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No.35536の一覧
[0] 【チラ裏より】Muv-Luv Alternative Change The World[maeve](2016/05/06 12:09)
[1] §01 2001,10,22(Mon) 08:00 白銀家武自室[maeve](2012/10/20 17:45)
[2] §02 2001,10,22(Mon) 08:35 白銀家武自室 考察 3周目[maeve](2013/05/15 19:59)
[3] §03 2001,10,22(Mon) 13:00 白銀家武自室 考察 BETA世界[maeve](2012/10/20 17:46)
[4] §04 2001,10,22(Mon) 20:00 横浜基地面会室 接触[maeve](2012/12/12 17:12)
[5] §05 2001,10,22(Mon) 21:00 B19夕呼執務室 交渉[maeve](2012/12/06 20:40)
[6] §06 2001,10,22(Mon) 21:30 B19夕呼執務室 対価[maeve](2012/10/20 17:47)
[7] §07 2001,10,22(Mon) 22:00 B19夕呼執務室 考察 鑑純夏[maeve](2012/10/20 17:47)
[8] §08 2001,10,22(Mon) 22:30 B19夕呼執務室 考察 分岐世界[maeve](2012/10/20 17:47)
[9] §09 2001,10,22(Mon) 23:00 B19シリンダールーム[maeve](2012/10/20 17:48)
[10] §10 2001,10,23(Tue) 08:00 B19夕呼執務室[maeve](2012/12/06 21:12)
[11] §11 2001,10,23(Tue) 09:15 シミュレータルーム 考察 BETA戦[maeve](2013/01/19 17:36)
[12] §12 2001,10,23(Tue) 10:00 シミュレータルーム 考察 ハイヴ戦[maeve](2015/02/08 11:03)
[13] §13 2001,10,23(Tue) 11:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:23)
[14] §14 2001,10,23(Tue) 12:20 PX それぞれの再会[maeve](2012/12/16 23:01)
[15] §15 2001,10,23(Tue) 13:00 教室[maeve](2012/12/06 00:01)
[16] §16 2001,10,23(Tue) 13:50 ブリーフィングルーム[maeve](2013/05/15 20:03)
[17] §17 2001,10,23(Tue) 18:30 シミュレータルーム[maeve](2015/03/06 21:04)
[18] §18 2001,10,23(Tue) 22:00 B15白銀武個室[maeve](2015/06/19 19:23)
[19] §19 2001,10,23(Tue) 23:10 B19夕呼執務室 考察 因果特異体[maeve](2012/10/20 17:51)
[20] §20 2001,10,24(Wed) 09:00 B05医療センター Op.Milkyway[maeve](2015/02/08 11:06)
[21] §21 2001,10,24(Wed) 10:00 シミュレータルーム 考察 XM3[maeve](2012/12/06 21:17)
[22] §22 2001,10,24(Wed) 13:00 横浜某所 遺産[maeve](2012/11/10 07:00)
[23] §23 2001,10,24(Wed) 21:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:30)
[24] §24 2001,10,24(Wed) 22:00 B19シリンダールーム 暴露(改稿)[maeve](2013/04/04 22:05)
[25] §25 2001,10,24(Wed) 23:00 B19シリンダールーム 覚醒[maeve](2013/04/08 22:10)
[26] §26 2001,10,25(Thu) 10:00 帝都城 悠陽執務室[maeve](2016/05/06 11:58)
[27] §27 2001,10,26(Fri) 22:00 B19夕呼執務室[maeve](2016/05/06 12:35)
[28] §28 2001,10,27(Sat) 09:45 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:22)
[29] §29 2001,10,27(Sat) 11:00 帝都浜離宮茶室[maeve](2015/02/08 10:15)
[30] §30 2001,10,27(Sat) 12:45 帝都浜離宮 回想(改稿)[maeve](2012/12/16 18:30)
[31] §31 2001,10,27(Sat) 14:00 帝都城第2演武場[maeve](2015/01/23 23:26)
[32] §32 2001,10,27(Sat) 15:00 帝都城第2演武場管制棟[maeve](2016/05/06 11:59)
[33] §33 2001,10,27(Sat) 16:00 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:31)
[34] §34 2001,10,28(Sun) 10:00 帝都城第2演武場講堂 初期教導[maeve](2016/05/06 12:00)
[36] §35 2001,10,28(Sun) 13:00 帝都城来賓室[maeve](2016/05/06 12:00)
[37] §36 2001,10,28(Sun) 国連横浜基地[maeve](2012/11/08 22:20)
[38] §37 2001,10,29(Mon) 15:00  B19シリンダールーム 復活[maeve](2013/04/04 22:18)
[39] §38 2001,10,30(Tue) 10:00  A-00部隊執務室 唯依出向[maeve](2016/05/06 12:01)
[40] §39 2001,10,30(Tue) 11:00  B19夕呼執務室 考察 G元素(1)[maeve](2015/03/06 21:07)
[41] §40 2001,10,30(Tue) 15:00  A-00部隊執務室[maeve](2015/02/03 20:59)
[42] §41 2001,10,31(Wed) 10:00 シミュレータルーム[maeve](2016/05/06 12:03)
[43] §42 2001,10,31(Wed) 06:00 アラスカ州ユーコン川[maeve](2016/05/06 12:03)
[44] §43 2001,10,31(Wed) 10:00 司令部ビル 来賓応接室[maeve](2016/06/03 19:20)
[45] §44 2001,10,31(Wed) 12:00 ソ連軍統治区画内 機密研究エリア[maeve](2016/05/06 12:05)
[46] §45 2001,11,01(Thu) 13:00 アルゴス試験小隊専用野外格納庫 考察 戦術機[maeve](2016/05/06 12:06)
[47] §46 2001,11,02(Fri) 12:00 テストサイト18第2演習区画 E-102演習場[maeve](2016/05/06 11:50)
[48] §47 2001,11,02(Fri) 12:15 司令部棟 B05 相互評価演習専用指揮所[maeve](2016/05/06 12:06)
[49] §48 2001,11,03(Sat) 05:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/02/03 21:01)
[50] §49 2001,11,03(Sat) 09:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/01/04 19:23)
[51] §50 2001,11,02(Fri) 20:00 ユーコン基地[maeve](2016/05/06 12:07)
[52] §51 2001,11,03(Sat) 点景[maeve](2016/05/06 12:08)
[53] §52 2001,11,04(Sun) 07:30  A-00部隊執務室[maeve](2016/05/06 12:08)
[55] §53 2001,11,04(Sun) 20:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/06/19 19:45)
[56] §54 2001,11,05(Mon) 09:00 ブリーフィングルーム[maeve](2015/01/24 18:43)
[57] §55 2001,11,06(Tue) 10:00 帝都城第2連隊戦術機ハンガー[maeve](2015/06/05 13:06)
[58] §56 2001,11,07(Wed) 10:00 横浜基地70番ハンガー[maeve](2015/03/06 20:56)
[59] §57 2001,11,08(Thu) 14:00 帝都浜離宮来賓室[maeve](2015/09/05 17:29)
[60] §58 2001,11,08(Thu) 15:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(1)[maeve](2013/04/16 21:00)
[61] §59 2001,11,08(Thu) 15:30 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(2)[maeve](2015/01/04 19:04)
