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No.21322の一覧
[0] とある転生者の麻帆良訪問(ネギま!×とある魔術の禁書目録 オリ主憑依)[カラーゼ](2010/10/31 15:16)
[1] 第1話[カラーゼ](2010/09/04 00:26)
[2] 第2話[カラーゼ](2010/09/04 00:28)
[3] 第3話[カラーゼ](2010/08/21 12:48)
[4] 第4話[カラーゼ](2010/09/04 00:29)
[5] 第5話[カラーゼ](2010/09/04 00:32)
[6] 第6話[カラーゼ](2010/09/04 00:33)
[7] 第7話[カラーゼ](2010/09/04 00:35)
[8] 第8話[カラーゼ](2010/09/04 00:38)
[9] 第9話[カラーゼ](2010/08/24 20:46)
[10] 第10話[カラーゼ](2010/09/04 00:41)
[11] 第11話[カラーゼ](2010/08/25 23:45)
[12] 第12話[カラーゼ](2010/09/04 00:42)
[13] 第13話[カラーゼ](2010/08/28 20:02)
[14] 第14話[カラーゼ](2010/08/28 18:04)
[15] 第15話[カラーゼ](2010/08/29 12:30)
[16] 第16話[カラーゼ](2010/09/04 00:43)
[17] 第17話[カラーゼ](2010/08/30 18:21)
[18] 第18話[カラーゼ](2010/08/31 22:41)
[19] 第19話[カラーゼ](2010/09/04 00:24)
[20] 第20話[カラーゼ](2010/09/03 22:22)
[21] 第21話[カラーゼ](2010/09/04 17:48)
[22] 第22話[カラーゼ](2010/09/05 23:22)
[23] 第23話[カラーゼ](2010/09/05 20:24)
[24] 第24話[カラーゼ](2010/09/06 20:43)
[25] 第25話[カラーゼ](2010/09/08 00:52)
[26] 第26話[カラーゼ](2010/09/11 21:59)
[27] 第27話[カラーゼ](2010/09/13 12:53)
[28] 第28話[カラーゼ](2010/09/15 14:10)
[29] 第29話[カラーゼ](2010/09/16 03:25)
[30] 第30話[カラーゼ](2010/09/19 00:34)
[31] 第31話[カラーゼ](2010/09/24 21:39)
[32] 第32話[カラーゼ](2010/09/30 00:28)
[33] 設定集[カラーゼ](2010/09/29 00:48)
[34] 第33話[カラーゼ](2010/09/28 00:13)
[35] 第34話[カラーゼ](2010/09/30 17:36)
[36] 第35話[カラーゼ](2010/10/04 23:06)
[37] 第36話[カラーゼ](2010/10/14 12:10)
[38] 第37話[カラーゼ](2010/10/14 23:18)
[39] 第38話[カラーゼ](2010/10/31 15:29)
[40] 第39話[カラーゼ](2010/11/07 15:05)
[41] 第40話[カラーゼ](2010/11/08 01:44)
[42] 第41話[カラーゼ](2010/11/10 01:14)
[43] 第42話[カラーゼ](2010/11/12 01:21)
[44] 第43話[カラーゼ](2010/11/21 20:08)
[45] 第44話[カラーゼ](2010/11/21 20:12)
[46] 第45話[カラーゼ](2010/12/06 16:45)
[47] 第46話[カラーゼ](2010/12/06 16:48)
[48] 第47話[カラーゼ](2010/12/05 13:38)
[49] 第48話[カラーゼ](2010/12/19 02:01)
[50] 第49話[カラーゼ](2011/01/17 16:43)
[51] 第50話[カラーゼ](2011/03/29 01:58)
[52] 第51話[カラーゼ](2011/05/29 01:44)
[53] 第52話[カラーゼ](2011/08/18 15:44)
[54] 第53話[カラーゼ](2011/09/03 18:05)
[55] 第54話[カラーゼ](2011/11/04 21:57)
[56] 第55話[カラーゼ](2012/08/27 00:24)
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[21322] 第27話
Name: カラーゼ◆68f6dca0 ID:da7c297e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/09/13 12:53
SIDE 一方通行

