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No.35536の一覧
[0] 【チラ裏より】Muv-Luv Alternative Change The World[maeve](2016/05/06 12:09)
[1] §01 2001,10,22(Mon) 08:00 白銀家武自室[maeve](2012/10/20 17:45)
[2] §02 2001,10,22(Mon) 08:35 白銀家武自室 考察 3周目[maeve](2013/05/15 19:59)
[3] §03 2001,10,22(Mon) 13:00 白銀家武自室 考察 BETA世界[maeve](2012/10/20 17:46)
[4] §04 2001,10,22(Mon) 20:00 横浜基地面会室 接触[maeve](2012/12/12 17:12)
[5] §05 2001,10,22(Mon) 21:00 B19夕呼執務室 交渉[maeve](2012/12/06 20:40)
[6] §06 2001,10,22(Mon) 21:30 B19夕呼執務室 対価[maeve](2012/10/20 17:47)
[7] §07 2001,10,22(Mon) 22:00 B19夕呼執務室 考察 鑑純夏[maeve](2012/10/20 17:47)
[8] §08 2001,10,22(Mon) 22:30 B19夕呼執務室 考察 分岐世界[maeve](2012/10/20 17:47)
[9] §09 2001,10,22(Mon) 23:00 B19シリンダールーム[maeve](2012/10/20 17:48)
[10] §10 2001,10,23(Tue) 08:00 B19夕呼執務室[maeve](2012/12/06 21:12)
[11] §11 2001,10,23(Tue) 09:15 シミュレータルーム 考察 BETA戦[maeve](2013/01/19 17:36)
[12] §12 2001,10,23(Tue) 10:00 シミュレータルーム 考察 ハイヴ戦[maeve](2015/02/08 11:03)
[13] §13 2001,10,23(Tue) 11:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:23)
[14] §14 2001,10,23(Tue) 12:20 PX それぞれの再会[maeve](2012/12/16 23:01)
[15] §15 2001,10,23(Tue) 13:00 教室[maeve](2012/12/06 00:01)
[16] §16 2001,10,23(Tue) 13:50 ブリーフィングルーム[maeve](2013/05/15 20:03)
[17] §17 2001,10,23(Tue) 18:30 シミュレータルーム[maeve](2015/03/06 21:04)
[18] §18 2001,10,23(Tue) 22:00 B15白銀武個室[maeve](2015/06/19 19:23)
[19] §19 2001,10,23(Tue) 23:10 B19夕呼執務室 考察 因果特異体[maeve](2012/10/20 17:51)
[20] §20 2001,10,24(Wed) 09:00 B05医療センター Op.Milkyway[maeve](2015/02/08 11:06)
[21] §21 2001,10,24(Wed) 10:00 シミュレータルーム 考察 XM3[maeve](2012/12/06 21:17)
[22] §22 2001,10,24(Wed) 13:00 横浜某所 遺産[maeve](2012/11/10 07:00)
[23] §23 2001,10,24(Wed) 21:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:30)
[24] §24 2001,10,24(Wed) 22:00 B19シリンダールーム 暴露(改稿)[maeve](2013/04/04 22:05)
[25] §25 2001,10,24(Wed) 23:00 B19シリンダールーム 覚醒[maeve](2013/04/08 22:10)
[26] §26 2001,10,25(Thu) 10:00 帝都城 悠陽執務室[maeve](2016/05/06 11:58)
[27] §27 2001,10,26(Fri) 22:00 B19夕呼執務室[maeve](2016/05/06 12:35)
[28] §28 2001,10,27(Sat) 09:45 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:22)
[29] §29 2001,10,27(Sat) 11:00 帝都浜離宮茶室[maeve](2015/02/08 10:15)
[30] §30 2001,10,27(Sat) 12:45 帝都浜離宮 回想(改稿)[maeve](2012/12/16 18:30)
[31] §31 2001,10,27(Sat) 14:00 帝都城第2演武場[maeve](2015/01/23 23:26)
[32] §32 2001,10,27(Sat) 15:00 帝都城第2演武場管制棟[maeve](2016/05/06 11:59)
[33] §33 2001,10,27(Sat) 16:00 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:31)
[34] §34 2001,10,28(Sun) 10:00 帝都城第2演武場講堂 初期教導[maeve](2016/05/06 12:00)
[36] §35 2001,10,28(Sun) 13:00 帝都城来賓室[maeve](2016/05/06 12:00)
[37] §36 2001,10,28(Sun) 国連横浜基地[maeve](2012/11/08 22:20)
[38] §37 2001,10,29(Mon) 15:00  B19シリンダールーム 復活[maeve](2013/04/04 22:18)
[39] §38 2001,10,30(Tue) 10:00  A-00部隊執務室 唯依出向[maeve](2016/05/06 12:01)
[40] §39 2001,10,30(Tue) 11:00  B19夕呼執務室 考察 G元素(1)[maeve](2015/03/06 21:07)
[41] §40 2001,10,30(Tue) 15:00  A-00部隊執務室[maeve](2015/02/03 20:59)
