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No.35536の一覧
[0] 【チラ裏より】Muv-Luv Alternative Change The World[maeve](2016/05/06 12:09)
[1] §01 2001,10,22(Mon) 08:00 白銀家武自室[maeve](2012/10/20 17:45)
[2] §02 2001,10,22(Mon) 08:35 白銀家武自室 考察 3周目[maeve](2013/05/15 19:59)
[3] §03 2001,10,22(Mon) 13:00 白銀家武自室 考察 BETA世界[maeve](2012/10/20 17:46)
[4] §04 2001,10,22(Mon) 20:00 横浜基地面会室 接触[maeve](2012/12/12 17:12)
[5] §05 2001,10,22(Mon) 21:00 B19夕呼執務室 交渉[maeve](2012/12/06 20:40)
[6] §06 2001,10,22(Mon) 21:30 B19夕呼執務室 対価[maeve](2012/10/20 17:47)
[7] §07 2001,10,22(Mon) 22:00 B19夕呼執務室 考察 鑑純夏[maeve](2012/10/20 17:47)
[8] §08 2001,10,22(Mon) 22:30 B19夕呼執務室 考察 分岐世界[maeve](2012/10/20 17:47)
[9] §09 2001,10,22(Mon) 23:00 B19シリンダールーム[maeve](2012/10/20 17:48)
[10] §10 2001,10,23(Tue) 08:00 B19夕呼執務室[maeve](2012/12/06 21:12)
[11] §11 2001,10,23(Tue) 09:15 シミュレータルーム 考察 BETA戦[maeve](2013/01/19 17:36)
[12] §12 2001,10,23(Tue) 10:00 シミュレータルーム 考察 ハイヴ戦[maeve](2015/02/08 11:03)
[13] §13 2001,10,23(Tue) 11:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:23)
[14] §14 2001,10,23(Tue) 12:20 PX それぞれの再会[maeve](2012/12/16 23:01)
[15] §15 2001,10,23(Tue) 13:00 教室[maeve](2012/12/06 00:01)
[16] §16 2001,10,23(Tue) 13:50 ブリーフィングルーム[maeve](2013/05/15 20:03)
[17] §17 2001,10,23(Tue) 18:30 シミュレータルーム[maeve](2015/03/06 21:04)
[18] §18 2001,10,23(Tue) 22:00 B15白銀武個室[maeve](2015/06/19 19:23)
[19] §19 2001,10,23(Tue) 23:10 B19夕呼執務室 考察 因果特異体[maeve](2012/10/20 17:51)
[20] §20 2001,10,24(Wed) 09:00 B05医療センター Op.Milkyway[maeve](2015/02/08 11:06)
[21] §21 2001,10,24(Wed) 10:00 シミュレータルーム 考察 XM3[maeve](2012/12/06 21:17)
[22] §22 2001,10,24(Wed) 13:00 横浜某所 遺産[maeve](2012/11/10 07:00)
[23] §23 2001,10,24(Wed) 21:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:30)
[24] §24 2001,10,24(Wed) 22:00 B19シリンダールーム 暴露(改稿)[maeve](2013/04/04 22:05)
[25] §25 2001,10,24(Wed) 23:00 B19シリンダールーム 覚醒[maeve](2013/04/08 22:10)
[26] §26 2001,10,25(Thu) 10:00 帝都城 悠陽執務室[maeve](2016/05/06 11:58)
[27] §27 2001,10,26(Fri) 22:00 B19夕呼執務室[maeve](2016/05/06 12:35)
[28] §28 2001,10,27(Sat) 09:45 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:22)
[29] §29 2001,10,27(Sat) 11:00 帝都浜離宮茶室[maeve](2015/02/08 10:15)
[30] §30 2001,10,27(Sat) 12:45 帝都浜離宮 回想(改稿)[maeve](2012/12/16 18:30)
[31] §31 2001,10,27(Sat) 14:00 帝都城第2演武場[maeve](2015/01/23 23:26)
[32] §32 2001,10,27(Sat) 15:00 帝都城第2演武場管制棟[maeve](2016/05/06 11:59)
[33] §33 2001,10,27(Sat) 16:00 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:31)
[34] §34 2001,10,28(Sun) 10:00 帝都城第2演武場講堂 初期教導[maeve](2016/05/06 12:00)
[36] §35 2001,10,28(Sun) 13:00 帝都城来賓室[maeve](2016/05/06 12:00)
[37] §36 2001,10,28(Sun) 国連横浜基地[maeve](2012/11/08 22:20)
[38] §37 2001,10,29(Mon) 15:00  B19シリンダールーム 復活[maeve](2013/04/04 22:18)
[39] §38 2001,10,30(Tue) 10:00  A-00部隊執務室 唯依出向[maeve](2016/05/06 12:01)
[40] §39 2001,10,30(Tue) 11:00  B19夕呼執務室 考察 G元素(1)[maeve](2015/03/06 21:07)
[41] §40 2001,10,30(Tue) 15:00  A-00部隊執務室[maeve](2015/02/03 20:59)