二月、上旬。
とうとうこの時が来たか。
俺は早朝の走りこみが終わり、白い息を吐きながら筋トレをしつつ、そう考える。


二月上旬と言えば、つまり原作の開始時期である。


まだ子供先生の噂がミサカから流れてきてないので、おそらくネギはまだ来ていないのだろう。
さて、そのミサカであるが、彼女は2-Aに転入し、既に一ヶ月が経過していた。
ミサカが言うには教室に入って行った時、刹那とエヴァがやけに驚いていたとか。
その後、歓迎会が行われて嬉しかったとか。
案外普通の感想が得られて良かった、と柄にもなく素直に思ってしまった。
やはり、俺はミサカシリーズの前では調子を狂わされる運命にあるらしい。
その後のミサカの学園生活は概ね順調で、問題事と言えば2-Aから偏った一般常識をことごとく吸収してきやがることだ。
この前は『駅前で立っていると変なオッサンがお札片手に寄って来ると言うのは本当ですか、とミサカは真顔で尋ねます』とか言われた。
間違いじゃないんだが、なんでそうも突出した方向の知識なんだ、と思う。
おそらくお調子者の2-Aがなんでもかんでも情報を素直に吸収してしまうミサカを面白がって色々と変なことを教えているのだろう。
それはそれでミサカの冗談に対しての耐性がつくので良いかもしれないが、と前向きに思うことにする。

気になる中間テストなどといった成績はかなり良好。

超、ハカセでトップ2を飾り、なおかつ4位はいいんちょである雪広あやか、そして7位がミサカらしいので驚きだ。
しかし、それでも2-Aは学年最下位だったらしい。
どんだけ点数低いんだ、バカレンジャーは。
ちなみにそれはともかくタカミチは2-Aにしては珍しいミサカの勉強の熱心さに感心していた。
俺の世界からやってきたクローン人間ということはジジイから聞かされていたらしく、勉強できることが楽しいんじゃないのかな、と言っていた。
実際数学や物理学系統の計算だと俺は無敵なので、それらについての問題の質問もされたしな。
ミサカに問題の質問をされるなんて思わなかったので困惑してしまった。
まあ元々学園都市第三位の才能を持つミサカならそれくらいは取ってもらわなければ困るのだが。

友達については、それほど深いものを形成しきれてないようだ。

ただ、気軽に話せる相手と言うのは茶々丸らしい。
雰囲気も似てるし。
ミサカは来る者は拒まない精神なので仲良くするつもりが相手にあればたいていの人物とは仲良くできるだろうと思っている。
2-Aには腐った野郎もいないだろうし、騙されたりなんていうことはないだろう。
朝倉あたりは少し怪しいが。
ちなみに、ミサカは魔法を使えないことが判明した。
どうも俺達超能力者は魔法が使えない運命にあるらしい。
しかし俺と同じく気は使えるようなので俺のように早朝トレーニングを毎朝欠かさずに行っている。
元々もの覚えも良いし、訓練を受けているため俺なんかよりも圧倒的に身体能力が高い。
薬で強化されているのか、元々の御坂美琴の運動神経が凄まじいのか、俺のトレーニングメニューは楽々とこなしてしまっていた。
むしろ拍子抜けしたようで、
「アクセラレータのトレーニングとはこの程度ですか、とミサカは軟弱な体を鼻で笑います」
「軍事訓練受けてる連中と一緒にすンじゃねェよ……」
そしてミサカに無理についていったら汗だくになる有様である。
何なんだコイツの体は。
男として悔しいものを感じてしまう。
もちろんベクトル操作を使えば楽々と人間の限界を超えることはできるが、それはフェアじゃない。
むしろ姑息な手段をとったとして俺のくだらない男としてのプライドが粉砕されることだろう。
一応コイツは戦闘用に作られた存在なんだということを実感した。
おそらく、そういう存在だからこそ戦闘に関することもスポンジが水を吸収するようにすんなりと覚えてしまうだろう。
一か月が経った今、ミサカの能力をエヴァに見せるために(という名目で)別荘に入り、気の運用についての指南を始めていた。
というのも、俺も一年経過した今、本当に僅かな量を感じられる程度なのだから相当時間はかかると思うが……コイツの場合、すぐに気を操ってしまいそうで困る。
だが、気をすぐ操ってもらった方が俺としても安心なのだが。