[62] §60 2001,11,08(Thu) 16:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(3)[maeve](2015/02/03 21:19)
[63] §61 2001,11,09(Fri) 11:05 新潟空港跡地付近[maeve](2015/10/07 16:50)
[64] §62 2001,11,10(Sat) 23:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/03/06 21:15)
[65] §63 2001,11,11(Sun) 05:50 燕市スポーツ施設体育センター跡[maeve](2015/06/19 19:48)
[66] §64 2001,11,11(Sun) 06:52 旧海辺の森跡付近[maeve](2016/06/03 19:25)
[67] §65 2001,11,11(Sun) 07:15 旧燕市公民館跡付近[maeve](2016/05/06 11:55)
[68] §66 2001,11,11(Sun) 07:24 連合艦隊第2艦隊旗艦“信濃”[maeve](2016/05/06 11:56)
[69] §67 2001,11,11(Sun) 07:44 旧新潟亀田IC付近[maeve](2015/09/11 17:22)
[70] §68 2001,11,11(Sun) 08:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 09:53)
[71] §69 2001,11,11(Sun) 08:15 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 10:00)
[72] §70 2001,11,11(Sun) 08:20 旧北陸自動車道新潟西IC付近[maeve](2014/12/29 20:34)
[73] §71 2001,11,11(Sun) 08:25 帝都上空[maeve](2015/08/21 18:44)
[74] §72 2001,11,11(Sun) 10:30 三条市荒沢R289沿い[maeve](2015/02/04 22:07)
[75] §73 2001.11.12(Mon) 09:30 PX[maeve](2015/09/05 17:34)
[76] §74 2001.11.13(Tue) 09:00 帝都港区赤坂 九條本家[maeve](2015/04/11 23:27)
[77] §75 2001,11,13(Tue) 10:30 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2015/12/26 14:19)
[78] §76 2001,11,13(Tue) 19:50 B19フロア 夕呼執務室 考察G元素(2)[maeve](2016/05/06 12:19)
[79] §77 2001,11,14(Wed) 09:00 講堂[maeve](2016/05/06 12:25)
[80] §78 2001,11,15(Thu) 22:22 B15 通路[maeve](2016/05/06 12:31)
[81] §79 2001,11,15(Thu) 15:00(ユーコン標準時GMT-8) ユーコン基地滑走路[maeve](2015/10/07 16:54)
[82] §80 2001,11,16(Fri) 10:15(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/09/05 17:41)
[83] §81 2001,11,16(Fri) 10:55(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト18[maeve](2015/10/07 16:57)
[84] §82 2001,11,16(Fri) 16:30(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/05/31 10:24)
[85] §83 2001,11,16(Fri) 21:00(GMT-8) リルフォート歓楽街 “Da Bone”[maeve](2015/10/07 17:03)
[86] §84 2001,11,17(Sat) 17:00(GMT-8) イーダル小隊専用野外格納庫 衛士控室[maeve](2015/06/20 23:51)
[87] §85 2001,11,18(Sun) 17:20(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト37 幕間?[maeve](2015/05/31 20:15)
[88] §86 2001,11,18(Sun) 22:00(GMT-8) アルゴス試験小隊専用野外格納庫[maeve](2016/05/06 11:46)
[89] §87 2001,11,19(Mon) 13:00(GMT-8) ユーコン基地 居住区フードコート[maeve](2015/06/19 20:13)
[90] §88 2001,11,19(Mon) 18:12(GMT-8) ユーコン基地 演習区外米国緩衝エリア[maeve](2015/12/26 14:23)
[91] §89 2001,11,19(Mon) 18:50(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/12/26 14:25)
[92] §90 2001,11,19(Mon) 20:45(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/10/07 17:13)
[93] §91 2001,11,19(Mon) 21:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画[maeve](2015/10/07 17:15)
[94] §92 2001,11,20(Tue) 03:30(GMT-8) ソビエト連邦租借地 ヴュンディック湖付近[maeve](2015/08/28 20:32)
[95] §93 2001,11,21(Wed) 14:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画内 総合司令室[maeve](2015/10/07 17:20)
[96] §94 2001.11.22(Thu) 03:00(GMT-8) アラスカ州ランパート付近[maeve](2015/12/26 14:28)
[97] §95 2001.11.23(Fri) 18:00(GMT+9) 横浜基地 B20高度機密区画[maeve](2015/08/28 20:08)
[98] §96 2001.11.24(Sat) 15:00 横浜基地 B17 A-00部隊執務室[maeve](2016/06/03 19:39)
[99] §97 2001.11.25(Sun) 02:00(GMT-?) 某国某所[maeve](2015/12/26 14:33)
[100] §98 2001.11.25(Sun) 13:30 横浜基地 北格納庫管制制御室[maeve](2016/06/04 14:06)
[101] §99 2001.11.25(Sun) 18:00 横浜基地本館 メインバンケット モニタールーム[maeve](2015/10/31 14:40)
[102] §100 2001.11.26(Mon) 06:30 横浜基地本館 ゲスト棟[maeve](2016/05/06 11:44)
[103] §101 2001.11.26(Mon) 17:15 横浜基地 モニタールーム[maeve](2016/05/15 12:14)
[104] §102 2001.11.27(Tue) 06:00 国連横浜基地 第2グランド[maeve](2016/06/03 19:42)
[105] §103 2001.11.28(Wed) 09:00 国連横浜基地 XM3トライアル V-JIVES[maeve](2016/05/14 13:10)
[106] §104 2001.11.28(Wed) 17:00 国連横浜基地 米軍割当外部ハンガー ミーティングルーム[maeve](2016/06/04 06:10)
[107] §105 2001.11.28(Wed) 17:40 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2016/06/10 23:26)
[108] §106 2001.11.28(Wed) 18:00 国連横浜基地 Bゲート付近 〈Valkyrie-04〉コックピット[maeve](2019/03/26 22:16)
[109] §107 2001.11.28(Wed) 21:00 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2019/03/30 00:03)
[110] §108 2001.11.28(Wed) 21:00(GMT-5) ニューヨーク レストラン “Par Se”[maeve](2019/06/30 17:55)
[112] §109 2001.11.29(Thu) 09:00(GMT-5) ニューヨーク国連本部 安保緊急理事会[maeve](2019/05/05 21:16)
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[35536] §24 2001,10,24(Wed) 22:00 B19シリンダールーム 暴露(改稿)
Name: maeve◆e33a0264 ID:53eb0cc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/04/04 22:05
'12,10,15 upload   ※連投。ご都合[チート]設定、再爆です。
'12,10,17 大幅改稿  ※後半部分の語句統一・説明追加等しました。
'13,04,04 誤字修正

