「ねえねえ。これからの行事ってどんなのがあるんだっけ?」
部活が始まった途端、出し抜けにそんな話題が振られた。そこにいた人間はそろって唐突に投げかけられた疑問に首を傾げた。
「これから? 何かあったっけ」
一瞬だけ間が空いたが、律はすぐに反応してみせた。首を傾げて近々行われる行事などを思い浮かべてみたが、改めて訊かれるとどうにも思い当たらない。
「う~ん……あ、学生証を見ればいいんじゃない?」
顎に手を添えながら上品に悩んでいたムギの閃きに「あっ」という声が同時にあがった。
律などは、最初に手渡されて以来、一度もまともに中身に目を通したことがなかったため、学生証に年間行事が記載されているという結論にすら辿り着けなかった。
「さっすがだなムギ~?」
からかい半分に言ってから、律は「どれどれ」と隣で澪が取り出した学生証を覗き込み、
「あー、この話題はよそう」
即座に目を伏せた。最初に目に飛び込んできた文字のせいで、律の瞼がひくひくと痙攣する。
「え、なにさ! りっちゃん?」
唯が急変した律の様子に何かを感じ取ったらしい。律は意味深な笑みを唯へ送ると、そっと首を横に振った。
「だめよ、唯。これは私達にとってパンドラの筺。決して開けてはなりませぬ」
「一番近い行事は期末テストかな」
「ほら言っちゃったー!! 澪のアホーー!!」
「え、そうなの? 澪ちゃん何てことをしてくれたの!?」
訊ねられたことを親切にも調べ、その結果を述べただけの澪に対する二名の罵声。澪はぴくぴくと目を引き攣らせ、とりあえず隣にいる律の頭をぶん殴った。
「べふっ!?」
あくまでもクールに。
青筋を立てて激怒する澪は過去のもの。最近の澪は律に対するツッコミが冷たいという噂がまことしやかに囁かれ、それを直に味わっていた律は正直、物足りなさを感じていた。
痛みに呻きながらも、律は冷静に思考する。
「(なんつーか……私のことを全力で見なくなった、みたいな? たぶんそんな感じ?)」
無防備な額に入った一撃がじんじんと痛みに変わって律を苦しめる。しかし、この痛みこそが澪からの愛である……と心の底から思ったら色々とまずい気がしている律だったが、やはり釈然としないのも確かだ。
今やこの痛みすら、もどかしさを増幅させるものでしかない。
あくまでも人に対して手を上げたというのに、澪はもう律に対しての興味を失っている。最早、というより叩く時点ですら興味はないのではないかとすら思える。
律はこの時点で確信を得ていた。
「(やっぱり、おざなりになってきてない?)」
それは許されないのだ。いついかなる時でも澪には全力でかかってきて欲しい。最近の澪には自分に対する全力感が薄いと嘆かざるを得ない。
幼なじみ兼親友として、そこだけは譲れない一線である。
だからこそ、動かなくてはならない時がある。
もにゅり。
柔らかすぎず、適度な弾力。律の小さな手には余るたわわな感触に頬が緩む。
夏服という防備の薄い態勢が見事に災いしている。律にとっては幸いでしかないが。
律は知っていた。
澪の防備。薄手のシャツに脇汗パッド、そのさらに奥地に潜むのは、いつかの澪曰く『私のサイズだと、あまり可愛いのないんだ……』なものがあることを。
手の平を介して脳髄を刺激してくる犯罪的なまでの快感は何であろうか。
夏の暑さの中、この気温よりあつきものなどあるまいと思っていたのだが、実際は律の手の中にあった。
あつい、というよりあたたかいと表現するにぴったりであった。
周りが絶句してから、十秒ほど経っただろうか。
あまりに反応が無いものだから、少しだけ指を動かしてみた。
おどけるように、律は笑う。澪も笑う。
今まで見たことのない酷薄な笑み。真夏が真冬に変わってしまったと思うくらい、背筋が凍った。
「どうして、揉んだ?」
「そ、そこに乳があったから」
「いつまで触ってるつもり」
「そ、そっスよねー。いやー、なんつーかありゃーととござっしたー」
おずおずと手を引っ込めた律に対して、澪は静かに立ち上がった。
律は全力で逃げた。
「律が旅立ったところで、誰か俺の切り出した話題を進めて欲しいんだけども」
その茶番の成り行きを見守っていた夏音は努めて冷静な声で仕切り直した。ちなみに、扉の前で巨大なタンコブをこさえて倒れている少女の存在は無視されている。
「ああ、ごめん。行事、だったよな? 期末テストがあって、進路ガイダンス、終業式、かな。それからは夏休み。夏休みが終わったら修学旅行……これは三年生だな。それが過ぎればいよいよ学園祭だな!」
「修学旅行!?」
夏音は澪が読み上げていく単語の一つに驚愕する。