この世界のミサカの戦闘能力は一般的な魔法使いと比べて非常に特化している部分がある。

それは火力と速射性。
数秒あれば超電磁砲を放ち、コンマ何秒かの間があれば雷を射出する。
殺られる前に殺れ、というのを体現したかのような戦闘力を誇るのだ。
だが、その分防御力や機動力が一般人並みに低い。
防御力は魔法詠唱ができないので障壁も張れず、下手をすれば魔法の射手で気絶する可能性だってある。
機動力は魔力や気による身体能力強化がないために走ることくらいしかできない。
よって、肉弾戦は極力避けるべきだと言う事がわかる。
この世界の魔法使いや気の使い手などはたいてい一般人から比べればトンデモない身体能力を持っている。
麻帆良四天王なんぞその極みだ。
彼女らと肉弾戦を繰り広げる事は、ミサカにとっては負けに等しい。
だからミサカに気を覚えさえ始めたのだが、どう考えても原作には間に合わないだろう。
ということは、新たな格闘術を研究する必要がある、と言う事だ。
遠距離からの人間砲台になれば良いと思ったが、いざ接近されると困るし、いきなり暗殺者のように気配を断って襲いかかられたらやられてしまう。
こういう身体能力については頭を捻る必要がありそうだ。
ミサカのことはとりあえず現状を見てからどうにかするということで、俺は原作についての思考に没頭することにする。
実を言うと、ところどころが曖昧になりつつあるんだよな、原作知識。
大筋は忘れていないんだがな……細かいところがちょっとな。
流石に一年以上も漫画見てないと忘れてしまうのだ。
アクセラレータの頭脳があるのに、と思うのだが、やはりこれは浸食の影響だろうか?
まあ、俺の力があればたいていのことは解決できるので、大筋さえ覚えておけば良いか、と考えている。
あまり細かい所もフォローしているとネギが成長しない可能性もあるからな。
魔法世界編で嫌でも力をつけなければならなくなるだろうが。
とりあえず、最初に起こるのが図書館島遭難事件ということは覚えている。
これにミサカや俺が介入することはないと思うので、放置することにしている。
俺が介入しなけりゃならん理由なんてないしな。
ミサカはバカレンジャーじゃないし。
そう思いながら、俺は黙々とトレーニングを続ける。
せめて体術でミサカには負けないようにしなければ、と思いながら。






思ったことはすぐにやって来ると言うのだろうか。
その日、夕方にミサカがやってきて『十歳の先生とはこの世界の法律はどうなっているんですか、とミサカは質問します』と言われた。
あー間違いない、ネギだ。
なんというか、法律がどうのこうのというのはこの能天気な麻帆良では『ま、いっか☆』みたいな感じで済まされてしまうらしいので、本来それを注意すべき教師連中が学園長に何も言わないのである。
教師達が何も言わないと言うことで生徒も問題ないのだろうと思ってしまうのだ。
よってネギが馴染んでしまうわけだ。
あの暢気なクラスだからこそ問題が起こらない、ともとれるが。
それから奇怪なことばかり(神楽坂が脱げる)起こる、とミサカが言うので、とりあえずジジイに事情を聞く事にした。
結果、ビンゴ。

やってきたのはネギ・スプリングフィールド。

性別は男で年齢は数えで十。
ミサカも少しだけ知っていた『サウザンドマスター』ナギ・スプリングフィールドの息子である。
魔法学校を卒業後、修行として先生を命じられ、この麻帆良学園にやってきたと言うことだ。
何故に修行に先生?とミサカは至極まっとうなことを聞いたのだが、向こうが決めたことじゃからしょうがない、と中間管理職のむなしさをわかってくれとばかりにジジイがバルタン笑いをしていた。
その後ミサカが『きな臭いと思います、とミサカは呟きます』と言っていたが、まったくその通りだ。
おそらく2-Aに潜在的にとんでもねー連中が収束しているのはジジイの仕業であり、『立派な魔法使い』になるための仮契約相手候補をたんまりと集めるためだ。
魔法学校の校長もジジイと同じ人種のようだし、前々から計画していたに違いない。
そういうのは気にいらない。
ネギの魔法バレに対しての責任感が甘いのも、クラスメイトを巻き込み、なし崩し的に魔法の世界へ引きずり込もうとしているのだろう。
将来的にネギが『立派な魔法使い』になることは確実だ。
確かに優れたパートナーが必要である事は頷ける。
だが、だからと言って一般人を巻きこんでまで優れた仮契約相手を探すことはない。
2-Aは基本的に善人だらけであり、その異常性は際立っている。
例え一般人とは思えない連中が満載でも、利用して良い理由にはならない。
改めて思うが、魔法使いと一般人は住み分けしているように思えるが、こうみると魔法使いが一方的に一般人を搾取しようとしているみたいで、気に食わない。

