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No.33455の一覧
[0] ダークブリングマスターの憂鬱(RAVE二次創作) 【完結 後日談追加】[闘牙王](2017/06/07 17:15)
[1] 第一話 「最悪の出会い」[闘牙王](2013/01/24 05:02)
[2] 第二話 「最悪の契約」[闘牙王](2013/01/24 05:03)
[3] 第三話 「運命の出会い」[闘牙王](2012/06/19 23:42)
[4] 第四話 「儚い平穏」[闘牙王](2012/07/09 01:08)
[5] 第五話 「夢の終わり」[闘牙王](2012/07/12 08:16)
[6] 第六話 「ダークブリングマスターの憂鬱」[闘牙王](2012/12/06 17:22)
[7] 第七話 「エンドレスワルツ」[闘牙王](2012/08/08 02:00)
[11] 第八話 「運命の出会い(その2)」[闘牙王](2012/08/10 20:04)
[12] 第九話 「魔石使いと記憶喪失の少女」[闘牙王](2012/08/10 20:08)
[13] 番外編 「アキと愉快な仲間達」[闘牙王](2013/01/24 05:06)
[14] 第十話 「将軍たちの集い」前編[闘牙王](2012/08/11 06:42)
[15] 第十一話 「将軍たちの集い」後編[闘牙王](2012/08/14 15:02)
[16] 第十二話 「ダークブリングマスターの絶望」前編[闘牙王](2012/08/27 09:01)
[17] 第十三話 「ダークブリングマスターの絶望」中編[闘牙王](2012/09/01 10:48)
[18] 第十四話 「ダークブリングマスターの絶望」後編[闘牙王](2012/09/04 20:02)
[19] 第十五話 「魔石使いと絶望」[闘牙王](2012/09/05 22:07)
[20] 第十六話 「始まりの日」 前編[闘牙王](2012/09/24 01:51)
[21] 第十七話 「始まりの日」 中編[闘牙王](2012/12/06 17:25)
[22] 第十八話 「始まりの日」 後編[闘牙王](2012/09/28 07:54)
[23] 第十九話 「旅立ちの時」 前編[闘牙王](2012/09/30 05:13)
[24] 第二十話 「旅立ちの時」 後編[闘牙王](2012/09/30 23:13)
[26] 第二十一話 「それぞれの事情」[闘牙王](2012/10/05 21:05)
[27] 第二十二話 「時の番人」 前編[闘牙王](2012/10/10 23:43)
[28] 第二十三話 「時の番人」 後編[闘牙王](2012/10/13 17:13)
[29] 第二十四話 「彼と彼女の事情」[闘牙王](2012/10/14 05:47)
[30] 第二十五話 「嵐の前」[闘牙王](2012/10/16 11:12)
[31] 第二十六話 「イレギュラー」[闘牙王](2012/10/19 08:22)
[32] 第二十七話 「閃光」[闘牙王](2012/10/21 18:58)
[33] 第二十八話 「油断」[闘牙王](2012/10/22 21:39)
[35] 第二十九話 「乱入」[闘牙王](2012/10/25 17:09)
[36] 第三十話 「覚醒」[闘牙王](2012/10/28 11:06)
[37] 第三十一話 「壁」[闘牙王](2012/10/30 06:43)
[38] 第三十二話 「嵐の後」[闘牙王](2012/10/31 20:31)
[39] 第三十三話 「違和感」[闘牙王](2012/11/04 10:18)
[40] 第三十四話 「伝言」[闘牙王](2012/11/06 19:18)
[41] 第三十五話 「変化」[闘牙王](2012/11/08 03:51)
[44] 第三十六話 「金髪の悪魔」[闘牙王](2012/11/20 16:23)
[45] 第三十七話 「鎮魂」[闘牙王](2012/11/20 16:22)
[46] 第三十八話 「始動」[闘牙王](2012/11/20 18:07)
[47] 第三十九話 「継承」[闘牙王](2012/11/27 22:20)
[48] 第四十話 「開幕」[闘牙王](2012/12/03 00:04)
[49] 第四十一話 「兆候」[闘牙王](2012/12/02 05:37)
[50] 第四十二話 「出陣」[闘牙王](2012/12/09 01:40)
[51] 第四十三話 「開戦」[闘牙王](2012/12/09 10:44)
[52] 第四十四話 「侵入」[闘牙王](2012/12/14 21:19)
[53] 第四十五話 「龍使い」[闘牙王](2012/12/19 00:04)
[54] 第四十六話 「銀術師」[闘牙王](2012/12/23 12:42)
[55] 第四十七話 「騎士」[闘牙王](2012/12/24 19:27)
[56] 第四十八話 「六つの盾」[闘牙王](2012/12/28 13:55)
[57] 第四十九話 「再戦」[闘牙王](2013/01/02 23:09)
[58] 第五十話 「母なる闇の使者」[闘牙王](2013/01/06 22:31)
[59] 第五十一話 「処刑人」[闘牙王](2013/01/10 00:15)
[60] 第五十二話 「魔石使い」[闘牙王](2013/01/15 01:22)
[61] 第五十三話 「終戦」[闘牙王](2013/01/24 09:56)
[62] DB設定集 (五十三話時点)[闘牙王](2013/01/27 23:29)
[63] 第五十四話 「悪夢」 前編[闘牙王](2013/02/17 20:17)
[64] 第五十五話 「悪夢」 中編[闘牙王](2013/02/19 03:05)
