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No.35536の一覧
[0] 【チラ裏より】Muv-Luv Alternative Change The World[maeve](2016/05/06 12:09)
[1] §01 2001,10,22(Mon) 08:00 白銀家武自室[maeve](2012/10/20 17:45)
[2] §02 2001,10,22(Mon) 08:35 白銀家武自室 考察 3周目[maeve](2013/05/15 19:59)
[3] §03 2001,10,22(Mon) 13:00 白銀家武自室 考察 BETA世界[maeve](2012/10/20 17:46)
[4] §04 2001,10,22(Mon) 20:00 横浜基地面会室 接触[maeve](2012/12/12 17:12)
[5] §05 2001,10,22(Mon) 21:00 B19夕呼執務室 交渉[maeve](2012/12/06 20:40)
[6] §06 2001,10,22(Mon) 21:30 B19夕呼執務室 対価[maeve](2012/10/20 17:47)
[7] §07 2001,10,22(Mon) 22:00 B19夕呼執務室 考察 鑑純夏[maeve](2012/10/20 17:47)
[8] §08 2001,10,22(Mon) 22:30 B19夕呼執務室 考察 分岐世界[maeve](2012/10/20 17:47)
[9] §09 2001,10,22(Mon) 23:00 B19シリンダールーム[maeve](2012/10/20 17:48)
[10] §10 2001,10,23(Tue) 08:00 B19夕呼執務室[maeve](2012/12/06 21:12)
[11] §11 2001,10,23(Tue) 09:15 シミュレータルーム 考察 BETA戦[maeve](2013/01/19 17:36)
[12] §12 2001,10,23(Tue) 10:00 シミュレータルーム 考察 ハイヴ戦[maeve](2015/02/08 11:03)
[13] §13 2001,10,23(Tue) 11:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:23)
[14] §14 2001,10,23(Tue) 12:20 PX それぞれの再会[maeve](2012/12/16 23:01)
[15] §15 2001,10,23(Tue) 13:00 教室[maeve](2012/12/06 00:01)
[16] §16 2001,10,23(Tue) 13:50 ブリーフィングルーム[maeve](2013/05/15 20:03)
[17] §17 2001,10,23(Tue) 18:30 シミュレータルーム[maeve](2015/03/06 21:04)
[18] §18 2001,10,23(Tue) 22:00 B15白銀武個室[maeve](2015/06/19 19:23)
[19] §19 2001,10,23(Tue) 23:10 B19夕呼執務室 考察 因果特異体[maeve](2012/10/20 17:51)
[20] §20 2001,10,24(Wed) 09:00 B05医療センター Op.Milkyway[maeve](2015/02/08 11:06)
[21] §21 2001,10,24(Wed) 10:00 シミュレータルーム 考察 XM3[maeve](2012/12/06 21:17)
[22] §22 2001,10,24(Wed) 13:00 横浜某所 遺産[maeve](2012/11/10 07:00)
[23] §23 2001,10,24(Wed) 21:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:30)
[24] §24 2001,10,24(Wed) 22:00 B19シリンダールーム 暴露(改稿)[maeve](2013/04/04 22:05)
[25] §25 2001,10,24(Wed) 23:00 B19シリンダールーム 覚醒[maeve](2013/04/08 22:10)
[26] §26 2001,10,25(Thu) 10:00 帝都城 悠陽執務室[maeve](2016/05/06 11:58)
[27] §27 2001,10,26(Fri) 22:00 B19夕呼執務室[maeve](2016/05/06 12:35)
[28] §28 2001,10,27(Sat) 09:45 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:22)
[29] §29 2001,10,27(Sat) 11:00 帝都浜離宮茶室[maeve](2015/02/08 10:15)
[30] §30 2001,10,27(Sat) 12:45 帝都浜離宮 回想(改稿)[maeve](2012/12/16 18:30)
[31] §31 2001,10,27(Sat) 14:00 帝都城第2演武場[maeve](2015/01/23 23:26)
[32] §32 2001,10,27(Sat) 15:00 帝都城第2演武場管制棟[maeve](2016/05/06 11:59)
[33] §33 2001,10,27(Sat) 16:00 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:31)
[34] §34 2001,10,28(Sun) 10:00 帝都城第2演武場講堂 初期教導[maeve](2016/05/06 12:00)
[36] §35 2001,10,28(Sun) 13:00 帝都城来賓室[maeve](2016/05/06 12:00)
[37] §36 2001,10,28(Sun) 国連横浜基地[maeve](2012/11/08 22:20)
[38] §37 2001,10,29(Mon) 15:00  B19シリンダールーム 復活[maeve](2013/04/04 22:18)
[39] §38 2001,10,30(Tue) 10:00  A-00部隊執務室 唯依出向[maeve](2016/05/06 12:01)
[40] §39 2001,10,30(Tue) 11:00  B19夕呼執務室 考察 G元素(1)[maeve](2015/03/06 21:07)
[41] §40 2001,10,30(Tue) 15:00  A-00部隊執務室[maeve](2015/02/03 20:59)
[42] §41 2001,10,31(Wed) 10:00 シミュレータルーム[maeve](2016/05/06 12:03)
[43] §42 2001,10,31(Wed) 06:00 アラスカ州ユーコン川[maeve](2016/05/06 12:03)
[44] §43 2001,10,31(Wed) 10:00 司令部ビル 来賓応接室[maeve](2016/06/03 19:20)
[45] §44 2001,10,31(Wed) 12:00 ソ連軍統治区画内 機密研究エリア[maeve](2016/05/06 12:05)
[46] §45 2001,11,01(Thu) 13:00 アルゴス試験小隊専用野外格納庫 考察 戦術機[maeve](2016/05/06 12:06)
[47] §46 2001,11,02(Fri) 12:00 テストサイト18第2演習区画 E-102演習場[maeve](2016/05/06 11:50)
[48] §47 2001,11,02(Fri) 12:15 司令部棟 B05 相互評価演習専用指揮所[maeve](2016/05/06 12:06)
[49] §48 2001,11,03(Sat) 05:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/02/03 21:01)
[50] §49 2001,11,03(Sat) 09:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/01/04 19:23)
[51] §50 2001,11,02(Fri) 20:00 ユーコン基地[maeve](2016/05/06 12:07)
[52] §51 2001,11,03(Sat) 点景[maeve](2016/05/06 12:08)
[53] §52 2001,11,04(Sun) 07:30  A-00部隊執務室[maeve](2016/05/06 12:08)
[55] §53 2001,11,04(Sun) 20:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/06/19 19:45)
[56] §54 2001,11,05(Mon) 09:00 ブリーフィングルーム[maeve](2015/01/24 18:43)
[57] §55 2001,11,06(Tue) 10:00 帝都城第2連隊戦術機ハンガー[maeve](2015/06/05 13:06)
[58] §56 2001,11,07(Wed) 10:00 横浜基地70番ハンガー[maeve](2015/03/06 20:56)
[59] §57 2001,11,08(Thu) 14:00 帝都浜離宮来賓室[maeve](2015/09/05 17:29)
[60] §58 2001,11,08(Thu) 15:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(1)[maeve](2013/04/16 21:00)
[61] §59 2001,11,08(Thu) 15:30 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(2)[maeve](2015/01/04 19:04)
