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No.35536の一覧
[0] 【チラ裏より】Muv-Luv Alternative Change The World[maeve](2016/05/06 12:09)
[1] §01 2001,10,22(Mon) 08:00 白銀家武自室[maeve](2012/10/20 17:45)
[2] §02 2001,10,22(Mon) 08:35 白銀家武自室 考察 3周目[maeve](2013/05/15 19:59)
[3] §03 2001,10,22(Mon) 13:00 白銀家武自室 考察 BETA世界[maeve](2012/10/20 17:46)
[4] §04 2001,10,22(Mon) 20:00 横浜基地面会室 接触[maeve](2012/12/12 17:12)
[5] §05 2001,10,22(Mon) 21:00 B19夕呼執務室 交渉[maeve](2012/12/06 20:40)
[6] §06 2001,10,22(Mon) 21:30 B19夕呼執務室 対価[maeve](2012/10/20 17:47)
[7] §07 2001,10,22(Mon) 22:00 B19夕呼執務室 考察 鑑純夏[maeve](2012/10/20 17:47)
[8] §08 2001,10,22(Mon) 22:30 B19夕呼執務室 考察 分岐世界[maeve](2012/10/20 17:47)
[9] §09 2001,10,22(Mon) 23:00 B19シリンダールーム[maeve](2012/10/20 17:48)
[10] §10 2001,10,23(Tue) 08:00 B19夕呼執務室[maeve](2012/12/06 21:12)
[11] §11 2001,10,23(Tue) 09:15 シミュレータルーム 考察 BETA戦[maeve](2013/01/19 17:36)
[12] §12 2001,10,23(Tue) 10:00 シミュレータルーム 考察 ハイヴ戦[maeve](2015/02/08 11:03)
[13] §13 2001,10,23(Tue) 11:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:23)
[14] §14 2001,10,23(Tue) 12:20 PX それぞれの再会[maeve](2012/12/16 23:01)
[15] §15 2001,10,23(Tue) 13:00 教室[maeve](2012/12/06 00:01)
[16] §16 2001,10,23(Tue) 13:50 ブリーフィングルーム[maeve](2013/05/15 20:03)
[17] §17 2001,10,23(Tue) 18:30 シミュレータルーム[maeve](2015/03/06 21:04)
[18] §18 2001,10,23(Tue) 22:00 B15白銀武個室[maeve](2015/06/19 19:23)
[19] §19 2001,10,23(Tue) 23:10 B19夕呼執務室 考察 因果特異体[maeve](2012/10/20 17:51)
[20] §20 2001,10,24(Wed) 09:00 B05医療センター Op.Milkyway[maeve](2015/02/08 11:06)
[21] §21 2001,10,24(Wed) 10:00 シミュレータルーム 考察 XM3[maeve](2012/12/06 21:17)
[22] §22 2001,10,24(Wed) 13:00 横浜某所 遺産[maeve](2012/11/10 07:00)
[23] §23 2001,10,24(Wed) 21:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:30)
[24] §24 2001,10,24(Wed) 22:00 B19シリンダールーム 暴露(改稿)[maeve](2013/04/04 22:05)
[25] §25 2001,10,24(Wed) 23:00 B19シリンダールーム 覚醒[maeve](2013/04/08 22:10)
[26] §26 2001,10,25(Thu) 10:00 帝都城 悠陽執務室[maeve](2016/05/06 11:58)
[27] §27 2001,10,26(Fri) 22:00 B19夕呼執務室[maeve](2016/05/06 12:35)
[28] §28 2001,10,27(Sat) 09:45 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:22)
[29] §29 2001,10,27(Sat) 11:00 帝都浜離宮茶室[maeve](2015/02/08 10:15)
[30] §30 2001,10,27(Sat) 12:45 帝都浜離宮 回想(改稿)[maeve](2012/12/16 18:30)
[31] §31 2001,10,27(Sat) 14:00 帝都城第2演武場[maeve](2015/01/23 23:26)
[32] §32 2001,10,27(Sat) 15:00 帝都城第2演武場管制棟[maeve](2016/05/06 11:59)
[33] §33 2001,10,27(Sat) 16:00 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:31)
[34] §34 2001,10,28(Sun) 10:00 帝都城第2演武場講堂 初期教導[maeve](2016/05/06 12:00)
[36] §35 2001,10,28(Sun) 13:00 帝都城来賓室[maeve](2016/05/06 12:00)
[37] §36 2001,10,28(Sun) 国連横浜基地[maeve](2012/11/08 22:20)
[38] §37 2001,10,29(Mon) 15:00  B19シリンダールーム 復活[maeve](2013/04/04 22:18)
[39] §38 2001,10,30(Tue) 10:00  A-00部隊執務室 唯依出向[maeve](2016/05/06 12:01)
[40] §39 2001,10,30(Tue) 11:00  B19夕呼執務室 考察 G元素(1)[maeve](2015/03/06 21:07)
[41] §40 2001,10,30(Tue) 15:00  A-00部隊執務室[maeve](2015/02/03 20:59)
[42] §41 2001,10,31(Wed) 10:00 シミュレータルーム[maeve](2016/05/06 12:03)
[43] §42 2001,10,31(Wed) 06:00 アラスカ州ユーコン川[maeve](2016/05/06 12:03)
[44] §43 2001,10,31(Wed) 10:00 司令部ビル 来賓応接室[maeve](2016/06/03 19:20)
[45] §44 2001,10,31(Wed) 12:00 ソ連軍統治区画内 機密研究エリア[maeve](2016/05/06 12:05)
[46] §45 2001,11,01(Thu) 13:00 アルゴス試験小隊専用野外格納庫 考察 戦術機[maeve](2016/05/06 12:06)
[47] §46 2001,11,02(Fri) 12:00 テストサイト18第2演習区画 E-102演習場[maeve](2016/05/06 11:50)
[48] §47 2001,11,02(Fri) 12:15 司令部棟 B05 相互評価演習専用指揮所[maeve](2016/05/06 12:06)
[49] §48 2001,11,03(Sat) 05:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/02/03 21:01)
[50] §49 2001,11,03(Sat) 09:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/01/04 19:23)
[51] §50 2001,11,02(Fri) 20:00 ユーコン基地[maeve](2016/05/06 12:07)
[52] §51 2001,11,03(Sat) 点景[maeve](2016/05/06 12:08)
[53] §52 2001,11,04(Sun) 07:30  A-00部隊執務室[maeve](2016/05/06 12:08)
[55] §53 2001,11,04(Sun) 20:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/06/19 19:45)
[56] §54 2001,11,05(Mon) 09:00 ブリーフィングルーム[maeve](2015/01/24 18:43)
[57] §55 2001,11,06(Tue) 10:00 帝都城第2連隊戦術機ハンガー[maeve](2015/06/05 13:06)
[58] §56 2001,11,07(Wed) 10:00 横浜基地70番ハンガー[maeve](2015/03/06 20:56)
[59] §57 2001,11,08(Thu) 14:00 帝都浜離宮来賓室[maeve](2015/09/05 17:29)
[60] §58 2001,11,08(Thu) 15:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(1)[maeve](2013/04/16 21:00)
[61] §59 2001,11,08(Thu) 15:30 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(2)[maeve](2015/01/04 19:04)
