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No.35536の一覧
[0] 【チラ裏より】Muv-Luv Alternative Change The World[maeve](2016/05/06 12:09)
[1] §01 2001,10,22(Mon) 08:00 白銀家武自室[maeve](2012/10/20 17:45)
[2] §02 2001,10,22(Mon) 08:35 白銀家武自室 考察 3周目[maeve](2013/05/15 19:59)
[3] §03 2001,10,22(Mon) 13:00 白銀家武自室 考察 BETA世界[maeve](2012/10/20 17:46)
[4] §04 2001,10,22(Mon) 20:00 横浜基地面会室 接触[maeve](2012/12/12 17:12)
[5] §05 2001,10,22(Mon) 21:00 B19夕呼執務室 交渉[maeve](2012/12/06 20:40)
[6] §06 2001,10,22(Mon) 21:30 B19夕呼執務室 対価[maeve](2012/10/20 17:47)
[7] §07 2001,10,22(Mon) 22:00 B19夕呼執務室 考察 鑑純夏[maeve](2012/10/20 17:47)
[8] §08 2001,10,22(Mon) 22:30 B19夕呼執務室 考察 分岐世界[maeve](2012/10/20 17:47)
[9] §09 2001,10,22(Mon) 23:00 B19シリンダールーム[maeve](2012/10/20 17:48)
[10] §10 2001,10,23(Tue) 08:00 B19夕呼執務室[maeve](2012/12/06 21:12)
[11] §11 2001,10,23(Tue) 09:15 シミュレータルーム 考察 BETA戦[maeve](2013/01/19 17:36)
[12] §12 2001,10,23(Tue) 10:00 シミュレータルーム 考察 ハイヴ戦[maeve](2015/02/08 11:03)
[13] §13 2001,10,23(Tue) 11:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:23)
[14] §14 2001,10,23(Tue) 12:20 PX それぞれの再会[maeve](2012/12/16 23:01)
[15] §15 2001,10,23(Tue) 13:00 教室[maeve](2012/12/06 00:01)
[16] §16 2001,10,23(Tue) 13:50 ブリーフィングルーム[maeve](2013/05/15 20:03)
[17] §17 2001,10,23(Tue) 18:30 シミュレータルーム[maeve](2015/03/06 21:04)
[18] §18 2001,10,23(Tue) 22:00 B15白銀武個室[maeve](2015/06/19 19:23)
[19] §19 2001,10,23(Tue) 23:10 B19夕呼執務室 考察 因果特異体[maeve](2012/10/20 17:51)
[20] §20 2001,10,24(Wed) 09:00 B05医療センター Op.Milkyway[maeve](2015/02/08 11:06)
[21] §21 2001,10,24(Wed) 10:00 シミュレータルーム 考察 XM3[maeve](2012/12/06 21:17)
[22] §22 2001,10,24(Wed) 13:00 横浜某所 遺産[maeve](2012/11/10 07:00)
[23] §23 2001,10,24(Wed) 21:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:30)
[24] §24 2001,10,24(Wed) 22:00 B19シリンダールーム 暴露(改稿)[maeve](2013/04/04 22:05)
[25] §25 2001,10,24(Wed) 23:00 B19シリンダールーム 覚醒[maeve](2013/04/08 22:10)
[26] §26 2001,10,25(Thu) 10:00 帝都城 悠陽執務室[maeve](2016/05/06 11:58)
[27] §27 2001,10,26(Fri) 22:00 B19夕呼執務室[maeve](2016/05/06 12:35)
[28] §28 2001,10,27(Sat) 09:45 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:22)
[29] §29 2001,10,27(Sat) 11:00 帝都浜離宮茶室[maeve](2015/02/08 10:15)
[30] §30 2001,10,27(Sat) 12:45 帝都浜離宮 回想(改稿)[maeve](2012/12/16 18:30)
[31] §31 2001,10,27(Sat) 14:00 帝都城第2演武場[maeve](2015/01/23 23:26)
[32] §32 2001,10,27(Sat) 15:00 帝都城第2演武場管制棟[maeve](2016/05/06 11:59)
[33] §33 2001,10,27(Sat) 16:00 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:31)
[34] §34 2001,10,28(Sun) 10:00 帝都城第2演武場講堂 初期教導[maeve](2016/05/06 12:00)
[36] §35 2001,10,28(Sun) 13:00 帝都城来賓室[maeve](2016/05/06 12:00)
[37] §36 2001,10,28(Sun) 国連横浜基地[maeve](2012/11/08 22:20)
[38] §37 2001,10,29(Mon) 15:00  B19シリンダールーム 復活[maeve](2013/04/04 22:18)
[39] §38 2001,10,30(Tue) 10:00  A-00部隊執務室 唯依出向[maeve](2016/05/06 12:01)
[40] §39 2001,10,30(Tue) 11:00  B19夕呼執務室 考察 G元素(1)[maeve](2015/03/06 21:07)
[41] §40 2001,10,30(Tue) 15:00  A-00部隊執務室[maeve](2015/02/03 20:59)
[42] §41 2001,10,31(Wed) 10:00 シミュレータルーム[maeve](2016/05/06 12:03)
[43] §42 2001,10,31(Wed) 06:00 アラスカ州ユーコン川[maeve](2016/05/06 12:03)
[44] §43 2001,10,31(Wed) 10:00 司令部ビル 来賓応接室[maeve](2016/06/03 19:20)
[45] §44 2001,10,31(Wed) 12:00 ソ連軍統治区画内 機密研究エリア[maeve](2016/05/06 12:05)
[46] §45 2001,11,01(Thu) 13:00 アルゴス試験小隊専用野外格納庫 考察 戦術機[maeve](2016/05/06 12:06)
[47] §46 2001,11,02(Fri) 12:00 テストサイト18第2演習区画 E-102演習場[maeve](2016/05/06 11:50)
[48] §47 2001,11,02(Fri) 12:15 司令部棟 B05 相互評価演習専用指揮所[maeve](2016/05/06 12:06)
[49] §48 2001,11,03(Sat) 05:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/02/03 21:01)
[50] §49 2001,11,03(Sat) 09:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/01/04 19:23)
[51] §50 2001,11,02(Fri) 20:00 ユーコン基地[maeve](2016/05/06 12:07)
[52] §51 2001,11,03(Sat) 点景[maeve](2016/05/06 12:08)
[53] §52 2001,11,04(Sun) 07:30  A-00部隊執務室[maeve](2016/05/06 12:08)
[55] §53 2001,11,04(Sun) 20:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/06/19 19:45)
[56] §54 2001,11,05(Mon) 09:00 ブリーフィングルーム[maeve](2015/01/24 18:43)
[57] §55 2001,11,06(Tue) 10:00 帝都城第2連隊戦術機ハンガー[maeve](2015/06/05 13:06)
[58] §56 2001,11,07(Wed) 10:00 横浜基地70番ハンガー[maeve](2015/03/06 20:56)
[59] §57 2001,11,08(Thu) 14:00 帝都浜離宮来賓室[maeve](2015/09/05 17:29)
[60] §58 2001,11,08(Thu) 15:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(1)[maeve](2013/04/16 21:00)
[61] §59 2001,11,08(Thu) 15:30 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(2)[maeve](2015/01/04 19:04)
