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No.35536の一覧
[0] 【チラ裏より】Muv-Luv Alternative Change The World[maeve](2016/05/06 12:09)
[1] §01 2001,10,22(Mon) 08:00 白銀家武自室[maeve](2012/10/20 17:45)
[2] §02 2001,10,22(Mon) 08:35 白銀家武自室 考察 3周目[maeve](2013/05/15 19:59)
[3] §03 2001,10,22(Mon) 13:00 白銀家武自室 考察 BETA世界[maeve](2012/10/20 17:46)
[4] §04 2001,10,22(Mon) 20:00 横浜基地面会室 接触[maeve](2012/12/12 17:12)
[5] §05 2001,10,22(Mon) 21:00 B19夕呼執務室 交渉[maeve](2012/12/06 20:40)
[6] §06 2001,10,22(Mon) 21:30 B19夕呼執務室 対価[maeve](2012/10/20 17:47)
[7] §07 2001,10,22(Mon) 22:00 B19夕呼執務室 考察 鑑純夏[maeve](2012/10/20 17:47)
[8] §08 2001,10,22(Mon) 22:30 B19夕呼執務室 考察 分岐世界[maeve](2012/10/20 17:47)
[9] §09 2001,10,22(Mon) 23:00 B19シリンダールーム[maeve](2012/10/20 17:48)
[10] §10 2001,10,23(Tue) 08:00 B19夕呼執務室[maeve](2012/12/06 21:12)
[11] §11 2001,10,23(Tue) 09:15 シミュレータルーム 考察 BETA戦[maeve](2013/01/19 17:36)
[12] §12 2001,10,23(Tue) 10:00 シミュレータルーム 考察 ハイヴ戦[maeve](2015/02/08 11:03)
[13] §13 2001,10,23(Tue) 11:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:23)
[14] §14 2001,10,23(Tue) 12:20 PX それぞれの再会[maeve](2012/12/16 23:01)
[15] §15 2001,10,23(Tue) 13:00 教室[maeve](2012/12/06 00:01)
[16] §16 2001,10,23(Tue) 13:50 ブリーフィングルーム[maeve](2013/05/15 20:03)
[17] §17 2001,10,23(Tue) 18:30 シミュレータルーム[maeve](2015/03/06 21:04)
[18] §18 2001,10,23(Tue) 22:00 B15白銀武個室[maeve](2015/06/19 19:23)
[19] §19 2001,10,23(Tue) 23:10 B19夕呼執務室 考察 因果特異体[maeve](2012/10/20 17:51)
[20] §20 2001,10,24(Wed) 09:00 B05医療センター Op.Milkyway[maeve](2015/02/08 11:06)
[21] §21 2001,10,24(Wed) 10:00 シミュレータルーム 考察 XM3[maeve](2012/12/06 21:17)
[22] §22 2001,10,24(Wed) 13:00 横浜某所 遺産[maeve](2012/11/10 07:00)
[23] §23 2001,10,24(Wed) 21:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:30)
[24] §24 2001,10,24(Wed) 22:00 B19シリンダールーム 暴露(改稿)[maeve](2013/04/04 22:05)
[25] §25 2001,10,24(Wed) 23:00 B19シリンダールーム 覚醒[maeve](2013/04/08 22:10)
[26] §26 2001,10,25(Thu) 10:00 帝都城 悠陽執務室[maeve](2016/05/06 11:58)
[27] §27 2001,10,26(Fri) 22:00 B19夕呼執務室[maeve](2016/05/06 12:35)
[28] §28 2001,10,27(Sat) 09:45 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:22)
[29] §29 2001,10,27(Sat) 11:00 帝都浜離宮茶室[maeve](2015/02/08 10:15)
[30] §30 2001,10,27(Sat) 12:45 帝都浜離宮 回想(改稿)[maeve](2012/12/16 18:30)
[31] §31 2001,10,27(Sat) 14:00 帝都城第2演武場[maeve](2015/01/23 23:26)
[32] §32 2001,10,27(Sat) 15:00 帝都城第2演武場管制棟[maeve](2016/05/06 11:59)
[33] §33 2001,10,27(Sat) 16:00 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:31)
[34] §34 2001,10,28(Sun) 10:00 帝都城第2演武場講堂 初期教導[maeve](2016/05/06 12:00)
[36] §35 2001,10,28(Sun) 13:00 帝都城来賓室[maeve](2016/05/06 12:00)
[37] §36 2001,10,28(Sun) 国連横浜基地[maeve](2012/11/08 22:20)
[38] §37 2001,10,29(Mon) 15:00  B19シリンダールーム 復活[maeve](2013/04/04 22:18)
[39] §38 2001,10,30(Tue) 10:00  A-00部隊執務室 唯依出向[maeve](2016/05/06 12:01)
[40] §39 2001,10,30(Tue) 11:00  B19夕呼執務室 考察 G元素(1)[maeve](2015/03/06 21:07)
[41] §40 2001,10,30(Tue) 15:00  A-00部隊執務室[maeve](2015/02/03 20:59)
