<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.35536の一覧
[0] 【チラ裏より】Muv-Luv Alternative Change The World[maeve](2016/05/06 12:09)
[1] §01 2001,10,22(Mon) 08:00 白銀家武自室[maeve](2012/10/20 17:45)
[2] §02 2001,10,22(Mon) 08:35 白銀家武自室 考察 3周目[maeve](2013/05/15 19:59)
[3] §03 2001,10,22(Mon) 13:00 白銀家武自室 考察 BETA世界[maeve](2012/10/20 17:46)
[4] §04 2001,10,22(Mon) 20:00 横浜基地面会室 接触[maeve](2012/12/12 17:12)
[5] §05 2001,10,22(Mon) 21:00 B19夕呼執務室 交渉[maeve](2012/12/06 20:40)
[6] §06 2001,10,22(Mon) 21:30 B19夕呼執務室 対価[maeve](2012/10/20 17:47)
[7] §07 2001,10,22(Mon) 22:00 B19夕呼執務室 考察 鑑純夏[maeve](2012/10/20 17:47)
[8] §08 2001,10,22(Mon) 22:30 B19夕呼執務室 考察 分岐世界[maeve](2012/10/20 17:47)
[9] §09 2001,10,22(Mon) 23:00 B19シリンダールーム[maeve](2012/10/20 17:48)
[10] §10 2001,10,23(Tue) 08:00 B19夕呼執務室[maeve](2012/12/06 21:12)
[11] §11 2001,10,23(Tue) 09:15 シミュレータルーム 考察 BETA戦[maeve](2013/01/19 17:36)
[12] §12 2001,10,23(Tue) 10:00 シミュレータルーム 考察 ハイヴ戦[maeve](2015/02/08 11:03)
[13] §13 2001,10,23(Tue) 11:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:23)
[14] §14 2001,10,23(Tue) 12:20 PX それぞれの再会[maeve](2012/12/16 23:01)
[15] §15 2001,10,23(Tue) 13:00 教室[maeve](2012/12/06 00:01)
[16] §16 2001,10,23(Tue) 13:50 ブリーフィングルーム[maeve](2013/05/15 20:03)
[17] §17 2001,10,23(Tue) 18:30 シミュレータルーム[maeve](2015/03/06 21:04)
[18] §18 2001,10,23(Tue) 22:00 B15白銀武個室[maeve](2015/06/19 19:23)
[19] §19 2001,10,23(Tue) 23:10 B19夕呼執務室 考察 因果特異体[maeve](2012/10/20 17:51)
[20] §20 2001,10,24(Wed) 09:00 B05医療センター Op.Milkyway[maeve](2015/02/08 11:06)
[21] §21 2001,10,24(Wed) 10:00 シミュレータルーム 考察 XM3[maeve](2012/12/06 21:17)
[22] §22 2001,10,24(Wed) 13:00 横浜某所 遺産[maeve](2012/11/10 07:00)
[23] §23 2001,10,24(Wed) 21:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:30)
[24] §24 2001,10,24(Wed) 22:00 B19シリンダールーム 暴露(改稿)[maeve](2013/04/04 22:05)
[25] §25 2001,10,24(Wed) 23:00 B19シリンダールーム 覚醒[maeve](2013/04/08 22:10)
[26] §26 2001,10,25(Thu) 10:00 帝都城 悠陽執務室[maeve](2016/05/06 11:58)
[27] §27 2001,10,26(Fri) 22:00 B19夕呼執務室[maeve](2016/05/06 12:35)
[28] §28 2001,10,27(Sat) 09:45 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:22)
[29] §29 2001,10,27(Sat) 11:00 帝都浜離宮茶室[maeve](2015/02/08 10:15)
[30] §30 2001,10,27(Sat) 12:45 帝都浜離宮 回想(改稿)[maeve](2012/12/16 18:30)
[31] §31 2001,10,27(Sat) 14:00 帝都城第2演武場[maeve](2015/01/23 23:26)
[32] §32 2001,10,27(Sat) 15:00 帝都城第2演武場管制棟[maeve](2016/05/06 11:59)
[33] §33 2001,10,27(Sat) 16:00 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:31)
[34] §34 2001,10,28(Sun) 10:00 帝都城第2演武場講堂 初期教導[maeve](2016/05/06 12:00)
[36] §35 2001,10,28(Sun) 13:00 帝都城来賓室[maeve](2016/05/06 12:00)
[37] §36 2001,10,28(Sun) 国連横浜基地[maeve](2012/11/08 22:20)
[38] §37 2001,10,29(Mon) 15:00  B19シリンダールーム 復活[maeve](2013/04/04 22:18)
[39] §38 2001,10,30(Tue) 10:00  A-00部隊執務室 唯依出向[maeve](2016/05/06 12:01)
[40] §39 2001,10,30(Tue) 11:00  B19夕呼執務室 考察 G元素(1)[maeve](2015/03/06 21:07)
[41] §40 2001,10,30(Tue) 15:00  A-00部隊執務室[maeve](2015/02/03 20:59)
