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No.35536の一覧
[0] 【チラ裏より】Muv-Luv Alternative Change The World[maeve](2016/05/06 12:09)
[1] §01 2001,10,22(Mon) 08:00 白銀家武自室[maeve](2012/10/20 17:45)
[2] §02 2001,10,22(Mon) 08:35 白銀家武自室 考察 3周目[maeve](2013/05/15 19:59)
[3] §03 2001,10,22(Mon) 13:00 白銀家武自室 考察 BETA世界[maeve](2012/10/20 17:46)
[4] §04 2001,10,22(Mon) 20:00 横浜基地面会室 接触[maeve](2012/12/12 17:12)
[5] §05 2001,10,22(Mon) 21:00 B19夕呼執務室 交渉[maeve](2012/12/06 20:40)
[6] §06 2001,10,22(Mon) 21:30 B19夕呼執務室 対価[maeve](2012/10/20 17:47)
[7] §07 2001,10,22(Mon) 22:00 B19夕呼執務室 考察 鑑純夏[maeve](2012/10/20 17:47)
[8] §08 2001,10,22(Mon) 22:30 B19夕呼執務室 考察 分岐世界[maeve](2012/10/20 17:47)
[9] §09 2001,10,22(Mon) 23:00 B19シリンダールーム[maeve](2012/10/20 17:48)
[10] §10 2001,10,23(Tue) 08:00 B19夕呼執務室[maeve](2012/12/06 21:12)
[11] §11 2001,10,23(Tue) 09:15 シミュレータルーム 考察 BETA戦[maeve](2013/01/19 17:36)
[12] §12 2001,10,23(Tue) 10:00 シミュレータルーム 考察 ハイヴ戦[maeve](2015/02/08 11:03)
[13] §13 2001,10,23(Tue) 11:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:23)
[14] §14 2001,10,23(Tue) 12:20 PX それぞれの再会[maeve](2012/12/16 23:01)
[15] §15 2001,10,23(Tue) 13:00 教室[maeve](2012/12/06 00:01)
[16] §16 2001,10,23(Tue) 13:50 ブリーフィングルーム[maeve](2013/05/15 20:03)
[17] §17 2001,10,23(Tue) 18:30 シミュレータルーム[maeve](2015/03/06 21:04)
[18] §18 2001,10,23(Tue) 22:00 B15白銀武個室[maeve](2015/06/19 19:23)
[19] §19 2001,10,23(Tue) 23:10 B19夕呼執務室 考察 因果特異体[maeve](2012/10/20 17:51)
[20] §20 2001,10,24(Wed) 09:00 B05医療センター Op.Milkyway[maeve](2015/02/08 11:06)
[21] §21 2001,10,24(Wed) 10:00 シミュレータルーム 考察 XM3[maeve](2012/12/06 21:17)
[22] §22 2001,10,24(Wed) 13:00 横浜某所 遺産[maeve](2012/11/10 07:00)
[23] §23 2001,10,24(Wed) 21:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:30)
[24] §24 2001,10,24(Wed) 22:00 B19シリンダールーム 暴露(改稿)[maeve](2013/04/04 22:05)
[25] §25 2001,10,24(Wed) 23:00 B19シリンダールーム 覚醒[maeve](2013/04/08 22:10)
[26] §26 2001,10,25(Thu) 10:00 帝都城 悠陽執務室[maeve](2016/05/06 11:58)
[27] §27 2001,10,26(Fri) 22:00 B19夕呼執務室[maeve](2016/05/06 12:35)
[28] §28 2001,10,27(Sat) 09:45 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:22)
[29] §29 2001,10,27(Sat) 11:00 帝都浜離宮茶室[maeve](2015/02/08 10:15)
[30] §30 2001,10,27(Sat) 12:45 帝都浜離宮 回想(改稿)[maeve](2012/12/16 18:30)
[31] §31 2001,10,27(Sat) 14:00 帝都城第2演武場[maeve](2015/01/23 23:26)
[32] §32 2001,10,27(Sat) 15:00 帝都城第2演武場管制棟[maeve](2016/05/06 11:59)
[33] §33 2001,10,27(Sat) 16:00 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:31)
[34] §34 2001,10,28(Sun) 10:00 帝都城第2演武場講堂 初期教導[maeve](2016/05/06 12:00)
[36] §35 2001,10,28(Sun) 13:00 帝都城来賓室[maeve](2016/05/06 12:00)
[37] §36 2001,10,28(Sun) 国連横浜基地[maeve](2012/11/08 22:20)
[38] §37 2001,10,29(Mon) 15:00  B19シリンダールーム 復活[maeve](2013/04/04 22:18)
[39] §38 2001,10,30(Tue) 10:00  A-00部隊執務室 唯依出向[maeve](2016/05/06 12:01)
[40] §39 2001,10,30(Tue) 11:00  B19夕呼執務室 考察 G元素(1)[maeve](2015/03/06 21:07)
[41] §40 2001,10,30(Tue) 15:00  A-00部隊執務室[maeve](2015/02/03 20:59)
