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No.35536の一覧
[0] 【チラ裏より】Muv-Luv Alternative Change The World[maeve](2016/05/06 12:09)
[1] §01 2001,10,22(Mon) 08:00 白銀家武自室[maeve](2012/10/20 17:45)
[2] §02 2001,10,22(Mon) 08:35 白銀家武自室 考察 3周目[maeve](2013/05/15 19:59)
[3] §03 2001,10,22(Mon) 13:00 白銀家武自室 考察 BETA世界[maeve](2012/10/20 17:46)
[4] §04 2001,10,22(Mon) 20:00 横浜基地面会室 接触[maeve](2012/12/12 17:12)
[5] §05 2001,10,22(Mon) 21:00 B19夕呼執務室 交渉[maeve](2012/12/06 20:40)
[6] §06 2001,10,22(Mon) 21:30 B19夕呼執務室 対価[maeve](2012/10/20 17:47)
[7] §07 2001,10,22(Mon) 22:00 B19夕呼執務室 考察 鑑純夏[maeve](2012/10/20 17:47)
[8] §08 2001,10,22(Mon) 22:30 B19夕呼執務室 考察 分岐世界[maeve](2012/10/20 17:47)
[9] §09 2001,10,22(Mon) 23:00 B19シリンダールーム[maeve](2012/10/20 17:48)
[10] §10 2001,10,23(Tue) 08:00 B19夕呼執務室[maeve](2012/12/06 21:12)
[11] §11 2001,10,23(Tue) 09:15 シミュレータルーム 考察 BETA戦[maeve](2013/01/19 17:36)
[12] §12 2001,10,23(Tue) 10:00 シミュレータルーム 考察 ハイヴ戦[maeve](2015/02/08 11:03)
[13] §13 2001,10,23(Tue) 11:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:23)
[14] §14 2001,10,23(Tue) 12:20 PX それぞれの再会[maeve](2012/12/16 23:01)
[15] §15 2001,10,23(Tue) 13:00 教室[maeve](2012/12/06 00:01)
[16] §16 2001,10,23(Tue) 13:50 ブリーフィングルーム[maeve](2013/05/15 20:03)
[17] §17 2001,10,23(Tue) 18:30 シミュレータルーム[maeve](2015/03/06 21:04)
[18] §18 2001,10,23(Tue) 22:00 B15白銀武個室[maeve](2015/06/19 19:23)
[19] §19 2001,10,23(Tue) 23:10 B19夕呼執務室 考察 因果特異体[maeve](2012/10/20 17:51)
[20] §20 2001,10,24(Wed) 09:00 B05医療センター Op.Milkyway[maeve](2015/02/08 11:06)
[21] §21 2001,10,24(Wed) 10:00 シミュレータルーム 考察 XM3[maeve](2012/12/06 21:17)
[22] §22 2001,10,24(Wed) 13:00 横浜某所 遺産[maeve](2012/11/10 07:00)
[23] §23 2001,10,24(Wed) 21:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:30)
[24] §24 2001,10,24(Wed) 22:00 B19シリンダールーム 暴露(改稿)[maeve](2013/04/04 22:05)
[25] §25 2001,10,24(Wed) 23:00 B19シリンダールーム 覚醒[maeve](2013/04/08 22:10)
[26] §26 2001,10,25(Thu) 10:00 帝都城 悠陽執務室[maeve](2016/05/06 11:58)
[27] §27 2001,10,26(Fri) 22:00 B19夕呼執務室[maeve](2016/05/06 12:35)
[28] §28 2001,10,27(Sat) 09:45 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:22)
[29] §29 2001,10,27(Sat) 11:00 帝都浜離宮茶室[maeve](2015/02/08 10:15)
[30] §30 2001,10,27(Sat) 12:45 帝都浜離宮 回想(改稿)[maeve](2012/12/16 18:30)
[31] §31 2001,10,27(Sat) 14:00 帝都城第2演武場[maeve](2015/01/23 23:26)
[32] §32 2001,10,27(Sat) 15:00 帝都城第2演武場管制棟[maeve](2016/05/06 11:59)
[33] §33 2001,10,27(Sat) 16:00 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:31)
[34] §34 2001,10,28(Sun) 10:00 帝都城第2演武場講堂 初期教導[maeve](2016/05/06 12:00)
[36] §35 2001,10,28(Sun) 13:00 帝都城来賓室[maeve](2016/05/06 12:00)
[37] §36 2001,10,28(Sun) 国連横浜基地[maeve](2012/11/08 22:20)
[38] §37 2001,10,29(Mon) 15:00  B19シリンダールーム 復活[maeve](2013/04/04 22:18)
[39] §38 2001,10,30(Tue) 10:00  A-00部隊執務室 唯依出向[maeve](2016/05/06 12:01)
[40] §39 2001,10,30(Tue) 11:00  B19夕呼執務室 考察 G元素(1)[maeve](2015/03/06 21:07)
[41] §40 2001,10,30(Tue) 15:00  A-00部隊執務室[maeve](2015/02/03 20:59)