[42] §41 2001,10,31(Wed) 10:00 シミュレータルーム[maeve](2016/05/06 12:03)
[43] §42 2001,10,31(Wed) 06:00 アラスカ州ユーコン川[maeve](2016/05/06 12:03)
[44] §43 2001,10,31(Wed) 10:00 司令部ビル 来賓応接室[maeve](2016/06/03 19:20)
[45] §44 2001,10,31(Wed) 12:00 ソ連軍統治区画内 機密研究エリア[maeve](2016/05/06 12:05)
[46] §45 2001,11,01(Thu) 13:00 アルゴス試験小隊専用野外格納庫 考察 戦術機[maeve](2016/05/06 12:06)
[47] §46 2001,11,02(Fri) 12:00 テストサイト18第2演習区画 E-102演習場[maeve](2016/05/06 11:50)
[48] §47 2001,11,02(Fri) 12:15 司令部棟 B05 相互評価演習専用指揮所[maeve](2016/05/06 12:06)
[49] §48 2001,11,03(Sat) 05:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/02/03 21:01)
[50] §49 2001,11,03(Sat) 09:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/01/04 19:23)
[51] §50 2001,11,02(Fri) 20:00 ユーコン基地[maeve](2016/05/06 12:07)
[52] §51 2001,11,03(Sat) 点景[maeve](2016/05/06 12:08)
[53] §52 2001,11,04(Sun) 07:30  A-00部隊執務室[maeve](2016/05/06 12:08)
[55] §53 2001,11,04(Sun) 20:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/06/19 19:45)
[56] §54 2001,11,05(Mon) 09:00 ブリーフィングルーム[maeve](2015/01/24 18:43)
[57] §55 2001,11,06(Tue) 10:00 帝都城第2連隊戦術機ハンガー[maeve](2015/06/05 13:06)
[58] §56 2001,11,07(Wed) 10:00 横浜基地70番ハンガー[maeve](2015/03/06 20:56)
[59] §57 2001,11,08(Thu) 14:00 帝都浜離宮来賓室[maeve](2015/09/05 17:29)
[60] §58 2001,11,08(Thu) 15:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(1)[maeve](2013/04/16 21:00)
[61] §59 2001,11,08(Thu) 15:30 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(2)[maeve](2015/01/04 19:04)
[62] §60 2001,11,08(Thu) 16:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(3)[maeve](2015/02/03 21:19)
[63] §61 2001,11,09(Fri) 11:05 新潟空港跡地付近[maeve](2015/10/07 16:50)
[64] §62 2001,11,10(Sat) 23:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/03/06 21:15)
[65] §63 2001,11,11(Sun) 05:50 燕市スポーツ施設体育センター跡[maeve](2015/06/19 19:48)
[66] §64 2001,11,11(Sun) 06:52 旧海辺の森跡付近[maeve](2016/06/03 19:25)
[67] §65 2001,11,11(Sun) 07:15 旧燕市公民館跡付近[maeve](2016/05/06 11:55)
[68] §66 2001,11,11(Sun) 07:24 連合艦隊第2艦隊旗艦“信濃”[maeve](2016/05/06 11:56)
[69] §67 2001,11,11(Sun) 07:44 旧新潟亀田IC付近[maeve](2015/09/11 17:22)
[70] §68 2001,11,11(Sun) 08:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 09:53)
[71] §69 2001,11,11(Sun) 08:15 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 10:00)
[72] §70 2001,11,11(Sun) 08:20 旧北陸自動車道新潟西IC付近[maeve](2014/12/29 20:34)
[73] §71 2001,11,11(Sun) 08:25 帝都上空[maeve](2015/08/21 18:44)
[74] §72 2001,11,11(Sun) 10:30 三条市荒沢R289沿い[maeve](2015/02/04 22:07)
[75] §73 2001.11.12(Mon) 09:30 PX[maeve](2015/09/05 17:34)
[76] §74 2001.11.13(Tue) 09:00 帝都港区赤坂 九條本家[maeve](2015/04/11 23:27)
[77] §75 2001,11,13(Tue) 10:30 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2015/12/26 14:19)
[78] §76 2001,11,13(Tue) 19:50 B19フロア 夕呼執務室 考察G元素(2)[maeve](2016/05/06 12:19)
[79] §77 2001,11,14(Wed) 09:00 講堂[maeve](2016/05/06 12:25)
[80] §78 2001,11,15(Thu) 22:22 B15 通路[maeve](2016/05/06 12:31)