[42] §41 2001,10,31(Wed) 10:00 シミュレータルーム[maeve](2016/05/06 12:03)
[43] §42 2001,10,31(Wed) 06:00 アラスカ州ユーコン川[maeve](2016/05/06 12:03)
[44] §43 2001,10,31(Wed) 10:00 司令部ビル 来賓応接室[maeve](2016/06/03 19:20)
[45] §44 2001,10,31(Wed) 12:00 ソ連軍統治区画内 機密研究エリア[maeve](2016/05/06 12:05)
[46] §45 2001,11,01(Thu) 13:00 アルゴス試験小隊専用野外格納庫 考察 戦術機[maeve](2016/05/06 12:06)
[47] §46 2001,11,02(Fri) 12:00 テストサイト18第2演習区画 E-102演習場[maeve](2016/05/06 11:50)
[48] §47 2001,11,02(Fri) 12:15 司令部棟 B05 相互評価演習専用指揮所[maeve](2016/05/06 12:06)
[49] §48 2001,11,03(Sat) 05:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/02/03 21:01)
[50] §49 2001,11,03(Sat) 09:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/01/04 19:23)
[51] §50 2001,11,02(Fri) 20:00 ユーコン基地[maeve](2016/05/06 12:07)
[52] §51 2001,11,03(Sat) 点景[maeve](2016/05/06 12:08)
[53] §52 2001,11,04(Sun) 07:30  A-00部隊執務室[maeve](2016/05/06 12:08)
[55] §53 2001,11,04(Sun) 20:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/06/19 19:45)
[56] §54 2001,11,05(Mon) 09:00 ブリーフィングルーム[maeve](2015/01/24 18:43)
[57] §55 2001,11,06(Tue) 10:00 帝都城第2連隊戦術機ハンガー[maeve](2015/06/05 13:06)
[58] §56 2001,11,07(Wed) 10:00 横浜基地70番ハンガー[maeve](2015/03/06 20:56)
[59] §57 2001,11,08(Thu) 14:00 帝都浜離宮来賓室[maeve](2015/09/05 17:29)
[60] §58 2001,11,08(Thu) 15:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(1)[maeve](2013/04/16 21:00)
[61] §59 2001,11,08(Thu) 15:30 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(2)[maeve](2015/01/04 19:04)
[62] §60 2001,11,08(Thu) 16:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(3)[maeve](2015/02/03 21:19)
[63] §61 2001,11,09(Fri) 11:05 新潟空港跡地付近[maeve](2015/10/07 16:50)
[64] §62 2001,11,10(Sat) 23:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/03/06 21:15)
[65] §63 2001,11,11(Sun) 05:50 燕市スポーツ施設体育センター跡[maeve](2015/06/19 19:48)
[66] §64 2001,11,11(Sun) 06:52 旧海辺の森跡付近[maeve](2016/06/03 19:25)
[67] §65 2001,11,11(Sun) 07:15 旧燕市公民館跡付近[maeve](2016/05/06 11:55)
[68] §66 2001,11,11(Sun) 07:24 連合艦隊第2艦隊旗艦“信濃”[maeve](2016/05/06 11:56)
[69] §67 2001,11,11(Sun) 07:44 旧新潟亀田IC付近[maeve](2015/09/11 17:22)
[70] §68 2001,11,11(Sun) 08:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 09:53)
[71] §69 2001,11,11(Sun) 08:15 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 10:00)
[72] §70 2001,11,11(Sun) 08:20 旧北陸自動車道新潟西IC付近[maeve](2014/12/29 20:34)
[73] §71 2001,11,11(Sun) 08:25 帝都上空[maeve](2015/08/21 18:44)
[74] §72 2001,11,11(Sun) 10:30 三条市荒沢R289沿い[maeve](2015/02/04 22:07)
[75] §73 2001.11.12(Mon) 09:30 PX[maeve](2015/09/05 17:34)
[76] §74 2001.11.13(Tue) 09:00 帝都港区赤坂 九條本家[maeve](2015/04/11 23:27)
[77] §75 2001,11,13(Tue) 10:30 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2015/12/26 14:19)
[78] §76 2001,11,13(Tue) 19:50 B19フロア 夕呼執務室 考察G元素(2)[maeve](2016/05/06 12:19)
[79] §77 2001,11,14(Wed) 09:00 講堂[maeve](2016/05/06 12:25)
[80] §78 2001,11,15(Thu) 22:22 B15 通路[maeve](2016/05/06 12:31)