[62] §60 2001,11,08(Thu) 16:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(3)[maeve](2015/02/03 21:19)
[63] §61 2001,11,09(Fri) 11:05 新潟空港跡地付近[maeve](2015/10/07 16:50)
[64] §62 2001,11,10(Sat) 23:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/03/06 21:15)
[65] §63 2001,11,11(Sun) 05:50 燕市スポーツ施設体育センター跡[maeve](2015/06/19 19:48)
[66] §64 2001,11,11(Sun) 06:52 旧海辺の森跡付近[maeve](2016/06/03 19:25)
[67] §65 2001,11,11(Sun) 07:15 旧燕市公民館跡付近[maeve](2016/05/06 11:55)
[68] §66 2001,11,11(Sun) 07:24 連合艦隊第2艦隊旗艦“信濃”[maeve](2016/05/06 11:56)
[69] §67 2001,11,11(Sun) 07:44 旧新潟亀田IC付近[maeve](2015/09/11 17:22)
[70] §68 2001,11,11(Sun) 08:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 09:53)
[71] §69 2001,11,11(Sun) 08:15 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 10:00)
[72] §70 2001,11,11(Sun) 08:20 旧北陸自動車道新潟西IC付近[maeve](2014/12/29 20:34)
[73] §71 2001,11,11(Sun) 08:25 帝都上空[maeve](2015/08/21 18:44)
[74] §72 2001,11,11(Sun) 10:30 三条市荒沢R289沿い[maeve](2015/02/04 22:07)
[75] §73 2001.11.12(Mon) 09:30 PX[maeve](2015/09/05 17:34)
[76] §74 2001.11.13(Tue) 09:00 帝都港区赤坂 九條本家[maeve](2015/04/11 23:27)
[77] §75 2001,11,13(Tue) 10:30 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2015/12/26 14:19)
[78] §76 2001,11,13(Tue) 19:50 B19フロア 夕呼執務室 考察G元素(2)[maeve](2016/05/06 12:19)
[79] §77 2001,11,14(Wed) 09:00 講堂[maeve](2016/05/06 12:25)
[80] §78 2001,11,15(Thu) 22:22 B15 通路[maeve](2016/05/06 12:31)
[81] §79 2001,11,15(Thu) 15:00(ユーコン標準時GMT-8) ユーコン基地滑走路[maeve](2015/10/07 16:54)
[82] §80 2001,11,16(Fri) 10:15(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/09/05 17:41)
[83] §81 2001,11,16(Fri) 10:55(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト18[maeve](2015/10/07 16:57)
[84] §82 2001,11,16(Fri) 16:30(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/05/31 10:24)
[85] §83 2001,11,16(Fri) 21:00(GMT-8) リルフォート歓楽街 “Da Bone”[maeve](2015/10/07 17:03)
[86] §84 2001,11,17(Sat) 17:00(GMT-8) イーダル小隊専用野外格納庫 衛士控室[maeve](2015/06/20 23:51)
[87] §85 2001,11,18(Sun) 17:20(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト37 幕間?[maeve](2015/05/31 20:15)
[88] §86 2001,11,18(Sun) 22:00(GMT-8) アルゴス試験小隊専用野外格納庫[maeve](2016/05/06 11:46)
[89] §87 2001,11,19(Mon) 13:00(GMT-8) ユーコン基地 居住区フードコート[maeve](2015/06/19 20:13)
[90] §88 2001,11,19(Mon) 18:12(GMT-8) ユーコン基地 演習区外米国緩衝エリア[maeve](2015/12/26 14:23)
[91] §89 2001,11,19(Mon) 18:50(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/12/26 14:25)
[92] §90 2001,11,19(Mon) 20:45(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/10/07 17:13)
[93] §91 2001,11,19(Mon) 21:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画[maeve](2015/10/07 17:15)
[94] §92 2001,11,20(Tue) 03:30(GMT-8) ソビエト連邦租借地 ヴュンディック湖付近[maeve](2015/08/28 20:32)
[95] §93 2001,11,21(Wed) 14:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画内 総合司令室[maeve](2015/10/07 17:20)
[96] §94 2001.11.22(Thu) 03:00(GMT-8) アラスカ州ランパート付近[maeve](2015/12/26 14:28)
[97] §95 2001.11.23(Fri) 18:00(GMT+9) 横浜基地 B20高度機密区画[maeve](2015/08/28 20:08)
[98] §96 2001.11.24(Sat) 15:00 横浜基地 B17 A-00部隊執務室[maeve](2016/06/03 19:39)
[99] §97 2001.11.25(Sun) 02:00(GMT-?) 某国某所[maeve](2015/12/26 14:33)
[100] §98 2001.11.25(Sun) 13:30 横浜基地 北格納庫管制制御室[maeve](2016/06/04 14:06)
[101] §99 2001.11.25(Sun) 18:00 横浜基地本館 メインバンケット モニタールーム[maeve](2015/10/31 14:40)
[102] §100 2001.11.26(Mon) 06:30 横浜基地本館 ゲスト棟[maeve](2016/05/06 11:44)
[103] §101 2001.11.26(Mon) 17:15 横浜基地 モニタールーム[maeve](2016/05/15 12:14)
[104] §102 2001.11.27(Tue) 06:00 国連横浜基地 第2グランド[maeve](2016/06/03 19:42)
[105] §103 2001.11.28(Wed) 09:00 国連横浜基地 XM3トライアル V-JIVES[maeve](2016/05/14 13:10)
[106] §104 2001.11.28(Wed) 17:00 国連横浜基地 米軍割当外部ハンガー ミーティングルーム[maeve](2016/06/04 06:10)
[107] §105 2001.11.28(Wed) 17:40 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2016/06/10 23:26)
[108] §106 2001.11.28(Wed) 18:00 国連横浜基地 Bゲート付近 〈Valkyrie-04〉コックピット[maeve](2019/03/26 22:16)
[109] §107 2001.11.28(Wed) 21:00 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2019/03/30 00:03)
[110] §108 2001.11.28(Wed) 21:00(GMT-5) ニューヨーク レストラン “Par Se”[maeve](2019/06/30 17:55)
[112] §109 2001.11.29(Thu) 09:00(GMT-5) ニューヨーク国連本部 安保緊急理事会[maeve](2019/05/05 21:16)
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[35536] §58 2001,11,08(Thu) 15:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(1)
Name: maeve◆e33a0264 ID:53eb0cc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/04/16 21:00
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Side 武


