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No.35536の一覧
[0] 【チラ裏より】Muv-Luv Alternative Change The World[maeve](2016/05/06 12:09)
[1] §01 2001,10,22(Mon) 08:00 白銀家武自室[maeve](2012/10/20 17:45)
[2] §02 2001,10,22(Mon) 08:35 白銀家武自室 考察 3周目[maeve](2013/05/15 19:59)
[3] §03 2001,10,22(Mon) 13:00 白銀家武自室 考察 BETA世界[maeve](2012/10/20 17:46)
[4] §04 2001,10,22(Mon) 20:00 横浜基地面会室 接触[maeve](2012/12/12 17:12)
[5] §05 2001,10,22(Mon) 21:00 B19夕呼執務室 交渉[maeve](2012/12/06 20:40)
[6] §06 2001,10,22(Mon) 21:30 B19夕呼執務室 対価[maeve](2012/10/20 17:47)
[7] §07 2001,10,22(Mon) 22:00 B19夕呼執務室 考察 鑑純夏[maeve](2012/10/20 17:47)
[8] §08 2001,10,22(Mon) 22:30 B19夕呼執務室 考察 分岐世界[maeve](2012/10/20 17:47)
[9] §09 2001,10,22(Mon) 23:00 B19シリンダールーム[maeve](2012/10/20 17:48)
[10] §10 2001,10,23(Tue) 08:00 B19夕呼執務室[maeve](2012/12/06 21:12)
[11] §11 2001,10,23(Tue) 09:15 シミュレータルーム 考察 BETA戦[maeve](2013/01/19 17:36)
[12] §12 2001,10,23(Tue) 10:00 シミュレータルーム 考察 ハイヴ戦[maeve](2015/02/08 11:03)
[13] §13 2001,10,23(Tue) 11:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:23)
[14] §14 2001,10,23(Tue) 12:20 PX それぞれの再会[maeve](2012/12/16 23:01)
[15] §15 2001,10,23(Tue) 13:00 教室[maeve](2012/12/06 00:01)
[16] §16 2001,10,23(Tue) 13:50 ブリーフィングルーム[maeve](2013/05/15 20:03)
[17] §17 2001,10,23(Tue) 18:30 シミュレータルーム[maeve](2015/03/06 21:04)
[18] §18 2001,10,23(Tue) 22:00 B15白銀武個室[maeve](2015/06/19 19:23)
[19] §19 2001,10,23(Tue) 23:10 B19夕呼執務室 考察 因果特異体[maeve](2012/10/20 17:51)
[20] §20 2001,10,24(Wed) 09:00 B05医療センター Op.Milkyway[maeve](2015/02/08 11:06)
[21] §21 2001,10,24(Wed) 10:00 シミュレータルーム 考察 XM3[maeve](2012/12/06 21:17)
[22] §22 2001,10,24(Wed) 13:00 横浜某所 遺産[maeve](2012/11/10 07:00)
[23] §23 2001,10,24(Wed) 21:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:30)
[24] §24 2001,10,24(Wed) 22:00 B19シリンダールーム 暴露(改稿)[maeve](2013/04/04 22:05)
[25] §25 2001,10,24(Wed) 23:00 B19シリンダールーム 覚醒[maeve](2013/04/08 22:10)
[26] §26 2001,10,25(Thu) 10:00 帝都城 悠陽執務室[maeve](2016/05/06 11:58)
[27] §27 2001,10,26(Fri) 22:00 B19夕呼執務室[maeve](2016/05/06 12:35)
[28] §28 2001,10,27(Sat) 09:45 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:22)
[29] §29 2001,10,27(Sat) 11:00 帝都浜離宮茶室[maeve](2015/02/08 10:15)
[30] §30 2001,10,27(Sat) 12:45 帝都浜離宮 回想(改稿)[maeve](2012/12/16 18:30)
[31] §31 2001,10,27(Sat) 14:00 帝都城第2演武場[maeve](2015/01/23 23:26)
[32] §32 2001,10,27(Sat) 15:00 帝都城第2演武場管制棟[maeve](2016/05/06 11:59)
[33] §33 2001,10,27(Sat) 16:00 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:31)
[34] §34 2001,10,28(Sun) 10:00 帝都城第2演武場講堂 初期教導[maeve](2016/05/06 12:00)
[36] §35 2001,10,28(Sun) 13:00 帝都城来賓室[maeve](2016/05/06 12:00)
[37] §36 2001,10,28(Sun) 国連横浜基地[maeve](2012/11/08 22:20)
[38] §37 2001,10,29(Mon) 15:00  B19シリンダールーム 復活[maeve](2013/04/04 22:18)
[39] §38 2001,10,30(Tue) 10:00  A-00部隊執務室 唯依出向[maeve](2016/05/06 12:01)
[40] §39 2001,10,30(Tue) 11:00  B19夕呼執務室 考察 G元素(1)[maeve](2015/03/06 21:07)
[41] §40 2001,10,30(Tue) 15:00  A-00部隊執務室[maeve](2015/02/03 20:59)
[42] §41 2001,10,31(Wed) 10:00 シミュレータルーム[maeve](2016/05/06 12:03)
[43] §42 2001,10,31(Wed) 06:00 アラスカ州ユーコン川[maeve](2016/05/06 12:03)
[44] §43 2001,10,31(Wed) 10:00 司令部ビル 来賓応接室[maeve](2016/06/03 19:20)
[45] §44 2001,10,31(Wed) 12:00 ソ連軍統治区画内 機密研究エリア[maeve](2016/05/06 12:05)
[46] §45 2001,11,01(Thu) 13:00 アルゴス試験小隊専用野外格納庫 考察 戦術機[maeve](2016/05/06 12:06)
[47] §46 2001,11,02(Fri) 12:00 テストサイト18第2演習区画 E-102演習場[maeve](2016/05/06 11:50)
[48] §47 2001,11,02(Fri) 12:15 司令部棟 B05 相互評価演習専用指揮所[maeve](2016/05/06 12:06)
[49] §48 2001,11,03(Sat) 05:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/02/03 21:01)
[50] §49 2001,11,03(Sat) 09:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/01/04 19:23)
[51] §50 2001,11,02(Fri) 20:00 ユーコン基地[maeve](2016/05/06 12:07)
[52] §51 2001,11,03(Sat) 点景[maeve](2016/05/06 12:08)
[53] §52 2001,11,04(Sun) 07:30  A-00部隊執務室[maeve](2016/05/06 12:08)
[55] §53 2001,11,04(Sun) 20:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/06/19 19:45)
[56] §54 2001,11,05(Mon) 09:00 ブリーフィングルーム[maeve](2015/01/24 18:43)
[57] §55 2001,11,06(Tue) 10:00 帝都城第2連隊戦術機ハンガー[maeve](2015/06/05 13:06)
[58] §56 2001,11,07(Wed) 10:00 横浜基地70番ハンガー[maeve](2015/03/06 20:56)
[59] §57 2001,11,08(Thu) 14:00 帝都浜離宮来賓室[maeve](2015/09/05 17:29)
[60] §58 2001,11,08(Thu) 15:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(1)[maeve](2013/04/16 21:00)
[61] §59 2001,11,08(Thu) 15:30 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(2)[maeve](2015/01/04 19:04)
