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No.21322の一覧
[0] とある転生者の麻帆良訪問(ネギま!×とある魔術の禁書目録 オリ主憑依)[カラーゼ](2010/10/31 15:16)
[1] 第1話[カラーゼ](2010/09/04 00:26)
[2] 第2話[カラーゼ](2010/09/04 00:28)
[3] 第3話[カラーゼ](2010/08/21 12:48)
[4] 第4話[カラーゼ](2010/09/04 00:29)
[5] 第5話[カラーゼ](2010/09/04 00:32)
[6] 第6話[カラーゼ](2010/09/04 00:33)
[7] 第7話[カラーゼ](2010/09/04 00:35)
[8] 第8話[カラーゼ](2010/09/04 00:38)
[9] 第9話[カラーゼ](2010/08/24 20:46)
[10] 第10話[カラーゼ](2010/09/04 00:41)
[11] 第11話[カラーゼ](2010/08/25 23:45)
[12] 第12話[カラーゼ](2010/09/04 00:42)
[13] 第13話[カラーゼ](2010/08/28 20:02)
[14] 第14話[カラーゼ](2010/08/28 18:04)
[15] 第15話[カラーゼ](2010/08/29 12:30)
[16] 第16話[カラーゼ](2010/09/04 00:43)
[17] 第17話[カラーゼ](2010/08/30 18:21)
[18] 第18話[カラーゼ](2010/08/31 22:41)
[19] 第19話[カラーゼ](2010/09/04 00:24)
[20] 第20話[カラーゼ](2010/09/03 22:22)
[21] 第21話[カラーゼ](2010/09/04 17:48)
[22] 第22話[カラーゼ](2010/09/05 23:22)
[23] 第23話[カラーゼ](2010/09/05 20:24)
[24] 第24話[カラーゼ](2010/09/06 20:43)
[25] 第25話[カラーゼ](2010/09/08 00:52)
[26] 第26話[カラーゼ](2010/09/11 21:59)
[27] 第27話[カラーゼ](2010/09/13 12:53)
[28] 第28話[カラーゼ](2010/09/15 14:10)
[29] 第29話[カラーゼ](2010/09/16 03:25)
[30] 第30話[カラーゼ](2010/09/19 00:34)
[31] 第31話[カラーゼ](2010/09/24 21:39)
[32] 第32話[カラーゼ](2010/09/30 00:28)
[33] 設定集[カラーゼ](2010/09/29 00:48)
[34] 第33話[カラーゼ](2010/09/28 00:13)
[35] 第34話[カラーゼ](2010/09/30 17:36)
[36] 第35話[カラーゼ](2010/10/04 23:06)
[37] 第36話[カラーゼ](2010/10/14 12:10)
[38] 第37話[カラーゼ](2010/10/14 23:18)
[39] 第38話[カラーゼ](2010/10/31 15:29)
[40] 第39話[カラーゼ](2010/11/07 15:05)
[41] 第40話[カラーゼ](2010/11/08 01:44)
[42] 第41話[カラーゼ](2010/11/10 01:14)
[43] 第42話[カラーゼ](2010/11/12 01:21)
[44] 第43話[カラーゼ](2010/11/21 20:08)
[45] 第44話[カラーゼ](2010/11/21 20:12)
[46] 第45話[カラーゼ](2010/12/06 16:45)
[47] 第46話[カラーゼ](2010/12/06 16:48)
[48] 第47話[カラーゼ](2010/12/05 13:38)
[49] 第48話[カラーゼ](2010/12/19 02:01)
[50] 第49話[カラーゼ](2011/01/17 16:43)
[51] 第50話[カラーゼ](2011/03/29 01:58)
[52] 第51話[カラーゼ](2011/05/29 01:44)
[53] 第52話[カラーゼ](2011/08/18 15:44)
[54] 第53話[カラーゼ](2011/09/03 18:05)
[55] 第54話[カラーゼ](2011/11/04 21:57)
[56] 第55話[カラーゼ](2012/08/27 00:24)
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[21322] 第23話
Name: カラーゼ◆68f6dca0 ID:11f779aa 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/09/05 20:24
SIDE 一方通行