[81] §79 2001,11,15(Thu) 15:00(ユーコン標準時GMT-8) ユーコン基地滑走路[maeve](2015/10/07 16:54)
[82] §80 2001,11,16(Fri) 10:15(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/09/05 17:41)
[83] §81 2001,11,16(Fri) 10:55(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト18[maeve](2015/10/07 16:57)
[84] §82 2001,11,16(Fri) 16:30(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/05/31 10:24)
[85] §83 2001,11,16(Fri) 21:00(GMT-8) リルフォート歓楽街 “Da Bone”[maeve](2015/10/07 17:03)
[86] §84 2001,11,17(Sat) 17:00(GMT-8) イーダル小隊専用野外格納庫 衛士控室[maeve](2015/06/20 23:51)
[87] §85 2001,11,18(Sun) 17:20(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト37 幕間?[maeve](2015/05/31 20:15)
[88] §86 2001,11,18(Sun) 22:00(GMT-8) アルゴス試験小隊専用野外格納庫[maeve](2016/05/06 11:46)
[89] §87 2001,11,19(Mon) 13:00(GMT-8) ユーコン基地 居住区フードコート[maeve](2015/06/19 20:13)
[90] §88 2001,11,19(Mon) 18:12(GMT-8) ユーコン基地 演習区外米国緩衝エリア[maeve](2015/12/26 14:23)
[91] §89 2001,11,19(Mon) 18:50(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/12/26 14:25)
[92] §90 2001,11,19(Mon) 20:45(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/10/07 17:13)
[93] §91 2001,11,19(Mon) 21:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画[maeve](2015/10/07 17:15)
[94] §92 2001,11,20(Tue) 03:30(GMT-8) ソビエト連邦租借地 ヴュンディック湖付近[maeve](2015/08/28 20:32)
[95] §93 2001,11,21(Wed) 14:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画内 総合司令室[maeve](2015/10/07 17:20)
[96] §94 2001.11.22(Thu) 03:00(GMT-8) アラスカ州ランパート付近[maeve](2015/12/26 14:28)
[97] §95 2001.11.23(Fri) 18:00(GMT+9) 横浜基地 B20高度機密区画[maeve](2015/08/28 20:08)
[98] §96 2001.11.24(Sat) 15:00 横浜基地 B17 A-00部隊執務室[maeve](2016/06/03 19:39)
[99] §97 2001.11.25(Sun) 02:00(GMT-?) 某国某所[maeve](2015/12/26 14:33)
[100] §98 2001.11.25(Sun) 13:30 横浜基地 北格納庫管制制御室[maeve](2016/06/04 14:06)
[101] §99 2001.11.25(Sun) 18:00 横浜基地本館 メインバンケット モニタールーム[maeve](2015/10/31 14:40)
[102] §100 2001.11.26(Mon) 06:30 横浜基地本館 ゲスト棟[maeve](2016/05/06 11:44)
[103] §101 2001.11.26(Mon) 17:15 横浜基地 モニタールーム[maeve](2016/05/15 12:14)
[104] §102 2001.11.27(Tue) 06:00 国連横浜基地 第2グランド[maeve](2016/06/03 19:42)
[105] §103 2001.11.28(Wed) 09:00 国連横浜基地 XM3トライアル V-JIVES[maeve](2016/05/14 13:10)
[106] §104 2001.11.28(Wed) 17:00 国連横浜基地 米軍割当外部ハンガー ミーティングルーム[maeve](2016/06/04 06:10)
[107] §105 2001.11.28(Wed) 17:40 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2016/06/10 23:26)
[108] §106 2001.11.28(Wed) 18:00 国連横浜基地 Bゲート付近 〈Valkyrie-04〉コックピット[maeve](2019/03/26 22:16)
[109] §107 2001.11.28(Wed) 21:00 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2019/03/30 00:03)
[110] §108 2001.11.28(Wed) 21:00(GMT-5) ニューヨーク レストラン “Par Se”[maeve](2019/06/30 17:55)
[112] §109 2001.11.29(Thu) 09:00(GMT-5) ニューヨーク国連本部 安保緊急理事会[maeve](2019/05/05 21:16)
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[35536] §27 2001,10,26(Fri) 22:00 B19夕呼執務室
Name: maeve◆e33a0264 ID:53eb0cc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2016/05/06 12:35
'12,10,20 upload  ※今回も少し短め?
'15,01,23 誤字修正