[62] §60 2001,11,08(Thu) 16:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(3)[maeve](2015/02/03 21:19)
[63] §61 2001,11,09(Fri) 11:05 新潟空港跡地付近[maeve](2015/10/07 16:50)
[64] §62 2001,11,10(Sat) 23:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/03/06 21:15)
[65] §63 2001,11,11(Sun) 05:50 燕市スポーツ施設体育センター跡[maeve](2015/06/19 19:48)
[66] §64 2001,11,11(Sun) 06:52 旧海辺の森跡付近[maeve](2016/06/03 19:25)
[67] §65 2001,11,11(Sun) 07:15 旧燕市公民館跡付近[maeve](2016/05/06 11:55)
[68] §66 2001,11,11(Sun) 07:24 連合艦隊第2艦隊旗艦“信濃”[maeve](2016/05/06 11:56)
[69] §67 2001,11,11(Sun) 07:44 旧新潟亀田IC付近[maeve](2015/09/11 17:22)
[70] §68 2001,11,11(Sun) 08:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 09:53)
[71] §69 2001,11,11(Sun) 08:15 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 10:00)
[72] §70 2001,11,11(Sun) 08:20 旧北陸自動車道新潟西IC付近[maeve](2014/12/29 20:34)
[73] §71 2001,11,11(Sun) 08:25 帝都上空[maeve](2015/08/21 18:44)
[74] §72 2001,11,11(Sun) 10:30 三条市荒沢R289沿い[maeve](2015/02/04 22:07)
[75] §73 2001.11.12(Mon) 09:30 PX[maeve](2015/09/05 17:34)
[76] §74 2001.11.13(Tue) 09:00 帝都港区赤坂 九條本家[maeve](2015/04/11 23:27)
[77] §75 2001,11,13(Tue) 10:30 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2015/12/26 14:19)
[78] §76 2001,11,13(Tue) 19:50 B19フロア 夕呼執務室 考察G元素(2)[maeve](2016/05/06 12:19)
[79] §77 2001,11,14(Wed) 09:00 講堂[maeve](2016/05/06 12:25)
[80] §78 2001,11,15(Thu) 22:22 B15 通路[maeve](2016/05/06 12:31)
[81] §79 2001,11,15(Thu) 15:00(ユーコン標準時GMT-8) ユーコン基地滑走路[maeve](2015/10/07 16:54)
[82] §80 2001,11,16(Fri) 10:15(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/09/05 17:41)
[83] §81 2001,11,16(Fri) 10:55(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト18[maeve](2015/10/07 16:57)
[84] §82 2001,11,16(Fri) 16:30(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/05/31 10:24)
[85] §83 2001,11,16(Fri) 21:00(GMT-8) リルフォート歓楽街 “Da Bone”[maeve](2015/10/07 17:03)
[86] §84 2001,11,17(Sat) 17:00(GMT-8) イーダル小隊専用野外格納庫 衛士控室[maeve](2015/06/20 23:51)
[87] §85 2001,11,18(Sun) 17:20(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト37 幕間?[maeve](2015/05/31 20:15)
[88] §86 2001,11,18(Sun) 22:00(GMT-8) アルゴス試験小隊専用野外格納庫[maeve](2016/05/06 11:46)
[89] §87 2001,11,19(Mon) 13:00(GMT-8) ユーコン基地 居住区フードコート[maeve](2015/06/19 20:13)
[90] §88 2001,11,19(Mon) 18:12(GMT-8) ユーコン基地 演習区外米国緩衝エリア[maeve](2015/12/26 14:23)
[91] §89 2001,11,19(Mon) 18:50(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/12/26 14:25)
[92] §90 2001,11,19(Mon) 20:45(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/10/07 17:13)
[93] §91 2001,11,19(Mon) 21:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画[maeve](2015/10/07 17:15)
[94] §92 2001,11,20(Tue) 03:30(GMT-8) ソビエト連邦租借地 ヴュンディック湖付近[maeve](2015/08/28 20:32)
[95] §93 2001,11,21(Wed) 14:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画内 総合司令室[maeve](2015/10/07 17:20)
[96] §94 2001.11.22(Thu) 03:00(GMT-8) アラスカ州ランパート付近[maeve](2015/12/26 14:28)
[97] §95 2001.11.23(Fri) 18:00(GMT+9) 横浜基地 B20高度機密区画[maeve](2015/08/28 20:08)
[98] §96 2001.11.24(Sat) 15:00 横浜基地 B17 A-00部隊執務室[maeve](2016/06/03 19:39)
[99] §97 2001.11.25(Sun) 02:00(GMT-?) 某国某所[maeve](2015/12/26 14:33)
[100] §98 2001.11.25(Sun) 13:30 横浜基地 北格納庫管制制御室[maeve](2016/06/04 14:06)
[101] §99 2001.11.25(Sun) 18:00 横浜基地本館 メインバンケット モニタールーム[maeve](2015/10/31 14:40)
[102] §100 2001.11.26(Mon) 06:30 横浜基地本館 ゲスト棟[maeve](2016/05/06 11:44)
[103] §101 2001.11.26(Mon) 17:15 横浜基地 モニタールーム[maeve](2016/05/15 12:14)
[104] §102 2001.11.27(Tue) 06:00 国連横浜基地 第2グランド[maeve](2016/06/03 19:42)
[105] §103 2001.11.28(Wed) 09:00 国連横浜基地 XM3トライアル V-JIVES[maeve](2016/05/14 13:10)
[106] §104 2001.11.28(Wed) 17:00 国連横浜基地 米軍割当外部ハンガー ミーティングルーム[maeve](2016/06/04 06:10)
[107] §105 2001.11.28(Wed) 17:40 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2016/06/10 23:26)
[108] §106 2001.11.28(Wed) 18:00 国連横浜基地 Bゲート付近 〈Valkyrie-04〉コックピット[maeve](2019/03/26 22:16)
[109] §107 2001.11.28(Wed) 21:00 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2019/03/30 00:03)
[110] §108 2001.11.28(Wed) 21:00(GMT-5) ニューヨーク レストラン “Par Se”[maeve](2019/06/30 17:55)
[112] §109 2001.11.29(Thu) 09:00(GMT-5) ニューヨーク国連本部 安保緊急理事会[maeve](2019/05/05 21:16)
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[35536] §59 2001,11,08(Thu) 15:30 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(2)
Name: maeve◆e33a0264 ID:53eb0cc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2015/01/04 19:04
’13,04,16 upload ※注意! 説明厨暴発中 苦手な方は飛ばして下さい。
'15,01,04 斑鳩閣下の名前変更