唐突な妨害の発生予測に全員が怪訝な顔のまま固まった。
鎧衣課長が進めている調査によっても今回の新潟合同演習に対する怪しい動きは無いと言っていたのだ。そもそも鎧衣課長の諜報活動さえその一部を担っているのは彼方のハッキングによる情報の筈。
そもそも何の説明もなく、こんな警告を発すること自体が彼方にしては不自然だった。


前回までのループに比べれば、XM3の作成から純夏の復活に至るまで、今迄とは状況が激変していることは判って居る。
様々な悠陽殿下への援助含め、“人類”サイドには、オレと彼方の存在が確かに多大な影響を与えている。世界の行く末に多大な影響を与えていた第5計画派に、この段階で相当のダメージを与えているのも確かだろう。

「・・・成る程、九條にしても第5計画派にしても、既に相当なところまで追い込まれている。
寧ろ彼らにしてみれば、敵は“横浜”。その横浜の創った“XM3”が仮想演習とは言え対BETA実戦証明でも多大な成果を上げてしまったら、通常兵器によるBETA掃討の機運が益々高まり、第5計画派は近々死に体に追い込まれる。
形振り構わず潰しに来る、と言う訳か・・・。」

「クーデター等待って居られない、と言う訳ですな。」

斑鳩中佐の推測に鎧衣課長が肩を竦める。
確かに、XM3の実戦証明と言うか、トライアルは“2周目”では12月もクーデターの後、10日だった。
・・・ズキリと心が竦む。
図らずもその対象と成ったのは、最終的にこの新潟防衛戦で捕獲されたBETAだった。オレや第4計画にも余りにも重い犠牲を払って・・・。
その悲劇を繰り返さないため、クーデターさえ起きていない状況でのXM3、曲がりなりにも全部隊への頒布を早めてきたわけだが、一方でそれは第5計画派に取ってはどうあっても看過できない事態に至った可能性は高い。

「・・・・・・“横浜”がこの演習に参加したことも、奴らにとって好都合、だったわけですか・・・。」

オレが呟くと鎧衣課長が頷いた。

「そう考えると、奴らが今最も警戒しているのは、“横浜”の第4計画派。
此度の斯衛軍演習が統合参謀本部で殆ど抵抗もなく承認されたのは、斯衛と共にA-0大隊が随伴している為かも知れませぬ。
第4計画派の功績を挫き、同時に斯衛、そして殿下にも軍政上の大きな汚点を付けられれば、後のクーデターがより遣りやすくなる、と言う事かと。」

「・・・下衆の極み。BETAに対し全人類が一丸となるべき此処に至って、尚もそこまで墜ちるか。」

トモ姉が唾棄する。

「・・・しかし、だとすれば彼奴らも既に進退極まって、破れかぶれの捨て身にも等しい。
確かに、我々も相応の覚悟が必要、と言うことよのう。
・・・諫言痛み入るぞ、御子神。
敵はBETAだけではない、背後にも気を配れと言う事よな。」