[42] §41 2001,10,31(Wed) 10:00 シミュレータルーム[maeve](2016/05/06 12:03)
[43] §42 2001,10,31(Wed) 06:00 アラスカ州ユーコン川[maeve](2016/05/06 12:03)
[44] §43 2001,10,31(Wed) 10:00 司令部ビル 来賓応接室[maeve](2016/06/03 19:20)
[45] §44 2001,10,31(Wed) 12:00 ソ連軍統治区画内 機密研究エリア[maeve](2016/05/06 12:05)
[46] §45 2001,11,01(Thu) 13:00 アルゴス試験小隊専用野外格納庫 考察 戦術機[maeve](2016/05/06 12:06)
[47] §46 2001,11,02(Fri) 12:00 テストサイト18第2演習区画 E-102演習場[maeve](2016/05/06 11:50)
[48] §47 2001,11,02(Fri) 12:15 司令部棟 B05 相互評価演習専用指揮所[maeve](2016/05/06 12:06)
[49] §48 2001,11,03(Sat) 05:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/02/03 21:01)
[50] §49 2001,11,03(Sat) 09:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/01/04 19:23)
[51] §50 2001,11,02(Fri) 20:00 ユーコン基地[maeve](2016/05/06 12:07)
[52] §51 2001,11,03(Sat) 点景[maeve](2016/05/06 12:08)
[53] §52 2001,11,04(Sun) 07:30  A-00部隊執務室[maeve](2016/05/06 12:08)
[55] §53 2001,11,04(Sun) 20:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/06/19 19:45)
[56] §54 2001,11,05(Mon) 09:00 ブリーフィングルーム[maeve](2015/01/24 18:43)
[57] §55 2001,11,06(Tue) 10:00 帝都城第2連隊戦術機ハンガー[maeve](2015/06/05 13:06)
[58] §56 2001,11,07(Wed) 10:00 横浜基地70番ハンガー[maeve](2015/03/06 20:56)
[59] §57 2001,11,08(Thu) 14:00 帝都浜離宮来賓室[maeve](2015/09/05 17:29)
[60] §58 2001,11,08(Thu) 15:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(1)[maeve](2013/04/16 21:00)
[61] §59 2001,11,08(Thu) 15:30 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(2)[maeve](2015/01/04 19:04)
[62] §60 2001,11,08(Thu) 16:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(3)[maeve](2015/02/03 21:19)
[63] §61 2001,11,09(Fri) 11:05 新潟空港跡地付近[maeve](2015/10/07 16:50)
[64] §62 2001,11,10(Sat) 23:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/03/06 21:15)
[65] §63 2001,11,11(Sun) 05:50 燕市スポーツ施設体育センター跡[maeve](2015/06/19 19:48)
[66] §64 2001,11,11(Sun) 06:52 旧海辺の森跡付近[maeve](2016/06/03 19:25)
[67] §65 2001,11,11(Sun) 07:15 旧燕市公民館跡付近[maeve](2016/05/06 11:55)
[68] §66 2001,11,11(Sun) 07:24 連合艦隊第2艦隊旗艦“信濃”[maeve](2016/05/06 11:56)
[69] §67 2001,11,11(Sun) 07:44 旧新潟亀田IC付近[maeve](2015/09/11 17:22)
[70] §68 2001,11,11(Sun) 08:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 09:53)
[71] §69 2001,11,11(Sun) 08:15 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 10:00)
[72] §70 2001,11,11(Sun) 08:20 旧北陸自動車道新潟西IC付近[maeve](2014/12/29 20:34)
[73] §71 2001,11,11(Sun) 08:25 帝都上空[maeve](2015/08/21 18:44)
[74] §72 2001,11,11(Sun) 10:30 三条市荒沢R289沿い[maeve](2015/02/04 22:07)
[75] §73 2001.11.12(Mon) 09:30 PX[maeve](2015/09/05 17:34)
[76] §74 2001.11.13(Tue) 09:00 帝都港区赤坂 九條本家[maeve](2015/04/11 23:27)
[77] §75 2001,11,13(Tue) 10:30 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2015/12/26 14:19)
[78] §76 2001,11,13(Tue) 19:50 B19フロア 夕呼執務室 考察G元素(2)[maeve](2016/05/06 12:19)
[79] §77 2001,11,14(Wed) 09:00 講堂[maeve](2016/05/06 12:25)
[80] §78 2001,11,15(Thu) 22:22 B15 通路[maeve](2016/05/06 12:31)
[81] §79 2001,11,15(Thu) 15:00(ユーコン標準時GMT-8) ユーコン基地滑走路[maeve](2015/10/07 16:54)