[62] §60 2001,11,08(Thu) 16:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(3)[maeve](2015/02/03 21:19)
[63] §61 2001,11,09(Fri) 11:05 新潟空港跡地付近[maeve](2015/10/07 16:50)
[64] §62 2001,11,10(Sat) 23:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/03/06 21:15)
[65] §63 2001,11,11(Sun) 05:50 燕市スポーツ施設体育センター跡[maeve](2015/06/19 19:48)
[66] §64 2001,11,11(Sun) 06:52 旧海辺の森跡付近[maeve](2016/06/03 19:25)
[67] §65 2001,11,11(Sun) 07:15 旧燕市公民館跡付近[maeve](2016/05/06 11:55)
[68] §66 2001,11,11(Sun) 07:24 連合艦隊第2艦隊旗艦“信濃”[maeve](2016/05/06 11:56)
[69] §67 2001,11,11(Sun) 07:44 旧新潟亀田IC付近[maeve](2015/09/11 17:22)
[70] §68 2001,11,11(Sun) 08:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 09:53)
[71] §69 2001,11,11(Sun) 08:15 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 10:00)
[72] §70 2001,11,11(Sun) 08:20 旧北陸自動車道新潟西IC付近[maeve](2014/12/29 20:34)
[73] §71 2001,11,11(Sun) 08:25 帝都上空[maeve](2015/08/21 18:44)
[74] §72 2001,11,11(Sun) 10:30 三条市荒沢R289沿い[maeve](2015/02/04 22:07)
[75] §73 2001.11.12(Mon) 09:30 PX[maeve](2015/09/05 17:34)
[76] §74 2001.11.13(Tue) 09:00 帝都港区赤坂 九條本家[maeve](2015/04/11 23:27)
[77] §75 2001,11,13(Tue) 10:30 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2015/12/26 14:19)
[78] §76 2001,11,13(Tue) 19:50 B19フロア 夕呼執務室 考察G元素(2)[maeve](2016/05/06 12:19)
[79] §77 2001,11,14(Wed) 09:00 講堂[maeve](2016/05/06 12:25)
[80] §78 2001,11,15(Thu) 22:22 B15 通路[maeve](2016/05/06 12:31)
[81] §79 2001,11,15(Thu) 15:00(ユーコン標準時GMT-8) ユーコン基地滑走路[maeve](2015/10/07 16:54)
[82] §80 2001,11,16(Fri) 10:15(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/09/05 17:41)
[83] §81 2001,11,16(Fri) 10:55(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト18[maeve](2015/10/07 16:57)
[84] §82 2001,11,16(Fri) 16:30(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/05/31 10:24)
[85] §83 2001,11,16(Fri) 21:00(GMT-8) リルフォート歓楽街 “Da Bone”[maeve](2015/10/07 17:03)
[86] §84 2001,11,17(Sat) 17:00(GMT-8) イーダル小隊専用野外格納庫 衛士控室[maeve](2015/06/20 23:51)
[87] §85 2001,11,18(Sun) 17:20(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト37 幕間?[maeve](2015/05/31 20:15)
[88] §86 2001,11,18(Sun) 22:00(GMT-8) アルゴス試験小隊専用野外格納庫[maeve](2016/05/06 11:46)
[89] §87 2001,11,19(Mon) 13:00(GMT-8) ユーコン基地 居住区フードコート[maeve](2015/06/19 20:13)
[90] §88 2001,11,19(Mon) 18:12(GMT-8) ユーコン基地 演習区外米国緩衝エリア[maeve](2015/12/26 14:23)
[91] §89 2001,11,19(Mon) 18:50(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/12/26 14:25)
[92] §90 2001,11,19(Mon) 20:45(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/10/07 17:13)
[93] §91 2001,11,19(Mon) 21:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画[maeve](2015/10/07 17:15)
[94] §92 2001,11,20(Tue) 03:30(GMT-8) ソビエト連邦租借地 ヴュンディック湖付近[maeve](2015/08/28 20:32)
[95] §93 2001,11,21(Wed) 14:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画内 総合司令室[maeve](2015/10/07 17:20)
[96] §94 2001.11.22(Thu) 03:00(GMT-8) アラスカ州ランパート付近[maeve](2015/12/26 14:28)
[97] §95 2001.11.23(Fri) 18:00(GMT+9) 横浜基地 B20高度機密区画[maeve](2015/08/28 20:08)
[98] §96 2001.11.24(Sat) 15:00 横浜基地 B17 A-00部隊執務室[maeve](2016/06/03 19:39)
[99] §97 2001.11.25(Sun) 02:00(GMT-?) 某国某所[maeve](2015/12/26 14:33)
[100] §98 2001.11.25(Sun) 13:30 横浜基地 北格納庫管制制御室[maeve](2016/06/04 14:06)
[101] §99 2001.11.25(Sun) 18:00 横浜基地本館 メインバンケット モニタールーム[maeve](2015/10/31 14:40)
[102] §100 2001.11.26(Mon) 06:30 横浜基地本館 ゲスト棟[maeve](2016/05/06 11:44)
[103] §101 2001.11.26(Mon) 17:15 横浜基地 モニタールーム[maeve](2016/05/15 12:14)
[104] §102 2001.11.27(Tue) 06:00 国連横浜基地 第2グランド[maeve](2016/06/03 19:42)
[105] §103 2001.11.28(Wed) 09:00 国連横浜基地 XM3トライアル V-JIVES[maeve](2016/05/14 13:10)
[106] §104 2001.11.28(Wed) 17:00 国連横浜基地 米軍割当外部ハンガー ミーティングルーム[maeve](2016/06/04 06:10)
[107] §105 2001.11.28(Wed) 17:40 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2016/06/10 23:26)
[108] §106 2001.11.28(Wed) 18:00 国連横浜基地 Bゲート付近 〈Valkyrie-04〉コックピット[maeve](2019/03/26 22:16)
[109] §107 2001.11.28(Wed) 21:00 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2019/03/30 00:03)
[110] §108 2001.11.28(Wed) 21:00(GMT-5) ニューヨーク レストラン “Par Se”[maeve](2019/06/30 17:55)
[112] §109 2001.11.29(Thu) 09:00(GMT-5) ニューヨーク国連本部 安保緊急理事会[maeve](2019/05/05 21:16)
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[35536] §53 2001,11,04(Sun) 20:00 B19夕呼執務室
Name: maeve◆e33a0264 ID:53eb0cc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2015/06/19 19:45
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'15,01,24 弐型改 → Evolution4
'15,06,19 誤字修正