[42] §41 2001,10,31(Wed) 10:00 シミュレータルーム[maeve](2016/05/06 12:03)
[43] §42 2001,10,31(Wed) 06:00 アラスカ州ユーコン川[maeve](2016/05/06 12:03)
[44] §43 2001,10,31(Wed) 10:00 司令部ビル 来賓応接室[maeve](2016/06/03 19:20)
[45] §44 2001,10,31(Wed) 12:00 ソ連軍統治区画内 機密研究エリア[maeve](2016/05/06 12:05)
[46] §45 2001,11,01(Thu) 13:00 アルゴス試験小隊専用野外格納庫 考察 戦術機[maeve](2016/05/06 12:06)
[47] §46 2001,11,02(Fri) 12:00 テストサイト18第2演習区画 E-102演習場[maeve](2016/05/06 11:50)
[48] §47 2001,11,02(Fri) 12:15 司令部棟 B05 相互評価演習専用指揮所[maeve](2016/05/06 12:06)
[49] §48 2001,11,03(Sat) 05:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/02/03 21:01)
[50] §49 2001,11,03(Sat) 09:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/01/04 19:23)
[51] §50 2001,11,02(Fri) 20:00 ユーコン基地[maeve](2016/05/06 12:07)
[52] §51 2001,11,03(Sat) 点景[maeve](2016/05/06 12:08)
[53] §52 2001,11,04(Sun) 07:30  A-00部隊執務室[maeve](2016/05/06 12:08)
[55] §53 2001,11,04(Sun) 20:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/06/19 19:45)
[56] §54 2001,11,05(Mon) 09:00 ブリーフィングルーム[maeve](2015/01/24 18:43)
[57] §55 2001,11,06(Tue) 10:00 帝都城第2連隊戦術機ハンガー[maeve](2015/06/05 13:06)
[58] §56 2001,11,07(Wed) 10:00 横浜基地70番ハンガー[maeve](2015/03/06 20:56)
[59] §57 2001,11,08(Thu) 14:00 帝都浜離宮来賓室[maeve](2015/09/05 17:29)
[60] §58 2001,11,08(Thu) 15:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(1)[maeve](2013/04/16 21:00)
[61] §59 2001,11,08(Thu) 15:30 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(2)[maeve](2015/01/04 19:04)
[62] §60 2001,11,08(Thu) 16:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(3)[maeve](2015/02/03 21:19)
[63] §61 2001,11,09(Fri) 11:05 新潟空港跡地付近[maeve](2015/10/07 16:50)
[64] §62 2001,11,10(Sat) 23:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/03/06 21:15)
[65] §63 2001,11,11(Sun) 05:50 燕市スポーツ施設体育センター跡[maeve](2015/06/19 19:48)
[66] §64 2001,11,11(Sun) 06:52 旧海辺の森跡付近[maeve](2016/06/03 19:25)
[67] §65 2001,11,11(Sun) 07:15 旧燕市公民館跡付近[maeve](2016/05/06 11:55)
[68] §66 2001,11,11(Sun) 07:24 連合艦隊第2艦隊旗艦“信濃”[maeve](2016/05/06 11:56)
[69] §67 2001,11,11(Sun) 07:44 旧新潟亀田IC付近[maeve](2015/09/11 17:22)
[70] §68 2001,11,11(Sun) 08:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 09:53)
[71] §69 2001,11,11(Sun) 08:15 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 10:00)
[72] §70 2001,11,11(Sun) 08:20 旧北陸自動車道新潟西IC付近[maeve](2014/12/29 20:34)
[73] §71 2001,11,11(Sun) 08:25 帝都上空[maeve](2015/08/21 18:44)
[74] §72 2001,11,11(Sun) 10:30 三条市荒沢R289沿い[maeve](2015/02/04 22:07)
[75] §73 2001.11.12(Mon) 09:30 PX[maeve](2015/09/05 17:34)
[76] §74 2001.11.13(Tue) 09:00 帝都港区赤坂 九條本家[maeve](2015/04/11 23:27)
[77] §75 2001,11,13(Tue) 10:30 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2015/12/26 14:19)
[78] §76 2001,11,13(Tue) 19:50 B19フロア 夕呼執務室 考察G元素(2)[maeve](2016/05/06 12:19)
[79] §77 2001,11,14(Wed) 09:00 講堂[maeve](2016/05/06 12:25)
[80] §78 2001,11,15(Thu) 22:22 B15 通路[maeve](2016/05/06 12:31)
