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No.20484の一覧
[0] 【完結】ニートが神になりました(現実→異世界→マブラヴ)[ミケ](2012/03/15 12:46)
[1] 1話[ミケ](2010/07/20 20:36)
[2] 2話[ミケ](2010/07/20 20:37)
[3] 3話[ミケ](2010/07/20 20:37)
[4] 4話[ミケ](2010/07/20 20:38)
[5] 5話[ミケ](2010/07/20 20:39)
[6] 最終話[ミケ](2010/07/20 20:40)
[7] 1話 (マブラヴ編)(ここで読むのをやめると幸せになれるよ!)[ミケ](2010/07/22 20:49)
[8] 2話[ミケ](2010/07/20 20:43)
[9] 3話[ミケ](2010/07/20 20:44)
[10] 4話[ミケ](2010/07/20 20:44)
[11] 5話[ミケ](2010/07/20 20:45)
[12] 6話[ミケ](2010/07/20 20:46)
[13] 7話[ミケ](2010/07/20 20:46)
[14] 8話[ミケ](2010/07/20 20:47)
[15] 9話[ミケ](2010/07/20 20:48)
[16] 最終話[ミケ](2010/07/20 20:48)
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[20484] 2話
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:e453b056 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/07/20 20:43


 夕呼さんは部屋へ私を呼び、私は椅子に座った。
 心にアクセスしてくるこれは……。

「貴方は誰ですか?」

 聞くと、触れてきたものがびくっとしてアクセスが止んだ。

「どうしたの?」

「私の心を読もうとする人がいたので……」

「へぇ……」

 ふぅ、疲れちゃった。今日は色々な事があった。そうだ、これだけは確認しないと。

「白銀武と話させて下さい。神様が、彼と話して情報収集しなさいって。ここに捕まってるんでしょう? それと、もう休んでいいですか?」

「白銀武……彼がなんなの?」

 まさか、エロゲの主人公ですなんて言えないよね……。
 
「事情は話せないけど、その人は私に必要な情報を持っているんです」

「話し合いに同席させてもらえるなら許してあげる。でも、ま、明日の話よね。こっちもお願いがあるわ」

「なんですか?」

「設計図を寄こしなさい。それと、貴方のプログラムをコピーさせて」

 私はぱくぱくと口を開閉させた。夕呼さんって女だよね。
 プロポーズされるってどういう事?

「わ、私はレズじゃないですし、新人類とエッチなんてしません! 不潔!」

 私は思わず叫んでいた。

「もういい……頭が痛いわ……。ピアティフ。彼女を部屋に案内してあげて……」

「了解しました」

 新人類が私を部屋に案内してくれる。ベッドに横になって、私はようやく安堵のため息をついた。そして、ピアティフさんの前だと言う事に気づいて慌てて置き上がる。

「あの、ご飯って……」

「ご飯を食べるんですか?」

「あ、当たり前じゃないですか!」

「何を食べるか聞いてもいいですか? その、お口に合うかわからなくて……」

「スーパーオイルだったら嬉しいなぁ。後、女の子なのにおかしいと思うかもしれないけど、鉄も欲しいです。オリハルコンだったら最高」

「は、はぁ?」

「わからないかな。あ、レシピ持ってます!」

 私はラブリーモモのプリンタ機能を使い、レシピをプリントアウトする。

「これは……石油と金属の、生成方法?」

「あ、石油だったらあるんだ。原液でも、私、我慢出来ます」

「原液って……」

 私は汗を掻いた。え、無いの? あんなの神社の泉に溢れてるじゃん!

「お、お弁当まだ食べてなくて良かったぁ……。お弁当食べてます。広い場所は無いですか?」

「ええ、こっちよ」

 私は訓練場に案内され、そこでスーパーオイルの水筒を出した。
 この水筒は、確か旧ロボット族でも使えるようになっていたはずだ。旧ロボット族の体だと大きいなぁ……水筒。
 私は旧ロボット族専用のストローを見つけ、そこからスーパーオイルを呑む。
 ふぅぅぅ、ほっとするよう。
 ピアティフさんが物欲しそうにしてたので、少し分けてあげる。
 一息つくと、私はスーパーオイルを片づけた。でも……旧ロボット族の小さな体でしのぐとしても、スーパーオイルがいつまでもつだろう。
 やめやめ、今日はもう何も考えたくはない。
 私は部屋に戻ると、シャワーを浴びて、ろくに美肌ケアもせずに熟睡するのだった。
 朝、起きると私はパソコンをつける。
 神様がくれたURLにアクセスすると、そこには私に呼び掛ける親友の文字が躍っていた。
『春風―! あんた、無事ならさっさと返事しなさいよー』