[62] §60 2001,11,08(Thu) 16:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(3)[maeve](2015/02/03 21:19)
[63] §61 2001,11,09(Fri) 11:05 新潟空港跡地付近[maeve](2015/10/07 16:50)
[64] §62 2001,11,10(Sat) 23:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/03/06 21:15)
[65] §63 2001,11,11(Sun) 05:50 燕市スポーツ施設体育センター跡[maeve](2015/06/19 19:48)
[66] §64 2001,11,11(Sun) 06:52 旧海辺の森跡付近[maeve](2016/06/03 19:25)
[67] §65 2001,11,11(Sun) 07:15 旧燕市公民館跡付近[maeve](2016/05/06 11:55)
[68] §66 2001,11,11(Sun) 07:24 連合艦隊第2艦隊旗艦“信濃”[maeve](2016/05/06 11:56)
[69] §67 2001,11,11(Sun) 07:44 旧新潟亀田IC付近[maeve](2015/09/11 17:22)
[70] §68 2001,11,11(Sun) 08:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 09:53)
[71] §69 2001,11,11(Sun) 08:15 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 10:00)
[72] §70 2001,11,11(Sun) 08:20 旧北陸自動車道新潟西IC付近[maeve](2014/12/29 20:34)
[73] §71 2001,11,11(Sun) 08:25 帝都上空[maeve](2015/08/21 18:44)
[74] §72 2001,11,11(Sun) 10:30 三条市荒沢R289沿い[maeve](2015/02/04 22:07)
[75] §73 2001.11.12(Mon) 09:30 PX[maeve](2015/09/05 17:34)
[76] §74 2001.11.13(Tue) 09:00 帝都港区赤坂 九條本家[maeve](2015/04/11 23:27)
[77] §75 2001,11,13(Tue) 10:30 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2015/12/26 14:19)
[78] §76 2001,11,13(Tue) 19:50 B19フロア 夕呼執務室 考察G元素(2)[maeve](2016/05/06 12:19)
[79] §77 2001,11,14(Wed) 09:00 講堂[maeve](2016/05/06 12:25)
[80] §78 2001,11,15(Thu) 22:22 B15 通路[maeve](2016/05/06 12:31)
[81] §79 2001,11,15(Thu) 15:00(ユーコン標準時GMT-8) ユーコン基地滑走路[maeve](2015/10/07 16:54)
[82] §80 2001,11,16(Fri) 10:15(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/09/05 17:41)
[83] §81 2001,11,16(Fri) 10:55(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト18[maeve](2015/10/07 16:57)
[84] §82 2001,11,16(Fri) 16:30(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/05/31 10:24)
[85] §83 2001,11,16(Fri) 21:00(GMT-8) リルフォート歓楽街 “Da Bone”[maeve](2015/10/07 17:03)
[86] §84 2001,11,17(Sat) 17:00(GMT-8) イーダル小隊専用野外格納庫 衛士控室[maeve](2015/06/20 23:51)
[87] §85 2001,11,18(Sun) 17:20(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト37 幕間?[maeve](2015/05/31 20:15)
[88] §86 2001,11,18(Sun) 22:00(GMT-8) アルゴス試験小隊専用野外格納庫[maeve](2016/05/06 11:46)
[89] §87 2001,11,19(Mon) 13:00(GMT-8) ユーコン基地 居住区フードコート[maeve](2015/06/19 20:13)
[90] §88 2001,11,19(Mon) 18:12(GMT-8) ユーコン基地 演習区外米国緩衝エリア[maeve](2015/12/26 14:23)
[91] §89 2001,11,19(Mon) 18:50(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/12/26 14:25)
[92] §90 2001,11,19(Mon) 20:45(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/10/07 17:13)
[93] §91 2001,11,19(Mon) 21:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画[maeve](2015/10/07 17:15)
[94] §92 2001,11,20(Tue) 03:30(GMT-8) ソビエト連邦租借地 ヴュンディック湖付近[maeve](2015/08/28 20:32)
[95] §93 2001,11,21(Wed) 14:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画内 総合司令室[maeve](2015/10/07 17:20)
[96] §94 2001.11.22(Thu) 03:00(GMT-8) アラスカ州ランパート付近[maeve](2015/12/26 14:28)
[97] §95 2001.11.23(Fri) 18:00(GMT+9) 横浜基地 B20高度機密区画[maeve](2015/08/28 20:08)
[98] §96 2001.11.24(Sat) 15:00 横浜基地 B17 A-00部隊執務室[maeve](2016/06/03 19:39)
[99] §97 2001.11.25(Sun) 02:00(GMT-?) 某国某所[maeve](2015/12/26 14:33)
[100] §98 2001.11.25(Sun) 13:30 横浜基地 北格納庫管制制御室[maeve](2016/06/04 14:06)
[101] §99 2001.11.25(Sun) 18:00 横浜基地本館 メインバンケット モニタールーム[maeve](2015/10/31 14:40)
[102] §100 2001.11.26(Mon) 06:30 横浜基地本館 ゲスト棟[maeve](2016/05/06 11:44)
[103] §101 2001.11.26(Mon) 17:15 横浜基地 モニタールーム[maeve](2016/05/15 12:14)
[104] §102 2001.11.27(Tue) 06:00 国連横浜基地 第2グランド[maeve](2016/06/03 19:42)
[105] §103 2001.11.28(Wed) 09:00 国連横浜基地 XM3トライアル V-JIVES[maeve](2016/05/14 13:10)
[106] §104 2001.11.28(Wed) 17:00 国連横浜基地 米軍割当外部ハンガー ミーティングルーム[maeve](2016/06/04 06:10)
[107] §105 2001.11.28(Wed) 17:40 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2016/06/10 23:26)
[108] §106 2001.11.28(Wed) 18:00 国連横浜基地 Bゲート付近 〈Valkyrie-04〉コックピット[maeve](2019/03/26 22:16)
[109] §107 2001.11.28(Wed) 21:00 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2019/03/30 00:03)
[110] §108 2001.11.28(Wed) 21:00(GMT-5) ニューヨーク レストラン “Par Se”[maeve](2019/06/30 17:55)
[112] §109 2001.11.29(Thu) 09:00(GMT-5) ニューヨーク国連本部 安保緊急理事会[maeve](2019/05/05 21:16)
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[35536] §46 2001,11,02(Fri) 12:00 テストサイト18第2演習区画 E-102演習場
Name: maeve◆e33a0264 ID:53eb0cc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2016/05/06 11:50
'12,11,30 upload
'13,05,15 誤字修正
'15,01,30 大幅改稿
'16,05,06 誤字修正



