあの〈Thor-01〉に砲撃支援の位置で追従するのは〈Thor-04〉。
初め、〈Thor-01〉の周囲で突然撃ちぬかれるBETAの存在に気がつかなかった。
それほど引いたポジションを置いた〈Thor-04〉は、驚異とも言える命中精度で〈Thor-01〉の周囲のみ成らず、ガルム隊やフェンリア隊の支援を行っていた。


しかし、そんな4騎が稚拙に感じられる程、残りの3騎の試製XFJ-01、そして山吹色の武御雷の機動は群を抜いていた。



機密部隊故、隊長以下は名も明かさぬ〈Fenrir-02〉は、常にBETAの先をとる。
武道で言う“先の先”と言うのであろうか、次にBETAが“如何”動くのか判っていて、そこに長刀を振り、突撃砲を放つ。
振った長刀や、放った砲撃に次々とBETAが勝手に突っ込んでくる[●●●●●●●●●●]のを見ている様な、不思議な違和感が在った。
襲いかかるBETAをヒラリヒラリと言うより、円転滑脱とでも言えば良いのか、クルリクルリと縦にも横にも円を繋げていく様な滑らかな機動で躱しながら繰り出す鮮紅の長刀、撃ち出す36mm砲の射線にBETAを誘いこむ、そんな不可思議な機動だった。


そしてA-00中隊の副隊長、〈Garm-01〉神宮司大尉は、冷静沈着でありながら一騎先行すると言う矛盾するような動きを見せる。
残るガルム隊を指揮展開しながら、自らは半ば無謀に突出している。
が、その距離感は抜群で、残るチームに過負荷が無いようにBETA群を配るよう導きながら、自らも蹴散らす様にBETA群を屠ってゆく。
それが狂気なのか計算されつくした鬼謀なのか、判断が付かない。
その突出こそ無謀に見えるが、その機動自体は基礎を深く理解し、そして時間を掛け経験を積んで磨き上げることによって昇華した至高。
それが試製XFJ-01や“XM3”と融合して更に羽化を遂げたような、一見地味だがその実奥の深い戦術機機動の極致とも言える域にまで達していた。


この2人ですら超1流のエース級、連合艦隊一筋とはいえ、幾多の年月を経て黎明期より戦術機を見てきた私が知る衛士の中でも5指に入る腕であることは疑うよりがない。



だが・・・・・・・・。

残る2人は、もはや次元が違う。
完全に既存の概念の、その向こうに在る。




〈Fenrir-01〉――山吹の武御雷。
その乗機から、斯衛から国連横浜基地に出向していると聞く、つい先日ラプターを下したXFJ計画の開発主任、篁唯依大尉であることは間違いない。
大尉の機動を見るのは初めてであるし、武御雷が独特の形状を持つスラスターを装備していることから、何らかの実戦検証をしていることも伺えるが・・・それにしてもその動きが尋常ではない。
もはや、完全に異常の域に踏み込んでいる―――。

プロフィールで垣間見た記憶がある、若くして示現流の皆伝者。
乾坤一擲ならぬ乾坤一刀―――初撃に全てを掛ける示現流の理念そのままに、機先を制する様に一刀のもとBETAを切り捨てる―――のであるが、先の〈Fenrir-02〉の“先の先”とは、また意味合いが甚だしく違う。
〈Fenrir-02〉がその動きを先回りしているかの様であるのに対し、〈Fenrir-01〉はBETAが動く前[●●●]に切り捨てる―――勿論BETAが動いているにも拘らず、そう感じて[●●●]しまうのである。
―――それほどに、初動が疾い。
“縮地”とか、“虚空瞬動”と言う概念が現実にあるのなら、それに最も近いのであろう。

そして、更に異常[●●]に感じられるのは、その動きを連続で行う[●●●●●] 事だ。
結果、〈Fenrir-01〉の動きは、滑らかな動きと言うのとは一線を画し、極めて直線的でありながらそれを鋭角的に繋ぎ、まるで点と点を結ぶ近距離の空間跳躍を連続して行っているような機動であった。
そこには、訓練や修練だけではない、何か[●●]全く別の要素が存在している事を窺わせた。
BETA大群の渦中にあって、白銀少佐に次ぐ数のBETAを誘引しながら、その機動は一切ぶれない。