[82] §80 2001,11,16(Fri) 10:15(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/09/05 17:41)
[83] §81 2001,11,16(Fri) 10:55(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト18[maeve](2015/10/07 16:57)
[84] §82 2001,11,16(Fri) 16:30(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/05/31 10:24)
[85] §83 2001,11,16(Fri) 21:00(GMT-8) リルフォート歓楽街 “Da Bone”[maeve](2015/10/07 17:03)
[86] §84 2001,11,17(Sat) 17:00(GMT-8) イーダル小隊専用野外格納庫 衛士控室[maeve](2015/06/20 23:51)
[87] §85 2001,11,18(Sun) 17:20(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト37 幕間?[maeve](2015/05/31 20:15)
[88] §86 2001,11,18(Sun) 22:00(GMT-8) アルゴス試験小隊専用野外格納庫[maeve](2016/05/06 11:46)
[89] §87 2001,11,19(Mon) 13:00(GMT-8) ユーコン基地 居住区フードコート[maeve](2015/06/19 20:13)
[90] §88 2001,11,19(Mon) 18:12(GMT-8) ユーコン基地 演習区外米国緩衝エリア[maeve](2015/12/26 14:23)
[91] §89 2001,11,19(Mon) 18:50(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/12/26 14:25)
[92] §90 2001,11,19(Mon) 20:45(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/10/07 17:13)
[93] §91 2001,11,19(Mon) 21:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画[maeve](2015/10/07 17:15)
[94] §92 2001,11,20(Tue) 03:30(GMT-8) ソビエト連邦租借地 ヴュンディック湖付近[maeve](2015/08/28 20:32)
[95] §93 2001,11,21(Wed) 14:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画内 総合司令室[maeve](2015/10/07 17:20)
[96] §94 2001.11.22(Thu) 03:00(GMT-8) アラスカ州ランパート付近[maeve](2015/12/26 14:28)
[97] §95 2001.11.23(Fri) 18:00(GMT+9) 横浜基地 B20高度機密区画[maeve](2015/08/28 20:08)
[98] §96 2001.11.24(Sat) 15:00 横浜基地 B17 A-00部隊執務室[maeve](2016/06/03 19:39)
[99] §97 2001.11.25(Sun) 02:00(GMT-?) 某国某所[maeve](2015/12/26 14:33)
[100] §98 2001.11.25(Sun) 13:30 横浜基地 北格納庫管制制御室[maeve](2016/06/04 14:06)
[101] §99 2001.11.25(Sun) 18:00 横浜基地本館 メインバンケット モニタールーム[maeve](2015/10/31 14:40)
[102] §100 2001.11.26(Mon) 06:30 横浜基地本館 ゲスト棟[maeve](2016/05/06 11:44)
[103] §101 2001.11.26(Mon) 17:15 横浜基地 モニタールーム[maeve](2016/05/15 12:14)
[104] §102 2001.11.27(Tue) 06:00 国連横浜基地 第2グランド[maeve](2016/06/03 19:42)
[105] §103 2001.11.28(Wed) 09:00 国連横浜基地 XM3トライアル V-JIVES[maeve](2016/05/14 13:10)
[106] §104 2001.11.28(Wed) 17:00 国連横浜基地 米軍割当外部ハンガー ミーティングルーム[maeve](2016/06/04 06:10)
[107] §105 2001.11.28(Wed) 17:40 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2016/06/10 23:26)
[108] §106 2001.11.28(Wed) 18:00 国連横浜基地 Bゲート付近 〈Valkyrie-04〉コックピット[maeve](2019/03/26 22:16)
[109] §107 2001.11.28(Wed) 21:00 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2019/03/30 00:03)
[110] §108 2001.11.28(Wed) 21:00(GMT-5) ニューヨーク レストラン “Par Se”[maeve](2019/06/30 17:55)
[112] §109 2001.11.29(Thu) 09:00(GMT-5) ニューヨーク国連本部 安保緊急理事会[maeve](2019/05/05 21:16)
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[35536] §18 2001,10,23(Tue) 22:00 B15白銀武個室
Name: maeve◆e33a0264 ID:53eb0cc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2015/06/19 19:23
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'15,06,19 誤字修正