Side 真耶


静まり返る室内。空気の粘度が上がった様に、息することすら気力を要する。
場を支配するのは、疑惑、困惑、と言った戸惑いと、その仮説が正しいときに発生する諸問題への懸念。


「・・・・それは、九條や第5計画派の上層部に、BETAの傀儡が存在する・・・と言うことですか?」

「正確には今地球上にいる上位存在支配下のBETAとは別系統、月か火星の“星系統括”麾下だろうけど。
“傀儡級”・・・今までのBETA呼称に倣えばだが、まあ既存のBETAとは元の成り立ちから異なるだろう。
差詰め奴等は、『人類に敵対的な地球[]起源生命』、Beings of the Intra Terrestrial origin which is Adversary of human race――で“BITA”。BITA目人類属種“傀儡級”かな。
九條、第5計画派、米国政府高官、キリスト教恭順派や難民解放戦線にも居るんじゃないか?」

「「「 !! 」」ムウ、なんと・・・、BETAならぬ“BITA”であるか?」

「・・・然程驚くような存在でも有るまい?
潜在的に人類の存続に敵対する内的存在は今までも居た。
特に文明が成熟してくると、幾度と無く湧いてくる終末思想と同じだろ?
社会構造に絶望したテロリストであったり、来世にしか希望を持てない狂信者であったり、その規模は様々だろうが、な。
広義で捉えれば、アウトブレイクする極めて感染力の強い致死性細菌だって一種の“BITA”目細菌属種だろう。
いっそ“傀儡級”は、“創造主”っていう神に帰依してる、とでも思えばいい。」


『人類に敵対的な地球[]起源生命』と言う存在・・・。成程、意味は理解できる。
しかしそれが外来種であるBETAによって齎されたとなると、まるで理解ができない。あのコミュニケーションすら取れない劣悪な存在との接点が思いつかない。
確かに極一部の狂気とも言える思想として、物も言わず只人類を蹂躙するBETAに断罪の神を重ねても不思議ではない。
BETA禍を“神の試練”と重ねる一派も居る。
圧倒的なBETAに対し、追い詰められた人類が未だ一枚岩でないことは、確実。
だからといって、それがBETA由来だと判断するのは、余りにも理論が飛躍しているとしか思えないのだ。




「―――まあ・・・ちょっと待て、彼方。」


自らの錯綜する思考を断ち切ったのは、斑鳩崇継中佐だった。
彼の率いるのは第16斯衛大隊――連隊に属さない独立大隊で、斯衛軍でも精鋭中の精鋭を集めたある種殿下の親衛部隊。京都防衛戦では、僭越ながら私が副官を務めさせて頂いた。
大隊指揮官ではあるが、近々大佐に昇格する内示が出されている。
新進の五摂家当主でありながら“阿修羅” の異名を持つ京都防衛戦以前から斯衛生え抜き。
その一方で怜悧な頭脳を有する策略家[はらぐろ]とも言われているのが正鵠であることは、良く知っている。
あ奴とは知己であり、私が殿下付御庭番に復帰して副官を退いた後、御前の秘蔵っ子だったあ奴の姉が副官として付いている。
今ではその御子神遥華少佐の事実上婚約者なのだが、その事実を目の当たりにした私は、腹黒も天然には弱いらしい、と初めて悟ったのだ。
以前の邂逅を垣間見ても、あ奴をして一目置く存在なのは確か。


「・・・そう結論を急ぐな。
先刻も白銀少佐が諌めたが、どうもお前は基本説明上手なのに、時折話が明後日の方向に飛んでいく。
・・・・昔から変わっていないな。」

「・・・・かもな。」


あ奴が肩を竦める。


「お前の中では既に熟考されていて、ある程度結論が出ているのかもしれないが、我々には理論が飛躍しすぎているとしか思えない。
幸い今此処には政治・技術・諜報のエキスパートが揃い、当面[新潟]の対応を行う斯衛の司令官も雁首揃えている。
敵の目的を知り、的確に対処するのが防衛戦略の基盤でもあるから、そうそう結論を急がず、キチンとあり得る状況の検分を行いたい。
抑々、お前自身無茶な仮説と評しているのだから、その検証も必要であろう?
一つ一つ“創造主”の戦略を予測し、その対応を吟味したいのだが、異論はあるか?」