[65] 第五十六話 「悪夢」 後編[闘牙王](2013/02/25 22:26)
[66] 第五十七話 「下準備」[闘牙王](2013/03/03 09:58)
[67] 第五十八話 「再会」[闘牙王](2013/03/06 11:02)
[68] 第五十九話 「誤算」[闘牙王](2013/03/09 15:48)
[69] 第六十話 「理由」[闘牙王](2013/03/23 02:25)
[70] 第六十一話 「混迷」[闘牙王](2013/03/25 23:19)
[71] 第六十二話 「未知」[闘牙王](2013/03/31 11:43)
[72] 第六十三話 「誓い」[闘牙王](2013/04/02 19:00)
[73] 第六十四話 「帝都崩壊」 前編[闘牙王](2013/04/06 07:44)
[74] 第六十五話 「帝都崩壊」 後編[闘牙王](2013/04/11 12:45)
[75] 第六十六話 「銀」[闘牙王](2013/04/16 15:31)
[76] 第六十七話 「四面楚歌」[闘牙王](2013/04/16 17:16)
[77] 第六十八話 「決意」[闘牙王](2013/04/21 05:53)
[78] 第六十九話 「深雪」[闘牙王](2013/04/24 22:52)
[79] 第七十話 「破壊」[闘牙王](2013/04/26 20:40)
[80] 第七十一話 「降臨」[闘牙王](2013/04/27 11:44)
[81] 第七十二話 「絶望」[闘牙王](2013/05/02 07:27)
[82] 第七十三話 「召喚」[闘牙王](2013/05/08 10:43)
[83] 番外編 「絶望と母なる闇の使者」[闘牙王](2013/05/15 23:10)
[84] 第七十四話 「四天魔王」[闘牙王](2013/05/24 19:49)
[85] 第七十五話 「戦王」[闘牙王](2013/05/28 18:19)
[86] 第七十六話 「大魔王」[闘牙王](2013/06/09 06:42)
[87] 第七十七話 「鬼」[闘牙王](2013/06/13 22:04)
[88] 設定集② (七十七話時点)[闘牙王](2013/06/14 15:15)
[89] 第七十八話 「争奪」[闘牙王](2013/06/19 01:22)
[90] 第七十九話 「魔導士」[闘牙王](2013/06/24 20:52)
[91] 第八十話 「交差」[闘牙王](2013/06/26 07:01)
[92] 第八十一話 「六祈将軍」[闘牙王](2013/06/29 11:41)
[93] 第八十二話 「集結」[闘牙王](2013/07/03 19:57)
[94] 第八十三話 「真実」[闘牙王](2013/07/12 06:17)
[95] 第八十四話 「超魔導」[闘牙王](2013/07/12 12:29)
[96] 第八十五話 「癒しと絶望」 前編[闘牙王](2013/07/31 16:35)
[97] 第八十六話 「癒しと絶望」 後編[闘牙王](2013/08/14 11:37)
[98] 第八十七話 「帰還」[闘牙王](2013/08/29 10:57)
[99] 第八十八話 「布石」[闘牙王](2013/08/29 21:30)
[100] 第八十九話 「星跡」[闘牙王](2013/08/31 01:42)
[101] 第九十話 「集束」[闘牙王](2013/09/07 23:06)
[102] 第九十一話 「差異」[闘牙王](2013/09/12 06:36)
[103] 第九十二話 「時と絶望」[闘牙王](2013/09/18 19:20)
[104] 第九十三話 「両断」[闘牙王](2013/09/18 21:49)
[105] 第九十四話 「本音」[闘牙王](2013/09/21 21:04)
[106] 第九十五話 「消失」[闘牙王](2013/09/25 00:15)
[107] 第九十六話 「別れ」[闘牙王](2013/09/29 22:19)
[108] 第九十七話 「喜劇」[闘牙王](2013/10/07 22:59)
[109] 第九十八話 「マザー」[闘牙王](2013/10/11 12:24)
[110] 第九十九話 「崩壊」[闘牙王](2013/10/13 18:05)
[111] 第百話 「目前」[闘牙王](2013/10/22 19:14)
[112] 第百一話 「完成」[闘牙王](2013/10/25 22:52)
[113] 第百二話 「永遠の誓い」[闘牙王](2013/10/29 00:07)
[114] 第百三話 「前夜」[闘牙王](2013/11/05 12:16)
[115] 第百四話 「抵抗」[闘牙王](2013/11/08 20:48)
[116] 第百五話 「ハル」[闘牙王](2013/11/12 21:19)
[117] 第百六話 「アキ」[闘牙王](2013/11/18 21:23)
[118] 最終話 「終わらない旅」[闘牙王](2013/11/23 08:51)
[119] あとがき[闘牙王](2013/11/23 08:51)
[120] 後日談 「大魔王の憂鬱」[闘牙王](2013/11/25 08:08)
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[33455] 第二十七話 「閃光」
Name: 闘牙王◆53d8d844 ID:e8e89e5e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/10/21 18:58
時刻は夕刻。日も傾き次第に夕日によって街が赤く染まっていく中、一人の少年がどこか焦った様子を見せながらも人気がない公園の中で溜息をついていた、