わかっていたことではあるが、そう思うとやり切れないものがある。

さて、ネギ襲来から五日ほどが経過した。
俺はトレーニングを終え、ジャージの上にジャンパーを羽織り、更に目深にフードを被ったという怪しげな男の姿で麻帆良を徘徊していた。
だってしょうがないだろ、俺の姿は有名なんだ、ちょっとは隠さないとありえないほど目立つし、不良連中が逃げて確保数が減るんだ。
ただでさえ不良数が少ないと言うのに(良いこと)。
どこぞの情報網で『ホワイトデビルは不審な男に変装している』という情報が広まっているらしいので無意味かもしれないが。
あの容姿が遥かに有名なので隠すことに意味がなくなることはないだろう。
俺が麻帆良女子中等部近郊を出歩いていると、タカミチが通りかかった。
「よォ、タカミチ」
タカミチは振り向いて、一瞬驚いた顔をした後、ため息をついて片手を振った。
「アクセラレータか。驚いた、不審者かと思って思わず身構えたよ」
「さみィンだよ。どォにかなンねェのかこの寒さ」
いつも通りタカミチは軽口を叩きながら、俺の隣に並んで進む。
普通にオフなので、話すのは自然と世間話になってくる。
「ガンドルフィーニの奴はどォした?このごろ見ねェが、出張か?」
「中東の方にちょっとね。もしかしたら僕も行かなきゃならなくなるかもしれない。少し厄介な事件が発生してね」
「ほォ。だから高音が頭下げて俺に頼んで来るわけだ。ガンドルフィーニがいなけりゃ索敵もままならねェからな、あいつ等」
「人手不足だからねえ。その辺りは毎度のことだけど勘弁してくれよ」
「早朝のあたたか~いコーヒーで手を打った。ちょっとだけ予算が浮いたし、なンか漫画でも買おうかと思ってる。オススメでもあるか?」
「君が好きなのはアレだろ、シリアス続きの全滅系だろ?エヴァンゲ○オンとイ○オンじゃまだ足りないか?」
「ありゃァ傑作だがもう飽きた。Zガ○ダムにも手ェ出してみるか。まァ、もっと過激なモンがあれば頼むぜ」
「教師として言わせてもらうけどその歳でその趣味はどうかと思うよ」
「あァ?学校が終わった後に家ン中で朝まで延々とモンハンやってる真祖の吸血鬼はどォなンだよ?」
「……それに対してのツッコミはなしの方向でお願いできるかな」
どうやら真祖の吸血鬼は特別らしい。
そんなくだらない日常会話を続けていると、女子校特有のモメ事が起きた時のギャーギャー声が聞こえてきた。
ったく、そういうトラブルは2-Aだけにしてくれないもんかね。
タカミチが目で『行くよ』と言って来るので、俺は渋々とつき合うことにした。
まあ、タカミチがいなければ俺はそこに向かったわけだが。
俺とタカミチがそっちに行くと……二人揃ってため息をついた。
「テメェンとこの生徒じゃねェか。毎度毎度面倒な事件ばかり起こしやがって」
「すまないね」

そこにいたのは原作キャラの集団と高音のせいで良く見るウルスラの女子高生集団だった。

佐々木まき絵、明石裕奈、大河内アキラ、和泉亜子の四人グループ。
こいつ等は自分の容姿のトンデモさを理解してない無自覚系らしく、商店街に遊びに行ってはナンパされているというモテぶりを発揮している。
しかも佐々木と明石が調子に乗るタイプなので、結果的に大河内が三人を庇うパターンになることが多いらしい。
まあ、そんな所に俺は何度か遭遇したわけだ。
広域指導員である以上、そう言う展開も多々あるというわけだ。
今回は学校の休み時間だからそんな事はないと思っていたら、これか。
しかもトラブルメーカーである神楽坂アスナ、雪広あやかまでいる。
聞こえるのは口汚い罵声だ。
「―――このババアッ!!」
「今時先輩風吹かせて物事通そうなんて頭悪いでしょあんた達ッ!!」
「なによやる気このガキーッ!!」
女子のいがみ合いがこの程度だったらどれほど良いか、と俺は思う。
本気の女子のいがみ合いというのは、なんというか、もっとこう粘着質で陰湿なのだ。
机の中にカミソリが入れてあったりとか、花瓶が置かれるとか。
絶対に自分じゃないと言い張れるような、犯人が非常に特定し辛い事態を引き起こすのだ。
ほんの些細なそれは心に確実に傷をつける。
繊細な人間はそれで不登校にもなるのだから、現実とは非情である。
それに比べればこうやってぶつかり合う女子のなんと健康的なことであろうか。
漫画でしか見れないと思っていたが……いや、これは漫画の世界か、こういうこともあるな。