Side ユウヤ


所定の位置につき、開始の合図を待つ。
遣れることは全てやった。
昨夜のシミュレーションで、ステルス対策も可能性が見えてきた。
あとは、近接戦闘による、撃破だけ。


『・・・開始3分前。』


アナウンスが告げる。


『・・・・こちら御子神、ハルトウィック、・・・一つ確認したいんだが、いいか?』


突然全バンドで飛び込んだのは御子神大佐の声。
・・・同じ階級とて、プロミネンス計画総司令官を呼び捨てである。
どれだけなんだ、この人。
・・・だからこそクリスカやイーニァを囲ってくれたりも出来るのだが。


『・・・・今更なんだ?』

『戦技規定に見当たらなかったんでな。』


その言葉と共にいきなり視界に映る映像。

?・・・・これは! ユーコン基地かっ!?


『・・・いま見せているのは、基地上空150kmに滞空するHSSTからのライブ[●●●]映像だ。』

『っ!!』

コレ[●●]の使用は、規定に反しない[●●●●]んだよな?』


『・・・・っばかな!?』


CPがざわつき、そしてインフィニティーズの指揮官からも抗議の声。





昨夜、シミュレートした対策意外にも、こんなものまで用意していたのか・・・。
唯依がデタラメな上官と言った意味が理解できた。


その高度領域にある衛星やHSSTをBETAが撃ち落さないことは知られている。
BETAの気まぐれとも言われるが、実際撃墜された例がないのだ。だからHSSTが飛んでいるとも言える。

その遥か上空から真下を見下ろし、建造物の陰の地面に落ちている10円玉も認知する様な監視衛星からの視界は、ビルの死角もなくほぼ完全に相手[●●]を捕捉する。
しかも対策されて居るとは言え、噴射跳躍の排熱を瞬時に大気温まで下げることは不可能。
赤外線という噴射跳躍に不可避な熱線を感知するコトは、曇天に於いてその雲を通して可能となる。