『アリスー。私は無事だよー。えーん』

『馬鹿馬鹿。こんな事に巻き込まれて。大丈夫なの? ちゃんと食べてる?』

『こっちって石油ないみたいなの』

『えー! じゃあどうやってご飯食べるのよ! ニーク様の神社ないの?』

『無いんじゃないかなぁ……。私が立てなきゃいけないみたい』

『酷い酷い! 春風が何をしたって言うのよ!』

『私が聞きたいよー』

『おー。武には会えたか?』

『神様! 武さんには明日会う事になっています。あの、どんな事を聞けばいいですか?』

『聞くのはただ一つ。何周目かだ。逆行もののゲームだからな。こっちで戦術機を見るのが初めてか聞け。二回目ならセーフ、三回目なら楽勝だ』

『何周目……わかりました』

『ガンバだよー。春風―』

『うん、頑張るよー』

 私はシャワーを浴び、身支度を整える。
 会わせてもらった白銀武……武さんは、新人類だった。そういえばいたわね、新人類が。

「武さん、初めまして。私は春風直美です」

「お、お前はあの時の戦術機……? なのか?」

 私は驚いた。魔女っ子モードの私の正体を見破るなんて! さすがは主人公だ。

「私はロボット族です。戦術機って、前に見た事ありますか? えと、何周目ですか? 何回逆行してますか?」

「なんでそれを……」

「何周目ですか?」

「二、二周目……」

 いよしっセーフだ!
私は早速神様に向け、報告した。

『二周目です! 神様!』

『おお、ならベータ恐怖症に掛かっている事と夕呼先生に因果律量子理論を見せてもらう事と、戦術機のプログラムの改良が出来る事を伝えるんだ!』


「えと、貴方はベータ恐怖症に掛かっています。後、夕呼さんに因果律量子理論を見せてもらって、戦術機のプログラムの改良をして下さい」

「はぁ……? お前は一体……」

「全てはニーク様のお導きです」

「ニーク様って誰なんだ?」

 私は一生懸命説明した。

「えと、ニーク様の信徒になるとお札を作れるようになって、働きたくないでござる。絶対に働きたくないでござる! のお札と、二次元嫁万歳のお札と、冷暖房万歳のお札と、燃費削減のお札と、チャットのお札が作れるようになります。えと、見てて下さいね」

 私は試しにチャットのお札を作ってみた。新URLを設定すると、作動させる。

「うお、紙に文字が浮かんだ!?」

「お札、使ってみて下さい」

「どうやって使うんだ?」

 そして、四苦八苦の末、武さんもチャットのお札を使えるようになった。
 夕呼さんが疑わしげな表情で紙を見つめている。

「もう、ちょっとやそっとの事じゃ驚かないけど……一つだけ聞かせて。……それ、どうやって電波を飛ばしているの?」

「電波じゃありませんよ? ニーク様のお力です」

「ふーん……それ、どこでも使えるの?」

「ええ、どこでも。ですから、神社を建立して下さい、お願いします。神社さえあれば、そこで祈ればお札を作る力が現れるように出来ますから」

「……いいわ。この際、神でもなんでも利用してやろうじゃない。燃費削減のお札は?」

「運動能力が落ちる代わりに、消費するエネルギーが減ります。動物でも機械でも機能は同じです」

「ふーん、ニーク様って使えないのねぇ」

「神様をそんな風にいうのは良くないと思います」

「何が神よ。ベータが来た時、皆、あらゆる神に祈ったわ。けれど神の助けはあった?」

「神様は常に見守ってくれています! それはこの世界も同じです。ニーク様が、ちょっと特殊な神なんです」

「なら、その特殊性でこの世界を救ってくれる事を祈るわね」

「世界を救うのは、いつだって人間の役目です」

「……そんな事はわかってるわよ」

 会談はこれで終わった。
 夕呼さんは、約束通り神社を作ってくれた。
 私は、神社の手入れを頑張った。私に出来る事は、これぐらいしかない。
 ここの人達には、子供を作らなかったり、仕事をさぼったりなんて余裕は一切存在しない。ニーク様が受け入れられるとは思わない方がいいだろう。
 表向き明るく振舞ってビラ配りしていたけど、私は毎日、自分の部屋で泣いた。
 実験用に数人の人が祈りを捧げたけど、明らかに神様の事を疑っていて、神様はお札を作る能力はくれてもパソコンはくれなかった。
 その日も部屋で泣いていると、遠慮がちにドアがノックされた。武さんだった。

「なあ、春風……お前、今楽しんでるか?」

「楽しいわけ、ないじゃない!」

 私が言うと、武さんは頬を掻いて言った。

「お前の神様の教義は、楽しむ事だろう? その、泣くなよ。隣の部屋だから、声が聞こえるんだ」

「え……」

 楽しむ……。そうだ、私、ずっと楽しんでない……。

「皆待ってるから、たまには一緒に遊ぼうぜ。それと、因果律量子理論について、教えてくれてありがとな。あれ、見覚えあったよ。全部覚えてねーけど。今度、元の世界に取りに行く事になった」

