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No.3392の一覧
[0] 女王陛下の下僕 (ゼロの使い魔) 【原作第1巻相当・完結・続編あり】[コルベール予備軍](2010/01/05 19:42)
[1] 女王陛下の下僕 ~02 下僕参上~[コルベール予備軍](2008/12/21 14:28)
[2] 女王陛下の下僕 ~03 姫様狂喜~[コルベール予備軍](2009/02/25 18:08)
[3] 女王陛下の下僕 ~04 女史密談~[コルベール予備軍](2008/12/21 14:32)
[4] 女王陛下の下僕 ~05 下僕全裸~[コルベール予備軍](2008/07/05 01:55)
[5] 女王陛下の下僕 ~06 姫様絶叫~[コルベール予備軍](2009/02/25 18:12)
[6] 女王陛下の下僕 ~07 公爵疾空~[コルベール予備軍](2008/12/21 14:38)
[7] 女王陛下の下僕 ~08 姫様逃走~[コルベール予備軍](2009/02/25 18:16)
[8] 女王陛下の下僕 ~09 下僕脱獄~[コルベール予備軍](2008/12/21 14:43)
[9] 女王陛下の下僕 ~10 太后決断~[コルベール予備軍](2009/02/25 18:21)
[10] 女王陛下の下僕 ~11 女史握手~[コルベール予備軍](2009/02/25 18:24)
[11] 女王陛下の下僕 ~12 桃娘登場~[コルベール予備軍](2009/02/25 18:27)
[12] 女王陛下の下僕 ~13 姫様到着~[コルベール予備軍](2009/02/25 18:30)
[13] 女王陛下の下僕 ~14 下僕解錠~[コルベール予備軍](2008/08/01 20:06)
[14] 女王陛下の下僕 ~15 桃娘臨月~[コルベール予備軍](2008/12/21 14:52)
[15] 女王陛下の下僕 ~16 姉妹共謀~[コルベール予備軍](2009/02/25 18:33)
[16] 女王陛下の下僕 ~17 桃娘拒否~[コルベール予備軍](2008/12/21 14:58)
[17] 女王陛下の下僕 ~18 下僕生活~[コルベール予備軍](2008/12/21 15:00)
[18] 女王陛下の下僕 ~19 女史画策~[コルベール予備軍](2008/12/21 15:02)
[19] 女王陛下の下僕 ~20 下僕反抗~[コルベール予備軍](2008/09/10 12:57)
[20] 女王陛下の下僕 ~21 乙女団結~[コルベール予備軍](2008/12/21 15:05)
[21] 女王陛下の下僕 ~22 諸氏暗躍~[コルベール予備軍](2009/02/25 18:42)
[22] 女王陛下の下僕 ~23 学院秘書~[コルベール予備軍](2009/02/25 18:45)
[23] 女王陛下の下僕 ~24 宝物庫前~[コルベール予備軍](2009/02/25 18:48)
[24] 女王陛下の下僕 ~25 乙女作戦~[コルベール予備軍](2008/12/21 15:09)
[25] 女王陛下の下僕 ~26 破壊の杖~[コルベール予備軍](2009/02/25 18:51)
[26] 女王陛下の下僕 ~27 監視蝙蝠~[コルベール予備軍](2009/02/25 18:54)
[27] 女王陛下の下僕 ~28 平民生活~[コルベール予備軍](2009/02/25 18:56)
[28] 女王陛下の下僕 ~29 回転拳銃~[コルベール予備軍](2008/11/04 23:14)
[29] 女王陛下の下僕 ~30 盗賊脱走~[コルベール予備軍](2008/12/21 15:21)
[30] 女王陛下の下僕 ~31 炎蛇驚愕~[コルベール予備軍](2008/12/21 15:26)
[31] 女王陛下の下僕 ~32 四女四様~[コルベール予備軍](2008/12/21 15:28)
[32] 女王陛下の下僕 ~33 桃髪家出~[コルベール予備軍](2008/12/21 15:41)
[33] 女王陛下の下僕 ~34 青髪懇願~[コルベール予備軍](2008/12/21 15:44)
[34] 女王陛下の下僕 ~35 錬金授業~[コルベール予備軍](2008/12/06 13:32)
[35] 女王陛下の下僕 ~36 王宮庭園~[コルベール予備軍](2009/02/25 19:05)
[36] 女王陛下の下僕 ~37 下僕決闘~[コルベール予備軍](2008/12/21 15:48)
[37] 女王陛下の下僕 ~38 王都遊覧~[コルベール予備軍](2009/01/03 17:35)
[38] 女王陛下の下僕 ~39 魔剣登場~[コルベール予備軍](2009/02/25 19:10)
[39] 女王陛下の下僕 ~40 下僕死闘~[コルベール予備軍](2009/01/14 22:46)
[40] 女王陛下の下僕 ~41 賊の正体~[コルベール予備軍](2009/02/25 19:13)
[41] 女王陛下の下僕 ~42 公爵夫人~[コルベール予備軍](2009/02/25 19:16)
[42] 女王陛下の下僕 ~43 姫様激怒~[コルベール予備軍](2009/02/25 19:19)
[43] 女王陛下の下僕 ~あとがき~[コルベール予備軍](2010/01/05 19:47)
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[3392] 女王陛下の下僕 (ゼロの使い魔) 【原作第1巻相当・完結・続編あり】
Name: コルベール予備軍◆21000d19 ID:da5a614f 次を表示する
Date: 2010/01/05 19:42
女王陛下の下僕
~01 召喚前夜~