・・・・こんな情報がある時点で、ステルスの優位性など霧散するのだ。


『・・・・規定上は問題ない。
この対戦は“戦術”を含めたものだからな。
ステルスを認める以上、それに対抗する“戦術”も必要となろう。』


・・・目眩がした。

つまり、地上150km程度にある戦域監視衛星に、高精度の光学監視システムを搭載し、動体検知すればそれだけであっけなくF-22Aの優位性など崩れるのだ。
衛星が無ければ大佐の様にHSSTをAWACS化して、戦域に飛ばすだけ。
更に戦域から早期に光線属種が駆逐出来れば、通常のAWACSや航空戦力も展開できると言うこと。
この位置情報をデータリンクでリアルタイムに友軍戦術機と共有するだけで、戦術機のステルス性は意味が無くなる。


『・・・しかし、君がこの時点で確かめた、と言うことは、無くても[●●●●]対処可能と言うことだな?』

『・・・こんな在り来たりの手法では面白くないと思ってな。
・・・それがお望みなら、そうしよう・・・。』


ぷつんと地表映像が途切れる。


『・・・か、開始1分前です。』




圧倒的なアドバンテージを示しながら、それをアッサリ放棄する。
それは、インフィニティーズにとっては侮蔑に感じるだろうか。

地上展開するステルス戦術機など、いくらでも捕捉できる、と言われたようなもの。
その指摘だけでも、米軍事ドクトリン、少なくとも戦術機のステルス性に拘る必然性は無くなった様なものなのだ。



更に、それがなくても撃破できる。

・・・そう、それをオレ達が示す。



『・・・開始30秒前、JIVESシステム機動します。』


頭の中から余計な考えを消す。
遣ることは解っている。
戦域支配戦術機を、潰す。


『時間です。・・・・状況開始っ!』






オレはいきなり飛び出した。
開始直後、VG、ステラと共に3方に散った。


相手の布陣は不明。どうせこの時点では、レーダーにも掛からない。

相手はステルス性の特に高いF-22EMD。
とにかく通常のレーダーは効果が薄い。
と言って欠点が無いわけでもない。
ステルス行動中は、基本的に自機も電波を発信できない。
すれば感知されるから。
それ故、データリンクは元より、通信もしない。
今この状況に於いても、彼らの通信波は感知できない。
機体装備のEMSジャマーでも使ってくれれば、位置は判るのにそれもない。


相手は曲がりなりにも米国陸軍第65戦闘教導部隊インフィニティーズ。
対人戦最強と謳われる部隊。
対戦前の御子神少佐のブラフで動揺するほど、甘くはないだろう。
探知の可能性は示唆されたが、相手はそれを敢えて放棄したのだ。

その上で負けたりしたら、本当に米軍事ドクトリンの崩壊を全世界に晒すことに成る。
謂わば米国国防省が威信を賭けて送り出した部隊。
その矜持も責任も判って居るだろう。

彼らの信条は、ファストルック・ファストシュート・ファストキル。
見えなくても確実に近づいている、その圧力だけは感じていた。



まだ捕捉は出来ていない。
それでもMAP上に予想[●●]される相手の機動が薄く示される。

これは探知した実像ではない。
御子神大佐の行動予測プログラムが存在確率の高い位置を予測しているだけだ。
なのでそれを参考程度とし、油断をせずに突出速度を緩める。

予測では、3騎が囮とみなせるオレを迎撃するはず。


更に速度を緩めると、VGとステラが大外を回り、両側からオレを抜けていく。



その途端に、今迄虚像だった相手が、実像に変わる。
プログラムの予測に対し、大きく位置がずれたのは、1騎のみ。

オレは口元が緩むのを抑えきれなかった。


――――捕まえた!!







昨夜、御子神大佐が提示したのは、所謂マルチスタティック・レーダーだった。

戦域内に、送信器と受信器を複数配置し、その相互位相差で対象の位置を割り出すタイプのレーダーである。
F-22EMDのステルス性は、塗装によるレーダー波吸収の他、照射を受けた方向に電波を反射しない偏向反射性が上げられる。
特に直立姿勢で、前面投影面積が大きな戦術機に於いてはその要素が大きい。
投射した電波が他の方向に反射されるため単独のレーダーでは捕捉出来ないのである。

それを大佐はチーム4騎を連携させる事で何のハードウェアも追加せずに一つのマルチスタティック・レーダーを構築してしまった。
つまりは、データリンクで4騎のレーダーを一括支配[●●●●]し、それぞれの位置や周波数バンド、マルチパスを計算しながら、戦域内探知する。
XFJやACTVやに積まれたレーダーはF-22EMDには及ばないものの、フェーズド・アレイ・レーダーとして上位機種を使用している。
その一つ一つを個別制御することで、複数の受信ビームを構成し有効領域を広げているのだ。
故に、4騎の囲むエリアに付いては勿論、そこから膨らんだ外装領域についても、ある程度の範囲、探知することが出来る。

勿論、アビオニクスとして、F-22EMDを軽々凌駕する超高性能MPUを搭載しているという大佐のXFJがあってこそなのだが、シェイプすれば、XM3用CPUを1つ追加搭載する程度で、実現可能らしい。





刹那、虚空に木霊する遠い砲声。
空雷の様な衝撃波の発する音が戦域を翔けた。


『インフィニティーズ1,キース・ブレイザー機、頭部機関部被弾、大破判定!!』


唐突にその静寂を破ったのは、CPの声だった。
冷静を装っているが、オペレータさえ驚愕が隠しきれていない。


ってっっ!!、もう、殺ったのかっ!?