「あり、がとう……。と、所で! 因果律量子理論ってなんなの?」

「因果律量子理論か? すっごく優秀な手の平サイズのコンピューターらしい」

「ふーん……なんか旧メイド族の頭脳みたいだね。手の平サイズなのにこんなに優秀~ってCMでやってた」

「へ? メイド族?」

「私達のデータから作ったロボットをメイド族って言うの。日本で初めてのロボット族のコピーを作った人が、どうしてもメイドを作りたくて政府を言いくるめて戦うメイドを作ったから、以降のロボット族のコピーは皆メイド族って言うようになったんだって。違いなんて、人間との違いなんて、魔術を使えるかと人類に忠実かどうかしかないって言われてるんだけどね。あ! 私、持ってるよ。誕生日に旧メイド族の育成セット一式貰ったんだけど、一度起動させたら生涯可愛がってあげなくちゃかわいそうでしょ? 私、そんな自信なくて。まだ心もインストールしてないし。いる? あ、そうだ。旧メイド族用の玩具あるよ。あれで皆で遊ぼう!」

「お、おう。早速夕呼先生の所に持っていっていいか?」

「うん!」

 それを見せた時の夕呼先生の喜びようは半端ではなかった。

「私以外の天才がいるなんて! 貴方の持ち物は全て没収よ! 大人しく出しなさい!」

「嫌です! なんでそんな酷い事言うんですか? ご飯も出してくれない癖に!」

「スーパーオイルは完成を急がせているわ。私とした事が、取り乱すなんて。貴方は他に、何を持ってるの?」

「何って、おやつとか、美肌用品とか、勉強道具とか、ゲームとか……変わった物は持っていません」

「ゲームって何よ?」

「これです」

 私は旧メイド族に与える為のゲームを取りだした。
 レトロな感じのゲーム。もっと言えばクソゲ―。武さんはすぐに飽きたようだが、夕呼さんは釘付けになったようだった。

「メイド族の頭脳とAIプログラムとゲーム、貰っていいかしら?」

 私は戸惑った。AIプログラムは絶対に大事に扱えと散々言われた。
 一人一人違う個性で作って、インストールされたら複製できないように自壊するようにセッティングされている位だ。

「あの、AIプログラム、大事にしてくれるなら……どうぞ。その代り、その、信者の方……」

「あー、部下に一度は神社にお参りに行くよう厳命するわ」

「ありがとうございます!」

「悪いな、ゲームあげる事になっちまって。でも、レトロな遊びも面白いもんだぜ」

「うん、やってみる」

 そして私は武さん達と遊んだ。御剣さん達と女の子同士の話もして、久々に心から笑ったのだった。
 ある日、御剣さん達の様子が違ったので聞いてみた。

「明日は試験なのだ。それで緊張していてな」

「そうなんだ。じゃあ、武神のお札をあげる! 御剣さん、武人っぽいからきっとご加護があるよ! 皆にも、お札あげる!」

 私がそう言って武神のお札を渡す。

「武神……ニーク様の札とはまた違うのか?」

「違うよー! ニーク様は隋落の神だもん。武神はすっごく強くしてくれるの。えーとね、例えて言うなら……大切な者を守る為の、誇り高きナイト様なんだよ!」

「そうか……そなたに感謝を」

「えへへ……」

 結論から言って、武さん達は歴代最高の点数を弾き出して帰ってきた。
 後、御剣さんが竜人になってた。よっぽど武神に好かれたらしい。
 でも、これで御剣さんを信徒に誘う事が出来なくなっちゃった。良くわからない三人組には涙ながらに罵倒されるし。もちろん、武神を裏切れば元の姿に戻れる事も教えてあげた。でも、御剣さんはこのままでいいんだって。
 あ、お札の作り方も教えてあげたよ! 授業で習ってて良かったぁ。
 でも、ニーク様の神社の隣に武神様の神社が立っちゃった。そっちは宣伝してないのに軍人さんがちらほらとお参りに来ていた。いいなぁ。
 そんなこんなで、私は夕呼さんに呼ばれた。

「新潟でのベータとの戦いに、私も?」

「ええ、神社を作ってあげたんだもの。それぐらいいでしょう? それと、このゲームありがとう。これをやっている最中に、新しい理論を思いついたの! 順調に計画は進んでいるわ」

「それは良かったです、けど……私、相手がどんな敵かもわからないし……」

「はい、データ」

 そして夕呼さんは私にデータを寄こす。どうしよう、凄く怖い……。何? この気持ち悪い生き物は……?
 家に帰りたい。
 私は沈んだ後、決意を秘めて夕呼さんに言った。

「もしも成果を出せたら、ニーク様を信仰してくれますか……?」

「……その前に、他の神について教えてもらえるかしら。御剣を見たわよ。武神とやらも、やってくれるじゃない。正直、撃ち殺しかけたわよ。その代り、戦闘データの跳ねあがり方が凄いわ。もう人間業じゃない。二神に仕える事は出来ないんでしょう? こうなったら、悪魔にでも魂を売ってやるわよ」

 私は戸惑いがちに頷いたのだった。


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