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No.35536の一覧
[0] 【チラ裏より】Muv-Luv Alternative Change The World[maeve](2016/05/06 12:09)
[1] §01 2001,10,22(Mon) 08:00 白銀家武自室[maeve](2012/10/20 17:45)
[2] §02 2001,10,22(Mon) 08:35 白銀家武自室 考察 3周目[maeve](2013/05/15 19:59)
[3] §03 2001,10,22(Mon) 13:00 白銀家武自室 考察 BETA世界[maeve](2012/10/20 17:46)
[4] §04 2001,10,22(Mon) 20:00 横浜基地面会室 接触[maeve](2012/12/12 17:12)
[5] §05 2001,10,22(Mon) 21:00 B19夕呼執務室 交渉[maeve](2012/12/06 20:40)
[6] §06 2001,10,22(Mon) 21:30 B19夕呼執務室 対価[maeve](2012/10/20 17:47)
[7] §07 2001,10,22(Mon) 22:00 B19夕呼執務室 考察 鑑純夏[maeve](2012/10/20 17:47)
[8] §08 2001,10,22(Mon) 22:30 B19夕呼執務室 考察 分岐世界[maeve](2012/10/20 17:47)
[9] §09 2001,10,22(Mon) 23:00 B19シリンダールーム[maeve](2012/10/20 17:48)
[10] §10 2001,10,23(Tue) 08:00 B19夕呼執務室[maeve](2012/12/06 21:12)
[11] §11 2001,10,23(Tue) 09:15 シミュレータルーム 考察 BETA戦[maeve](2013/01/19 17:36)
[12] §12 2001,10,23(Tue) 10:00 シミュレータルーム 考察 ハイヴ戦[maeve](2015/02/08 11:03)
[13] §13 2001,10,23(Tue) 11:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:23)
[14] §14 2001,10,23(Tue) 12:20 PX それぞれの再会[maeve](2012/12/16 23:01)
[15] §15 2001,10,23(Tue) 13:00 教室[maeve](2012/12/06 00:01)
[16] §16 2001,10,23(Tue) 13:50 ブリーフィングルーム[maeve](2013/05/15 20:03)
[17] §17 2001,10,23(Tue) 18:30 シミュレータルーム[maeve](2015/03/06 21:04)
[18] §18 2001,10,23(Tue) 22:00 B15白銀武個室[maeve](2015/06/19 19:23)
[19] §19 2001,10,23(Tue) 23:10 B19夕呼執務室 考察 因果特異体[maeve](2012/10/20 17:51)
[20] §20 2001,10,24(Wed) 09:00 B05医療センター Op.Milkyway[maeve](2015/02/08 11:06)
[21] §21 2001,10,24(Wed) 10:00 シミュレータルーム 考察 XM3[maeve](2012/12/06 21:17)
[22] §22 2001,10,24(Wed) 13:00 横浜某所 遺産[maeve](2012/11/10 07:00)
[23] §23 2001,10,24(Wed) 21:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:30)
[24] §24 2001,10,24(Wed) 22:00 B19シリンダールーム 暴露(改稿)[maeve](2013/04/04 22:05)
[25] §25 2001,10,24(Wed) 23:00 B19シリンダールーム 覚醒[maeve](2013/04/08 22:10)
[26] §26 2001,10,25(Thu) 10:00 帝都城 悠陽執務室[maeve](2016/05/06 11:58)
[27] §27 2001,10,26(Fri) 22:00 B19夕呼執務室[maeve](2016/05/06 12:35)
[28] §28 2001,10,27(Sat) 09:45 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:22)
[29] §29 2001,10,27(Sat) 11:00 帝都浜離宮茶室[maeve](2015/02/08 10:15)
[30] §30 2001,10,27(Sat) 12:45 帝都浜離宮 回想(改稿)[maeve](2012/12/16 18:30)
[31] §31 2001,10,27(Sat) 14:00 帝都城第2演武場[maeve](2015/01/23 23:26)
[32] §32 2001,10,27(Sat) 15:00 帝都城第2演武場管制棟[maeve](2016/05/06 11:59)
[33] §33 2001,10,27(Sat) 16:00 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:31)
[34] §34 2001,10,28(Sun) 10:00 帝都城第2演武場講堂 初期教導[maeve](2016/05/06 12:00)
[36] §35 2001,10,28(Sun) 13:00 帝都城来賓室[maeve](2016/05/06 12:00)
[37] §36 2001,10,28(Sun) 国連横浜基地[maeve](2012/11/08 22:20)
[38] §37 2001,10,29(Mon) 15:00  B19シリンダールーム 復活[maeve](2013/04/04 22:18)
[39] §38 2001,10,30(Tue) 10:00  A-00部隊執務室 唯依出向[maeve](2016/05/06 12:01)
[40] §39 2001,10,30(Tue) 11:00  B19夕呼執務室 考察 G元素(1)[maeve](2015/03/06 21:07)
[41] §40 2001,10,30(Tue) 15:00  A-00部隊執務室[maeve](2015/02/03 20:59)
[42] §41 2001,10,31(Wed) 10:00 シミュレータルーム[maeve](2016/05/06 12:03)
[43] §42 2001,10,31(Wed) 06:00 アラスカ州ユーコン川[maeve](2016/05/06 12:03)
[44] §43 2001,10,31(Wed) 10:00 司令部ビル 来賓応接室[maeve](2016/06/03 19:20)
[45] §44 2001,10,31(Wed) 12:00 ソ連軍統治区画内 機密研究エリア[maeve](2016/05/06 12:05)
[46] §45 2001,11,01(Thu) 13:00 アルゴス試験小隊専用野外格納庫 考察 戦術機[maeve](2016/05/06 12:06)
[47] §46 2001,11,02(Fri) 12:00 テストサイト18第2演習区画 E-102演習場[maeve](2016/05/06 11:50)
[48] §47 2001,11,02(Fri) 12:15 司令部棟 B05 相互評価演習専用指揮所[maeve](2016/05/06 12:06)
[49] §48 2001,11,03(Sat) 05:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/02/03 21:01)
[50] §49 2001,11,03(Sat) 09:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/01/04 19:23)
[51] §50 2001,11,02(Fri) 20:00 ユーコン基地[maeve](2016/05/06 12:07)
[52] §51 2001,11,03(Sat) 点景[maeve](2016/05/06 12:08)
[53] §52 2001,11,04(Sun) 07:30  A-00部隊執務室[maeve](2016/05/06 12:08)
[55] §53 2001,11,04(Sun) 20:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/06/19 19:45)
[56] §54 2001,11,05(Mon) 09:00 ブリーフィングルーム[maeve](2015/01/24 18:43)
[57] §55 2001,11,06(Tue) 10:00 帝都城第2連隊戦術機ハンガー[maeve](2015/06/05 13:06)
[58] §56 2001,11,07(Wed) 10:00 横浜基地70番ハンガー[maeve](2015/03/06 20:56)
[59] §57 2001,11,08(Thu) 14:00 帝都浜離宮来賓室[maeve](2015/09/05 17:29)
[60] §58 2001,11,08(Thu) 15:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(1)[maeve](2013/04/16 21:00)
[61] §59 2001,11,08(Thu) 15:30 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(2)[maeve](2015/01/04 19:04)