最後方にいて、虚像すら確認ができなかったインフィニティーズ1。

これは・・・位置が災いしたな。



御子神大佐は、マルチスタティック・レーダーから更に発展させ、パッシブ・レーダー機能も追加していた。

これは、司令部の発する電波すら、相手を捕捉する為のレーダー波源としてしまうことである。
今回インフィニティーズサイドが司令部に近く、より多くの電波を偏向反射していたことになる。

微弱な電波であるが、オレ達3騎が展開し、距離を詰めたことで捕捉したのであろう。
それにしたって、その距離は3kmを超えているはず。当然建物に身を隠している指揮機を3点バーストで狙撃したわけだ。
大方、身を隠していた建造物の脆弱部でも横抜きしたんだろう。


御子神大佐の弐型が装備しているレール伸長されたサプレッサ装備の87式など初めて見たが、撃たせてもらっても本体は普通の87式だった。
但し、長距離射撃に於けるその集弾精度は狙撃銃クラス。
サプレッサは対人を意識した消音装置ではなく、弾道精度向上の特殊機構らしい。
そもそも弾速が音速を超える銃器では消音など意味ないのだから。

それでも3km超のバースト狙撃を一撃で極める腕は凄まじい。
・・・白銀少佐の機動に対し、正直地味ではあるが、間違っても、決して、絶対に、敵には回したくないタイプである。

・・・諸々含めて。




そして、今回に限り、何故か打診されたAH戦ルールの変更。
指揮官機が撃墜されても模擬戦を続行、と言う項目。
元々CASE:47の規定であり、ブルーフラッグでは撃墜数勝負とし部隊としての実力を知りたい、という米国国防省の意向だった。


今、実質上の指揮官は御子神大佐だが、アルゴス試験小隊として大佐は客員扱いであり、名目上の指揮官機はオレのアルゴス1。
寧ろ気兼ねなく出来る、と言う事でありがたかったが、まさか相手の指揮官機が最初に撃墜判定になるとは思わなかった。


《アルゴス隊、相手はまだ自分が捕捉されたと思って居ない。
各個撃破、・・・蹴散らせ。》

《《《 Yes,Sir!!》》》


耳朶に響いた部隊間通信の声。

ステルスが破られていると理解していない相手を誘い出す。
こうなるともう、どっちがステルスだか判らない。

オレはMAPに映る赤い敵影に気付いていないふりをして、誘い込むようなサーフェス移動を開始した。


Sideout




Side 唯依


私はCPに居て戦域全体を見ていた。


開始前の御子神大佐のブラフ。
どうやら、今回は徹底的に潰すらしい。
何しろステルス潰しを3つも用意してきたのだから。


あの映像を齎したのは、御子神大佐のXSST。
それでなくても機密保持の目的で、普段からおとなしく格納庫に置いていたりしない。
技術の関しては機密にオープンな帰来のある御子神大佐だが、その実必要な機密隠蔽は徹底している。
故にXSSTは、普段自律制御で成層圏を周回していたりする。
格納庫にすら置いておかない。

よくよく聞けばその内容的には、戦術戦闘電子偵察機じみた性能を有するという。

そのXSSTを足代わりにしているのだから・・・。
流石に地上をレールガン狙撃する機能はないよ、と言っていたが・・・。



・・・・地上に展開する戦術機のステルス化など無意味。

それが御子神大佐の結論だ。




JIVESが起動され状況開始とともに、対戦するチーム間のセンサー感知を制限したデータリンクで各機の状況を知らせる。
これを感知されてしまうとステルス性が損なわれる。

そして戦域に設置された無数のカメラが、その機動を捉えていた。


戦域レーダーには、8つの輝点。
大佐のコールサイン〈Lopt-01〉を後方に、鶴翼に散った〈Argos-01〉、〈A rgos-03〉、〈A rgos-04〉。
〈Infinities-01〉は後方待機し、〈Infinities-02〉から〈Infinities-04〉が、当初突出した囮と思われる〈Argos-01〉殲滅に動く展開。


「・・・大佐は高みの見物かね?」


右隣のハイネマン氏が皮肉っぽく聞いてくる。
隣でタリサが、いーっだと口を引っ張っていた。
輝点の位置を映す定点カメラで捕らえられてた御子神大佐はホバリングして滞空していた。

私は溜息を付く。

その瞬間、撃破音がCPに響いた。


いきなりの被弾に依る大破判定を喰らったのは、〈Infinities-01〉、インフィニティーズの指揮機。


「っっっ!! インフィニティーズ1,キース・ブレイザー機、頭部機関部被弾、大破判定!!」


オペレータの報告さえ一瞬遅れた。
やっりぃ、大佐、愛してるゥ~とのタリサの軽口に苦笑。
滞空している姿勢のまま、3点バースト。

網膜投影内でズーミングとエイミング、スポッティングを行えるアビオニクスは、射撃姿勢を選ばない。
腰溜めの姿勢のまま、超精密狙撃をやってのける。
極東一のスナイパー監修、とか言っていたが誰だろう?


