「オーマイゴォォオオッドォオオオオ」
とある日、博打で儲けた話を聞いたらしいタバサが、俺に勝負を仕掛けてきた。
サイコロ博打。
要はチンチロリンなのだが、タバサが指定してきたサイコロ博打勝負で見事に負けた。
「約束、守ってもらう」
サイコロ博打に勝利した場合の取り決めがあった。
俺が勝った場合、シルフィードの一週間分の使用権とタバサと一日デートの権利。
タバサが勝った場合には俺が作る創作フルコース料理一週間分と使い魔(俺)の所有権を一日タバサに与える権利。
「イカサマしてね?」
「あきらめが肝心」
ピンゾロが二回も出た時点でやめとくべきだったぜ。
はぁ、一週間もタバサの飯の面倒を見るのかよ。
小柄なのに大食いだからな。食費がバカにならない。
まあ、可愛いからいいけどな。
「満足」
「朝から食い過ぎだ。その体のどこにはいるんだ?!」
朝から三人分の飯を食うタバサ。
わざわざ部屋に食事を運ばされた。
アレ?
二人きりで飯食ってるじゃん。
これって、役得?
うん、俺の出した飯がタバサの血肉になる。主婦か!
タバサの行動は規則正しい。
飯を食う。授業にでる。図書館か自室で本を読む。
だいたいこの三つの行動に分かれる。
「うむ、白、水色、縞パンか。ブラは……」
「何してるの?」
「げぇ、タバサ!」
何故か部屋の掃除まで任されたので下着を漁っていた。
音もなく後ろに立つのはやめて欲しい。
さて、どう誤魔化すか。
「いや、ルイズは俺に服の整理とかさせるし、着替も手伝わせるし、俺の目の前で着替え始めるからいいかなって」
今のルイズはそんなことしないし、させてくれないけどな。
「そう」
納得したのか、タバサは椅子に腰掛けた。
そして本を読み始める。
(つд⊂)
(;゚ Д゚) …!?
『男の扱い方上級編』
タバサの読んでいる本のタイトルがおかしいぞ。
「なに?」
俺の視線に気づいたのか本を読んだまま聞いてきた。
「いや、読んでる本なんだよ? そうゆうのが気になるお年頃か?」
「別に」
ペラッ。
やけに真剣に読んでいるように見えるのは俺の気のせいか?
「本を参考にするのもいいが、そうゆうもんは実体験がモノを言うぞ?」
「実体験……」
ジッと俺を見つめるタバサ。
なんだよ、萌えるだろ。
「あなたはどんな子がタイプ?」
「そうだなぁ、っていきなりだな!」
「答えて」
君がタイプだ!とタバサに言ったらどんな反応をするかなぁ。
というわけで
「タバサみたいな子はカワイイと思うぞ」
少しだけタバサの頬が朱に染まった。
あっるぇ~?
デレか? デレなのか?
「使い魔の使用権を今日使う」
イミフ。
その夜になって意味はわかった。
うん、パジャマ姿かわいい。
「マジですか?」
「いいから」
早い話、一緒に寝ることになったわけだが。
使い魔として一日中、ずっと近くにいろ。つまり傍から離れるなという意味だったらしい。
先にベッドに入ったタバサに続いて俺も潜り込む。
「うっ」
メガネを外したタバサと向き合う。
ヤダ……、何これ、かわいい。
「どうしたの?」
「別に、なんでもないです。ハイ」
「?」
寝転がりながら首を傾げるタバサに萌えた。
しばらくするとスヤスヤと眠り始めたタバサ。
お触りタイム~。
ヒャッホウ。
「お父様……」
「……」
寝言の後、抱きつかれた。
優しく抱き寄せる。
タバサの事情を知っている俺はなんだか、罪悪感に包まれた。
残りの数日はタバサに異常に優しくしてやった。
「おと、サイト。ありがとう」
「いいんだ。これからは暇があれば面倒見てやるよ」
「そう」
ナデナデ。
少しだけ俯くタバサ。
ほんの少しだけ恥ずかしがっているらしい。
かわいいぞ、ちくしょう。
ギュっと抱きしめる。
「なに?」
「これからはお兄さんと呼んでいいぞ?」
「……、必要ない」
少し間があったな。それに無表情とはいえ、ジッと見つめてるから満更でもないわけか。
目は口ほどにものを言う。
まあ、これ以上はやめとくか。
「じゃあな。一週間だったが、楽しかったぜ」
「……、そう、じゃあ、"またね"」
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前回の外伝予告通り、タバサです。
更新速度が早いのはある程度書き溜めしてるからです。
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