[62] §60 2001,11,08(Thu) 16:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(3)[maeve](2015/02/03 21:19)
[63] §61 2001,11,09(Fri) 11:05 新潟空港跡地付近[maeve](2015/10/07 16:50)
[64] §62 2001,11,10(Sat) 23:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/03/06 21:15)
[65] §63 2001,11,11(Sun) 05:50 燕市スポーツ施設体育センター跡[maeve](2015/06/19 19:48)
[66] §64 2001,11,11(Sun) 06:52 旧海辺の森跡付近[maeve](2016/06/03 19:25)
[67] §65 2001,11,11(Sun) 07:15 旧燕市公民館跡付近[maeve](2016/05/06 11:55)
[68] §66 2001,11,11(Sun) 07:24 連合艦隊第2艦隊旗艦“信濃”[maeve](2016/05/06 11:56)
[69] §67 2001,11,11(Sun) 07:44 旧新潟亀田IC付近[maeve](2015/09/11 17:22)
[70] §68 2001,11,11(Sun) 08:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 09:53)
[71] §69 2001,11,11(Sun) 08:15 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 10:00)
[72] §70 2001,11,11(Sun) 08:20 旧北陸自動車道新潟西IC付近[maeve](2014/12/29 20:34)
[73] §71 2001,11,11(Sun) 08:25 帝都上空[maeve](2015/08/21 18:44)
[74] §72 2001,11,11(Sun) 10:30 三条市荒沢R289沿い[maeve](2015/02/04 22:07)
[75] §73 2001.11.12(Mon) 09:30 PX[maeve](2015/09/05 17:34)
[76] §74 2001.11.13(Tue) 09:00 帝都港区赤坂 九條本家[maeve](2015/04/11 23:27)
[77] §75 2001,11,13(Tue) 10:30 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2015/12/26 14:19)
[78] §76 2001,11,13(Tue) 19:50 B19フロア 夕呼執務室 考察G元素(2)[maeve](2016/05/06 12:19)
[79] §77 2001,11,14(Wed) 09:00 講堂[maeve](2016/05/06 12:25)
[80] §78 2001,11,15(Thu) 22:22 B15 通路[maeve](2016/05/06 12:31)
[81] §79 2001,11,15(Thu) 15:00(ユーコン標準時GMT-8) ユーコン基地滑走路[maeve](2015/10/07 16:54)
[82] §80 2001,11,16(Fri) 10:15(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/09/05 17:41)
[83] §81 2001,11,16(Fri) 10:55(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト18[maeve](2015/10/07 16:57)
[84] §82 2001,11,16(Fri) 16:30(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/05/31 10:24)
[85] §83 2001,11,16(Fri) 21:00(GMT-8) リルフォート歓楽街 “Da Bone”[maeve](2015/10/07 17:03)
[86] §84 2001,11,17(Sat) 17:00(GMT-8) イーダル小隊専用野外格納庫 衛士控室[maeve](2015/06/20 23:51)
[87] §85 2001,11,18(Sun) 17:20(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト37 幕間?[maeve](2015/05/31 20:15)
[88] §86 2001,11,18(Sun) 22:00(GMT-8) アルゴス試験小隊専用野外格納庫[maeve](2016/05/06 11:46)
[89] §87 2001,11,19(Mon) 13:00(GMT-8) ユーコン基地 居住区フードコート[maeve](2015/06/19 20:13)
[90] §88 2001,11,19(Mon) 18:12(GMT-8) ユーコン基地 演習区外米国緩衝エリア[maeve](2015/12/26 14:23)
[91] §89 2001,11,19(Mon) 18:50(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/12/26 14:25)
[92] §90 2001,11,19(Mon) 20:45(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/10/07 17:13)
[93] §91 2001,11,19(Mon) 21:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画[maeve](2015/10/07 17:15)
[94] §92 2001,11,20(Tue) 03:30(GMT-8) ソビエト連邦租借地 ヴュンディック湖付近[maeve](2015/08/28 20:32)
[95] §93 2001,11,21(Wed) 14:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画内 総合司令室[maeve](2015/10/07 17:20)
[96] §94 2001.11.22(Thu) 03:00(GMT-8) アラスカ州ランパート付近[maeve](2015/12/26 14:28)
[97] §95 2001.11.23(Fri) 18:00(GMT+9) 横浜基地 B20高度機密区画[maeve](2015/08/28 20:08)
[98] §96 2001.11.24(Sat) 15:00 横浜基地 B17 A-00部隊執務室[maeve](2016/06/03 19:39)
[99] §97 2001.11.25(Sun) 02:00(GMT-?) 某国某所[maeve](2015/12/26 14:33)
[100] §98 2001.11.25(Sun) 13:30 横浜基地 北格納庫管制制御室[maeve](2016/06/04 14:06)
[101] §99 2001.11.25(Sun) 18:00 横浜基地本館 メインバンケット モニタールーム[maeve](2015/10/31 14:40)
[102] §100 2001.11.26(Mon) 06:30 横浜基地本館 ゲスト棟[maeve](2016/05/06 11:44)
[103] §101 2001.11.26(Mon) 17:15 横浜基地 モニタールーム[maeve](2016/05/15 12:14)
[104] §102 2001.11.27(Tue) 06:00 国連横浜基地 第2グランド[maeve](2016/06/03 19:42)
[105] §103 2001.11.28(Wed) 09:00 国連横浜基地 XM3トライアル V-JIVES[maeve](2016/05/14 13:10)
[106] §104 2001.11.28(Wed) 17:00 国連横浜基地 米軍割当外部ハンガー ミーティングルーム[maeve](2016/06/04 06:10)
[107] §105 2001.11.28(Wed) 17:40 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2016/06/10 23:26)
[108] §106 2001.11.28(Wed) 18:00 国連横浜基地 Bゲート付近 〈Valkyrie-04〉コックピット[maeve](2019/03/26 22:16)
[109] §107 2001.11.28(Wed) 21:00 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2019/03/30 00:03)
[110] §108 2001.11.28(Wed) 21:00(GMT-5) ニューヨーク レストラン “Par Se”[maeve](2019/06/30 17:55)
[112] §109 2001.11.29(Thu) 09:00(GMT-5) ニューヨーク国連本部 安保緊急理事会[maeve](2019/05/05 21:16)
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[35536] §47 2001,11,02(Fri) 12:15 司令部棟 B05 相互評価演習専用指揮所
Name: maeve◆e33a0264 ID:53eb0cc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2016/05/06 12:06
'12,12,04 upload  ※所謂一つの予想通り;
'12,12,09 誤字修正
'15,01,30 大幅改稿
'15,03,06 誤記訂正
'16,05,06 タイトル修正