―――そして、“白銀の雷閃”、〈Thor-01〉白銀少佐。

剣術に基礎を置く〈Fenrir-01〉が必要時以外基本平面機動なのに対し、以前見たシミュレーション、否、それを遥かに凌駕する異次元の3次元機動でBETAを翻弄していくその様子は、正に変幻自在。
極限まで無駄を排除しつつ、必要に応じて時に疾く、時に緩やかに、曲線も直線も自在に描くその機動は、ある種洗練され完成しながら、それすら超越して進化していく“舞”のごとく天衣無縫。


突撃級の突進を八艘飛びしながら撃破し、渦巻くように追いすがる要撃級を誘うように誘導していく。
最低限の弾薬しか使わず、その為に“森羅”目がけて殺到するBETAは、集い、犇めき、折り重なるようにその体積を膨張させていく。
ヴォールクのシミュレーションでは2,3層に折り重なるBETAを見たことがあるが、地上においてこの様な光景を見るのは初めて。
――それ程に“森羅”の誘引特性が高いと言うことなのだ。

小さな個体の集合体が、統一された意思を持って襲いかかる様に要撃級の体高を遥かに越えた、40m近い波濤となって雪崩て来るのを波のパイプを潜るように翔る。
千に届くBETA群と言うよりも、最早BETA群体といった巨大集合体を相手に、平然と翻弄する。
しかしその間にも、波面を切り裂き、何十体のBETAを排除しているのだが、集まったBETA群体からすれば、僅かな欠損。
削り切るには長い時間が掛かるだろう、そう感じたその時、宙を舞った試製XFJ-01の直ぐ上を、山吹の武御雷が駆け抜けた。
一拍於いて、篁大尉が誘引していたBETA塊と、一旦波濤が崩れ波打ったBETA群体が更に重なる。

空中で動きを止めた白銀少佐に、周辺に集まっていたBETA群までもが一斉に押し寄せ、それらまでを取り込んだBETA群体は、宙に在る試製XFJ-01に向かい天衝くかの如く盛上がる。

試製XFJ-01に大地から触手を伸ばすBETA群体――。


―――試製XFJ-01はそれを避けるように僅かにツ、と上昇する動きを見せ―――そしてその瞬間、姿が消えた。





何が起きた?

目標をロストした事態を察したカメラ担当も、慌ててズームアウトしたのか画面の画角が変わる。

その瞬間、巨大な蜷局を巻くように渦巻いて集まり、上に向かって折り重なり這い上がっていたBETA群体が、光に没した。


Sideout



Side 武


「・・・・アレ[●●]がIRFGを起動した、武御雷“改”?」

「そうだよ。光線属種排除に一応の目処が立ったから、使ってみるみたい。」

純夏の言葉に、視界に入る山吹色の武御雷“改”の動きを意識に留める。


時刻は07:24―――。

既にエリア6までBETA上陸は始まっている。
思惑通りの“森羅”の強烈な誘引特性に、それらのエリアに上陸したBETAは、第1波と異なり、“東進”している。

そして未だ戦術機部隊が到着していない中央エリアなら、艦砲使っても何の問題もない――ってことで。
艦隊からの援護をお願いしたらノリノリで引き受けてくれた、と純夏が笑っていた。

数が多い本隊は、削り切るのに時間がかかる。
少しでも削れるなら大歓迎ってことだ。
装弾数や推進剤の関係で、時間の経過は戦術機側の不利にしかならない。
しかも光線属種優先排除で、“空の自由”が確保されている状況での機動など、習熟しているのはヴァルキリーズや、A-01中隊の面々しか居ないだろう。
その事で、他の部隊では戦闘が長時間に及んだ場合、噴射剤が無くなる可能性が高い。

優位に推移しないことを前提の演習に振り過ぎた訳だが、今こうしてその設定が実現できている事実がなければ、そんな甘い設定の演習など一笑に付された事も確かだ。


こっちはエリア1の残存分を自走砲大隊から離すように誘引しつつ、隣のエリア2本隊とぶつかった所。
既にヴァルキリーズの皆も到着し、エリア1の誘引しきれなかった残存分を潰しにかかってくれている。
これで完全にBETAのターゲットから外れた自走砲部隊は、エリア1、エリア2に上陸しかかった光線級を水際で殲滅し、沖合に頭を覗かせた重光線級にはGPS制御ならぬ“森羅”位置情報直結のM30誘導ロケット弾を真上から直撃させる。
如何な重光線級といえ、水面から1m位の水深でロケット弾を撃ち込まれたら為す術もない。