[81] §79 2001,11,15(Thu) 15:00(ユーコン標準時GMT-8) ユーコン基地滑走路[maeve](2015/10/07 16:54)
[82] §80 2001,11,16(Fri) 10:15(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/09/05 17:41)
[83] §81 2001,11,16(Fri) 10:55(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト18[maeve](2015/10/07 16:57)
[84] §82 2001,11,16(Fri) 16:30(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/05/31 10:24)
[85] §83 2001,11,16(Fri) 21:00(GMT-8) リルフォート歓楽街 “Da Bone”[maeve](2015/10/07 17:03)
[86] §84 2001,11,17(Sat) 17:00(GMT-8) イーダル小隊専用野外格納庫 衛士控室[maeve](2015/06/20 23:51)
[87] §85 2001,11,18(Sun) 17:20(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト37 幕間?[maeve](2015/05/31 20:15)
[88] §86 2001,11,18(Sun) 22:00(GMT-8) アルゴス試験小隊専用野外格納庫[maeve](2016/05/06 11:46)
[89] §87 2001,11,19(Mon) 13:00(GMT-8) ユーコン基地 居住区フードコート[maeve](2015/06/19 20:13)
[90] §88 2001,11,19(Mon) 18:12(GMT-8) ユーコン基地 演習区外米国緩衝エリア[maeve](2015/12/26 14:23)
[91] §89 2001,11,19(Mon) 18:50(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/12/26 14:25)
[92] §90 2001,11,19(Mon) 20:45(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/10/07 17:13)
[93] §91 2001,11,19(Mon) 21:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画[maeve](2015/10/07 17:15)
[94] §92 2001,11,20(Tue) 03:30(GMT-8) ソビエト連邦租借地 ヴュンディック湖付近[maeve](2015/08/28 20:32)
[95] §93 2001,11,21(Wed) 14:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画内 総合司令室[maeve](2015/10/07 17:20)
[96] §94 2001.11.22(Thu) 03:00(GMT-8) アラスカ州ランパート付近[maeve](2015/12/26 14:28)
[97] §95 2001.11.23(Fri) 18:00(GMT+9) 横浜基地 B20高度機密区画[maeve](2015/08/28 20:08)
[98] §96 2001.11.24(Sat) 15:00 横浜基地 B17 A-00部隊執務室[maeve](2016/06/03 19:39)
[99] §97 2001.11.25(Sun) 02:00(GMT-?) 某国某所[maeve](2015/12/26 14:33)
[100] §98 2001.11.25(Sun) 13:30 横浜基地 北格納庫管制制御室[maeve](2016/06/04 14:06)
[101] §99 2001.11.25(Sun) 18:00 横浜基地本館 メインバンケット モニタールーム[maeve](2015/10/31 14:40)
[102] §100 2001.11.26(Mon) 06:30 横浜基地本館 ゲスト棟[maeve](2016/05/06 11:44)
[103] §101 2001.11.26(Mon) 17:15 横浜基地 モニタールーム[maeve](2016/05/15 12:14)
[104] §102 2001.11.27(Tue) 06:00 国連横浜基地 第2グランド[maeve](2016/06/03 19:42)
[105] §103 2001.11.28(Wed) 09:00 国連横浜基地 XM3トライアル V-JIVES[maeve](2016/05/14 13:10)
[106] §104 2001.11.28(Wed) 17:00 国連横浜基地 米軍割当外部ハンガー ミーティングルーム[maeve](2016/06/04 06:10)
[107] §105 2001.11.28(Wed) 17:40 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2016/06/10 23:26)
[108] §106 2001.11.28(Wed) 18:00 国連横浜基地 Bゲート付近 〈Valkyrie-04〉コックピット[maeve](2019/03/26 22:16)
[109] §107 2001.11.28(Wed) 21:00 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2019/03/30 00:03)
[110] §108 2001.11.28(Wed) 21:00(GMT-5) ニューヨーク レストラン “Par Se”[maeve](2019/06/30 17:55)
[112] §109 2001.11.29(Thu) 09:00(GMT-5) ニューヨーク国連本部 安保緊急理事会[maeve](2019/05/05 21:16)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[35536] §16 2001,10,23(Tue) 13:50 ブリーフィングルーム
Name: maeve◆e33a0264 ID:53eb0cc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/05/15 20:03
’12,10,04 upload
‘13,05,15 誤字修正