何が悲しくて正月早々学園長のオモロ顔を見にいかなくてはならないのだろうか。
しかも俺を呼び出すなんざよほどのことだと思う。
面倒事は御免だってのに……。
原作には載っていないことだから対処もしにくいし、まったく困ったもんだ。
ため息をつきつつ表を歩くこと十五分、ようやく学園長の部屋にやってきた。
「しっつれェしまァす」
そう言いつつ、俺はドアを蹴り開けた。
ミシッ!!と扉に足跡がついたかもしれないが気にしない。
俺は部屋の中を見ると、驚いた。

そこにはタカミチが険しい顔で佇んでいたからだ。

別に俺に怒気や殺気が向けられているわけじゃないから俺がなにかしたわけじゃなさそうだが……いったいなんだ?
俺がピリピリとした不穏な空気に眉を顰めていると、いきなり不機嫌そうな俺に頬を引きつらせた学園長が話しはじめた。
「正月早々呼んでしまってすまんの、アクセラレータ君」
「早々過ぎるっての。言っとくが、俺の睡眠時間を削っただけには相応の厄介事なんだろォな?」
「いや、まあ……確かに相応の厄介事なんじゃよ」
何故か言葉を濁す学園長に俺は不可解な表情を浮かべる。
「物理的な厄介事じゃねェってことか?」
「それもあるんじゃ。単純に言えば正体不明の人物が麻帆良近郊に突如として出現した、ということなんじゃが……」
それを聞いて、俺の頬が引きつった。
正体不明の人物が突如出現。

俺も経験した二次小説お決まりのパターンだ。

もしかしたらトンデモ能力を持った転生者かもしれないし、とある世界からやってきた能力者かもしれない。
俺は学園長をさっさと促すことにした。
「数は?特徴は?能力は?」
「一度に言われても答えられんぞい……報告によると、数は一人。特徴はおそらく年若い女性でどこかの制服を来ていたということ。能力ははっきりとせんが魔法でもなく気でもない能力を使っておったらしい」
更に俺の顔が引きつる。

魔法でもなく気でもない能力……『とある』世界の人間か。

俺がその結論に辿りついたのを悟ったのか、学園長が頷いた。
「君の想像通り、おそらく君のいた世界の人間じゃろう。じゃから呼び出したのじゃよ。同じ境遇じゃから君の方が理解がありそうじゃしの」
「……能力ってのをもう少し詳しく教えてくれねェか?それでだいたい人物像が絞り込めるかもしれねェ」
すると、学園長は即座に答えた。
「さっきも言ったようにはっきりとせんのじゃ。見まわっている所をいきなり出現した彼女に近づこうとした魔法先生が返り討ちにあったことだけじゃ。外的負傷から雷系統の技ということだけはわかっておるんじゃが……」
「『発電能力者』か。……はぁ、面倒なことになりそうだ」
「知ってるのかい?」
タカミチが訊いてくる。

『発電能力者』はエレクトロマスターと呼ぶ。

二つ名がついていることから、アクセラレータと呼ばれる俺と同列の存在だと思ったのだろう。
悪いが、『一方通行』と比べてもらっては困るのだ。
「『発電能力者』は一般的な能力者だ。他にも『発火能力者』とか『風力能力者』とかがいる。それぞれ何千人もいる誰でも知ってるような能力者だ」
「ふむ……ということは特定が難しいということかね?」
「そうでもねェ」
俺は不敵な笑顔と共に告げる。
「いくら能力者と言っても、見知らぬ人間にいきなり攻撃する奴なンざ限られて来る。俺みてェな異常者は例外。一般人ならまずここがどこかソイツに聞くはずだからな」
「……そういえば君のいた所は表向きは普通の都市だったんだな。君みたいな存在がいるとどうも想像しにくいんだが」
「だろォな。ンで、魔法先生の体に流れた電量ってのはわかるか?何億ボルト単位なら大能力者だ、一気に誰か特定できるンだが」
それを聞いて、学園長は首を振った。
「流石にそこまではわからんて。まあ、人にそんな電気を打ちこんだら普通なら死んどるから加減をしている可能性も否めんぞ」
「……しゃァねェ。会って確かめるか」
『発電能力者』で人をちょうど気絶させるくらいに加減ができて、更にやってきた魔法先生に容赦なく攻撃できる人物。

