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No.20484の一覧
[0] 【完結】ニートが神になりました(現実→異世界→マブラヴ)[ミケ](2012/03/15 12:46)
[1] 1話[ミケ](2010/07/20 20:36)
[2] 2話[ミケ](2010/07/20 20:37)
[3] 3話[ミケ](2010/07/20 20:37)
[4] 4話[ミケ](2010/07/20 20:38)
[5] 5話[ミケ](2010/07/20 20:39)
[6] 最終話[ミケ](2010/07/20 20:40)
[7] 1話 (マブラヴ編)(ここで読むのをやめると幸せになれるよ!)[ミケ](2010/07/22 20:49)
[8] 2話[ミケ](2010/07/20 20:43)
[9] 3話[ミケ](2010/07/20 20:44)
[10] 4話[ミケ](2010/07/20 20:44)
[11] 5話[ミケ](2010/07/20 20:45)
[12] 6話[ミケ](2010/07/20 20:46)
[13] 7話[ミケ](2010/07/20 20:46)
[14] 8話[ミケ](2010/07/20 20:47)
[15] 9話[ミケ](2010/07/20 20:48)
[16] 最終話[ミケ](2010/07/20 20:48)
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[20484] 3話
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:e453b056 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/07/20 20:44
「待ってくれ、春風! 俺も、俺も連れて行ってくれ。俺は、ベータ恐怖症があるんだろう? それに、春風ばっかりそんな危険な所に行くなんて……」

「武さん……わかりました。五感共有の魔法を掛けていきます」

「あたしも……お願い。春風だけに、怖い思いはさせないよ」

 彩峰さん……。気がつくと、皆がいた。

「ありがとう、皆……私、頑張る……」

 大丈夫なはずだよね? 私は魔法少女だもん!
 私は元の大きさに戻り、風の神のお札を使った。私の背に翼が生えたので、それで飛んでいく。
 燃料はさほど使っていないけど、食べてもいない。だから、自分の推進装置は使わなかった。
 向かってくるレーザー。大丈夫。火の神のお札が守ってくれる。
 私にはわかる。神様方が、進んで力を貸して下さっている。
 ニーク様、守ってね。
 船を次々と壊滅していくベータ。その姿を見て、皆が驚愕したのが分かった。私も驚愕した。
 怖いよ。いや、負けちゃ駄目。こんな時こそ、魔法を使うんだ!

「ラブリープリティー超キューティー! ベータよ、お野菜になれ―!」

 ベータの一群はお野菜にはならなかったが、ラブリーなお野菜柄にはなった。これで怖くないんだから!
それに私、体育の銃撃の成績、Aだったもん!
 ペイント弾から実弾へと切り替える時、体が震えた。
 御剣さんが、御剣さんを通して武神が、励ましてくれるのが分かった。
 武神の札を使う。怖い気持ちが消えて、力がみなぎってくる。

「てぇぇぇぇぇい!」

 私は撃って撃って撃ちまくった。接近されて、バックステップ。ラブリーモモから火の札を取り出して投げつける。爆音。
 戦車級がはじけ飛ぶ。
 怖い怖い怖い。
 物理の実験道具を作るのに使っていた、「ぼくのかんがえたかっこいいぶきしりーず」のビームサーベルを必死で振り回す。
 しかし、ベータは後から後から押し寄せてくる。なんで私がこんな事をしなくちゃいけないの!?
 考えていたら突撃級に弾き飛ばされて、自分から飛んだのもあったけど、私の体は宙を飛んだ。もういや。もういや。私は地面に寝転がり、言った。

「働きたくないでござるぅぅぅぅぅ! 絶っっっっっ対働きたくないでござるぅぅぅぅぅ!」

 ベータが迫る。もう、どうにでもなっちゃえ……。
 そんな時、私には幻が見えた。
 可愛い女の子が、寝転がってバタバタと暴れる。ニーク様!