[42] §41 2001,10,31(Wed) 10:00 シミュレータルーム[maeve](2016/05/06 12:03)
[43] §42 2001,10,31(Wed) 06:00 アラスカ州ユーコン川[maeve](2016/05/06 12:03)
[44] §43 2001,10,31(Wed) 10:00 司令部ビル 来賓応接室[maeve](2016/06/03 19:20)
[45] §44 2001,10,31(Wed) 12:00 ソ連軍統治区画内 機密研究エリア[maeve](2016/05/06 12:05)
[46] §45 2001,11,01(Thu) 13:00 アルゴス試験小隊専用野外格納庫 考察 戦術機[maeve](2016/05/06 12:06)
[47] §46 2001,11,02(Fri) 12:00 テストサイト18第2演習区画 E-102演習場[maeve](2016/05/06 11:50)
[48] §47 2001,11,02(Fri) 12:15 司令部棟 B05 相互評価演習専用指揮所[maeve](2016/05/06 12:06)
[49] §48 2001,11,03(Sat) 05:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/02/03 21:01)
[50] §49 2001,11,03(Sat) 09:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/01/04 19:23)
[51] §50 2001,11,02(Fri) 20:00 ユーコン基地[maeve](2016/05/06 12:07)
[52] §51 2001,11,03(Sat) 点景[maeve](2016/05/06 12:08)
[53] §52 2001,11,04(Sun) 07:30  A-00部隊執務室[maeve](2016/05/06 12:08)
[55] §53 2001,11,04(Sun) 20:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/06/19 19:45)
[56] §54 2001,11,05(Mon) 09:00 ブリーフィングルーム[maeve](2015/01/24 18:43)
[57] §55 2001,11,06(Tue) 10:00 帝都城第2連隊戦術機ハンガー[maeve](2015/06/05 13:06)
[58] §56 2001,11,07(Wed) 10:00 横浜基地70番ハンガー[maeve](2015/03/06 20:56)
[59] §57 2001,11,08(Thu) 14:00 帝都浜離宮来賓室[maeve](2015/09/05 17:29)
[60] §58 2001,11,08(Thu) 15:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(1)[maeve](2013/04/16 21:00)
[61] §59 2001,11,08(Thu) 15:30 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(2)[maeve](2015/01/04 19:04)
[62] §60 2001,11,08(Thu) 16:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(3)[maeve](2015/02/03 21:19)
[63] §61 2001,11,09(Fri) 11:05 新潟空港跡地付近[maeve](2015/10/07 16:50)
[64] §62 2001,11,10(Sat) 23:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/03/06 21:15)
[65] §63 2001,11,11(Sun) 05:50 燕市スポーツ施設体育センター跡[maeve](2015/06/19 19:48)
[66] §64 2001,11,11(Sun) 06:52 旧海辺の森跡付近[maeve](2016/06/03 19:25)
[67] §65 2001,11,11(Sun) 07:15 旧燕市公民館跡付近[maeve](2016/05/06 11:55)
[68] §66 2001,11,11(Sun) 07:24 連合艦隊第2艦隊旗艦“信濃”[maeve](2016/05/06 11:56)
[69] §67 2001,11,11(Sun) 07:44 旧新潟亀田IC付近[maeve](2015/09/11 17:22)
[70] §68 2001,11,11(Sun) 08:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 09:53)
[71] §69 2001,11,11(Sun) 08:15 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 10:00)
[72] §70 2001,11,11(Sun) 08:20 旧北陸自動車道新潟西IC付近[maeve](2014/12/29 20:34)
[73] §71 2001,11,11(Sun) 08:25 帝都上空[maeve](2015/08/21 18:44)
[74] §72 2001,11,11(Sun) 10:30 三条市荒沢R289沿い[maeve](2015/02/04 22:07)
[75] §73 2001.11.12(Mon) 09:30 PX[maeve](2015/09/05 17:34)
[76] §74 2001.11.13(Tue) 09:00 帝都港区赤坂 九條本家[maeve](2015/04/11 23:27)
[77] §75 2001,11,13(Tue) 10:30 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2015/12/26 14:19)
[78] §76 2001,11,13(Tue) 19:50 B19フロア 夕呼執務室 考察G元素(2)[maeve](2016/05/06 12:19)
[79] §77 2001,11,14(Wed) 09:00 講堂[maeve](2016/05/06 12:25)
[80] §78 2001,11,15(Thu) 22:22 B15 通路[maeve](2016/05/06 12:31)