しかし、なんとなく見たことがある光景だな。

原作でこんな展開があったかな……。
そんなことを思っていると、俺の視界にやけにちっこいスーツ姿の赤髪のガキが見えた。
デカい杖を持っていることから間違いなく、
「(あれがネギか。となると、やっぱり原作って可能性が高いな)」
しかもそれを争っているのはウルスラ最大級の問題派閥、ドッジ部の面々だ。
時代遅れの高慢な仕草で校風を乱しているらしく、高音も品位を落とされて困っているようだった。
俺も一度風で吹き飛ばしてこいつ等の争いを鎮圧したこともある。
俺がまた風で吹き飛ばしてやろうと腕を振ろうとすると、タカミチにそれを制された。
「ンだよ?」
「彼女達の始末は僕がつける。元教え子だし、君にやらせるとちょっと手荒になりそうだしね」
それにため息をつくと、俺は手をポケットに突っこんだ。
「2-Aの収拾は任せる。俺はウルスラを追い払う」
「それでいこう。追い払うよりも説得して欲しいんだけどね」
「ああいう奴らは説得しても無意味なンだよ。ペナルティってのはそのためにあるンだからな」
俺はゴキリと首を鳴らすと、タカミチと共に気配を消し、その争いの中に踏みこんでいった。






SIDE ネギ・スプリングフィールド

大変です!
何が誰を何と言おうと大変です!
この麻帆良学園はのんびりとしていてとてもいいところだと思っていたのに……まさか校内で暴行事件が起こるなんて!
魔法学校でも起こってたけど、麻帆良でもなんて……。
佐々木さんと和泉さんが怪我してたみたいだし、これは大変なことです!
先生として暴行事件を止めにいかなきゃ……。
佐々木さんと和泉さんの案内でその場所にやって来ると、そこでは高等部の生徒達が僕の生徒をずりずりと引きずっている所が見えた。
ほ、本当に暴行事件です!
僕は慌てて叫んだ。
「僕のクラスの生徒を苛めるのは誰ですか!?い、いじめはよくないことですよ!?僕、担任だし怒りますよ!?」
「!」
それに反応して高等部の生徒たちが反応してぐるりと一斉にこちらに向いた。
えうっ!?
こ、こんなにいっぱいいたんですか!?
流石にこれだけいるとちょっと恐い……。
僕はとっさに父さんの杖を握りしめる。
大人数に囲まれると言うのは怖いですけど、僕は先生だから頑張らないと。
そう思った瞬間、
「キャーッ!かわいいー!」
「十歳の先生だって~!」
「この子が噂の子供先生か~!」
いきなり揉みくちゃにされた。
な、なんでこうなるんですか!?
2-Aでもそうでしたけどなんで!?
いきなりの事態に混乱して僕は泣きそうになったが、その時僕達に向けてバレーボールが飛んできた。
それは高等部の生徒の一人に命中する。
「ぶっ!?」
結構な威力だったみたいだった。
揉みくちゃが停止したので僕が腕の隙間からボールが投げられた方向を見ると、

「いい加減におよしなさい、おばサマ方!!」

そこにはアスナさんと委員長さんがいた。
う、うわぁ、カッコいい~。
そう思って見とれていると、委員長さんは口元に手を添えて言った。
「ここはいつも私達2-Aの乙女が使っている場所です。高等部の『年増』の方々はお引取り願えます?あまり運動するとおばサマ方の体にも毒でしょう?」
「な、なんですって!?」
僕から手を離して一斉にアスナさんと委員長さんに向かっていく高等部の生徒たち。
数では圧倒的に劣っているはずなのに、委員長さんはまったく余裕の態度を崩したりしなかった。
「だいたい私のネギ先生にですねえ―――うぶっ!?」
「あんたはちょっと黙ってて」
いきなり喧嘩腰の委員長さんを押しのけて、アスナさんが言う。
「とにかく帰ってください。センパイだからって力で追い出すなんてちょっと酷いじゃないですか!?」
「ふふ、言うじゃないミルクくさい子供のくせに。知ってるわよ、神楽坂アスナと雪広あやかね。中等部のくせに色々でしゃばって有名らしいけど、センパイの言うことには大人しく従うことね。子供は子供らしく隅で遊んでなさい、神楽坂アスナ」
それを聞いたアスナさんが表情を固くした。
あわわ、あれ、怒ってます。怒ってますよ~。
「それにあんたたち、こんなかわいい子をクラスで一人占めなんてずるいわよね。私達に譲らない?」
その瞬間、何故か委員長さんから『ブチッ』という音が聞こえた気がした。
途端、委員長さんがその生徒に飛びかかる。
「誰が譲りますかこのババアッ!!」
それに続いてアスナさんも掴みかかった。
「今時先輩風吹かせて物事通そうなんて頭悪いでしょあんた達ッ!!」
「なによやる気このガキーッ!!」
あ、あわわ、どうしよう……高等部の人達と大変な事に……。
ここは先生である僕が止めないと!
「あ、あの……や、やめっ―――」
その時、僕の横を何かが通り過ぎた気がした。