Side 唯依


モニターの中でXFJ Evolution4に襲いかかる2騎。
浴びせられる銃弾。

“実弾!?”とのユウヤの叫びに、一瞬、XFJ Evolution4が大量に被弾する映像が脳裏を掠める。
ザァと音を立てる様に、血の気が引く。
血塗れの御子神大佐のイメージ・・・喪うことへの恐怖。
私が為す術なく、見送った数多の過去、そのフラッシュバック。

通信や指揮所内に悲鳴と怒号が飛び交う中、私も細い悲鳴が口を突きそうになった。


だが、次の瞬間、銃弾に蹂躙されるその姿は既に其処になく、“落下”するXFJ Evolution4。
いや・・・落下より速い!
XFE512-FHI-1500の特徴的な蒼いバーナー炎が迸る、パワーダイヴっ!!


襲撃者の機銃が其れを追うが、銃弾は後方のダミービル群を削り取るばかり。

やはり――――実弾!!


見る間に地面に達しようとするXFJ Evolution4は、銃弾を振り切りビル間に消えた。


CPの激烈な停止命令を無視して、2騎のF-22EMDが其れを追う。


『『『大佐っ!』』』

『・・・・・・生きてるよ、心配すんな。』


相変わらず緊張すら感じさせない飄々とした口調。
超低空を匍匐飛行するXFJ Evolution4をカメラが捉えるが、あっという間にフレームアウト。
銃撃がその後を追う。
隣でタリサが座り込み、私も安堵に膝の力が抜けそうになった。


『・・・予想はしたが、ここ[●●]まで裏切らないとはな。
・・・今更俺を屠ったところで、既にドクトリン崩壊は止めようもないってのに。』


確かにある程度予期された襲撃。
故に大佐はあの位置に滞空した。
人体の反応的にも、跳ね上がる突撃砲の反動からも、下方[●●]に逃げる標的を追尾することが一番難しい。
咄嗟の場合の逃げ道確保。
そして更に上空に居ることで、流れ弾や巻き添えによる僚機の被弾もない。


「! 大佐!!ご無事でっ!」


部隊指令用インカムで叫ぶ。


『・・・ああ、今のところは、な。』


そう言いながらも画面はXFJ Evolution4を追尾し、36mmや、120mmまでバラ撒く2騎のF-22EMD。
何度怒号のような停止命令を出そうが、返答もない。


『・・・・流石に4騎はキツイかもな。
こっちは丸腰[●●]だ。』

「 !! 」


そうだ。ブルーフラッグに際し、実弾装備は許されていない。
長刀や短刀まで模擬刀だ。
そして、少し離れた所で撃墜されていた2騎も、高速で接近居ることに気付き戦慄する。

接触まで・・・20秒っ!


