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No.35536の一覧
[0] 【チラ裏より】Muv-Luv Alternative Change The World[maeve](2016/05/06 12:09)
[1] §01 2001,10,22(Mon) 08:00 白銀家武自室[maeve](2012/10/20 17:45)
[2] §02 2001,10,22(Mon) 08:35 白銀家武自室 考察 3周目[maeve](2013/05/15 19:59)
[3] §03 2001,10,22(Mon) 13:00 白銀家武自室 考察 BETA世界[maeve](2012/10/20 17:46)
[4] §04 2001,10,22(Mon) 20:00 横浜基地面会室 接触[maeve](2012/12/12 17:12)
[5] §05 2001,10,22(Mon) 21:00 B19夕呼執務室 交渉[maeve](2012/12/06 20:40)
[6] §06 2001,10,22(Mon) 21:30 B19夕呼執務室 対価[maeve](2012/10/20 17:47)
[7] §07 2001,10,22(Mon) 22:00 B19夕呼執務室 考察 鑑純夏[maeve](2012/10/20 17:47)
[8] §08 2001,10,22(Mon) 22:30 B19夕呼執務室 考察 分岐世界[maeve](2012/10/20 17:47)
[9] §09 2001,10,22(Mon) 23:00 B19シリンダールーム[maeve](2012/10/20 17:48)
[10] §10 2001,10,23(Tue) 08:00 B19夕呼執務室[maeve](2012/12/06 21:12)
[11] §11 2001,10,23(Tue) 09:15 シミュレータルーム 考察 BETA戦[maeve](2013/01/19 17:36)
[12] §12 2001,10,23(Tue) 10:00 シミュレータルーム 考察 ハイヴ戦[maeve](2015/02/08 11:03)
[13] §13 2001,10,23(Tue) 11:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:23)
[14] §14 2001,10,23(Tue) 12:20 PX それぞれの再会[maeve](2012/12/16 23:01)
[15] §15 2001,10,23(Tue) 13:00 教室[maeve](2012/12/06 00:01)
[16] §16 2001,10,23(Tue) 13:50 ブリーフィングルーム[maeve](2013/05/15 20:03)
[17] §17 2001,10,23(Tue) 18:30 シミュレータルーム[maeve](2015/03/06 21:04)
[18] §18 2001,10,23(Tue) 22:00 B15白銀武個室[maeve](2015/06/19 19:23)
[19] §19 2001,10,23(Tue) 23:10 B19夕呼執務室 考察 因果特異体[maeve](2012/10/20 17:51)
[20] §20 2001,10,24(Wed) 09:00 B05医療センター Op.Milkyway[maeve](2015/02/08 11:06)
[21] §21 2001,10,24(Wed) 10:00 シミュレータルーム 考察 XM3[maeve](2012/12/06 21:17)
[22] §22 2001,10,24(Wed) 13:00 横浜某所 遺産[maeve](2012/11/10 07:00)
[23] §23 2001,10,24(Wed) 21:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:30)
[24] §24 2001,10,24(Wed) 22:00 B19シリンダールーム 暴露(改稿)[maeve](2013/04/04 22:05)
[25] §25 2001,10,24(Wed) 23:00 B19シリンダールーム 覚醒[maeve](2013/04/08 22:10)
[26] §26 2001,10,25(Thu) 10:00 帝都城 悠陽執務室[maeve](2016/05/06 11:58)
[27] §27 2001,10,26(Fri) 22:00 B19夕呼執務室[maeve](2016/05/06 12:35)
[28] §28 2001,10,27(Sat) 09:45 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:22)
[29] §29 2001,10,27(Sat) 11:00 帝都浜離宮茶室[maeve](2015/02/08 10:15)
[30] §30 2001,10,27(Sat) 12:45 帝都浜離宮 回想(改稿)[maeve](2012/12/16 18:30)
[31] §31 2001,10,27(Sat) 14:00 帝都城第2演武場[maeve](2015/01/23 23:26)
[32] §32 2001,10,27(Sat) 15:00 帝都城第2演武場管制棟[maeve](2016/05/06 11:59)
[33] §33 2001,10,27(Sat) 16:00 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:31)
[34] §34 2001,10,28(Sun) 10:00 帝都城第2演武場講堂 初期教導[maeve](2016/05/06 12:00)
[36] §35 2001,10,28(Sun) 13:00 帝都城来賓室[maeve](2016/05/06 12:00)
[37] §36 2001,10,28(Sun) 国連横浜基地[maeve](2012/11/08 22:20)
[38] §37 2001,10,29(Mon) 15:00  B19シリンダールーム 復活[maeve](2013/04/04 22:18)
[39] §38 2001,10,30(Tue) 10:00  A-00部隊執務室 唯依出向[maeve](2016/05/06 12:01)
[40] §39 2001,10,30(Tue) 11:00  B19夕呼執務室 考察 G元素(1)[maeve](2015/03/06 21:07)
[41] §40 2001,10,30(Tue) 15:00  A-00部隊執務室[maeve](2015/02/03 20:59)