Side まりも


「――12:47 隅落しでインフィニティーズ2の残った左上腕とカメラ部を破壊。落下時の8Gで、衛士無力化。
―――12:49 援護に駆けつけたアルゴス1が、インフィニティーズ1より鹵獲した突撃砲にて、インフィニティーズ4のカメラと両肩部を破壊し無力化。
これで強襲勢力排除完了。

以上が、総合評価演習“ブルーフラッグ”の於ける“個人的思想によるテロ”の顛末だ。」


夕刻、硫黄島の帝国軍基地から横浜に帰任した。
既に今朝早くユーコン基地から帰任していた御子神クンと篁中尉。
お互いにお帰りを言い合い、おめでとうを言い合った後、その情報交換が行われている。

御子神クンはAH戦から強襲鎮圧まで、さもあっさりと時系列で報告したが、その内容はてんこ盛り、今後の軍事戦略に齎す影響は膨大である。

F-22Aを最強と為していたステルス機能の無効化技術が3つ。
衛星高度光学監視を使わずとも、マルチスタティックレーダー圏を小隊で構築することにより捕捉。弐型とXM3のコラボによる新しい機動概念を教導したアルゴス小隊で撃破。
後催眠暗示によると公表されている実弾による強襲は、戦闘行動予測プログラムCAP-RTで行動や射線まで予測し、実弾装備のF-22EMDを躱し切り、戦術機用格闘術を使い無手で殲滅した。
その陽動の裏で実施されようとしたレッドシフト再爆による基地やアラスカ領の破壊工作も篁中尉らによって未然に阻止。
第5計画による第4計画及びプロミネンス計画の頓挫を狙った強襲、テロ、その全てをたたき潰したのである。


一方で207B訓練小隊の総合戦技演習が行われた帝国領土である某無人島への所属不明機による襲撃も同じ。
A-12アヴェンジャーと思しき機体。護衛機であるXFJ Evolution4に警告もなく発砲し、強襲してきた。
それ以前に海域に張り巡らされた対潜水艦エリア哨戒により所属不明の潜水母艦が確認され、警戒されていたが、島の周囲にマルチスタティックレーダー圏が敷かれていなかったら、A-12接近の発見が遅れ、白銀クンでも少し位は苦戦したかも知れない。
・・・ステルス攻撃機1個中隊、それを3分弱で殲滅したのは、紛れもなく白銀クンの技量故だが・・・。