「・・・それも含めて常に視野を広く持って欲しい故、と思ってくれ。」


あっさり彼方は認め、それ以上は何も無いと話を締める様に、シミュレーションで使っていたノートパソコンをぱたりと閉じた。

・・・その引き際に何かが引っかかる。



「・・・彼方、他にも何か懸念が在るのですか?」

違和感を感じたのは、オレだけでは無かったらしい。

「・・・・。」

「それ[]含めて、と仰るとからには、それ[●●]以外にもある、とお考えなのですね?」

「「「 !!! 」」」

彼方の違和感に気付いていなかった他の人は驚いたようだが、真耶さんや純夏は同じ様に気がついていたらしい。殿下や真耶さんが気付いたと言う事は、こっち[●●●]の彼方も同じ様な思考をしていたと言う事だろうな。


「・・・・・・それ以外は、ぶっちゃけ“勘”みたいなものだ。確たる根拠はない。」

「・・・では朧気な気配は既に在る、と・・・」

「・・・なかなかに遣り難いな。」

殿下が艶然と微笑む。

「彼方は忘れてしまいましたが、ワタクシをこんなにして下さったのは、“兄さま”です。」

「成る程。・・・本来、重要な作戦前にあやふやな警告で惑わすようなコトを言うべきでは無い。」

殿下が彼方を見つめる。
彼方は威圧するでも、拒否するでもない。相変わらず飄々とした空気を纏う。


「・・・・彼方の推論を、お聞かせください。」

殿下は静かに言い切った。

「・・・荒唐無稽な推論で、確たる証拠もない、そもそも証明出来るかさえ判らない
相当にぶっ飛んっだ仮説だぜ?」

「・・・その仮説を信ずる疑うは各々が判断するでしょう。それだけの判断力を有する者しか、この場には居りませぬ。
ですが今の状態ではあやふやな予測は寧ろより惑乱を招きかねません。
何らかのコトが起きるのであれば、彼方の仮説が正しい事の傍証に成りましょう。
この者達ならそこから仮説を前提に、次善の策を講じることができます。」


「・・・判った。」

最後の抵抗を正論で打破された彼方が薄く笑う。と言うか、此奴の事だから、乗ってくるか試したのだろうな。





「ま、最初は兄貴の言った様な事を俺も考えた。
正直言って目標は上位存在だったから、九條なんか気にしている暇も無かったからな。
けれど此処に至って其れは本来“あり得ない”と最初は否定していた。」

「あり得ない?」

「ああ。
アラスカと帝国南洋で第5計画派に結構なダメージを与えた。
そしてそのタイミングを以て夕呼センセがリークした情報によって、知ってのように世界中に“G弾=人類自決兵器”と言う図式が固定されるつつある。
第5計画派は公で否定で一応は沈静化しているが、バーナード星のスペクトル遷移だって季節変動でないことは、誰よりも第5計画派自体が最も良く判って居る。

つまり、九條が移民計画に固執する事自体が全く意味の無いモノになっている。
G弾が大海崩を招く以上、第4計画だけが残された人類の希望と言っても過言ではない。
九條も第5計画派も、今迄の確執も在るから掌を返して協力してくるとは思って居ないが、少なくとも余計な妨害工作は無くなるモノと踏んでいたわけだ。
第4計画と第5計画の成果がBETA駆逐以降の国際関係に多大な影響を与えると言ったって、第5計画の推進は、その本国である米国にさえ甚大な被害を与えるんだ。
今の米国の取り得る最善手としては、早急に第4計画に参与しその功績を帝国に独り占めさせないこと、だと思っていた。」

言われてみればその通りだ。


「―――ところが、だ。先程の鎧衣課長の報告に在るように、“クーデター”計画は、今も進められている。」


そして、全員の表情が凍った。

第5計画派の推進している計画が、悉く否定された。それが言いがかりではなく観測結果と真っ当な理論に基づくことは、少なくとも第5計画派自体や米国のトップ連中は理解しているはずだ。


背筋を薄ら寒いモノが這い上がる。
寒くも無いのに鳥肌が立ってくる。
理解できないモノを目の当たりにしたときの反応とはこんなものなのか。


「・・・形振り構わない生き残りを図る、という九條や第5計画派の行動原理、それがその前提から崩れた。
九條個人や第5計画派の集団としての在り方の問題ではない。
最早、狂気と言っても良い。
要するに、“人類を滅ぼしたがっている”ようにしか見えないからな。

そしてそんな存在なら、この新潟合同演習にも何もしない訳がない[●●●●●●●●●]、というのが警告の根拠だ。」

「「「・・・・・・・。」」」

誰もが沈黙する。
彼方の言うように、九條や第5計画派の真意が理解できないのだ。
襲撃がある、と言う事そのものよりも、その真意の方が不気味だ。


「・・・九條や、第5計画派は、一体何を目論んで居るのでしょうか・・・。」

殿下の疑問は、皆の代弁に等しい。

「・・・表現が悪かったな。
言ったとおり、“人類を滅ぼしたがっている”と言うのが、俺の推論さ。」






「・・・随分と斬新な推論だが、其処に至る過程は何なのだね?」

再びの永い沈黙を経て、今度は榊首相が切り出す。
彼方が言ったのは現在の状況だけであって、その状況から推察される“結果”は確かに先の一言に尽きる。
その結論に至るのが、荒唐無稽と自らが言う推論。
それが、まだカケラも明かされていない。



「・・・説明がし難いので酷く回りくどくなるのは勘弁してもらうが、それでも構わないかな?」

「・・・構わんよ。」

「OK、じゃあ、九條の事は暫く置いておいて、一つ訊こう。

そもそも俺達[●●]は何と戦っているんだ?」


え?