[81] §79 2001,11,15(Thu) 15:00(ユーコン標準時GMT-8) ユーコン基地滑走路[maeve](2015/10/07 16:54)
[82] §80 2001,11,16(Fri) 10:15(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/09/05 17:41)
[83] §81 2001,11,16(Fri) 10:55(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト18[maeve](2015/10/07 16:57)
[84] §82 2001,11,16(Fri) 16:30(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/05/31 10:24)
[85] §83 2001,11,16(Fri) 21:00(GMT-8) リルフォート歓楽街 “Da Bone”[maeve](2015/10/07 17:03)
[86] §84 2001,11,17(Sat) 17:00(GMT-8) イーダル小隊専用野外格納庫 衛士控室[maeve](2015/06/20 23:51)
[87] §85 2001,11,18(Sun) 17:20(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト37 幕間?[maeve](2015/05/31 20:15)
[88] §86 2001,11,18(Sun) 22:00(GMT-8) アルゴス試験小隊専用野外格納庫[maeve](2016/05/06 11:46)
[89] §87 2001,11,19(Mon) 13:00(GMT-8) ユーコン基地 居住区フードコート[maeve](2015/06/19 20:13)
[90] §88 2001,11,19(Mon) 18:12(GMT-8) ユーコン基地 演習区外米国緩衝エリア[maeve](2015/12/26 14:23)
[91] §89 2001,11,19(Mon) 18:50(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/12/26 14:25)
[92] §90 2001,11,19(Mon) 20:45(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/10/07 17:13)
[93] §91 2001,11,19(Mon) 21:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画[maeve](2015/10/07 17:15)
[94] §92 2001,11,20(Tue) 03:30(GMT-8) ソビエト連邦租借地 ヴュンディック湖付近[maeve](2015/08/28 20:32)
[95] §93 2001,11,21(Wed) 14:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画内 総合司令室[maeve](2015/10/07 17:20)
[96] §94 2001.11.22(Thu) 03:00(GMT-8) アラスカ州ランパート付近[maeve](2015/12/26 14:28)
[97] §95 2001.11.23(Fri) 18:00(GMT+9) 横浜基地 B20高度機密区画[maeve](2015/08/28 20:08)
[98] §96 2001.11.24(Sat) 15:00 横浜基地 B17 A-00部隊執務室[maeve](2016/06/03 19:39)
[99] §97 2001.11.25(Sun) 02:00(GMT-?) 某国某所[maeve](2015/12/26 14:33)
[100] §98 2001.11.25(Sun) 13:30 横浜基地 北格納庫管制制御室[maeve](2016/06/04 14:06)
[101] §99 2001.11.25(Sun) 18:00 横浜基地本館 メインバンケット モニタールーム[maeve](2015/10/31 14:40)
[102] §100 2001.11.26(Mon) 06:30 横浜基地本館 ゲスト棟[maeve](2016/05/06 11:44)
[103] §101 2001.11.26(Mon) 17:15 横浜基地 モニタールーム[maeve](2016/05/15 12:14)
[104] §102 2001.11.27(Tue) 06:00 国連横浜基地 第2グランド[maeve](2016/06/03 19:42)
[105] §103 2001.11.28(Wed) 09:00 国連横浜基地 XM3トライアル V-JIVES[maeve](2016/05/14 13:10)
[106] §104 2001.11.28(Wed) 17:00 国連横浜基地 米軍割当外部ハンガー ミーティングルーム[maeve](2016/06/04 06:10)
[107] §105 2001.11.28(Wed) 17:40 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2016/06/10 23:26)
[108] §106 2001.11.28(Wed) 18:00 国連横浜基地 Bゲート付近 〈Valkyrie-04〉コックピット[maeve](2019/03/26 22:16)
[109] §107 2001.11.28(Wed) 21:00 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2019/03/30 00:03)
[110] §108 2001.11.28(Wed) 21:00(GMT-5) ニューヨーク レストラン “Par Se”[maeve](2019/06/30 17:55)
[112] §109 2001.11.29(Thu) 09:00(GMT-5) ニューヨーク国連本部 安保緊急理事会[maeve](2019/05/05 21:16)
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[35536] §29 2001,10,27(Sat) 11:00 帝都浜離宮茶室
Name: maeve◆e33a0264 ID:53eb0cc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2015/02/08 10:15
'12,10,24 upload  ※続けると長くなるので一旦投下
'15,02,08 誤字修正