修学旅行。日本人であればなじみ深い響きであるが、ずっとアメリカにいた上に歪んだ日本文化を学んだ夏音にとっては、
「伝説だと思ってた。修学旅行」
画面の向こうにしか存在しないモノを多く見てきたせいか、疑り深くなっていた夏音だった。
そんな夏音に唯はおかしそうに笑った。
「あるよー。中学の時も行ったけど、すっごく楽しいんだよ!」
「修学旅行……」
夏音は、その響きにうっとりであった。しかし、来年の話だというのだからやるせない。
来年の今頃まで、ここにいる保証もないというのに。
浮かれつつあった心が急に冷え込む。急に黙り込んだ夏音を不思議そうにする少女達に気付き、夏音は乾いた笑みを浮かべた。
「あ、ありがとうね澪。これからの予定を組みたかったから、簡単に頭に入れておきたかったんだ。それにしても夏休みかー。今年も合宿するの?」
「そうだ合宿だよ! 今年はどこ行く!?」
「去年は海だったから、今年は山かしら」
「またまたムギはぁ~。幾つ別荘もってんだよー」
「りっちゃん、いつの間に復活を……」
急に方向転換した話題で進む場に夏音は内心ほっとしていた。そのまま合宿の話で場が盛り上がっていこうとした時、梓がふと素朴な疑問を唱えた。
「あの、その前にすいません。合宿って、そんなの軽音部でやってたんですか!?」
青天の霹靂だと言わんばかりの驚きっぷりである。確かに、世間一般のイメージで語られる合宿にはそぐわない面子である。
しかし、それはあくまでも世間一般で言うところの部活動の「合宿」である。
もちろん、そんな真面目な雰囲気からかけ離れていることは梓を除く全員の知るところだ。
可哀想なことに、梓は未だに軽音部に対する幻想を捨て切れていないらしい。
勝手にイメージを膨らませ、「そうですよね! 先輩達も真面目にやる時はやりますもんね!」と軽く失言する様子を前に、上級生の五人は実際の合宿の詳細を語るのが憚られた。
真面目な軽音部を妄想する梓の目の前で、半分以上が遊びであるなどとは口が裂けても言えなかった。
「合宿ですかぁ。なんかワクワクします!」
「なんか、あずにゃんって随所で空気読めないよね」
ぼそりと耳打ちしてきた唯に夏音は「唯にだけは言われたくないと思う」と後輩をフォローしておいた。「えー? そうかなー?」と軽くむっとした様子の唯を放っておき、夏音は澪に教えてもらった予定行事を頭で整理しておいた。
今学期にはさして重要なイベントもない。問題は、その後だということがわかった。
今年の夏休みは、何か自分にとって重要なものが待ち構えている。そんな予感がする。
★ ★
「ジ、ジーザス……」
今日、ここで自分の人生が終わるのだと確信した。呼吸が荒く、身体も熱が上がっていき、汗が噴き出している。
世界がぐるぐると周り、安定しない。地球が上下を忘れてしまったみたいに、はちゃめちゃな運転を続けているようだ。
割れるように押し寄せる頭痛。目からは止めどなく涙が溢れ、水分が失われていく。
もしかして、このまま乾ききって死ぬのかもしれない。
水が欲しい。
喉が渇いたのだ。
しかし、それを実行に移すことはない。今、何かを口に入れたら、とんでもなくまずいことになる気がする。
「なーにが神様ー、だよ。お前クリスチャンだったか?」
ぶっきらぼうな口調とは裏腹に、先程から夏音の背をさすってくれている人物がいた。夏音はそんな彼に対して何一つ対応することができず、反論するための言葉もなかった。
口をむやみに開くわけにもいかない。
ゼェゼェと荒い呼吸をしながら、夏音は朦朧とする思考の中の冷静な部分に少しだけ逃げ込むことができた。
自分が彼に対してひどく迷惑をかけていることは分かる。
しかし、こうなったのは自分のせいかと問われれば、夏音はいつだって首を横に振るつもりだ。
むしろ、夏音は被害者と言ってもよい立場なのだ。
そこまで考えながら、夏音は胃のあたりが疼いた瞬間に感じた。
次の波だ。
「う、また……っ」
日本で代表的な擬音で表現すると「オエエエエエエエエエエッ」である。あまりにひどく、生々しい響きをもって夏音は胃の中の物を便器にぶちまけた。
「ったくよォ。高校生の分際でこんなに酔いつぶれやがってよ。お前が呑んだやつ、どんだけ高ーとおもってんだよ」
後ろから文句があがるが、夏音の耳には入らない。実際には入っているのだが、それどころではない。
「うぅっ。もう吐くものないよお~」
吐瀉物の中身がグロテスクだった時代はとうに過ぎた。後はひたすら酸っぱい胃酸を大量に呑んで薄めた水を吐いているだけである。
「も~~タクさんありえねえ! あの人、体育会系にもほどがあるって。こんな外国からやってきたガキに何求めてんだっつの!」
