お話の前に、私のチャット仲間ののーべん様が三次小説を書いて下さいました!
いい具合にキャラがいい意味で壊れて楽しかったので、ぜひ投稿してくれとお願いしたところチラシの裏にて投稿して下さいました。
ルルーシュと、そしてエトランジュの壊れっぷりが作者のツボを刺激しました(笑)。
アドレスが残念ながら載せられないようですので、お手数ですが検索して頂きますようお願い申し上げます。
《【ネタ/ギアス三次創作】 コードギアス変貌のルルーシュ 暴走のエトランジュ のーべん作》です。
現在は二話までですがとても面白いので皆様ぜひご覧になって頂ければと思います。
では私のお話の方もお楽しみくださいませ。
第十七話 ブリタニアの姉妹
ルルーシュが黒の騎士団の手引きにより逃げ出してから、コーネリアは一度政庁に戻った。
その際実験体としてカプセルに入れられたジェレミアがルルーシュに対する切り札だと説明を受けたのだがそれだけしか説明がなく、V.Vは勝手にそれを一室に入れてしまった。
さらにシャルルからの命令で、政庁内の兵士の入れ替えが行われることになった。
ルルーシュについた者を排除しようとする意図だと解釈したコーネリアはそれを最もな処置だと納得し、本国から新たに兵を呼ぶことを決定する、
その前に政庁内の兵士に何やら尋問を行うというので立ち会いを要求したのだがV.Vはそれを拒絶したため、結局尋問の内容は明らかにされるどころか政庁から出るように言われ、後処理の名目で特区庁に行く羽目になった。
ルルーシュに従っている様子がなかったコーネリアはギアスをかけられていないと判断したV.Vは彼女にギアスの情報を与えまいとしたため、ギアスキャンセラーの様子を見せたくなかったのだ。
ルルーシュの行方も解らず、何がどうなっているのかとコーネリアは苛立ちばかりが上昇していたある日、コーネリアは特区庁に来ていた。
しかも父帝シャルルの通信つきで、姉妹は通信スクリーンの前に立ったまま今後の展望を話し合うことになったのである。
普段政治には無関心なシャルルだが、兄がしでかした騒動の後始末にいろいろ動かなくてはならなかったのだ。
「・・・エリア11の件は、今更事実を公表する訳にはいかん。
さらなるテロに繋がりかねないから、この件は極秘とする」
「コーネリア総督閣下・・・それでは事態の解決にならないではありませんか」
「ブリタニアの国威を落とすわけにはいかない。だが、早急に衛星エリアに昇格させてブリタニア本国からの支援が得られるよう、私も全力を尽くす。
そうすればイレヴンも、今のような状態から抜け出せていい暮らしを・・・」
コーネリアは日本人に対する弾圧はやめるし、ナンバーズとして与えられる最大の支援をすることで折り合いをつけようとしたいようだった。
しかしそれでは臭いものに蓋をするだけで、根本的な解決にはならないのではないかとユーフェミアは思ったが、シャルルはどうでもよさげに許可を出した。
「構わん・・・ただし、C.Cの身柄確保が条件だ。
ルルーシュを捕捉すれば自然に見つかるであろう。あとはエリア11ともども、お前達のいいようにするがよい」
「・・・ありがたきお言葉にございます。
皇帝陛下もこうおっしゃっておられる。ユーフェミア副総督、私もルルーシュを説得して、以前のように暮らしたいと思っている。
ルルーシュはお前を私よりは信用しているようだから、説得に力を貸してほしい」
「皇帝陛下、総督閣下、ルルーシュはかたくなにブリタニアには戻りたくないと言っておりましたわ。
それに昨夜のことだって、大変怒っていたではありませんか。
しばらく時間をおいて、まず日本人の生活をよくしてからにしたほうが・・・」
あくまでも慎重論をと言うユーフェミアと、父帝の評価を下げたくないコーネリアが話し合っていると、ドアの外から急いでいるような、それでいて遠慮がちなノックの音が響き渡った。
「失礼いたします、皇帝陛下、コーネリア総督閣下、ユーフェミア副総督閣下。
お話の最中に申し訳ございません。しかし、至急のご報告が・・・!」
常ならぬ慌てたような声音のダールトンに、コーネリアは眉をひそめながら入室を許可した。
「どうしたダールトン。何があった?」
「ご無礼をお許しください、皇帝陛下。先ほど租界にいたカレン嬢の携帯電話にナナリー様からのお電話があったそうです。
何でも至急姫様方とお話したいので取りついで頂けないか、とのことで・・・!」
あの騒動があった日、ユーフェミアは口止めのためにある程度の事情をカレンに話したとコーネリアには報告してあった。
むろん虚偽だが状況が状況なのでコーネリアはそれを疑わず、カレンに改めて口外を禁じた。
そのお陰ばかりではないのだが、シュタットフェルト家は近々辺境伯の地位を与えられることが正式に決定している。
本来は特区内での携帯電話の使用はブリタニア人、日本人問わず禁じられているが、全員禁止では支障が出てくるため、一部には許可が出ている。