[81] §79 2001,11,15(Thu) 15:00(ユーコン標準時GMT-8) ユーコン基地滑走路[maeve](2015/10/07 16:54)
[82] §80 2001,11,16(Fri) 10:15(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/09/05 17:41)
[83] §81 2001,11,16(Fri) 10:55(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト18[maeve](2015/10/07 16:57)
[84] §82 2001,11,16(Fri) 16:30(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/05/31 10:24)
[85] §83 2001,11,16(Fri) 21:00(GMT-8) リルフォート歓楽街 “Da Bone”[maeve](2015/10/07 17:03)
[86] §84 2001,11,17(Sat) 17:00(GMT-8) イーダル小隊専用野外格納庫 衛士控室[maeve](2015/06/20 23:51)
[87] §85 2001,11,18(Sun) 17:20(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト37 幕間?[maeve](2015/05/31 20:15)
[88] §86 2001,11,18(Sun) 22:00(GMT-8) アルゴス試験小隊専用野外格納庫[maeve](2016/05/06 11:46)
[89] §87 2001,11,19(Mon) 13:00(GMT-8) ユーコン基地 居住区フードコート[maeve](2015/06/19 20:13)
[90] §88 2001,11,19(Mon) 18:12(GMT-8) ユーコン基地 演習区外米国緩衝エリア[maeve](2015/12/26 14:23)
[91] §89 2001,11,19(Mon) 18:50(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/12/26 14:25)
[92] §90 2001,11,19(Mon) 20:45(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/10/07 17:13)
[93] §91 2001,11,19(Mon) 21:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画[maeve](2015/10/07 17:15)
[94] §92 2001,11,20(Tue) 03:30(GMT-8) ソビエト連邦租借地 ヴュンディック湖付近[maeve](2015/08/28 20:32)
[95] §93 2001,11,21(Wed) 14:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画内 総合司令室[maeve](2015/10/07 17:20)
[96] §94 2001.11.22(Thu) 03:00(GMT-8) アラスカ州ランパート付近[maeve](2015/12/26 14:28)
[97] §95 2001.11.23(Fri) 18:00(GMT+9) 横浜基地 B20高度機密区画[maeve](2015/08/28 20:08)
[98] §96 2001.11.24(Sat) 15:00 横浜基地 B17 A-00部隊執務室[maeve](2016/06/03 19:39)
[99] §97 2001.11.25(Sun) 02:00(GMT-?) 某国某所[maeve](2015/12/26 14:33)
[100] §98 2001.11.25(Sun) 13:30 横浜基地 北格納庫管制制御室[maeve](2016/06/04 14:06)
[101] §99 2001.11.25(Sun) 18:00 横浜基地本館 メインバンケット モニタールーム[maeve](2015/10/31 14:40)
[102] §100 2001.11.26(Mon) 06:30 横浜基地本館 ゲスト棟[maeve](2016/05/06 11:44)
[103] §101 2001.11.26(Mon) 17:15 横浜基地 モニタールーム[maeve](2016/05/15 12:14)
[104] §102 2001.11.27(Tue) 06:00 国連横浜基地 第2グランド[maeve](2016/06/03 19:42)
[105] §103 2001.11.28(Wed) 09:00 国連横浜基地 XM3トライアル V-JIVES[maeve](2016/05/14 13:10)
[106] §104 2001.11.28(Wed) 17:00 国連横浜基地 米軍割当外部ハンガー ミーティングルーム[maeve](2016/06/04 06:10)
[107] §105 2001.11.28(Wed) 17:40 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2016/06/10 23:26)
[108] §106 2001.11.28(Wed) 18:00 国連横浜基地 Bゲート付近 〈Valkyrie-04〉コックピット[maeve](2019/03/26 22:16)
[109] §107 2001.11.28(Wed) 21:00 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2019/03/30 00:03)
[110] §108 2001.11.28(Wed) 21:00(GMT-5) ニューヨーク レストラン “Par Se”[maeve](2019/06/30 17:55)
[112] §109 2001.11.29(Thu) 09:00(GMT-5) ニューヨーク国連本部 安保緊急理事会[maeve](2019/05/05 21:16)
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[35536] §36 2001,10,28(Sun) 国連横浜基地
Name: maeve◆e33a0264 ID:53eb0cc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/11/08 22:20
'12,11,07 upload  ※幕間 開き直った?