Side 武


鎧衣課長が立ち去った後、徐ろに切り出したのは彼方だった。

一仕事してもらう時間をくれと言う趣旨。一瞬夕呼先生は文句を言おうとしたらしいが、彼方の様子に口を噤んだ。霞は、ただ黙っている。
そして、彼方が移動したのは、純夏の居るシリンダールームだった。

つまり・・・・純夏の蘇生に関することか!?



「・・・約束の2日経たからな。明日の朝でもいいんだが、昼間は何かと忙しい面子だ。ここで一気に極めておきたい。」

「・・・・・・いいわ、鑑に関することだもの。それによって作るユニットの形態も変わることだし。
で、結論は?」

「・・・限定的肯定。

その為の作業をコレからこのメンバーで行う。その結果次第で鑑を再生出来るか、00ユニットに移植するか、決まる。」

「!!」

「・・・・・この2日鑑の蘇生に関する情報を集めてきた。
その結果判ったことは、現状では鑑の脳神経組織は、重大な障害[●●●●●]が生じている、と言う事。
簡単に言えば、そのままでは再生不可能[●●●●●]、だ。」

「!!!・・・」

「・・・鑑はBETAによって脳幹以外消失している状態だ。
当然肺も心臓もないから、酸素やエネルギーである糖分、細胞増殖用のアミノ酸すら満たされているODLから供給されている。二酸化炭素や老廃物の排出もな。
謂わばBETA製代替血液に浮いているような状態だ。
ODLは単なる冷却機能だけを持つものではなく、幾多の機能をコマンドによって規定することが出来る、一種のナノマシンだと考えられる。直接細胞に遺伝子操作を施し、別の形態を強制的に発現させるのもODLの作用だしな。

で、そんなODLの作用で生きながらえさせられているわけだが、見ての通り、脳髄しか無い。
本来、間脳等で制御されるべき対象の臓器や、大脳につながる感覚器、運動制御する神経も脊髄までしかなく、筋肉も存在していない。
そのため、制御の該当部分は使われなくなった神経節が大幅に退化、乃至壊死している。これは使われないために神経節そのものが萎縮しているか、制御のために使われるレセプターに、応答がないため伝達物質が放出過剰となり、レセプターそのものが毀れてしまったか、のどちらかだ。