(エリーの奴、どこに行っちまったんだ……?)


銀髪の少年、ハル・グローリーは頭をかきながらもどうしたものかと途方に暮れていた。それは今ハルが探している少女、エリーに関連してのもの。


(うーん……エリーの奴、まだ覗きのこと怒ってんのかな……)


気まずそうな、罰が悪そうな表情を見せながらもハルは内心焦っていた。それは先程までのエリーの様子。つい先ほどまでハルはエリーとムジカと共にある場所を訪れていた。それは王国戦争博物館と呼ばれるもの。その名の通り五十年前の王国戦争に関連する品や資料などが展示されている博物館。レイヴマスターとして少なからず興味のあったハルはムジカに誘われるままそこを訪れることにした。だがハルは気が気ではなかった。何故なら一緒にいるエリーの態度。それが不機嫌そのものだったから。昨日の口喧嘩に続いて覗きの現行犯として退治されるという状況(何故かハルだけ)それによってエリーはますます不機嫌になり朝から全くハルと口を聞いていない。ハルは何とか仲直りしようと四苦八苦しているものの全てが空回り。ムジカは呆れながらも関わる気は無いとスルーするだけ。そんな中、飽きてきたからという言葉を残したままエリーは一人どこかへ行ってしまう。正直息がつまりそうだったハルはそのままエリーを見送るもいつまでたってもエリーが戻ってこないためムジカと手分けをして街を探している最中だった。


(どうするかな……一度、ホテルに戻ってみるか。もしかしたら先に帰ってるだけかもしれないし……)


ハルは気を取り直しながらもホテルへと戻ることにする。小さなガラージュ島ならともかくここは大都市エクスペリメント。やみくもに探しても埒があかないと判断したハルはそのまま一旦ホテルに戻ることにする。そしてそのまま広場を後にしようとした時


「こんにちは。可愛いボウヤね、ちょっとお姉さんと遊ばない?」


そんな女性の声がハルに向かって掛けられる。ハルは驚きながらも振り返るとそこには見たことのない女性がいた。長い髪に煌びやかなドレス。間違いなく美女と言ってもおかしくない美貌をもったどこか小悪魔のような雰囲気を纏っている女性。


「え? オレのこと?」
「そうよ、暇ならちょっとお姉さんとデートしない? 楽しい夜になると思うわ♪」


ハルは困惑しながら答えるもそんなハルの様子がおかしいのか女性はくすくす笑いながら捲し立ててくる。そんないきなりの事態にハルは焦り、狼狽するしかない。島育ちのハルでも今の状況が何なのかくらいは察しがついていた。おそらくこれが俗に言う逆ナンというものなのだろうと。そんな人生初の事態にハルは顔を赤くするも何とか平静を装わんとする。年頃の少年としてそういうことに興味がないわけではないがとにかく今はエリーを探さなくてはいけない。


「ご、ごめん! オレ、ちょっと今急いでるからさ、じゃ!」


ハルはそのまま半ば強引にその場を立ち去ろうとする。だが


「そう……残念。じゃあ本題に入りましょうか、ハル君」


それを遮るかのように女性はハルの前に立ちふさがる。まるでその先には行かせまいとするかのように。ハルはその予想外の展開に呆気にとられるしかない。それは女性の動き。先程まで自分の後ろにいた筈なのに今は目の前にいる。まるで瞬間移動したかのように。とても素人ができるような動きではない。そして何よりも


「お前……何でオレの名前知ってんだ……?」


何故初対面のはずの相手が自分の名前を知っているのか。


「何でも知ってるわよ、ハル君。いえ、二代目レイヴマスター君って言った方が良いかしら?」


そんなハルの困惑を楽しそうに眺めながら女性はからかうように告げる。二代目レイヴマスター。それは限られた者しか知らない存在。しかもその姿を知っているなど。ハルはすぐに戦闘態勢にTCMに手を掛けながら女性と向かい合う。