あの『超電磁砲』の御坂美琴ではないと思う。

彼女なら普通の反応をするはずだから。
だが普通ではないとすると『欠陥電気』や他の犯罪組織のメンバーである可能性が高い。
まさかとは思うが、『打ち止め』の可能性もある。
どれにしろ、さっさと保護してしまえばどうにでもなると思った俺は、とりあえずその電気使いの少女を見かけた場所まで案内しろとタカミチに言った。
彼が案内人なのだろう、承知して首を縦に振った。
そして俺達は夜中の麻帆良へと繰り出した。
瞬動を使って、最速でその場所へ急行する。
すると、その場所には刀子と神多羅木、そして他の魔法先生がいた。
流石に生徒を動員することはしないようだった。
「聞いたぜ。俺とよく似た攻撃方法の馬鹿が出やがったって話じゃねェか」
刀子が頷く。
「ええ。魔力も気も使わずに強力な電撃を扱ったそうです。ここにもそれらしき痕跡はありませんし……」
「その上逃走の痕跡も見当たらない。一般人ではないはずだ」
タバコを吹かしながら神多羅木が言った。

彼等ほどの実力者から痕跡を残さずに逃げる。

気の使い手である神鳴流の刀子、そして風使いである神多羅木の追跡能力を知っているから、俺は内心でかなり驚いていた。
「(絶対に裏の連中だな……『欠陥電気』も軍事経験を積んでるはずだからある程度の誤魔化しはきくはずだが……まさか『猟犬部隊』みてェなクソどもじゃねェだろうな)」
殺すことを屁とも思わないあの連中なら神多羅木も簡単に蒔いてみせるだろうが、殺さずに電撃で気絶させたというのがその可能性を限りなく低くさせる。
原作キャラが来るとしたら、やはり……。
俺がその思考に陥っていると、刀子がどこか不思議そうに訊いてくる。
「心当たりがあるのですか?あなたは記憶喪失と聞いていましたが」
「最近ほんの少し思い出してきたンだよ」
適当な言い訳をしてから、俺はこの場にいる連中に言う。
「……っつーワケで、今回の件は俺とタカミチに任せてもらうぜ。魔力と気の探知能力に優れてるテメェらだと不意打ち食らって死にかねねェからな。報告だけはジジイがするはずだからさっさと帰れ」
「一応学園長の意向でもあるんでね。またアクセラレータみたいな存在が出てきた場合は刺激しないほうが良い、という考えなんだよ。アクセラレータの能力の非常識さを考えると街を停電させる事だって可能かもしれないから、暴れてもらうと困るんだ」
俺の言葉はともかく、学園長の意向、という言葉が大きかったらしい。
刀子や神多羅木をはじめとした魔法先生たちは『お願いします』と言いながらそれぞれ去っていく。
彼等が全員去っていくのを見た後に、タカミチはポツリと聞いた。
「……その『発電能力者』っていうのは、どれくらい強いと思う?」
「俺の知ってる最強の『発電能力者』は、生身で雷の暴風の数倍の威力の攻撃を無詠唱で即座にブチ込むことができるくらいの実力は持ってる。だが身体能力はほぼ常人だから瞬動を使える俺達にとってはただの雑魚だ」
雷の暴風を無詠唱で即座にブチ込める。
その異常性に、タカミチは最早苦笑するしかなかった。