その許可は大部分がブリタニア人で、それもルルーシュのブリタニア人と日本人の間に差を設けてブリタニアの支配を実感させるという策の成分も含まれていた。
カレンは特区内での許可を辞退していたが、今回はナナリーからの連絡なので通話状態のまま持ってきたので今回限りの許可をと申し出、ダールトンが一も二もなく許可を出した次第である。
「何だと?!」
「ナナリーが・・・いったいどうして・・・」
姉妹が顔を見合わせると、わずかに眉をひそめたシャルルは出てもよいと指示を出した。
「構わん、その電話を持ってくるがいい」
「かしこまりました。カレン嬢の携帯電話はこちらに・・・」
ダールトンが小さなクッションに置かれたカレンの携帯電話を恭しくテーブルに置き、皆に聞こえるようにスピーカーを設置する。
「そういえばカレンさんとナナリーは生徒会で知り合ったとか・・・電話番号を知っていてもおかしくはありませんわ」
「それはそうだが、何故・・・間違いなくナナリーなんだな?」
「カレン嬢が言うには、間違いないと・・・今、エドワード殿が携帯電話の電波を追跡しております。
特区庁である程度事情を知っており、かつプログラム技術に詳しい者は彼しかおりません。
それにルルーシュ様の件についても深く詮索しようとはしていない上に誰にも話していないので、適任かと」
特区にカレンといたエドワードが電話がかかって来た際に居合わせており、電波の逆探知をしなくてはならないが、だがここは専門のチームはまだいないと焦るダールトンに、『事情は知りませんけどそれくらいなら何とかなると思います』と協力を申し出てきたと告げると、コーネリアは実に気の利く男だなと思った。
あの時もうまく状況をさばいてくれた割にトラブルは好みませんからと詳しく詮索しなかったので、コーネリアはエドワードに好印象を持っていた。
もちろんアルフォンスは真面目に電波探知の操作などしておらず、現在彼は別の仕事をしながら適当に回線を弄って後で無理でしたと報告するつもりである。
一方、ユーフェミアとスザクはカレンとエドワードの名前が出たことで、これは黒の騎士団絡みのことだとすぐに解った。
しかし意図は聞いていないので何も言えず、とりあえず話を聞こうと携帯電話に視線を移す。
「とにかく、話を聞いてみましょう。よろしいですか、皇帝陛下、総督閣下?」
「・・・構わん」
シャルルが許可を出したのでダールトンが通話ボタンを再び押すと、中から少女の声が響いてきた。
「・・・もしもし、ユーフェミアお姉様ですか?」
「ナナリー!!ナナリーなのね!!」
「ユフィお姉様・・・!はい、ナナリーです。お姉様はお変わりないようで」
聞き間違えるはずがない、とユーフェミアが涙をこぼさんばかりに喜び、彼女の背後にいたスザクが間違いなくナナリーの声です、という意味を込めてコーネリアとギルフォードとシャルルに向けて頷くと、コーネリアは無事だったか、と安堵の息をつく。
「ああ、よかった・・・!今、どうしているのですか?」
「今は黒の騎士団の方々の元でお世話になっております。皆様とてもいい方々ですわ。
お兄様を助けて欲しいとお願いしたら、任せろとおっしゃって下さるくらい」
「・・・・・」
「協力して下さっている方も、私の足や目を治して下さるためにお医者様やいろんな機械を手配して下さって・・・いずれ恩返しをしたいと思っておりますの」
皮肉ともとれる近況報告をされたコーネリアは、とりあえず無事らしいが懐柔されたかとコーネリアはどう返すべきか脳をフル回転させた。
「ナ、ナナリー、無事でよかった。ルルーシュの件は・・・」
「ある程度はお兄様から伺いました。お兄様がゼロであり、打倒ブリタニアを志して戦っておいでだったと。
そしてそのお兄様をブリタニアが連れ去ったので、コーネリア姉様が助けて下さったそうですが・・・何でもお兄様をお助けしていた女性を皇帝陛下に引き渡すために、私と引き離そうとなさったとか・・・?」
「ち、違う!それが終われば私はお前達と一緒にここで暮らそうと・・・!」
あくまでも一時的な措置だったのだと言い募るコーネリアに、ナナリーは全く感情の読めない声で尋ねた。
「・・・私、ごく最近伺ったのですが、コーネリア姉様はサイタマで何の関係もないサイタマにお住まいだった方々をお兄様を誘い出す目的で殺そうとなさったとか。
しかも私を確保すればお兄様もブリタニアに従わざるを得なくなるから、確保するつもりで私がいるゲットーを壊滅させるおつもりかもしれないと・・・これも事実ですか?」
どこからそれを、とコーネリアは青くなった。
前半は何しろ当事者であるルルーシュがいるのだから当然としても、後半の件は結局未遂に終わったのだから彼女が知るはずがない。
「・・・いろいろと知ってしまいましたので、どうしてもお姉様に確認しておきたくて、無理を申しあげてお電話をさせて頂いた次第ですの」
「なるほどねー」
アルカディアの声が響いてきたので、ユーフェミアとスザクは首を傾げた。
(今、特区にいるはずなのに?何故アルカディアさんの声が?)