[42] §41 2001,10,31(Wed) 10:00 シミュレータルーム[maeve](2016/05/06 12:03)
[43] §42 2001,10,31(Wed) 06:00 アラスカ州ユーコン川[maeve](2016/05/06 12:03)
[44] §43 2001,10,31(Wed) 10:00 司令部ビル 来賓応接室[maeve](2016/06/03 19:20)
[45] §44 2001,10,31(Wed) 12:00 ソ連軍統治区画内 機密研究エリア[maeve](2016/05/06 12:05)
[46] §45 2001,11,01(Thu) 13:00 アルゴス試験小隊専用野外格納庫 考察 戦術機[maeve](2016/05/06 12:06)
[47] §46 2001,11,02(Fri) 12:00 テストサイト18第2演習区画 E-102演習場[maeve](2016/05/06 11:50)
[48] §47 2001,11,02(Fri) 12:15 司令部棟 B05 相互評価演習専用指揮所[maeve](2016/05/06 12:06)
[49] §48 2001,11,03(Sat) 05:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/02/03 21:01)
[50] §49 2001,11,03(Sat) 09:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/01/04 19:23)
[51] §50 2001,11,02(Fri) 20:00 ユーコン基地[maeve](2016/05/06 12:07)
[52] §51 2001,11,03(Sat) 点景[maeve](2016/05/06 12:08)
[53] §52 2001,11,04(Sun) 07:30  A-00部隊執務室[maeve](2016/05/06 12:08)
[55] §53 2001,11,04(Sun) 20:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/06/19 19:45)
[56] §54 2001,11,05(Mon) 09:00 ブリーフィングルーム[maeve](2015/01/24 18:43)
[57] §55 2001,11,06(Tue) 10:00 帝都城第2連隊戦術機ハンガー[maeve](2015/06/05 13:06)
[58] §56 2001,11,07(Wed) 10:00 横浜基地70番ハンガー[maeve](2015/03/06 20:56)
[59] §57 2001,11,08(Thu) 14:00 帝都浜離宮来賓室[maeve](2015/09/05 17:29)
[60] §58 2001,11,08(Thu) 15:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(1)[maeve](2013/04/16 21:00)
[61] §59 2001,11,08(Thu) 15:30 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(2)[maeve](2015/01/04 19:04)
[62] §60 2001,11,08(Thu) 16:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(3)[maeve](2015/02/03 21:19)
[63] §61 2001,11,09(Fri) 11:05 新潟空港跡地付近[maeve](2015/10/07 16:50)
[64] §62 2001,11,10(Sat) 23:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/03/06 21:15)
[65] §63 2001,11,11(Sun) 05:50 燕市スポーツ施設体育センター跡[maeve](2015/06/19 19:48)
[66] §64 2001,11,11(Sun) 06:52 旧海辺の森跡付近[maeve](2016/06/03 19:25)
[67] §65 2001,11,11(Sun) 07:15 旧燕市公民館跡付近[maeve](2016/05/06 11:55)
[68] §66 2001,11,11(Sun) 07:24 連合艦隊第2艦隊旗艦“信濃”[maeve](2016/05/06 11:56)
[69] §67 2001,11,11(Sun) 07:44 旧新潟亀田IC付近[maeve](2015/09/11 17:22)
[70] §68 2001,11,11(Sun) 08:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 09:53)
[71] §69 2001,11,11(Sun) 08:15 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 10:00)
[72] §70 2001,11,11(Sun) 08:20 旧北陸自動車道新潟西IC付近[maeve](2014/12/29 20:34)
[73] §71 2001,11,11(Sun) 08:25 帝都上空[maeve](2015/08/21 18:44)
[74] §72 2001,11,11(Sun) 10:30 三条市荒沢R289沿い[maeve](2015/02/04 22:07)
[75] §73 2001.11.12(Mon) 09:30 PX[maeve](2015/09/05 17:34)
[76] §74 2001.11.13(Tue) 09:00 帝都港区赤坂 九條本家[maeve](2015/04/11 23:27)
[77] §75 2001,11,13(Tue) 10:30 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2015/12/26 14:19)
[78] §76 2001,11,13(Tue) 19:50 B19フロア 夕呼執務室 考察G元素(2)[maeve](2016/05/06 12:19)
[79] §77 2001,11,14(Wed) 09:00 講堂[maeve](2016/05/06 12:25)
[80] §78 2001,11,15(Thu) 22:22 B15 通路[maeve](2016/05/06 12:31)
[81] §79 2001,11,15(Thu) 15:00(ユーコン標準時GMT-8) ユーコン基地滑走路[maeve](2015/10/07 16:54)