「―――相変わらず元気だな、二人とも」


そう言ってアスナさんと委員長さんの襟首を掴んだのはタカミチだった。
二人が後ろを向いて誰かに気付いて、驚く。
「たっ、高畑先生!?」
引き戻された二人と女子高生たちの間に入るのは黒いジャンパーとフードを被った見るからに怪しげな人だった。
その人はポケットに突っ込んでいた手を抜くと、フードに手をかけて脱ぐ。
現れたのはくせっけがある真っ白な髪だった。


「先生にチクられて落第したいのか、ガキ共」


「げぇっ、アクセラレータ!?」
あく、せられーた?
加速?
愛称かな?
本名じゃないっぽいけど。
アクセラレータと呼ばれた男の人はもう一度手をポケットに突っ込みなおして、その口に不敵な笑みを浮かべた。
「これで注意回数二かァ~い。後一回でレッドカードだな、ドッジ部」
「ぐっ……」
「中学生相手に高校生が情けねェぞ?センパイなら後輩に譲ってやるくらいの度量を見せてもいいンじゃねェか?」
少し言い方は乱暴かもしれないけど、言ってることは間違いじゃないし、なんか言い知れない説得力があるなぁ。
僕もこうやって言えたらなあ……。
高等部の人達がぞろぞろと向こうの方にいくと、アクセラレータさん(多分)がタカミチの方に振り向いた。
「おいタカミチ、そっちの神楽坂アスナも二回目だ。厳しく言っとけ」
「ちょっと大目に見てくれないかな?どうも悪いのは向こうみたいだし」
タカミチが言うと、アクセラレータさんは舌打ちする。
僕はこそこそとアスナさんに聞いた。
「あの、あの人って誰なんですか?」
「あの白い髪の人?アクセラレータよ。高畑先生と同じで指導員をしてて、こういう争い事があったら止めるっていう仕事をしてるらしいのよ。詳しくは知らないけどね」
へえー……つまり、悪い人を捕まえる警察官みたいな感じかな。
そう思っている僕を、初めてアクセラレータさんが見下ろした。

「で、このガキは誰だ?タカミチの隠し子か?」

かくッ……!?
それを聞いてタカミチが口元を引きつらせ、アスナさんが顔を凍りつけせた。
「かっ、隠し子とかそういうのじゃありません!」
「じゃあ初等部のガキか?なんでこんな所でウロウロしてやがる?おねーさんに構いたがってもらうエロガキか?たまにいるンだよなァそういうマセたガキが。おら、戻るぞ」
「っていきなり連行しようとしないでください!?タカミチもアスナさんもいいんちょさんも黙ってないでなんとかしてくださいーッ!!」
結局僕が開放されたのは僕がネギ・スプリングフィールドだと言ってからでした。
やっぱり十歳じゃ先生だと思われないよなあ……はあ。
僕は少し憂鬱な気分で昼休みを過ごしていった。






SIDE OUT

その騒動の後、昼休みが終わる直前にて。
舞台は女子中等学校、2-Aの教室になる。
騒動の時にいたまき絵、亜子、アキラ、裕奈は、次の授業が体育なのでそれぞれ教室で着替えながら、先ほどの騒動のことを話していた。
「ねえねえ、やっぱ高畑先生ってすごくない?」
「……うん」
「確かに頼りにはなるかにゃー」
もちろん、会話は騒動の内容ではなく騒動を止めたタカミチ、そしてアクセラレータのことになる。
やけにタカミチの名前ばかり聞こえるので気になったのか、このかがアスナに尋ねる。
「何かあったん?」
「高等部と場所の取り合い」
不機嫌そうに明日菜が答えると、その隣にいた鳴滝姉妹が困ったように言った。
「えー、またですかー?」
「みんなやられてるよ」
姉妹の言うように、このごろ高等部の三年生が卒業の準備で忙しいせいか、高等部二年生が縄張りを主張するように幅を利かせるようになったのである。
そして同級生に対しても結構高慢な感じで喋るドッジ部の面々と色々と性格に難がある(独特とも言う)2-Aでは馬が合わないのは当然だった。
これは女子校だけではなく男子校でもある風潮なので、今の時期は学生の問題が起こりやすい時期であった。
「でも、アクセラレータさんもカッコよかったよね?」
「結構怖いけどね……同年代なのになんであんな堂々とできるのか、って所はすごいかな」
ピクリ、とアクセラレータの単語に反応した人物が複数。
言うまでもなく刹那、超、そしてミサカである。