Side 夕呼  18:00 B19夕呼執務室


ノックと共にドアが開く。

「あら、お帰り。早かったわね、教導は明日までじゃなかった?」

アタシは装着型00ユニットのチェック作業を中断して向き直る。
入ってきた彼方は、そのままソファに深く沈んだ。珍しく草臥れた様子。

「教導は、な。俺は換装してしまえば終わりだし、臨床試験も順調、必要と思われる施策は全部振った。
そろそろ鑑の思考野再生が完了するだろ? 早めに出してやんないとな。」

「ちゃんと殿下陥とした?」

「・・・そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。
・・・マジ御子神[ネイティヴ]パネェ・・・。」


芝居がかったセリフに笑いながら、それもそうかと思う。

彼方が知っているのは、御子神[ネイティヴ]のブログだけ。主観で書かれた記録に、周囲の客観なんか書かれているわけがない。

“弾劾”を知っている者なら、殿下の窮地を救った救世主。そして今回は白銀という英雄と共にXM3と言う奇跡のOSを齎し、そしてまだ未発表であろうが帝国の未来を支えるあの“高天原”を献上したのだ。
アタシが殿下でも陥ちるし、それを知る周囲が望むのは、当然そういうことだろう。
そして殿下もあの件に前向きとの礼も貰っている。

使うことに躊躇はなくても、本質的には御子神[ネイティヴ]の功績を自分のモノのように扱うことをヨシとしない彼方にとっては、居心地が悪いことこの上ないだろう。
少なくとも衛士に感謝されるXM3は白銀とアンタの功績でしょうに。


こう見えてコイツ、結構お固い[ジジクサイ]。傍若無人なのに、自由奔放とか若さに任せて爆発、とかはしそうにない。まあ、肉体20でも、精神時間は100年超えているわけだから老成しているのか、妙にストイックだ。
フラグは立てる癖に、いつの間にかへし折っていたりする。
その辺はループをしつつ、けれど何時もリセットされ継続した経験なく17歳を繰り返した白銀とは違う。白銀は順調に若さに任せたハーレムへの道を歩んでいるというのに。
アタシだけ、と言う優越感はたしかに有るが、縛る気もないし、縛られる気もない。