既にエドワード=アルカディアと知っている二人が内心で疑問符を浮かべている間に、話は進んでいく。
「否定なさらなかったということは、事実のようですね。
ゼロは確かにコーネリア姉様の敵でしょうから、それは仕方ないとお兄様はおっしゃっておいででしたわ。
でも何の力も持たない一般民まで巻き添えになさるなんて、酷くありません?黒の騎士団は自分の作戦で被害がないようにと、ナリタできちんと住民の避難を呼びかけたと聞いておりますわ。
その呼びかけを聞いたのは生徒会の方のお父様でしたから、話は聞いていたんです」
直接会っていないが、確かに黒の騎士団員から避難の呼びかけがあり得るかもしれないと思った者が避難を誘導したという報告は聞いていた。
それがまさかナナリーが所属していた生徒会の人間の父親だったなど、コーネリアは想像すらしていなかったので額を押さえた。
実はシャーリーは父親とルルーシュと会った喫茶店での話を、生徒会でしていた。
騎士団からの避難勧告については厳重に口止めしたとはいえ、やはり人の口に戸は立てられないということだろう。
あの時ナナリーはただ単にシャーリーの父親が無事でよかったぐらいの認識だったが、コーネリアのしたことと比較するとどちらが正義かは自明の理である。
実際はエトランジュ達の独断による行為で黒の騎士団はその意味ではコーネリアと同類だったのだが、コーネリアはそんなことは知らないし結果としては対比が成り立ってしまう状況だったため、コーネリアは黙りこくった。
「それで皆様、大急ぎで私をあそこから避難するように申し上げたのですね。
コーネリアお姉様がまさか、と今の今まで信じておりましたが、そう、事実だったの・・・」
どこか寂しそうな口調でそう呟くナナリーはしばらく押し黙った後、ゆっくりと宣言した。
「コーネリア姉様、ユーフェミア姉様・・・私は、貴方がたの敵です・・・!」
「ナナリー!!」
コーネリアが叱りつけるように叫ぶが、ナナリーは怯まずに言った。
「もうたくさんです!!なんの力も持たないからと、こうやって怯えていく国で暮らすなんて、私は嫌です!!
七年前だって、お姉様達は何もして下さらなかったわ!!」
「それは・・・あの時は力不足だったんだ。だが今は!!」
「では今は?私からお兄様を引き離そうとなさったではありませんか!
記憶を奪うことまでする予定だったと伺いました。
私はお兄様さえいれば、それでよかったのに!!何て酷い・・・!!」
泣くように糾弾する末の妹に、コーネリアは反論出来ずに立ち尽くしている。
ユーフェミアのほうに視線を送るが、妹もどうしようもないと首を横に振った。
「私はあんな所には絶対戻りませんわ!
どうしてもそれだけお伝えしたくて、無理を言ってカレンさんに連絡して頂いたんです・・・カレンさんが特区でとても大事な仕事をなさっていると伺っていましたから。
ブリタニアと何の関係もないと、黒の騎士団の皆様に解って頂きたくて」
「そんな証明をしなければならないほどの状況ならば、ぜひ姫様の元にお戻りになっては・・・」
見かねたギルフォードが不敬を承知で口を挟むとナナリーはにべもなく言った。
「私達が日本人の皆様にどれほどの迷惑をかけたか、お解りではないのですか?!
七年前私達をアッシュフォードの迎えが来るまで藤堂さんが傍にいて下さらなかったら、ブリタニア人というだけで憎悪の対象になっていたせいで殺されていただろうとお兄様がおっしゃっておりました」
あの戦争が終わった時、日本が敗戦してもブリタニア人というだけで襲撃される者が後を絶たなかった。
理不尽だと解ってはいただろうが、先に理不尽な行為で全てを奪われた日本人達からすればやつあたりでもしなければとても耐えられなかったのかもしれない。
無力なブリタニア人の子供が無事でいられたのは、あの時スザクと藤堂が彼らの傍にいたことが大きかったのだ。
「今回だって、捕まる危険があるのにお兄様を助けて下さったのは日本人の方々です!!