Side 武


彼方に呼ばれたのは、A-01の教導から帰る途中。

一旦自室に戻り、シャワーだけ浴びてB19の夕呼先生の執務室に、行くと大きなモニタが展開している。


「どうした? こんな時間に・・。」

「207BとA-01の教導でお疲れの悪いが、所昼間は忙しいからな。
・・・ところで、どんな感触だ? 彼女らは?」

「ああ、順調。
A-01はまだ4日目だが、殆どがレベルIIに上がった。モジュレーションを使い始めている者もいる位上達してる。伊隅大尉や、まりもちゃん、速瀬中尉なんかは、もうすぐレベルIIIに届きそうだ。」

「ほう、流石に00ユニット適合者候補ってところか。」

「元々の練度が高いからな。新任はどうあれ、培った経験は決して無駄にはならない。
で、207Bは、今日からXM3演習に入った。
彼方が看てくれたお陰で、早々に美琴も復帰したし、何よりも甘えが随分無くなった。
あの体験[●●]は、無駄にならなかったらしい。
唯衛士を目指すんだ、と言う姿勢から、衛士に成って何をすべきか、という考え方に変わった。
それに、まりもちゃんのお陰もあって、かなり隊としての連携も出来るようになった。
・・・まだ“目的の為に気にくわないけど連携する”っていう感じだけどな。そこはなかなか難しいよ。
・・・・それでも・・11月の頭には、総合戦技演習を受けさせたいと思ってる。」

「・・・行けそうか?」

「演習だけなら、今でも十分・・・。ただその後の11日新潟と成るとな・・・・。」

「・・・武はまるでパパの様だな。・・・・過保護が過ぎると、反発されるぜ?」

「・・・・判ってる。」

苦笑する。
同じ訓練兵としての立場の筈が、いまでは完全な教官だ。少佐という階級は冥夜にしかばらしていないが、あの映像を体験したのである。オレが普通で無いことは、しっかり認識されている。
それでも、何かと質問をしてくる冥夜に引きずられて、皆も打ち解けてくれたとは思う。
何げにライバル視されている雰囲気もあるが・・・。
そして、映像の中に居た、衛士達、いまの207Bを重ねた自分自身の影にも、興味を持ち、尋ねてくるようになった。
オレが話すのは、その未来の思い出たるみんなの姿。


「・・・・取り敢えず、白銀の過保護はほっといて、進めてちょうだい。」

「Yes, Ma'am。

取り敢えず、明日の謁見に当たって、当面の戦略を整合しておこうと思ってね。」

「・・・アタシは00ユニットに集中してるから、任せる、で良いんだけど?」

「00ユニットは本来ゴールでは無く、スタート。どんな戦略で喀什を考えているか概要だけでも必要だろ。」

「・・・そうねぇ。なんかあんの?」

「・・・相手次第だが、少なくともTOPには、全部ぶっちゃける。」

「!!!」

夕呼先生が鋭いまなざしで彼方を見やる。

「・・・・どこまで?」

「・・・上位存在との会話ログ、BETAの支配構造、H22のBETA数増大、その為にも年内にH1攻略を実行する計画であること、・・・までかな。」

「・・・勝算はあるの?、無ければ荒唐無稽と取られるわ。」

「・・・・まず、これ見て。」

彼方がモニタに示したそれは、単純なグラフ。

BETA面密度と戦術機性能の対比。
面密度には威力偵察行動、日本侵攻時、ハイヴ側溝、主縦坑と幾つか注釈がある。
一方で撃震や、陽炎、不知火、武御雷、あるいはイーグルやラプターといった記述。

「過去のデータをかっさらって、戦力を平均化したシミュレーターを作った。
単純面制圧を行った場合の戦力彼我比。
今の標準装備じゃ武御雷や、ラプターを揃えてもハイヴ攻略は無理ってこと。狭いハイヴ内では単位面積当たりの弾幕が制限されるからな。