「・・・無問題・・、了解。」

「では殿下、並びに列席のお歴々、進行をお任せ戴いても構わぬでしょうか?」


斑鳩中佐が清々しい笑顔と共に確認を執った。









「まず、創造主が我々とは、全く別の進化を辿った生命体であろうことは、異論の挟み様もない。
しかし、その発生過程についての議論は勿論全く行われていない。
まだ“例の会話ログ”が公表できない以上、専門家に依る考察も行えないし、巌谷中佐以外我々では詳細に検討するほど知識を有していない。
その中での彼方の推論であるが、・・・・技術的な観点から見て巌谷中佐は如何ですか?」

「・・・私も生命進化など専門ではないのでね、偉そうなコメントは差し控えますが、生命進化も化学や物理に基づく現象であり、それらが類似性[アナロジー]を持つのは不思議ではない、と考えます。
遺伝による炭素系生命進化のプロセスが最適化アルゴリスムとして使えるなら、焼き鈍まし法と言う最適化アルゴリズムが、逆に珪素系生命進化のプロセスである、と言う考え方も斬新では在りますが、珪素の物理的性質を考慮すればあり得ること。
寧ろ言われてみれば妥当とさえ思えます。
ダーウィンの進化論ですら実証できない永い時間的経過を必要とする経験的理論なので、そうそう実証は出来ないと思いますがね。
根拠といえば技術者としての“勘” ですが、この推論が妙に嵌る[●●●●]事は確かでしょう。
そしてその違いを肯定すれば、上位存在との会話ログにある、創造主が炭素系生命体を“生命”として認めていないかの様な言も致し方ないとも思える。
炭素系生命の我々からすれば、珪素系半導体のメモリーやスイッチングの機能は“現象”であって“思考活動”ではない様に、珪素系半導体を基質とする思考体では、蛋白質と酵素に基づく神経細胞の機能は、余りにも脆弱で刹那的すぎて、“思考活動”ではないとしているとも考えられる。」

「・・・フム、“妙に嵌る”とは言い得て妙ですね。」


斑鳩中佐が全員を見回す。


「・・・異論も無いようであるし、検証は後日専門家に任せるのが妥当でしょう。
この件はこの場で論議する必要性も感じないので、サクサクと次に行きます。

その創造主の目的が、人類の有する“変化する力”であることについては、・・・白銀少佐、先ほどは彼方に口止めされていた様だが何か有るのかね?」

「・・・これは第4計画の中で得た極秘情報なので、夕呼先生の許可が無いままここでその内容を詳しくお話する事は出来ません・・・が、簡単に言えば、BETAが特定の対象を最優先した“とある事実”が観測されている、と言う事です。」

「・・・成程、推論が事実により証明されているのか。
しかし、創造主の“目的”が人類に付帯することと、その人類さえ喰い荒らすBETAの行動は必ずしも一致していない、とも見えるが?」

「・・・同じ疑問をオレも以前抱きました。
しかしBETA由来の素材として、人間の精神にも干渉できるバッフワイト素子の存在が確認されています。なのでBETAは大凡の範囲で、“対象”、乃至、“対象の高確率候補者”を補足できると推定しています。
また、上位存在との対話の中で人類を“兵士級の素材”としていることも聞き及んで居ると思いますし、更にはBETAが自らの活動を維持するために求めるG元素は、炭素系生命体の基礎である蛋白質に僅かですが土壌よりも高濃度で蓄積される事も判明しています。
その為、確保対象ではない人類を含めた炭素系生物を優先的に侵食していくことは、創造主の目的となんら矛盾しない、と第4計画は考えています。」

「・・・人類に対するBETAの行動にも矛盾しない、と言うことか。」

「・・・つまり、BETAにとって、創造主の目的、自己の増殖、いずれにせよ人類は捕獲対象、と言う事なのだな。」


斉御司大佐の追認に、白銀少佐が頷く。
その遠まわしな言い方に、何かと気付くことも在るのだがここでそれを突くのは僭越であろう。
国連計画である第4計画は、立場上飽く迄“協力関係”であり、彼らが国連軍所属として動く以上、詳しく話せない、と言う言葉は尤もである。


「・・・何れにしろ、この2点に関しては、彼方の推論が最尤仮説、と言う事は異存がないと判断します。

・・・で、だ。」


斑鳩中佐は、改めてあ奴に向き直る。


「・・・問題の創造主が摂っている戦略なんだが・・・、表向きBETA一択に見えるのだが?
少なくともお前の言う“傀儡級”仮説に、俺は個人的に疑問を持っている。
・・・その観点から榊首相、鎧衣課長は政治的・諜報的観点からいかがですか?」

「そうだな・・。
・・・・・忌憚ない意見を言わせてもらえば、ここのところの白銀君や御子神君や活躍で、第5計画派が大きくその存在意義を失ったことは確かであろう。
殊にG弾に大きく傾注していた米国軍のドクトリンの崩壊、それに引きずられていたATSFに基づくラプターやアヴェンジャーすら尽く打破された事態は、米軍の在り方そのものを再構築する必要性を突きつけた様なモノだから、相当だろう。
これは米国政府や軍上層部が、御子神君の言う“傀儡級”で在ろうが無かろうがいずれにしてもだ。

だが一方、今や世界で唯一の超大国であり人類の趨勢を担う、と言う自負や意識まではそれ程簡単に変わるまい。
故に今、米国と言う国の対BETA戦略の代名詞でもあった第5計画を瓦解させるわけには行かないだろう。
確かに根拠ある指摘に、バビロン作戦も移民計画も完遂不可能であることを、上層部は理解しているであろう。
しかし、第5計画に変わる代替案、米国の威信を賭けた次善案が直ぐに提示できない以上、今回の第5計画派の対応は、表向き計画を維持し、その為に移民計画を擁護した、と言う見方もできる。
特に移民計画に賛同する国内外のスポンサーを失うわけには行かぬ故に・・。

そして、帝国に対するクーデターに関しても同じことが言える。
元々その目的は、帝国を再度太平洋に侵攻するBETAの堤防とし、一方で第5計画発動の障害であった第4計画の打ち切りを狙っていたのかも知れないが、第4計画がXM3と言う成果を出し、G弾の運用に障害が発生したことで、その内容を変更した可能性が高い。

要は第4計画の出した成果の乗っ取りだ。
正面から第5計画派が第4計画に擦り寄ったところで、あの香月博士が執行責任者なのだ。今更米国が入り込める余地など毛ほどもあるまいて。
ならばクーデターにより帝国の実権を奪取し、“横浜基地”そのものの掌握を狙うのではないかね?