潜水艦での機甲部隊展開、そして乗員と機材を隠蔽するための念入りな自爆。
最新鋭ステルス攻撃機:A-12を運用しているのだから、少なくとも海兵隊に関連ある非合法部隊。
米国軍の正規部隊であろうとなかろうと、第5計画派の思惑で第4計画の中心人物である夕呼を狙ったことは間違いない。




第5計画派、その恐らくは過激派と目される組織が送り込んだだろう2つの刺客。
分断した彼方クンと夕呼への同時強襲。
第5計画派も、随分と焦っている、と見るべきか。
対外的に公表したのはXM3だけ。
しかしそのXM3はG弾の運用無くハイヴ攻略の可能性を示唆した。ハイヴの存在する、つまり国土の奪回を目指すユーラシア各国が、自国に永久に植生の回復しない不毛の土地を作りたいわけがない。
今はまだ、シミュレーション故半信半疑だが、今後実証でもされれば、第5計画からの離反は必至である。
貢献が無ければハイヴ攻略後に得られる筈のG元素も得られない。
それは今後の世界戦略を考慮した場合、かなりの不利益を被る。第5計画派は、そう“政府”を脅し、強引な計画を実行したのだろう、と言うのが彼方クンの見込みだった。


その為に実際第5計画派にしてみれば、過剰と思える戦力を投入したのである。

もしそのどちらかが成功していれば、確かに第4計画は頓挫したかもしれない。
それは人類の希望が潰えることだというのに・・・。
推進責任者である夕呼、そしてその為の装備を整えてきた彼方クンが居なければ、少なくとも早期にオリジナルハイヴ攻略というステージに立てない可能性が高い。



片や、世界最強の戦術機と誰もが認めたF-22EMDを擁し、全米基地の教導隊を教導する対人戦闘米軍最強部隊であるインフィニティーズ。
不知火との直接のキルレートは存在しないが、性能的に近しいF-15Eであれば、たしか100に近い数字。数字だけなら連隊規模でも敵わない相手となる。

一方では、同じステルス性能を有し、先行配備が報じられながら、その姿さえまともに捉えられた事のない幽鬼の様な戦術機と、それを駆る亡霊部隊。非合法極秘部隊ゆえ、在席する衛士の腕は推して知るべし。
更には彼らに取って投降は決して許されず、負けることは死ぬことなのだ。その覚悟だけでも怖い。
それはイザと成れば道連れも厭わないと言うことである。
それを1個中隊、丸々投入してきたのである。
この瀬戸際に至って尚BETAを相手にせず、人を相手に謀略をめぐるその思想が理解出来ない。


これら一見過剰とも思える戦力を以て双方、あるいはどんなどんでん返しが起きても、片方は必ず成功する、というのが彼らの目論見であっただろう。



それを対ステルス装備、そしてXFJ Evolution4が完封した。



磐石だった故に、逆に失墜も激甚だった。
恐らく失敗したときの対処など考えてもいなかったのかも知れない。


ユーコンの襲撃はどうにか司令官の“個人的思想に基づくテロ”で、強引に片をつけた。
しかし同時に彼ら第5計画派が牽制したかったプロミネンス計画は、逆に完全な米軍勢力の切り離しに成功した。送り込んだ司令官がテロを起こしたとあっては、国連とて黙っては居ない。もうそうそう息の掛かった者を送り込むことは出来ない。
そのプロミネンス計画に唯一繋がっている米国側のボーニングは、逆にラプターを落とした原動力。XFJとACTVの技術をガッチリ握っている。
ステルスの優位性が崩れ、ドクトリンが崩壊した今、無駄に高価なF-22AやF-35はその存在意義すら失う。
一方で弐型やACTVに使われた技術は、米国が戦術機に依る覇権を完全に喪わないためにも、今や無くてはならない存在となり、それが解っているからボーニング側もおいそれと他社や第5計画派にプロミネンス計画への手出しをさせない。
それでなくてもその弐型やACTVを一気に高めたXM3と言うOSは、プロミネンス計画を経て今後配布されるのである。
国連として、その成果を供出しろと横浜に圧力を掛けても、既にプロミネンスを経由して、各国に配布・教導している、と言われれば、それ以上を引き出すことは出来なくなる。
今回の事態で、そのプロミネンス計画すら制御不能に陥ったのである。
寧ろ、ボーニングがプロミネンスに居るが為に、国連に圧力を掛けることに依るユーコンや横浜への画策がやり辛くなった。
新たな部隊を参入することすら困難だろう。



そしてその一方秘密部隊に依る襲撃の失敗は第5計画派にとって極めて不味かった。
自爆でメンバーの特定は困難であったが、機体の全てを爆破できたわけではない。
特に白銀クンが切り飛ばした腕や頭部を含む部位は自爆信号線も切断されたためほぼ無傷で残り、そこから回収したバッファからも情報が引き出せた。

その全てを夕呼は確保してしまったのである。

A-12アヴェンジャーなど運用しているのは米国海兵隊関係しか在り得ない。
存在しないはずの部隊の存在。警告もなしに銃撃する映像。相手は国連カラーの不知火。
戦闘時の映像も鮮明に残された。

作戦当事者は、何が起きたのかすら把握出来ていないだろう。
送り込んだ強襲部隊との連絡は、ステルス行動により途絶するはず。彼方クンによれば、作戦時、すべてのセンサーや衛星高度の監視にまでジャミングを掛けたという。XFJ Evolution4の戦闘機動をトリガーとし、各種妨害トラップを仕掛けていた。
襲撃側にとって、その時間はたった3分で在ったが、その3分で強襲した中隊が消滅したわけだ。
彼らが回収できたのは、破壊された機体を回収する作業員の映像だけ。