まあ、これらに付いては対応する器官の再構築と共に、神経系も一気に再生すれば問題ない、と言うことも判ったけどな。


けれど・・・・、問題は、BETAによる例の“性的陵辱”過程で、過剰な“快感”を与え続けられた神経節、特にA-10神経系のレセプターが、その過負荷に晒され続け伝達物質の放出抑制機構が破壊された事。
通常麻薬や覚醒剤を使用した性交でも同じ様な現象が起きるが、その場合レセプターの過剰応答による硬化は比較的緩慢なのに対し、BETAのやり方は、最終的には感覚器を断ち切り、その神経節に直接電流を流すという極めて乱暴なものだからな、レセプターの硬化も強制的で激烈だっただろう。
大量に放出された伝達物質は、結果的にその受容体を破壊し、一方で受け皿のなくなった伝達物質、所謂脳内麻薬が感覚野から大量に流出し、思考野や記憶野の神経組織までをも浸潤、破壊しつくした。

・・・・・・これが拙い。」


握った拳から血が滴り、唇を噛み締めた口の中に鉄の匂いがする。
前の世界で、純夏のプロジェクションにより、BETAの触手に犯され、更に敏感な部位を肥大させる様に身体を改造されて行く純夏を見た。
その様子ですら身を引きちぎられる想いだったのに、更なる過酷な責め苦は、それらの感覚器が全て切除されたその後に在ったというのだ。



「勿論これらも外から強引に再生すれば、神経細胞そのものの再生自体は可能だが、主に記憶や思考に関わるこの領域の神経節構造は元々鑑の成長と共に発展構築して行った鑑固有のものだからな、完全に元のままと言う訳にはいかない。
そしてこの激変は、今までの人格さえ破壊しかねない。」

「・・・・・・そんなの、どうやって直すのよ?」

「他の誰でもない、鑑自身にやってもらうしかないだろ?」

「「・・・・・・え?!」」

「・・・やり方は、知っている。何しろ・・・・・・俺はその経験者だから、・・・な。」

「・・・・・・。」



・・・・・経験者?

何の?





「ま、チョイと長い過去話しだが先ずは聞いてくれ。

前から言っているし、武は新聞でも知っていると思うが、俺は高校入ってすぐの15の時、落雷の直撃を受けた。
そいつは見事に脳天から入って、その時していたミュージックプレイヤーのイヤホンから外に抜けたらしいが、その通過ルートで、主に脳内の感覚野と、思考野をものの見事に破壊してくれた。
運動野や記憶野、間脳・脊髄はほぼぶじだったから、身体そのものは生きていたが、病院に担ぎ込まれた時点で脳波は殆どフラット、実際所謂脳死判定ギリギリのレベルだったらしい。
むしろ直撃で辛うじてでも生きていた事が奇跡に近いだろうが、な。

で、容態は、と言えば脳波殆ど無いが、身体機能は比較的安定、所謂植物状態一歩手前、ってところだ。
当時から医学的には脳細胞神経節が、“再生”されることは、既に知られていた。
脳細胞は、通常の細胞と違い、必要であれば増殖し、不要となれば衰退する。これは年令に関係なく、備わっている機能であると言われている。欠損した必要な脳細胞は、再生する、と言うことだ。

但し問題は、その再生速度。
特に神経節の再生に“刺激”を与える筈の感覚野が殆ど機能しない状態では、脳神経細胞の発達を促す刺激そのものが少なく、故に再生速度は極めて遅い。
俺が落雷によって被った広範囲における神経細胞の再生が行われ、意識覚醒に至るまで、少なくとも60年、と予測されたそうだ。

それでも、“生きている”からな。代謝や反射は問題なし。最低レベルの脳波だけはある。
そこから一度繋いでしまった生命維持装置を外すことは“殺人”に当たる。
・・・と、言う事で俺はそのまま生かされ続けた。

まあ、過程と姿は鑑の方が言い表せないほど過酷だとは思うが、今の鑑と同じような状態に在ったと思ってくれればいい。」

息を呑む。新聞で知識としては聞いていたが、実際に経験者の語る事実は重い。
・・・そうだ。
彼方は、その死地からの“生還者”。奇跡の体現者だった。


「鑑と違うのは、俺にはそのボロボロにされた思考野の神経節でも、生き残ったシナプス同士が辛うじて繋がり、極細い糸が絡みあうような危うさで、微かな“意識”が残されていた、と言うことだろ。脳波計にすら乗らないような、か細い意識が。

まあそれは、感覚野が破壊され、認識出来る五感は無いから一切何も感じないし、運動野そのものは無事でも、そことの繋がりは完全に切断されているから動くことも出来ない、正しく真闇の中に取り残された“自意識”だけの状態だった。

記憶野そのモノは破壊を免れたが、その接続が不完全で、思い出しようにもただただ混乱する記憶。
感覚の全くない、自分自身が在るかどうかもあやふやな、存在感。
まさしく死んでいるのか生きているのかさえ解らない、極めて曖昧な状態さ。

・・・・・・最初は、とっとと殺してくれ、と思ったよ。」

「!・・・・・・。」

いつでも飄然としている彼方が、そう想うなど絶望の深さが思われる。
一切の感覚が遮断された、完全な闇に浮かぶだけの意識。
救いのない絶望。彼方もそうだが、それは今も純夏の置かれている状況と同じ。
・・・・本当に理解してやれていたのか、今更ながらの前のループに於ける純夏を想う。