Side 是親


白銀の献策を聞きながら黙考する。

彼らの情報が全て正しい[●●●●●]とすれば、確かにこの年内、2ヶ月が正念場、と言う事になる。
戸籍を喪った者の中から希望者によって組織された幽霊部隊の存在、そして過酷な任務の果て、春先の壊滅も聞き及んでいたから、状況に矛盾はない。

・・・まさか、その際にこのような情報を得ていたとは思わなかったが。
そしてその情報の秘匿理由も尤もだ。
其れでなくとも終末的な雰囲気が蔓延した中に、こんな絶望的な情報が流れたら、それだけで人類は崩壊しかねない。
そのまま暴走しかねない第5勢力についても、彼らは移住計画やバビロン作戦の穴さえ指摘してみせた。情報の出所は直ぐに判るし、その真偽などすぐに検証できる。ばれて信用を落とすような情報を開示するとも思えないから、真実、なんだろう。

そして、今ここで公開されたのは、逆に言えば曲がりなりにもその打開策に一応の目処がたったから、なのだろう。


これらが全て、あるいは一部が欺瞞だとしても、彼らの益になることは在るのだろうか?
第5計画派の牽制?
しかしそれも使い方によっては、煽る事にもなりかねない。


つまる所、これらは厳然とした事実のみを積み上げ、そこから導かれた可能性の最も高い予測である、と言うことだ。

その上で示されたプロセス。
・・・・正直、厳しい、厳しすぎる。

11月上旬に師団クラス以上のBETAを迎撃。
年内にオリジナルハイヴを攻略。
新年年初までにH21を殲滅。

今の帝国では、最初の迎撃だけで息が切れる。
2番目は国連主導の作戦になるだろうが、最後の一つが帝国にとっての最大の問題。


そこに巨大なジレンマを抱えている事に、殿下すら気づいていない。


大権奉還・・・。

さて私は殿下の臣としてどうすべきかね・・・。






「・・・成程、殿下の大権奉還を対価とするかシロガネタケル、帝国の磐石が求めるモノならそれが肝要、と言うことだな?」

「はい。」

「・・・BETAの侵攻すら奇貨とし、先手を打って大権奉還を為してしまえば、無用なクーデターの機運もしぼむ、いやそもそも企む意味すら消失するか。」

「「「なっ!?」」、クーデター?!」

「どういう事です? 鎧衣?」

「は。実は現在、帝国陸軍、特に首都防衛隊で、一部にそのような動きが有ります。
表向きは戦略研究会、としているようですが、今の体制は米国に寄った閣僚の専横による汚職体制と断じ、此処にいらっしゃる榊首相を初めとする主要閣僚を国賊とみなしています。
・・・これは榊殿の殿下をお守りする為の、極端な隠蔽策が裏目に出ましたな。

そして殿下を擁し大権を奉還せしめる、と言うのが彼らの言う大義だそうで。」

「・・・その為に動乱を興し、無辜の血を流す、・・・と!?」

「然様ですな。勿論彼ら自身も唯では済みませんが、・・・・その覚悟はあるようです。」

「・・・・・・」



なんと、その様な動きも既にあったか!
いつかは、と思ってはいたが。



「・・・しかし、その実は違う、だろ?」

「・・・・その通り。御子神殿もその筋から情報を得られている様子ですな。」

「・・・ああ。九條は未だに懲りてないからな・・・。」

「・・・それは?」

「・・・米国第5計画派、近しいCIAあたりが最近活発に動いています。
密かに第5計画派と繋がっている九條がそれとなく煽動しているようです。具体的には、九條の名ではなく、筆頭分家筋の一條や二條だそうですが。」