Side 真那


昼食時のPX、冥夜様の突然の奇行、衆目の中で見知らぬ殿方に抱きつき、泣きじゃくるなど、失礼ながら、気が触れたか、とさえ思った。

直に神宮司軍曹が執り成してくれて、それ以上の事態には及ばなかったが、冥夜様とその相手をどうしてくれよう、と鬱々としていたのは確かだ。

それが席に呼ばれて、驚いた、驚愕した、吃驚した。


亡くなられたと思われていた冥夜様の“お相手”、白銀武殿がそこに居たのだから。

しかも、悠陽殿下の知己、御子神彼方殿と共に・・・。




無論、死んだ筈の者が突然現れたのである。

当然警戒すべき対象。
近年は再生化技術も進歩し、場合によっては他人の遺伝子で構成した“顔”さえ実現できるのだから。

しかし、その気配に鋭い筈の冥夜様が手放しで抱きついた相手。もし顔だけだったら、その“違和感”で即座に突き飛ばしただろう。
そして私の直感でも、紛れもない“武”殿の魂を感じる。
なんというかどこか女に弱い[ヘタレ]、的な?


平然と臆すること無くDNA検証を申し出たから本物に違いない。







そして冥夜様と訪れた私室。しかも上級士官用とは驚いたが。
そこで詳しい経緯を話してくれた。






横浜襲撃で逃げ遅れ襲われた武殿は、純夏殿を守ろうとBETAに対峙するも虚しく殴り飛ばされ、気を失い、そこで直ぐたまたま極秘任務中の部隊に拾われたらしい。
そして、目が覚めた時、部隊はまだ極秘任務中、意図せずその内容を知ってしまった。
しかも、殴られた後遺症か、襲われたショックか自分の名前も思い出せない記憶喪失。

当初部隊には、いっそ射殺してBETAの群れに放り込め、との意見すら在ったらしいが、流石にそれは出来ず、仮の名前を与えられ、その部隊に戦地任用という事になった。
それは、武殿を拾ってくれた衛士がその後の作戦行動で怪我をした際、武殿がいきなり戦術機を動かしてしまった、と言う事にも拠るらしい。
作戦後、拠点に戻って測ってみれば武殿の戦術機適性値は、歴代最高だったそうだ。
そのまま、簡単な訓練を経て、損耗率の極めて高い極秘部隊に所属となった。

そこは、所謂“幽霊部隊”。
戸籍や、国籍すらない者が寄せ集められた命を消耗品と割り切る非合法部隊だった。



「・・・簡単に言うと、ハイヴ威力偵察強行部隊。ハイヴの情報収集を目的とした潜入部隊です。オレが2年半で潜ったハイヴは、7つになります。」

「!!!」

最初信じられなかった。

ハイヴに潜ってもどってきたのは、ヴォールク隊の14名。
スワラージ作戦では具体的な数字はなくパーセントであるが、おそらくは一桁。
攻略に成功したここ横浜ハイヴを除けば公式記録[●●●●]ではそれだけ、なのだ。