苛立たしげに呟かれた言葉に、夏音は生理的に滲んだ涙を拭うこともせず、彼を見上げた。
「タイイクカイって?」
「お前みたいな惨状に陥る奴を大量生産すること」
「そうなの。それは、あまりよく、ない……ねェッップ」
後半から、夏音がどうなったかは言うまでもない。
再び、冷たい便器と顔を合わせ合う夏音を見て、青年は再び酔っ払いの背中をさすり始めた。
その日、夏音は夜から始まる打ち合わせに参加していた。皆、忙しい身分のミュージシャンばかりだったが、その日の夜は驚くほど全員の予定が空いていた。
だから、その場にいる者は酒宴に強制連行されたのだ。
夏音は未成年だからと言って断ったのだが、誰も夏音の訴えを聞いてくれなかった。
先程から夏音を介抱してくれているのは、Renという今回のレコーディングでギターを弾くスタジオ・ミュージシャンである。
見た目は地味だが、音楽に関しては夏音も業界では一目置かれている実力派であり、まだ二十代後半で若手扱いだが、名だたるミュージシャンのレコーディングに呼ばれているほどの人物なのだ。
口や態度は悪いが、顔合わせの時から未成年の夏音を気遣ってくれていた。挙げ句、こうして最後まで面倒を見てくれている。
「おれ……おれ、だめだぁ」
「大丈夫だあ」
「なにそれ、誰かのモノマネ?」
「お、やっぱり知らんかあ。最近の若ぇのは……ていうかお前はアメリカにいたんだから知らなくても当然か」
勝手に何かを納得したようだったが、夏音はそれ以上の興味を持てずに何も返すことはなかった。
「ほら、そろそろ吐くもんもねーだろ? いつまでもここに居ついていてもしょうがねえからよ。いったん出よう、な?」
優しい口調でこの場を離れることを促されたが、夏音はいやいやと首を振った。
「やだ。ここでいい」
「んだよ。ここに住むつもりか? ベッドもシャワーもねーけど、お嬢様育ちにはちょっとばかしアメニティが足りねえんじゃねえか?」
「Oh…fucking yuck…holy crap night. Yeah……」
「おいおい。いきなし英語で話されてもわかんねーよ。こちとら日本人だぞなめんな」
「何でこんな夜になっちゃったんだろ。俺は打ち合わせ終わったらすぐ帰りたかったのに」
「まーまーまー。わかるぜ? その気持ち。だけど、これが日本で仕事するってことなんだな。職場の付き合いってやつだ。お前も日本で仕事するならちょっとくらいこういう習慣に慣れておいた方がいいぞ?」
「Bullshit!!」
「だぁーかーらーよー。セイーッセイージャパニーズ!」
こんなやり取りを数分続け、夏音はようやくトイレから出た。打ち上げ会場に戻ると、とうに魔の酒宴は解散になっていたらしく、会計も済んだ後だった。
水を貰ってから、何とか店の外に出ると眠らない街の喧噪が立ちはだかった。光るネオンの光に再びこみ上げるものがあったが、何とか我慢する。
「あ……小さいなぁ」
「あん?」
ふと夏音が呟いた一言にRenが咄嗟に聞き返してくるが、夏音はふらふらと勝手に歩き始めた。Renが後ろで大きな溜め息を漏らしたのが耳に入ったが、かまわず歩いて行く。
街の中はよく分からない臭いで充満していた。どこをどう立ちのぼってきたのか分からない。しかし、それら一つ一つに目を凝らすこともできないし、存在を追っていくこともない。
これは、街の臭いなのだ。決して夏音を快適にするものではないことだけは確かだ。煌々と街を怪しげに照らすネオンの光に目眩がしそうだ。
「おい、夏音! タクシー捕まえたから、お前これでとっとと帰れ」
腕を掴まれた。Renが指し示す方向には左後ろのドアを開けたまま停車しているタクシーがあった。
「一人で平気か?」
「大丈夫。それほど子供じゃないよ」
「ばーか。口ばっか大人ぶってんの。人に迷惑かけてるうちはガキだっつの」
「こうなったのは俺のせいじゃ、ない」
少しむっとして言い返すと、Renは夏音の反論を一笑に付した。何だかその余裕のある態度が気にくわなかったが、夏音は実際に迷惑をかけたばかりなので、つい顔をそらした。
「そういえば帰る方向一緒か。途中まで俺も乗ってくかな」
拒否する理由もなかった。夏音は後部座席の奥に放り込まれると、程なくして意識を失った。
★ ★
「What`s the fuck……?」
見慣れた自室で目覚めた夏音が第一に思ったのが、「何じゃコリャ?」である。
自分は何故ここにいるのだろう。混濁した記憶はいくら探ろうと思っても、混乱しか生まれない。
大抵、朝起きた時というのは、昨夜は何時くらいに寝て、寝る前には何をしていたのか把握しているものである。