「それでも、何となく自覚はしていた。事故当時、強力な寒冷前線の影響であちこちにダウンバーストやら竜巻が発生していた。大地は鳴動してたし、頭上には急成長を続ける超大型積乱雲[スーパーセル]。大気が震える様な嫌な予感しかしなかったからな。

それが、いきなり意識が途切れ、気がつけば、そこは全てが断たれた真闇だけ。状況から雷の直撃を受けた事は想像できたし、それで脳が重大な障害を受けたらしいことも・・・。それを考えるだけ相当の労力を払ったけどな。」

「・・・・。」

「・・・で、真闇に浮かんでいるだけの意識なんだけどな、まともに思考も出来ない壊れかけの脳には、“自我”を保って居るだけでかなりの負担に成るんだろうな。なので休止期間、つまり“睡眠”が存在して居ることもすぐ判ったし、更に言えばそんな状態でも“夢”は見る事も知った。
眠ると、辛うじて繋がる記憶野から漏れ出る情報の再構成、みたいなやつ?

起きていても、何の情報も得られず、何をすることも出来ず、ただ“そこに在る”だけ。
何の希望も感じない。

そんな状態だったから、初めはその夢ばかり追った。
それしか刺激が無かったから。

で、そうしている内に、その夢のコントロールが出来ることに気がついた。
明晰夢、というやつ?  夢を見ていることを自覚している状態だな。


そして、ある時、唐突に思ったよ。

そもそもコレハナンダ?

・・・・とね。




つまり、当時の俺の脳味噌は、起きているとき、まともな思考さえ維持できないほど思考野が壊れていた。
難しいことを考えようとすると、途中でポコンと考えていたことが欠落するんだ。
CPUで言うメモリ不足。思考野で生きている記憶領域そのものが不足している訳だな。

実際蘇生した後で確認したけど、その時の俺の頭蓋内MR画像なんて悲惨。感覚野・思考野は、ポッカリ白く抜けていて、薄い蜘蛛の巣みたいな神経節が確認できる程度。脳細胞として使える領域なんてほんの僅かしか残っていなくて、本来“夢”、しかも明晰夢みたいな大量の記憶を操る領域とか、肉体的には全く存在していなかった。

そういった思考の欠落は認識していたのに、何故か展開される“夢”という膨大な情報。音や映像すらはっきりした明晰夢、それをコントロールすることすら可能。

メインメモリが完全に足りないのに展開される膨大な情報の矛盾、に気づいたわけだ。



それはつまり、何処か肉体とは別に仮想メモリがある、ということ。
破壊され切断された脳神経系ではない外部の、大容量記憶媒体に一時的な主記憶領域を構築することに他ならない。



既に自分に都合の良い、けれど結局“夢”でしかないモノを求めることにも飽きていたからな、以来ずっとそれ[●●]を、求めた。

時間だけは在った、と言うか時間しか無かった。


それが、アストラル・フェイズの存在、そしてそこに在るアストラル体[●●●●●●]だった。」


「「・・・・・」」


「ま、武が戸惑うのは理解できる。・・・・でも夕呼センセは判ってるよな。
“因果律量子論”が、同じ要素を含んでいる[●●●●●●●●●●]事を。」

「・・・あら、何処が同じだって言うのかしら?」

「因果律って言うのは、物理的な意味もあるが、元々は哲学的な概念、原因と結果を結ぶモノだ。それと量子論、つまり物理的な世界の成り立ちを結びつけようという挑戦。
もっと言えば、世界の“根源”である原因と、構成された結果である“世界”の関連を紐解こうという壮大な理論。」

「・・・・買いかぶり過ぎてない?」

「別に“根源”と言う表現がお気に召さないなら、“集団的無意識”でもいい。“原初”でもいいし、“真理”と言い換えても構わない。
平行世界とは別の高次に存在する“根源”からの、“意識”や“自我”の発露、それを量子論的物質[●●●●●●]として“現界”した生命[●●] 、それを解き明かすことを目論んだ。」

「なんで生命なの?」

「観測者の存在しない“世界”なんて、意味ないんじゃないのか?」

「・・・・・。」

「そのキーアイテムが00ユニット。」

「・・・・・・・・そうかもね・・。取り敢えず話逸れたわよ? そのアストラル体とやらがどうだって言うの?」


彼方は口元に笑を刻む。
それに対し夕呼先生は・・・・・・これって拗ねてる?


「アストラル体・・・・・まあ、呼び方は情緒体、感情体、感覚体、星辰体等色々だし、出処も神智学からで、その存在に付いてはその殆どが科学的とは言えない内容だって言うのも認める。
実際俺もその概念が近いだけでそう呼んでいるが、妥当性を完全に検証したわけでもないし。

けれど人間は、“物質”だけ構成されているわけではない、と言うのは誰もが認めることで、例えば遺伝子再生で、肉体の全てのパーツを組み上げてもそこに“自我”は発現しない。
なのに、それが例え人工であっても、ちゃんと受精卵から成長させ、育成された肉体には、それぞれに魂が宿り、自我が育まれる、紛れもない人間だ。」