余りにも唐突な質問に、全員が互いに顔を見合わせる。


「・・・BETAではないのですか?」

「・・・まあ、人の敵は、結局“人”、BETAを介して、“人間”と戦っている――、と言う見方もある。」

「・・・自分自身と言う言い方も有ります。」


殿下、斑鳩中佐、そして最後は純夏だ。

それに対し彼方は笑った。

「ククク・・、ここでそういう哲学的な答が出てくるとは思わなかった。
ま、戦っている相手など人それぞれだから口出しすることではないし、強制することでもないからそれで良いんじゃないか?
確かにそういういう意味では、俺だって戦っている相手は“運命”とか“世界”とか言うモノかも知れないからな。」

「ウム。」

「とは言え今現在、具体的・現実的な相手として、俺がラスボス設定している相手は、BETAでもましてや九條や第5計画派でもないし、オリジナルハイヴや上位存在ですらない。

―――“創造主”だ。」

「・・・それはまた・・・」

「大きくでたな・・・。」

彼方は肩を竦める。

「・・・・前提として確認しとくが、兄貴も御前も、上位存在の会話ログを聞いたことは?」

「ああ、先般な。・・・しかしあんなモノをラスボス設定とは確かにお前は剛毅だな。」

「確かに、な。
まあ敵は遥か彼方、何処に居るのか、正確には今も生きているのかさえ判らない存在で、裏ボス設定はそれこそ“世界”と言っても過言ではないシロモノだから、こんな事を言った時点で頭沸いているのかと思われても仕方ないと自分でも思うよ。

だから此方の勝利条件は“創造主”を倒すことなんかではなく、飽く迄“創造主の目的の阻止”。

その具体的な手段[●●]が、当面“太陽系からのBETA駆逐”、“再侵攻の遮断”ってところだろう。」

「・・・それだけでもまだまだ随分と遠大で途轍もない目標に思えるぞ。」

「違いない。
武や鑑は前話したことがあるから此処では黙っていて欲しいんだが、じゃあ“創造主”の目的って何だ?」

オレも純夏も頷く。
成る程。純夏の超因果体や、オレの因果特異体については隠すのだろう。其処まで明かすには色々と前提が足りなすぎる。


「ちょっと待て! BETAの目的は資源ではないのか?
“創造主”の目的は、BETAの目的とは違うと言うのか?」

「目的は至りたい状態や対象で、目標はそこに至る[しるべ] だろう?
確かにBETAの“目的”は資源[●●]の獲得だろうが、“創造主”にとっては“目標”にすぎない。BETAがその為に造られた存在であることは、上位存在も認めている。

“BETA”は、自己の増殖や行動、移動・拡散の為にせっせとG元素を集めていると考えられる。
けれどそれは運用のための収集、つまり手段であって目的ではない。
BETAの目的は、創造主の求める“資源”を搾取すること。
その創造主の目的に合致する“資源”とは何かってことだ。

創造主が、宇宙中のG元素やその他鉱物資源を集めたところで何をするんだ?

資源を獲得して、何をしたい[●●●●●]のか、それが“創造主”の目的[●●]だろう?」


「彼方は・・・創造主の“目的”が判るというのですか・・・?」

「まあな。
荒唐無稽な推論と言ったが、コレだけは断言しても良い。

創造主が欲しいのは、人類[●●]の有する“変化する力”だ。」


BETAが超因果体である純夏を獲得し、接収するために横浜ハイヴを創ったと言う事実。
超因果体としてイデアルフェイズにさえ届くという純夏の力。
確かに創造主が求めているのは、人間に存在し創造主にも変化を齎すだろうその力に違いない。


「夕呼センセに言わせれば、人類は炭素系生命の中でも、特異な存在だそうだ。

本来環境変化に追従する“進化”という特徴を持つ炭素系生命だけど、その生命の営み自体で環境変化すら起こすほど急激に能力拡大したのは、地球46億年の歴史に於いても当然人類だけ。
勿論悪い意味も含むから、環境変化が急速に進めば、人類は自らの頸を締める可能性も在ったわけだけどな。」

元の世界に於けるCO2による地球温暖化。この世界では逆にBETAの襲来によって逆に温暖化の問題は顕在化せずに済んでいる。


「人間が他の動物と決定的に異なるのは何か。

火を使ったとか、言葉を得たとか、色々と言われるが、それらを統合して精神領域、意識下での思索領域を拡げたこと。
本能に近いパトスしか持たない動物に対し、その本能を抑制する理性と精神性をロゴスとして獲得したのが人間だというのは、古代ギリシャで既に存在した概念。
実際本能を抑制する絶対理性、人は自我を制御し自発的な発展を図ることが出来る。将来を見据えて自発的に辛い訓練をする動物は存在しないからな。
それを支えた精神領域の発達を高度な言語能力と社会性を得たことで促した。
言葉は文字として蓄積され、知識や智恵の継承が行われるようになった。

本来生命としては、次世代を産み落とせばその役割は終了する。
しかし、人間はその後も智恵を絞り、知識を広げ、それを継承する事を可能とした。

謂わば、種として知識の継承を可能とし、高度な精神によって思索を行えることが、此処まで人類を発展させた原動力、と言える。
高度の知能発達に依る、精神領域の発現がその遺伝子による進化さえ追い越す発達を齎した、と考えるのが妥当だそうだ。
つまり人類の有する精神機能は、物理的身体的な生命進化を凌駕した“変化する力”であると考えられる。

これは、BETAの襲う優先順位にも顕れている。
BETAは基本何でも喰うが、生命体であっても高い知性を持ち広い精神活動を行っている人間の優先度が高い。高度なコンピュータの様に多くの演算を実行しているモノにも反応するのも、その在り方が高度な精神思考の状態に似ているからと言うことも出来る。」