しかし、いくら整理しようとしても思いつかない。ただ、ハッキリしているのは自分がいつも通りに寝て、目覚めたのではないということだ
「気持ちわる……」
混乱する頭はズキズキと痛み、胸や胃の辺りが気持ち悪い。肌はべたべたとしているし、髪の毛が煙草臭くて不快なこと極まりない。
ベッドの脇にあるデジタル時計は平日ならとっくに遅刻している時間を示している。幸い、日曜日らしいので、安心した。
再び寝る気分にもなれず、夏音は部屋を出てリビングに降りた。
「………誰?」
夏音は自宅のリビングのソファでいびきをかきながら気持ちよさげに寝ている人物の前で首を傾げた。
「いちおーお前に了解もらったんだぜ?」
トーストを頬張りながら、低いテンションで彼は言った。
「ごめん……だって昨日の記憶ほとんどなくて」
夏音はあまりにも申し訳なくなり、肩を縮めて謝った。この時になると、うっすらと思い出してくる昨夜の記憶。
あまり思い出したくなかったが、この男に死ぬほど世話になったことだけは覚えている。
タクシーに乗せられた夏音は、車内でもやってしまったらしい。何を、とは言われなかった。
走行中のタクシーの窓から後ろに流れていくソレを見たのは初めてだとRenは笑った。
「そうだよー。Ren様のおかげで無事に生還できたんだからな」
だから、他人の家で朝食を無遠慮に食べていても文句あるまいとでも言わんばかりに、彼は三枚目のトーストに手を伸ばした。
「あ、コーヒーおかわりいる?」
「お、サンキュー……じゃなかった。セェンキュゥー」
発音を直しても余計にひどくなっただけだ。夏音は彼の変な茶目っ気にくすりと笑った。
正直、夏音はこのRenという男のプロフィール以外の詳しい素性をよく知らない。正確には、昨日までは知っていたのかもしれないが、覚えていないのだ。
おまけに初対面にも関わらず、これだけ迷惑をかけたのだから、不思議と気を遣ってしまうのだ。
「つーかこんな広い家に一人暮らし? やっぱ稼いでる奴らはすごいねー」
「いや、両親と住んでるよ。二人は仕事で家を空けてるだけ」
「ふーん」
あまり興味なさそうな返事だ。会話が途絶え、夏音もカリカリに焼いたトーストの端をかじる。何か胃に入れたら戻してしまいそうだが、何か食っておいた方がいいとRenに忠告されたので、それに従っている。
食事に夢中のRenはこちらを見向きもしないが、夏音はそっと彼の様子を窺っていた。
昨夜、自分はこの人とどんな話をしただろうか。何か真剣な話をした気がするが、記憶の湖の底に沈んでしまっているようだ。
「昨日のこと、あんまり覚えてない」
溜め込んでいるのは性に合わない。夏音は正直に、彼に打ち明けることを選んだ。
「あ? ああ、そんなもんだろ。俺もよく合ったなー。朝起きたら知らないベッドの上でよ。さらに右隣にはマッパの女、左隣には胸毛ぼーぼーのオッサンっつーミラクルなこともあったよ」
「そ、そうなの」
流石に自分はそんな事態になっていなくてよかったと心から思う夏音であった。
「まー、お前は悪くないさ。悪いとかの前に、俺らがよくないことさせたんだから気にすんな。むしろ、謝るのはこっちだな」
「え、何で?」
「何でってオマエ……未成年連れ出してこんなにさせたら話になんねーだろ。よくわかんねーけど、アメリカだったら普通に訴訟とかなってそうじゃね?」
「ありえなくはないけど……でも、」
「デモも革命もねーんだよ。俺らダメな大人がすべて悪いの。すまんかったな」
Renは真面目な表情をつくると、夏音に向かって頭を下げてきた。
「だが、まあ……ちょっと釈明させてもらうとよ。みんなオッサン達だからさ。ああいうノリしかできないんだわ。自分達が通ってきたやり方でいいって思ってるし、こういう業界だからさ。当たり前みたいな風潮だからさ」
「あの、どういう意味かよくわかんないよ?」
「あー、そうだよなー。向こうとこっちじゃかなり業界の雰囲気も違うだろうしなあ……何て言うか難しいんだが、こっちじゃ付き合いってのが結構重要なんだよ。オマエもその辺はわかってると思うから、ああやって参加したんだろうけどさ。何ていうのかな……体育会系? ってコレは昨日も説明したか……要するに、ああいうノリは諦めるしかないんだわな」
「言ってることがよく分かんないけど、何となく分かったよ」
「ほんとかー? 俺も自分で意味わかんないって思ってんのに」
「要するに、俺は悪くないってこと?」
「いや……そうなんだけどよ。ざっくりまとめたなあ」
そう言って笑うRenに夏音もつられて笑った。
後から話を聞くと、Renの本名は「蓮沼涼太」と言うらしい。名字に使われている蓮という漢字は、蓮とも読めるらしく、ミュージシャンとして活動していく上での名前にしたらしい。