Side 水月


部屋は静まりかえっていた。
誰もが呆然と、スクリーンの中で成された仮想現実を、理解できないでいた。





副司令の呼び出しで伊隅大尉が離れていた間、演習場で訓練していたA-01部隊は、午後の訓練予定を変更し、ブリーフィングルームに集合と成った。


曰く、画期的な新OSの教導を受けることになった、という。

その言葉に、はじめは皆懐疑的だった。
たかがOSの変更で、教導もないものだ。
逆に言えば実験的なOSみたいな信頼性のないものは、使いたくない、初めは誰もがそう考えているような表情だった。



「そのOSを極めた集大成が、この映像だ。」

そう言って見せられた内容は、正しく衝撃だった。



光線級を歯牙にも掛けず、空を舞う姿は、後光さえ差して見えた。

戦域の光線級をあぶり出す跳躍飛行掃討。
レーザー照射の緊急回避から着地後、マークした光線属種を確実に潰していく。
突撃級や要撃級でさえ片手間で、小型種などもはや相手にもしない。足を止めない戦術機の前では、とりつく島さえなく蹴散らされるのだ。
潰すのに手間の掛かる要塞級は関節だけ破壊して行動規制、放置。
図体がでかいだけに、いちいち止めを刺すには手間も弾数も掛かる、動けなければそれでいい、と言う完全な割り切り。
その時間でNPCに対する確実な救援と、BETAの行動を先読みした明確な指示。
合間合間での抜け目ない補給。



最初、そのあり得ない機動に騒いでいたメンバーは、光線級の照射を確実に避けていることを理解すると共に驚愕し、それを実現する新OSに新たなる希望を見いだした。
皆が食い入るように、その動きを追う。
流れるような機動、忘れられていた空中での華麗なまでのマニューバ。
その信じられない反応を支える新OSの凄まじさは、映像を見ているだけで判る。






しかし、この衛士はなんだ?
技量・判断、何れも超1流・・・・。
機動概念そのものが、既存の衛士とは一線を画する。



そして到底信じられないスコアを出して映像は終了した。









沈黙が徐々に歓喜に変わる。

理解できてくると、確かな希望を感じさせる新OSに、部隊員は湧いた。
しかもこの“衛士”が、教導に来るというのだ。


戦れる!!

恐らく今は手も足も出ないだろう。
いくら戦闘狂とまで言われるあたしでも、これだけ離れた実力差は理解できる。

だが。

このOSさえモノにすれば・・・・。




「いつですか?  何時から教導に来るんですか!?」

「今日の夕方からだ。午前中に紹介された。
技量として、このくらいはできる様になってほしい、と言うか、出来るようになれ、と言われた。
そして次に見せるのが我々A-01の目指すべき目標だそうだ。」

「次・・ですか?」

「ああ・・・。
ヴォールク・データのハイヴ攻略戦。
史上最高の世界レコード、・・・間違いなく世界最高峰のエレメントだ。」

「エレメントでハイヴ攻略って、いくら新OSでもなめてません?  それで史上最高レコードって・・・。」

「レコードだと下層到達?  反応炉は・・・エレメントじゃ有り得無いね。」

「・・・私もはじめはそう思った。
数分で終わるのではないか、と・・・。

その自分の価値観を根底から覆されたよ。
・・・まあ、感想はあとで聞こう」

遙と美冴の反応に、苦笑いしながら伊隅大尉が応える。



伊隅大尉の価値観さえ覆したと言うエレメント、どんなもんだか見せて貰おうじゃない!