「彼奴らか!」

「いえ、彼らは煽るだけで、クーデターの実働はむしろ先ほど申した帝国陸軍、本土防衛軍に使い回されている首都防衛隊、その現政権に不満を持つ若手士官を中心とした面々です。
そして、その者たちに便宜を図り、同様の不満を持つ者同士を引き合わせたり、現政権の汚職とも見られかねない情報をリークしているのが、先に言った一條・二條の息が掛かる、参謀本部上層部や、米国と癒着の強い政治家・官僚、あるいはCIAの工作員そのもの。
その為、戦略研究会は発足間もないのですが、賛同者はかなりの規模になっている様子。
我々情報省でも、最近になって漸く掴んだ情報です。

扇動されている方は、殆どが米国の干渉排除を掲げた国粋主義者。
それを煽動しているのは、むしろ米国第5計画派そのもの。」

「・・・扇動された彼らが決起する可能性がある、と言うことですね?」

「はい。このまま事態が推移すれば、遅くとも1年以内に彼らは決起しましょう。
彼ら若手士官達の目的は殿下に忠をなし、殿下の意に沿わぬ事を知りながら血を流し、殿下の復権を願う。
・・・ですが、彼らの行動は、彼らの意図とは全く逆の方向に推移する事となります。」

「なにっ!?」

「・・・先の九條分家、一條・二條の手引きで、クーデター軍蜂起後米軍の介入による鎮圧を目論む動きが在るようです。
米国にとって目の上のたんこぶたる第4計画を日本に誘致し、便宜を図る榊首相以下主要閣僚は、クーデター軍が国賊とみなし誅殺、一方殿下の身柄はクーデター鎮圧に動いた米軍が味方の振りをして抑え、その名だけを借り、御身は幽閉か最悪事故に見せかけての弑逆、そのまま米国傀儡政権発足、と言うのが第5計画派及び九條の目論見でしょうな。」

「ぐぬぬぬ・・・、おのれ九條、そこまで堕ちたかっ!?」

「・・・そこまでしたいなら、いっそ自分が政威大将軍に成ればいいのにな・・・。」

「・・・それは、避けたいようです。」

「何故?」

「政威大将軍と言う地位は、本来権力が集中している故に“悪い事”がし難いのでしょうな。良くも悪くも注目され、それが“個人”に集中しますから。名を出さず、裏で暗躍する事を望む九條が求める地位ではないのです。
彼が望むのは、大勢の壁に囲まれた黒幕。
何かがばれても、その壁を一枚、差し出せばいいのですから。」

「如何にも・・・九條らしいな。」

「しかし、・・・その方向でクーデターが推移すれば、当然第4計画は帝国の支持を失い即刻中止、第5計画の発動を狙った動きですな。
米国としてもユーラシアからのBETA圧力に対する要である帝国の兵力は、有効に使いたいのでしょう。正面切った第4計画メンバーへの危害や、横浜基地制圧等は更に今以上の帝国世論の離反を招きかねないので控えている様子。
尤もそれもバビロン計画発動までの間、捨て駒としてBETA汪溢の蓋として機能させたいだけですが。
・・・ベトナム以来、彼国は自国の兵士が死傷することを極端に忌避する帰来がありますからな。」

「・・・・・・。」

「其れで居て、最終的に脱出させようと言うのが10万人ぽっちとは、呆れるがな。内政的に国民への言い訳として、自国の兵は出さない。
そしてそれら国民をすら殆ど全てだまして、特権階級のみが宇宙に脱出。」

さも有りなん、と言う想いが去来する。
彼国とて、幾多の人民が暮らす国。全ての人が同じ思想であると言うことはなく、個々、あるいは団体だって真っ当な者も多い。
けれど何故か、国政レベルの意思統一に於いては、そういった先鋭化した護国主義が優先される。
大きな力を持ってしまった、子供、という困った存在。

「いっそアホな特権階級は、BETAに汚染されたバーナード星系に捨てるってプロセスもいいな。どうせ九條が第5計画にすり寄っているのも、優先搭乗権でも約束されているんだろ?
G弾さえ使わせなきゃ良い訳だから・・・。」