彼は小一時間ほど夏音の家で過ごし、「嫁さんが怒るからそろそろ帰るわ」と出て行った。朝帰りした時点で怒られるのではないかと思う。
夏音は、彼を玄関先まで見送ってから、ふと溜め息をついた。
「疲れたな」
玄関の鍵を閉め、シャワーを浴びようと考えた。もたつく足をひきずるが、その足は浴室へは向かわない。
先程までRenが使っていたソファに倒れ込むと、そのまま沈み込む体を起こす気力は湧いてこなかった。
「つかれた」
★ ★
「立花くんは体調不良でお休みです」
朝のHRで担任が告げる事務的な報告に所々から心配の声があがる。それを聞いて、七海は心配するより「いつの間にかこんなに愛されてるんだなー」と暢気に考えた。
友達甲斐のない奴だと思われるかもしれないが、心配していない訳ではない。
しかし、もとより繊細な外見をしている彼のことだ。ちょっとしたことで体調を崩しても納得してしまいそうになる。
心配するクラスメート達とは違い、七海は夏音がその見た目とは裏腹に強靱な精神の持ち主で、その辺の日本人より遙かにバイタリティに富んだ人間であることを知っている。
そんな彼も二年生に進級してから休む機会が多くなった。彼の両親は家を空けることが多く、ほぼ一人暮らしのようなものである。
栄養のバランスなども、七海のように実家暮らしの人間のようにはいかないのかもしれない。
自分のことを全て自分でやっているのだと考えると見上げたものである。
だが、七海は夏音が休む理由に思い当たるものがあった。一年生の終盤に、立花夏音という人間のことを詳しく知るきっかけがあった。
軽音部のいざこざに巻き込まれたついでに明かされたような事実だったが、七海にとって衝撃的なものであったことは確かだ。
実際に深く知ろうと思わなかったので、プロのミュージシャンの生態など知る由もなかったが、最近はちょこちょこと仕事をやっていると本人から聞いた話で、それがどれほど過酷なものか知ってしまった。
過酷さで言えば、七海が所属する生徒会も相当厳しい環境であるが。それと一緒にするのは失礼かもしれない。
お金を貰う仕事。確定申告という単語になじみ深い高校生など周りにいない。
HRが終わると、七海は彼にメールを打った。彼が本当に体調が悪いのかは定かではないが、体調を気遣う文面を作った。
七海の隣の席は空席のまま、一日が過ぎる。彼がいるといないのとでは、やはり学校の一日が違う。
彼が休むたびに、そんなことに気付かされる。教室の空気の中に彼がいるだけで、違うのだ。
上手く言葉にすることはできないが、七海は彼のそういった面を認めている。存在感、という言葉が正しいのかもしれない。
七海は好きではない単語だが。
心の奥で納得してしまう。
だから、やはり違う人種なのだと理解してしまう。脳に刻み込まれたみたいに忘れられない差というものを把握してしまったのだ。
もちろん表面に出すことはない。普段、自分が思考する深さがあるなら、それよりもっと深いところにしまってある。
考えても詮のないことだから、七海はそうした方がよいと思う自分の判断を正解だと思っている。
彼は人間だ。自分と同じ、人間。タイプが違っても、同じ人間なのだ。
見た目がすごくて、音楽の才を持っている。それだけの違いなのだ。
こうやって割り切ることで、上手くいく。
彼との付き合い方を変えようと思ったこともない。出会った時から、彼は立花夏音であり、カノン・マクレーンではない。
少なくとも、七海はそう割り切った。
一日中、彼のことで思い悩むことなんてない。でも、ふとした時に思い出す。やはり、立花夏音という人間はその空間にいるだけで色濃く存在を示すのだと思う。
そこにあったはずの強烈な色彩がふいに消えたような、そんな違和感を残している。
繋がっているようで、希薄な関係。
どちらかというとネガティブ寄りな思考は自分と彼の関係をそんな風に位置づけたがる。面と向かって聞く勇気もないから、どっちつかずだ。
何と厄介な人間なのだろうか。
こうして、学校終わりに見舞いと称して彼の自宅に足を向けている自分の行動に七海は改めて驚いていた。やはり、彼は自分に対して「らしくない行動」を誘発するような厄介な人間だ。
相変わらず豪勢な住まいと前にすると、たじろいでしまう。世の中はこんな家を持てる人間と、そうでない人間に別れている。
七海は、自分はきっと前者になることはないだろうと思う。
手ぶらで見舞いと言い張るのは失礼だと考え、ここに来る前に寄ったコンビニで買ったスポーツドリンクとゼリーを引っ提げ、七海は立花家のドアベルを鳴らした。