―― アンリエッタ ――

 使い魔召喚の儀といえば、貴族にとっては生誕や元服と並ぶ重要な儀式。
 それが王家ともなれば、その重要度は一国の行く末を左右しかねない程です。
 しかし正直なところ、召喚の儀を明日に控えてなお、わたくしはそのような重圧は感じていませんでした。
 わたくしはまるで夢見る少女のように、未知なる出会いに心躍らせていたんです。

『だってそうでしょう?』
 わたくしは羊皮紙の上を走る魔法ペンを眺めながら考えました。
『使い魔は、生涯を共にする伴侶なんですもの』

 俸大なる始祖ブリミルによって導かれた伴侶。それが使い魔。
 死が両者を分かつまで切れることのない、絶対的な絆。
 しかも、どんな使い魔が現れるのかは誰にもわからない―――

 いえ、少し違いますね。
 現れる使い魔は、召喚する者に最もふさわしい種類の筈なのですから、ある程度の予想はできるはずです。
 水系統の使い手であるわたくしの場合は、例えば水竜とか。
 それとも可愛らしいカエルとか。
 水鳥なんて可能性もあるかもしれません。

 それでも、召喚する者の意思では使い魔を選べない点には変わりありません。
 もちろん大臣たちにも側近たちにも干渉の余地はありません。
 そうです。
 わたくしの17年の生涯において初めて、誰の意思も介入されない、未知な―――真の意味で自由な選択が行われるのです。

『こんなにワクワクするのは、あなたと一緒に宝物庫に忍び込んだとき以来です』

 すらすらと、魔法ペンが羊皮紙の上に文字を書いていきます。
 魔法ペンは手を使わずに文章が書ける便利なアイテムですが、貴族にしか使えないのが難点です。もしこれが平民にも使えるのなら、平民の教育レベルももっと高められると思うのですが。
 おっと、脱線しましたね。
 わたくしは再び魔法ペンを操り、数少ない親友への手紙を書き上げました。

『召喚に成功したら、真っ先にあなたにお知らせしますね。

 アンリエッタより
 親愛なるルイズへ』

 明日は日取りの良い日ですから、トリステイン魔法学院でも召喚の儀が行われるはずです。
 いまだに魔法は失敗ばかりのルイズですが、きっと使い魔の召喚は成功するに違いありません。
 いまだに系統のはっきりしないルイズ。
 いったいどんな使い魔を召喚するのでしょう?

 パンパン!

 わたくしが手を叩くと、まるで最初からそこに居たかのように、柱の陰からメイドが姿を現しました。
 いえ、彼女は本当に最初からそこに居たに違いありません。
「手紙を出したいの。私信よ」
「かしこまりました」
 一礼して柱の陰に消えるメイド。
 王室付メッセンジャーガールの誰かを呼びに行ったに違いありません。

 わたくしは手紙に封をしながら、ふと思いました。
 もしルイズのところまで、この手紙が自分で飛んでいったなら……
 それともわたくしの声が、ルイズのところまで直接届いたなら……
 もしそんなことが出来るのなら、こんな夜更けにメッセンジャーガールが、わざわざトリステイン魔法学院まで行く必要はなくなるはずです。
「失礼いたします」
 わたくしの空想は、メッセンジャーガールである下級貴族の声によって中断されました。
 彼女の名前は確か……
「これを、トリステイン魔法学院のルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールまで届けて頂戴」
「かしこまりました」
 メッセンジャーガールは緊張した面持ちでわたくしの手紙を受け取ります。
「お願いね、サマンサ」
「はっ!」
 一礼して去るメッセンジャーガール。
 その顔がわずかにほころんだことを、わたくしは見逃しませんでした。
 一介の下級貴族に過ぎない彼女の名前を間違えずに覚える。
 まったく、人の上に立つというのは、どうしてこうも厄介なことばかりなのでしょうか……



―― アンリエッタ/翌日 ――

 使い魔召喚の儀、当日。

 朝から誰もがピリピリとした様子で、さすがのわたくしもプレッシャーを感じずにはいられません。
 それは母さまも同じらしく、朝食の時もお互い無口になりがちで、会話はほとんど弾みませんでした。
 もし父さまが生きておられたら、やはり父さまも緊張して無口になるのかもしれません。
 壁にかかった父さまの肖像画を見て、わたくしは思わず溜息をついてしまいました。
「いけませんよ、アンリエッタ」
 すかさず母さまに見咎められてしまいました。
「気持ちは分からないでもありませんが、将来このトリステイン王国を背負って立つ者が……」
「分かっております、母さま」
 こんな嫌な雰囲気の上に、小言まで長々と続けられては堪りません。

 朝食後の、執務室でのお歴々の緊張の度合いもまた凄いものした。グランディエ神父ですら緊張を隠し切れていません。
 ド・ポワチエ大将に至っては滝のような冷や汗で、まるで戦争にでも行くよう。
 マザリーニ枢機卿も表情にこそ出していませんが、普段から堅苦しい口調がますます堅苦しくなっています。
「……と、このような段取りになっております」
「分かりました」
 今日の召喚の儀の手順を説明する枢機卿の話を、わたくしはほとんど聞いていませんでしたが、そう返事をしました。
 召喚の儀があるとはいえ、どうせ今日のスケジュールも普段と大差ないのです。昼は形式だけの会議と山のような書類に追われ、夜は出世欲丸出しの人たちとの晩餐に決まっています。
 いっそ風竜を使い魔にして、どこか遠くへ逃げ出せたら……
 そう、アルビオンへ行ってウェールズ様と駆け落ちなんて…………… きゃっ♪
 そんな少女のようなことを考えてしまうわたくしに、始祖ブリミルはどんな使い魔をお与えになるのでしょうか?

―――――
初版:2008/06/30 13:09
改1:2008/11/18 23:48
改2:2008/12/21 14:24
改3:2009/02/25 18:06


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