[42] §41 2001,10,31(Wed) 10:00 シミュレータルーム[maeve](2016/05/06 12:03)
[43] §42 2001,10,31(Wed) 06:00 アラスカ州ユーコン川[maeve](2016/05/06 12:03)
[44] §43 2001,10,31(Wed) 10:00 司令部ビル 来賓応接室[maeve](2016/06/03 19:20)
[45] §44 2001,10,31(Wed) 12:00 ソ連軍統治区画内 機密研究エリア[maeve](2016/05/06 12:05)
[46] §45 2001,11,01(Thu) 13:00 アルゴス試験小隊専用野外格納庫 考察 戦術機[maeve](2016/05/06 12:06)
[47] §46 2001,11,02(Fri) 12:00 テストサイト18第2演習区画 E-102演習場[maeve](2016/05/06 11:50)
[48] §47 2001,11,02(Fri) 12:15 司令部棟 B05 相互評価演習専用指揮所[maeve](2016/05/06 12:06)
[49] §48 2001,11,03(Sat) 05:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/02/03 21:01)
[50] §49 2001,11,03(Sat) 09:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/01/04 19:23)
[51] §50 2001,11,02(Fri) 20:00 ユーコン基地[maeve](2016/05/06 12:07)
[52] §51 2001,11,03(Sat) 点景[maeve](2016/05/06 12:08)
[53] §52 2001,11,04(Sun) 07:30  A-00部隊執務室[maeve](2016/05/06 12:08)
[55] §53 2001,11,04(Sun) 20:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/06/19 19:45)
[56] §54 2001,11,05(Mon) 09:00 ブリーフィングルーム[maeve](2015/01/24 18:43)
[57] §55 2001,11,06(Tue) 10:00 帝都城第2連隊戦術機ハンガー[maeve](2015/06/05 13:06)
[58] §56 2001,11,07(Wed) 10:00 横浜基地70番ハンガー[maeve](2015/03/06 20:56)
[59] §57 2001,11,08(Thu) 14:00 帝都浜離宮来賓室[maeve](2015/09/05 17:29)
[60] §58 2001,11,08(Thu) 15:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(1)[maeve](2013/04/16 21:00)
[61] §59 2001,11,08(Thu) 15:30 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(2)[maeve](2015/01/04 19:04)
[62] §60 2001,11,08(Thu) 16:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(3)[maeve](2015/02/03 21:19)
[63] §61 2001,11,09(Fri) 11:05 新潟空港跡地付近[maeve](2015/10/07 16:50)
[64] §62 2001,11,10(Sat) 23:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/03/06 21:15)
[65] §63 2001,11,11(Sun) 05:50 燕市スポーツ施設体育センター跡[maeve](2015/06/19 19:48)
[66] §64 2001,11,11(Sun) 06:52 旧海辺の森跡付近[maeve](2016/06/03 19:25)
[67] §65 2001,11,11(Sun) 07:15 旧燕市公民館跡付近[maeve](2016/05/06 11:55)
[68] §66 2001,11,11(Sun) 07:24 連合艦隊第2艦隊旗艦“信濃”[maeve](2016/05/06 11:56)
[69] §67 2001,11,11(Sun) 07:44 旧新潟亀田IC付近[maeve](2015/09/11 17:22)
[70] §68 2001,11,11(Sun) 08:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 09:53)
[71] §69 2001,11,11(Sun) 08:15 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 10:00)
[72] §70 2001,11,11(Sun) 08:20 旧北陸自動車道新潟西IC付近[maeve](2014/12/29 20:34)
[73] §71 2001,11,11(Sun) 08:25 帝都上空[maeve](2015/08/21 18:44)
[74] §72 2001,11,11(Sun) 10:30 三条市荒沢R289沿い[maeve](2015/02/04 22:07)
[75] §73 2001.11.12(Mon) 09:30 PX[maeve](2015/09/05 17:34)
[76] §74 2001.11.13(Tue) 09:00 帝都港区赤坂 九條本家[maeve](2015/04/11 23:27)
[77] §75 2001,11,13(Tue) 10:30 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2015/12/26 14:19)
[78] §76 2001,11,13(Tue) 19:50 B19フロア 夕呼執務室 考察G元素(2)[maeve](2016/05/06 12:19)
[79] §77 2001,11,14(Wed) 09:00 講堂[maeve](2016/05/06 12:25)
[80] §78 2001,11,15(Thu) 22:22 B15 通路[maeve](2016/05/06 12:31)