何より帝国内でもここに居る者を中心とした一部を除けば、国連横浜基地は米国の傀儡だと思っている者が大多数。それがいつの間にか本当の“傀儡”になっていても誰も疑わない。
親米派と見做され、クーデターの標的と成っている私同様、横浜基地が襲撃されても不思議は無いと思うがね。
自国の利益の為なら、警告もなく友好国にG弾を打ち込める国なのだよ。

穿った見方をすれば、それすらも“傀儡級”の仕業だと言えないこともないが、そんな存在が無くても、今の第5計画派の動きは不思議ではない、と言うのが私の見解だ。」

「フム・・・。“傀儡級”存在の可能性の否定は出来ないが、必ずしも確定ではない、と言う事ですね。
・・・鎧衣課長としては?」

「・・・私も榊首相の意見に賛成だ、斑鳩崇継中佐。
“傀儡級”の存在が無くても今回の新潟合同演習では、第5計画派が第4計画派の力を削ぐために襲撃を行う可能性があると先にも言及したが、かの国の面子を考慮して第4計画の接収も視野に入れる必要があるとなると、本来第5計画派に連なる総合参謀本部は逆に“横浜”と“帝国軍”の接触を懸念すべきであろうな。
横浜が“帝国軍”に“信頼”を得てしまっては、先の榊首相の予想した第5計画派の目論見が崩れることとなろう。
それを承知で統合参謀本部が合同演習を承認した以上は、“横浜”と“帝国軍”の間に決定的な溝を刻む、それが九條の狙いと言えることとなり、何らかの妨害工作が発生する事は必至、と愚考する。」

「・・・つまり統合参謀本部が承認した以上、第5計画派の襲撃はその方向で起きる可能性が極めて高い、と言うことですか。」

「・・・ウム。
その一方で、もし私が“傀儡級”で在ったなら、と考えると、今回の新潟合同演習は“様子見”に徹するのが基本であろう。
第5計画派のプランが果たしてBETAに取って利するのかどうか、が判らないのだよ。
一方で既に死に体とさえ思われていた第4計画の復活は、しかし、現状表向きは“XM3”と言うスピンオフだけ[●●]なのだ。
こちらもどれほどのBETAに対する脅威になり得るかは未知数。
しかし、第4計画の成果はそれだけではないかも知れない、と疑うのは当然であり、その意味でも今回の“新潟合同演習”は注目の的とする。

此処でスピンオフというのは、通常企業の内部アイデアによる分業化を指して言うが、科学技術分野では特定の分野で開発された技術を他に転用する事を示す。因みに同じような意味で使われることの多いスピンアウトは自動車レース等で勢い余ってスピンし、コースを外れることを語源にするため会社内部ではなく独立することを示す。後者を此処で使うのは妥当ではない事は理解いただけると思うが、いずれの表現でも本体に勢い[●●]がつかなければ、スピンなど起きようもなく、スピンオフもスピンアウトも発生しないだろう。
・・・おっと、殿下の御前にて余計な蘊蓄は些か失礼でしたな。

もといXM3がスピンオフしたと言う事実は第4計画そのものにも何らかの進展が在った、と推測できる。
XM3を駆使し、AH戦で驚異的な戦闘能力を示したシロガネタケルや御子神殿は第5計画派に取って相当の脅威であっても、果たしてBETAに対しても脅威と成り得るか、が“傀儡級”の見極めるべき問題と成る。
故に、私が“傀儡級”で在ったら、それを確認するために合同演習を承認するだろう。」

「・・・“傀儡級”が存在する場合は、新潟合同演習での“襲撃”はないんですか?」

「・・・そう都合良く判断するのは危険と言うものだ、シロガネタケル。
状況は錯綜し、各陣営の思惑や陰謀は複雑に絡み合っているのだよ。
“傀儡級”が存在したとしても、それとは違う軸で榊殿の言う米国覇権を維持したい者たちが動く可能性だってあるのだ。
そしてその事に“傀儡級”は頓着しないであろう。

諜報から言う“傀儡級”たるものの目的がBETAの侵攻を進めその優勢の維持であるなら、観点は一つ。
第4計画が、今のBETA優位の状況を覆すだけの力を有するか否かなのだよ。

現実に第4計画は、オリジナルハイヴを殲滅し、返す刀で佐渡ヶ島を奪還する、という計画を立てている。
その言を実行する“力”があるのか、正直私にはまだ見極められていないが、少なくともシロガネタケル・御子神殿、両君はその積もりでいるのであろう?

その情報こそが第4計画の肝。
今回の合同演習であれ、普段の生活であれ、死守すべき一点だ。

それが判って居るからこそ、御子神殿は我々にすらなかなか全てを明かさない。
歯がゆくもあったのだが、“傀儡種”なるモノまで警戒していたとは思わなかったがな。」

「・・・そんなんじゃない。
単に俺自身がまだ[●●]BETAを駆逐する手管に至っていないだけだ。」

「ウム・・・そういう事にしておきますか。
何れにしろ、御子神殿の戦略が完成した時点、現在の状況を一気に引繰り返す力がある、と知れたとき、私が“傀儡級”であれば、それこそG弾を再度横浜に撃ち込むくらいの暴挙を使ってでも、潰しに掛かるであろう。」


「・・・・・・フム、流石ですね。
唐突な彼方の仮説に対して、この短時間での深い考察はお二方とも改めて敬意を表します。
しかしその叡智を以て、政治的パワーバランス、諜報の観点からも現状“傀儡級”の存在は肯定も否定も出来ない、と言う事に成りますか・・・・。
但し今回の新潟合同演習は、いずれにしろ何らかの襲撃が発生する可能性が極めて高い、と。

で・・・彼方としてはどうなんだ?」


一人瞑黙していたあ奴に、再度斑鳩中佐は言を向けた。







「・・・・・・別に証明出来ない自説に拘泥し、それを他者に強要する気はないから、各々が考えるキッカケになるならそれでいい。
正直米国の面子なんていう要素、完全に失念していたしな。
ただ・・・。」

「・・・・ただ?」

「・・・前提が少し違う。・・・・・俺が想定する相手は飽く迄“創造主”ってだけだ。」

「お二方の推察もそれに沿ったモノだと思うが、なにか違うのか?」

「創造主をどの程度に捉えているかは各人の自由だが・・・マジで神チート級なんだぜ?
―――――俺は絶対“創造主”とは接敵しない、正面から当たるなら逃げるね。」

「「「・・・・・。」」」


―――傍若無人を人型にしたようなあ奴が底まで言うとは・・・。
創造主をどの様に捉えていると言うのだ?