[82] §80 2001,11,16(Fri) 10:15(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/09/05 17:41)
[83] §81 2001,11,16(Fri) 10:55(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト18[maeve](2015/10/07 16:57)
[84] §82 2001,11,16(Fri) 16:30(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/05/31 10:24)
[85] §83 2001,11,16(Fri) 21:00(GMT-8) リルフォート歓楽街 “Da Bone”[maeve](2015/10/07 17:03)
[86] §84 2001,11,17(Sat) 17:00(GMT-8) イーダル小隊専用野外格納庫 衛士控室[maeve](2015/06/20 23:51)
[87] §85 2001,11,18(Sun) 17:20(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト37 幕間?[maeve](2015/05/31 20:15)
[88] §86 2001,11,18(Sun) 22:00(GMT-8) アルゴス試験小隊専用野外格納庫[maeve](2016/05/06 11:46)
[89] §87 2001,11,19(Mon) 13:00(GMT-8) ユーコン基地 居住区フードコート[maeve](2015/06/19 20:13)
[90] §88 2001,11,19(Mon) 18:12(GMT-8) ユーコン基地 演習区外米国緩衝エリア[maeve](2015/12/26 14:23)
[91] §89 2001,11,19(Mon) 18:50(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/12/26 14:25)
[92] §90 2001,11,19(Mon) 20:45(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/10/07 17:13)
[93] §91 2001,11,19(Mon) 21:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画[maeve](2015/10/07 17:15)
[94] §92 2001,11,20(Tue) 03:30(GMT-8) ソビエト連邦租借地 ヴュンディック湖付近[maeve](2015/08/28 20:32)
[95] §93 2001,11,21(Wed) 14:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画内 総合司令室[maeve](2015/10/07 17:20)
[96] §94 2001.11.22(Thu) 03:00(GMT-8) アラスカ州ランパート付近[maeve](2015/12/26 14:28)
[97] §95 2001.11.23(Fri) 18:00(GMT+9) 横浜基地 B20高度機密区画[maeve](2015/08/28 20:08)
[98] §96 2001.11.24(Sat) 15:00 横浜基地 B17 A-00部隊執務室[maeve](2016/06/03 19:39)
[99] §97 2001.11.25(Sun) 02:00(GMT-?) 某国某所[maeve](2015/12/26 14:33)
[100] §98 2001.11.25(Sun) 13:30 横浜基地 北格納庫管制制御室[maeve](2016/06/04 14:06)
[101] §99 2001.11.25(Sun) 18:00 横浜基地本館 メインバンケット モニタールーム[maeve](2015/10/31 14:40)
[102] §100 2001.11.26(Mon) 06:30 横浜基地本館 ゲスト棟[maeve](2016/05/06 11:44)
[103] §101 2001.11.26(Mon) 17:15 横浜基地 モニタールーム[maeve](2016/05/15 12:14)
[104] §102 2001.11.27(Tue) 06:00 国連横浜基地 第2グランド[maeve](2016/06/03 19:42)
[105] §103 2001.11.28(Wed) 09:00 国連横浜基地 XM3トライアル V-JIVES[maeve](2016/05/14 13:10)
[106] §104 2001.11.28(Wed) 17:00 国連横浜基地 米軍割当外部ハンガー ミーティングルーム[maeve](2016/06/04 06:10)
[107] §105 2001.11.28(Wed) 17:40 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2016/06/10 23:26)
[108] §106 2001.11.28(Wed) 18:00 国連横浜基地 Bゲート付近 〈Valkyrie-04〉コックピット[maeve](2019/03/26 22:16)
[109] §107 2001.11.28(Wed) 21:00 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2019/03/30 00:03)
[110] §108 2001.11.28(Wed) 21:00(GMT-5) ニューヨーク レストラン “Par Se”[maeve](2019/06/30 17:55)
[112] §109 2001.11.29(Thu) 09:00(GMT-5) ニューヨーク国連本部 安保緊急理事会[maeve](2019/05/05 21:16)
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[35536] §31 2001,10,27(Sat) 14:00 帝都城第2演武場
Name: maeve◆e33a0264 ID:53eb0cc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2015/01/23 23:26
'12,10,28 upload  ※難産^^;戦闘は難しい
'15,01,04 斑鳩閣下の名前変更
'15,01,23 誤字修正