「お前……DCか?」
「ええ。初めましてハル君。DC最高幹部六祈将軍オラシオンセイスの一人、レイナよ。宜しくね」


場違いとも思えるような態度、ウインクをしながらレイナは自己紹介を行う。先程までのやりとりはちょっとしたお遊び。まだ子供であろうハルをからかうためのもの。もう少し続けるつもりだったのだがレイナはそれを切り上げることにする。どうやらハルが3173の女を探しているであろうことを悟ったからこそ。自分がレイヴマスターの相手をすること。それがジークとの取引、約束。3173の女については思うところもあるがアキが来る前にこうなってしまった以上いたしかたないとレイナは判断する。これでアキと敵対関係になってしまう可能性もあるがレイナはひとまず自らの役割を果たさんとする。


「シュダがお世話になったみたいね。でも勘違いしないでね。私が六祈将軍オラシオンセイスの真の恐ろしさを教えてあげるわ♪」


レイナは微笑みながらその手を自らの腕に付けられている銀の蛇に置く。レイナが二代目レイヴマスターの抹殺の任務をジークから受けた理由。それはアキの正体を見極めるためでもあったがもう一つ理由があった。それはシュダの不始末の処理。六祈将軍オラシオンセイスの格を落とし、その名に泥を塗ったことへの後始末。レイヴマスターを倒すことよってDC、六祈将軍オラシオンセイスの恐ろしさを再認識させ、調子づいている帝国や解放軍に対する見せしめにすること。そしていくら後発とはいえシュダを倒したハルの実力を見てみたいという個人的な興味。だが


「……? どうしたの? もしかしてもう怖気づいちゃったのかしら?」


レイナはどこか呆気にとられながらもハルに問いかける。何故ならハルは先程からずっと黙りこんだまま、身動き一つ見せない。いくら突然の奇襲、六祈将軍オラシオンセイスを名乗ったとはいえ予想すらしていなかった態度にレイナは首を傾げるしかない。


「レイナ……お前がレイナなのか?」
「……? そうよ。おかしいわね……どこかで会ったことがあったかしら?」
「違う。シュダから聞いたことがあったんだ」
「シュダから……?」
「お前、アキのことを知ってんだろ!? シュダから聞いたんだ、お前ならアキのことを知ってるだろうって!」
「そう……余計なことまでしゃべってるのね。でもどうしてあなたがアキのことを気にしているの? もしかしてアキの知り合い?」
「アキはオレの家族だ! それよりも今アキはどこにいるんだ!?」


ハルは剣を構えながらもレイナへと問いただす。それは思い出したから。初めてのシュダとの戦闘の際。シュダが口にした言葉。レイナという人物ならアキのことに詳しいだろうというもの。それが目の前の女性とだと知りハルは興奮しながら詰め寄る。今までどんなに調べても足取りすらつかめなかったアキのことを知っている人物が目の前にいる。そんなハルの姿を見ながらもレイナは冷静に状況を分析していた。


(どういうこと……? まさかレイヴマスターまでアキと関係があったってことかしら?)


アキとレイヴマスターが知り合いだなどとレイナは想像もしていなかった。3173の女に加えてまるで何かの運命のように全てがアキに関連している。どこか出来すぎな状況。そのことをアキが知っているのかどうかまでは分からないがとにかく目の前のハルはアキを探しているらしい。同時にレイナはあることに気づく。それはハルの家族という言葉。それが本当なのかどうかは分からないが親しい中であったのなら知っているかもしれない。レイナが今、もっとも知りたいと思っている内容を。


「そう……でも金髪の悪魔ならちょうどこの街にいるわよ。もう少ししたら会う予定だしね」
「……っ! ほんとか!? アキがこの街に……」


ハルは思いがけないレイナの言葉に驚きながらも喜びの表情を見せる。旅を始めてから数カ月、島にいた時からは六年以上離れ離れになっていたアキがすぐそこにいるかもしれない。ハルは逸る気持ちを抑えることができないでいた。そしてそんなハルの姿とは裏腹にレイナはどこか楽しげな笑みを浮かべていた。

それは確信。先程の言葉。レイナは金髪の悪魔がこの街にいると口にしただけ。もし違うのなら金髪の悪魔とは何かと問い返してくるはず。にも関わらずハルは間違いなくそれがアキだと確信している。レイナは悟る。やはりアキが金髪の悪魔だったのだと。そして恐らくシュダがアキが金髪の悪魔だと知ったのも目の前の少年、ハルからの情報だったのだと。


「ええ。でも残念ね。あなたはもうアキに会うことはないわ。ここで私に殺されるんだから。でも安心なさい。探している金髪の女の子も今頃もう死んじゃってるだろうし……」
「っ!? それって、エリーのことか!? エリーに何かしたのか!?」
「あら? てっきりそれで街を探してるのかと思ったんだけど……余計なこと言ったかしらね。まあいいわ」
「どういうことだっ!? エリーに何をしたっ!?」