この自走砲部隊とHIMARS部隊を損害なく確保したことで、東エリアの光線属種を排除できた事は、今の戦局に於いて極めて大きい意味を持つ。
残存弾数から、要塞級の全てまでは手が回らないからその内包する光線級には注意が必要だが、それもエリア2までの上陸分は沖合で殲滅できる。
残りエリア5からエリア8までは、弾薬の補給が間に合った戦車大隊が帝国軍戦術機連隊に護られながら殲滅できるだけの弾薬を得ているので、そちらに任せる他ない。

それでも、光線級が居ないとは言えエリア2に上陸した1,400、エリア1残存を合わせるとまだ中型種以上で2,000近いBETA本隊を殲滅するのは骨だ。
密集度と言うか、積層数と言うか、地表面でのBETAはオレに言わせると疎ら。
S-11を使うと1発で何千から万に届く、と言うハイヴ内の戦果とは程遠いのだ。
空間的立体的に展開してくるハイヴ内とは状況が違うことは重々承知。


結局地道に潰すしか無いのだが、―――A-00中隊、ハンパないっス。



207Bを率いるまりもちゃんも過去“狂犬”の名を彷彿とさせる様な単騎先行をしながらも、長い教導経験で培われたスキルによって初陣の207Bを上手く誘導し、BETAを刈り取っていく。
207Bの追従も、完璧と言って良い。

砲撃支援に当たってくれてる〈Thor-04〉[たま]の狙撃も燻し銀の様に光る。
彼方と一緒に弄っていた照準支援で索敵から射撃までのインターバルが徐々に短くなってきている。

“紅の姉妹”は既にリハビリも完璧、自己覚醒したメタ感覚野で2,3秒先の未来を見るような予測と、XM3とXFJ Evolution4の突出して高い旋回特性を利用した円の動きでBETAを制圧していく。
・・・・部隊内通信に時折漏れるキャッキャウフフの笑い声だけが少し怖い。


―――けど、篁大尉のアレはヤバい[●●●]だろ―――。


コッチだって既に“ZONE”に入っているから正確に判るが、普通に見たって明らかに常軌を逸している。
そう、あの静止からの加速は、最大3Gを超えるこのXFJ Evolution4をも凌駕している。
さらに、その機動の切替が在り得ない[●●●●●]
機動から機動の繋ぎが鋭角すぎて、どう考えても慣性を無視[●●●●●]しているとしか、思えなかった、


あ―――!。


「なあ純夏―――魔改造って、慣性制御[●●●●]か?」


無意識の裡に周辺のBETAに砲弾を撃ちこみながら、跳躍で躱す。


「ん――、制御って程の制御はしてないみたい。
Invers Ratherford Field、正確にはその虚数項は、反ヒッグス場[●●●●●]で、それを使うと質量軽減[●●●●] が出来るんだよ。」

「質量軽減・・・反重力場ってコトか?」

「重力場と質量[ヒッグス]場は、別物だよ。
重力場は、向きと大きさを持つ力を及ぼすベクトル場、てか標準模型じゃテンソル場とスカラー場で表わされるけど、質量[ヒッグス]場は与えられた力に対する定数[●●]を与える方向を持たないポテンシャル場だよ。」

「・・・・ごめん、純夏、それ意味判って言ってる・・・よな?」

「ムウ・・・あったりまえじゃん。
わたしは凄乃皇なら、擬似重力場であるラザフォード場を制御するんだよ?
凄乃皇みたいに重たいモノを外部の重力場でベクトル制御するのって、大変なんだからね!
それも偏向面でモノが壊れないようにしなくちゃいけない四型なんか、いま“森羅”で使ってる領域の2倍位演算使うんだから。
それを[レーザー]を曲げちゃう位強化するとG-11[グレイ・イレブン]の消費も滅茶苦茶ハンパないし。
―――理論も解らず制御したら、全部破壊しちゃうよ。」


・・・成程、00ユニットである“森羅”込みの純夏なら、理論の理解は“当然”のコトか。
だから彼方も純夏には気軽にその“IRFG”の制御式を渡したのだろう。


「・・・・で、あれは、重力制御ではなく、質量制御、ってことなのか?」

「うん。
元々ラザフォード場みたいな有限領域内の重力場制御には、負のエネルギー場、つまりは反ヒッグス場を含む理論場を用いる必要があるってことは、既にS・ホーキング博士が理論証明しているの。
要するにML機関に依るラザフォード場の生成原理には元々負の質量場を内包しているし、G元素には負の質量を有するエキゾチック物質:G-6[グレイ・シックス]そのものが存在して、負の質量の実在を証明しているしね。
なので、それのみを取り出したのが、“Invers Ratherford Field Generator:IRFG”―――。」