・・・血の繋がった家族ではなく」
「・・・・」
「それに、私達は生きていないのでしょう?生まれた時から死んでいると言い切った父親の元になんて、戻りたくありませんわ」
「・・・何を言っているの、ナナリー。いくら何でもそんなことをお父様がおっしゃるわけが・・・・」
何も知らされていなかったユーフェミアがそう取り成そうとするが、何やら操作する音がして響いてきた内容に血の気が引いた。
『見つかるかもしれませんね。私達もあの方には本当に同情しておりますので』
『そう言えばさっきナナリー皇女の前では言いたくなさそうでしたな。何があったんです?』
エトランジュの声に、恐らく黒の騎士団の幹部であろう日本人の発音の英語が響いてくる。
藤堂の問いに、いつもはおとなしいエトランジュが珍しく嫌悪を露わにして説明していた。
『あの方が母君のマリアンヌ様をテロで喪ったことはご存じかと思います。
そして父であるシャルル皇帝が何の捜査もせず放置したのでシャルル皇帝に諫言なさったそうなのですが、ルルーシュ様に対して“死んでおる。お前は、生まれた時から死んでおるのだ。身に纏ったその服は誰が与えた?家も食事も、命すらも!全て儂が与えた物”と言い放ったと・・・』
『・・・同情を買うためのストーリーとか、そんなんじゃないですよね?』
『・・・七年前からルルーシュ皇子は自ら買い物をして自炊洗濯をしていたから、まず間違いないと思う。
他人は信用出来ないと言っていたが、それだけではなかったようだな』
『何ですかそれ・・・親が子供に言っていい言葉じゃありませんよ!
子供を作ったからには面倒を見るのは当然です!!』
ユーフェミアも思わず頷く女性の言葉に、エトランジュも同意を示していた。
『私も同感です。私、あの方の正体を知ってさすがに少しは調べておかなくてはと思って、EUに亡命して来たブリタニアの方に伺ってみたら・・・その話を聞いたんです。
あの方は非常にプライドの高い方ですから同情されても誇りを傷つけてしまうだけと思って、知らなかったことにするつもりだったのですが・・・』
『ナナリー皇女の前では口が裂けても言えないわけじゃのう・・・』
「エトランジュ様は本当にお優しい方ですね。
私が傷つくと思って陛下のこの発言はむろん、私が問い詰めるまでコーネリアお姉様がしたことですら私の前では一言もおっしゃらなかったんですよ?
だから私、ブリタニアが何をしていたのか知りたくて、こっそり録音してしまったんです。あの方から貰った音声日記で」
「音声日記?」
「目が見えなくても日記が付けられると、ボイスレコーダーを改造した機械だそうです。
リハビリの記録などにどうぞって」
改造される前本来の使い方をされたわけだが、渡した側はもちろんそんな意図は全くない。
しかし奇しくもアルカディアが言ったとおり、人間は良くも悪くも考える生き物であり、己の目的を遂行するために道具の使い方を考えるものなのだ。
たとえ目が見えなかろうと、足が使えなかろうと、考えることが出来るのが人間だ。
「・・・本当にそうおっしゃったんですか、陛下?」
震える声音で確認する三番目の娘に、今更否とは言えないシャルルは興味なさげに肯定した。
「それがどうした、ナナリーよ。事実を述べたまで」
それを聞いた瞬間、ユーフェミアはもうこの兄妹がブリタニアに戻ることはないと悟った。
同時にこの身に流れる血を嫌悪してよろめき、スザクに支えられる。
「・・・いたのか。これは予想外だな」
驚いたようなルルーシュに、ナナリーが縋るような怯えた声を出した。
「お兄様・・・!」
「大丈夫だ、もう何もかも言いたいことを言っていい。
俺も後であの男には言うべきことがあるからな」
「・・・はい。お兄様。
・・・コーネリアお姉様がしようとしていたことも、あの時皆様で話し合っていたようですが、傷つくから私には聞かせられないと・・・私、どこまでも守られていたんですね」
ゆっくりとそう言ったナナリーは、もはや黙るしかなくなった面々に告げた。
「だから、私はご恩返しをしたいのです。お兄様に、エトランジュ様達に、そして日本の皆様に。
ですから、私は貴方がたの敵なのです」
そしてナナリーは、今度は先ほどの発言を事実だと認めたきり黙っていた父に向けて言った。
「お父様がいるというなら好都合です。
私、信じてたんです。七年前のことは手違いで、いつか迎えに来て下さるんじゃないかって・・・でも、幻想だったみたいですね」
幻想ではない、とシャルルは思った。