ハルは今にも襲いかからんばかりの勢いと殺気を纏ったままレイナへと叫ぶ。アキのことに加えてエリーの身に危険が迫っているであろうこと。ハルは既に冷静な判断力を失いかけていた。だがハルは悟っていた。一刻も早くエリーの元に行くこと。それが今の自分の為すべきことだと。もしそれが間に合わなければ――――


「熱い男は嫌いじゃないけど……エリーっていう娘より自分の心配をした方が良いんじゃない? 私はあなたを殺す気よ、ハル君」
「邪魔すんなっ! 女でも容赦しないぞ!」


レイナの挑発によってハルは既に戦闘態勢に入ったまま。その剣先を向け飛びかかって行く。目の前に立ちふさがるのならどんな相手でも容赦はしないと。エリーを守るために、そしてアキと再会を果たすためにハルは全力を持って立ち向かって行く。だがハルはまだ気づいていなかった。


「あら、優しいのね。じゃあサービスよ。まずはDBを使わないで相手をしてあげるわ、二代目レイヴマスター君♪」


目の前にいる女性が只者ではないことを。六祈将軍オラシオンセイスという名が持つ恐ろしさと力を。


二代目レイヴマスター、ハル・グローリーと六祈将軍オラシオンセイスレイナ。本来あり得なかった二人の戦いの火蓋が切って落とされようとしていた―――――




時同じくしてビルの屋上をまるで流星のように移動している二つの影があった。

一つはローブを被り、背中に大きな荷物のようなものを背負った人物。だがその速度が異常だった。まるで光のような閃光を纏いながらローブの人物はビルを次々に飛び移り移動していく。それは流星そのもの。流れ星が動いているのではないかと思えるような光景。街を歩いている人々がそれを見ても夜に近づきつつある中、流れ星だとしか思わないだろう。

そしてそんなローブの人物を追いかけている、もとい尾行しているもう一人の人物がいた。奇しくもその姿は同じくローブ。だが違うところがあるとすればその姿が透明であるということ。しかし時折その姿がまるで映像の乱れのように露わになる。それはその人物もまた常人では考えられない速度で移動しているからこそ。


(くそ……! なんて速さだ……!)


アキは内心で愚痴をこぼしながらも速度を維持しながら視線の先にいるローブの人物を追いかけ続ける。しかしその速度の差からとても追いつくことができない。今アキは音速の剣シルファリオンによって速度を増しながら疾走している。音速と言う名に相応しいまさに風のような速さによって。だがそれでもその距離の差を縮めることができない。だがそれは無理のないこと。何故ならアキが追っている相手は音速を遥かに超える光速で移動しているのだから。


『……! おい、マザー! これだけ近づけば充分だろ! 何の能力だっ!?』
『ふん……もう見れば分かるであろう。持つ者に閃光の速さを与えるDBだ。格で言えば我の生み出した六星DBと同等かそれ以上か……アナスタシスの奴め……』
『お、おい……何でそんなに不機嫌になってんだよ? 同じシンクレアなんだろ?』
『そうだが競争相手には違いない……大体あいつは昔から気に入らん。それと言うのも……』

そのままマザーはぶつぶつとアナスタシスに関する文句、愚痴を延々と漏らし始める。どうやらシンクレアの中でも色々あるらしい。だがそんなどうでもいい話を聞いていられるほどアキには余裕が全くなかった。


いったい何の話をしとるんだこいつは!? っていうか同じシンクレアなのになんでそんなに仲が悪いわけ? いや、確かにそれぞれDBに相応しい主を見つけるって話だから競争相手には違いないかもしれんが……ま、まあそれはおいといて、うん、やっぱ間違いない。あそこにいるのが誰かっていうのはもう分かった。


BG(ブルーガーディアンズ)副船長 『閃光のルナール』 それが今アキが追っている人物の正体。BGにおいてナンバー2の実力を持つ女性だった。


いやいや何がどうなってんのっ!? 何であの人がこんなところにいるのっ!? まだ出番は随分先のはずなのにどういうことだよっ!?


アキは混乱するしかない。当たり前だ。BGはDCに匹敵するほどの力を持つ組織。原作では第二部に入ってから登場した存在。それがこんな時期に、しかも何故かレイナがいる方向に向かって移動している。偶然だとは考えられない程正確に。そこに何か目的があるかのように。アキは狼狽しながらもどうするべきか思案する。今はとりあえず尾行しているがルナールの動き、目的によっては介入せざるを得ない。今、おそらくレイナたちは魔導精霊力エーテリオン編に突入しつつあるはず。そんな中にルナールというイレギュラーが入り込めばどうなるか。ただでさえ綱渡りに近い状況がますます困難なものになりかねない。

だが何よりもルナール自身の実力、強さが問題だった。原作では直接の描写はなかったもののその実力は凄まじい。六祈将軍オラシオンセイスのユリウスをして『化け物』と呼ばれるほどの力。間違いなくハルはおろか今のジークやレイナですら歯が立たないであろう程の相手。アキは冷や汗を流しながらもとりあえずはこのままルナールの後を尾行することにする。まだルナールの目的が不明であること。戦闘を目的としているわけでないなら下手に手を出す方が危険だという判断。そうアキが判断した瞬間、事態が急変する。


(……!? ルナールの姿がなくなった……!?)