で、ここにXM3を投入すると、こんな感じ。

更に、いま開発しているレールガンやミサイルでこんなになる。」

「・・・」

線が上書きに追加されていく。その装備平均で何処までの面密度に対処できるか、といった単純明快な比較。

「・・・・で、これを使ってオリジナルハイヴの攻略をシミュレートしてみると・・・」


そこに示されるのは、前の世界で行われたオリジナルハイヴ攻略戦“桜花作戦”。
各段階に於ける陽動部隊の損耗率、そして、ハイヴ侵攻部隊の損耗率が示されていた。

それぞれ、35%と40%・・・・。

勿論、前のループに比べれば、格段に良い。
けれど、それでも40%、12人が侵攻すれば5人が喪われる。
・・・・背筋がこわばる。
喪う事への恐怖が、身体の奥底から湧き上がってくる。


「・・・今考えている装備でも、なんとか攻略可能。けれどその損耗は、現段階でもこの数字・・・。」

そこでオレは気がつく。

「降下時の損耗が低すぎないか?」

「前回はALMをBETAが迎撃しなかった所為で、全く重金属雲が発生しなかったんだろ? 今回は高度信管による爆散機構を追加して、迎撃しなくても予定高度で爆発する。」

「成る程・・・・・・!!、ちょっと待った、この突入部隊の数字は凄乃皇なしの数字?」

「・・・ああ。武の記憶でもラザフォード場と、G弾は対策されている可能性が高いからな、凄乃皇には、降下支援だけして貰い、以降は陽動及び汪溢BETAの殲滅に回って貰ってる。」

「それで・・・か・・・。」

「前回凄乃皇を使ったのは、佐渡だけ。なのに桜花作戦では対処してきた。G弾も横浜で2発だけなんだが、横浜でG弾が使われた時、全てのBETAが殲滅された訳ではない。寧ろ横浜にある貴重な素体・鑑の喪失を回避するため、早期に撤退した帰来がある。
その情報は佐渡に辿り着いたBETAから上位存在に伝えられた可能性が高いな。」

「・・・しかしBETAも反則ね、ラザフォード場なんて、どうやって破るのよ・・」

きょとんとした顔をしたのは、彼方。

「・・・割と簡単だと思うけど。・・・センセの作ったブラックボックス、アレでも破れるんじゃないか?」

「「え?」」

「・・・同じML臨界反応圏が在れば良いだけだろ?、センセのブラックボックス、マイクロML場を形成して電力供給してるんだから。
・・・触手に同じML臨界反応圏張れば、後は密度次第で貫通できる筈だぜ?」

「・・・アタシが考えつくことくらいは上位存在もやる・・・ってことね? でもそれじゃあG弾は?
ミサイル降下中なら兎も角、ML臨界反応圏張ったミサイルをBETAが持っているとは聞いてないし、超臨界に達した後は防ぎようがないと思うけど?」

「・・・武、お前の傍系記憶で、G弾はフェイズVクラスもモニュメントは破壊できたんだよな?」

「そう聞いてる。反応炉まで達しなかったんじゃないか、って言うのが定説だった。」

「・・・夕呼センセ、ML機関の減速材って?」

「・・・G-9、よ。」

「・・・G-11に特殊な電磁場を掛けて励起するラザフォード場を、G-9の超伝導による偏向電磁場で制御する、って理解でいいか?」

「・・・・・・・・あっさり言うのね。・・・・・それ、世界でも最高クラスの機密、・・その通りよ。」

「だったら簡単だな。爆発したG弾の多重乱数指向重力効果域を包含する[●●●●]規模の偏向電磁場を形成してG-11の崩壊そのものを減速してしまえばいい。上空では無理でも、ハイヴ近傍に呼び込めばBETAなら楽勝だ。フェイズIV以下のハイヴでは、ハイヴ規模の方が小さくて機能しないみたいだが、な。」

「「 !!! 」」

余りの発言に、夕呼先生さえ呆気にとられた。
コイツはなんでこんな当たり前のように簡単に言うのか。
そう言われてしまえば、そうなのだ。多重乱数指向重力効果域を包含する[●●●●]規模の偏向電磁場など、人間のレベルでは困難きわまりないことでも、爆発地点が予測できて、人類を遥かに凌駕するエネルギーを有するBETAなら可能である。
・・・・しかし普通はそんなこと、思わないぞ? アストラル思考体持ちは、やっぱりどこか規模がおかしい。