[81] §79 2001,11,15(Thu) 15:00(ユーコン標準時GMT-8) ユーコン基地滑走路[maeve](2015/10/07 16:54)
[82] §80 2001,11,16(Fri) 10:15(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/09/05 17:41)
[83] §81 2001,11,16(Fri) 10:55(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト18[maeve](2015/10/07 16:57)
[84] §82 2001,11,16(Fri) 16:30(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/05/31 10:24)
[85] §83 2001,11,16(Fri) 21:00(GMT-8) リルフォート歓楽街 “Da Bone”[maeve](2015/10/07 17:03)
[86] §84 2001,11,17(Sat) 17:00(GMT-8) イーダル小隊専用野外格納庫 衛士控室[maeve](2015/06/20 23:51)
[87] §85 2001,11,18(Sun) 17:20(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト37 幕間?[maeve](2015/05/31 20:15)
[88] §86 2001,11,18(Sun) 22:00(GMT-8) アルゴス試験小隊専用野外格納庫[maeve](2016/05/06 11:46)
[89] §87 2001,11,19(Mon) 13:00(GMT-8) ユーコン基地 居住区フードコート[maeve](2015/06/19 20:13)
[90] §88 2001,11,19(Mon) 18:12(GMT-8) ユーコン基地 演習区外米国緩衝エリア[maeve](2015/12/26 14:23)
[91] §89 2001,11,19(Mon) 18:50(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/12/26 14:25)
[92] §90 2001,11,19(Mon) 20:45(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/10/07 17:13)
[93] §91 2001,11,19(Mon) 21:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画[maeve](2015/10/07 17:15)
[94] §92 2001,11,20(Tue) 03:30(GMT-8) ソビエト連邦租借地 ヴュンディック湖付近[maeve](2015/08/28 20:32)
[95] §93 2001,11,21(Wed) 14:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画内 総合司令室[maeve](2015/10/07 17:20)
[96] §94 2001.11.22(Thu) 03:00(GMT-8) アラスカ州ランパート付近[maeve](2015/12/26 14:28)
[97] §95 2001.11.23(Fri) 18:00(GMT+9) 横浜基地 B20高度機密区画[maeve](2015/08/28 20:08)
[98] §96 2001.11.24(Sat) 15:00 横浜基地 B17 A-00部隊執務室[maeve](2016/06/03 19:39)
[99] §97 2001.11.25(Sun) 02:00(GMT-?) 某国某所[maeve](2015/12/26 14:33)
[100] §98 2001.11.25(Sun) 13:30 横浜基地 北格納庫管制制御室[maeve](2016/06/04 14:06)
[101] §99 2001.11.25(Sun) 18:00 横浜基地本館 メインバンケット モニタールーム[maeve](2015/10/31 14:40)
[102] §100 2001.11.26(Mon) 06:30 横浜基地本館 ゲスト棟[maeve](2016/05/06 11:44)
[103] §101 2001.11.26(Mon) 17:15 横浜基地 モニタールーム[maeve](2016/05/15 12:14)
[104] §102 2001.11.27(Tue) 06:00 国連横浜基地 第2グランド[maeve](2016/06/03 19:42)
[105] §103 2001.11.28(Wed) 09:00 国連横浜基地 XM3トライアル V-JIVES[maeve](2016/05/14 13:10)
[106] §104 2001.11.28(Wed) 17:00 国連横浜基地 米軍割当外部ハンガー ミーティングルーム[maeve](2016/06/04 06:10)
[107] §105 2001.11.28(Wed) 17:40 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2016/06/10 23:26)
[108] §106 2001.11.28(Wed) 18:00 国連横浜基地 Bゲート付近 〈Valkyrie-04〉コックピット[maeve](2019/03/26 22:16)
[109] §107 2001.11.28(Wed) 21:00 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2019/03/30 00:03)
[110] §108 2001.11.28(Wed) 21:00(GMT-5) ニューヨーク レストラン “Par Se”[maeve](2019/06/30 17:55)
[112] §109 2001.11.29(Thu) 09:00(GMT-5) ニューヨーク国連本部 安保緊急理事会[maeve](2019/05/05 21:16)
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[35536] §21 2001,10,24(Wed) 10:00 シミュレータルーム 考察 XM3
Name: maeve◆e33a0264 ID:53eb0cc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/12/06 21:17
'12,10,11 upload   ※説明冗長です。苦手な方はパスしてください。
'12,12,06 誤字修正