『『『大佐っ!』』』


ユウヤ達もそれに気がつく。


『・・・こっちには来るな』

「え?・・・・」

『しかし大佐っ!!』


悲鳴のようなステラの声。


『・・・・奴らの狙いは俺だけ。
通信に返事が無いところを見ると、秘匿回線でも使ったタチの悪い後催眠だろう。』

「!」


見れば側方ではで既にハルトウィック大佐が回線探査の陣頭指揮をしている。


『突撃砲所持のF-22EMD相手に丸腰じゃ、1on1は無理。
・・・・3騎で1騎を抑えられるか? ・・・・尤も相手は実弾装備、こっちは丸腰、・・・辞退してもいいぞ』

『! やります、やらせてください!』

『もちろん、やらせて貰いまずぜ!』

『やらない選択肢はありません。』


異口同音に応えるメンバー。


『・・・OK、アルゴスメンバーはインフィニティーズ1を足止め、可能なら制圧し突撃砲を奪え!』

『『『Yes,Sir』』』


スクリーン上の3騎が散る。


その時、指揮所には異様な音声が流れる。
抑揚のない低音で、マントラの様な言葉が延々と紡がれる。


・・・・・・・・・・・・・・・・・[祇園精舎の鐘の聲、諸行無常の響あり]
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・[沙羅雙樹の花の色、盛者必衰の 理をあらはす]
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・[驕れる人も久しからず、ただ春の夜の夢の如し]
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・[猛き者もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ]


これは・・・・。


「・・・・秘匿回線D!! 後催眠キーと思われますっ!」

「止めろっ!! 発信源特定急げ!」


ハルトウィック大佐の指示が飛ぶ。



『・・・・・ご丁寧に暗示キーは平家物語と来たか・・・さて奢れる平家はこちらか、あちらか。』

「設備警備部隊! 実弾装備で制あ『止めとけ、おっさん。相手はステルス、アルゴス小隊みたいなステルス対策をしてないF-16じゃ、何機いてもキルレート通りの結果だ。漸く再編した部隊、こんなコトで潰すな。』・・・・し、しかし!」

『どうせ黒幕は解ってるだろ?
あの計画派は、磐石のつもりでインフィニティーズを送り込んだんだ。
計画に邪魔なモノの排除、XM3の独占的鹵獲、そしてプロミネンス計画そのものの潰滅。』

「 ! 」

『・・・それを尽く阻止され、あまつさえ矛盾を承知でゴリ押ししていた軍事ドクトリンまで根本からひっくり返された。
トカゲの尻尾切りは当然、そして切られる本人もそれは理解している。』

「・・・ではやはりアッカーマン少将が・・・・」

『・・・・・・ここまでの暴挙に出る確率は40%と読んだんだけどな、大外しだ。』


飛び交う銃弾をかい潜りながら、雑談でもする口調は呆れるしか無い。


〈Infinities-01〉は、アルゴス小隊が足止めた。
しかし〈Infinities-03〉は既に合流し、3騎掛かりで大佐を包囲殲滅しようとしている。
通信を停止し、後催眠暗示キーの詠唱そのものは止めたが、その支配されているだろう意識は戻っていない。

包囲が3騎に成ったことで、実際には御子神大佐の回避に余裕が無くなっている。
墜としたとは言え、相手は世界最新鋭機、近接格闘戦を避けた近距離銃撃戦では無類の強さを誇る。
それを3騎相手にし、攻撃手段も持たない以上、このままではジリ貧なのだ。


私は・・・何をしているっ!?
陰ながらの警護を勅命されたのでは無かったのかっ!?

拳をキツク握りしめて駆け出そうとしたその時。
私のしている部隊指示用のインカムに、秘匿通信が入った。


Sideout




Side ユウヤ


インフィニティーズ1の足止めを指示され、3騎もサーフェシング飛行で包囲するように迎撃体勢に移行する。


《ブリッジス、ジアコーザ、ブレーメル》


部隊間秘匿回線で名前を呼ばれる。


「は!」

《もうマルチスタティック・レーダー用の包囲戦闘機動はしなくていい。
相手位置はXSSTからデータリンクで送ってやる。
・・・尤も、今はそれも必要ないがな。》

「?」

《君らの視界に映す行動予測プログラム、CAP-RT(Combut Action Prediction RT)に、相手の射線予測を追加した。
連射の場合は射面となる。》

「! しかし大佐、CAP-RTの予測精度は約60%では?」

《衛士が自由意志で戦闘している場合の初期精度[●●●●]が60%だ。
相手が後催眠暗示で縛られれば、自由意志は殆ど無い状態となり、その予測確率は90%[●●●]に跳ね上がる。》

「 !! 」




昨夜、御子神大佐が示したF-22EMDのステルス対策は、2つだった。
演習開始前に明かされた3つ目の衛星軌道光学探索は反則技的オプション扱いで、当該の模擬戦では初めから使う気が無かったらしい。

その2つのうち1つが先刻のブルーフラッグ戦で使ったマルチスタティック・レーダーとパッシブ・レーダーの構築。
エレメントや小隊単位の戦闘が主となる戦術機戦では、一番汎用性が高いということだ。
その精度は実戦で実感したが、その場合可能な限り相手を包囲、という戦術機動上の制限がつくことに成る。
今回の演習では、流石にどのチームも遠距離誘導兵器が禁止と成っているため、お互い遠距離から撃ち合うオプションは無かったが、その場合マルチスタティック・レーダー索敵範囲を外されると、ステルスはやはり有効になる。
その為、攻撃時にも可能なかぎり相手の外側を位置取る必要があり、機動にいくばくかの制限が課されていた。

そして、そのマルチスタティック・レーダーの不感知範囲を埋める為補助的に付けたのが、もう一つ御子神大佐が示した、リアルタイム戦闘行動予測プログラム:CAP-RTだった。