そしてハイヴ侵攻を開始する2騎の不知火。
先ほどと同じ衛士と覚しき前衛の、その動きは正に鮮烈だった。


あの3次元機動はこのためにある、と言うことをまざまざと見せつける。

スタブ内の狭いトンネルで、壁や天井はおろか、時にはBETAの背すらを踏み台に、異常と言える速度で、ハイヴ深くに侵攻をすすめる。

その輝きが余りにも強烈で、見る者を惹く。

BETAのその殆ど、置き去りに。
あたしにもその有効性が理解できた。
BETAの脅威は、全てその物量にある。どんなに倒しても、恐れすら抱くことなく前進してくるその物量。ハイヴ攻略は、その最たるものだった。
10万と言われるフェイズIVハイヴのBETA数。端的に言えば、その“物量”と、一本橋で相対する。それがハイヴ戦だった。10万が同時に襲いかかってくる訳ではなく、倒しても倒しても尽きない後続。やがて弾薬が尽き、飲み込まれる。
今までは、その10万を如何に分散させ、陽動とルート取りで軽減するか、そこに注力していた。

BETAを無視して、置き去りにする・・・、その思想は無かったし、それが出来るだけの機体も存在しなかった。

今、目の前の画面に踊る機体は、戦術機特有の、カクカクした断続的な機動ではなく繋ぎのない、滑らかな動きで迫り来るBETAをすり抜けてゆく。





だが・・・・。

当初それは太陽の光に隠れる星のように、全く目立つ所のないエレメント僚機は忘れられ、意識にも上らなかった。

しかし、それが、前衛の目覚ましい輝きを曇らすモノだったら、どうか?


強い憤りさえ感じてしまうのだ。



・・・どう考えても指示するルート取りが愚劣。
後衛だと言うのに碌に前衛の支援すらせず、殆どが意味のない後方への射撃。
それも大型種を殺しきれず、あげく放置。



このエレメントの何処が世界最高峰なのだろう?



「!! あぁっ! またルートミスっ!!
何なんですか、この後衛、馬鹿すぎます!    このくらいなら、アタシの方がましですよ、ほんとっ!!    」

「・・・水月、因みにその後衛の衛士は、技術少佐だ。
まあ、気持ちはわからないでもないが、それ以上口に出すのは上官侮辱に当たるからやめておけ。」

「げ・・・」

「ついでに、後衛の少佐は、シミュレーションでもハイヴ戦初めてだそうだ。」

「!!」

じゃあ、何か?  上官だから間違ったルートでも文句言わないのか、前衛の衛士は。
・・・居るんだよなぁ、経験も無いくせに階級に傘を来て威張る馬鹿が。
これで史上最高出せたなら、後衛変えれば更に上を狙えるじゃないのか!?






ルート取りの拙さから、夾撃され、迷走にも見える迂回の末。漸くの下層到達。
・・・いや其れさえ凄いのだ。
エレメントで下層到達の前例などない。この時点で既にレコード。

それなのに漸く、と感じてしまうのは、そのルート取りの余りの酷さ。
あの侵攻速度が実現できるなら、もっとずっと早く下層に到達し、今頃反応炉到達すら出来ていたかも知れない。

だがルート取りに失敗し、無駄にBETAの接近を許したことで、主縦坑に近づけず、周囲を巡るように半周するしかなくなった。
そこで、どうにか後続のBETAを振り切って休止したのだ。



『さて武、機体交換するぞ』

聞こえた音声に場が凍る。

『おまえ推進剤使いすぎ。このあと地上まで保たない。機体は同じだし、今までの機動蓄積データは差し替えるから機動やフィードバックデータに違和感はないよ。・・ああ、背中の担架は交換してくれ。』