潜水艦は這々の体で逃げ帰ったらしい。



この非合法作戦を公表されたら、指揮官の首が飛ぶくらいでは到底済まない爆弾。
軍上層部も政府でさえ第5計画派の言い分を容認し賛意は示さないまでも承認はしたのだから同罪。
その爆弾を一番嫌な相手に握られたのだ。

当然、夕呼の事だからこのあと悪辣極まりない要求をするのだろう。

―――潰しちゃったら何も得られないじゃない?
蚕は生きているからこぞ絹を吐くの。茹でるのは全部吐き出してからよ―――

昨夜本当に愉しそうにクツクツと哂う夕呼を見て、私が第5計画派でなかった事に心底安堵した位だった。






「・・・上々ね。
XFJ Evolution4と新機動概念で白銀も皮が剥けたみたいだし。
・・・・ところで、なんで篁はこんなにタレてるわけ? 時差ぼけ?」

確かに魂が芯を喪ったようにタレている篁中尉。帰任の挨拶も何処か上の空だった。


「・・・ああ、どっちかといえば、褒められすぎて羞恥回路がオーバーロードしたらしい。
今日午後に、帝都城まで報告に行ったからな。
Phase3でボーニングの技術が入っているとは言え不知火“弐型”であのF-22EMDに完勝したXFJ計画の推進責任者。
今までは、蔑まれたり、貶されることは在っても認めてさえくれなかった帝国軍関係者も今回は大絶賛。まことしやかにステルスを推挙した蒙昧な連中は表にも出てこれない、と巌谷のおっさんが呵々と笑ってた。
諮問会議は爽快だったらしい。
満場一致、割れんばかりの拍手で試製XFJ-01承認が早々に採択された、とさ。

今日の篁の登城も、何処で聞きつけたか企業関係者まですっ飛んできて拝みまくってった。
本来篁の属する斯衛なんか凱旋歓迎状態だからな。

・・・因みに篁は今日付けて大尉昇格な。」


なるほどと思う。
篁中尉もとい大尉の性格なら、この状態は致し方ないわね。
帝都防衛戦での繰り上げ任官で14から戦場に立ったとは言え、本来207B訓練兵と同学年、まだ17の筈だもの。
大きすぎる賛辞が自分の功績と思えない上に、大尉という責任の重さを理解していれば、タレるのも仕方ない、か。


話が自分に及んだと気が付き、篁大尉はビクンとするが、夕呼はそんな大尉をワラうだけ。
恐縮しきった表情のまま皆を見回して、何故か私に懇願するような潤んだ瞳を向ける。

・・・周囲は、夕呼に社少尉、あとは白銀クンに御子神クン・・・・。
ある意味その視線は妥当だと思ってしまった。
・・・・ “私たち”は、所詮“一般人”なのだ。



「・・・・篁大尉、昇格おめでとう。
そしてXFJ計画完遂・・・本当にありがとう[●●●●●]。」

声を掛ける。

「・・・え?」

賛辞ではなく感謝されて戸惑う大尉。

「・・・貴女がユーコン基地で熟成させた“弐型”は“XM3”と融合して今、新たな地平へと至ったのよ。
いずれ主力戦術機候補から本採用されれば、今後数多くの衛士がそれに搭乗することになる。
・・・それは、私にとっても大切な教え子たちが生き延びる可能性を上げてくれる“希望”そのものなの。

全ては貴女の、貴女自身の努力と苦労の賜物。皆の賛辞や賞賛はその努力に対する正当な評価だわ。
・・・それとも貴方は自分の努力[●●]までも否定するの?」

「・・・・いえ、それは・・・。」

「ならば賛辞も賞賛も、そして感謝も受け止め、それを誇りなさい。
勲功を誇り、後進にその道を示す。それも上位者としての使命なのよ。」

微笑み掛けると、漸くその顔に笑みが浮かぶ。

「・・・はい!」

何かを噛み締めるように、篁大尉は頷いてくれた。


彼方クンが私に小さく舌先を噛んで見せ、Thanksと声を出さずに動かしたのが判った。



「流石まりもね・・・。若いのを諭すのが上手いわ。」

夕呼の落としたつぶやきに、即座にアイコンタクトする。

<・・・なによ。年寄りって言いたいの?>

<・・・言わないわよ。同い年なんだから言うわけ無いでしょ。>


こっそり礼を言われた私に気付いて・・・拗ねただけらしい。
変なとこ子どもっぽいんだから。

夕呼はこういうフォロー、苦手だものね。
約束通り、今夜は譲ってくれるらしいし・・・♪。







「・・・で、帝都城ってことはEvolution4もぶっちゃけたの?」

「ああ。これ以上隠しておく意味が無い。
機動としてXFJ Evolution4+“XM3”で目指した目標は、早々に武が実現し、ついでに公開こそ出来ないが対人戦の実戦証明までしちゃってくれたからな。
“Evolution4”本気の機動ってことで、武のアヴェンジャー12騎2:45全機撃墜、も帝都城で見せた。
・・・全員呆れてたぞ。」