「っっ!? 馬鹿なっ!? 一体どうやって?捕捉したというのだ?」

「アルゴス1、インフィニティーズ2と接敵っ!!」


続けてオペレータが叫ぶ。


「っ!! これは・・・、一体・・・、アルゴス試験小隊は、インフィニティーズを完全に捕捉していると言うのかっ!?」

「・・・。」


私は黙って頷いた。


「アルゴス3,4も接敵!!」



CPに居ても流石に部隊間通信や、データリンクによる網膜投影情報までは示されない。
対戦側オフィサーや、オペレータも居るのである。



「・・・・一体・・・なにが・・・・?」

「・・・・・・御子神大佐は、小隊をユニットとしたマルチスタティック・レーダーを構築しました。」

「っっ!! データリンクを用いて小隊機全てを送受信器としたのかっ!?」

「加えて言えば、パッシブ・レーダーも追加しています。
基地一帯から発せられる電波は、全て探査源となります。」

「馬鹿な!? 発信源の判らない電波すら使うのか?」

「リファレンス点を一つ定めてマルチプル・コヒーレンスの偏差を重畳すれば、電波偏向している対象を索敵出来るそうです。」

「 !!! 」


あのハイネマン氏が呆然としている。

私だって昨夜驚いたのだ。
ハードを追加変更せず、ソフトだけで対ステルスレーダーを組み上げてしまった。
私の悩みは何だったの、という位の呆気なさで。

しかも対ステルス技術など幾らでも公開していいと言う。
戦術機のステルス性など歯牙にも掛けない。

これはステルス性に拘った帝国参謀本部への痛烈な皮肉でもあるのだ。
国産に拘りながら、米軍事ドクトリンに振り回された、矛盾した思想。
まだまだ国内にも禍根は多いのである。


勿論指揮機がいきなり撃墜されたインフィニティーズは、何故〈Infinities-01〉が堕ちたのかさえ理解できていない。

見えない何かに支配された状況。
今までと全く逆の状況にいきなり陥った。
余りの不可解さにパニックになりそうなのを、それでもよく抑えている。

経験豊富な指揮機が健在なら、あるいは状況を把握し、この戦闘に於けるステルスの無意味さを悟って正面突破を通信で指示したかも知れない。
だから御子神大佐は、〈Infinities-01〉だけ自分で最初に狙撃した。
他は若い。
状況の変化に対応出来るのか。

昨夜言っていたとおり高みの見物を決め込んだ御子神大佐は、これ以上手を出す気はないらしい。
既に光線級照射域ぎりぎりの200mで戦域俯瞰している。

それでも、隊陣形の変化に合わせ、常に相手を包囲するような位置取りをしているのだが。



・・・追い詰められたのはインフィニティーズ。




そもそも米国の戦術機に於ける軍事ドクトリンは本来BETA戦後の対人戦を想定したものであるという。

・光線属種個体の完全駆逐までのタイムラグは当然長期間発生
・着陸ユニットを送り出す月、火星のハイヴ群を早期に排除することが困難
・他国による鹵獲技術応用戦術レーザー実用化の可能性

というその前提条件さえ御子神大佐は鼻で哄った。

・明星作戦で明らかなように、ハイヴが攻略出来れば単体でエネルギー生産できない周辺個体は早期に死滅乃至撤退
・地球上のハイヴが殲滅出来るなら、汚染を心配する必要がなく、人類の戦術に対する対抗策を持ち得ていない月・火星のハイヴ攻略は寧ろ簡単
・該当技術を鹵獲できたら、人類は戦域上空制圧ではなく、衛星による全域制圧を目論む


ATSFが考えられた当時と今では情報量が違っているとは言え、第2世代でBETAを圧倒しているという甘すぎる予測と、その後の状況変化に対応する気もない時点で、ナンセンス以外の何者でもないと唾棄する。


御子神大佐に依れば、ステルス性によるファストルック・ファストシュート・ファストキルという概念は、超音速飛行を可能とする機体と、更に速い超射程のミサイルを搭載する戦闘機に於いて考案された概念であるという。
相手の索敵範囲外から発見し、数10キロ離れた位置から秒単位で到達する兵器が在ればこそ、なのだ。
そのステルス性を物ともしない索敵範囲と攻撃速度をそっくりそのまま返されたのが、光線属種の性能である。
故に人類の航空戦力は無用と化した。

それを主要な攻撃装備が突撃砲と精々が短距離ミサイルの戦術機で実現しても全く意味がない。
地面上を平面的に展開し、最高速度よりもその瞬動にこそ重きを置いた戦術機においては、そもそも合致しない概念と言うこと。
BETA支配地域の市街地戦、その極めて限定された状況でしか優位性がなく、衛星監視が存在すれば、それすら消える。




「インフィニティーズ4,胸部被弾、致命的損傷により大破判定!!」

ステラがエイム少尉を撃墜した。
敢えてチーム戦に持ち込ませず、1on1で倒す。
接近戦でXM3装備のACTVや弐型がF-22EMDに劣る機動はない。
一度接触したら、離脱を許すほど甘い彼らの技量ではない。
昨夜から今日の午前中まで、AI武クンの駆るF-22Aと遣り合ってきた。

・・・しかも、もう凶悪としか言えない、“アレ”が示唆しているのだ。


VGはマクラウド少尉、ユウヤはクゼ少尉と交戦中。








昨日の夜、隊とは離れ、意見具申をしに大佐の自室を訪ねた私に語られた言葉を思い出す。



・・・結局第5計画派上層部は、脱出するつもりだから、残された地球の反抗などどうでもいいのさ。
だから実際は自国の軍事ドクトリンの矛盾に気付いていても、何もしないし矛盾を指摘する下からの具申も握りつぶす。
寧ろ、いまその矛盾を突かれて、ドクトリン崩壊とも成れば、移住リストに乗らず、計画も知らない現場は当然騒ぎ出すし、ドクトリンの変更には当然膨大な金がかかる。
G弾と、そして移民船建造に資金を傾注したい第5計画派に取っては触れたくない項目ってことだ。