『働きたくないでござるぅぅぅぅぅ! 絶っっっっっ対働きたくないでござるぅぅぅぅ』

 私はそれに合わせて手足をじたばたさせる。

「働きたくないでござるぅぅぅぅぅ! 絶っっっっっ対働きたくないでござるぅぅぅぅぅ! ……お家帰りたぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!」

 ベータが私に噛みつく直前、カッと光が広がり、それは新潟を覆った。
 ベータ達の大半は動きを停止し、その場に崩れ落ちた。
 残りのベータは続々と、鈍い動きで「帰って」行く。
 私はその場に寝転がったまま、泣きじゃくっていた。
 そんな時だった。目の覚めるような赤色。スマートな体。端正な顔立ちの、とってもかっこいい人が私の前に降り立った。
 一瞬女の人かと思ったけど、この顔立ちは男の人だ。
 神様が作った理想の女性を男にした、そんな印象を受ける人だった。
 私はその美形っぷりに目を見開き、ついでその人も裸だったので顔を赤らめた。
 埃を叩き落とし、私は慌てて服を整えた。ぼろぼろで恥ずかしいよぅ。
 この人は、この人は新人類なんだから、違うんだ。
 そう思いつつ、私はちらちらとその人を盗み見た。
 その人はベータを掃討しながら、私に聞いた。

「ベータが去り、部下達が急にやる気をなくした。武神の札が光ったのも見えた。これはそなたが?」

 美しいテノール。ああ、これは惚れちゃうよ。

「は、はい。多分そうです……」

「どうすれば治る?」

「武神の札を使えば、治ると思います……あの。貴方様のお名前は……」

「帝国軍近衛隊の中川少佐だ。ほら、手を貸そう。立つが良い」

「中川様……」

 私は出来るだけ女の子らしく立ち上がった。

「そなたの活躍は見ていた。まるで人間のような……いや、それ以上の躍動感だった」

「そ、そんな事……」

「面白い武器を使っていたな」

「あ、はい。「ぼくのかんがえたかっこいいぶきしりーず」ブランドのビームサーベルです」

「ぼくの……?」

「あ、あの、ドワーフが開発に関わっている会社です。ドワーフは鍛冶の神の加護を持ってる人達で……」

「……驚いたな。泣いておるのか」

「あ、これは……怖かった。私、とっても怖かったんです! 私が戦った事があるのって、新ロボット族の犯罪者やスパイだけで……」

「どおりで、初めて戦うにしては手慣れていると思った」

「う……うわああああああん」

 私は中川様に抱きついて泣いた。
 中川様はぎこちなく頭を撫でてくれる。

「それにしても素晴らしい手際だった。……そなたの、設計図が欲しい」

「えっ で、でも私って全然スマートじゃないし……見た目も、悪いし……」

 唐突に私は裸の男の人に抱きついている事に気づき、頬を赤らめた。

「立派な機体だと思う。そなたのような機体が増えれば、助かる人間も増えよう」

「ええ!? あ、あの……」

 私は突然のプロポーズに驚いた。こんな、かっこいい人が私との子供が欲しいって言うの!? この、女顔の超絶美形のこの人が!? 絶対男女逆だって思われちゃうよ……! でもでも、考えて直美! こんなチャンス、今までで一生に一度だよ! 今までなんて言われてきた? 男勝り、格好いい、女に見えない、挙句に女の子にラブレターまで貰う始末。相手は軍人さんだから、死んじゃうかもしれないのは怖いけど、少佐って事は偉い人だよね。養ってもらえるかもしれない。夕呼さんは石油をくれないし……。

「せ、責任とって、毎日石油と金属を補給してくれますか!?」

「ん? 謝礼は石油か。しばし待て。……構わないぞ」

「じゃ、じゃあ……設計図、交換します。私の設計図、貴方に初めてあげちゃいます」

「そうか! 今貰えるかな。帰ると魔女の妨害が入るかも知れぬからな」

「こ、ここで!? は、はい……」

 なんでこんな事になっちゃってるんだろう。私、何しちゃってるんだろう。駄目よ、直美。ああ、でも……。

「では、設計図を送るから受け取るが良い」

 にっける にっける

「凄いデータ量だったな。様子がおかしかったが大丈夫か?」

「ああ……中川様のデータ、すっごく原始的で野性的でした……v」

「はは。そう言われても仕方ないかもしれぬな。しかし、このデータでそれも変わる」

「じゃあ私、帝都についていきます」

「何?」

「え……? だ、だって石油を毎日くれるって……責任取るって言いましたよね?」

 騙されちゃったのかな、私……。そんな……。

「いや、しかしついてきていいのか? 横浜基地所属では……」

「私は横浜基地所属じゃありません。もう、貴方の所属です」

「そ、そうか。歓迎する」

 差し出された手を、私は握った。
 五感を共有していた事に気づき、私がパニックに陥るのは帝都に行ってからの話である。



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