「・・・・・なぜ其の様なモノを創造主が欲するのでしょう?」

「それは、創造主の存在由来に因る、と推察している。」

「・・・存在由来・・・ですか・・・。」

「・・・・以前聞かせた上位存在との会話ログ。上位存在の創造主に対する情報が欺瞞ではないとした上での考察さ。
あの中には、いくつかの重要なキーワードが存在する。
創造主が珪素系生命である、と言う事。

・・・珪素を基質とし“思考”し、“自己増殖”し、“散逸”する存在。」

「・・・・。」

「具体的に珪素系生命体と聞いて、どんな生命体を想像する?」


以前、地球のような、と言われた事を思い出す。まあ惑星そのものが生命体であることは無いだろうから、巨大な水晶の結晶体でも思い浮かべてみれば良いのだろうか。
全身透明でだったり水銀みたいな金属で出来た人型を思い浮かべてしまうのは、前の世界のSFが影響しているのだろう。


「・・・・想像も付きません。」

「じゃあ、逆に比較の為に炭素系生命体、その進化の歴史を思い描いてくれ。

元々炭素系生命体は地球創生より遅れること6億年ごろに太古の海洋で起こった、と推測されている。
元々は海中に漂う様々なチリや芥から有機アミノ酸が合成され、それがコロイドと成ることで、コアセルベートと呼ばれる集合体に“進化”したと言われ、これを化学進化と呼んでいる。
このコアセルベートから、原始生命が誕生し更に他の同様な存在と融合・分離を繰り返すことで
原始的な代謝を行う共通祖先と言われる状態を経て古細菌にまで、進化したという推論だ。

いみじくも上位存在が言うように、炭素系生命体の最初は正しく“現象”だったわけだ。

そして現象に相応しく、現在で40億年と言われる生命の歴史の内、その80%は微生物の時代だったという。
コラーゲンを得て多機能を有する大型生物に進化し始めるのはホンの8億年前まで待たなければ無かった。
以来、多岐に渡った進化の末に現れたのが、人類。

これは、そのままダーウィンの進化論であり、炭素系生命は交配による遺伝と世代交代、そして変異による環境適合性により、生命として進化してきた。
人間が言語と社会構造によって知識を継承しているように、生物はそのDNAに進化を継承してきたとも言える。


では、珪素系生命体が同じ進化を辿るのか、と言うことだ。


原始地球に於いても珪素は存在した。

だが、炭素に比べて重い珪素は波間に漂うこともなく、海底に沈み、動くことはない。また水中での反応性に乏しく、安易にクラスタやコロイドに成ることが無い。
もし出来たとしても、それも重く沈むから運動性の乏しい動くことのない存在だったと推定される。
そんな珪素系生命は、海洋を母体とした炭素系生命体同様遺伝サイクルによる発生は不可能であった、と考える。」

「珪素系生命は発生しないのですか・・・」

「炭素系生命の様なプロセスでは、な。
創造主が発生したのがこの世界であるならば、物理法則が異なるわけではない。
何らかのプロセスを以て、生命として誕生している。
上位存在の言う、“思考”し、“自己増殖”し、“散逸”することが創造主の言う生命の定義であるとするならば、創造主は珪素を基質とし、何らかの方法でその3つを獲得したと言う事になる。」

「・・・・。」




「ところで、この炭素系生命体の進化に関するプロセスをプログラムの世界の最適化探索手法に当て嵌めたのが遺伝的アルゴリズムと言われる手法であることは、悠陽は“兄さま”に教えられたと思うが、覚えているか?」

「はい。
特定の係数情報群をある種の“遺伝子”と見立て、その交叉により多数の次世代を生成し、目的の適合度を判定する、という手法ですね?
適合度の低い個体は淘汰され、適合度の高い個体同士を交配させて次の世代を生成することにより、複数のパラメータから最も良い組み合わせを早期に探索する強力な手法、と記憶しています。」

「そう、Genetic Algorithm(遺伝的アルゴリズム)は、多点参照型の最適探索手法と言う事で、探索時間が早い手法として知られている。交叉の中に突然変異として全く異質の要素を組み込むことによって目的関数、いわば環境の変化にも追従していける。
様々に環境が変化した地球で炭素系生命が繁栄したのは、そのプロセスが優秀だったから、という訳だろう。」

「・・・。」

「そして、その最適化探索手法の中に、SA(Simulated Annealing)と言う手法が在ることを知っているかな?」

「SAですか? それは“兄さま”には聞き及んで居りません。」

「GAに負けないくらい優秀で、広域の最適解を求めるのに汎用性の高い最適化手法。
アニーリングとは“焼き鈍し”の事で、即ち金属の焼きなましを模した手法なんだ。

今ここに居るのは、殆どが高位の武士だ。
日本刀には些か五月蝿いだろうから、焼き鈍しは知っているだろう?」

殆どが頷いたが、正直オレは知らない。
それ以前に何故今焼き鈍しの話になるのか判らず、きょとんとした顔をしていたのだろう。
オレの顔を見て言いやがった。

「・・・武や鑑の為に簡単に説明すると、鍛造された刀身は鋼の組織として柔らかい状態であり、これを熱処理による“焼入れ”をすることにより、硬い組織に変質させることが出来る。
しかしこの焼入れには欠点がある。
金属組織を急速に冷やし凝固させるため、組織の生成が小さな範囲単位で進行し、隣の範囲との間に不揃いな欠陥組織を発生することになる。
変質した組織は硬いが柔軟性は無く、そして欠陥組織は脆い為、焼き入れした鋼は硬度は高いが靭性のない折れやすい刀身になってしまう。

その欠陥組織を修正し、刀身の強度の増す手法が“焼き鈍し”。
高硬度組織を変性させず、欠陥組織のみを変質させるギリギリの温度まで刀身を再加熱し、靭性の高い粘り有る組織に変質する速度で冷却することにより、脆弱な組織を再変質させ、硬度を保ったまま全体の強度を最大限に持っていく。

――そしてこの過程を事象の最適化に当てはめたのがSAと言う手法。


探索範囲内で一度評価値を求めると、あちこちに局所最適解、つまり鋼で言えば高硬度組織ができている。
そこで探索範囲の変数を変動、いわば組織の再加熱をすることで局所解を融合させ、全体最適解に導く手法といえる。

これは、結晶組織に繰り返し加熱と冷却を行う事で、組織が変遷していく事を示している。」


結晶組織の変遷と最適解?