さて、俺は調査のために早速麻帆良の風を掌握した。

これだけ森があるんだ、人気のない街中よりも、俺なら森の中で隠れることを奨励する。
ならばと森の中を片っ端から漁ることにする。
しばらくして、俺はここから半径五キロの範囲の森の中にいる上で動いている人のような塊を発見した。
即座にその場の風を操り、捕縛結界を作り上げる。
昔のアクセラレータには不可能な芸当だろうが、魔法のノウハウさえあればそれほど難しいことではない。
その塊はいきなり出現した風の結界に攻撃をしかけているようだが、そんな衝撃では風の結界を破ることはできない。
おそらく俺の頬には笑みが浮かんでいたんだろう、タカミチが俺に尋ねて来る。
「捕らえたのかい?」
「あァ。西北西におよそ2.6キロ。森の中を移動してるにしてはなかなか速ェ足だ」
そう告げると、俺はそばにある森の中に飛び込んだ。
その後ろをタカミチがついて来る。
既に森の中を移動するのは慣れている。
トップスピードを維持し、ぐんぐんと対象との距離を縮めていくが……突然、風の結界が破られた。
それに驚愕すると同時、夜空に一条の光が一瞬だけ通り過ぎた。
ドゴォォ!!という遠雷のような轟音が耳に届く。
俺は移動しながら呆然と呟いた。


「……『超電磁砲』だと。第三位が来たってのか」


俺の風の結界をつき抜ける電撃を出力することはまず無理。
ならばと実体を持つ超電磁砲を放ってくるのは普通だ。
この場合、その超電磁砲を放ってくるのが不味いのだ。

学園都市第三位、『発電能力者』の超能力者、『超電磁砲』御坂美琴。

彼女がやって来るのなら、それなりの対応を考えなければならない。
こことあの世界の時間軸が同じとは限らないが、俺が上条当麻に止められている時点で俺の悪名は聞いてるはずだ、間違っても戦闘にはならないようにしなければならないのだ。
自滅されては後味が悪い。
俺が表情を固くしたのがわかったのだろう、タカミチも真剣な顔でこちらを見てくる。
「そのレールガンっていうのはなんだ?二つ名なのか?」
「俺の言った最強の『発電能力者』の二つ名だ。俺の敵じゃねェが……俺のいた世界じゃ俺は最強最悪の能力者だったからな。最悪、敵対される可能性もある」
そうなったら面倒だ、と俺が言うと、タカミチも戦闘になる可能性が高いとわかったのか、顔を引き締める。
「なら、君は姿を見せずに僕が交渉した方が良いかもね」
「あァ、頼む」
御坂美琴と思われるそいつは移動を始めたが、所詮常人の足、瞬動を使える俺達の速度とは兔と亀ほどの差がある。
残り百メートルほどまで追い詰めると、向こうはこちらの気配がわかったのか電撃の槍が木の間を縫って飛んできた。
「しゃらくせェ」
俺は別の方向へ雷撃の槍を跳ね飛ばし、タカミチは辛くもそれを避けた。
人間の反射神経の限界を超えている俺ならともかく、タカミチは本物の雷の速度で襲いかかる電撃の槍を目で確認できるほど超人ではない。
どうやら雷撃の槍というのはタカミチにとってかなり厄介な代物のようだった。
ラカン辺りだったら先行放電がどうのと言って余裕で避けそうだが。
再び飛んで来る雷撃の槍を弾き飛ばしながら、俺達は更に進んだ。
タカミチは先行放電なんて感じられないので回避はかなり難航したが、途中で御坂美琴らしき対象を風の結界で閉じ込め、超電磁砲で脱出している隙に間を詰めると言う方法を取っていたので途中からはそれほど苦戦しなかった。
しかしその攻防も十秒ほどにしか満たないものだった。
俺が加速してソイツに見えないように追い抜き、10メートルほど先でそいつの退路を塞ぐ。
もちろん、ソイツから俺は見えないように。
動きが止まったソイツの後ろから、タカミチが出現した。
いやに静かな森の中で、ソイツの荒くなった息遣いだけが響く。
タカミチとソイツはしばし対峙していたようだが、タカミチがようやく口を開いた。
「いきなり攻撃とは、穏やかじゃないね」
「…………」
ソイツはだんまりで、口を開こうとしない。
「ここは日本の麻帆良。僕の名前は高畑・T・タカミチという。君は?」
そして、『ソイツ』は口を開いた。