「ま、此方には来ないのが救いだけどな。」

「・・・どういう事だ?」

「・・・上位存在が言ってただろう?
資源回収のために創造主が作って送り出した存在、それがBETA。
その数は、計算上10の37乘だと。」

「全宇宙に蔓延しているのだろう?・・・その全てを相手にする必要はあるまい?」

「・・・兄貴、自分で言っていて認識[●●]しているか?
“創造主”は、BETAを全宇宙に蔓延させるだけの能力がある[●●●●●]存在だってことを。」

「・・・・・え?」

「あ・・・・・!」


斑鳩中佐が固まる。
他は、キョトンとしている。
・・・正直私もあ奴が発した言葉の意味が解らなかった。


「・・・・・・そう云うことか・・・」

「! 判るのか? 崇継?」

「・・・・・恐らくですが。」


暫し思惟に押し黙った斑鳩大佐の落としたつぶやきに、斉御司大佐が反応する。
その問に苦笑いで応える斑鳩中佐は、心なしか引き攣って見えた。


「・・・・つまり、宇宙は創生以来ずっと膨張[●●]しているんです。
観測された事実を元に、その膨張速度は遠く離れた天体ほど早くなる事が分かっています。
尤も、宇宙の誕生や構造について今は量子物理学とも絡みあい未だ解明されていませんが、それでも観測された事象と今の理論で言えば、宇宙は全ての場所で同時に、今はほぼ均等に膨張している、と考えられています。
そして地球を中心とした場合、観測できる最も遠い“辺縁”で、確か465億光年の彼方。」

「「「・・・・・。」」」

「・・・正直数字が大きすぎてイメージが追いつかんのだが・・・。465億光年・・・・想像の埒外だぞ。」

「・・・認識が追いつかないのも致し方無いか、と。
と言うのも、その一方で宇宙開闢は、膨張の測定や宇宙マイクロ波背景放射観測等からほぼ137億年前と推測されています。
宇宙の創世期やその前後の姿は、諸説あるものの有力な理論構築さえ出来ていないので、置いておきますが、インフレーションやビッグバンと言われるモデルが示すように、現在この宇宙全体が膨張しているのは観測結果からの事実です。
因みにビッグバンと言うと、何処かの爆心地[グランドゼロ]を中心に宇宙が爆発したように思うかも知れませんが、時間と空間の境界さえ無い状態から何らかの激変が生じ、時空間を有する宇宙が生成された、と考えられており、ビッグバンはその際生成された空間のあらゆる場所で起きた、つまりは全宇宙空間が同時に爆発的膨張を始めた、とイメージするほうが概念的に正しい様です。

この空間の膨張は全ての宇宙で同時に起こっているから、先程の様に地球を中心として考えても問題ないと言えます。これは宇宙のどの地点を観測点としても、そこを中心として137億年前に宇宙は膨張し始めたという事になります。

そして137億年経った今、その中心から辺縁[●●]までの距離が465億光年。

これは、辺縁が平均すると光速の3倍[●●●●●]以上の速度で膨張している、と言う事になります。」

「!!・・・それは、相対性理論を始めとする物理法則に矛盾するのでは無いのですか?」

「・・いえ、光速と言うのは、“空間”の中を物体が進む理論上の最高速、と言う事に成ります。
宇宙の膨張は、空間そのものの膨張なのでその限界は関係ありません。
実際他にも、空間自体が歪んでいるとされるブラックホールでは光の速度を無視した現象が生じると推測されています。」

「・・・では何故、光速の3倍で遠ざかる465億光年彼方の天体を観測できるのですか?」

「今、我々が観測できるのは、実際は137億年前の辺縁天体の姿です。その天体は、今現在[●●●]は465億光年彼方に離れていると計算される、ということでありこの辺縁を“宇宙の地平線”と呼びます。
つまり半径465億光年の球体、それが地球から観測できる範囲なので“観測可能な宇宙”と呼び、通常天文学で指す“宇宙”とは、この“観測可能な宇宙”を指します。
観測限界である“辺縁”は一種の“宇宙の果て”と言う事になりますが、実際に観測もできませんが更に宇宙は広がっている、と考えられています。」

「「「・・・・・。」」」

「・・・流石に崇継は宇宙に憧れて、一時は宇宙軍を目指しただけ在るわね。」

「・・・御前はご存じでしたね。宇宙を目指そうにも生まれたときには、既に月基地も放棄されていましたから。」


斑鳩中佐が宇宙関係の話を理解しているのは、そういう背景も在るのか。
五摂家の当主と成られた今、宇宙に飛び出すことは叶うまい。
BETAによって閉ざされた人類の“宇宙[そら]”。
想像もつかない遥かな宇宙から到達したBETAという敵対存在。


「ムウ・・・・成程、それでは以前接見した折、白銀武が申した“BETA”の存在密度の元となる“宇宙に存在する恒星数”も、その “観測可能な宇宙”を基礎とするものであるのだな。」