しかし、武殿がそんな無用の嘘を付く必要もない。



昼間、訓練に入った冥夜様の様子も見た。

武殿も勿論正規任官をする為訓練兵として参加したのだが・・・、はっきり言って次元が違った。

体力・持久力は、極限まで鍛え上げた歩兵以上、近接戦闘は4人を同時に相手にして一蹴、2回戦では4人同時に、各々の欠点を指摘しながら教導までヤッてのけ、射撃も訓練に有りがちなクセを早々に指摘修正する。
遠距離狙撃に於いても、精度こそ珠瀬訓練兵に劣るが、照準までの速さと速射性では圧倒、“実戦”経験者として求められる最高を示したのだ。

・・・それが命がけの経験によって培われたものであることは、いやと言うほど理解できた。
そう・・・理解できてしまった。



「春先に行われた、大深度潜行作戦。・・・反応炉までの情報を探る作戦です。そこでこの極秘部隊は絶滅しました。オレ一人を除いて・・・。そのショックで、オレは、BETAに襲われた過去、自分の記憶を取り戻しました。」



過酷な、と言う言葉では到底足りない極限の任務。その中で生き残ってきた存在。




つまり、武殿の経験も、そして失って来たものも、すべて本物・・・。





「実は、最後の作戦の前後で、彼方と逢ったんです。勿論オレは覚えてなかったんですが、アイツは中学の時逢った事を自分の記録見て知っていて、そん時オレの本名がわかったんですよ。
尤もアイツも明星作戦でG弾に巻き込まれて、昏睡状態になった所を、知己の米軍関係者に確保されたらしくて。
その人、彼方の協力者らしくて、彼方になにかあったら、敵の多い国内より、国外に行くことにしてたみたいですよ。」

「・・・なるほど、彼方殿と、本家で在るはずの九條の確執は有名であったな・・・。生家の方が危険であれば、いっそ対立している米軍の方が安全と言うわけか。」

「そうみたいです。
で、その時に、オレが実現したいハイヴでの機動概念を可能とするOSのプロトタイプを作って貰いました。」

「OS?」

「ええ。それが在ったから、最後の作戦は完遂出来ました。・・・犠牲も多かったけど。
結局、部隊は壊滅、ショックで記憶は戻った、試作のOSは既存の物を遥かに上回る性能。その後リハビリしながら彼方とOSの完成に勤しみ、それを表に出すためにも、機密部隊から正規部隊に復帰、戸籍も戻す、って事で、・・・昨日戻って来たんですよ。」

「・・・そのOSと言うのは?」

「月詠さんに殿下への謁見を申し出たのは、その件も在るんです。
元々オレが所属してた機密部隊は、此処の香月副指令の直属部隊です。」

「!!」

「それで、正式任官に合わせ、今までの論功行賞、表立っては新OSの実現と言う事で、国連軍少佐になるんですよ、オレ。」

「「少佐!?」」

「ええ。彼方は技術少佐ですが。それで、ここで極秘計画直属の概念実証試験部隊を率いる事になります。その成果を、斯衛や帝国にも広めたいと思いまして。
・・・BEATから地球を取り戻す、その為の人類の剣として!」

「・・・いや、それは、しかし・・・そもそも香月副司令がそんな事を許すのか?」

「ああ、先生は外面メチャクチャ悪いですからね。でも目指しているのはBETA殲滅であり、情報を出さないのは、帝国内部に食い込んだ米国国粋主義者たちへの漏洩を防ぐため、と言うのは理解してくださいね。」

「!!」



・・・なるほど、この歳で少佐など務まるのか、と思ったが、最前線に於ける地獄の経験は武殿を一気に成長させたようだ。刮目に値する。

「新OSについては、試験部隊の責任者、つまりオレと彼方に一任されています。なのでその裁量で、自由に出来ます。
これが、新OSによる機動の一端。どうぞ真那さんの目で確かめてください。一応、真那さんが信頼できる範囲なら見せても構いません。

っと、冥夜は今度な。
もうすぐまりもちゃんと教導の変革始めるし、207Bの戦術機教導には、いきなりこの新OS【XM3】を使ってもらうから。」


データが収められていると思われるメモリを渡された。


「・・・ちょっと待て、武、それは武が教導を行うと言うことか?  というか神宮司教官をまりもちゃん?」

「ああ、まりもちゃん、神宮司軍曹は、さっきの試験部隊に所属してもらって、そこでは大尉に階級になる。・・・一応部下になるんだ。彼方は副官だけどね。」

「!!!」

「それで、真那さん。映像や言葉だけじゃ納得出来ないと思いますから、その内一度お手合わせしませんか?
それで、もし望むなら、第19独立警備小隊への、XM3導入も考えています。
・・・勿論武御雷へのインストールは、殿下の許可を頂いてからにしますが。」