なるべく小さな円を描く様に動きながらBETAを誘引していくと、徐々にBETAが折り重なって来る。


「―――どのくらい軽減させてるんだ?」

「フィールドを発生させるのは、G-コア廻りせいぜい戦術機内部の所謂“体幹”部分だけ―――最も重たいGコアや管制ユニット部分が主だよ。
その部分だけ慣性質量を1/10にまで低減している。」

「・・・なんで、その部分だけ?」

「外部に生成するラザフォード場と違って、内部に生成するスカラー場は、ポテンシャルを軽減するだけだからその維持に殆どG-11[グレイ・イレブン]を消費しなくて済むんだよ。
ベクトル場みたいに偏向面を気にしなくていいから、制御もずっと軽いし。
それに、戦術機の全部を“軽く”しちゃうと、斬撃や突撃砲の反動にも過敏になるから、基本四肢は変化させないことで、それらの使用感をなるべく変えないようにしてるんだって。」

「・・・・。」

「それでも、Gコア搭載で11.5tまで減量されていた武御雷“改”の体幹部質量10.3t分が1/10になると、総質量は2.2t位まで軽くなるんだよ?
このXFJ Evolution4の肩部スラスターと同じXFE112-FHI-400を3つ組み合わせた、3次元ベクタースラスター XFE3112-FHI-700は、肩部から外して吸気効率が上がったから1方向で456kN叩き出すみたい。
固定式だから、最大推力でも790kNだけど、単独噴射でも初動はXFJ Evolution4を超える4G、最大出力軸なら、7Gの加速になる。
何よりもスラスターを固定式の3次元にしたのは、噴射跳躍ユニットそのものの方向転換タイムラグを極力減らすため。
―――だから、あんな機動が出来る。」

「・・・・。」


―――頭痛ェ――。


「判ってるかな、タケルちゃん。
質量低減範囲に、管制ユニットが含まれる、ってことは、“人体”の質量も1/10になっているってことだよ?
―――つまり減速に10G掛かっても、質量が1/10なら、受ける力は1G相当――ってことを。
勿論、だから機体も保っているんだけどね!」


だ、ろうなぁ―――。
確かに“制御”と言うほど能動的に変化させている訳ではないけど、どう見たって間接的な慣性軽減。
じゃないと、あの物理法則を無視したような機動は理解出来ない。


「・・・・確かに魔改造だわ・・・。」

「でも当初の目的は、そっちじゃないみたい。」

「は?」

「・・・CCCAやMACROTの制御概念、更にタケルちゃんが進化させたManeuver Concept of Linked Inertia Control:MCLICという制御モデルに於ける戦術機の重量バランスの歪さは知ってるでしょ?」

「ああ。寧ろその辺の概念は、それを積極的に利用する手法だからな。」

「でも体幹部分質量が1/10になったらどうなる?」

「え? あ・・・。」

「体幹部にも骨格や骨格筋が含まれるから厳密とは言えないんだけど、IRFGを作動させることで、戦術機の重量配分を限りなく人体に近づけた、んだって。
つまり今篁大尉は、極めた剣術を生身で振るうのと同じ感覚で、戦術機の長刀を扱えるんだよ。」


なんか、色々と吹っ切れたような篁大尉の機動が理解できた。
慣性からも、戦術機の重量バランスからも、解放された動き、と言うことなのだろう。
篁大尉は示現流・・・だったっけな。
・・・あれ―――?
・・・じゃあ冥夜もアレに乗せれば化ける?
ってか、紅蓮大将とか、月詠さんとか・・・・。
・・・・・・背筋がトテモ寒いのはナンデだろう?