Side 武


94式戦術歩行戦闘機“不知火”。
数多の傍系記憶が畳み込まれたオレの経験に於いて、最も“馴染んだ”機体だった。
紅蓮大将との模擬戦に於いて、機体の選択を迫られたとき、一も二もなくこの機体を選んだ。

勿論相手は武御雷、しかも“赤”TypeFに搭乗する“日本最高峰の衛士”、紅蓮醍三郎大将閣下。
出力比だけでも、およそ1.5倍強の差があることは理解している。
傍系記憶で武御雷に乗ったときはその差に感動すらしたほどだ。
今回のループでは、斉御司筋なので、“青”でも構いませぬよ、と殿下にも言われた。

決して舐めている訳ではないのだが、それでも、今現在、ここ一番の勝負所では“不知火”を選ぶ。
さらに、不知火+XM3で、紅蓮機を墜とす、それがオレの拘りでもあった。
XM3がもたらす物、それはパワーではなくスピード。敏捷性:agilityと言った方が良いかもしれない。XM3の真価を理解して貰う事が重要と考えるオレとしては、同等パワーで押し切りました、ではしょうがないのだ。
尤も、閣下としてはオレの腕を見たいだけ、戦いたいだけ、という側面が在ることも理解しているが。


幾多の経験をも取り込み、一種の対BETA用ゲーム脳、と彼方が揶揄するオレにとって、BETAは怖い存在ではない。接敵すれば、考えるまでもなく勝手に身体が動く。寧ろオレは、個々のBETAよりも戦域全体の動きに気を配りつつ、全体の流れを統制することに終始したりする。
部隊を預かった経験、中にはその判断ミスで僚機を喪った苦い記憶にも依るところが大きいのだろう。
常に、“生き抜く”ことを前提に流れを見極めた。時に臆病と罵られた記憶もある。
“死しては何をも護れない” ことを念頭に護り続けた経験。それでも、結局力及ばず幾度も果てた。
今度こそ、と意気込むのは自分でも突っ込み過ぎと思うが、仕方ないことと割り切った。

その対BETA戦に比して、対人戦は、全く異なる。
ロボットだけに機動・性能が完全に統一されたBETAに比べ、人はその機動の幅が広すぎる。
技量や機体にもよるが正確や気分、その時の精神状態でもコロコロ変わる。
数多の傍系記憶には、対人戦闘の記憶も在るし、今A-01に於いて行っている教導も一部にはマニアも居て、対人戦闘も多分に含まれているが、経験による反射と言うよりは、予測と反応速度で対応しているようなものだった。


そして、目の前に居るのは、恐らくそれだけでは足りない相手。

正面に立つ、00式戦術歩行戦闘機“武御雷”TypeF、“赤”の機体。

XM3未搭載とはいえ、侮れる相手では到底あり得ない。
傍系記憶にもあるが、この“機”と“衛士”のデタラメさは、よくわかっている。
勿論JIVESであり、弾はペイント弾、長刀短刀は刀体をシリコンに換えた練習刀であるが、それでもまともに食らえば、腕の一本は飛ばされそうだ。