少し時間を置いてインターホンが繋がる音がする。インターホンのカメラ越しに覗かれている気配。
ブツリとインターホンが切れる音がして、すぐにドアが開いた。
怪訝な表情を浮かべてそこから顔を出した相手に、七海はぎこちない笑顔を浮かべて言った。
「や、やあ」
「やー?」
実は初めて上がらせたもらった夏音の自宅は、驚くほど生活の匂いがしなかった。七海が遊ぶ同級生の家は、大抵その家の匂いというものがある。
洗濯物の匂いだったり、線香の香り。よく分からないかび臭さがこの家にはない。地区何年なのだろうか、とか会話のきっかけになりそうな話題が頭に浮かぶが、それを口にすることはなかった。
今、七海の斜向かいに座る男は七海を快く家に迎え入れたあと思いきや、1リットルのコーラをそのまま二つテーブルの上に置いた。
アメリカ人、という感想が浮かぶ。あまりにステレオタイプだが、何となく納得してしまう。
「わざわざ、ありがとうね」
蓋を開けてコーラをぐいっと呷ってから、夏音はにこやかに礼を言った。
「いや、最近なんだか調子悪いみたいだからさ。学校も休むこと多いし、大丈夫かなって」
「うん。なんとか」
そう言って笑った彼の笑顔はくたびれたような印象である。
「(少し痩せたな……)」
じっと観察していた七海の感想だった。相変わらず麗しい外見を続けているが、一年以上の付き合いにもなると、こうした些細な変化にも目がいってしまうみたいだ。
「そうかー、なんとかね。あ、今日はノートとか持ってきたんだ。全教科のは無理だったけど、よかったらコレ」
七海が差し出したのはここ数週間の授業ノートである。あまり綺麗に取れている自信はないが、こうやって彼に気軽にノートを貸せるような間柄の人間は多くないだろう。
「ワオ! ありがとう! 助かるよ」
七海の心遣いに、彼は心から喜んでくれたようだった。夏音の授業態度は真面目であり、模範生と言ってもいいくらいである。
授業中に寝ることもなく、欠かさず熱心にノートを取る彼の姿勢は教師陣にも高評価なのは七海も知っていた。
しかし、改めて彼にノートが必要なのかは分からない。何故なら七海は知っているからだ。
彼が真面目に取り組んだところで、授業で得られる経験や知識が彼の将来にはほとんど役に立たないことを。
全てが役に立たないとは思わない。無駄なものなどない、と考えるならば、いつ学んだことがどこで役に立つかなど誰にも分からない。
しかし、三角関数や二次方程式が彼のキャリアにどれほど影響があるのだろうか。
益体のないことを考えたらキリがないので、とりあえず七海は彼を見舞う上であつらえ向きなものとして、それを彼に差し出した。
素直に喜んでくれているようで安心したが、見舞いの品を渡したところで七海がここに長居する理由はなくなってしまった。
何となく会話が途絶えると、夏音の方から口を開いた。
「あのさ」
「ん?」
「俺、臭くない?」
「はぁ?」
いきなり問いかけられた内容に素っ頓狂な声で返してしまった。いったい全体どんな会話の切り口だ。
「いや、シャワーも浴びたし色々とケアはしたんだけど、まだ臭いかなって」
「ごめん。何の話か全くみえてこないんだけど」
「い、いや。分からないならそれでいいんだよ。でも、もし気を遣ってるのなら正直に言って欲しい」
「うん。ここ最近なんかおかしいなと思ってたけど、思い違いだったな。このすっとぼけた感じ、まさに君だ」
自分が何を喋っているのか、その内容を相手に全く理解させようと努力しない部分など、いつもの夏音である。
七海はたまに彼が宇宙語でも喋っているのではないかと感じる瞬間がある。
バツが悪そうに薄笑いを浮かべる夏音に、七海は肩の力がどっと抜けてしまった。
気を張っていた自分に少しだけ馬鹿らしくなった。
「まあ、元気なようでよかったよ。最近、なんだか元気なかったし。じゃ、そろそろ帰るね」
「え、もう帰るの?」
「いやいや。仮にも調子が悪くて休んだんだろ? 長居するわけにはいかないよ」
「調子が悪いのは午前中に治ったんだ」
「都合が良い体調不良だね」
俗に言う仮病とやらではないかと勘繰ってしまった。七海の胡乱げな視線に動じることなく、夏音は何故か必死そうに七海を引き留めようとした。
「ほら! 俺の積みゲー消化するのとか手伝うとかさ! 友達なら、そういうのやるじゃない?」
「やんねーよ! 積みゲーとか、勝手にやんなよ」
「面白いのもあるよ?」
「僕だって暇じゃないんだからさー」
しかし、その一時間後にはそのままリビングでゲーム画面をぼうっと見詰めている七海の姿があった。
「あのさ」