Side 遥


昨夜に続き、新OS・XM3の慣熟に入った。

白銀少佐の見せた、あの煌星の様な機動。衛士として憧れない訳がない。
光線級すら歯牙にも掛けないその機動は、絶望に瀕した人類の光明にも見えた。
その機動実現の、基礎とも言える新OS【XM3】。
最初は皆激変した応答性に戸惑っていたようだが、御子神少佐の組んでくれたレベライズの助けもあり、1時間もしないうちに、目覚しい機動を見せるようになったのだ。

正式任官の為に未受講の訓練課程を受けると言う白銀少佐は、昼間訓練兵扱いとなり、神宮司大尉と共に訓練教程の為、教導には来られない。
あの白銀少佐に何を、という今更感が強いが、何らかの思惑があるのだろう、そこはNTK[ニード・ツー・ノウ]なのだろう。


代わりに、と言っては失礼だが、御子神少佐が見に来てくれた。

実際、オペレーションルームでガコンガコン動く高足蟹の甲羅みたいなシミュレータを眺めつつ、各人のシミュレーション映像をモニターするくらいしか、やることのなかった私に、大量のお仕事を下さった。


バイタルモニターから、先行入力率・入力速度・反応速度・ヒット率・キャンセル応答速度・事後入力速度・適性率・コンボ構築数・使用頻度・・・・・・・・。

そして3次元方向への耐G馴致課程。対XM3仮想アグレッサー。


これでもか、と言うくらいのてんこ盛り教導プログラムだった。



「取り敢えず、試作β版で、追々改修していくが、当面これだけあれば武が居なくても熟せるだろう。」

「・・・・お腹イッパイです。」

苦笑いする御子神少佐。

「俺もいつも教導に付き合えるわけじゃないしな、基本これらの推進とデータの検証は涼宮姉が中心となって、伊隅と相談しながら進めて欲しい・・・んだが・・・・・・」

「了解です、・・・って何か?」

しげしげと見つめる視線に問を返す。

「・・・涼宮姉は・・・・皆と一緒に戦術機に乗りたいか?」

「・・・・それは、どういう意味ですか?」

「いろいろ向こうから引っ張ってきた技術が在ってな。望むなら、生体擬体をほぼ元通りに出来る可能性があるって事だ。」

「!!!」

ちょっと待って!
それって・・・ええっ!?
いろんな想いがゴチャゴチャに入り乱れて、考えが纏まらない。

「・・・私が今から衛士になって、皆のレベルに追いつけるでしょうか?」

「XM3に関しては、アイツらもヒヨッコと変わらん。BETAに対する経験は、むしろ常に俯瞰していた涼宮姉の方が豊富。ただ、隊全体として見たとき、どちらが戦力として上になるのか、そこは予想がつかない。
A-01は言ったようにハイヴ攻略戦を想定しているが、CPの場合は複座に就いて貰うつもりだからな。」

「・・・少し時間を頂いていいですか?」

「ああ。・・・ただどのみち、今のバタバタが一段落したら、治すけどな。」

「・・・ありがとうございます。」


この人は、何なんだろう・・・?
入り乱れる想いの中、唐突に思ったのは、それだった。












『本当にこれ、白銀少佐のコピーなの?  機動弄ってない?』

水月の声がする。
いけない、いけない。
御子神少佐の爆弾は置いておいて、チェックに入る。


教導プログラムの大まかな説明を終え、先ずは現状認識の意味でも、一部の戦闘狂が望んだ意味でも“人外”級アグレッサーとの対戦を望んだのだ。


「今朝武にも試して貰ったが、気味悪いくらいそっくりだと言っていた。まあ、当然本人には届かないから9割方再現している、と言ったところか。
なら、試しに速瀬は“自分”と闘ってみるか・・・。ほら、換装したぞ。」

『え?  あ・・・、本当だ。変態機動しなくなった!!って、えぇ!?  うわっ!!』


御子神少佐は基本的に自分でシミュレータに機乗しない。
技術職で実機経験が無い自分にはおこがましい、と言うのが理由だった。本当は面倒くさいだけらしいが。

その代わり、対BETA戦経験も対人戦経験も豊富だという白銀少佐の仮想戦術機モデルを作ってきた。

因みにその白銀アグレッサーモデルにハイヴ攻略をさせたところ、前回とは全く別ルートで同じように反応炉破壊まで行って見せた。
ただし、実現できるのは9割なので成功は10回に3回程度らしい。


そして行われた仮想白銀機対戦は、個別で行ったら訳もわからないうちに全員秒殺。
そこで編成を変え、A-01隊全機との対戦にしてみたが、それを以てしても、吹雪1機に太刀打ちできないという結果に終わった。
白銀少佐の3次元機動は、対戦術機戦に於いても、極めて有効なのだ、と言うことを実感させられた。





「さて、取り敢えず目指すべき目標は見えたかな?
今のデータを見る限り、まだまだ全然XM3の優位性を使いこなせていない。反応速度の向上に頼った動きだ。
一応伊隅と、速瀬、・・・なぜか築地が反応速度レベルIIには達したが、先行入力のヒット率はまだまだ、築地にいたってはキャンセル率もダントツに1位だ。

夕方からは武が来るが、アイツは、基本習うより慣れろ、ってヤツだし、何よりもアイツ自身感覚だけで操っている様なもんだから、中々に理解しにくいところもあると思う。
まあBETAとの実戦経験は豊富なヤツだから、間違いではないんだけどな。」

『!! あの機動は、実戦に於いて培われたモノなんですか?』

「ああ。武の経験は本物だ。新種でも出てこない限り、有効だよ。極秘部隊上がりだからな。まあその内知る機会も在るだろうし、そこでの最後の作戦のデータもあるから、見せてもらえばいい。」

「・・・・・」

当然といえば当然。あのハイヴ侵攻は、ハイヴを攻めた経験がなければ無理だろう。
むしろ初見でハイヴを崩落させた方が異常だ。誰とは言わないが。


「・・・それでは、感覚的すぎる武の教導が始まる前に、理解して貰うための説明をしておきたい。
小難しいかもしれないが、基本は既に知っていなければならない内容だからな。ちゃんと理解しろよ。
シミュレータ乗っているんだから、確認しながら聞いていてもいいぞ。」


そして御子神少佐は、戦術機の操縦に関する説明を始めた。









「先ず認識してもらいたいのは、戦術機が人を模した乗り物[●●●]である、と言うことだ。



では、乗り物とはなにか。

最初に自動車を思い浮かべてくれ。免許を持っている者も、居ない者も漠然とならわかるだろう。
進む・曲がる・止まる。
いろいろやっているが、移動に関する基本的な操作は、それしかない。