ラグナレクの接続が成れば、晴れて迎えに行くつもりだった。
だからまだ待っていれば良いのだが、ナナリーはそれが幻想だと言う。
「同感だな、ナナリー。あの男がいるなら、俺も少し言わせて貰おう」
ルルーシュは小さく呼吸をすると、傲岸不遜な声で命じるように言った。
「俺はお前のバカバカしい計画ごとブリタニアをぶっ壊す。
その邪魔をするというなら、誰であろうと俺の敵だ」
「・・・計画?」
コーネリアが眉をひそめて尋ねると、ルルーシュは苦々しげに答えた。
「暴露したいくらいなんですが、話が長くなる上にあまりにバカバカしくて信用してくれそうにないので、あの男にお尋ね下さい。
どうせ答えないと思いますけど・・・そうだろう?」
最後の父親に向けた言葉にシャルルが映るスクリーンをこわごわと見つめると、彼はいつもの無表情で言った。
「聞いたのか、全てを・・・ならば」
あれは自分の本心ではないと解ったはず、という言葉を裏に込めて言い募る父に、ルルーシュははっきりとまごうかたなき本心を告げた。
「俺は計画ごとブリタニアを壊すと言ったはずだ。
全てを聞いたうえでの現在の心境を言ってやる。お前は最低の父親だ」
息子からの辛辣な批判にシャルルは内心で怯んだ。
そしてさらに、末娘が兄に続いた。
「私も最後に一言だけ申し上げます。
お父様は嘘がお嫌いだそうですので、遠慮なく言わせて頂きますね」
ナナリーは大きく深呼吸をすると、はっきりと決別の言葉を予想もつかない形で言った。
「いい加減にしろこのだめ親父」
その声が響いた瞬間、部屋が凍りついた。
いや、電話の向こう側でも空気が見事に止まったような音がしたから、あちらも予想外だったのだろう。
そしてツーツーと通話音が切れた無機質な音が、空しく響き渡る。
「嘘だ・・・あんなことをナナリーが言うはずが・・・」
あの優しくて温和なナナリーが言う台詞じゃない、とスザクは思わず呟いたが、しかし録音したというあの内容が事実なら怒り狂っても仕方がないとも思ったので混乱した。
しばらく凍りついていた面々だが、一番先に我に返ったのはコーネリアだった。
「マグヌスファミリアの連中が、ナナリーに余計なことを色をつけて吹き込んだのです、陛下!
ナナリーは悪くありません!!」
「録音した、直接は聞いてないって言ってましたよナナリー」
ユーフェミアが姉のフォローを壊す事実を述べると、一度会っただけだがエトランジュを思い出すにおそらく本当にナナリーに事実は教えていないと思った。
何しろやつあたりで自分を殺すことすらしなかったのだ。全くの被害者であるナナリーには何も言わず、ナナリーの言動や信頼ぶりから見て面倒を見たりしていただろうことは、想像がついた。
そして何も知らされていない状況にとうとう不安が限界に達したナナリーは、貰ったという音声日記とやらでこっそり録音するという自分でも彼女と同じ立場なら同じ行動を取るだろうと、ナナリーを哀れに思った。
(あんなの、誰が言えるっていうの?!色なんてつけてない、まったくの事実を述べただけではありませんか!)
むしろ温和な言い方だ、とユーフェミアは思った。
ルルーシュのことを思って、知らないふりをするつもりだったと気を使ってすらいたではないか。
そして姉の様子を見るに、もちろん彼女も知っていたのだろう。だが当然、自分には隠していた。
怒りを感じるべきか、父の本音を知らずに済ませてくれたことに感謝すべきなのかと、ユーフェミアは行き場のない感情をもてあます。
神根島でのルルーシュが、コーネリアが自分を悼んで日本人を許さないと言っていたと聞いた時笑って怒るという相反する行動を取った理由が、今よく理解出来た。
「・・・見捨てられた、のね」
「ユフィ?」
非公式とはいえ皇帝のいる前で愛称で呼びかけているということも気づかぬまま、コーネリアが妹に視線を移すと、ユーフェミアは自嘲するように笑って言った。
「見捨てられたのですわ、お姉様。七年前とは逆に、今度は私達が」
どうして助けに来てくれなかったの、待っていたのに。
理由があるだけだと思っていただけだったけれど、死人を迎えに来るはずがないから放置されたのだ、だからもうそんな人達などいらないと、当然の言葉を告げられた。
七年前自分達が彼ら兄妹を見捨てたように、今度は自分達が見限られた。
そう、見事に因果が巡ったのだ。
「・・・勝手にするがいい。しょせんあれもその程度だったということよ」
「しかし陛下・・・計画とはなんです?