けれど流石に御子神[ネイティヴ]が立てていた強固なフラグは簡単に折れないらしい。


「まあ、諦めなさい。鑑の言うとおり、優秀な男程早死する時代、超優秀な生き残り[サヴァイヴァー]には遺伝子を残す義務があるわ。
殿下との竿姉妹なら、光栄ね。」

「・・・此処はそう云う世界か?」

「そう云う世界よ。」

「・・・・まあ武が望んだループ世界となれば、こうなるのも仕方ない、か・・・。」

「・・・仕方ないついでに、まりももお願いね。」

「は?」

「・・・本来はアタシが贖罪すべきなのは解っている。でもこればっかりはアタシがタチって訳にもいかないでしょ?」

軽い冗談のような口調に、探るような視線。
アタシは口元には笑みを残しながら、真っ直ぐ見つめ返す。
・・・・茶々や冗談ではない。これは・・・懇願、なのだ。




「・・・・・・・判った。」

長い沈黙の末、彼方は端的に応えた。


・・・ホントコイツ、イイ男だ。

弱みを晒したくないアタシの事をちゃんと理解してくれている。
世界や時代の所為にしたって、多分本人の主義を曲げることにもなるのだろう。
それでも、それごと[●●●●]受け入れてくれた。コイツを惚れさせた向こうの世界のアタシにも感謝する。



罪悪感。

まりもは親友だなんて言いながら、計り知れない重荷を背負わせた。かなりイロイロ無理させているのも知っている。
優しいまりもに、損耗率がケタ違いになる部隊専用の教導などさせるべきでないのは、重々判っていた。
それでも、他に信頼できる者が居なくて、頼まざるを得なかった。

他にも無理させた者は大勢いるし、死んでいった者も少なくない。その全てを“BETA駆逐”という成果につなげることで報いよう、それがアタシの覚悟だった。
それでも迫る期限。目の前にある人類の終焉。
今までは形振りなんか構ってなかったし、死んでから謝るしかないなぁ、位にしか思っていなかった。

それが、彼方達が来て状況は一変した。
齎された情報と技術は確かに未来に繋がる希望がある。
未だ予断を許す状況ではないが、その先を考えなければならない程に事態が好転していることも確かだった。

勿論アタシ流に傲慢な言い方をすれば、今の関係は彼方が数式の対価にアタシを望んだ、と言う言い方も出来る。別にアタシが望んだ関係ではない、と。
もしかしたら、それすらアタシの性格を知っている彼方が図ってくれたのかも知れないが。

少なくともその関係を認めてしまった以上、まりもだけは放置できなかった。


白銀の前のループで、まりもが死んだ時、向こうのアタシは何を思ったのだろう?
桜花作戦が成ったのなら、白銀に殺される事を望んだかも知れない。


今も、既に死んでしまった者たちには、当面懺悔しか返すことが出来ない。それでいいのかと問われれば何も返せないが、死者は黙して何も語らない。
もし輪廻が本当に在るのなら、再び人に生まれる事が出来るよう、人類が生き延びること、それで返すしかない。
そして、今を生きている者には、出来うる限りの生を、その未来を齎すことで、贖罪とするしか無い。

その中でも、まりもだけは・・・・、アタシと同じ死んでいった者たちまでをも、背負わせてしまっているのだ。
アタシだけが望外の幸運を享受している事は、いくらアタシが厚顔でも出来なかった。


彼方に任せることが傲慢なのも、他力本願なのも理解している。
それでも少なくとも彼方なら、まりもを癒してくれる、それがアタシの信頼だ。
それをそこらの男に任せることなんか出来ない。
白銀なら悪くはないと思ったが、奴には鑑も御剣も、社も居る。



それを全て察して、ただ一言で了解してくれた彼方には感謝するしか無かった。


まあ、報酬はまりもの身体ってことで。何処でも好きなトコ使っていいからね!