次に、飛行機は?
飛行機は空をとぶから、車が地面、つまり2次元で行っていた挙動に、上がる・下がるが加わっただけ、
・・・・と思われがちだが実は違う。

車でも、2次元で曲がる、と言う動作は厳密には垂直軸周りのモーメント、つまり回る(ヨー)、という動作によって進行方向を変え、結果曲がることを実現している。
飛行機に於いて、3次元にそれが拡張された場合、先のヨーに加え、前後軸回りのモーメント、捻る(ピッチ)と言う概念と、左右軸周りのモーメント、転がる(ロール)という概念が追加されている。
そして飛行機の機動は全てこの組み合わせで行われている。
飛行機では主翼による揚力の発生原理上、主翼に関わる力の発生が大きい。逆に小さな尾翼でしか発生しないヨー方向の動きはかなり苦手だ。
なので、早く横に曲がりたい時には、まずピッチで主翼を垂直に立て、次いでロールを行う事によって、結果的に横方向に曲がる、という機動を取る。
すなわち複雑に思える飛行機の機動に於いても、実際に行われている操作は基本的に、ヨー、ピッチ、ロール、それに加減速の4つしかないと言うことだ。



では戦術機は?

実は、複雑にみえても戦術機全体を1つの質点として見れば、自由度や機動の応答性などを除いて、飛行機、それも戦闘機と等しい。
実際、ダイレクトな機動レバーやペダルは、その4自由度のみ。
自機の各主軸に対するモーメント発生と、前後軸方向の加減速を制御しているわけだ。

そしてこれを移動操作と言う。

戦術機で移動するとき、曲がるのにどうやって脚を動かそう、なんて考えたことないだろう?
考えるのは、進行方向と、加速手段が主脚走行なのか噴射跳躍を使うのか、速度はどのくらいか、位のはず。」


いくつかのシミュレータがその言語を試すように動いている。
基礎中の基礎ではあるが、立ち返ればそういう事。


「で、・・・“乗り物”としては、それで十分な訳だが、戦術機は戦う為に作られた存在。
しかも、この戦闘機動に於いては、他の戦闘機動体に比べ、桁違いに多い自由度をもつ。

元々人体を模しているから、戦術機の持つ関節の自由度だけで考えても、頸部、腰部、左右肩、左右肘、左右手頸、左右股、左右膝、左右足頸、主要な関節の自由度だけでも14×3方向、更に個別の自由度を持つ副腕にも2方向ずつあるので、8自由度、さらには掴む、といった掌や指の関節を細かく分割すると、それだけで優に100を超える自由度になるわけだ。

それらを一つ一つ制御や操作など出来るわけもないから、戦術機の戦闘機動操作には2種類の方法が考えられる。



1つは、エミュレーション。

これは操縦者の個々の関節の動きを、完全に戦術機に転写する方法。
それ故きちんと制御出来れば、極めて繊細な動作を可能とする。

けれど、欠点も多い、と言うかその長所以外は、全て欠点といって良い。
非常に複雑な操縦者とのインターフェースが必要になること。つまり操縦者の動作そのものが戦術機の機動と成るため、操縦者も常に自由度を保った空間で動けることが必要だし、機動や感覚のフィードバックに関わる制御が膨大で重く、また常に動くことに成る操縦者の疲労も馬鹿にならない。
何よりも最大の欠点は、操縦者の身体能力以上の事が出来ない、ってことだ。機械である戦術機が、応答性や出力と言った機械の長所が生かせず、人間の性能に収まるなど、馬鹿らしいわけだ。
余程生身で人外の動きができる格闘家でもなければ意味が無いし、衛士のレベルがそんなに在るわけもない。


なので、現在の戦術機の戦闘機動操作には、もう一つの手法、コマンドドライブ方式が取られている。

つまり、何処をどの様に動かしたいか、ではなく、何をしたいか、を入力する。
36mmを撃ちたい、長刀を抜きたい、と言う様にな。
例えば、36mmを撃つ、と入力すれば、戦術機は前方、つまり自機主軸方向に1発発射する。
狙点を定め・36mmを撃つ、とすれば目標とした点に可能なかぎり早く1発発射する。
さらに、狙点を定め・36mmを連射、とすれば、止め、のコマンドが入力されるまで、具体的にはトリガーが離れるまで撃ち続ける。
知ってのように、強化装備のヘッドセットを介した、間接思考制御と言うのが、このコマンド入力を補助している。
何に対して、どの様に、何をするか、と言う事を、ある程度パターン化し、右手操作系のトリガーや攻撃機動と、視線選択入力を使うことによる目標設定やオプション選択を組み合わせて迅速に決定し、戦術機の戦闘機動操作をバックアップしている訳だ。



最終的には、それを移動操作と併せて実施しているのが、戦術機の統合機動となる。

つまり戦術機は、左の操縦レバーにより移動操作を、足のベダルにより主軸方向の加減速、右のコマンドレバーと視線選択入力によって戦闘機動を選択・実行し、それらを統合制御に従って最も合理的な機動を実現している、と言うわけだ。