その距離は100m。

互いに接敵前の、探知や隠遁など面倒くさい小細工は一切無し。
正面からのガチ。

紅蓮機から、霊光が覇気となって立ち上る。
背筋にゾクゾクする殺気を感じながら、オレは自分の口角が吊り上がるのを自覚していた。






北の丸に位置する帝都城第2演武場。赤坂に在る、滑走路に併設された第1演武場に比べ、規模は小さいが、帝都城内裏だけあって施設は充実している。
将軍の身辺警護を行う斯衛軍第2大隊、及び斯衛軍の中から更に精鋭を集めた第16斯衛大隊の駐屯地でもあり、土曜日の午後とはいえ、施設を使って自主訓練に励む斯衛軍衛士も多数見受けられた。

そこに“上意”で演武場を封鎖し、現れた2機の戦術機。

一機は“赤”の武御雷、しかも頭部アンテナの彩色“金”は、大将機。
もう一方は、何の変哲もない不知火。

管制室は立ち入り禁止とされたが、観戦エリアは特に制限が設けられなかった為、自主訓練を止めた衛士を中心に、結構な人数が集まっていた。

明らかに、これから起きることを期待する空気。


国内最高峰の衛士と謳われる紅蓮閣下ではあるが、一部ではバトル・フリークとしても有名であり、部隊訓練の観閲などした日には、有望と目を付けた衛士に自ら教練を付けることでも知られていた。
“紅蓮の鬼”ともあだ名されるその教練は厳しく、勿論相当な高位者でも閣下相手に数分と持たない。

そこそこ互角に打ち合えると言われるのは、神野大将くらい。一矢報いることが出来るのが第2連隊隊長の斉御司巴大佐、第16大隊隊長の斑鳩崇継中佐、御子神遥華少佐、無現鬼道流同門である月詠真那中尉等極限られた人間だけだ。

相手が不知火なので、斯衛でない事も考えられるが、この衛士が“紅蓮の鬼”を相手に、何処まで保つか、それが観戦している者の共通する興味であった。






管制を務める真那さんの“始め!”の声。

それを殆ど聞く間を置かず、駆け抜けた一陣の風。


「・・・・遣ってくれますね!」

唇が歪む。笑みが零れてしまう。

長刀を構えながら、抜き撃ちのように副腕でまさかの一射をしてきたのだ。
反射的に頭部を傾げていなかったら、いきなりセンサーを持って行かれるところだった。

と言いつつ、こちらもスラスターを噴かせて一気に距離を詰める。
続く偏差射撃を直前で止まることでやり過ごし、移動の慣性を円運動に換えながら長刀を薙いだ。


ガギン。

長刀同士のシリコン部を抜け、フレームがぶつかり合った衝撃。僅かに長刀を逸らし、関節への衝撃を緩和しつつ、そのままトンボを切る。

案の定、反す刀での連撃が、虚空を切った。


これでXM3未搭載と言うのだから、信じられない。
斯衛流入力術の極致とでもいうのか。一瞬の機体反応は遅くとも、その溢れるパワーで加速度を稼ぐ。

無現鬼道流師範。冥夜の師匠。
ここのところ訓練で何度か冥夜とも模擬刀の鍔を競り合い、鎬を削った。
・・・にしたって、それは生身での話である。

その生身での“達人”の動きを、平然と戦術機[●●●]で行うのだから、この人も規格外には違いない。


空中に逃げたオレに、36mmの追撃。

勿論“生身”なら空中に逃げた段階で“詰み”だ。
空中ではせいぜい姿勢を変える手段しか無く、重心は初速で定めた放物線を描くしか無いからだ。

だが、コレは戦術機。
機体を捻りながら牽制に120mmを一発。

予測した方向に避ける紅蓮機の上方にスラスターの一吹きで機体を滑らせたオレは、落下荷重と回転する機体のモーメントを乗せた長刀を、そこに叩き付けた。



『紅蓮機、副腕損傷、使用不能。白銀機、突撃砲損傷、使用不能。』



激突後、左右に弾けて、再び対峙した2騎に、真那さんのアナウンス。
副腕を潰したのはいいが、とっさに反した長刀で突撃砲を持って行かれた。

皆伝の冥夜と比べ、更にそこから永い研鑽を積み、境地に至った“達人”。
色々な意味で“綺麗”な冥夜の剣筋とは異なる。
生死も超越した領域から、一閃の剣戟。
その剣筋は融通無碍であり、最早、奥義とかという“型”に嵌ったレベルではない。

“武”のみを愚直に求めた武人が、戦術機に体現するその“極致”。


・・・やっぱ、半端ないっすよ、紅蓮閣下!