彼方が優しい眼差しで霞を見つめる。
霞は、ぴくりと少し耳を動かしただけだった。

「人間とは器である“肉体”と、自我である“精神”、そして本質的な生命である“魂魄”という3つの要素が組み合わされた存在だといわれる。
さっきの言葉に直せば、“精神”は“自我”や“意識”、“魂魄”は、“根源”に繋がる生命存在そのもの、という事になる。

そしてその実在証明で言えば、アストラルフェイズやアストラル体と言う考え方は、そのままESPや、PKと言った能力との関わりになる。“知覚”と言う作用がアストラル体である“意識”に及ぼすモノで、感じる=作用されるという受動は、作用する=動かすと言う能動の表裏であり、物質すなわち物理現象を越えた知覚・作用を醸すのが、ESPとPK、と言う事になる。
更にはBETA由来のバッフワイト素子による物理現象ではない“思考波”の観測からも、既にこの領域はオカルトの域を外れている、と思うが、その辺はどうなんだ?」

「・・・・・そうね。今ではそれらの実例を否定できる科学者は居ないわ。
BETAに追われて基礎的な研究が全く進んでいない分野だから、未だに反射的な嫌悪感を示す研究者も多いけど・・・、ね。」

「まあ、他の人間が信じようが信じまいが関係ない。実際、俺はこうして存在している。
で、話を大元に戻すと、このアストラル体がメモリーとして作用、つまり“記憶”が残せる事に気がついた。


これも傍証は沢山あって、例えば臓器移植で臓器の提供を受けたレシピエントが、ドナーの記憶を受け継いだりする事例が報告されている。心臓や肺、果ては角膜移植でさえね。
物質である肉体と共にあると考えられているアストラル体は、切除された肉体と共に移植され、そこに記録されたドナーの記憶がレシピエントに伝わる、という事で、生前のドナーしか知りえない記憶の再現により実証もされている。

・・・・・・そもそも、此処[●●]には、その集大成が存在[●●]するしな。」

「・・・・・え?」

「・・・・・お前[●●]だよ、武。
虚数空間に残された膨大な量の“記憶”。幾多のループの中で肉体は滅びても残り続けたその記憶こそ、通常の物質界、その時空すら越えた存在、アストラル体の集合体そのものじゃないのか?」

「あ・・・・・」

何かがストン、と堕ちた。虚数空間に溜まり続けた記憶。その媒体[●●]の事など考えたことも無かったが、そう言われれば納得してしまう。





「・・・そして、単純に言えば、記憶が出来るなら、“演算装置”も出来る。
メモリが構成できるなら、CPUも出来るってわけだ。」

「・・・・・・・随分乱暴な理論ね?」

「だろうな。結果論だからな。しかも今使っているメモリーをCPUに改造[●●]しようって言うんだからな。

尤も、如何にも更にオカルティックな話ではあるが、アレイスター・クロウリーと言う魔術師は、意識の地平を拡張してアストラルフェイズに至るために、“光体”という仮の身体を育成することを考えたと言われているし、同じような考え方が、中国の道教を祖とする仙道にも、“陽神”という形で存在する。陽神と合一して“羽化”したのが、“仙人”と言うわけだ。
アストラル体を具現化しようという試みは、科学技術の発達していない昔はどこでも行われていたのさ。
・・・どんだけ成功したかまでは知らないがな。

俺は、流石にそんなオカルトに頼る訳にもいかない。


まず、夢と言う無意識領域だけでなく、起きている時でも、アストラル体をキャッシュメモリとして使えるように訓練した。これは明晰夢から展開してどうにかなった。

次にアストラル体をセンサーとして使えるものか、試した。ESPもあるし、感覚器として使えることは知っていたが、それ自体不定形で、意志を以て操る事が出来ることが判ったからな。
結果で言うと、まあ触覚に近いんだが、アストラル体の触覚は、光や音、分子といった物質の物理的な指標ではなく、“ポテンシャル”や、“概念”、社で言えば、“思考”や“意志”といった物理的には抽象的な事象が読み取れることを理解した。

そこで、ICUのベッドを制御している端末を探し、そこから制御しているコンピュータ、さらにはその所謂電脳概念に“情報”の感覚器をのばし、そこからネット情報の海に出た。

実際自分の記憶でメモリやCPUの構成なんて知っているわけ無いからな。
で、ネット情報や、むしろCPUメーカーにもハッキングしまくって、メモリや記憶装置の構成から、CPUやMPU、OSの“概念”までを漁り、知覚し、それをアストラル領域で具現化していくことによって、徐々に“思考体”を組み上げた。

つまり、古典的なオカルト手法に依らず、CPUの構築という極めて現代的な手法で、アストラル思考体構築を目指したわけだ。」

「・・・アストラル体って言うのは、“自我”なんだろ?、それ自体が思考出来るんじゃないのか?」

「そうだな、そう思われがちだが通常は出来ない。“自我”や“意識”は、ある種、ソフトウェアの様なものだと解釈してくれ。情報や思考過程の塊では在っても、ハードウェア、すなわち神経細胞による大規模な演算装置がなければ動かない[●●●●]
更には、ハードウェアの性能次第で、発現する思考が異なる。つまり虫にも魂があって、自我もあるが、高度な精神活動は出来ない、という事になる。」

「・・・じゃあどうやって思考体なんか?」

「言ったろ?、アストラル体は記憶媒体[●●●●]、つまりメモリーなんだ。ソフトウェアだって、記憶媒体で伝えられる。
つまり媒体であるメモリーそのものを、改造してCPUに変えるっていうデタラメなこと。
勿論現実のUSBとかじゃあ無理だが、そこは構成その物に自由度を有していたアストラル体だからな。」