・・・さりげに飛んでもないことを言う。
君が言うと冗談に聞こえないのだがね・・・。


「・・・・けれどソナタ達の献策では、そのクーデターに先んじ、大権奉還と第5計画派の排除を行えば、クーデターを起こす意味すら無くなる、と言うことですね?」

「そうです。
元々煽られた者たちは、国を想い、表面上それに反しているように見える現政府に対する憤懣を有する者達。賛同者の拡がりでも判るように、その意識は帝国軍内部に充満している可能性が高いと考えます。
けれど、それも結局は、遅々として進まないBETAの駆逐、追い詰められていく人類、開けない明日への希望、そう言ったものの裏返しである、と考えます。
・・・本人たちが、自覚しているしていないに関わらず。

その暗鬱とした意識を打ち破り、明日への希望としてその慧眼を以てBETA侵攻を一蹴した殿下が復権なさる事が、何よりも必要なのです。

何よりも、クーデターを起こさせれば、敵味方問わず、多くの帝国将兵が喪われます。持つ思いは皆同じだというのに。
此処に居られる榊首相も、真っ先に狙われるでしょう。
BETAの再侵攻を目前としている今、その様な損害は到底認められません。未然の検挙ですら、多数の優秀な、そして殿下に忠を尽くす衛士を処断しなければなりません。

殿下が復権し、そして禍根である第5計画派の徹底排除を実施することで、彼らは正道に帰することと思います。」

「・・・・都合のいい情報だけ与えられて、誘導され、騙されているだけだからな。
わざわざ蜂起させて無駄な血を流す余裕など何処にもない。
現状に諦観し、後ろしか見ていない死にたがりは、迷惑なだけだ。
目を醒まさせるにはその位必要だろ。
神輿を担がせる悠陽には悪いけどな、そんなのに構ってる暇はない。」


御子神の毒舌に皆が苦笑する。
帝国軍クーデターと言う、国家転覆の一大事すら、そんなの[●●●●]扱い。


「・・・献策通りに殿下が復権し、第5計画派を排除出来れば、クーデターを企てた者も、煽っていた者こそが米国の手先と知り、裁くまでもなく自らの蒙昧を自覚するとともに、希望を見出し、正道に立ち返る、そう言うことだな・・・。」

「・・・・。」

白銀は静かに頷いた。





この時代に首相になることは、自殺行為だということも分かっていた。
滅び行くかも知れない人類。
その断末魔は想像することも出来ず、終末に向けた混迷は益々深まろう。

その中で、僅かにでも国家を長らえ、民を生き長らえさせる。
それを目標に、此処まで来た。

政敵や国家の維持を謀るため、汚い手もなんども使った。
家族も蔑ろにし、家内の死に目にすら立ち会えず、娘も離れて行った。
莫逆とも言える友であった者ですら、帝国の安寧と引換にこの手に掛けたに等しい。

碌な死に方はせんな、何時もそう思っていた。
米国に煽られたクーデターによって、国賊として誅殺、・・・如何にも在り得た未来だ。



国を長らえる。

その淡い希望の一旦であったのが、オルタネイティブ第4計画。

若干21歳の若い研究者を司令官とし、何度説明されても理解出来ない理論で構成された00ユニットを以てBETA諜報を行う。
今思っても、よくもまあこれ程無茶苦茶な計画が、本計画に成ったものだと思う。
実際、当時の気持ちとしては、理解出来ないが故に、同じく理解出来ないBETAが解明できる可能性がある、だった。

国連での荒唐無稽な説得。

しかし、当時国際社会は米国が開発したBETA由来の新兵器、G弾の威力に酔ったような米国の計画を警戒した。
自国にハイヴの存在しない米国は、何でも無いことのように言うか、どんな影響があるのか明確にされていない上、使用されるG元素が、全てエネルギーになれば、計算上地球だけでなく太陽系そのものが消し飛ぶ、とまで言われたのだ。
米国は起爆実験を実施し、そうならないと自信を持っていたが、そのデータ自体は機密と隠蔽したのだから始末に終えない。最終的には、横浜に於ける事前通告なしの強制使用までしでかしたのだから・・・。

当時としても、バビロン作戦を第4計画にしてしまっては、ハイヴと共に自国を不毛の大地に変えられてしまう、との懸念は各国共通のものとなり、それを恐れた国際社会は、よくわからないが、むしろ安全な諜報活動を継続する、という日本案に一気に傾いた、と言うのが実情だろう。