世界をブリタニアが制するという計画だけではないように聞こえましたが」
末弟は答えるはずがないと言っていたがそれでも尋ねるコーネリアに、案の定シャルルは答えなかった。
「お前が知らなくともよいことだ。いずれ解る」
シャルルは低い声でそう言うと、コーネリアに命じた。
「C.Cを確保すれば、ルルーシュもナナリーも好きにせい。
あれらが生き延びるか否かは、あれらの才覚次第。弱肉強食こそ我がブリタニアの国是なのだからな」
勝者が正義、と常の主張を繰り返したシャルルは、別れの挨拶すらなしに通信を切った。
黒いスクリーンを見ていた姉妹はしばらく重苦しい沈黙を保っていたが、コーネリアはシャルルが二人を処刑しろとは言わなかったという良い部分だけを見て妹にまだ望みはあるとばかりに言った。
「ユフィ、皇帝陛下のご命令なのだ。黒の騎士団には気の毒だが、あれの正体を知っている以上放置する訳にはいかん」
ゼロがブリタニア皇子だったなどと知られれば、日本侵攻の真実も連鎖的に暴露しかねない。
さらに厄介なのはマグヌスファミリアの女王で、彼女がルルーシュと婚姻を結んで事実を公表し、彼をブリタニアの皇帝として立てていこうなどという事態になれば、マリアンヌの支持者が多い以上ブリタニア国内でもどんなことになるか、予想がつかない。
「・・・お姉様、またサイタマのようなことをなさるおつもりではないでしょうね」
ユーフェミアがまっすぐに姉を見据えて尋ねると、コーネリアは殲滅まではいかないが、かたっぱしからゲットーを調べてルルーシュ達の痕跡を調べるつもりだと答えるとユーフェミアははっきりと言った。
「・・・それは私がやります。ナナリーを記念した病院を作るので、エリア内の患者を集めるという名目で調べれば角は立たないでしょう。
ナナリーがいる場所にルルーシュもいるのですから、C.Cとおっしゃる女性も見つかるかと」
「それはそうだが、時間が・・・それに見つかったなら強引な手段を使ってでも取り戻さなくては、イレヴンに何をされるかしれたものではない」
しかしあの時ルルーシュ達を助けたのは、コーネリアが処刑しようとした藤堂達だ。
今更ルルーシュ達がブリタニア皇族だからと言ってどうこうするつもりがあるとは思えないとユーフェミアは考えたが、さすがに日本人が無実と知って姉もどこか忸怩たるものを感じてはいる様子だった。
それだけに日本人の恨みがどれほどのものかと思うと逆に弟妹を至急保護をしなければという思考にいきつくのも解らないではないが、それに強硬手段を使ってしまうのならば実に身勝手と言わざるを得なかった。
「もしサイタマのようなことをなさるというのでしたら、私もその場に参りますからねお姉様。
私はあの時、一般人も数多くいたと知りながら巻き込んだお姉様を、何としてもお止めするべきだったのです」
「ユフィ!!何を・・・・!」
「あれが原因でお姉様への信用は地に落ちたと、ルルーシュも言っていたではありませんか。
あの時の私はあまりにも考えが足りず、他者の考えや思惑、そして他人の立場に立って考えることをしなかったがために、日本人の皆様に多大な迷惑・・・というのすら生ぬるいことをしてしまったのです。
二度も同じ過ちを犯したくはありません」
既に情報統制があってもこちらに情報が来るようなシステム作りを、ニーナに依頼してある。
せっかく特区の利益が上がり、ゲットーの整備にも着手する準備が出来て日本人の参加者も徐々に増えているのに、絶対にあんな悲劇を繰り返させるわけにはいかない。
「私は日本人の方々と、命運を共にします。それが私の・・・せめてもの償いだと思っています」
「ユフィ!!」
コーネリアは鋭い声音で妹を怒鳴りつけたが、いつもならばそれで言うことを聞くユーフェミアは首を横に振るばかりだ。
「お姉様こそこちらの過失をどうにかするために、さらに他者に犠牲を強いるとはどういうおつもりです!!
こうなったのはいったい、誰のせいだと思っておられるのですか!!」
「それは・・・!」」
「だいたいあんなやり取りがあった中でブリタニアに戻れなど、私にはとても言えませんわお姉様!
お姉様が私やルルーシュ、ナナリーを想って下さっているのは解ります。
ですが、明らかにそれは自分勝手なものです。だからルルーシュはあの時お姉様の手を取らず、日本人の方々の手を取ったのです。
私達はもう見捨てられたのです!まだお解りにならないのですか?!」
一歩も引かない姉妹の背後で、互いの騎士が視線を合わせてはどうしたものかと考えあぐねている。
理屈としてはユーフェミアが正しいのだが、皇帝の命令というブリタニア皇族と軍人にとっては全てが優先されるそれに縛られたコーネリアに従うのが正しい道だからだ。