「・・・逆に言えば、その機能が凄乃皇のラザフォード場にも有効だと判れば、ハイヴに入った途端に無力化されかねない。凄乃皇を動かすのは現状鑑しか居ないんだから、突入させるわけに行かないだろ?」


更に凍り付く。前回は突破されただけだが、そんな場を形成されたら、凄乃皇は制御を喪い、墜落する。
頷くしかない。
そんな危険のある所に、純夏を赴かせる訳にはいかない。



「・・・やはり・・・どうしても、もう一手、欲しいな。
・・・だが、それは今後どうにかするにしても、少なくとも現段階でも、オリジナルハイヴ攻略が、全く不可能ではない数字であることが見せられれば、協力も得られる。
・・・・この方向性で、話進めていいか?」

「・・・・・・・いいわ。どうせこの後は、形振りは構っていられない。
・・・彼方に任せる。
アタシ達は、出し惜しみして負けるわけには行かないもの!」

その通りだ。
後は、無い。
最悪は、その犠牲を払っても、前に進むしかないのだ。

皆の顔を脳裏に思い浮かべながら、拳を握りしめた。


Sideout




Side 夕呼


白銀の日課と成った鑑への接触タイム。23:00を回ると、お休みの挨拶を残して、そそくさとシリンダールームに向かった。
まだ社が居るのだろう。
そう言えば、社が鑑のサポートで、サイコダイヴ出来る様になったらしく、日付が変わる頃まで3人でおしゃべりしているらしい。
鑑の脳神経細胞も回復は順調で、このままならあと2,3日で思考野と記憶野の再構築が完了するらしい。来週早々、帝都から2人が帰って来れば、鑑が現界する。



そして部屋に残った彼方は、物陰からワインボトルとグラスを取り出した。
アタシはキーボードを打ちながら横目で睨むが、彼方は涼しい顔で抜栓する。
途端に溢れる百花の香り。

「! なによそれ?!」

「DRCリシュブール・・‘85だからちょうど飲み頃かな。」

・・・また飛んでもないモノを。

「・・・白銀はいいわけ?」

「アイツには、まだ早いよ。・・・・まあ、鑑が甦生したら、ロマネでも開けてやるさ。」

紅い芳醇な液体が注がれたグラスを受け取り、グラスを掲げる。



ヨーロッパの全域が尽く荒廃した今、もう望むべくもない至高のワイン。
アメリカの大統領ですら今では口に出来ない、喪われた逸品。
何処から持ってきたかは知らないが、たしか御子神の先々代あたりが、マニアだったらしい。
どこぞに秘匿していたのを見つけてきた訳か。
・・・・抜け目ないヤツ。


「・・00ユニット、完成したんだろ?、メサイアの生誕に・・・・」

「・・・・」

キン、と澄んだ音。
そして更に抜け目ない台詞に、無言で甘く睨みながらグラスを傾ける。

馥郁と、濃密な香りの塊のような液体が口孔を、喉を、鼻腔を甘く潤す。





コイツに初めて抱かれたのは、彼らが現れた翌日だ。

前日に受け取った数式。その検証。
結果、私は彼方の所有となった。

と言ってもその日は、解析から00ユニットへの演繹に熱中し、気がついたら朝だった。

基本B19階の地底人。BETAと変わらぬ日の当たらない生活。

ピアティフの諫言や、社の悲しげな瞳すら受け流し、そのままナチュラルハイに任せて、朝駆けに会った彼方にキスの雨を降らせた。

その後提示された上位存在との会話ログや、価値観さえ覆された途方もない技量と戦術。
午後はそのまま素子化式をまとめ、一段落した頃に彼方が入ってきた。


まあその頃には覚悟、というよりも寧ろ期待?もしてたし、実際感謝はしてたから彼方に抱かれる事は抵抗無かった。

そして饗されたのは、ほろ苦い、極上の珈琲と白銀武の真実。

珈琲で一時的に覚醒したけど、二徹に近かった脳は、素直に墜ちた。
普通なら厄介で不機嫌に成りそうな問題も、コイツが居れば何とかなるかなぁ、とか思ってしまった。


ま、もともとアタシも14から帝都大学に在籍し、研究一筋だったから、もちろん男の経験なんて余り無い。
処女ではなかったが、それも好奇心から試して見た、というのがせいぜいで、痛みはまあそれほどでも無かったが、別に良いモノではない、と言うのが認識だった。
寧ろ攻める方が好き? 悶える男を翻弄するほうが性に合う、・・・と思って居た。
もともと理性で思考するタイプの女性には、不感症が多いのも統計的に実証されていたし。