もともとはXM3教導にて使用しているナビゲーションAI・まりもちゃんやアグレッサーAI・武クンの作成時に、神宮司大尉や白銀少佐の仮想人格を構築するために使ったプロファイリングソフトMAcPro-IIIを応用した物であると言う。
このMAcPro-IIIと言う名のプロファイリングソフトは、謂わばコンピュータの仮想空間に個人の人格モデルを構築する物であった。
この人格モデルは、何層かに分かれた心理モデルを重ね合わせた物であり、対象とする人物の普段の行動や会話だけからでも逐次最適化による更新を行い表層から深層に至るモデルを徐々に構築していくという。
この時表層ほど、逐次更新の頻度が高く、深層に行くに従って、その更新頻度が下がってくる。
最下層は殆ど人類の本能と呼べる概念が構成されているらしい。
勿論、流石にどれほどデータ入力をしようと、選択肢に無限のバリエーションが存在する普段の自由行動を全て予測するすることは不可能である。
しかし、この手の手法が犯罪プロファイリング等で使われるコトが知られるように、その行動や心理状態が限定的とも言える状況に於ける予測精度はかなり高いものになる。
ましてや、その行動が極めて限定される戦術機の操作、それによる戦闘行動の予測精度は、言うまでもない。
御子神大佐はインフィニティーズの過去の対戦映像、ブルーフラッグのみならず、テロ戦もネバダでの演習戦も公開されている分は、全てこの解析に掛けた。

それにより得られる戦闘時の行動予測的中率は約60%。
戦闘行動故、外れれば死に直結することもあり、当初は参考程度にしろ、と言われていた。
決して高いとは言えない数字であるが、相手がステルスで所在が知れない状況に於いては、多大な補助に成ることは間違いない。
しかも構築された人格モデルは、現在の周辺状況や僚機・敵機の動作・行動に対する反応を入力とし、リアルタイムに適応更新して、現状の精神状態に即した思考モデルに近づいてゆく。
何でも適応更新とは、コンピュータ内に存在する人格モデルに今の状況を入力したとき反応した行動と、現実の対象の行動を逐一比較し、その差分を持って表層心理モデルを即時更新していく構造を持つという。
更にその反応がある程度決まったパターンを示すときは、下層の意識モデルを更新することを常に行っている。
つまり接敵する時間が長ければ長いほど、その動作予測精度が上がっていくという反則じみた性能を有していた。

そうして敵機の行動予測を示すプログラムがCAP-RTだった。


このソフトの凄いところは、衛星データリンクやマルチスタティック・レーダーによる情報が、相手の位置しか表示しないのに対し、その位置からの移動行動予測を示していることである。

そして今のように相手が後催眠暗示支配を受けている状態では、状況把握や自由な発想がかなりの部分封じられ、その状態での予測確率は90%と言う、凶悪な数字に跳ね上がる。
その確率での接敵時射線表示。
勿論あまり早く躱すと、すぐさま追尾してくるから、そうそう簡単に懐に潜り込めるものではないのだが・・・。


この様にある意味“凶悪”なCAP-RTだが、ネックはその莫大な演算量。
その演算量は本来とても戦術機に載るものではなく、リアルタイム逐次更新ともなれば、本来大規模クラスタを駆使して動かすレベルのシステム。
なので現状、小隊単位以上の複数人に対応できる計算能力を有するのは現状御子神大佐のXFJと、“森羅”という横浜で開発しているシステムだけと言うことだった。

・・・正直その事にほっとする。
間違っても、この“XFJ”に騎乗する御子神大佐とは、決して闘らない。
この話を聞いたときの唯依を初め、ステラやVG、チョビの引き攣った表情が、同じことを考えている、と思った。
戦闘行動パターンを読み切られる。
一度新しい機動を考案すればその時は有効かも知れないが、その有効性は一度きり。
・・・そう云うことなのだ。

しかし今、アルゴス小隊にはその凶悪なシステムによりデータリンクで〈Infinities-01〉の予測行動が示されている。
しかも、自機や僚機が行動すれば、それを察知した行動変化までリアルタイムで変化するのだから、その予測を見ながら追い込むことや、誘い込むことなど、今の技量を持つアルゴス小隊の面々には何でもないことだった。


御子神大佐がユーコンに来て、対インフィニティーズ戦の為に構築したアビオニクスシステムは、既に対ステルス対策の範疇を超え、実はAH戦そのものの様相すら変えてしまいかねないほどの破壊力を有していた。



それでも、流石に相手は対人戦米軍最強と言われるインフィニティーズの部隊指揮官。
高機動のF-22EMD、実弾装備の突撃砲に対し、VGとステラは無手、オレは模擬長刀を木刀代わりに使っている。
網膜に示される相手の射面は常に厳しく、回避が精一杯でなかなか潜り込む隙がない。
CAP-RT予測システムの補助が無ければ、間違っても素手で敵対にできるような相手ではないのだ。

F-22A騎乗のアグレッサーAI・武クンとは何戦も遣った。
相手も近接格闘戦なら、昨夜から今朝まで慣熟した戦術機用格闘技:MACROTも有効である。
しかし機銃相手だと、相手は基本退く機動しかしない。
打撃系を使わず相手の力を使うMACROTが使いにくい動作なのである。


・・・成程。

それでも予測映像を見ながら気がついた。

いくらソフトで予測をしてもらっても、コチラが動かなければ、何も変わらない。
あるパターンの連携に於いて表れる、回避パターン。
予測の予測を自らの思考で見極める。


「・・・・・・いくぜ!」


網膜の中でアイコンタクト。
意図を察したVGが視界に示された射面を避ける。
その射線が外された空間に、ステラが躊躇なく接近する。

パターン通りに〈Infinities-01〉が側方噴射跳躍で逃れたるコトを予測していたオレは、その機動が修正出来ないタイミングを見計らってその退路に割り込み、足を掬う。
咄嗟に向けられる突撃砲を模擬刀の一閃で跳ね上げて射線を外し、左下肢の電磁伸縮炭素帯を捻りながら、離脱。
オレを追った射面を躱してビル間に逃げこむ。

回避行動から一転畳み込んだVGとステラにステップで回避しようとした〈Infinities-01〉は、下肢に張力が掛かった後、突然ガクンと左脚を折る。
電磁伸縮炭素帯の捻糸欠陥発生を狙った機動は、確かにその経験もなく、XM3の反射防衛もない戦術機相手なら、一発だった。