白銀少佐も頷いている。
閣下の指摘される様に、確かに以前、同じこの浜離宮で説明された時、一恒星系当たり100億のBETA存在密度、と言っていた気がする。


「・・・実際の“全宇宙”がどれほどなのか、様々な推論はありますが、観測出来ない以上検証は出来ませんから、通常言う宇宙とは、“観測可能な宇宙”を示すのです。」

「・・・それを遥かに上回るBETAの増殖率を設定した、と言う事は創造主が“宇宙の地平線”を越える事を想定した、と言う事ですね?」

「・・・過剰設定しただけ、と言う事はあり得ないのか?」

「・・・可能性が無い訳じゃありませんが、御前はその楽観的観測を控えた方が宜しいですよ。
と言ってもそれが一方で御前の魅力であり、強みでもありますが、ここは最悪を想定すべきです。」

「・・・・うむ、崇継に口説かれたと遥華に報告しておく。」

「ごめんなさい。」

「いきなり謝罪とは釣れないなヘタレめ。タケ坊を見習えとは言わんが・・・まあ、いい。
その最悪の想定とは?」

「・・・オレも漠然と全宇宙に蔓延、と捉えていましたが、これは改めて考えてみると飛んでもないことなのです。
創造主の増殖率設定が“妥当”であり、且つその“実行能力”を有すると言うことは、今言った“全宇宙”が“観測可能な宇宙”で在ったとしても、光速を超えるワープ等の空間跳躍さえ可能としていると言うことであり、それはそのまま“宇宙の地平線”に至れるということ。
地平線に至ればそこには、ここからでは観測できない隣の観測可能な宇宙[●●●●●●●●●]が広がっていると言うことであり、創造主が設定した増殖率が妥当性を帯びてくる、と言う事になります。」

「・・・“観測可能な宇宙”にBETAを蔓延させるだけでも、超光速が必要、と言うことか・・・。」

「辺縁は光速の3倍以上で遠ざかるのですから、光速で追いかけても追いつかないのはあたりまえでしょう。」

「「「・・・・・。」」」 

「・・・・前提が違うと言ったのは、そういう事なんだな、彼方。
お前がが想定する“創造主”は、その宇宙の辺縁にまでBETAを到達させ、“観測可能な宇宙”を超えていくだけの途方もない技術力と、それに相応しい“合理性”を有している、と。」

「・・・少なくとも現実に人知の及ばない宇宙の彼方から太陽系にもBETAを送り込み、重力制御までモノにした“知的生命体”が著しく合理性を欠くと考えるのは、余りにも人類に都合よく楽観的すぎるだろう。
しかも、創造主はそれを行えるだけの、“時”もある。」

「・・・・“時”? ・・・ああ、光速度程に速度が違えば浦島効果で、“時間”の進み方も変化すると考えられる、と言うことか?」

「・・・影響を受けるのは、放出した“BETA”だけだろう。
本体が全宇宙を回るわけには行かないからこそ、自己増殖型の回収装置であるBETAを作った。
けれど本体が動いてしまえば、帰還するBETAと時間が合わなくなる可能性が高い。
故に本体は動かず、此処に来ることはないと高を括っている。
・・・だが、BETAを待っている創造主は、相当に気が永いってことだ。」

「成程・・・。」

「・・・・・・まだ何かあるの?」

「幾ら超光速の跳躍が行えるとしたって、物理則から言って時を戻ったり、数億光年を一瞬で跳べたりするとは思えない、と言うことです。
広さが半径465億光年の“観測可能な宇宙”を探索するだけで、恐らくは数億年から数10億年、“全宇宙”を含めれば数100億年かかるはず。
逆に言えば、。創造主は、その時間を生きる、或いは既に生きてきた正にイモータル、と言うことになります。」

「「「・・・・・。」」」、

「・・・・創造主とはそれだけの存在[●●●●●●●]
空間跳躍の可否は置いておいても、BETAみたいな質量体を光速で移動できる科学技術を有するだけで十分に脅威。
資源回収に惑星上の微生物が邪魔ならば、得意の重力制御で小惑星の一つでも落とすプロセスをBETAに組んでおけばそれで済む。
人類なんぞ、その衝突[ジャイアントインパクト]で発生する音速を遥かに超えて地球を何周もする衝撃波と、大海崩を軽々凌駕する高さの地殻津波[●●●●]で2日も保たない。」

「・・・何時でも殲滅する力を持ちながら、それをしない。
相手を想定される科学技術に相応の合理性を有する知性体と考えれば、今のBETAによる侵略は余りにも稚拙・・・と言う事か。」

「・・・ああ。
抑々、創造主の目的は“変化する力”と言う人的資源。別に他星系の生命・・・創造主に言わせれば現象だが・・・を絶滅させたいわけでも、惑星を破壊したいわけでもない。
創造主に合理性があれば、回収にかかる時間はともかく、効率はなるべく上げたいところだろう。

夕呼センセが言うには、“変化する力”の発現は人間の意識活動に依存し、その確率は概算したところ10億に一つ、だそうだ。
しかも、素質は在っても発現するがどうかは不明。
・・・そんな稀少な“目的”の発現確率を、少しでも高めるとしたら、どうする?」

「・・・・・・・それは、その力が、人間の、特に精神的な力が最も大きく発揮される状況、と言う事かね?」

「・・・! まさかっ!?」

思いついたその状況に表情を変える周囲と斑鳩中佐の声に、あ奴は頷いただけだった。


Sideout



Side 純夏


わたしは、彼方くんの仮説を黙って聞いていいるだけだ。
ここに居る方々は、記憶的には知っているけど、現世では皆高位の武家様や政府高官。
勿論この世界のわたしを知っている紅蓮閣下[師匠]斉御司大佐[お姉様]は変わらず接してくれるけど、任官したばかりの少尉でしかないわたしなんて、在席しているだけでも冷や汗もの。
タケルちゃんの後ろに控えてそっと軍服の裾を掴んでいる。

とは言え、彼方くんの仮説に思うところがないわけではない。



「・・・確かに、人類の技術を発展させてきたのはある意味戦争であり、人は極限状態にあって通常以上の能力を発揮することが知られているが・・・、その状況を敢えて作り出している、と言うことか・・・。」

「むう・・・!」

「・・えげつないわね。」

「・・・被検体に何らかのストレスを与えて特殊な酵素を造らせることは、人間も細菌や微生物に対して行うと言いますな。
創造主が特にエゲツナイと言うことではなく、“合理的”に“効率”を求めるなら普通の手法、かと。」

「・・・成程、創造主にとっては、人類なんぞ細菌扱いであったな。」

「・・・もしこれが“傀儡級”の仕業なら・・・もっとエゲツナイ方法も進行中。」

「・・・?」

「・・・第5計画派が、なんで移民計画の方を重点擁護してきたかと思ったが、そういう事[●●●●●]なんだろ。」

「「 ? 」」



・・・やっぱり、そうなのかな?