「マホラというのは地名でしょうが、私の脳内情報には存在しません、とミサカはいきなり馴れ馴れしい相手を警戒しながら返答してやります」


俺はその口調で愕然とする。
この独特というか真顔で言われたら思わず引いてしまうこの口調。
「(ミサカシリーズ……『妹達』か)」
それにしては先ほど超電磁砲を撃っていたが……あれはなんなんだ?
まさかと思うがご都合理論で異世界に来たら超能力者に目覚めたとかいうトンデモ展開じゃないだろうな。
……間違いない。
俺は断言してしまった。
でなければ、『欠陥電気』である彼女達の名が不適切なことになってしまうからだ。
せいぜいレベル2か3辺りだったはずの彼女達がレベル4クラスの風の結界を超電磁砲でブチ破るのは理論上不可能だし。
俺はこの世界のご都合展開に深いため息をついていると、タカミチはミサカの独特な口調に少し戸惑ったらしく、咳払いをした。
「これは職務質問というやつだ。君と出会った男性を電撃で攻撃したそうじゃないか。この麻帆良では―――」
「もォいい。テメェが説得しても時間がかかるだけだ、タカミチ」
俺がミサカの背後から出現すると、ミサカははっとこちらに振り向いた。
俺の声に聞き覚えある……というか、どのミサカだろうがミサカネットワークがある以上俺の存在を知らないことはありえないだろう。
ミサカの無表情の中で、僅かに目が見開かれるのを、俺は見た。
その感情は恐怖よりも驚き。
瞳の中に感情を感じられると言うことは、コイツは俺と上条当麻が戦った後のミサカとなる。
服は……おそらく夏服。
見ているだけで寒くなる服装だ。
草の根分けて進んできたせいか、その剥き出しの足は枝や草で切った小さな切り傷がいくつもついている。
ミサカは少々震えた声で呟いた。
「……アク、セラレータ」
「よォ。まさかこんな場所で再会するとは思ってなかったぜ」
二人の口調から、タカミチは俺達の交流関係を予想する。
「知り合いかい?」
「そンな甘っちょろいモンじゃねェよ。……訳ありだ」
「そうかい―――っ!」
バッ!とタカミチは一旦ミサカから距離を取り、ポケットに手を突っ込んだ。 
それは、ミサカの周りが帯電していたからだった。

空気が焼ける匂いが漂って来る。

バチバチ、と前髪から火花を散らせる彼女を落ち着かせるために、俺は両手をあげた。
「いきなり殺そうなンざ思っちゃいねェよ。それよりも落ちつけ。こっちには危害を加えるつもりはねェ」
「……わかりました、とミサカは素直に従います」
ミサカはタカミチよりも俺をよっぽど脅威として認識しているらしく、俺をその感情のなさそうな目でじろりと睨みつけながら電撃を収めていく。
警戒されてるんだな、と改めて一方通行の罪の重さを認識しつつ、俺は彼女が落ちつくのを待ってから話しかけることにした。
「まず言うが、ここは学園都市じゃねェ。テメェの言うように、脳内情報に麻帆良という地名がねェってのも頷ける。もともと学園都市のある世界にゃそんな地名は存在しねェからな」
「……世界、ですか?」
首を傾げるミサカに、俺は頷く。
「そォだ。一応言っとくが、ここは学園都市のある地球じゃねェ。平行世界って場所らしい。平行世界の意味はわかるな?」
「電波を受信しているのですか、とミサカは言外に頭の病院に行けと忠告してみます」
「悪ィがこのままじゃテメェが頭の病院に直行だ」
どこか棘のあるミサカの言葉にこめかみをひくつかせるが、それになんとか耐える。
ああ、『現実的に電波受信してンのはテメェだろ』と言い返したい。
だがキレてはならん、キレては。
「とりあえず来い。麻帆良の代表者にテメェのことを紹介する必要がある。例えテメェがここが異世界じゃねェと言った所で、あっちの世界にもこっちの世界にもテメェには戸籍がねェからな。のたれ死ぬのがいいなら構わねェが」
それを聞いて、ミサカは現実的に頭を回転させ始めたらしい。
俺をじっと見つめながら、まるで彫像のようにピクリとも動かなくなった。
俺は手が疲れてきたのでゆっくりとポケットの中に手を突っ込む。
その動作にも何ら警戒をみせることなく、彼女はずっと俺の目を見ていた。