Sideout




Side まりも  23:30 A-00専用ハンガー


統合機動制御。白銀クンの機動概念を元に、御子神クンがXM3正規版上に実現した思想。

今までβ版と、実現している機能は同じ。操作性も違和感がない。
しかしそのバックボーンを仮初めのモノから大胆に変更した。つまりシミュレーションでは問題にならなかった関節損耗や細かい燃費。そういったモノまで全て制御し、自律機動そのものを動的に取り込んでしまうことにより、その動きは更に自然になった。
それはβ版を元に教導を繰り返したA-01や私、白銀少佐の機動やコマンドを精査し、求められる機能を含む全体的な制御へと拡張させた。
結果、β版では消耗の増大した関節部さえ、今までのOS以下に抑制することが可能になった。

それを3日足らずで遣ってしまうのだから呆れるしかない。


更に木曜日、協力を要請されたのは、XM3のナビゲーション。
私がXM3で確かめていた基礎動作、そして今後207Bを想定して組み立てていた教導計画。

それら全てを実現したのが、ナビゲータAI。

XM3を搭載したで戦術機に於いてクラスタシステムと通信することにより実現する、シミュレータモード、ナビゲータAI、更に以前から基地のメインフレームに作って居たアグレッサーAIを実装したシステムが、A-00とA-01に示されたのは、金曜日の夕方だった。


以来22時迄の合同訓練の後も、不知火に潜り込み、そのチェックを行っていた。


擬似教導を行うのは、ナビゲータAI・“まりもちゃん”。

明らかに私が3頭身にデフォルメされたアニメキャラ。
初めは苦笑していたA-01のメンバーも、その完成度と芸の細かさに唸るしかない。

正しく神宮司大尉の教導を受けている様に錯覚します、それが伊隅大尉以下A-01メンバーの感想だった。


それは、ちょっと・・いえ、相当恥ずかしかったが、嬉しくもあった。

何よりも御子神クンは、このAIの中に、私の教導理念を何よりも大切に込めてくれたのだ。

衛士は勇敢だと言われる必要など無いの。
臆病でもいい。
ただ永く生き残り、一人でも多くの人を救って欲しい。

そう語った私の想い。

勿論、網膜投影の中の“彼女”はそれを声高に話したりしない。
御子神クンによれば、ある隠しパターンに一致すれば、語り出すらしいのだが、まだ見つけていない。

ただ教導に、説明に、その理念が基礎にあることを確かに感じさせる。
派手で効果の高い機動よりも、地味で安全性の高い機動を選ぶ。
常に退路を意識させつつ過剰な突出を避ける。
明確な言葉ではなくても、その教導理念は無意識に刻まれる。
心憎いまでの御子神クンのロジックがそこにも存在した。
それに気づいた時は、涙が出そうになった。


この自己教導システムは、正しく私が得てきた技能や経験をかなりの範囲にわたって網羅しているのだ。確かに、“まりもちゃん”は他でもない私の分身であった。



これがXM3の頒布に伴い、世界に広まり、そして未来に残る。

もし私が死んでも、その理念や経験は広く永く受け継がれるのだ。
教導に携わる人間として、これが誇らしくないわけがなかった。




ふう。

一連のチェックを終え、一息つく。時間を見ればまだ0時前。

もう1,2セクション出来るわね。


私は、AIが出しているレッドアラートを無視して、一息入れるためにハッチを開けた。



ふっと重力が失せ、足下が消失する感覚を覚えたのは、不知火から居りようとコックピットを出た、直後だった。

落下の浮遊感。

地面に叩き付けられる衝撃の代わりに、フワリとした感覚、天地が回るような酩酊感にそのまま視界が暗くなった。





ふと気がつけば、高い天井?