スザクはむろんユーフェミアに従うつもりだが、いくら何でも殲滅先と解っているゲットーにやるのは何としても止めたい。
万が一ということがあるので、親友の頼みであり何より主君である彼女を守るためには出来れば避けたい事態だからだ。
(そうなったらルルーシュにユフィの保護を頼むしかない。
いや、殲滅自体をやめさせるのが一番だけど・・・)
(姫様の御懸念はもっともだが、ユーフェミア様のお言葉も一理ある。
ブリタニアを思えば黒の騎士団の口封じを行い、エリア11を衛星エリアに昇格させて特別扱いを暗に認めるのが一番だ。
しかし、それをどうご理解頂くべきか・・・)
「・・・とにかく、ルルーシュ達は確保する。我々はブリタニア皇族なのだ。
皇帝陛下の御心には、万事従わねばならん」
「お姉様!」
「ルルーシュがナナリーを想うように、私もお前が大切なのだユフィ。
あの日の陛下のお言葉が原因で、兄弟間に恐れが走った。あの方に見捨てられれば、一族郎党がルルーシュと同じ道を辿ることになる、とな」
だからルルーシュを助けることが出来ず、当時から侵略を繰り返して他国から忌避されていたせいで亡命することも出来ず、ひたすら国是に沿って生きる道を選択するしかなかった。
他に選択肢があるかもしれないが、それは確実に母国を捨てることであり、その中でユーフェミアを守る自信などない。
もともと他国を侵略してきた己である。妹だけならともかく、自分が亡命などしたところで他のブリタニア人のように亡命保護が受けられるなど、甘い考えは持てなかった。
クロヴィスのシンジュク殲滅も、真相を知っていたコーネリアは皇位継承権を剥奪された者の末路を見ていただけに、禁じられた行為に手を出してしまったのだと解っていた。
ただそれがあくまで身内に向けられた同情であり、理不尽だと思ったのならその原因となっている者をどうにかしようという発想が、コーネリアにはなかった。
そして本来ならブリタニア皇族であるルルーシュとナナリーを恨んで当然の黒の騎士団が彼ら兄妹の助けとなってくれたのに、血が繋がっている味方のはずのブリタニア皇族が自らの保身のために見捨て、利用しようとしたという状況が比べられていたことも、彼女の不運であっただろう。
妹の非難の視線から目をそらしたコーネリアは、それに耐えきれずに席を立った。
「私はお前だけは守る。ルルーシュ達も、出来るだけ保護をしたい。
お前もいずれ、この正しさが解る・・・お前はここで、特区のことだけ考えていろ」
「・・・・」
「黒の騎士団とマグヌスファミリアの連中だけだ!一般市民は巻き込まないと、それだけは約束する。
ゲットー整備の方も、早急に行うように指示しよう。それがエリア11の平和のためだ」
コーネリアはそれだけが最大限の譲歩だと告げると、ギルフォードを連れて部屋を出て行ってしまった。
残されたユーフェミアは、クッションの上に置かれたカレンの携帯電話を大事そうに手に取り、ぽつりと呟いた。
「いい加減にしろこのだめ親父、か・・・私も言ってやりたい台詞だわ」
何と解りやすく的確な言葉だろう。
ルルーシュとナナリーがあの父に言うべき苦情が、見事にこの一言に集約されている。
ユーフェミアが読んだ本の中に、言葉とは乱暴なほうが解りやすく伝わりやすいとあったが、なるほどそのとおりだった。
「ユーフェミア様、それは不敬に・・・!」
残されたダールトンがユーフェミアを諌めようとするが、ユーフェミアに睨まれて口を閉じる。
「あれが敬える父親の態度ですか!お姉様があんなに陛下の評価を気になさっていた理由がよく解りました。
陛下があんなことを言っていたのでは、当然です。私は何も知らなかったとはいえ、お姉様も大変なご心労だったことでしょう」
「は、その通りです。ですから姫様の御苦労をユーフェミア様にもご理解を・・・」
「そして迷惑をかけた皆様にさらなる負担を強いることを黙認しろと言うのですか?それが理解だとでも?」
「ユーフェミア様・・・」
「・・・私、少々疲れました。混乱していますし、少し休ませて下さい」
退室を命じられたダールトンは深々と一礼すると、部屋を出て行った。
そしてユーフェミアは疲れたようにソファに座りこみ、心配そうに顔を覗きこんできたスザクを見て大きく溜息をつく。
確かに姉に同情はするが、それ以上に日本人に同情した。
乱暴に表現するなら、彼らは家庭内のいざこざに巻き込まれただけだからだ。
「・・・日本人の皆様や他国の方々が事実を聞いたら、こう返すでしょうね。『知ったことではない、自国内で解決しろ』と。
少なくとも、私が日本人だったらそう言います」
「ユフィ・・・」
「こういうのを八つ当たり以外のなんだと言うのです!