その様子に自慢の『ラブ臭』を感知したのか、ビビビ!!と早乙女ハルナの二本アンテナが反応する。

「ぬおおっ、ラブ臭が!?」
「いーかげん自重した方が良いですよ、ハルナ」
釘を刺す綾瀬夕映だが、それに構わずフラフラとハルナはミサカの元に辿りつく。
着替え終わったミサカはいきなり肩を掴まれても驚きもせずに平然とハルナの方に向き直った。
予想していたのかもしれない。
「どうしたのですか、早乙女さん、とミサカは首を傾げます」
「いやね、私自慢のアンテナが反応したのよ。あなた、あの『ホワイトデビル』のアクセラレータさんと知り合いなの?」
にやにやと尋ねるハルナの狙いがイマイチわからないのか、ミサカは首を傾げたまま忠実に答えた。
「はい、彼は私の部屋の隣に住んでいます、とミサカは答えました」
「なっ!?」
ビクゥ!とそれに過剰に反応する女子生徒たち。
彼女達はなんだかんだ言いながらいろいろと気になるお年頃。
そういう話題はばっちこいなのだ。
そして刹那と超はちゃっかり聞き耳を立てていたリする。
「えーっ!?そうなの!?」
「初耳ッ!!この私とした事が!?」
「そういえばミサカさんの家って寮の外にあったんだ……知らなかったなー」
「というかお隣さんとはタダならぬ関係の予感が!?」
「ねえねえ、アクセラレータさんとはどういう関係なの!?まさか恋人!?あんまり想像できないけど!!」
鼻息荒く迫って来るクラスメイト達に流石のミサカも引きながら、なんとか回答を導き出して返答しようとする。

一ヶ月経ってもクラスメイトのこう言う所は苦手なミサカだった。

「アクセラレータとは遠い親戚の関係に当たります、とミサカは答えます。夕食を食べ合う仲、と言った所でしょうか、とミサカは控えめに言いました」
「つまり『おかずが余ったからどうぞ』的な関係ということね!?」
「それじゃあ恋人じゃなくておばさんの近所付き合いだよねー」
「なーんだ」
色恋沙汰ではないと判明したせいか、急速に熱が冷めていくクラスメイト達。
ミサカはとりあえず台風一過で安心のため息をついた。
アクセラレータの話題がなくなると、タカミチはもう騒いだので必然的にネギの話になる。
「でも、ネギ君はちょっと情けなかったかなー」
「でも十歳なんだからしょーがないじゃん」
案外もっともなことを言うまき絵だが、ネギは十歳でも先生だ。
先生として選ばれているのならば先生としての義務を果たさなければならないと言うのが生徒としての考えである。
生徒からして見れば、頼りない先生というのは人気が出ないのだ。
生徒のため、と思って厳しくすれば新田のようになるのだが……彼は悪戯好きな2-Aには『げぇっ、新田!?』と叫ばれるほど恐怖の対象となっているが、別段間違った事をしているわけではなく、その他のクラスでは評価を高くする生徒たちが多い。
人気としては圧倒的にネギが上だろうが、『先生』と見て考えると、やはりネギは完成度が低く、とても頼れるような存在には思えなかった。
そんな『ネギ君幻滅』空気を感じていたのか、いいんちょが不満げな声を上げた。
「何ですの!皆さんあんなにネギ先生のことをかわいがってたくせに!」
「えー、でもやっぱさー」
「十歳やしねー」
もともと一つの話題に留まりきれない年代である。
ショタコンやネギに気のある少女達以外の反応は淡白なものであった。
「もーすぐ期末だし色々と相談できる先生のほうが……ねえ?」
「うーん、かわいさを取るか頼りがいを取るか……それとも敢えてアクセラレータと言う鬼門を取るか」
鬼門を取ったらそれなりにスリルを味わうだろうが、学生としてはタカミチを選ぶべきだろう。
それに気付いているからネギに対してはこれほど淡白な扱いなのである。
いくら天才少年先生と言われていても所詮十歳だということに気付いたのだ。