ここまでは、基本的にまりもセンセが講義したはずなんだが、覚えてるか?」


『『『『『『『『『『『 ・・・・ 』』』』』』』』』』』


「・・・おまえら、武と同じだな。脳筋どもめ。
まあ、いい。もう少しそのまま聞け。

ここで問題に成るのは、移動と攻撃機動は、その動作に齟齬がない限り並行して行えるが、戦闘機動は1つのコマンドが完了しない限り、次の入力が出来ない[●●●●●●●●●]、と言うことだ。

例えばBETAが密集している場合、牽制に一掃射して、長刀を抜き、薙ぐ、と言う動作を実現したい。
けれど、戦闘コマンドは、その動作が完了してから入力に成るため、どんなに早く入力しても入力する“間”が生じる。
こればっかりはどんな達人でも0には出来ない。

それを解消した概念が、“先行入力”だ。


一掃射中に、更に抜刀、横一閃、とコマンド入力すれば、命令がバッファに蓄積され、順次実行されるだけではなく、統合制御がその2つの機動の終端と初端をなめらかにつなぎ、完全に連続した動作として実現する。
あとは移動で、それを実施するのに齟齬のない、相応しい位置取りをすればいい。
先行入力と移動操作を組み合わせることで、途切れのない攻撃機動を継続できる、ということになる。
当然戦闘機動と移動のシンクロが鍵になる。


そして、もうひとつ。
例えば、先の狙点射撃を考えてみよう。

狙点を定め・36mmを撃つ、とすればそれが主脚移動中でも、狙点は制御の許す範囲である程度追尾してくれるから、相対射角が許容範囲内なら中る。
一方で、相手の動きを見定め、姿勢を制御することで、射線を定め、タイミングを見計らって、唯、撃つ、としても、その射線やタイミングが合っていれば中る訳だ。


しかし実は既存のOSには自律制御に任されているが故の齟齬が生じる。

先に言った事例の場合、狙点の維持と射撃は、移動に優先して実行される。
つまり狙点を維持できない自機の挙動、例えば振り向くとか、は、射撃が実施されるまで出来ない。
最悪、相手の動きが早く、狙点が追いつかない場合は、狙点が振り切られるか、射撃が完了するまで他の動作が取れない、という事態さえあり得る。


それを避けるため、ひとつひとつの動作における全体機動と戦闘機動を細かく分割し、戦闘コマンドを他の制御に阻害されない動作にまで単純化するノウハウが、斯衛式、と言われる戦闘機動の入力方法だ。
ただし、移動と戦闘機動を戦術機任せにせず、操縦者自身が構築するわけだから、当然難易度はメチャクチャ高く、習熟には相当の努力と才能を求められるシロモノだな。


そして更に、戦術機には戦術機側の都合もある。
移動と戦闘機動を統合し、且つ必要な間節の動き、結果の姿勢、バランス、それを実現する力の配分。
それを全て統合しているわけだから。
当然慣性やモーメントを相殺する必要もあるし、その上でバランスを維持する事も必要になる。そういった実際には裏で走っている複数のプロセスが、維持できなくなった時、所謂“硬化時間”が発生する。
発生するのは、主に耐久的な問題が多い。
人間が、ある程度以上関節が曲がらないように、戦術機にも機動の限界がある。また、過剰な力による関節負荷も、耐久限界を越えれば損傷する。
自機の保護を最優先に、機動終端にシステムが勝手に入れる動作で、主に平衡回復や、ショックの吸収等に当てられる、と言うことだ。


しかし、BETAや、実際の格闘戦では、捨て身で転ぶことによって避けられることもある。転ばない事による硬直で突進を喰らうなら、転んででも次の噴射跳躍で距離を取り、生存に繋げる、と言う思想だ。
BETAが直前に迫っていれば、耐久性など構って居られないし、喰らってしまえば耐久性もなにも在ったものではないからな。

そこで本来優先度の高いこれら全ての機動や制御に優先して、その動作を強制的に終了し[●●●●●●●]、次の入力動作に移行する機能、それが“キャンセル”だ。
そしてこの機能は、先行入力で予定した動作と異なる事態が発生したとき、その機動を取りやめる為のコマンドでもある。


実戦では、平衡を回復するより、跳んで避けるほうが重要だ。しかし勿論戦術機の安全対策まで強制的に停止するから、その後の動作が適切でない場合は、当然戦術機の耐久性にも影響する事になる。
それ故、重要なのは、キャンセルの後にどれだけ適切な入力が出来るか、ということになる。
バランスを崩したなら、柔道の受身を取ってもいい、衝撃だってダンパーを使わずとも体幹を回して、関節全体に分散して受ける事もできる。どんな選択をするのか、それは各人の個性となる。