観戦エリアは、静まりかえっていた。


今目の前で起きた出来事が、信じられない。

閃光の様な武御雷の初撃、それですら初めて見る。
今回の模擬戦は、見る者に配慮してか、ペイント弾が曳光仕様になっていた。
その光の残像は、一撃で不知火の頭部を貫いた様に見えたのだった。
今までの閣下の教練は何時だって受け身だった。自らが先に攻めれば、教練もなにもなく、一瞬で終わる事を承知していたから。

しかし、それを紙一重で躱しつつ、縮地の様な機動で接近した不知火は、続く射撃を予期していたように急停止、その勢いを旋回運動に換え、長刀をなぎ払った。

信じられなかったのは、そこからの機動。


“戦場では飛ぶな”


それが訓練兵以来、衛士に言われる言葉だった。
光線級の出現以来、“空”は、BETAのもの、飛べばレーザーに打ち抜かれる。
それが常識だった。

果敢に吶喊した不知火は、しかし初撃を止められ、続く連撃に一合で終わる、そう言う状況だった。
その速度は驚嘆すべきモノが在ったが、相手は“紅蓮の鬼”である。
既に突撃砲は退路を予測した射線を保持しており、長刀は溜められ、不知火が退いた瞬間にそれが炸裂して終わり、と高位の衛士は予測していた。

それを、トンボを切ることで宙に翻り、長刀の追撃も躱し、好機と見た突撃砲の照準を120mmキャニスター弾で牽制、スラスターで機体を滑らせ、そこに移動した武御雷に長刀を叩き付けた。

上部を向いていた副腕が飛ばされ、代わりに突きだした剣閃で、突撃砲を飛ばされたが、死地から一気に互角にまで持って行ったのだ。


・・・・・今まで、先の5名以外触った事のない、金角カラーの武御雷に小破判定を与えて・・・・。


何という、空中機動。
完全な3次元空間に於いて、不安定なと言うか、月面宙返り状態の様な姿勢から、バーニアの噴射で狙った位置に的確に機体を滑らせた。
そこからの一切の外連味無い、落雷のような剣戟も見事!の一言だった。

今まで見たことも、聞いたこともない戦術機の3次元機動。
観戦エリアの全員が、息をするのも憚れるような緊張の中、食い入るようにその模擬戦に見入った。






対峙する武御雷の雰囲気は、変わらない、と言うか、どこか楽しげにも見える。
閣下ほどの達人とも成れば、そうそうその実力を解放できる機会もないのかも知れない。

コレは、今後速瀬中尉みたいにならないよな?、と一抹の不安を抱えつつ気を引き締める。

お互い突撃砲を喪い、長刀を構えている。相手の突撃砲自体は生きているが、お互い拾う隙はない。

閣下が無拍子や縮地の域に達していることは知っているし、こちらが其れに近いことが出来る事も、初撃の攻防で知られているはず。

コレは、武御雷にXM3導入したら、相手をするのは不知火じゃ確実に無理だな、と思う。
恐らく、閣下の武御雷は、TypeRに近いチューンが施されているのだろう。予測よりも1割増しで早い。
単純な力押しに成らずそのパワーでXM3のアドバンテージであるスピードを補われたら、同じXM3を搭載した途端、不知火が負ける。

それでも、今は互角。後は“腕” 次第、か。

すいません、紅蓮閣下。XM3の有用性を示す為にも、此処[●●]では負けられません。

・・・・・“入らせて”、戴きます。






息を呑むような対峙。

先に動いた方が負ける、とでも言うような緊張感。
“達人”同士が見せる最高の演武。

フ、と、不知火の雰囲気が変わった様に見えた。

瞬間、不知火が消えた。
少なくとも、消えたようにしか見えなかった。


ガガガガガ、と地響きのような連続音。

一瞬で武御雷に接近した不知火が、腕が8本にも見えるような連続斬撃。
そして其れを武御雷が受けきっている音だと気付いたのは、一瞬の後。


信じられない・・・。


あの“融通無碍”の“紅蓮の鬼”が、その“変幻自在”な連続攻撃に、防戦一方に立たされていた。

寧ろ、良く堪え忍んでいる、と言った風情。

其れなのに、受ける剣の反動すら利用するように、攻撃側の回転速度が徐々に上がってゆく。

人の目では追いきれない、“戦術機”だからこそ実現できる速度の“攻防”。


武御雷が“間”を取ろうとし、それが困難と悟ると、防戦の中にも前に出ての反撃を試みるが、その度に3次元機動でそれを躱す。
振るう長刀の剣先は平面で在るから、通常は後退するしかない斬撃を、上方[●●]に躱し、その空中に於いてバーニアを巧みに使うことにより、まるでそこに足場が在るかのような機動を行う。
まったく何も無い空中で、三角飛びやバレルロールをしながら斬撃を放ってくる。