今回は九條が第5計画派に進言し、第5計画派としてもなにやら動き出した第4計画を牽制し、主要メンバーと思われる俺を事故にでも見せかけて抹殺する、その為にXG-70をエサにユーコンまでおびき出した。
プロミネンス計画への供与には釘をさしつつ、ブルーフラッグ戦で弐型にはXM3の搭載は決定項。
AH戦に俺自身が参加することも暗に画策していたようだし。
俺が先に参加を表明したから具体的な妨害は無かったがな。
俺が事故ってもブリッジスの機体が残れば、XM3の解析が可能。
最悪は篁を含めアルゴス試験小隊全員の謀殺も計画の内だったんじゃないかな。
“配布”までこっちから“要求”することで、それも全部潰したけど。

九條も第5計画派も、インフィニティーズなら絶対確実に勝てるとしか思っていなかったんだろうな。
後は本人達が知っているかどうかは知らないが、インフィニティーズの装備に実弾を混入させておいて、俺の機体の管制ユニットを狙わせればいい。
俺に対してだけ120mmを使わせるように命令しておけばコトは済む。

だからこそ、インフィニティーズを叩き、米軍事ドクトリンの矛盾を突きつけるコトこそが、その第5計画派に絶大なカウンターショックを与え、且つ安易な進言をした九條との間に大きな亀裂を生じさせる、最大の意趣返しなんだぜ。

ま、対外的な言い訳は別だけどな。



私はその言葉に、自分の浅慮を恥じ、何も言えなかった。


悪いな。・・・本来17の少女に言うべきコトではないが、篁が武家として家や国を護りたいと願う以上、いずれ軍指揮官も目指す当主としては、知っておくべきだろう。


自省癖に陥りかけた私の頭に手を置いて、掛けてくれたその言葉に、ただただ感謝の念しか無かった。








「インフィニティーズ3、動力部被弾、大破判定っ!」


そして次々と撃墜されるインフィニティーズ。
タリサがはしゃぎすぎて、後ろのドーゥル中尉に注意されていた。


いつもの自分達の領域に持ち込めず、近接戦闘という相手の領域に居ることの本質に気づいていない、と言うよりも認められない、というコトか。
何よりも臨機応変が求められるBETA戦を殆ど体験していない米兵らしいといえばらしい。
まさにパターン通りの対人戦にのみ特化した部隊。
出会った頃のユウヤを見ている様だ。
自軍のドクトリンに拘泥し他者を認めないその姿勢。
それが今なおステルス性に固執し、距離をとろうとする機動をとる。
それはもはや憐れにすら感じた。
クロスレンジの機動なら、砲撃戦でも圧倒的にXFJ有利。
そのステルス性が失われた今、F-22EMDに勝ち目はない。



「・・・何故、御子神大佐は、[]、これを潰したのです?
これが帝国しか知りえない情報であるなら、秘匿しておけば今後いくらでも戦略上有利になったはず・・・。」


ハイネマン氏が不思議そうに尋ねる。


「・・・・・・実は昨夜、私も意見具申しました。
軍略上優位になる情報を、今明かすべきではない、と。

しかし、少なくとも米国は世界最大の戦術機保有数を誇り、その生産数、輸出数ともダントツ、そして他国さえそのドクトリンに追随する。
・・・大佐に言わせると、BETA殲滅に使えないポンコツがこれ以上増えるのは困るんだそうです。

御子神大佐の第一義は、飽く迄地球上BETAの殲滅、・・・なのです。」


御子神大佐が昨夜教えてくれた“対外的な言い訳”を話す。
勿論少しは本音が入っている分、嘘とは言えない。


「・・・・。」


ハルトウィック大佐も、ハイネマン氏も、黙りこむ。





「インフィニティーズ2、駆動部大破判定!!

・・・・開始13:55、状況終了、JIVES終了します。
アルゴス試験小隊、スコア4対0にて勝利です。」


そして演習終了の宣言に、ハルトウィック大佐が、フッと自嘲的とも取れる笑みを口元に刻み、ハイネマン氏は、この新たな状況の出現に顔を綻ばせている。
タリサはドーゥル中尉と手を取り合って喜んでいた。

CP全体が、ざわざわと騒がしい。
皆、目の前で何が起きたのか、理解しているのだ。



画面の追尾カメラでは、蒼い光を携えた御子神大佐のXFJ Evolution4が未だ滞空している。
アルゴス試験小隊の3騎は喜び合い、撃破されくずおれたインフィニティーズは、立つことさえ出来ない。

XM3搭載の弐型がF-22EMDのみならず、米国の提唱する戦術機の軍事ドクトリンさえ完膚なきまでに撃破した部隊戦。

今の大佐のXFJ Evolution4は、リミッターを架しPhase3相当なのだから、参謀本部会議も、そしてフェニックス構想の要求にも、十二分に応えた結果だ。
もっともあの位置にいたのだから、Phase3もEvolution4も関係ないのだが。