それはおそらくポーズに過ぎない。

彼女の頭は、彼女が内包する情報を使って今生き残る手段を模索している最中なのだろう。
しばらくじっとお互いを見ていた俺達だったが、やがてミサカが体の力を抜くのがわかった。
「ここで抵抗してもあなた達には敵わないと判断しました、とミサカは現実的な判断を下します。確かにこのままでは私はのたれ死にますので、できれば死なないように配慮してくれれば助かります、とミサカは付け加えて保護を求めてみます」
「それくらいならあのジジイは余裕だろ」
おそらく俺と同じような対応になるだろうが……コイツは一般常識が欠如している。
しばらくは高音や愛衣に預けて面倒を見てもらうのが良さそうだ。
俺は男だし、あんなことをしてしまった。

とてもではないが、俺はミサカとは仲良く話をして良い男ではない。

あまり会う機会もないかもな、と心の中で呟きつつ、俺は自分のジャンパーを脱いだ。
そしてそれをミサカの頭から被せてやる。
ジャンパーのせいで顔が半分隠れたまま、驚きの表情で俺を見上げて来るミサカを見て、俺はため息をつきながら軽く手を振った。
「着ろ。寒ィだろ」
「……感謝します、とミサカはお礼の言葉を述べます」
俺はその言葉には答えず、タカミチに言う。
「背負ってやれ。コイツじゃ俺達の足についてこれねェ」
「彼女に合わせる、という選択肢はないのかい?」
「学園長室まで何キロあると思ってやがる。俺ァさっさと帰って寝てェんだ。一分一秒たりとも無駄にできねェ」
はいはい、とタカミチは言うと、ミサカを背負い、その場を離脱した。
その間、ミサカはタカミチにポツリと質問していた。
「彼はいつもこうなのですか、とミサカは彼には聞こえないように尋ねてみます」
「ま、こんな感じだと思うよ。君の世界では違ったのかい?」
「まるで『別人』です、とミサカは断言します」
その言葉は通り過ぎる木の間に阻まれ、学園長に電話をかける俺には聞こえなかった。






学園長室には学園長しかいなかった。
俺のときにはずらりと雁首をそろえていたが……これは俺という前例がいたからか?
それとも、俺とタカミチがいればよしと考えているのだろうか。

まあ、この方が都合が良い。

俺の世界のことを遠慮なく暴露できるからな。
俺、タカミチ、ミサカが学園長室に入ると、バル○ン笑いをしている学園長が言った。
「ワシは近衛近右衛門という。この学園都市の麻帆良の学園長をしておる。気軽に学園長と呼んでくれい」
なんだかその台詞、俺がここに来た時にも言っていたような……もしかしてこれがお決まりのパターンなのだろうか。
ミサカは学園長の発言に表情を変えることなく、じっと学園長のとある部分を見た後に呟く。

「……『獣人制作委員会』の実験体でしょうか、とミサカはボソッと呟きます」

「あのジジイは人間だ、認めろ」

「やっぱりこうなるのかのう……流石に初対面の人間に言われるのは傷つくんじゃが」
「だったら整形手術でも受けろ」
がっくりと項垂れる学園長。
っつかそれほど気にしてるのなら幻術でもなんでもかければ良いと思うのだが。
魔法で整形手術ができないというわけでもないだろうに。
タカミチが後ろで笑いをこらえているのがわかる。