「何? あ、飲み物なら勝手に冷蔵庫から持ってきていいよ」
「何で……ギャルゲーやってんの僕たち」
「え、何が何でなのかわかんない」
大画面に広がる二次元キャラの立ち絵、その下を流れる文章。時折、口を動かすだけのアニメ調のキャラが甘ったるい声を出すのを聞いているうちに、七海は思わず確認してしまった。
「君がオタクなのは百も承知だけど、これはあまりにひどすぎないか?」
ストーリーはあまりに陳腐なもので、平凡をこよなく愛する冴えない男主人公がどういった訳か学校中の美少女に好意を向けられるというもの。
次から次へと絶え間なく現れるキャラに七海はげんなりとしてしまった。
さして特徴のない男子高校生という共通点がある主人公だが、七海はここまで自意識過剰ではない。
こんなに歯切れの悪いしゃべり方もしないし、うじうじとした奴がどうしてこんなにモテるのだろうか。
そういった理由も含めて、一切の共感がない上に腹立たしくなってきた。
「あ、もしかして七海はこういうの嫌い?」
「その質問は一時間前にして欲しかったな」
そもそも、友達の家で控えた方がいい行動ランキングに入っているだろう「ゲームでソロプレイ」を迷うことなく選んだ夏音は変わっている。
お国柄の違いかと思ったが、本来の性格故なのだろう。
彼は友達が少ない。
「もう、我慢できなくてさ。これが最後のルートなんだよね」
「そっちの世界の話はいいよ」
「きびしーな」
やはり彼が何を言っているのか分からない。夏音は素早くセーブをすると、ゲームを止めた。
「あのさー七海は知ってるよね。俺の仕事」
「う、うん」
まさかゲームを止めた瞬間、核心に迫るような発言が彼から飛び出てくるとは思いもしていなかった。
七海が本当に知りたかったこと。驚いて固まった七海に構わず、彼が続けた。
「それで聞きたかったんだけど……日本人って何でこんなに面倒くさいんだろう」
「ん?」
何故かその時、核心から遠のいたような気がした。
「俺が上だぜー、みたいな人多いよね。年齢とか、キャリアとかさ。向こうにもそういう人いっぱいいたけど、何か性質が違うんだよね。こう……インケンっていうか。日本の夏みたいにじっとりしてるっていうか……」
しまった、と思った時には遅い。
七海は基本的に受けの姿勢であり、他人の相談事に最後まで付き合ってしまうタイプである。
つまり、唐突に始まった夏音の愚痴を正味二時間ほど聞かされるハメになったのであった。
★ ★
「あー、なんか色々喋ったら少しすっきり」
「そりゃーよかったよ……」
溌剌としている夏音とは反対に、七海はげっそりしていた。色々と刺激の強い話ばかりであった。
学生の身分では体験できないようなことばかりで、仮にも彼が大人に混じって仕事をしているのだということが垣間見えたような気がする。
しかし、全てを聞き終えた七海はやはり相談事を受けた身として、言っておかねばならなかった。
「そんなに辛いんなら、やめてもいいんじゃない?」
「……え?」
「だからさ。日本での仕事。いい加減なこと言うつもりはないけど、君の話聞いてる限りじゃ全然楽しそうじゃないよ」
「…………」
「僕の知らない世界だし、頓珍漢なこと言うかもしれないけど、いい?」
「あ、はい」
口を開いたまま、絶句していた夏音は姿勢を正す。それを見て、七海は頷くと怒濤のごとく口を動かした。
「僕も君のことちょっとは勉強したよ。どんな風に活動していたのかとか、君がやめた後のこととか君の口から聞いたし、そういう事情とか勝手に頭の中でくっつけてどんな状態なのかとか想像してみたりもした」
彼の音楽に対するスタンスや、取り巻いていた環境。どんな理由で日本に来たのか、日本に来てからどう生きていたのか。
後半は夏音自身に教えてもらった情報で、それはそれで七海にとって衝撃的なものであったが、とうに受け止めていたことである
「最近、君がこっちでの仕事に熱を入れているって知ってさ。何かが君の中で変わったんだって思ったよ。けど、それはきっと良いことなんだって勝手に思ってた。音楽をやってるのが楽しいんだなって。
けど、そうじゃなかったのかな? 君の話聞いてると、まるで、ちっとも音楽をやってるんだって言うような話じゃないもの」
七海はズバズバ言う。顔に似合わずに辛口だと評価されたこともあるくらい、七海は遠慮が無い。
人畜無害で都合の良い人間で、こいつは文句も言わずに愚痴を聞いてくれるだけの相手とタカをくくって相談する人間は、大抵の場合は彼の言葉に頭をうなだれるハメになる。
黙って七海の言葉に耳を傾けていた夏音は小さく肩を震わせた。
「そ、そんなこと言ったって。音楽は楽しいことばかりじゃ、ないんだよ」