傍らでタタタタ、とキーボードの流れるような連打音。
まだぼやけた視界を、すっと手が横切る。

額に当てられた掌が、僅かにひんやりと心地よい。

「大分顔色良くなった。」

「あ・・・」

穏やかな御子神クンの声。

「しかし・・・此処にも自己犠牲を厭わないワーカホリックがいたか。」

「え?」

「・・・強化装備とはいえ、ヘッドギア外した状態で、10m落ちれば首の骨折って死ぬよ?」

「 !!! 」

思い出した!
貧血で戦術機から落下したのだ。

「申し訳・・・「・・・」・・ごめんなさい・・・。」

敬語で言いかけて、睨まれて、言い直した私に、彼は額の手を、すっと耳から後頭部に差し込む。

大きな手でぎゅうっと後頭部を圧迫され、暖かい何かが染み込むような感覚。
貧血で霞んでいた思考が明瞭になってくる。

「まったく、AIのレッドアラートまで無視し続けて。どんだけ無理したか、ログで判るんだぜ?」

「 !! 」

「教官が教導規定破ってどうするの。
・・・漸く夕呼の体調を整えたって言うのに、ここにも満身創痍がいたか。
まりもセンセ、もとい、神宮司まりも。」

「?!」

「ここしばらく、生理も来てないだろう?」

「ぶっ! なんてことをっ!?」

「真面目な話。
・・・慢性的なストレス疾患。
既に内分泌系がメチャメチャで、殆ど重度の更年期障害と同じレベルだなこれは・・・。」

「 !!! 」

「まりも、まだ20代にして、女として終わろうとしてる。」

「・・・・・。それでも、いい「駄目だ。」・・・え?」

「・・・少なくともまりもは教官だ。もし教官がそうしたら、まりもの教え子は、皆そうしなければならなくなる。」

「 ! 」

「まりもはそんな人生を、彼女達にも強いるのか?」

「・・・・・。」

「俺は少なくとも、皆に生き延びて、そして幸せな人生を取り戻して欲しい。その為にいろいろ動いている。
でも、その為に誰かが犠牲になるなんて、認めない。
まりもも幸せにならなければ、他の娘も幸せになんかなれない。」

「・・・・・。」

「まりもは、教え子を不幸にしたいのか?」

「!! まさか!」

「だったら、暫くの間、まりもの体調は俺が管理する。因みに内分泌系が改善されない場合は、sexもするからな。覚悟しておけよ。」

「!!! それは・・・」

「他に頼む男が居ると言うなら、構わないが・・・、そこらへんの男に譲る気はない。
武くらいならいいが・・・、あいつ他に一杯居るし。」

「!!っ」

「・・・夕呼にも言われたんだろ?」

「!!、あれ本気なの?」

「今の若い男は、少なくとも8人が責任範囲だそうだ。」

「!!」

「無節操に侍らすような趣味はないが、時代が時代だけに少し趣旨替えが必要なのも確かみたいだ。まりもさえ良ければ、そう成りたいと思うよ。」

「・・・・それは、女性として、ということ?」

「ああ・・・。ま、急ぐことはないから、考えといてくれ。今日の所はマッサージ施術しとくから。」



昨日夕呼にも顔色の悪さを指摘され、少し休めと言われた。
ついでに彼方に相手して貰いなさい、とも。

夕呼が御子神クンとそれなりの仲なのは何となく理解していた。あの色艶は、満たされている女の肌だ。かつて一度も見たことのない夕呼のそれ。
まだここに赴任して数日だというのに、その手の早さには驚いたが、ここのところ益々荒れていた夕呼が落ち着いてくれたのは、ありがたかった。

BETAを駆逐する・・・。その目的の為に夕呼が立ち上げた極秘計画。
白銀クンと御子神クンが帰任したことで設立されてたA-00戦術機概念実証試験部隊。そこに併属された事でその内容も知った。