・・・なかなかに横浜は面白い事態になっている様だ。

ただ冥夜様に望む道を進んで頂きたい、と思っていたが。

運命が動き始めた気配すら感じる。



神宮司軍曹をして、遥かな高み、と言わしめた武殿の技量、最前線のハイヴ威力偵察部隊で磨かれた技。
その機動を実現する新OS。

魔女とも女狐と呼ばれる香月女史すら認める者。




「・・・見せて貰おうか、その覚悟。」







流石、雷電様すら認め、冥夜様の伴侶に、と望んだ存在。

BETAから地球を取り戻すその魁とならんとするのか。




そうそう冥夜様?  本日の粗相、寛恕致します。

むしろ衆目に知らしめたその慧眼、天晴[GJ]でございますわ!    


Sideout




Side 武


大方伝えたいことを伝えた。
しかし、前の世界では、と言うか殆どの世界でもオレを疑っていた真那さんが、こうも簡単に信用してくれるなんて・・。
2、3かな、武家の縁者だった経験は。尤もその時はこの世界の記憶なんかないから、全部知らなくて、結局疑われたんだよな。

今の真那さんは、むしろ“元”の世界で、冥夜をけしかけてた、イイ笑顔の真那さんに近い?



「・・・武・・・ひとつ良いだろうか?」

「ん?」

「・・・その聞きにくいのだが・・・、純夏は・・・」

「ああ、冥夜、純夏とも仲よかったもんな。」

「・・・。」

「オレが殴り飛ばされたあと、純夏はBETAに拉致られたらしくて・・・」

「「!!」」

「その後人体実験とかされていたらしいんだ。明星作戦で横浜を奪還した時に、ハイヴ内で発見されたんだけど、今も意識不明でこの横浜基地にいる。極秘だから生存者扱いもされてないしな。」

「「!!!」・・・そんな・・・」

「・・・たださ! 彼方が持ってきた最新技術で何とか出来るって言ってたから、それが上手く行けば、もうすぐ覚醒出来るらしいんだ!」

「!! それは本当か!?」

「ああ!    彼方が約束してくれたからな。」

「・・そうか・・・・・・・。それは重畳。・・・ならば気兼ねなく同衾できると言うモノ。」



「・・・・・・・・え?」

ドウキン・・てナンデスカ・・?

オレの背中を冷たいものが流れる。
何、この雰囲気?   








「もう幼少[ロリ]の戯れではないのだ。既に齢も17、結婚もできる歳なのだ。」

「・・・・ちょちょちょちょぉ~っと待て、冥夜、落ち落ち落ち着け!」

「・・・落ち着くのは武のほうであろう?」

「あーーー、うん・・・」








しばらく黙考[ポクポクポク]閃光[ちーん]








「・・・・・あ~・・・、つまりそういう事?」

「・・・前々から真那に忠言されていてな、武は鈍い[●●]ので、一直線[ストレート]イケ[●●]、と。一度は七夜泣き伏して諦めたが、・・・・こうして運命のように戻ってきた今、もはや遠慮はせん。」


見れば、案の定月詠さん、再びのイイ笑顔。
GJ連発してる。








前の世界でも、桜花作戦の最後の最後、今際の際の極限状態で告白された。
その時は純夏に遠慮して、それでも伝えてくれた想い。


これは・・・。





「・・・少し、待って欲しい。もうすぐ純夏も目を覚ますし、何よりもBETAをどうにかしたい。」

「・・・純夏の件は了解する。お互い好敵手と認めた相手だ。抜け駆けはするまい。
だがBETAは、・・・一朝一夕に状況が変わる訳ではないだろう?」

「冥夜は衛士となってBETAを殲滅するんじゃないのか?」

「ウム、BETAを打ち倒し、この国の民を救いたいというのは本当だ。しかしそれがすぐに叶うものではない現実も理解している。せめて女の幸せくらいは求める余地位あろう?」






・・・無意識に使ったのかも知れない。

けれどオレは、その言語に衝撃をうけた。

せめて・・・。

あまりに刹那的なその単語に。

冥夜にすらそんな事を感じさせているこの世界。

必ず、変える!