「・・・なるほど・・」

「・・・勿論、口で言うほど簡単なコトではなかったけどね。それこそ基礎の基礎、単純な信号レベルのI/Oから構築する様なものだったからな。

そしてそれは、時間だけは在った、といっても、体感時間で約10年、現実の肉体時間で1年掛かった。

まあ、そんな細かい操作は嫌いでは無かったけど。お陰でのめり込んだ、と言うわけ。
・・・・・要するに、究極すら超越した、引き篭もりオタク[●●●●●●●●] ってトコだな。


・・・・・・・・そして、その過程でアストラル体からの働きかけで、体細胞DNAの活性化が出来る事が解ったんだ。」


「え!?」


「話が跳んで悪いが、今度は生物の話だ。

・・・もともとDNAには生物の肉体的情報が全て、内包されている、そんな事は皆知っている。
その設計図に因って展開構築された肉体は、ミトコンドリアDNAと連携し、エネルギーを摂取し、分化、成長していく。それは、よく知られた細胞分化のプロセスに相違ない。

けれど、そこに“意識”の構築はなく、“意志”の発露はない。


そもそも、根源的な疑問なんだけど、その設計図に従って、生命を創れ、と命令するのは誰だ?
DNAからの情報の引き出し、タンパク質の構成、それを細胞としての増殖。それらのプロセスは確かに解明されている。

けれど・・・・。

そのスイッチは、誰が押す?
これだけ複雑な分化を、誰が指示するのか?
タンパク質の塊に過ぎない細胞が、なぜ“生きる”のか?
60兆個と言われている人の細胞同士にはなんの連絡手段も無いのに、個々の細胞は全体の一部として機能し、個々の細胞が統合された全体を構成している。

“誰が”、或いは“何が”そうさせているんだ?


その全体を繋げているのがアストラル体であり、そしてそれによって繋がった“魂魄”の意志であり、いわば“根源”の意志に他ならない、・・・とアストラル思考体の俺は捕らえたわけだ。


もっとも是は仮説で、宗教的・哲学的な議論も含むから、ここではこれ以上突っ込まない。
けれど、アストラル体からの操作が、DNAの活性化、分化のスイッチに成っていることは、確かだった。



あとは、解るだろ?

アストラル思考体を構築した俺は、当時ボロボロだった神経節を再構成し、アストラル体の“自我”に沿った神経細胞による思考野を構築。それを元に今度は破壊された脳内神経節の“分化”をコントロールして、思考野と感覚野のシナプスを急速に接続・修復、元のように肉体でも[●●]思考が出来るように全部接続し直して、意識覚醒。

結果・・・1年間の昏睡の末、“奇跡の生還”となったわけだ。」



しばし、声もない。

雷の直撃によって闇に落ちた彼方は、結局その闇から、自分の力だけで、這い上がってきたのだ。
恐らくは才能とか、幸運とかではなく、諦めない心[●●●●●]と、その思考[●●]だけで・・・。

10年の真闇、10年の孤独。



「・・・・・・・・・・・・・・・・それを鑑にも遣らせる、・・・ってこと?」

「・・・武の前の世界・・・2周目の世界で、鑑は00ユニットに成った。
その際、壊れかけた脳髄から、記憶や思考体の残骸を全部量子電子脳に移植した。
恐らくなんだが、その際その操作により、アストラル体も移植されたんだと思う。

と言うのは、今回鑑の脳髄を検査して思ったが、通常ここまで破壊された脳神経細胞では、意識は全く保てない。つまり普通ならとっくにアストラル体、ひいては魂魄との接続が切れて、脳死にいたってる。
思考野はアストラル体と繋がり、そして魂魄に至る重要な部分だから、それがここまで破壊されて生きていられる方が不思議。

鑑の場合、人の極限を越えた拷問に晒されたことにより、壊されかけた鑑は知らず最後に残った記憶情報をすべてアストラル体に転写し、それを封印することで自己防衛、すなわち魂魄との接続を守った。
『タケルちゃんに会いたい』という意志は、いわば眠っているアストラル体の意識から溢れた、寝言みたいなものじゃないかな。

前の世界の人格転移手術は、それごと新たな器に移したので、鑑の魂魄は移されたアストラル体を介して00ユニットに繋げられたわけだ。

事実、武は目覚めた00ユニットを紛れもなく鑑と認識したし、隊の誰もが、鑑を人間として見なした。
コレは00ユニットに同化したアストラル体を介して繋がった魂が鑑純夏そのものだったから、じゃないのか?」

「・・・・・・直感的になんだけど、・・・もの凄く納得できる。
前の主観記憶でも、身体が作り物、って解っているのに、あれは絶対に純夏そのものだった。」

「まあ、前回の鑑がアストラル領域に避難できたのは、僅かな記憶だけで、そこに思考体や感覚器を構築する時間も技術もなかっただろう。
それが逆に00ユニットとなることで、思考野や、感覚野は、完璧に再現されたが、中身のデータは皆無。
記憶野の穴埋めが出来たのは、武の記憶をリーディングした社がプロジェクションしたからだろうな。

で、徐々に鑑純夏が再構築され、武との接触が退避して眠っていたアストラル体の自意識を起こした。
あとは、量子電導脳自体がアストラル思考体とおなじ様なものだからな、恐らく上位フェイズにアクセスして、因果世界の他の量子電導脳から情報を集める事により、自我と記憶を補完した、と言うところかな。」