これは、いかな経験豊富な“紅蓮の鬼”とて、初めての体験。
平面で戦った事しかない人間が、いきなり天地もない宇宙空間で戦っているような感覚。

敵を“前”に戦うことに比べ、“上”に置いた時の攻撃予測などいきなり出来る訳がない。


・・・・しかし、この機動は一体なんなのだ?


徐々に削られていく武御雷、削る不知火。
圧倒的な機体性能さえ覆す、驚愕の空中殺法。

なにか、とてつもないモノを見ているのではないか?

観戦エリアは、声も無かった。








『紅蓮機、機関部大破、戦闘不能。白銀機、左腕大破、・・・よって本模擬戦は白銀機の勝利。』


アナウンスとともに遠ざかっていた音が戻ってくる。
色を失っていた世界に色が戻り、 “ゆっくり”と流れていた時間も元に戻った。

彼方に言わせると、フローとかZONE、ピークエクスペリエンスと呼ばれる状態らしい。
心理学者のミハイ・チクセントミハイが提唱し、様々な分野で言及されているという。・・・少なくとも元の世界では。もともと色々なところで見受けられた現象らしいが。
一流のアスリートが極度に集中した時に見られる現象で、全ての脳神経活動が目的にのみ向かい、眠っている脳の一部すら覚醒させることも在るらしい。
音、つまり聴覚や味覚嗅覚の消失、視覚に於いても色彩情報の欠落、それに伴う時間感覚の伸長、反応速度の向上、結果の幻視等が上げられるという。
今回三度目となる世界に覚めて、シミュレーションや実機で戦術機を操るウチに、“自分で”その状態に移れることに気がつき、彼方に相談したところ返ってきた答が、それだった。
そしてその状態に於ける訓練の方法も教えてくれた。明確な目的意識、集中力。それは霞と純夏が行ってくれるサイコダイブでも領域拡大が出来るらしく、少しずつだが訓練もしてきた。
ただし使い過ぎは、当然極度の疲労を招くため、時間制限が必要・・・と言うか集中力が切れて抜けてしまうのだが。


けど、それを使ってまでしても、結局15分も粘り抜かれ、最後の最後には左腕を持って行かれた閣下の方が怖いんですが・・・。
あと少し粘られたら、こちらの推進剤も集中力も保たなかった。
見た目とは裏腹の、かなり薄氷の勝利である。

閣下はこの先、何処まで行くんですか?


Sideout




Side 巴


城内省の並びにある斯衛軍参謀本部がざわついたのは、2時過ぎ。


基本教練のない土曜の午後は、少しだけ緩んだ空気が流れる。

2年前に横浜を取り戻し、BETAも佐渡と大陸に押し返した。それでもBETAに占領されていた土地は使われた劣化ウラン弾や重金属汚染で、当分使い物に成らない死した大地。取り分けG弾の使われた横浜の地は、植生の回復すら目処も付かなかった。

焦燥。

こうしている間にもBETAは増殖し、次の侵攻を整えているというのに、海を挟んだ今、散発的な間引きすら実施できていない。
教練に身を置いている間は良い。それらを忘れられる。
しかし、こうしてぽっかり時間が空くと、過去を、未来を思わずに居られない。

五摂家の枠がどうしても嫌で家を飛び出した姉。何れ来る日本侵攻に備え帝国陸軍から大陸派兵に参加した義兄。二人は’95に亡くなった。
二人の最期は今や知る由もなく、その3年後には、彼らの忘れ形見である甥すらも、横浜侵攻で死亡となった。盆暮れの度に幼なじみと京都を訪れ、御剣家の息女と遊んでいた潜在的な女誑し。そのクセ真っ直ぐで妙にヘタレ。弄ると真っ赤になる楽しい奴だったのに・・・。
6歳も離れた姉なのに、今年、とうとうその年齢に追いついてしまった。故郷京都の菩提寺すら既に無く、七回忌も出来ぬままに。
・・・人類の85%が既に喪われたのである。ありふれた風景なのかも知れないが。


止め止め!、私らしくもない!