皆がハッとして、モニターで機体状況を確認する。


気がつかなかった・・・。


・・・つまりは、α-2は推進剤を殆ど使わず、あの異常な侵攻速度のα-1に追随していた?!
背筋に冷や水を浴びせられたような寒気。

だが、次の台詞に更に驚愕。


『ところで、このシミュレータ、ヴォールク隊の観測データそのまま使って居るんだよな?』

『ああ、そう聞いてる』

『なら、・・・そこに偽装坑が在る。中にBETAはいない。シミュレーションのBETA配置状況設定が既知の坑だけなんで、実際とは相当異なるが、な。』




「・・・・・!!! 大尉っ! こんな偽装抗が有るんですか?!」

「・・・ああ、データ上存在していたらしい。
今まで誰も気付かなかったが、ヴォールクデータの地下構造は、基本超音波測定のデータをそのまま使用している。
今までは下層到達すら達成できて居ないため、検討もされなかった、というのが真相らしい。」

「・・・・・・」



画面ではエレメントが隠されていた極秘ルートを抜け、接近してきた追従BETAを尻目に、主縦坑にたどり着くと、躊躇もせずにその暗い穴に飛び込んでいく。


「「「・・・・反応炉、到達!!」」」

固唾を飲んで見守っていた何人かが叫ぶ。

エレメントで反応炉到達、・・・もう、とてつもない快挙だ。
勿論、その殆どが前衛衛士の功績だが。


けれど、後衛がどんな愚図でも2機いれば、自爆でも反応炉破壊も可能性が出てくる。

持参S-11は各2。通常の自決用と他に1基背面担架内に所持していた。




反応炉周辺はBETAの海。
その中に、2騎は一瞬の逡巡もなく、飛び込んだ。

α-2がS-11をセットする。
そのカバーに入ったのはα-1。



「「「「え・・・・???」」」」

「すご・・・。テンポラリキルレート、99.8って・・・・」

一見デタラメにすら見えた乱射は、1000発に2発しか外さない神業。

しかし。


『・・彼方、コレ、なんかした?』

『これとは?』

『突撃砲。バーストモードでのキルレートがあり得ない数字出してるんですけど・・・』

『ああ、夕呼センセ謹製のCPUにキャパあったから、2秒以上引き金引きっぱなしすると、自動照準と予測射撃で射撃制御するアビオニクス組んだ。』

『・・・なるほど』

『尤も、ストッピングパワーが激しく不満。
戦術機サイズで36mmって、対人22口径の更に半分相当だからな。まあ重量比を考慮しても22口径相当。戦術機サイズのBETAには所詮豆鉄砲だ。
まぁ、これも何れ何とかするさ・・・。』

『・・・ああ、頼む!』


・・・・交わしている会話の内容も内容だが、ハイヴ反応炉を前にして、何という場違いな。
装備開発の会議室ではないのだ。

・・・確かに技術少佐だ。

皆の無言の認識が一致した。




そして、その技術少佐が設置したのは、たった2発のS-11。
フェイズIVクラスの反応炉破壊には、5,6発のS-11が必要と考えられている。
それなのに自分の持ってきたS-11すら使わず、それだけで離脱する。


「あ、もう! コイツにはハイヴ攻略の常識すらな・・い・・・・・え?  ・・嘘!?」

あたしが上げた怒りの声は、そのもたらされた結果にすぼむ。



「・・・・・・・・2発で反応炉破壊って・・・」

「・・・・少佐の有しているのははっきり言えば“常識”ではない。反応炉を精査した“知識”だ。先ほどの偽装抗のようにな。反応炉にも弱点があるそうだ。
少佐の設置した位置は、反応炉そのものの活動エネルギ循環のもっとも外皮に近い場所、になるとの事だ。
少佐と言っても技術少佐である彼は、ハイヴも反応炉も、綿密に調べたのだろう。」

「・・・・・・」


言われてしまえば絶句するしかない。

この世界で言われる常識は、誰かの言った予想。反応炉破壊を達成した事すらない人類に経験は無く、その規模とここ横浜で調べられた強度、そこから逆算して、“全部”潰すのに必要な量が“常識”になっただけなのだ。



・・・それよりも、である。

・・・気がついてしまった。

このエレメントは、最初から“生還”を視野に入れている、と・・・。





この世界の、少なくとも今までの“常識”では、ハイヴ攻略は、“特攻”と同義。
推進剤も弾薬も自爆装備さえ、全て片道分。それを消費してさえも中層までしか届かなかった現実。


対して彼らはつまり、反応炉まで到達して、自爆して道連れにする、そういう考えは初端からない、と言うことだ。



価値観が覆された・・・、始まる前に大尉はそう言った。



ハイヴ突入は、特攻ではない・・・。



何かがこみ上げる。

この戦術を採ることが出来るなら・・・この挙動を実現する新しいOSと、技量があれば・・・・。

人類は・・・・。









・・・・そして。

シンとブリーフィングルームが鎮まりかえる中、進んだ状況。

撤退BETAが溢れかえる中、主縦坑周辺から地上を目指すエレメントを呆然と見ていた。




え?  なに?