原因である陛下を殺して全てを変えようとしているルルーシュの方がよほど正しい経過を通っているではありませんか!!」
父殺しを止めたいとユーフェミアはつい先ほどまで思っていたが、七年前の発言を聞いて止めることは不可能だと悟った彼女は、カレンの携帯電話に貼られた黒の騎士団のマークの一部が描かれたシールをじっと見つめた。
ブリタニアを捨てる勇気は、姉よりははるかにあった。しかしこれまで苦労と心労をかけて自分を守ってくれた姉を捨てる勇気がどうしても持てなかった。
だが、いずれは選ばなくてはならないと、ユーフェミアは震えが走る。
(間違った行動で私を守ろうとして下さっているお姉様か、正当な行動で世界を変えようとしているルルーシュか)
姉にすら秘匿している計画をしている父が、不気味に思えてならない。
どんな経緯で知ったのか、ルルーシュはそれを阻止しようとしているようだがそれはいったいどんなものなのだろう。
姉を説得したいとは思っているが、姉の仕出かした行為を皆が許してくれるのだろうか。
家族を殺した姉が許せないと、冷酷な手段で姉を殺そうとしたマグヌスファミリアの面々を思い浮かべる。
「スザク・・・カレンさんとエドワードさんを呼んでください。大事なお話があると」
「イエス、ユアハイネス」
スザクはそう返事をすると、二人を呼ぶべく内線の受話器を手に取った。
「姫様・・・ユーフェミア様もいずれは解って下さいます。
イレヴンもいずれは姫様の慈悲を理解いたしますとも」
「・・・・」
コーネリアは政庁へと戻る車の中で、自らの騎士の慰めの言葉をただ外を見つめて聞いていた。
その前に逆探知の結果を聞くべくエドワードにも会ったが、悪辣な電波妨害システムを突破出来ずに結局やっとのことでサイタマゲットーから発信されているとしか解らなかったと告げられ、今更サイタマに行っても確実に逃げられているので、諦めるしかなかったのである。
美しいビル群が立ち並ぶ外で、ブリタニアが破壊した建物が崩れているゲットー。
そのどこかにいる末の弟妹から、もう戻ってこないと宣言された。
『俺はお前のバカバカしい計画ごとブリタニアをぶっ壊す。
その邪魔をするというなら、誰であろうと俺の敵だ』
『私はお兄様さえいれば、それでよかったのに!!何て酷い・・・!!』
『見捨てられたのですわ、お姉様。七年前とは逆に、今度は私達が』
「見捨てられた、か・・・」
ユーフェミアの台詞を思い返したコーネリアがふっと自嘲すると、ギルフォードは主君を慰めにかかる。
「ナナリー様は姫様のお立場を理解しておられないのです。
ナナリー様も大変なご境遇だったとは存じますが・・・」
「大変な境遇にあった妹に私の立場を理解しろというのは、逆に不名誉な言い分だな、我が騎士ギルフォードよ」
「姫様・・・その、申し訳ありません」
「いや、いい。ルルーシュはナナリーのためにも一歩も引くまいよ。
既に今頃、エリア11奪回に向けて動いているだろう」
先ほどは情を昂ぶらせていたコーネリアだが、徐々に頭が冷えてきたらしい。
冷静にそう分析すると、自分がユーフェミアを守るためにどう動くべきか考えを巡らせた。
「ギルフォード、私は神聖ブリタニア帝国の第三皇女だ。それ以外の生き方など出来ん」
「は、それは重々・・・」
「今更ナンバーズに対し、頭を下げることなど不可能だ。
・・・だから私はルルーシュと戦わねばならん」
「姫様・・・!」
ギルフォードが主君の決意を秘めた瞳を見つめると、コーネリアは言った。
「私が勝てば、ルルーシュとナナリーは本国には戻さずここで軟禁という形になるが、保護をする。その許可は陛下から頂けたのだ・・・それしか道はない」
身勝手なことを、とあの二人なら言うだろう。
しかし、それが自分の精一杯の庇護だった。
「かしこまりました。私もそうなるように最善を尽くしましょう」
「ゲットーに潜伏している黒の騎士団の基地を、片っ端から洗い出せ。
ゼロを・・・ルルーシュをおびき寄せろ。
ただし、一般市民には被害を与えるな。騎士団に対する死刑もならん。いいな」
「ユーフェミア様とのお約束とはいえ、それでは時間が・・・」
「命令だ!いいな、ギルフォード」
「・・・イエス、ユア ハイネス」
きつく命令をされたのではギルフォードはそう答えるしかない。
“一般市民に被害を与えずルルーシュを誘き出す”という以前の彼女ならナンバーズなどと言い捨てそうなコーネリアの瞳は、赤く縁取られている。
(そういえば姫様はルルーシュ様とお話しをなさった時、ルルーシュ様に『貴女は日本人に対して死刑・虐殺などの行為をなさらないで頂きたい』と言われていた。
それを是とは・・・いや、まさかな)
ルルーシュとナナリーは日本人に殺されたのだからと日本人を弾圧しただけで、実際はそうではなかったのだからこの処置になったのだとギルフォードは考えた。
しかしれっきとしたテロリストである黒の騎士団に対して死刑を許さないというのはどういうことだろう。
「騎士団員は・・・終身刑あたりにしておく。ルルーシュの顔を立てて、その程度にしておこう」
「なるほど、かしこまりました。そう取り計らうよう、法務の方に通達しておきます」
コーネリアにしては甘く温厚な策だが、ルルーシュ達を思えば妥当だろう。
納得したギルフォードは、政庁に戻り次第黒の騎士団基地を探し出すべく部隊を組もうと考えを巡らせる。
そしてコーネリアは外の景色を見つめながら考え込んだ。
(計画・・・陛下の私にすら秘密にしている計画。
ルルーシュは知っているようだが、まさかあのV.Vとやら・・・陛下直轄の機関の人間の行動も、それ絡みか?)
いくら考えても答えは出ない。
ユーフェミアと同様、初めて父に不気味なものを感じたコーネリアは、その父からの鎖を断ち切った末の弟妹にどこか羨ましいものを感じたのだった。