そして、リスクが無いわけではない。
先程言ったように、希望する挙動の裏には、いくつもの必要なプロセスが並行して走っていて、どれを残すのか、どれを取りやめるのか最初は解らないからだ。
その為、ある戦闘機動をキャンセルした途端、バランス機構も停止し、転倒することもある。
それは、挙動のキャンセル時にどのプロセスを残すか、という選択が適正に行われていないからで、使っていく内に、学習機能によって適正なプロセスを残すような最適化機能が付いている。今のシミュレータ、そして換装中の戦術機OSの基礎動作には、現在武の挙動モデルが入っている。
が、これは今後も逐次学習するので、各人が修練するに従って各々の動作により適応した動作に変わっていく。
つまり、各自の挙動特性に併せて成長していくOSであるとおもってくれていい。これは、昨夜まりもセンセに説明したパーソナライズの一端でもある。」


ウンウンと皆が頷く。


「で・・・、この様に使っていくと、やがてこの動作の次にはこれ、といったある種の決まったパターンがいくつも出現する。その使用頻度の高い一連の動作を1つの入力として扱うのが、コンボという概念だ。

もちろん、登録は自動的に実施されるし、同じ機動の羅列が入力されたとき、サジェスチョンという形で、予測入力もされる。これは、入力数を減らしたり、似たようなコンボで途中分岐している選択肢を選ぶことも出来る。
コンボは基本移動まで含めた形で動作するから、発動条件さえ整えれば、後は最速で戦術機が勝手に動いてくれる。


因みに武の場合、BETA相手だと機動の殆どをコンボで組み合わせている。
今回モジュレーションを組み込んで、発動タイミングを調整出来るようにすることで、再入力を最大限減らしている。



そしてコンボを含めたこれらの情報は、データリンクで統合化され最も効率の良い制御パターンや汎用コンボを、新たな動作パターンとして登録し、別の機体で実施することも可能となる。


これらが、新OS【XM3】の基本概念だ。」


『『『『『『『『『『『 ・・・・ 』』』』』』』』』』』


「今、皆の機体に換装しているOSには、昨日からのシミュレータで入力された挙動もフィードバックされる。そしてなによりも武の3次元挙動の基礎動作も反映されている。
それを自ら咀嚼し体得することでしか、それらは使いこなせない。各自の特性や動作には個性があるからだ。

そこで必要になるのは、状況を把握し、先を読み、自分の動作を決定すること。
そしてそれに合わせ、最適な位置取りをすること。


予測と同調[●●●●●] が重要な要素と成る。

今朝の機動を眺める限り、その事に留意して動かしている者が少ないんでな。
“現在”のことだけに対処している裡は、XM3を使いこなしているとは言えない。

それらを成長させるのは、各人の予測に基づく創造力、だ。
XM3は何も即応性だけを求めたOSではない。そして進むことによって進化し続けるOSである。

その事を意識して習熟して欲しい。」


『・・・・・・・だから勝てないんだ・・・』

「・・・武はその辺の予測に関するBETAや人の挙動情報経験が段違いのうえ、突拍子もない挙動を編み出すのが得意だからな。
・・・まあ、武の異常性はそれだけでは無いけどね。

昨夜も言ったけど、こういった操作に習熟してくると、脳内にも戦術機操作のモデルが構築される。
視覚や予測から、全く脳で考慮することなく反射的に最適なパタンを入力する反射モデルが、ね。
武の場合、その反射モデルが既に膨大に形成されている。単騎世界最高戦力ってのはそういうことさ。

例え同じXM3搭載機とはいえ、個人の頭の中のモデルは一朝一夕には構築できない。
機動パターンや汎用コンボはデータリンクで共有可能でも、脳みその中はコピーできないってことで、まぁ速瀬、がんばんな。

ちなみにシミュレータの中のアグレッサはその辺の応答速度も考慮して作ってあるから、あれに勝てれば10回に3回は本人にも勝てるかもよ?」

『道のりは長いですね、中尉』


XM3の全容を理解して、改めて凄まじい武器を手に入れた、と理解する反面、その遙か先にある白銀武と言う存在を理解した乙女隊の面々だった。







「・・・一つ、質問いいですか?」

私の問に、ちらと視線が合う。

「・・・どうぞ」

「こんな発想を、白銀少佐はどうして出来たんですか?」

「・・・・・・・・」

天才だから・・・・そんな答えを予想した。
そう言われれば納得してしまうだろう。
しかし一方で、どんなに努力しても届かない現実、と言うのも認識させられてしまう。


「・・・これは厳密に言えば、武だけで作ったモノではない。」

『『『『『『『『『『『 え? 』』』』』』』』』』』

「・・・・・。」

無言のままに、キーボードを操作する。
目前の共有モニターにウィンドウが現れ、その中でワイヤーフレームが動いている。
長球のプリミティヴを組み合わせた動くモノが、人を表していることに、やがて気がついた。
その人型は、画面を無重力空間のように動きまわり、現れるターゲットを殴ったり蹴飛ばしたりして、潰していく。

「・・・これはオレが中学校の時、武と作ったシミュレーション・・・、まあスコアゲームだな。一般家庭にあるPCで動かせるレベルだからそこそこ遊べた。
他に遊ぶ事も少ない時代、かなり限定的ローカルに流行ってな、そのとき周囲にはコアなマニアやディープなファンが結構居たんだ。