それは先程まで視界にとらえていたはずのルナール。その姿をアキは見失ってしまう。目を離したのはほんの一瞬。一体どこに行ってしまったのか。アキが一旦足を止め、辺りを見渡そうとした時


「貴様……私に何の用だ?」


背後からそんな女性の声がアキに向かって掛けられる。それは静かな声。だがその中に確かな警戒と重圧を込めたもの。絶対的強者のみが持てる威圧感。キングほどではなくともハジャに匹敵するのではないかと思えるほどの重圧。それがBG副船長、ルナールの力。


『どうした、見つかってしまったのか情けない。さっさといつものように逃げ出さんのか?』
『う、うるせえ! お前はちょっとは黙ってろ!』


マザーの悪態に怒鳴り返しながらもアキは警戒態勢のままルナールと対峙する。だがアキの胸中は既に焦りに満ちていた。それは先の一瞬でおきた出来事。自分がほんの一瞬目を離しただけの隙で背後を取られてしまったこと。そして何よりもイリュージョンとハイドを使っていたにも関わらず自分の尾行に気づかれてしまったこと。いかに音速の剣シルファリオンの使用によってイリュージョンの効果が減退していたとはいえあり得ない事態。アキは悟る。まさしく目の前の相手が六祈将軍オラシオンセイスを超える怪物なのだと。


「…………」
「……答えるつもりはないか。なら仕方ない。悪いが姿を見られた以上排除させてもらう」


ルナールはもはや語ることは無いといわんばかりに背に背負っているものに手をかける。それは包帯によってぐるぐる巻きにされていた巨大な戦斧。小柄な少女が持つにはあまりにアンバランスな武器。


え……? 何? もう戦闘する気満々ですか? ちょ、ちょっと待てよ!? まだそっちの目的も何も聞いてないのにいきな


瞬間、轟音が鳴り響いた。まるでトラックが突っ込んだかのような音と衝撃。アキがデカログスを構えようとする暇すら与えない程の速度の一撃。常人には何が起こったか分からない程の一瞬の出来事。だがその瞬間に全ては決した。

そこにはまるで巨大な爪痕が残っているだけ。まるでお伽噺のようなデタラメな惨状。ビルの屋上には装甲車が通ったかのような無残な爪痕と粉塵。それはただの斧の一振り。特別な技術も能力もない純粋な物理攻撃。だがそれだけで十分だった。むしろそれだけだからこその破壊力。閃光のDB『ライトニング』とそれを持つルナールだからこそ可能な無慈悲な一撃だった。

後には何も残っていない。跡形もなく相手が吹き飛んでしまったと思えるような一撃だった。だが


「…………なるほど。瞬間移動の類の能力か」


ルナールは全く表情一つ変えず視線を隣のビルの屋上に向ける。そこにはローブを纏った五体満足なアキの姿がある。ルナールは先の攻撃の瞬間、アキが消えたことを見抜いていた。自分と同じ高速移動の類の能力であれば避けられたとしてもその軌跡まで見えないことはあり得ない。だとすれば恐らくは瞬間移動に近い能力の可能性が高い。そしてそんなことが可能なのはDBの力のみ。恐らくはDCに関係する人物。なら尚のことここで見逃すわけにはいかない。

ルナールがこの街、エクスペリメントにいる理由。それは六祈将軍オラシオンセイスの監視とその実力の調査。元々はパンクストリートで観測された強力な魔力の正体を探るための任務のためにルナールは部下と共に船を離れていた。その魔力が魔導精霊力エーテリオンである可能性があったからこそ。だが結果は外れ。だがそのまま何の収穫もあげないまま船に戻るのをルナールはよしとはしなかった。そこでBGの諜報員が入手した六祈将軍オラシオンセイスがエクスペリメントにやってくるという情報をもとにルナールはその調査を行うことにした。

それは来るべきDCとの戦いに向けてのもの。DCの主戦力とも言える六祈将軍オラシオンセイスの力を見定めること。それがルナールの目的。もっとも直接戦闘に関わるつもりはなかった。そんなことをすればその瞬間、DCとの全面戦争になりかねない。負けるつもりは毛頭ないがそれでも船長であるハードナーの指示もなくそんな事態を起こすわけにはいかないという考え。だが今、ルナールはDCと思われる者に補足、発見されてしまっていた。まだ自分がBGと知られたわけではないが厄介なことには変わらない。ならばそれを排除するのみ。そこには全く油断も甘さもない。空賊たる者の非情な在り方。ハードナーにとっての敵であるか否か。それがルナールの全てだった。

アキは何とか体勢を立て直しデカログスを構える。その体には全くの無傷。それはワープロードのおかげ。デカログスを構えることすらできないと瞬時に判断したアキはその力によってマーキングしていた隣のビルの屋上に緊急退避したのだった。もっともあと一瞬遅ければ間に合わない程の差。アキは戦慄していた。それは先の一撃、そしてその傷跡。


(な、なんですか……あれ……?)