・・・・・!!

唐突に何の話を始めたのかが、繋がった!


「―――有機物の塊に過ぎなかったコロイドが、数え切れない程永劫に渡る世代交代の中で、自律作用を発揮して変遷したように、もし、偶然生成された珪素の塊に、永遠に近い繰り返し繰り返しの熱が加えられたらどうなるか、と言うことだ。
丁度、SAによる最適化の様に、再加熱凝固と言うプロセスは、やがて結晶中から不純物を析出し、徐々に整えられていく。
それは炭素系生命体が交叉と突然変異により代謝機能や運動機能を獲得していった様に、再加熱の熱量に依っては、結晶化した辺縁も再融解することで全体の構成を再編し続け、半導体アモルファスのネットワークと熱発電機能を獲得していったとしても不思議はない。

現在のCPUに使われている基盤もシリコンに依る半導体、無限の最適化作用により同じようなアモルファスが形成されて変遷して行く。
一方で圧力トランスデューサー等、圧力や熱を電気に変換する素子も水晶系のシリコンで構成されている。
つまりは珪素系の基質は思考素子と発電素子を同時に内包出来る可能性が高い、と言うこと。

永い組織構築の中、何時しか構成された素子で自律的な思考を得たとしたら?

繰り返される加熱と再結晶によって、より高度の知性を有する構造を獲得していったら?」

「・・・・・。」

言葉もない。本当にそんなことが起こりうるのか?




「・・・・その様なプロセスがあり得るのでしょうか・・・?」

「・・・その疑問は、上位存在の言った炭素系生命体は存在しない、と言う事と同じだろう。
発生する確率から言ったら大して変わらないと思う。
とは言え珪素を基質とする結晶は地球上でも十分みられるから普通に存在するし、その化合物としての融点は数100℃から純粋な珪素結晶でも1,400℃ちょい、その温度なら惑星の創生期から十分存在するし、コア付近では数億年以上保ち続ける。
大気を有し断熱性を備えて、且つ内部で放射性元素の崩壊による熱補給が続くと言われる地球型の惑星で言うと、コアの温度は46億年経った今でも6,000Kとも予想されている。
繰り返し受熱する環境は対流等で得られる可能性が高い。熱電素子の獲得による代謝を行うためには、放射性元素かそれこそG元素を取り込んだだろうから、それ以降は周囲が冷えても自律作用で維持をするだろう。
かなりご都合な発現プロセスとも思うが、実際炭素系生命の遺伝による進化だって色々とあり得ないように思える変化が生じている。
特に炭素系生命体に於いては、人類のような高度な精神活動を行う知性を獲得する確率は、極めて低く、それこそ“奇跡”と呼ばれている。
創造主が炭素系生物を“生命”と見做さないのは、恐らく炭素系生命の短いライフサイクルでは知性が発達する時間がない、つまり向こうもそんな確率は0に近いと推論しているからじゃないのか?

珪素系生命体が思考を得る過程として今の物理現象から考えて、最も可能性が高い推論だと思う。

勿論、最初に言ったとおり、ある種荒唐無稽の仮説だがな。


恐らくは創造主が“知的生命体”に成ったのには、炭素系生命がコラーゲンを獲得して大型構造を有する生物に進化したり、人類が言語や社会性を獲得したのと同じ様に、もう一段何らかの進化が在ったのだろうと思う。

このプロセスでは珪素系生命は、何らかの知覚手段は持てると思うが、動作手段や移動手段を持たない可能性が高い。
恐らくなんだが、思考の発達により、ESPやPK、或いは磁力やそれこそ重力場の制御による外界の操作手段を得たはずだ。
そうでなければ作業用ロボットであるBETAを創造することも出来ないからな。」


彼方の言うように、乱暴で、荒唐無稽な推論。
だが否定する言葉もまた、無い。
知的生命体が現れるプロセスとして、ある意味理に叶っている、と納得させてしまうだけの説得力がある。


「・・・・・・最適化というプロセスが、何故最終的に知性を得ることに繋がるのでしょう?」

「さあな。
確かにこの発生プロセスが正解だとすれば、GAもSAも自然界での最適化は、知性を得ることに繋がっている。
それは自然発生的な最適化に於いて、知性を得ると言う事が、宇宙の真理と同じ評価関数なのかも知れないが、では何故進化が起きるのか、と言う疑問と同義だろうな。
俺にも説明できない。
科学だけでは説明できない命題で在る可能性が高い。」

「・・・・。」



・・・・それにしても、なんて奴。

オレが記憶の中から引き出した、上位存在との会話ログ。
たったあれだけ。
その珪素系生命体と言う事から、此処までの考察が出来るモノなのか。

珪素系生命体の発生。

炭素系生命体が、永い遺伝進化の末に人類という知的生命体にたどりついたのと同じ様に、珪素系生命体である“創造主”が永い再結晶進化の末に知的生命体に至った。
その推論は、確かに本人も言うとおり、ぶっ飛んではいたが、不思議と納得出来てしまう。