俺も笑いそうだ。

それを堪えながら、俺は学園長が麻帆良とこの世界の話をして行くのをただ流して聞いていた。
一度聞いた話をまた聞くのも面倒だからだ。
俺は一度聞いてだいたい覚えたが、俺のスペシャルかつ原作知識な頭脳とミサカの頭脳は違うのでそうすんなりと覚えられるはずがない……と思うだろうが、ミサカはこう見えて結構素直だ。
オリジナルである御坂美琴は一応学力レベルもかなりのもの(考えてみれば学園都市第三位の頭脳を持つ)なので、聞いて覚えるのは得意じゃないかと思うのだ。
実際俺も聞いていると、ミサカは逆に質問を返したりして理解度を深めている。
学園長もその理解度の高さに驚いているようだった。
まあ、『洗脳装置』で頭に知識詰め込んだ赤子みたいなもんだからな。
聞いたことをすぐ理解して自分の知識にしてしまうことくらい、彼女達にとっては容易いことなのだろう。
「―――要するに、この麻帆良は私達の世界とは違う規模の学園都市で、この世界に存在する魔法という独自技術を使って作り上げた都市、と取っても良いのですね?とミサカは最終確認をします。付け加えて私達の超能力は魔法とは完全に違う技術であり、あなた方にとっては全く未知なるものだと捕捉確認をします」
「なあアクセラレータ君。君の世界の学生は皆こうも素直で物覚えが良いのかね?」
「コイツの頭脳は学園都市第三位、俺ほどじゃねェが天才だ。あンま常識にあてはめンじゃねェよ」
「第三位?そういえばさっきも同じようなことを言っていたが……それはどういう意味なんだ?」
「学園都市の成績分けだ。っつかもォいいだろ?帰るぞ」
流石にそろそろ眠気が限界だ。
あのまったりソファーに座って寝たい。
だがそれではどんな悪戯をされるかわかったもんじゃないので、俺はとりあえず自分の部屋に行くまでは眠らないことを決意する。
しかし決意がすぐに折れそうだ。

……眠い。

「まあ待ってくれ。確かに正月とは言えもう遅いし、彼女はアクセラレータ君の隣の部屋で泊まってもらうのが良いじゃろう」
「……おいクソジジイ、殺すぞ」
「何故じゃな?その方が次にきてもらう時に便利なんじゃが」
確かにそうだ。
効率を考えるとそうなのであるが……こいつの場合オモシロ半分でやってる可能性もあるので癪に障る。
だが、眠気がヤバいので適当に頷くことにした。
「ッあー、わかったわかった。だから今日はもォいいだろ?」
「というわけじゃ。君の部屋はアクセラレータ君の隣じゃから、彼に案内してもらいなさい」
ミサカは少し俺のほうを見てから、学園長に向かって頷いた。
「わかりました、とミサカは頷きます」
俺はミサカを振り向かずに部屋を出ていくと、後ろでミサカが一礼して出てくるのがわかった。
それにしても……『欠陥電気』の超能力者か。
俺はふとあることを思い出すと、ミサカに尋ねた。
「で、テメェの検体番号は?」
まさか一〇〇三二号とか言わねェよな、とか思いつつ、できれば違う番号であってくれよと願う。
自分が敵対した相手が隣なんざ、真っ平御免だ。
ミサカは即座に答えた。
「ミサカの検体番号は―――」
そこで、ミサカは何故か一拍置いた。
もったいぶるように置くその間が意味不明で、俺は眉を顰める。
「どォした?まさかテメェ忘れたとかいわねェよな?」
コイツも記憶喪失なのかと疑っていたが、どうやら違うらしい。
彼女は感情のあった瞳を完全な無にした後に、告げた。