無論、因果律量子論を使った00ユニットによるBETA諜報計画、今の第4計画に暗部が存在しないわけではない。

横浜ハイヴ攻略時に見つかった“生きている脳髄”。
00ユニットの最有力候補は“ソレ”だ。それがどんな人間だったか、どんな状態なのか、それは語られない。
一応生きているが、人格は無視され、人権は無いに等しい。
人ならざる人。
それを00ユニットの実験台とし、使い潰すのだ。

そして、その候補として集められた“素体候補”。
中隊規模で集めながら、“より良い未来を掴み取れる素材”、を選別するために、過酷な任務につかされた。
実際、それが不必要な任務だったわけではなく、誰かが遣らなければならない任務でもあったし、その素体候補となる適合性が高いためか、通常とは異なる成果も生み出した。
仕方ないと割り切ることも出来る。
しかし本来の目的は、選別のための任務なのだ。

そして00ユニットが完成すれば、その素体として“殺される”。


理論そのものは判らなくても、その暗部は理解していながら、最終的には誘致した。

大多数を守る為に、少数を切り捨て、犠牲にし、踏みにじってきたのは私も同じ。
人類を救えるなら、同じ罪もいくらでも被ろう、と。



しかし、もし、人類が・・帝国が永らえる事が出来るのなら、歳若い“殿下”には、この闇を引き継ぐまい。
“これ”は、私が地獄に持っていく。

そう、決心していた。



それ故、その殿下から極秘会談の同席を求められたとき、少し驚いた。
しかも第4計画に関わる事だという。
ここの所計画には進捗が全くない事も聞き及んでいた為だ。


私にとって、理解出来ない理論による計画は、5年という時間の中で、既に単なる時間稼ぎに変貌していた。

単に、第5計画の発動を抑える重し。
既に5年以上、本来の成果らしい成果も出ず、要である00ユニットの完成さえおぼつかない。
進まない成果を、さも進捗が在るように記述し、国連の査察を引き伸ばす。

・・・それももうすぐ限界に達する。
我が国の国連大使が、年内には抜き打ち的に査察に入るだろうという極秘情報も得ていた。

同じ帝国民でも、全人類の代表としての査察である。手心など望むべくもない。
進展が見込めないことが判れば、あとは、国連が何時見限るか、という段階に入っていたのだ。

査察が行われれば、年内。それがリミットだろうと予測していた。



それが今になって何故?
しかも、女史本人は出席しない?


驚いて電話をすれば、ダメもとでばらまいた作戦が、春先にアタリを引いていたらしい。その後当事者が記憶回復に伴う混乱によりリハビリが必要な状態になり、情報収集が若干遅れたと言うが、その情報を限定的ながら公開するという。
しかも、女史はまだ、対BETA戦略用の00ユニット作成を続けており、その完成が間近で在るため、基地を離れられない、とか。
頭の中には、女史らしくないセリフが残っていた。

―――― 腹心、・・よ。少なくとも彼方の言葉は、アタシの言葉と思って頂戴。――――

その言葉に、香月夕呼がどれだけその男を信用しているか、初めて知った。


そして現れた男は、あの“弾劾”によって殿下をお護りした本人、御子神彼方その人だった。




示されたのは、驚愕の情報。

オリジナルハイヴ威力偵察。多大な犠牲の上に齎された貴重な情報。
それだけで第4計画の目的がほぼ達成されたと言っても過言ではない情報だった。


しかしその内容自体は、余りに絶望的な内容。
和解の余地などカケラもなく、生命とすら見なされていないと言う事実。

更に積み上げる絶望。
バーナード星のBETA汚染。
G弾の無力化と重力偏差による世界の壊滅。


確かに白銀少佐が言うように、救いのない状態でこの内容を公開しようものなら、その時点で人類は終る。

同時にこの情報を、国連ではなく帝国に持って来た訳も理解した。
国連とて、一枚岩ではない。
むしろ懸念されている様に米国の支配は色濃く、第4計画派は少数。国連に齎せば、第5計画派に漏洩することは必至。

香月女史自身が、此処に来ない真意も理解した。会談したという情報ですら漏れたときの影響が大きい。
第4計画の司令官と、お飾りと見せているが、自らも復権を画策していた殿下が会談とあっては、第5計画派、ひいては九條が黙っていないだろう。