「あはは・・。それはオレの機動だけじゃないと思う。」

武クンは苦笑い。
それはそうだ。アレは天元突破な機体性能と、それを支える破格の技術があってこその機動なのだ。


「これで・・・残っているのは、新潟での対BETA実戦証明。
それさえ済めば、第5計画が事態の収拾に追われているうちに、各国へのG-コア提供をエサに、“喀什への道[LOAD TO Hv1]”を繋げる。」

「・・・。」


何時だってブレない、その目的。
敵は飽く迄も“喀什”に在る。
それは今、オルタネィティヴ4の存在意義そのもの。



「・・・あら、それじゃXFJはEvolution4も、もう完遂ってこと?」

「G-コアの作成は、どんなに急いでも1週間で、3基が限界。
オリジナルハイヴ侵攻に必要な目処としている2個中隊分が揃うのは、12月中旬。
基本はそれらの調整と小変更だが・・・、さっき悠陽から篁の武御雷改造の許可を貰ってきた。」

「!!、もしかして武御雷にG-コアを?」

「この後試製XFJ-01が正式に出てくると、機動に於いて武御雷A型位は軽く凌駕するからな。去年量産機が出始めた武御雷だから、機体の更新計画も改造計画もまだ全く無い斯衛だが、このままって訳にはいかないだろう。」

「・・・ある意味適任ね・・・アンタ達しか出来ないわ、それは。」

「将来的にも帝国に渡すG-コアの配分を考えれば、斯衛にも運用機体が必要だからEvolution4の範疇として実施する事を依頼された。
因みに明日届くType-Rが2機目の改造素体だそうだ。」

「・・・え、やっぱり来るの? 紫・・・。」

「・・・ああ。悠陽用の予備機体らしいが・・・。
ついでに弐型でのラプター戦勝利に狂喜乱舞したメーカーが、先行量産機体も2機、追加で都合をつけてくれた。
G-コアが機体分揃うのは後々だが、これで207Bの機体は、全て試製XFJ-01相当から始められる。」

「・・・・ある意味スゲェ贅沢じゃん、あいつら・・・。」

「どうせ武は彼女達とオリジナルハイヴ、潜る気なんだろう?」

「・・・・・ああ。」

「え?! そんなっ! 本気なのっ!?」


だって総合戦技演習を終えたとは言え、任官すらしていないのよ?


「大丈夫です、まりもちゃん・・・。あいつらは、絶対死なせません。」


閑かに言い切る白銀クン。


「・・・その為の装備だしな。
オリジナルハイヴ潜行機体は補給の難易度から言ってG-コアの載るXFJ Evolution4以外の選択肢は無いし、今の時点で態々吹雪与えるのも全くの無意味。少しでも長く慣熟させた方が良い。」

「・・・本気、・・なのね?」

「はい・・・。必ずあ号を倒し、全員生還してみせます。」

「・・・解ったわ。」

「・・・心配するな。どうせA-00も行くんだから。武の手が回らなければ、まりもが護ればいい。」

「・・・そうだったわね。」

「・・・・甘いわねぇ、アンタ達。
まあ、そこは任せてるからいいけど。
・・・どうせ殿下のことだから、彼方も斯衛では臨時とっぱらって大佐に固定しちゃったんでしょ?」

「・・・ああ。」

「じゃ、こっちももう面倒くさいから、そのまま技術大佐でいいわ。
ユーコンとも暫く連携が必要みたいだし・・・。
そうなるとA-00はそのまま白銀が隊長で、まりもが副隊長ね。
207Bは解隊式を待たず、A-00に仮配属とする。・・・さしずめまりもの下かしら。」

「・・・・そうね。・・・そう言ってイキナリ彼女達に弐型を渡す、言い訳用の環境を作る夕呼も随分と甘いけど?」

「・・・いいのよ。・・・・・・・最近まりもが手ごわくなって、やり辛いったらないわ。」

サッと照れ隠しをする夕呼を見て笑う。
そりゃあそうでしょ。・・・だって、ねぇ?
相手はこの“腹黒猫かぶり”なのだから。


「・・・で、彼方は技術顧問で、篁がその補佐。
彼方が構築、白銀が実証、社が全体の補佐・・・・でいいわね。」

「「Yes,Ma’am」」







「・・・・それで、話変わるけど、あのソ連娘達はなんなの?」

「ああ、ΠЗ計画っていうソ連の極秘計画で使われていた第3計画の遺児。」

「 !! 」

「武は知っているかな、“紅の姉妹”。」

「・・・ああ。」

「この前のユーコンテロで、単騎でBETA1,500体殲滅っていうレコード打ち立てた。
・・・・レッドシフトを阻止できたのは彼女らのおかげさ。」

「そんな娘達が?」

第5世代[ビャーチェノワ]と、第6世代[シェスチナ]姓を持つ娘達ね・・・。
全部接収って言ったのに、隠してたわけね、あのバカ共は。」

「まだいそうだが、手の届く範囲に居なければ、スルーするしか無いだろう。ソ連となんか喧嘩してる暇もない。
何しろ薬物と後催眠暗示でメタ感覚野を強制的に覚醒させられた状態。
しかもユーコンテロ時無理が祟った反動の所為で、今人格領域がヤバい。」

「ですが・・・純夏さんと同じ自己精神領域からの再構築が出来ます。もう始めています。」


引き継ぐように主張した社少尉、白銀クンが頭を撫でている。


「なるほどね。謂わば社の姉妹みたいなものね。
しかも此処じゃなければ治せないから連れてきた訳ね。
社も鑑も外になんか出すわけにはいかないわ。」

「あと、シェスチナは、どうもプレコグニッションの弱発現者でもあるらしい。
向こうは戦闘時特化と見ているらしいから気付かれる前に確保してきた。」

「!! 予知能力、か。
・・・いいわね、興味そそられるわ・・・。
無意識領域への接続? 寧ろ“根源”かしら・・・。」


何を言っているのか判らないが、舌舐りしそうな夕呼の貌。
そんなだから魔女なんて呼ばれるのよ!