其れよりも何か騒がしい。何が起きていると言うのだ?


隊長執務室を出ると、大隊事務室になっている。秘書官や通信担当官、情報担当官が全て部屋のミーティングコーナーの大型モニターにかじりついていた。

「何ご・・・」

「あ、斉御司大佐。」

敬礼を返す担当官を手で制し、画面に見入る。

「・・・・コレは?」

「は、只今第2演武場で行われている模擬戦にございます。何時もの紅蓮閣下の教練と思ったのですが・・・。」

「・・・・・。」

画面に釘付けになる。
確かにライブ映像。だが、おかしい。
一方的に斬撃を受けているのは“赤”の武御雷、金の彩色角は、紛れもない紅蓮閣下の機体。
そして国内最高峰といわれ、私ですらまだ大破判定を奪ったことのない衛士を相手に、一方的な攻勢をしかけるのは、なんと不知火。

・・・・そう言えば、今日閣下は、所用で人に会う、と言って居なかったか?
これが、その相手?


・・・しかし、この不知火、動きが良すぎる[●●●●●●●]。何らかの改造?、外見上変化は亡いところを見るとチューンの範囲か?

そして、この衛士の機動はなんだ?
移動時以外、空を飛ぶことすら憚れるこの時勢に、ここまで完璧に3次元機動をモノにし、攻撃を継続できる衛士など、聞いたこともない。
奴の周りだけ、重力が無い[●●●●●]ように感じる。

そしてハタと思い当たる。
これだけの機動が可能なら、光線属種の照射すら、躱すことが出来る?
衛士の機動に合わせてカウントする。光線級の照射なら、いやと言うほど知っている。
そして、予備照射から本照射の間に、躱しきる不知火。
・・・・背筋をゾクゾクと這い上る興奮。

これは!
それが可能なら、膠着したBETAとの戦闘に、革命を起こすことが出来る!


しかし、コヤツ、なんというラッシュ。
それを凌いでいる閣下も凄まじい。
これを見てしまうと、まだ私は手加減されているのだなと、思わずに居られない。

チッ・・・・タヌキめ。


「・・・む?」

暫し息も呑むような張り詰めた攻防を眺め、気付いてしまった。

この異次元の衛士が3次元機動を仕掛ける時の、ほんの僅かなクセ[●●]
相手が並の衛士なら、一撃で墜とされているから、明らかになることもないのだろう。
そして今観戦エリアや、この映像を見ている者の何名が気付いただろうか。
本当に些細な、隙とも言い切れないほどの解れ。
しかし、凌ぎ続ける紅蓮機に、流石に焦りが出てきたのか。
一方的に空中から仕掛ける為、推進剤にも不安はあろう。


・・・・当然だ。

これだけの手数、精緻な3次元機動、その集中力や、なんたるものか。

だからこそ、凌ぐ閣下には判って居るはずである。
相手の集中力の綻び。長引くことに依る推進剤の消耗、その焦り。
それが、クセを助長していることも。
ほんの僅かなクセであるが、それを見逃すほど、閣下は甘い衛士ではない。

その証拠に、相手の衛士に気付かれないよう、逆に弱り掛けている様相を見せ、掠り傷が多くなる。
閣下の、誘い。


好機!、と見たか、不知火が、翔た。


乾坤一擲!

狙い澄ました閣下の一閃は、跳躍からマニューバに移る一瞬の隙を突き、模擬刀でありながら不知火の左腕を切り飛ばした。

その瞬間、武御雷の胴を、いつの間にか逆手に持ち替えた不知火の長刀が、薙ぎ払った。


!!!!


静まりかえる画面。

・・・・JIVESが、機関部大破判定を下したのだろう。

頽れる武御雷。

左腕を失って、尚そびえ立つ不知火。



まさか、・・・まさか其れすら誘いだったか!

見事! と言うしかない!

何という、衛士!


・・・・これは、閣下に直談判の必要が在るわね!

そう思って指をワキワキさせていたら、電話が鳴った。


Sideout




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