「君の口からそんな台詞が出てくるとは思わなかった。君は軽音部では、必ずこう言うそうじゃないか。『楽しもう』って。君は、音楽が楽しいんじゃないの? プロってプロだから、お金貰ってるから楽しいことばかりじゃないんだろうけど。そんな社会に出て疲れたリーマンみたいなこと言っちゃうような音楽ってやつに君は何を賭けてる?」
「何って……」
言葉が続かない。何か反論したくて、その言葉を必死に探す彼の気配は手に取るように分かった。
七海はいったん落ち着くと、声のトーンを変えて続けた。
「偉そうなこと言ってるのは分かってるよ。でも思ったんだけど、君にとって音楽ってただの仕事なの?」
音楽家、ミュージシャン、バンドマン。彼らがお金を貰えば、仕事として分類されるはずだ。
けれど、それは社会的に記号として分類せざるを得ない訳であって。
それを行う本人たちの心意気は別のものだと信じたい。
稼ぐためにミュージシャンをやっている者もいるだろう。もちろん仕事と割り切る人もいるだろう。
けれど、七海は夏音にはそんなスタンスで音楽をやっていると言われたくなかった。
あんなにステージの上で生きる人間を、七海は知らない。
軽音部にいても、彼女達の音と調和していても、どうしても浮き立つ存在が、金を喰ってあの場所で呼吸しているのだと信じることはできない。
語っていく内に、不思議と熱くなっている自分に気が付いた。
冷静に喋っているはずが、抑えきれない想いが湧いてきてしまった。
ふと、自分はこんなに熱血だっただろうかと振り返ったところで、目の前で自分の説教を受けていた人物が床に崩れ落ちていることに気が付いた。
「って、ええ!?」
どうやら、七海の言葉は夏音をノックアウトしてしまったようだ。これには七海の方が慌ててしまった。
「ご、ごめん言い過ぎた! 僕なんかに言われる筋合いないよね! ほんと偉そうにごめん!」
かがみこんで両手を合わせた七海に夏音はゆっくり首を振った。
「いや、あまりに正論なもので……七海にこんなこと言われると思ってなかった」
「……ごめん」
「謝らないで」
短く言い切った夏音は俯いた顔を上げぬまま、口を動かした。
「それはさ、図星ってやつだよ。ほんと痛いところに突き刺さったよ……はは、そういえば七海って顔に似合わないでズバズバ言う人だもんね」
抑揚のない声に七海は胸が締め付けられた。こんなに弱った彼を見ていることが辛い。でも、それ以上に彼の心が傷ついていることが分かってしまったから、尚更どうしようもない想いにかられた。
七海にできるのは、せいぜい傍から見た事実を客観的に述べるくらいである。そこから先、彼にどうするべきだと教えることもできない。
自分が指摘したことが彼の脆い部分に無遠慮に触れてしまったことに今さらながら気付かされた。
「ありがとう」
彼の内省など、七海は知ることもできない。そのありがとうは何に対して言ったものなのか、本当のことは分からない。
たった今、夏音の中を複雑怪奇にめぐった思考とか、そういう物の内訳を語ることもないまま、ただ口に出したその言葉は、七海にはハッキリと引かれた線に見えたのだ。
「うん、こっちこそ……なんか……」
そこから先。ごめんなのか、ありがとう、なのか。
どちらの言葉を返せばよいのか分からずに、七海の言葉はどこかに消えてしまった。
夏音の家からの帰り道、七海は言いしれぬ敗北感を背負って歩いていた。
自分という存在のあまりの無力さ加減にどこかへと逃げ出したくなった。自分が最適な答えを出してあげられる人間だったならば、と思う。
きっともう少し年を食って、色んな経験をしてだいぶ大人になった自分であったならば、もう少しましな結果に辿り着いたのかもしれない。
あまりに、ままならなすぎて。七海はきつく歯を食いしばった。そうしていないとこみあげるものがあった。
結局、七海がしたことは夏音を見舞うついでに、彼を深く傷つけることだった。
自己嫌悪を超え、自分に不足しているものを思い知らされたみたいで、どこか深い穴にでも埋まっていたくなった。
実際に七海一人が埋まっていられるほどの大穴なんかどこにもなく、帰り着いた自宅のベッドの中に埋もれることしかできなかった。
夕飯に呼ぶ母の声も、明日までに終わらせる必要のある宿題たちも、全てがどうでもよく、お腹にくるこの重みから逃げ出したかった。
※意外に難産でした。
アルカディア、大変な状態でしたね。
にじファン、潰れるとは思っていたけど、案の定でしたね。
管理人の舞様に、感謝を。
けいおんのブルーレイが届きましたが、まだ開けられていません。仕事がお盆前に忙しくなるので、もうちょっとの辛抱。