モニュメントを壊すことに何の意味があるの?

そう思わずに居られなかったα-2の行動。






もたらされたさらなる驚愕。

スローモーションのように崩れていくモニュメント。


その時、誰もが思っても居なかった現象が起きた。

その膨大な質量が、落下荷重となってスタブ構造を連鎖的に崩落させていく。

中層まで押しつぶした上部質量は、さらに主縦坑に崩れ落ち、膨大な質量がメインホールに達した瞬間、メインホールを閃光が埋めた。





「・・α-2キルレート・・・・40000??・・・」

「・・トータルスコア、5700万て・・・」

そのあり得ない数字が、全く理解が出来なかった。









伊隅大尉の解説に、身体の芯から震えた。
“奇跡”を見せたエレメント α。

・・・確かに紛れもなく“世界最高峰”のエレメント。




α-1は、白銀武少佐。
異次元の機動概念を有する、単騎世界最高戦力。

そしてα-2が、御子神彼方技術少佐。
このハイヴ崩落によるBETAの大量殲滅戦術を実現した、世界最高戦術家。

それは、その初期装備からしてちがった。
土木工務用破砕装備。
広域殲滅気化爆弾。


つまりハイヴ突入は初めてでも、詳細なハイヴ調査と反応炉調査、そしてBETA行動モデルを全て熟知した上で、戦術を駆使していたのだ。

それが、散々疑問の声を上げた進入時のルート取りである。

あの後、そのシミュレーション時の、BETA全体の動きを確認したピアティフ中尉が、驚愕のデータをもたらした。
エレメント侵攻時ハイヴ内の全BETAの動きを点群で表した時間経緯の動画である。
エレメントの侵攻に連れ、ハイヴ内のBETAがどんなルートで集まってくるのか、どの様に追いかけてくるのかが一目で判る。

往路であえて時間を掛け、そしてボトルネックでは、追いかけて来る後続BETAの邪魔にならないように、ボトルネックの内側で大型種を2,3体ずつ行動規制する。
それは、反応炉破壊後の中央部に集めたBETAの撤退方向を、おおよそカバーするように、謂わば逆流抑止“弁”を設置していったのだ。

そうして周辺BETAが螺旋を描くような彼らの侵攻に、徐々に主縦坑周辺に集められていく。

それはこうして俯瞰的に全容を見ることで初めて理解できる、広大な3次元空間に於けるBETAの動きを全て予測しているような動きだったのである。





「・・・・・・因みに、後で質問したところ、白銀少佐は一切この戦術を知らなかったらしい。一見無駄に思えるルート取りも、
どうせ彼方は無駄なことしないから、とおっしゃっていた。」

それはあの周囲から見て居てさえ愚鈍に見えた侵攻を、疑いもしなかったという事実。

「そして御子神少佐にも聞いた。BETAに埋もれる事は考えなかったのか?  と。
対して、武の突破力は規格外だからな、と返されたよ。」


・・・史上最高のエレメント、と言われるのも納得する。

事前打ち合わせもなく殆どぶっつけ本番、阿吽の呼吸だけでこのスコアをたたき出せる。

そんな彼らにとっては単純な侵攻など予定調和の中、反応炉破壊後こそが、御子神少佐の独壇場。
見せられた映像には、折り重なり、空間も埋めるようにひしめくBETAの塊が、幾つも発生していた。

そう、ボトルネックとなる狭路に於いて、抜ける度に大型種の行動規制をしていたα-2。
行動規制をしていた大型種が、撤退と共に狭路に向かったせいで、ボトルネックの口が、更に狭くなったのだ。
ボトルネック内側に設置された“弁”が、下層BETAの撤退を完封した。
行動規制された大型種が狭路をふさぐことにより、大渋滞が各所に発生。
連鎖的に本来通れる通路さえどんどんBETAで埋まり、結果後方の渋滞に影響、周囲からの流入で全体の流れが滞ったのだ。