そこにはローブを被ったルナールの姿がある。だが問題はそこではない。それはその足元。まるでショベルカーか何かにえぐられたかのような痕がビルの屋上に残っている。いうまでもなくそれはルナールの一撃、斧の一振りによるもの。アキは戦慄する。もしあれを避けそこなっていたらどうなっていたか。間違いなくミンチ、粉微塵、跡形もなくなってしまうのは間違いないほどの威力だった。アキは思い上がっていた。ルナールの力は速さのみだと。確かにその速さは凄まじいが対処できないほどではないと。だがそれが間違いだったとアキは悟る。もっとも恐るべきはその攻撃力。

速さという力と斧と言う超重量が加わった攻撃。それを扱える技量と身体能力。速さというオーソドックス、単純な力であるがゆえに隙がない強力な強さ。それこそがルナールの強さなのだと。

アキがようやく自らの見通しの甘さに気づくのと同時に再びルナールが閃光となりながら、目にも止まらぬ速さで隣のビルからアキに向かって突進してくる。まるで空を自在に駆け回るかのように動き回りながら。アキは驚きながらもすぐに体勢を整える。それはこれまで幾多の戦闘経験を積み重ねてきた成果。アキはデカログスに力を込める。瞬間、その形態が変化する。遠くの敵への攻撃手段をもつ剣。


真空の剣メル・フォース――――!!」


アキは真空の剣をこちらに向かってこようとするルナールに向かって放つ。それはまさに突風。空中というアキ自身戦うことができない場所にいる敵への対抗策。もし直撃はしなくともその余波で動きを鈍らすことができる。そうアキは考えていた。それは正しい。アキの判断は間違っていない。ただ唯一間違っていたこと。それは風すら上回る速度をルナールが持っていたこと。


「なっ!?」


アキは言葉を失う。それはルナールの動き。まるで直角に動くようにルナールはその軌道を自在に操り真空の剣メル・フォースを躱してしまう。それはまさに閃光。その二つ名の通り、風では光を捉えることはできない。


「終わりだ」


瞬間、ルナールの無慈悲な宣告がアキに告げられる。その背後にルナールは一瞬で回り込み、そしてその戦斧を振り落とす。まさにそれは断頭台。首どころか身体を真っ二つにして余りある一撃。だが


「―――っ!?」


それを紙一重のところでアキは躱す。それはアキの力。DBの気配を感じ取れるアキはその目で捉えるよりも早く感覚でルナールの気配を捉えた。そしてその手にあるデカログス、その形態が変化していた。音速の剣シルファリオン。その速度によってアキは間一髪のところでルナールの一撃を躱し反撃に転ずる。ルナールはいきなりアキの速度が変わったことに対応できず隙が生じる。アキはそれを見逃さんとばかりに反撃を加えんとする。それは連携技。原作のハルが使用していた音速の剣シルファリオンの速度と爆発の剣エクスプロージョンの攻撃力を合わせ持ったもの。



「爆・速・連携……シルファードライ……!」


アキが切り返しながら音速の爆発剣を振るわんとするも


「――――遅い!」


それは閃光の一撃によって相殺されてしまう。いや、相殺すらできない。アキはそのまま押し返され吹き飛ばされてしまう。アキはその一撃の重さに驚愕する。それは自らの持つ最も攻撃力が高い剣、重力の剣グラビティ・コアに匹敵するもの。アキはその衝撃のまま隣の建設途中のビルに向かって吹き飛ばされる。凄まじい衝撃と煙と共に。だがそれを見ながらもルナールには微塵も油断は見られない。


(なるほど……速度を増す剣と爆発の剣……だとするとあいつが二代目レイヴマスターか……?)


ルナールは先の攻防でアキの力を看破する。形態が変化する剣。噂に聞くレイヴマスターが持つというTCMと一致している。だとすれば相手はレイヴマスターの可能性が高い。ならば排除しておく越したことは無いとルナールは判断する。レイヴはDBを持つ者にとっては天敵に近い存在。そしてその実力。ルナールは自らの腕に目を向ける。そこには確かな切り傷がある。それは先の攻防によるもの。