だがこちらからの誘いに違わずクスリと笑った彼方は、軽々とあたしを抱き上げ、ベッドまで運び、そしてこのアタシが思い出すだけで赤面しそうになる、甘々な記憶を刻みつけてくれた。

その夜、彼に攻め抜かれ体力を空にされたアタシは、久方ぶり・・本当に久方ぶり、恐らくBETAの地球侵略以来の、深い睡眠を与えられたのだ。


・・・・アタシとしては、初めて経験する、中々に衝撃的な内容だった訳だし、気恥ずかしかったりしたのだが、翌日の彼方の態度は、それまでと微塵も変わらなかった。
もう鉄壁と言っても良い。
・・・逆にこっちが悔しくなって拗ねそうになった。

随分後になって、白銀が不思議そうな顔で、その関係なのかと尋ねてきたくらい、ヤツは他でも変わりなかったらしい。
・・・勿論、こちらとしては有り難いわけだが。


そしてその日の夜には、鑑純夏の脳髄にサイコダイヴというトンでもない体験と共にアタシはコイツの力の一端を知った。


落雷直撃と、脳神経節の大欠損。
その闇しかない無間地獄から、奇跡の生還を果たした男。

感覚時間で10年と言った。
そしてその10年の闇から戻ったあと、さらにイデアルフェイズへと挑戦したのだ。
感覚時間で100年・・・。

感情では信じられなかったが、理性ではそれが正しいと理解した。コイツなら遣りかねない、と。
超並列思考も可能。
しかも、アストラルフェイズでの電子機器へのI/Fを有している。
BETAですらハッキングする技能。

自分で自分のアストラル体に量子電導脳もどきを作ってしまった男には、何でもないこと。





そして知らされたBETAの起源と目的。

確率分岐世界に於ける他世界[クラスタ]への“転移”。
その為の“移動手段”として資源=“超因果体”を集めること。

日本侵攻に於いて、BETAは鑑を確保したから止まった。
アタシもそう考察した。

しかし、初めから鑑純夏のような超因果体狙いだとまでは思わなかった。

タイタン、火星 月、そして地球。
確かに鉱物資源(恐らくついで)がメインだとしたら地球など後回しで良いのだ。


そして珪素基質生命体の思考の違い。
時間的組成的差違を明確に認識していた。

白銀が言いよどみ、アタシですら即答できない上位存在からの質問、生命体であることの証明ですらコイツは即答した。

“母生命(根源)を礎とする魂魄と結合した、基質を問わず自我を有する散逸自律体を生命と言う”、と。


この定義で言えば、人工物ですら魂魄さえ宿れば生命体となる。かつての鑑がそうであったように。
この返答に窮するのは上位存在である。

創造主は兎も角、端末である上位存在には根源も魂魄も認識がないだろう。
しかしその定義が創造主に伝わったとき、果たして創造主(群)?はどうするのか。

興味は尽きない。



そう、アタシは認めたのだ。
たった3日で。

コイツは天才だと。

そして、認められたのだ。
直接アタシでないのが悔しいが、前の世界で。

天才、と。

イデアルフェイズである無意識領域では魂が繋がっているから、それも有りらしい。


それは対価という狡い手段だったが、いともあっさりと、身体は墜ちた。

・・・で、正直に言えば、心も堕とされた。



それでいてサポートは完璧。
疲れたと思えば、マッサージや整体。時折どこかからか引き出す嗜好品は、今の世の中眼にすることすらあり得ない品物だったりする。
それを尋ねれば、自分のモノはとても大切にする性質なんだ、と軽く返された。
屈託のない笑顔に赤面させられたのが悔しい。

外出の際の警護さえも、今は彼方だ。


傍若無人にみえていて、軽妙で、外連味のない態度や会話は、何故かあたしの癇に障らない。
そしてその知性はさり気なく飛んでもない。
ブラックボックスの中身は愚か、G弾無効化の方法を、ああも簡単に言われてしまうとは。