脱出時も主縦坑から螺旋状に地上を目指しながら、要所に爆薬を設置していた。
後から検証すれば、最小限の爆薬で、信じられない位強固といわれるハイヴを壊す、芸術的なまでに最適位置に設置されているという。


爆破解体アーティスト。

通常の爆破解体は、構造物を自重で崩落させるように設置する。
少佐の行ったのは、ハイヴモニュメントの崩落さえ利用し、その重さと爆破のタイミングを合わせることで、強固と言われるハイヴ構造を潰す連鎖崩落を引き起こした。
上部崩落の“落下G”を利用して、さらに重さを加え、下部を押しつぶす・・・、その思想が破壊不能と言われたハイヴ構造の大崩落を実現した。
構造的に、また携行弾薬制限から連鎖崩落は中層にとどまったが、墜ちてきた大質量は、主縦坑を圧縮する。

そこには、置き土産の気化爆弾。

気化拡散した爆弾に、高圧縮。
各所に設置された“弁”。

音速を超える速度で爆轟した気体は、主縦坑を抑えられたことでスタヴに伝播、音速を超える圧力衝撃波となって下層に停滞していたBETAを圧殺し、爆散させた。

それが総数70000超という撃破数だった。



「補足すると、反応炉が生きている場合は、この崩落作戦は使えないらしい。
ハイヴ構造壁にはエネルギーを供給することによって強度を増す構造材が使われていることが、御子神少佐のここ、横浜ハイヴの調査により判明した。
突撃級の衝角も同じ様な構造だそうだ。
それ故、逆に反応炉を先に停止すれば、核にも耐えるハイヴの崩落が可能、という事だ。」


・・・全てが計算ずく。

稚拙で愚鈍だったのは、それが判らなかった自分たち。


「まあ、そこはあまり気にするな。私も神宮司教官もハイヴが崩落するまで気がつかなかった。
いや、ピアティフ中尉のデータを見るまで、あの侵攻ルートの意味も理解していなかった。
途中で気付いた副司令さえ、ここまでの戦果は予想していなかった様だ。
桁が2つ程違っている、ということだ。」

大尉が苦笑する。それはスコアからして2つは違う。




「そしてもう一つ、ハイヴ攻略の最重要課題は、反応炉破壊である、と言う価値観もひっくり返された。」

「え?」

「これだけのエレメントだ。反応炉破壊だけに絞れば、甲21号も特攻でなら完遂出来るそうだ。」

「・・・」

「だが、その際の残存BETAは20万。・・・・奴らは、何処を目指す?」

「「「「「「!!!!!」」」」」」


・・・・そうだ。
今、佐渡から20万のBETAが横浜を目指したら・・・帝国は間違いなく瓦解する。


その集まっているBETAをまとめて殲滅するための戦術。
その為の反応炉破壊。


苦笑いしていた伊隅大尉の表情が引き締まる。
刺すような視線が全員を見回す。


「現実のハイヴ突入戦の経験もあるらしい白銀少佐がおっしゃった。
実際のハイヴは、こんなに“甘くない”らしい。」

「「「「「「!!!」」」」」」

「そして当面の目標は喀什、フェイズVI・オリジナルハイヴだそうだ。」

「「「「「「!!!」」」」」」

「是だけの技量と戦術を有するお二方でも、二人じゃ全然足りないそうだ。
・・・その為のA-01への新OS【XM3】教導、と言われた。」


「「「「「「「「「「「「「「「「「!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」




それは、つまり、・・・・あのレベルになれ、と。

オリジナルハイヴに、付いてこい、と。




覆された既成概念。

光線属種をものともしない機動。

“特攻”ではない、ハイヴ攻略。



それは、まさしく“希望”。

あと10年と言われる人類の未来を果断に切り拓く、鮮烈なまでの・・・。

その一翼を担え、と言うことだ。




「どうだ?  貴様等!?」

「「「「「「「「「「・・・望むところです!!!!!」」」」」」」」」」



これで燃えなきゃ女じゃない!


Sideout




前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.029474973678589