さて、この後例のウルスラのドッジ部と試合に持ちこんだ2-A。

序盤では色々とやられていたものの、ネギの励ましによりやる気を取り戻す。
アキラの意外なバカ力、亜子の『弾丸ボレー』、裕奈の『ダンクシュート』、まき絵の反則気味のリボンによる連続アウト、古菲と超の『チャイナダブルアタック』などといった攻撃の上に、太陽を背にした投げ方を行うミサカの『イナズマショット』が炸裂し、ウルスラのドッジ部を全滅させる働きをした。
その後ネギによりドッジ部の一部の面々が脱げたため、それを見たミサカは首をかしげてエヴァに尋ねた。
「アレは秘匿するようなものじゃないのですか、とミサカは疑問に思います」
「制御がしっかりされてない証だ。サウザンドマスターの息子といえども所詮十歳ではあの程度、ということだ」
「……普通の子供じゃないですか、とミサカは落胆します」
「ああ言う風に『向こう』が育てたんだろう。つまらん連中だ」
エヴァは欠伸をしながら本気でつまらなそうにそう答えた。
ミサカはその強調した部分の事が気になったが、詳しくは後で聞こうと思った。
試合の様子を眺めていた龍宮は、傍らで座り込んでいる刹那に言う。
「一方ミサカ……なかなか運動神経も良いみたいだな」
「ああ。神楽坂さんくらいのレベルだろう」
応じて頷く刹那は、言われてミサカの方を見る。
エヴァからちょっと離れて茶々丸と話している光景を見て、そっと目をそらす。
「やはり気になるか、刹那」
「まあな。彼女が戦力になるかどうか、刀子さんも疑問に思っているようだし……アクセラレータさんがいなければどうなっていたか―――」
「いや、それじゃない」
龍宮はにやにやとした笑みを浮かべた。
その意図が不明ではあるが、何やらその表情に不穏な物を感じた刹那は疑問符を浮かべながら眉をひそめて―――。

「一方ミサカがいつもアクセラレータと一緒にいることが気になるかと聞いているんだよ」

「……え?」
その発言に、思いっきり唖然としてしまった。
言葉の意味をしばらく理解できなかったが、数秒後に理解して急速に頭に血が上っていくのがわかる。
だが限りない理性が大声を出す事は封じたのか、小声で叫ぶ。
「そ、そんなわけないだろう!どうして私がアクセラレータさんとミサカさんの事を気にしなければならないんだ!」
「いや、間違っていたのならいいんだ。すまない。だが、着替えの時に妙に聞き耳を立てていたからもしかしたらと思ってな」
「そっ、それは、その……ただ、気になって」
「うん?今言ったことと矛盾してないか?アクセラレータと一方ミサカの事は気にしてないんじゃなかったのか?」
「…………~~~~ッ!!」
「ああ、ああ、悪かった。そう怒るな。クック」
「今!今笑ったな!?全然悪びれてないじゃないか!!」
龍宮にからかわれて真っ赤になる刹那。
声は聞こえていないが、そのやりとりはきちんと他の面々に見られている。
クラスでは龍宮にからかわれる刹那というのはもう茶々丸とミサカの中が良いというくらい知られてるのでもう騒ぐことはないが、その二人の光景を寂しそうにチラリと見る人影がいた事を、刹那は知らなかった。






~あとがき~

ネギ、襲来。
色々と漫画から台詞を取ってきてますけど、漫画の台詞をそのまま映すと非常に淡白な内容になってしまいますね……私の力不足です。
やっぱり台詞が固定されているからでしょうか……。

ネギ君ですが、彼の一人称は恐ろしく難しいですね。
何度も書き直してしまいました。
下手に冷静にさせるとネギ君じゃなくなって魔法世界編のイケメンネギ君になってしまいます。
それでアンチじゃないのにアンチっぽい書き方に……子供っぽく書くのって難しい。
子供の時の思考ってこういう単純なものだったと私は思うんですけど……。
ネギ君の心情ですけど、彼は『先生』にこだわっていることを強調したかったんです。
責任が降りかかっていてまだテンパってる状態です。

今回、『SIDE OUT』として三人称の挑戦をしました。
本来ならミサカ視点だったのですが、急遽変更して挑戦することにしました。
ここを直した方が良いんじゃないか、というアドバイスを頂けると助かります。
……三人称って心情を書くことがやりにくくてもどかしいですけど、文章を書くのは楽ですね。
度々使おうと思ってます。


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