今見せているこれは最終型に近くて、初めは機動も操作系もこんなもんじゃなく、1フレームに1秒掛かるようなシロモノだった。
で、ソイツらの意見や発想をプログラムしては、組み合わせて、要らないところは削り、優劣を比較して改修してきた。
かれこれ2年くらいの期間で、ここまで“進化”させたわけだ。」

「・・・・」

「このマネキンの動作と操作の中から、“先行入力”、そして間違ったそれを止めるための“キャンセル”、更には複雑挙動を統合化する“コンボ”という概念が生まれた。キッカケが誰だったか、今となっては定かではないが、武もその一人なのはたしかだな。


今の戦術機の基礎をつくりあげたのは、米国だ。今では各国で作られてはいるが、基本概念は殆ど変わっていない。そしてまだ生まれてから四半世紀をようやく越えた所、世代だってやっと第3世代だ。
概念自体が新しいから、まだ成熟世代に至っていない。
しかも互換性を考慮して、管制ユニットは米国マーキン・ベルガー社のユニットが全世界統一規格となっている。間接思考制御を含むOSについても、ほぼ1社独占状態。
ライセンスを持っていれば、何もしなくても稼げるからな、開発や概念実証に膨大な費用のかかる改良など考えないだろ。
・・・全く競争のない状態では進歩なんかしないんだ。

けれどこっちは違う。お金なんか関係ない。何よりも自分が楽しむため、どうすればいいか、考える。
ハイスコアを取るために必要なものは何か。そしてそれは、他にも考える奴がいて、そいつよりも早く動くには、正確に攻撃を当てるには、どうする?  と考える。
有効な手段は、相手のアイデアでも貪欲に取り込み、選別し、評価する。

交差、選択、淘汰、統合・・・・そうした実証実験の果てに生き残った[●●●●●]のが、このシステム。

XM3はそれを戦術機に転用したんだ。」

「・・・・交差、選択、淘汰、統合の結果ですか・・・。なんか生命の進化みたいですね。」

「そうだよ。・・・・こんな風に環境に合わせて成熟する多点参照最適化手法を、“遺伝的アルゴリズム”と言う。」

「!」

「今、人類は滅亡の瀬戸際にある。人という種そのものは、そうそう簡単に進化しないけど、戦術や戦略、システムはまだまだ進化する余地がある。いろんなモノを取り込み、選択したシステムが、生き残るか、淘汰されるか、それこそ自分たち次第、と言うことだ。



・・・はっきり、言おうか。
伊隅ヴァルキリーズは、今後ハイヴ攻略戦の中心となって貰うのは話した通りだ。
少なくとも、年内に2回、確実に実施されると考えてくれ。

尚、これが失敗した場合、人類の滅亡は確定的と成る。」

『『『『『『『『『『『 !!!! 』』』』』』』』』』』

「・・・と言って、うら若く見目麗しい乙女を死地に送り込むのも、俺の心理的負担という意味でも、忍びない。
今後、ヴァルキリーズ全員にXM3の慣熟を行ってもらう。
そして、XM3は、昨夜説明した通りモニタリング機能を持っている。

ハイヴ攻略戦立案時、その評価基準でレベルIIIに達しない者は、参加メンバーから外す事とする。」

『『『『『『『『『『『 !!!! 』』』』』』』』』』』

「・・・軍としては異例でもあるが、ハイヴ攻略が3次元機動という、余りにも特殊な技能を求められること、その技量に満たない者を参加させても、無為に命を散らすばかりか、更に周囲の者さえ巻き込み、作戦の成否に影響しかねない、と言う判断からの特例措置だ。」

『『『『『『『『『『『 ・・・・ 』』』』』』』』』』』


「・・・・・・・覚悟を以て臨め。・・以上だ。」





閑話休題




「彼方君!」

美沙が気軽に声を掛けてる。

「ん?」

「って言うかぁ、ハイヴ完全攻略のエレメントで武君のバディだったじゃない!?」

「・・・まあな。」

「実戦経験はないって聞いたけど、どのくらい強いの?」

「ん~、武と同じ位?」

「え・・・」

「多分、BETA相手のスコア勝負だと経験差でかなり負けるな。対人なら少し勝つか、な。」

周囲も驚いた様な顔。
この2日間、シミュレータにも乗っていない。対戦相手も努めていない。

「・・・じゃ、あのアグレッサに勝てるの?」

「8:2かな。」

「・・・見本見せて!!」

「ん~、ま、いっか」

そう言って、彼方は強化装備も無しにシミュレータに乗ると3次元挙動中の仮想モデルにあっさりと長刀を突き刺して大破判定させた。



「うそ~!?  なに~!?  どうやってんのよ~!?」

「・・・武の戦法は先行入力コンボの嵐だからな。逆に言えば完全にパターン化している。
つまり、俺にとっては最も読みやすいってこと。
幾ら早くても、次に来る動作が解ってたら、タイミング外して一手入れるだけ。
フェイクで誘ってパターン化したコンボに乗ったところで、墜とせばいい。

逆に実戦経験がない俺は、行動パターンの蓄積がないBETA相手だと戦力として武に届かないってこと。」


あっさり言うが、御子神少佐が、“裏の単騎世界最高戦力[エース喰いジョーカー]”と乙女隊に認識された瞬間だった。


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