《GJ、ユウヤ!》


VGの賛辞、左下肢の機能を喪って沈みかけた〈Infinities-01〉、その突撃銃を持った右腕を確保したステラは、逃げようとするその行動のベクトルを利用して、取った腕をねじり上げ、まるで昆虫の脚をもぎるように、呆気無く肩関節を破壊した。


・・・・・・・なんか・・・シュールだ。

実行したステラさえ網膜投影の中で、微妙な顔をしていた。
無手で相手戦術機を破壊してしまうため、JIVESではなくシミュレーションでしか経験が無かったし、相手に成ったAI・武クンは基本XM3装備、こんなにアッサリ関節破壊など出来なかったのだ。
勿論F-22EMD実機で極めたのは初めてだ。

そしてバランスを崩し、左下肢の炭素帯を断裂して居るため、上手く機動できずよろめく〈Infinities-01〉、反射的に使った噴射跳躍の直前に、頭部センサーと、残った左腕をVGに極められたまま、後退噴射を掛けた。
自らの機動でその2箇所が破壊され、バランスを喪ったF-22EMDはその場にもんどうり打ってビルに突っ込む。
ステラが奪った突撃砲を点射、推進ユニットを破壊して止めを刺した。


既に自分の噴射跳躍による衝撃で気絶したのだろう、〈Infinities-01〉はピクリとも動かなかった。


『Excellent! 3対1でも素手でも、それどころかラプターを墜としたのは、君らが初だな。』

大佐の賞賛。

確かにラプター以外でラプターを墜とした機はないから、その通りなんだが、向こうは3対1だって言うのに、ちゃんと見ていたって言うのか?



《ユウヤ!》


ステラが持っていた突撃砲にまだ付いていたもぎった腕を引き剥がし、渡してくる。


《・・・いけっ!!》


VGの言葉にも背中を後押しされ、長駆跳躍飛行に飛び出した。


Sideout




Side 唯依


私が指揮所に戻ったとき、丁度ユウヤ達3人が〈Infinities-01〉を追い込んでいた。

流れるような連携で左下肢、右腕と機能を奪い、噴射後退の力をそのまま利用して頭部センサーと左腕を引きちぎる。

各国戦術機の上に君臨し、睥睨するように見下していたF-22EMDの撃墜にCPも大歓声を上げた。


見ているだけでは信じられないような機動で相手の射線を尽く躱し、三位一体の連携で実弾装備のF-22EMDを倒した。
攻撃の始まる前に避ける様なその機動は、能力開放した“紅の姉妹”を見ているかのようだ。
違うのは、それがデータリンクによって齎された敵の“行動予測”に基づくものであり、“紅の姉妹”の様な非人道的な処理をしなくても何人でもその恩恵にあずかれる、と言うことだ。
現にアルゴス試験小隊は、3騎連携によって実弾装備のF-22EMD、しかも指揮機〈Infinities-01〉を無手で封じ込めたのだ。
・・・腕や頭をもぎるのは、どうかとも思うが、他に攻撃手段が無く、衛士を殺すこと無く相手の攻撃を封じるには、最適な手法、と言えるのが御子神大佐らしくもエゲツナイ。

どうせこう言うこともあろうかと、CCCA(Concept of Cross range Combat Action)、そしてMACROT(Martial Arts in Cross Range Of Tsf)をアルゴス試験小隊に教え込んだに違いないのだから。


そして、この映像は、此処には居ないサンダーク大尉も当然見ているはずである。
あの白い顔が引き攣っているのが見える様だ。

御子神大佐に少しだけ、聞いた。
第4計画の前に行われていた対BETA諜報計画、オルタネイティブ3。
その落とし子とも言うべき人工的に遺伝子を操作され生まれてきた子供たち。
既にその殆どがBETA諜報で命を落としたが、まだ少数、生きている者がいる。
ビャーチェノワ少尉がその第5世代、シェスチナ少尉が第6世代に当たるという。
第3計画の目的は、BATA諜報に即したESP能力の発現。
シェスチナ少尉にはそのテレパシー能力の発現が存在し、薬と後催眠による増幅で戦域に於ける敵機攻撃意図を察する、と言うことだった。
言われてみれば、“紅の姉妹”の最大プラーフカによる鬼神化中、意図した攻撃は尽く躱された。
当たったのは反射的な攻撃のみ、そして届いたのは正に無碍の境地に至り、思うこともなく繰り出したあの一刀だけだった。

Π3計画。喪われた国土を取り戻すその為に、踏み込んだ生命の尊厳さえ踏みにじるような計画。
だが、今の私にはそこまでするその意味も解ってしまう。人類という大多数の存亡に比して、個人の人権など無いに等しい世界。

だが、御子神大佐はサンダーク大尉が目指したその境地までも、発想とそれを可能とするシステム一つで実現してしまった事になる。





実は御子神大佐や、白銀少佐が実現したいのは、BETAの居ない世界では無いのかもしれない。
彼らは個人が国家や世界に蹂躙されること無く、幸せに生きるコトを主張出来る世界、そんな世界を実現したいのではないか?
その為に個人を蹂躙する国家や体勢にならざるを得ない根源であるところのBETAを駆逐したいだけではないのか。
ビャーチェノワ少尉とシェスチナ少尉を保護した御子神大佐に、ふと、そんなコトを考えてしまった。




画面の中ではユウヤがそのまま突撃砲を受け取り、大佐のところに向かう。
その頃には、しかしそちらもほぼ大勢は決していた。

寧ろユウヤ達無手3騎対〈Infinities-01〉がメインだったと言っても良い。

御子神大佐の無手1騎対インフィニティーズ3騎は、呆気無いと言うか、どうにも締まらない幕切れだった。





いきなり狙撃で撃墜され、殆ど推進剤も弾薬も消耗しないままブルーフラッグ戦を終えた〈Infinities-01〉と異なり、残る3機はブルーフラッグ戦でもかなりの消耗を強いられていた。
秘匿していた実弾は未使用とは言えその携行量は、ブルーフラッグ戦用のペイント弾携行もあり、限られていたのだろう。
具体的には5,000発程度しか携行していなかったと思われる。