わたしは、掴んだタケルちゃんの軍服を強く握り締める。


今わたしのもつ記憶は、無意識領域に散らばっていた、タケルちゃんの全てのループに置ける“私”の記憶の集合体。
00ユニットだったときは、無意識領域に繋がってその記憶を得た時にひどい頭痛に悩まされたけど、先に意識を確立し、アストラル思考体を使う事を教わったわたしには、今の“森羅”で同じ事を行なっても全然平気。
“無意識領域”の実効的な力を意識的に行使することは出来ないし、危険だから試そうとも思わないけど、思索を拡大し、他の00ユニットに繋げてその思考領域を内的に得ることは問題ないらしい。
前の世界でもやっていたし・・・。
というか、それを自分のアストラル思考体でやっちゃう彼方くんの方がよっぽどチートだとは思う。

話が逸れちゃったけど、兎に角、今のわたしには、タケルちゃんが傍系記憶という、“1周目”のループでの記憶群が存在する。
実際には、結局シリンダーから出られなかったわたしの“無意識”が繋がっていたタケルちゃんの記憶を共有していた、と言うのかな。
タケルちゃんを通してわたしが見たわけではないので、専らタケルちゃん主観の記憶なのだけど。

タケルちゃん自身は、なるべく触れないように一種心理的自己暗示でロックしているらしくて、思い出さないようにしているみたい。
まあ、冥夜を始めとして、いろんな女の子としちゃってる時の感覚や気持ちなんかも実は在ったりするからタケルちゃん的には気まずいんだろうな。
なので、実はわたしの方が色々と鮮明に認識していたりする。
わたしとしては、そこはもう無問題なので、寧ろその記憶によるプロファイリングなんかをしちゃって、どうやって皆と仲良く[●●●]するか、画策してたり。
・・・・00ユニットって便利だし、霞ちゃんだってもう共犯だから気にしない。

なにしろわたしにとっての“2周目”の記憶は、タケルちゃんが因果導体から開放された為に、桜花作戦で皆を喪ったところまでしかないのだから・・・。
喪うくらいなら、皆仲良く、を目指す。
異論は認めないのだよ。


あ―――、また逸れちゃったけど、実はその“1周目”の記憶群に在るんだよね・・ヤバいのが。

それは、発動された第5計画移民船にタケルちゃんが選ばれたパターン。
これはタケルちゃんに取っても相当な記憶らしいし、最期はその記憶すら弄られたらしくて、乗船以降の記憶全体が曖昧で支離滅裂なんだけど。
タケルちゃんの中では、余り役に立たない曖昧な記憶としてロックされ、認識しても居ない。
でも、そこにある断片的な記憶は、わたしがシリンダーの中から見た、[おぞ]ましく歪んだ景色と同じだったりするのだ。

・・・・これは、確実に今彼方くんが想定している状況だ。




「!・・・ムウ、それはつまり、“蠱毒”、か?」

「「「 !! 」」」

「?・・・コドクとは、何の事でしょう?」

「・・・正直殿下には申し上げる事すら憚られますが、・・・古代から用いられた呪詛の手法です。
元々毒を持つ虫を多数瓶に閉じ込め土に埋めておくと、やがて中の蟲は共食いを始める。
その中で最後迄生き残った蟲が最も強い毒と生命力を持つとされ、その蟲を使役して相手を呪う外道の術。
古代に於いて広義では蛇や狐、あるいは人を用いた例もあるとされています。」

「 !! 」

「・・・選ばれた人類、隔絶された空間・・・か。
ちょっとトラブルが発生すれば、瞬く間に諍いが発生し、“人蠱”の式が成立するのです。時を経ず相克がはじまりましょう。
ある意味、地球上もバビロン作戦が決行されば同じような状況に陥るかも知れませんが、今の10億人から厳選された10万人を選ぶのであれば、追いつめられて“覚醒”する確率は高くなるでしょう。
そして末にたどり着くはBETAの巣・・・。

・・・して、鎧衣課長、移民船関連の計画・資材の発注等は現状止まっているのですか?
もし停止、乃至、緩やかに減速しているなら、榊首相の仰るとおり、米国威信派が第5計画を維持する為のポーズであると言えるでしょうが・・・・?」

「・・・・・・そう言う意味では、今のところ移民計画は止まって居りませんな。
減速どころか、例のBETA汚染疑惑以降、大幅に加速しております。」

「!!・・・・・・。」




・・・・ヤバい。ヤバ過ぎるじゃん!

BETAさえ潰せば世界を変えられるって思ってたのに・・・。

確かにここ数日の彼方くんが煤けて見えたの、判る気がする。

前にも初期設定でいきなりラスボス対決させんじゃねーって思い、ノーダメージクリアを強要する裏ボスが“世界”って、なんじゃコリャーだったのに・・・。

この上、わけの分からない“BITA”とか“傀儡級”とかいう隠れボス[●●●●]設定なんて、クソゲーすぎる!


「・・・・所詮、傍証に過ぎないから、所詮確定など出来ないんだけどな。」


彼方くんはそう言うけど、慰めにもならないよ。

うぅ、空気が薄ら寒くなっていくみたい。

創造主はトンデモナイ奴で、地球に来ないのはいいけど、そのイメージが鮮明になっていくにつれ、ミッションクリアの難易度が上がっていく気がするよ。


Sideout


――――――――――――――――――――――――――――――
※ごめんなさい
 この章で考察終了の筈が、ふと気付けば26,000字に達しており、やむなく分割投下。
 残りは明日、投下出来るといいなぁ・・・。



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