「・・・取り合えす、A-00部隊に編入とし、内情を知る篁の下に着けた。
篁も治ったら最終的にユーコンに戻す気で居るが、人格領域治癒したら弐型にのせてみようと考えている。」

「え?」

「本人たちも強くなることを望んでいる。
武のZONEとはちょっと違うアプローチだけど、 “メタ感覚野”の覚醒もそれはそれでアリかな、と。
人格が強固になって、“覚醒”が自分の意志で出来るようになったら、かなりの腕に成る。
武の経歴は極秘だから表の功績は無い。
彼女たちはその表のトップレベルだからな。
A-01なんか表のトップレベルとやらせてやると、喜ぶのが居るだろ。」


思い浮かぶ顔が多すぎて頭痛がする。


「・・・得難い戦力が得られるなら、それもいいわ。
・・・・そういえばアンタXFJ継続委託ってカタチで弐型置いて来たのよね?」

「弐型とACTVでF-22EMDに完勝した“ラプタークラッシャーズ”だからな。
プロミネンス計画に置いておけば世界に対してXM3と弐型の丁度良い情報ソースになってくれるだろう。
全部引き上げれば世界中の目がコチラに向くことになるし、いまのところEvolution4から目を逸らしたい。」

「・・・なるほどね。で、本人達に囮に成っている自覚はあるの?」

「あるよ。主席衛士は米軍出向の元ラプター乗り。衛士として優秀、操縦だけじゃなく総合的に。
こちらの意図には、話さずとも気付いた。
それなのに、武並の朴念仁なのがたまにギズ、かな。
副席には、直接聞いた。
アジア連合グルカの元気娘。
・・・任せろってさ。」

「主席って・・・・ユウヤだろ? 米軍在籍で弐型駆って“ラプタークラッシャー”って・・・・不味くないのか? 原隊はおカンムリだろ?」

「・・・確かに先刻帝都城でも国連軍に転属させて横浜に引っ張れないかって話も出た。
欧州や、中華も食指動かしているかもな。
けど考えてみな。
ラプター搭乗経験も在りながら、それを墜とす機動も知っている稀有な存在。
けれどそれは当事者の米国も同じだぜ?
自国のドクトリンを崩壊させるほどの腕、それを遺恨だけで放逐するようなバカばっかりの組織なら余程与し易いけどな。
台頭していた第5計画派は今回の件でかなり失墜したはずだ。
良識派が出てくれば、そんなに甘くはないだろう。

ラプターを墜とされたからこそ、その機動を米軍人で唯一理解しているブリッジスは、早急に新たな思想を構築しなければならない米軍にとって、今一番必要な存在になっている筈だぜ。」

「・・・そういえば米国でも現場サイドでは、どっちかって言えば嫌われてたな、ラプターは・・。」

「ラプターなんて乗れる衛士はほんの一握り。
それも腕や機動でナンボという範疇じゃなかったからな。
ステルス性とアビオニクスで本来対BETA兵器として生まれた戦術機を対人特化してしまった存在。
しかも、その大元は自分たち衛士の対BETA戦術戦を無用のものとするG弾運用論。
・・・現場の一般衛士が好感情を持っている訳はないな。
今回のドクトリン崩壊は、ある意味戦術機戦略の復権だから、現場の衛士は寧ろ喜んでいるんじゃないか。」

「・・・・それをXFJ継続委託ってカタチで早期に引っ張られるのを縛ったわけね・・・。悪辣だわ。」

夕呼はイイ笑顔で笑っている。

「・・・別に本人にも米軍にも損になる話じゃない。
XFJ完遂でプロミネンスから全部引き上げれば、ブリッジスは恐らく直ぐにラングレー辺りの開発部隊が引き上げた。
流石にハルトウィックも原隊復帰を理由なく止めるコトは出来ないだろう。
・・・尤ももしかしたら転属先はフェニックス計画か、その次の計画かもしれないが。

けど弐型が置いてあれば、米軍としてもそのデータ取りに慰留させる。横浜とつながっていれば、更なる進化も在るかも知れない、とも匂わせてきた。
弐型はブリッジスと違い基本基地外には持ち出せないし、XM3正規版では個人認証も可能だから、アルゴス小隊員以外戦闘機動が出来ないようにしてある。
だったら今のままフェニックス計画麾下に置いておくほうがいい、と上層部も判断するだろう。」

「留めとく必要が在るわけ?」

「一応一通り仕込んだからな・・・。機体や装備、その内容は機密条項で縛れても、本人の技能や感覚は自由。
衛士の求める感覚が明確であれば、それを再現するのはそんなに難しくはない。
あまり早く米国軍にまで拡散されるとさすがに遣り難い。