「―――ミサカの検体番号は『二〇一一二号』。『第二次量産能力者計画』(ニューシングル)の本格起動のために生み出された完全軍用ミサカです」



「…………はァ?」
どうやらこのミサカは原作で登場したミサカではないらしい。
まさか、アクセラレータがいなくなったことで向こうの世界に何かが起きている、ということか?
そして原作とはかけ離れた展開でストーリーが進んでいる。
上条当麻との出会いは?
闇と御坂美琴との解決は?
アレイスターの計画は?
振り向いてミサカを真剣な表情で見据えながら、俺は告げた。
「その話、詳しく聞かせてくれ」
久しぶりに俺の本来の口調に戻った気がした。
……しかし。
「ただ、明日からな」

眠気には勝てない。

ハンパにしかシリアスになれない俺だった。






SIDE ミサカ『二〇一一二号』

ミサカはアクセラレータに促されて自分にあてがわれた部屋に入りました。
彼がいなくなると、異様なほどの現実感がミサカに襲いかかってきました。

この世界とあの世界。

『魔法』など客観的に見ても荒唐無稽な話だと思えますが、あのアクセラレータが肯定している上に、ミサカネットワークがまったく繋がりません。
ネットワークの存在を感じられないと言う感覚は初めてだったので、おそらく本当に違う世界なのではないか、と思います。
麻帆良という名の学園都市。
あの人外に見える老人が最高責任者だというのだから、本当に学園都市とは違うのだと思わされます。
ミサカはあまりサイズが合わない大きめのパジャマを着た後、すぐに布団に潜りこみました。
とにかく、これは現実なのだから現実を見なければなりません。
ミサカにとって現実はあまり蓄積されていない情報なのでどの道変わらないのかもしれませんが。
ミサカはここに来る前にいた『実験場』を思い出します。
体術を鍛える身体的訓練とミサカの武器である雷撃の命中精度、威力向上のための実験場です。
ですが……アクセラレータの言うことが確かなら、その『実験場』は存在しません。 
それを聞いて、ホッと安心してしまう自分がいます。
ミサカがいなくなればまたミサカと同じ存在が生み出されるだけ。
ミサカだけ実験から逃れるのはずるいかもしれませんと思います。
ミサカは生まれてきたことを後悔した事はありませんが、それでも新しく生まれてきたものが苦しみを味わうのは嫌なのです。
この嫌と言う感情は『あの人』から教わった大切な感情というもの。
ミサカネットワークに強制接続して知ったものでした。
最強最悪のアクセラレータを殴り飛ばし、戦闘不能に追いやった存在。

『幻想殺し』上条当麻。

しかし、彼の行ったことは決してプラスに働くことはありませんでした。
ささやかなプラスは膨大なマイナスに対しては意味をなさないのです。
そして、プラスは引けばマイナスになってしまう。
彼の行った結果、そしてアクセラレータの消失。
それらが合わさって、ミサカ達が生まれたのです。






~あとがき~

ついに出してしまいました、『とある原作』からの来訪者です。
ようやっと登場させることができました……実は作者が挑戦したかったことの一つでもあります。
おそらく賛否両論が発生すると思いますが、作者はどうしてもこの展開にしたいと思っていました。
自分、新鮮味のある展開とかが結構好きなので……突拍子もないと思われるかもしれません。
それとも作者が見ていないだけで既出かもしれませんが。
これからもこの作品を見ていただければありがたいです。

オリ設定のちょっとした説明をここで。
『第二次量産能力者計画』(ニューシングル)とは原作20巻にて判明した『第三次製造計画』(サードシーズン)とは別物です。
どうやら『第三次製造計画』は一方通行を精神的にぶっ壊すだけではなく、使い物にならなくなってきている『妹達』を消去し、新品に取り換えるためにミサカシリーズを再生産したものっぽいですね。
それではなく『第二次量産能力者計画』は物理的な力を持つための計画です。
詳しい説明は次回に行います。
次回をご期待ください。

次回はそのための説明会です。


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