「・・・年内。」

「え?」

「年内に世界を変えなければ、人類は滅ぶ。その為にオレは・・オレ達は戻ってきた[●●●●●]。」


「・・・・・・・・・わかった。それまでは待つ。しかし武は待つ必要はないぞ?  気持ちが決まったらいつでも言ってくれ!」





・・・躱しきれない。むしろ自分でリミット切った?

あれぇ?



・・・しかし何だこれは?

彼方のお陰で、初めて純夏が蘇生して普通に生活[バカップル]できそうだっていうのに、・・・修羅場[抑止力]





その時、ノックの音がした。


Sideout



Side まりも


ノックをすると、中から返事があった。

ドアを開けると、白銀クンだけではなく、御剣訓練兵と斯衛の軍服を纏った月詠中尉も居た。

「・・・これは失礼しました。」

微妙な雰囲気。
ナルホド、白銀クンの経緯を説明していたのだろう。

「・・・ああ、気にしないでいいですよ。オレがお願いしたんだし。こちらの話は、一応済みましたから。」

そう言われれば頷くしかない。




なにしろ白銀クンは、この中で最高階級の少佐殿、月詠中尉とて、文句も言えない。

「・・・で、どうでした?」

「・・・・」

手に持ったヘッドギアを渡しながら、周囲を気にする。

「・・ああ、別に構いません。なんだったら、真那さんにも体験して貰いたい位ですから。ここはプライベートなので、砕けてくださいね、まりもちゃん」

「・・・・・・はぁ、わかったわ。月詠中尉もこれが白銀クンの普段[デフォルト]なので、ご容赦ください。
・・・で、これ[●●]を訓練兵にやらせるの?」

「そうです。彼方に頼んで、作って貰いました。ついでだから、って5セットは作ってくれたみたいで、身体は動かさないから入院中の美琴でも使えます。
必ずまりもちゃんの確認を取れ、と言われましたが。」

「・・・・・・確かにあの娘達の足りていない部分が自覚できるわ・・・強烈に[●●●]、ね。しかも最後があれって・・・」

「・・・オレの前の部隊での、・・・・オレ自身の体験ですから・・・」

「!!! まさか極秘部隊でのっ!?」

「そうです。オレとCPしか生き残れなかった、オレが記憶を取り戻すキッカケになり、部隊が壊滅した最後の作戦。
もちろん、機密部分は全て消去して、機体とか不要な状況とか、個人が特定できないアレンジは入っていますが、基本オレの中では現実です。」



現実。



その言語に絶句するしかなかった。

なんという過酷な作戦。

たった1個中隊にさえ満たない6騎でのハイヴ威力偵察戦。
ヴォールクとは明らかに異なる巨大ハイヴは、フェイズV以上。プロトタイプXM3を搭載していたという不知火は、どれも練度が高く、個々が紛れもなくTOPGUNクラス。
しかし異常と言えるBETA密度に、1騎、また1騎と沈んでゆく。

これが現実・・・。





・・・そうなのだ。

あの娘達は、今話しを聞いている御剣含め、まだまだ甘い。
衛士になりさえすれば、自分の望む自分に成れると、勘違いしている。

だから、あんなにも偽りの孤高でいられる。
あれはただの排他主義[引き篭もりだ]


BETA戦は、衛士になった後、地獄が始まる。
それを認識していない、否、させていない。甘い訓練だけで送り出し、死の8分間さえ越せない新人を送り出す。
それが今の教導。

どんなに努力しても届かない現実。甘えの余地など入り込む僅かな隙間さえ存在しない過酷な状況。決して一人では足りない状況。
それをまず教えることが第一歩。







「・・・そうね、いいわ。明日、これを遣らせましょう。」

甘い訓練課程と、環境に緩んだあの娘たちへの、激烈なカンフル剤。


これで潰れる様なら戦場には立てない。
いや、むしろ立たないで欲しい、喪うだけだから。






「冥夜。」

白銀クンが神妙な御剣に告げる。

「・・・なんだ?」

「・・・・見せてやるよ、明日。オレが駆け抜けた地獄[ハイヴ]が、どんな所だったのか、を。」


Sideout




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