ACTVとXM3の相性が良い事に、ハイネマン氏も今はもうホクホク顔。
現金。
戦術機として目の上のたんこぶ、F-22EMDを、此処まであっさりと下したのだから。
米軍のドクトリンが崩れた今、新たな概念模索が必要。
その時点で、ステルスに拘泥した極めて高価なF-22に対し、非常に廉価なACTVの優位性は明確。
今後帝国への売り込みが失敗しても、売り先は世界中にある、という状況を齎した。
帝国にはXFJを他国に大量輸出できるような生産能力はない。
今後増産体勢が整備できたとしても、アジア圏が精一杯だろう。
頭の硬い国粋主義者はそれすら機密流出だと言ってライセンス生産すら認めないかも知れない。
一方のF-15は機体も既に枯れていて生産設備もまだまだ使える。
ACTVでF-22を下せたとなれば、安価故、再び世界中に配備される可能性もある。
第5計画派のボーニングはどうあれ、ハイネマン氏自身にとってはこの結果は、実は最上のものなのだ。




ラプターショック―――。


G弾運用と、その後の対人戦闘に主軸を置いていた米国国防省に、既に間違いなく激震が襲っているだろう。
米国の軍事ドクトリン、その思想の欠陥を、まざまざと全世界に見せつけた。

この対戦を画策した第5計画派と九條の被る損害を思う。
少なくとも、こんな矛盾をゴリ押ししてきた上層部への不信は高まる。


世界は既に変わり始めているのだ。


Sideout




Side ユウヤ


『インフィニティーズ2、駆動部大破判定!!
・・・・開始13:55、状況終了、JIVES終了します。
アルゴス試験小隊、スコア4対0にて勝利です。』


引き攣ったようなオペレータの声。



・・・・・・・勝った!

網膜に映るモニタの中でVGが歓声を上げている。
ステラが嬉しそうに笑っていた。

JIVESの解除により、大破した様相を見せていたF-22EMDも元に戻る。
それでも、完封で撃破されたレオンに動きはない。



御子神大佐のもたらしたマルチスタティック・レーダーは破格の性能を示した。
包囲範囲内に於いては完璧に捕捉。
こうなってしまえば、ステルスも何も無い。

パワーと秘匿性には勝るかも知れないが、近接戦闘は明らかにXM3装備のXFJ Phase3とACTVに劣る。


最強戦術機と謳われ、対人戦[●●●]最強の部隊であるはずのインフィニティーズが、為す術も無く全滅した。


その強さのかなりの部分をその秘匿性に頼った機体は、逆に秘匿性さえ破ってしまえば、衛士がそれに頼っていただけに、これほど脆弱なものもなかった。

過剰なパワーは近接戦で持て余し、優秀な直進性は小回りがきかず。
秘匿性を発揮しない事に、疑問と焦りを生じ、それでも縋るような行動に出る。
高速での一撃離脱を常とする機体は、足を止めさせた時点でその優位性を喪う。


何よりも相手の土俵に入らず、こちらの土俵に引きずり込む。
その戦術が、全てだった。


いままで、その戦術で相手を瞬殺してきたF-22EMDが、同じロジックでぼろ負け。

これは、大佐が公言して通り、G弾によるBETA駆逐後を睨んだ米国の構想、先進戦術機技術開発計画 (Advanced Tactical Surface Fighter/Technology And Research Project) の思想すら覆す結果なのだ。

しかも、御子神大佐自身が射したのは、1騎のみ。
その気になれば、ファストルックファストシュートファストキルのお株すら奪い、全機秒殺だって出来たかも知れない。

だがそれでは評価にならないことを弁えている大佐は、そんな無粋なことはしない。
秘匿性の失われたF-22EMDが、接近戦ではXFJやACTVにまるで及ばないことを、まざまざと見せつけた。


そう、寧ろ彼らに取っては、御子神大佐や、白銀少佐に全機やられたならこれ程のショックはないだろう。
オレがもし今インフィニティーズ側でF-22EMDに乗っていたらそう思う。


ステルスであるにも拘わらず、逃げても逃げても逃げられず、接近戦と言う相手のエリアに引きずり込まれる戦いを強いられ、同程度の腕しか持たない衛士に最新鋭の筈の機体性能で何も出来ず負けたのだ。

オレがもしこのユーコンで不知火弐型に触れておらず、米国機の軍事ドクトリンだけしか知らなかったら、どんなに落ち込んだことだろう。



自信も、矜持もへし折るヤリ方。
エゲツナイな、大佐。
・・・厳しいぜ。


そういえば、唯依にオレも昔言われたっけ。
・・・貴様は未熟だ、か。
米国の偏った、そして誤ったドクトリンしか知らなかった当時のオレは、確かに今のコイツらと同じ、未熟でしか無かったわけだ。

御子神大佐は傲ったインフィニティーズを下すことで、傲り昂った米国のドクトリンそのものを、叩き潰したのだった。






漸くレオンのF-22EMDが動いた。
撃墜のショックで外れたのか、突撃砲の弾倉を付けている。


『・・・レオン?』


声を掛けたオレを無視して、レオンはいきなりの噴射跳躍!


《ユウヤっ!!》


ステラの叫び。
向こうでもシャロン機が飛び上がる。


そして直後、滞空していたXFJ Phase3に浴びせられる銃撃。


「っ??!! 実弾っ!!??」


現実が認識できないオレに、唯依の悲鳴が聞こえた気がした。


Sideout



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