「では、そんな存在が、何故“変わる力”など望むのでしょうか?」

「・・・この珪素系生命体の発現過程が正解なら、創造主には遺伝子がない。つまりその発生には一切交叉がない
当然生殖も存在しないから、性差も、もっと言えば、進化するのに他者との接触など必要無かったからコニュニケーション手法も存在しない。
まあ、他の珪素系生命体は認識しているらしいから、ESP等の意思疎通は出来るのかもしれないが、基本は互いに不干渉だろう。

思考体の増殖によって思考体個体の分化、更にはことによると散逸するのかも知れないが、元々人間の様に分業する必要に迫られた社会構築も必要なければ、言語も知識伝承も必要ない。
下手すれば、その分化ですらCPUのマルチコア化みたいなものかも知れない。

最大の違いは炭素系生命の様に生命維持に不可欠でありながら天敵である活性酸素もない。
思考そのものの生命維持のためのエネルギーは必要かもしれないが、それも放射性元素やG元素などで自己完結していると予想されるし、移動を伴わない思考だけの維持なら、その燃費は極めて低く、外部からの補給など必要無い可能性が高い。
存在する惑星が地球型なら、惑星コアの温度だけでエネルギーをまかなえるだろう。
・・・・それ故、創造主が宇宙規模の鉱物資源を求めているとは到底思えないんだけどな。

つまり―――基本的に不変で不死の存在。
創造主には死の概念すら存在しないかもしれないイモータルである、と言う事だ。

前に武には言ったが、例えれば、地球は生きていて意識があります、と言うようなもの。
創造主の滅亡は存在する惑星の滅亡と同じだろうし、その際には移動して他の惑星で生き存えることも十分に可能。


そんな、創造主の思考や、気持ちまでは判らないがな。
基質が違い、発現した背景が異なり、その基本概念すら全く異なっても、思考するという点に於いては類似性が存在する、と考えている。

特に高い知性を有した高度な思考を行う者ほど“退屈”を嫌う。
アモルファスとして、思考する回路を得ていると言うことは、常にその構造を変化させる機能を有している可能性を否定出来ない。
思考回路は、常に刺激を受けていないと、退化する可能性がある。
人類の脆弱な脳神経細胞とは桁違いだろうがな。


――――故に、“創造主”は“変化”を望んでいると予測している。


ま、簡単に言えば、変わりゆく限り在る“人類”が潜在的に“永遠”を望む様に、変わらぬ無限の“創造主”が“変化”を望むのは、ある意味極めて自然なことではないのか?」


「「「「・・・・」」」」


誰も何も言えない。
創造主の思考や希望など誰にも判らないのは当たり前だが、思考する者の性として、平時には変化を望み、忙しくなれば平穏を望むと言うのは理解できる。
限られた寿命しか持たない人間が永遠を望むのもまた真理。
“創造主”が彼方の言う通りの珪素系生命体であれば、純夏のような超因果体を求め“跳躍”や“変化”を求めることも確かに自然な事だと思ってしまう。




「で、だ。話を元に戻すと、敵は相手は悠久の知性を有する存在。
そして目的は変化する力を有する人類種。
・・・其れにしては、その重要な“資源獲得”が作業用ロボットであるBETAを送り込むだけ、なんて言うのは粗すぎるんだ。」

「・・・え・・?、ち、ちょっと待った! 何処に話を戻すんだ?」

唐突に話が変わった。
彼方の中では既に色々考えた末の説明だから確立している事項なのだろう。
けれどこっちは、珪素系生命体の成り立ちすら知ったばかりなのだ。
直感的には納得出来てしまうのだが、そこから何が予測できるのか、まだまだ理解が追いついていないのだ。
慌てて復帰位置を確かめる。此奴の考察は多岐に渡るから、現在位置を確かめておかないと、時折置いていかれる。

「・・・最初だ。九條や第5計画派含めて、何らかの妨害が在るかも知れないと言う最初。」

「あ、あ~~、うん、判った。了解。・・・で?」

彼方以外の全員から良くやった、という視線。


「・・・・・じゃあ、ちょっと想像してみてくれ。
例えば、人が有用な酵素を生み出す細菌を見つけたとしよう。
その場合、まずはその抽出手法を探るだろう。

次は?
それは効率を高めることだ。
この目的に対する思考は、基質が異なろうが発現プロセスが違おうが、必ず同じ様な所に帰着する。

故に、もし培養が可能なら培養するだろう。
けれど、その求めるものが特定条件でしか発現しないとしたら?
・・・事実“創造主”が求めるほどの“変化する力”を有する者は、相当低い確率でしか存在しない、と夕呼センセが試算している。
恐らくはそれを考慮しているからこそ、創造主も全宇宙に渡るようなBETAの展開もしているのだから、“効率”を重視しない訳がない。

ならばよりその環境を整えるだろう。
更には発現条件を整えるだろう。

そしてその作業は、人類を捕縛し、適合しない者を捕食するだけの知能しか与えられていない既知のBETAには不可能。

それはつまり細菌の場合なら、対象に直接干渉できる作動体を作って、対象を任意に誘導してしまうということを意味する。
・・・・人が細菌に行う手法としてはウイルスベクターだけどな。」


・・・何かが噛み合った。
同時に全身が総毛立つ。

現在の人類が置かれた状況と、余りにも確かな類似性[アナロジー]



「・・・つまり創造主が最大効率を求めている故、人類にもベクターが存在する、と言う事ですか?」

尋ねる声さえ掠れて震えた。

「――――それが俺の推論に基づく危惧。
相手が複製された二重身[ドッペルゲンガー]なのか、寄生蟲[パラサイト]なのか、洗脳[ロボトミー]級なのかは不明だけどな、傀儡[パペット]級が存在してもおかしくはない。」

またも沈黙が場を支配した。


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