尤も・・・何れにしろ年内で、状況を激変させるわけだから、そこまで保てばいい、ってこと。」

「・・・なるほどね。じゃ、当面はこのまま行きましょ。」


「そういえば、XG-70はシッピングしたとハイネマンが言っていたがどうなった?」

「ああ、あれね。明日到着予定よ。XG-70bと、XG-70dのパーツ、及び関連技術者が12名。
あと、稼働用のG-11[グレイ・イレブン]が100kg。
・・・これが問題ね。誠意は認めるけど絶対的な不足。
試算すると、XG-70bの戦闘機動1回当たり500~600kg位消費しそうなのよ。」

「G元素の獲得量ってどの位なの?」

「・・・彼方詳細知ってる? どうせハッキングしたんでしょ?」


「・・・カナダ領内に撃墜し、米軍が独占したプレ反応炉から接収されたG元素の総量は約2t。
殆どがG-9[グレイ・ナイン]で、総量の約8%:160kgがG-11[グレイ・イレブン]
その他はプレ反応炉中では確認されたが、何れも1g以下で、取り出すと勝手に崩壊して消失。
あとG-6[グレイ・シックス]がこれは-10kgほど回収されたらしいが、輸送中の事故で散逸、地球重力に反発して宇宙の彼方にとんでいったらしい。」

「・・・・肝心のG-11[グレイ・イレブン]は160kgか・・・。」

「それも殆どその後のML機関研究やG弾の開発、それにHi-MARF計画でも消費したから、今は研究用に数kgが残っているだけだな。

なので実質的に今人類が手中にしているG元素は、横浜ハイヴ制圧時の量しかない。
横浜ハイヴに備蓄されていた総量は20t。内G-11[グレイ・イレブン]が8%で1600kg。
因みに反応炉は破壊していないから、内部にある筈のG-6[グレイ・シックス]は確保出来ていない。
使い道も解らないから、研究用としてしか捉えていないので今は必要ない。
当然反応炉もG-11[グレイ・イレブン]を素粒子変換する機構はG-9[グレイ・ナイン]製なので、内部中枢はG-9[グレイ・ナイン]が相当量存在すると思われるが、内部のG-11[グレイ・イレブン]そのものは微々たる量だろう、此処には、エネルギーを消費するBETAが居ないからな。
で、横浜ハイヴで確保されたG元素は、米軍と国連で折半し、国連分を更に第4計画と第5計画で半分ずつ、・・・これでいいのかな?」

「・・・そうね。G-11[グレイ・イレブン]に絞れば、オルタネイティヴ4の手元にはG-11[グレイ・イレブン]は、約400kg弱の備蓄があるわ。」

「・・・尚、米軍に渡った800kgは、当初その300kgがHi-MARF計画に回されたが、その後残りの殆どがG弾の開発と作成に消費されている。
横浜で使われた規模で1発当たり約10kgくらい使うらしい。
第5計画派分400kgも同じ。併せても開発で幾分消費している。

・・・・現有のG弾は・・・秘匿分も含め凡そ80発。

今回のXG-70接収で渡された100kgは、Hi-MARF凍結時に再起のための保険として確保されていた量。
当然ボーニングが管理していたが、それを今回ほぼ全量さし出してきた。
勿論第5計画派も狙っていたから確保できただけ重畳、だろう。
一応ボーニングとしてこっち[●●●]」の方が旨みがある、との判断が在ったと見るべき。
恭順を示した魔女への貢物さ。」

「・・・解ってるケド、今の量は心許ないわね。
今後戦術機のG-コアでも使うから、備蓄が欲しいわ。彼方凄乃皇の低燃費化は出来ない?」

「ザッと構成見てからな。
まあ、予想で言えば、出来なくはないが時間がかかる、と言うトコロかな。
ラザフォード場の制御が甘い弐型は論外。ラザフォード場の高度運用が尤も消費を助長する。
弐型からは荷電粒子砲だけ抜いて、携行武器化、残りは必要部品を四型に移植して四型の完成を急いだほうがいい。」

「そう・・・。ならやっぱり、オリジナルハイヴ攻略してG元素確保するまでの運用分を確保するのが肝要ね。
・・・・A-12を元に引き出せるか、ね。」

「・・・夕呼なんか黒いこと考えていない?」

「第5計画派には、襲撃の対価をG弾頭で支払ってもらうだけよ。」

「!! 無理に決まってるじゃないっ!!」

「それが、そうでもないわ。
先刻彼方は80発と言ったけど、米軍が所持している公称は50発なのよ。
残りは実は第5計画が独自に持っている隠し玉。
勿論第5計画派と言われる一部高官には公然の秘密だけど、国際的には知られちゃいけない極秘情報。

元々米国軍所有のG弾は、第5計画による使用は認められているけど、計画は作戦を指示するだけで、勿論G弾の所有権は無い。
だからG弾の譲渡など本来米国が国として認められるわけがない。
国家防衛に直接関わるものだもの、当然よね。
国家首脳にとっては、迎撃すらできない戦略ミサイルは悪夢でしか無いわ。

けれど第5計画派が秘密裏に持っているG弾は違う。
しかも国際社会的に表沙汰になってはいけないシロモノ。
・・・上手く炙り出せば、向こうから熨斗付けて貰えるわ。」

「G弾なんてなにするのよ?」

「欲しいのはG弾ではなく、中身のG-11[グレイ・イレブン] 10kg分。
今までの鹵獲分を全部そんな無駄に使っちゃってそこにしか無いなら、それを戴くしかない。
イキナリ此処にG弾を撃ち込まれる様なリスク回避もできるしね。
取り敢えず30発、300kgあれば、喀什迄は余裕になるわ。」


・・・横浜の魔女の笑みは黒かった。


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