だから[●●●]武御雷“改”の装備なのかぁ・・・。


「・・・危険性は無いのか?」

「・・・理論的には1/100、1/1000と言ったポテンシャル場の形成も可能みたい。
でも場を形成消去する際のキックバックと、質量軽減に対する体細胞への影響を考えて、10倍を上限としてるって。
質量軽減は無重力状態とは、違うから生理的影響も今一つ未知だしね。
基本的に着座姿勢のまま、大きな動作のない操縦のみだから可能って言うのもあって、筋力そのまま、質量1/10状態で過激な運動したらどうなるか解らないじゃん。
実際篁大尉は、水曜に武御雷“改”を受け取ってこの演習に参加する為に遠征に出る金曜までの3日間、ずっとその影響取りに終始していたみたいだよ。
判ったことは少なくとも管制ユニット内の動作に関しては、生理的にも宇宙空間での無重力と同程度の短期的影響にとどまる、と言うことだって聞いた。」

「・・・・・純夏・・。」

「なに? タケルちゃん。」

「純夏が居れば、この[●●]XFJ Evolution4でも“IRFG”発生出来るんだよな?」

「――できるけど・・・、肩部スラスターのモーメントが過大で、クルクル回っちゃうよ?」

「違う―――。
今誘引しているBETAを一瞬で置き去りに出来れば、試製S-11X炸裂弾の効果範囲に集められるだろ?」

「・・・・・・・・・イケルよッ! タケルちゃん!
このXFJ Evolution4で、同じ領域にIRFG発生させると、えっと・・・自重が2.3t位になるから、XFE512-FHI-1500が2基の推力で最大15.5G、垂直上昇でも14.5G出せる!
大体離脱から1.8秒後に起爆すれば、音速を超える衝撃波にも追いつかれないから、破壊圏内がら脱出できることになる。
垂直方向に1.8秒なら、集めたBETAが散ることは無いし、引きずられて群体が崩れることもない。

――これで勝つるッ!

壬姫ちゃんに、1.5km位の位置から狙撃してもらえば、本機の上昇開始と同時に撃ってもらって丁度良い。」

「おしッ! じゃあもうちょっと集めるか! 篁大尉の誘引分も合わせられるか?」

「了解! フライパスで合流してもらう。だったら狙撃位置はコッチがいいよね。
A-01の皆にも警告して・・・。」


純夏はマルチタスクで一斉に連絡しているのだろう。
コチラも反射的に突撃級を撃破していたが、旋回する様に、残ったBETAを纏めていく。


「・・・因みに14.5Gの加速ってどのくらい?」

「えっと、車の加速性能みたいに言うと、0→100km/h加速が、0.2秒。
スタート2.4秒で0→400mに達して、その時音速突破する・・・位かな。
強化しているとは言え、戦術機だと形状的にM1.4位が限界だと思うから、3秒超えたら加速緩めて。」

「・・・・了解。」


月に行くロケットの加速度が8Gと聞いた。
訓練した人間が恒常的に耐えられる限界値。
人体が生み出せる加速度は、100m走で0.6G程度、チーターの全力ダッシュでも1G前後のはず。
元の世界のレーシングマシンなら、0→100km/h加速が2.5秒なんていう記憶があるけど、それでも1Gちょっと。

――それが0.2秒。
2.4秒で音速突破って・・・・。

単純加速とは言え、そこまで行くか。

スラスター形状が違うし、確かに噴射装置の方向転換は時間喰うから篁大尉みたいな超絶シザーズ機動はオレには無理だな。
オレ自身は、剣術特化じゃなく、戦術機特化だし。
けど、繋ぎ繋ぎで瞬時加速すれば、使いどころはあるはず。
その内純夏に頼んで、機動モデルつくろうかな―――。





『こちら〈Fenrir-01〉、約10秒後、貴機上空をフライパスします。』

「〈Thor-01〉了解。
〈Thor-04〉[たま]、〈Fenrir-01〉交差後、タイミングを測って垂直上昇に移る。
上昇動作確認次第、試製S-11X炸裂弾発射しろ。」

『・・Yes,Sir、移動確認次第試製弾発射します・・・・。ホントに大丈夫ですよね?』

「心配すんな。」

「大丈夫よ、壬姫ちゃん、タケルちゃんがドジって間に合わなかったら、わたしが起爆キャンセルしちゃうから。」

『!、了解ッ! ありがとッ!』


「範囲殲滅、1.6km圏内最大期待値、BETA数約1,000―――。
カウント5。」



――――彼方。

おまえが用意してくれた装備のお陰で、侵攻総数20,000なんていう桁の違うBETAもなんとか迎撃できそうだぜ―――。

・・・・杞憂は“殿下”だけ・・・・。

――――必ず無事に連れ帰ってくれよ!!


そう祈りつつ、オレはスロットルを踏み抜いた。


Sideout



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