「・・・なによ上位フェイズって?」

「・・・イデアルフェイズ。
さっき言った“根源”、“集団的無意識”、“原初”、“真理”、更に別の言葉でいえば、・・・母生命、アカシックレコード、涅槃。
夕呼センセっぽく言えば、因果の地平か、虚数空間も同じ概念?
無意識領域は、そのパーソナルエリアと言うところか。

・・・・本来、夕呼センセが00ユニットに求めた物。」

「!!」

「・・・まあ、俺も向こうで夕呼先生に会うまで、そんな概念全く思いつかなかったけどな。
量子電導脳は、このイデアルフェイズに接触できる可能性がある、と思っている。
と、言うか、00ユニットはそこに接続するI/Fそのものでしょう?  夕呼センセ。」

「・・・・やっぱり気付いていたのね・・・。」

「・・・まあね。本当に00[ゼロゼロ]で良いなら人格[●●]を付与する必要が無いから。BETAとのI/Fには必要ない。
けれどイデアルフェイズに至る為には、勿論、そこに繋がる人格が存在することが大前提。
その人格に由来する、限定的な情報・無意識領域にしか接続出来ないので、“神”みたいに成ることはない、けどな。」

「・・・って事は、経験があるの?」

「・・・俺は覚醒後、脳神経細胞の再生で一時的に無理した体調を整え、もう一度自発的に昏睡に入った。目的は、アストラル思考体で存在が“見えた”イデアルフェイズへの接触。
思考速度を上げていたので感覚時間で約100年。肉体時間では1年だったな。
それだけ掛かっても、結局完全な合一には至らなかった。
まあ、お蔭で色々な技術に転用できる知識は付いたけどな。」

「・・・とても興味深い研究ね・・・。」

「これが、向こうの世界の夕呼先生とも仲良かった理由。

そして因果律量子論が、この概念を避けて語れないことの証拠さ。

と言うか、俺が構築したアストラル思考体は、さっきも言ったけど一種の量子計算機と同じものだと思っている。
固定されたビットを持つハードウェアじゃない。
問題に対してスケーラビリティを有し、必要に応じて演算子すら構成する。
当然分割思考[マルチタスク]も可能。

ただし、もともと“計算”することを目指したんじゃなく“思考”することを目指したから、緻密な計算は苦手だけどな。それは外部に投げればいいし。

そっちの才能はあまりなかったから、リーディングやプロジェクションは出来ないが、そもそも構築のための情報収集で使ったアストラル体を介した電脳世界接続は可能、ハッキング・クラッキングはやりたい放題。正しく鑑が行ったハッキングと同じレベルで実行出来る。」

「・・・・向こうのアタシが彼方を離さなかったのも当然ね。
BETAなんかいなかったら、アタシがこんな面白い研究テーマを見逃すわけがない。
生命、哲学、倫理、物理、全ての根源に至れるかも知れない“真理”。
因果律量子論が求めたその一端を、紛れもなく掴んでいると言うことね。」

「アプローチを異にするが、この領域も突き詰めると因果律に関わるからな。・・・・で、話を戻す。

00ユニットの有用性は、さっきの通り。が、出来れば鑑には生身の身体で蘇生して欲しい。
武の心情的にも、BETAへの情報流出対策や、反応炉依存度を無くす為にも。
前に言ったとおり、その情報や技術は既にある。

BETAの技術と、さっきのアストラル体からのスイッチングを行えば、ほぼ完璧に鑑の壊された思考野と感覚野を再生出来る。
ただし、脳神経節については、さっきの話からも鑑本人の自意識から構築する必要がある。
自由度が高くアストラル思考体に構造がにている量子電子脳ならともかく、寧ろクローンとして再生させれば、生身の未構築な脳神経細胞に今の鑑の意識が一致するとは思えない、というか間違いなくしない。最悪肉体と意識が乖離する危険性もある。

で、自力再生を促すために、眠っている鑑の意識を覚醒しに行く必要がある。」

「・・・どうやって?」

「・・・・・サイコダイヴ。」


・・・それって・・・・もしかして、オレ今夜純夏に逢えるのか・・・・?


Sideout



※あとがき

取り敢えず、荒唐無稽な御子神の秘密も漸くバラしたし、純夏ん復活ルート確定しました^^;
ので、次の投稿を以て、本板に移動しようかと考えています。


今更感満載ですが、難しいですね、SSは。
先達の偉大さを改めて知るこの頃。
思うところ(=たどり着きたい結末)は、初めから在るのですが、そこに至る経緯や設定を詰めていると、まだ別の設定が必要になる、という悪夢の芋蔓。話が拡がるばかりでちっとも収束しやしない。
何よりも、24話も使っていながら未だ以て2人の顕現から、まだ3日しか経っていないという事実! に作者も吃驚。
決して、愚痴じゃないですよ、愚痴じゃ^^;
それでも読者様の貴重なご意見ご指摘で作者は、本筋に係わらない描写はなるべく切ると言うスキル“割り切り”(Lv1)を獲得することが出来ました。ネタや薀蓄話には無効みたいですが^^;

まあ、力不足で途中更新が鈍ることも在るかと思いますが、コレからも訥々と書き連ねていくつもりなので、こんな駄文で宜しければ、今後もお付き合い下さい。




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