移住もG弾神話も崩壊した中で、BETAに対抗する戦術、それを構築する事に既に第4計画はシフトしているのだ。

その第4計画の後ろ盾と成るべき帝国。

その帝国でも第5計画の暗躍による国家転覆までが画策されているという。




それを払拭し、BETA大戦に曙光を示す、献策。


反論のしようもない。

政威大将軍殿下という御威光に縋り、全てを歳若い殿下の双肩に負わせる事は、臣としては容認しかねる。
しかし、此処で復権されなければ、軍部に不満はくすぶり続け、引き続き第5計画派の陰謀に晒され続けることに成る。
反対するのは、それを阻止できる対案が必要となる。感情の問題では無いのだから。



しかし・・・。

逡巡。




「・・・榊首相の懸念は、佐渡奪還以降か?」

「 !!! 」


・・・・そうか。そうであったな。

此処に居るのは、他でもない、“御子神彼方”。

記憶を喪ったとはいえ、西日本を喪失する大禍からも殿下をお護りした存在なのだ。



もし、今この場に居るのが白銀少佐だけであったら、恐らく私は献策に反対しただろう。

彼には、英雄の資質がある。
人々に勇気を与え、希望を齎すだろう存在。彼の戦果は多くの人を奮い立たせ、導くだろう。
しかし、人は希望だけでは生きられない。
食料という形ある現実がなければ、生きられないのもまた事実なのだ。

しかし、御子神彼方は違う。
彼は補佐、サポート、もっと言えば裏方に徹する。9年間、殿下の裏に在って、その補佐に徹したように。それが結果的に殿下を、殿下のお立場を救った。

そして彼は、技術者。
九條離反のキッカケが、合成半透膜の特許絡みであったことは、後日知った。
そのプラントは今でもBETA大戦の中、貴重な水を供給し続けてくれている。寧ろそれが無かったらどれだけ水の確保に苦労していたことか。
BETAに晒され、主要な輸出品目も限られた現在の帝国に於いて、その特許による外貨獲得が、どれだけ大きいことか。


そう、人を導くのは英雄かも知れない。

しかし、世界を変えるのは、何時だって“技術”。
産業革命しかり、核技術しかり。

もちろん時に人の器にぞぐわぬ“技術”が禍をなすこともある。
核爆弾、そして今のBETA由来技術にしても・・・・。

それでも、臆することは出来ないのだ。

彼の齎す“技術”が、世界を変えてくれることを願うしか無い。







「・・・理解して居られる様だな。」

「・・・用意だけは、な。記憶にはないが、記録はある。」

「・・・お任せしても?」

「まさか。運用には馬車馬のごとく働いて貰わないと困る。
悠陽に大権奉還したら、隠居などと考えてないだろうな?」

「!、榊? ソナタには今後も国政を仕切って貰わねばなりませぬよ?」



笑みが溢れる。なかなかではないか。


「元より承知してございます。

成程、大権奉還には賛同いたしましょう。諸々の事情を鑑み、この時節を外せば、様々な禍を為す事になるのであれば、是非もなく。

私は、我が身命を捧げ、殿下より賜りし信任に応え、最後まで責を負う覚悟。
その上で、大権奉還にあたっては、一つ条件を具申いたしましょう。」

「条件?」

「なに、たいした事では有りませぬ。
殿下の後ろ盾に君が、成ること、・・・この一点は、譲れませぬな。」

「?、俺の後ろ盾など、お門違・・・・・・・・・、そう云う意味か・・・。」

「??」


通常政威大将軍の後ろ盾と言えば、前職で在ったり、高位の五摂家であったりする。
本来赤とはいえ下位のしかも歳若い者がなるモノではないのは言うまでもない。

私の言葉の意図を悟った“オヤジ”連中は、ニヤニヤしている。

意味の分かっていないのは、若い殿下と白銀。


「・・・・・・俺としては、今日初めて(逢った)に等しいんだがな。」

「何も今すぐとは言いませぬ。」

「・・・心に留め置く。」

「榊殿、無理強いはいかがなものかと。」

「・・・・そうであったな。ならば今はその言語を肯定と見做し信じよう。」

「・・・・喰えねえ爺だ。」

「ふぉふぉふぉっ、君にそう思わせただけでも善しとしよう。」

先輩に一本くらい譲っても、バチは当たらんよ、御子神。


Sideout




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