自分の身体に傷を負わせたものはいつ以来だろうか。六祈将軍オラシオンセイスの一角を落としたというのはどうやら満更嘘でもないらしい。


「……いいだろう、私も本気で行かせてもらう」


宣言しながらルナールはそのローブを脱ぎ捨てる。自らの視界と移動の邪魔にしかならない外装を脱ぎ払う。そこには一人の少女の姿があった。

ネイティブアメリカンのような風貌を持つ少女。見事なプロポーションと戦士に相応しい風格を持った姿。

それが『閃光のルナール』 本気の彼女の姿だった。



「痛てて……ちくしょう……無茶苦茶しやがって……!」


崩壊しかけているビルの中でアキはふらつきながらも何とか立ち上がる。何とか受け身を取れたもののビルからビルへ吹き飛ばされるという冗談のような状況。しかも痛みはあるものの大した怪我は負っていないという自らの、ルシアの身体の頑丈さに改めて驚愕するしかない。


な、なんなんだよこれ……いつからここはドラゴンボールの世界になったんだ!? しかもそれに耐えてる自分が恐ろしい……いくらルシアの体だっていっても限度があるぞ!? もう俺、人間じゃなくなってるんじゃ……じゃなくて!? 何なのあれ? いくら何でも強すぎんだろうが!? キングほどじゃないにしてもハジャぐらいの実力があんじゃねえのか、あの女!?


アキは何とか意識を取り戻しながらも吹き飛ばされてしまったビルの屋上へと目を向ける。そこには変わらずルナールの姿がある。だが先程までとは違っていることがある。それは姿。先程まで身に纏っていたローブはそこにはない。そして同時にその眼光がアキを射抜く。先以上の重圧と殺気を持って。まさに獲物を狩らんとする鷹そのもの。アキは悟る。自分がどうやらルナールを本気にさせてしまったらしいことに。


『どうした、苦戦しているようだな。手を貸してやろうか?』
『や、やかましい……これからだ、お前は黙って見てろ!』
『ふむ……なら仕方あるまい。せいぜい殺されない程度に男を見せてみろ』
『てめえ……後で覚えてろよ……』


アキはどこか他人事の、観戦モードのマザーに悪態をつくもののどうすることもできない。マザーの協力が得られない以上自分で何とかするしかない。マザーの力でDBを壊してもらう手も考えたがリスクが大きすぎる。仮にもBGのナンバー2。それがいきなり力を失ってしまえばどうなるか。何よりも大きな理由。

それはこの状況でマザーを使うことなどできないから。そんなことをすればマザーの存在がルナールに、BG側に漏れてしまう。今の段階でそれは好ましくない。そして空間消滅デイステーションを使えば相手は死んでしまう。運が良くても身体の一部を失うことになる。四天魔王程の力を持つ者にはまだ通用しないがあまりにも危険すぎ使える相手は本当に限られる。アキはまだ人殺しをする覚悟もないためまだ使う気は無い。そして何よりも恐らくそれはルナールには通用しない。

それは攻撃が当たらないであろうということ。

単純すぎる、そして一番厄介な理由。どんなに強い攻撃も当たらなければ意味がない。それを体現しているのが今、自分が戦っている相手、ルナールの真髄。速度という単純が故に強力な力。音速の剣シルファリオンで追いつけない以上対抗するにはカウンターしかない。いや、実はもう一つ対抗策はある。

羅刹の剣サクリファー

それを使えば恐らくルナールを倒すことはできる。いくら速度が優れていようと限界を超えた反応速度を発揮できる羅刹の剣サクリファーならルナールを捉えることができる。だがその制御が問題だ。下手をすると殺してしまいかねない。しかし手加減をしてどうにかできるほど甘い相手ではない。何にせよリスクが高すぎるため本当に自分が死に掛けない限りは使わないとアキは心に決めていた。


(ちくしょう……こうなったら一旦退くしか……いや、そんなことしてもこいつがレイナたちと接触したら意味がないし……いや、待てよ……)


アキはふと気づく。アキはずっと考えていた。いかにルナールを倒すかを。だがそれが大きな間違いであったことにアキは気づく。そう、自分の目的はルナールを倒すことではなくそれをハル達から引き離すこと。ならば――――


アキはそのまま自らの持つDBたちと会話を始める。それはこれから行う策への準備。DB側からの補助を受けることができる。それこそがDBマスターであるアキの力。それを以てアキはルナールに対抗せんとする。


そんなアキの姿をマザーはどこか満足気に、楽しげに眺めている。まるで成長している我が子を見守るように。愛する男を見るかのように。

マザーが手を貸さない理由。それはアキを嫌ってのことではない。アキの力を見る、そして成長させるため。アキが実戦によって、その中で大きく力を上げる傾向があることを知っているからこそ。そして何よりもアキがルナールに後れを取ることはないと信頼しているからこそ。

もっとももしものときはワープロードに瞬間移動をするように命令している辺りがまだまだアキに甘い証でもあるのだが。

そんなマザーの思惑など知る由もないアキはそのままルナールと向かい合う。


ダークブリングマスター、アキと閃光のルナール。


両者は互いに悟る。恐らくは次の攻防が決着の時になると。


日が沈み、辺りが街の光によってライトアップされていく中、一つの争いに決着が着こうとしていた―――――


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