そして人類が置かれた絶望的な状況。

あと2ヶ月でオリジナルハイヴを墜とす・・・。それが人類存続の条件だった。



部屋に戻り、強化装備を脱いで、タンクトップとボトム。

自分の部屋のベッドに座らされると、まずは掌、甲、指一本一本のマッサージ。
それだけで魂を抜かれるような気持ちよさ。

最初少し強ばっていた体さえ、すぐその事を忘れる。
両手。そして手首。肘。

いつしか言われるままに、ベッドに寝そべっていた。

次に足に触られても、嫌悪感は沸かなかった。
暖かさが流れ込む。足指のひとつひとつ、裏から足首。

触られるところから、強ばっていた筋肉が解され、ぎしぎしだった神経が解かれていく。そんな感覚。そして膝までで、止まる。

次は肩だった。
肩から背。腰まで。

時間をかけて、焦ることなく、私の体がほぐれるのに合わせてくれる。
こんな暖かい、優しいマッサージは初めてだった。

「・・・仰向けになって。」

「・・・上手なのね。」

「内氣系は得意だからな。楽にしてて良いから。」

枕を首に挟むと、頭のマッサージ。
軽くしか力を入れていない。それを何度も繰り返す。
しびれがだんだん溶けて、心地よさが広がる。

首。鎖骨周り。胸を避けて脇からおなか。骨盤周り、そして太腿に移った。

ひたすらきもちいい。それでいてセクシャルなものを一切感じさせないところが、凄い。


薄目を開けて彼を見た。
うっすらと、汗。マッサージだけでかれこれもう1時間になる。

胸がきゅんとした。忘れていた男への憧れ。


考えてみれば、相当の優良物件である。
世界最高戦力たる衛士、もたらす技術が飛んでもない技術佐官。

階級は20にして既に少佐。
国連の極秘計画中枢に位置し、そして頭脳明晰。

まさに人類の存続に、希望を灯した存在。

ルックスは落ち着いていて華やかではないが、端正なのは否定する者がいないだろう。
長身。そして脂肪の欠片も浮かない鋼のような肢体。

男としては否定する要素が何もない。


人口、特に若い子供を産み育てる世代が激減している今、性のモラルはそれほど厳しくない。
勿論、無理矢理とかは犯罪だが、寧ろ子供を作ることは優遇される。

それは、種の保存という無意識もあるのかも知れない。
一夫一婦制が基本だが、それに固執しない風潮がここ数年あり、それは人類の危機と共に高まっている。
なので、子供を作ることそのものは状況や周囲への影響故問題だが、抱かれること自体には、私にもそれほどの嫌悪感がない。


「・・・ねぇ・・・。」

「ん?」

「・・・胸やお尻はしてくれないの?」

彼はクスリと笑う。

「取り敢えず、全身の経絡と骨格整えとかないとな。女性ホルモン整えるにはそっちも必要だからじきに及ぶ。ま、ゆっくりな。」

彼は誘うような事を言われても、決して焦ったりしない。

ペースは変わらず、その代わりゆったりとしたマッサージに胸が加わった。なでるような癒しと微妙な振動。

服も着たまま。もどかしさに小さく声が出た。
掃くように撫でられてぴくん、と背が反った。
先がもう痛いほどにとがっている。男の手に触られる嫌悪など何処にもなく、触れられたところからさざ波のように熱と快感が流れ込む。

焦れったくて、もどかしくて、思わず手をつかんだら、やんわりと解かれた。

「ダーメ。焦らないで任せな。イきたくなったら、我慢するな。」

微妙な振動が周辺からやっと頂上に達した時、私は枕を噛んだ。
熱を持った電気に近いものが、背筋を疾る。
全身が突っ張り、さざ波のような痙攣を抑えられなかった。

癒しの手は、魔性の手にもなる。触れられたところから女が狂うようだ。


・・・ここまで一方的に遣られたんじゃ、“狂犬”の名が泣くわね。

私は反撃を試みることにし、手を伸ばした。









気がつけば、朝。

・・・・本当に、何年ぶりの清々しい朝だろう。

いつの間にか凝り固まっていた身体を、全部分解して組み直されたような感じ。
凝りを凝りと感じず、疲労を疲労と覚えないまでに疲弊していた身体を、全て一新して貰ったような感覚。
どんなに自分が疲弊していたのか、改めて思い知った。


成る程、夕呼が輝くような生気を得て、髪や肌つやが異様に良いのも納得できた。


・・・これの独り占めは、確かに狡いわね。


しかも下腹部に鈍い重み。

その日私は、久方ぶりに、女の印になった。


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