その場でXM3を組んだ技量は序の口。
半導体150億個の素子構成とともに立ち後れていた量子電脳用のOS基礎構造を一晩で作り上げてくれた。
非ノイマン-ニューラルフローという新概念。
ビット拡張する素子に最適なフレキシブル・アーキテクチャを有する。
元の世界の知識が基本らしい。
基礎は同じなので、既存のOSでも計算出来ないことは無かっただろうが、その速度と無駄を省いた効率で言えば隔絶している。





かつて、アタシ独りに全てが掛かっていた第4計画。

それは、白銀の経験した1周目そのもの。

理論は停滞し、焦燥ばかりが募る。形振り構わず集めたものは、ただただ損耗して行き、今まで犠牲にしてきた物が加速度的な重圧となってのし掛かる。
BETAを駆逐するという大義名分で割り切ってきた多くの命が、ただの無駄死にへと貶められる。

そんな重圧に苛まれながら、為す術もなく12月24日を迎えたのだろう。


それが、彼らが現れた22日を境に、一気に変容した。
渇望していた理論の提供。
鑑純夏の再生と、残存戦力のめざましい底上げ。
それを叶える装備群。

今や、その戦力的な負担は白銀がほぼ受け持ち、国内政治的な負担は彼方が受けてくれた。

彼方は技術的な負担、更には海外の対外的な面倒事すらも流せるのだから、今は純粋に理論構築による量子電導脳の展開に集中できたわけだ。

あれだけ行き詰まっていたプロジェクトは、彼らが現れてたった4日で最大の壁を突破[ブレーク・スルー]した。
与えられたモノは多大で、それに対し返せるモノは、実は、殆ど無い。
この先、衛士であれば部下にあたり、謂わば死ねという命令すら下せる立場にありながら。




望んだ未来、気の置けない相手と、最高のワイン。

―――――すこぶる気分が良い。



唇が合わさる。
するりと、舌を絡めてくる。
気怠げに応えるが、触れ合う粘膜の感触に、アタシの中の“女”が身じろぎするのが解る。
疼く、と言う意味を初めて知った。

心地よい酔い。


情愛になんか縛られるのはまっぴらだが、こんな関係が殊の外気に入ってしまった事を認めざるを得なかった。












閑話休題



翌朝。

珍しく朝食に出たPXでたまたま会ったまりもに、粘り着くようなジト眼で睨まれた。

「・・・・・・香月副指令、随分と肌つやが、絶妙[●●]に宜しいようで・・・。
なにか相当[●●]良いことでもありましたか?」

・・・拙い。
普段弄っているだけに、こういう時のまりもは極めてヤヴァイ。


このところの適度なセックスのお蔭か、ホルモンバランスが絶妙に整えられている。
加えて彼方の過保護なまでのケア。
なにせアストラルフェイズの知覚から、ヨガや仙道、気功と言った内氣系スキルは達人クラスの上、BEATのヒトゲノム知識や技能さえモノにして、今ではその気になれば遺伝子欠陥まで直すのだから・・・。
リンパマッサージから、“氣”を基盤に全身の整体まで遣ってくれちゃう。

正式な会合時以外は化粧など殆どしないが、ほんの1週間前迄は長年の疲労と不摂生で、相当に荒れていたのは確かだった。

なのに今は、潤いのなかったばさばさの髪がしっとり落ち着き、肌が綺麗に肌理揃っているのだから、まりもには隠し様がない。鎧衣に指摘された時は、誤魔化したけど、それもまりもには通じそうにない。



・・・うん、今度彼方にまりもの相手もするように言っておこう。

白銀でもいいのだが、ヤツにはもう鑑も御剣も社もいるし、207Bも徐々に懐柔しているらしい。
尤もそれだけでもヘタレていたから、まりもの相手までは荷が重いだろう。

彼方なら、その気になれば、まりもを墜とすくらいは出来るだろう。
鑑に依れば、今の男は8人までが責任範囲らしいし。

少なくともセックスに関しては、どうせアタシだけじゃ手に余る。
白銀は恋愛原子核と呼ばれる存在だそうだが、彼方は白銀ほど無自覚で無作為ではない。
キチンと線を引ける狡い[●●]男。

それでも今の時代、これだけのスペックなら求める女は多いだろう。
尤もヤツが素直にスペック公開するとは思えないが・・・。
まりもも白銀にはお姉さんぽく接しているが、彼方には無意識で頼っている節がある。

主にあたしとまりものストレス回避の意味で。
まりもを墜としてメロメロにしてくれれば、きっとアタシが楽になるから。


Sideout




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