そもそもブルーフラッグ戦はF-22EMDのステルス性と機動を以て完全勝利し、大佐機にだけ許された120mm実弾で事故を装い殺害するのが元の筋書き。
36mmの実弾など予備の予備に過ぎなかったろう。
万が一のその際も元々が奇襲であり、F-22EMDの性能を以てすれば、膠着する前に決する、そんな読みがあった筈だ。

それが、ブルーフラッグ戦でステルス性の看破により、いきなり劣勢に立たされたが故の無理な機動、殆ど全力機動に近い高負荷機動を10分以上強いられた挙句に各個撃墜された。
JIVES管理下にある裡は撃墜されれば動きも取れず、指揮機が墜とされた事で統制も取れない。
本来の目標である機体には、後方にいた為一射も出来ずに・・・。


そして今、追っても追っても捉えられない相手に、更なる全力高機動を続けたのだ。
特にF-22EMDのロケット推進剤搭載量では、もともと8分しか連続稼働ができない。

それをブルーフラッグ戦に於ける戦闘で半分は消耗した状態から後催眠暗示による攻撃指令を受けたのだ。
後催眠暗示状態では状況把握能力が低下している状況下、3騎を相手に御子神大佐は見ている方がハラハラするようなチェイスを繰り広げたが、それは、一方で相手の消耗を誘うギリギリの回避機動。
追っても追いつけない、撃っても当たらない、と判断すればいくら後催眠暗示下でも別の行動もしようが、追えば届きそうな、撃てば当たりそうな位置に居れば、ついつい深追いし、あらん限りの弾薬をばらまく。
後催眠暗示で狭窄した思考では、後先など考えられなかった。

故にその消耗は早く。
10分もすれば、ロケット推進剤の枯渇と共に追っ手の機動が精彩を欠く。
瞬時加速や方向転換に使用していた高推進剤が無い状態、航続飛行用のジェットエンジンだけでは、レスポンスが悪すぎた。
とても近接特化高機動型の“XFJ”、しかも明らかに判るような機動はしないが恐らくはリミッターさえ既に解除しているXFJ Evolution4の敵ではなかった。

そして連射しまくる突撃砲も同じ。
脚が止まったことで、回避に余裕ができ、それでも射撃を誘う大佐に、残弾数を考慮せず弾丸を吐き続ける突撃砲は、躱された背後の地上施設を破壊するばかりで、XFJ Evolution4には結局掠りもせず。

〈Infinities-01〉戦が決する20分後には、3騎を相手取り、36mm、120mm、全ての弾薬を使い切らせてしまった。




そして弾薬を使い切ったF-22EMD、3騎の前に、ユラリと姿を表したその様は、国連の白を基調とした塗装だと言うのに、確実に悪魔のようなドス黒い霊光さえ纏っていた。
隣のタリサまでが私の腕に縋ったのだから、XFJのいかつい顔がニタリと哄った様に見えたのは、私だけではあるまい。


それでもF-22EMD衛士の後催眠暗示に操られた状態は抜けず、インフィニティーズは使うことは無いとまで言われた折り畳み式の戦闘ナイフまで持ち出したが、それ以外イコールコンディションの近接格闘戦ではCCCAを極めMACROTを考案した御子神大佐に負ける要素など無く、これはもはや唯の弱い者いじめ、謂わば蹂躙戦である。


瞬く間に〈Infinities-02〉〈Infinities-03〉を沈める。

相手の機動を尽く紙一重で躱しつつ、力も入れたように見えないのに相手が勝手に投げられ、その度に手足が飛ぶ。
その素手で達磨を作るさまは、どっちが悪役かと聞きたくなるくらいに“凶悪”そのものだ。
最後に脚を喪って背から叩きつけられるF-22EMD。
衛士を殺すだけなら、もっと簡単な方法が在るのだろう。
後催眠暗示でないなら容赦などしないはず。
それでも後催眠暗示から覚醒せず、戦術機の手足を喪っても戦意を喪わないが故に、そこまで遣る。
強化装備の衛士が死ぬとは思わないが、その加速度に最後失神したのは確実だった。

F-22EMD3騎を相手にその機銃を躱し切る。
実際遣っていることは凄いのだが、逃げに徹して消耗を狙い、挙句蹂躙するヤリ方は鬼畜系で、一見卑怯にも見える。
一般衛士視点では、3人掛かりでも正面から制圧したユウヤ達の方が賞賛されるだろう。



「・・・なァ、唯依・・・・。」


タリサが何気に聞いてくる。


「あれって・・・・、BETAの殺り方[●●●] だよなァ・・・・。大佐、意図的にやってんのかな。」

「!・・・・」


・・・そうだ。
実はユウヤたちの戦いは、多数に押し切られる戦術機の様だし、御子神大佐の場合は、それが躱しているか物量かの差は在るが、高機動と絶え間ない連射を強いられ、推進剤も弾薬も消費が激しいBETA戦。
その上で、消耗後に飛び道具ではなく最後は肉弾戦で負ける。

あれはBETAに戦術機が遣られる負け方そのもの。
推進剤が切れ、弾薬が尽き、肉弾戦しか無くなったところで、四肢からもがれていく。

国から殆ど出ようとしない米兵や、絶望的なBETA戦の経験がない衛士には判らないかも知れないが、それではBETAに通用しない・・・そんな事を示唆しているような大佐の戦い方だった。



結局、〈Infinities-04〉だけ、駆けつけたユウヤに任せる。


ユウヤも呆れたように引き継ぎ、突撃砲のバーストで、両腕と頭を撃ち飛ばして昏倒させた。

・・・・・御子神大佐に感化されたのか、ユウヤも結構えげつない。

後催眠暗示下とは言え、記憶には残るのだろうか。
エイム少尉のトラウマにならなければいいが・・・。






そして・・・・。

案の定、指令所に充満する微妙な雰囲気。


・・・・・・敵対したらああ成るんだ・・・・。

CP含め、基地内でライブ映像を見ていた、全員の意識が一致した様に、感じた。


解らない者は、その卑怯なまでに容赦ない鬼畜さに。

そして解る者は、裏の裏まで読みつくすような神算鬼謀に。


逆らっちゃいけない・・・。

そんな刷り込みをされたかのような表情だった。






けれどこれで一連の騒乱が漸く収束した。

そう、御子神大佐からの秘匿回戦内容をハルトウィック大佐に伝えたことで、総合司令本部の最深部地下では銃撃戦に成ったが、それも直ぐに鎮圧された。


《この基地を丸ごと殲滅するとしたら、何をする?》


私に秘匿回戦で伝えられたのは、そんな言葉だった。
F-22EMDは任せて、その対処を、と指示された。

第5計画派が此処まで事を起こすのは、御子神大佐にとっても想定を少し外していたらしい。
切られそうな尻尾の破れかぶれとも取れるが、此処まで遣る以上は、きっと裏がある、という。


インフィニティーズの暴挙という“陽動”の裏でやるとすれば?


伝えたその言葉に、ハルトウィック大佐は驚いたような顔をして、暫し思案する。
そして基地警備に前回のテロ終息に伴い完全封鎖された筈のレッドシフトの制御室警戒を命じた。

既に封印はされたが、それはBETA侵攻に対し自動起爆しないようにされただけ。
元々人為的に起爆するには基地司令、プロミネンス計画総司令、ソビエト側利益代表者3人のキーが必要だったが、可及的速やかにレッドシフト自体を解体するということで、そのロックは既に外されていた。
故に信管除去や、本体そのものの撤去はされていない核爆弾。
現実にはまだ起爆出来る状態だという。

当然起爆すれば、この周辺の商業地域諸共、ユーコン基地は消滅する。
ユーラシアのBETA支配地域に対し、地獄の蓋を開ける行為に等しいのだが、確かに基地殲滅をする暴虐の一手だった。


元々第5計画派にプロミネンス計画消滅を命じられていたであろう基地司令は、御子神大佐を含め全ての対象及びその証拠の消滅を狙う起死回生の一手として、レッドシフト手動起爆に依るユーコン基地殲滅を図った。
何かとうるさいプロミネンス計画を国際的な擁護派閥諸共排除すると共に、アラスカというBETA侵攻地域の“蓋”を開けることで、米国内の危機感を扇情的に煽り、世論を操って第5計画に一気に持っていく、という意図があったと推測される。
第5計画派にとっても、実行力の乏しい国際世論よりも、国内の反対勢力が大きな関門なのである。
アラスカの蓋が開いても付近のカナダ領地内は既に汚染地域であり人は住んでいない為、大規模侵攻には核でもG弾でも使えばイイ。
予備計画を本計画に繰り上げできれば、G弾でハイヴを各個殲滅できる積もりでいるし、約1年間で移民船は完成すると言う目論見である。
プロミネンス計画が潰れ、阻止力は無いと思われている第4計画では、BETAに太刀打ち出来ない、とされてしまう。

故に狙った、まさかのレッドシフト強制起爆であり、その為インフィニティーズの無謀とも思える後催眠暗示襲撃で在ったのだ。
その意図はしかし早期に気付かれ、レッドシフト制御室前での銃撃戦の末、第5計画派の工作員は全て排除された。

核起爆を指示した本人は既に飛行機で逃走していたが・・・。






此処から先は、政治の話。
私もそこまで立ち入る気はなかった。


しかしコレだけの大失態、暴挙をしでかした第5計画派。

謳うドクトリンは潰滅し、F-22最強伝説も終止符を打たれた。
ブルーフラッグ戦終了後に於ける暴挙は、基地司令であったアッカーマン少将に全責任を被せるだろう。
逃げた航空機は九分九厘撃墜される。
最後の切札、ユーコン基地のレッドシフト強制起動まで阻止されてしまっては、個人のテロとして死んでもらわないと第5計画派としても甚だ都合が悪い。

それでもドクトリン再構築の突き上げと、BETA戦後を睨んだ戦略の練り直しが軍内部からも持ち上がる。
間違ったドクトリンに固執し続けた愚鈍な第5計画派の上層部は尽く排斥される事になる。


既に米国内第4計画派には、G弾による大海崩のシミュレーション予測、そして派閥を問わず、米国の真の支配階級、セレブリティと呼ばれるステークホルダーの間には、バーナード星BETA汚染の可能性が示唆される資料がリークされている。

今回の後始末と、リークされた情報の真偽をめぐり当分の間、第5計画が防戦一方に成るのは確定。
あわよくば、今回の騒動で瓦解する。


そしてこれ程の混乱を米国に引き寄せた元凶・九條と、第5計画の関係も相当拗れるだろう。

第4計画の妨害、と言う意味で両者の利益は確かに一致していたが、被った莫大な被害は第5計画側だけなのだ。
九條は統合参謀本部を操り、XFJ計画のブルーフラッグ再戦を画策しただけである。
その依頼を受けたばかりに、本体が崩壊寸前にまで追い込まれる様相を呈している。
自分たちの見積が甘かったのは棚に上げ、第5計画派とそんな依頼を持ち込んだ九條との間に、大きな亀裂が生じるのは間違いなかった。






その混乱の間にさっさと喀什を陥とす。

第5計画そのものを無用の計画に貶め、真の意味で世界を変える。

それが“横浜”の意志であり、今となっては私の意志であるのだ。


Sideout



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