私が自室に戻るといつの間にか部屋にはサイトがいた。
「遅かったね」
「って、なんでいるのよ?」
「なに、一緒に寝ようと思ってね」
昨晩はルイズが誤魔化してくれた。
手を打たなかったのを後悔した。
「ま、まだお風呂に入ってないわ」
お風呂場でルイズに助けを求めればいい。
「そうか! なら風呂に入らないとな!」
私はビクっとなる。しまった。サイトには専用のお風呂があったことを思い出す。
「え、えーと、今日は入らないわ」
「駄目だね。モンモランシーは女の子だ」
グイッと腕を掴まれて連れて行かれる。
「ちょ、ちょっとぉおおお」
「わはははは」
広場の隅にある。サイトのお風呂。
サイトは気にする様子もなく、服を脱いで既に入ってる。
私は恥ずかしかったが、どうしてもと懇願するサイトに負けてしぶしぶ一緒に入ることになった。
「あ、結構、気持ちイイわ」
「そりゃよかった。ほら、月を眺めながら風呂に入るのもいいものだろ?」
サイトはそう言って空を見上げる。
キレイな月に星々。
私はタオルで胸から下は隠している。
月明かりの下、サイトの身体をマジマジと見てしまった。
全体的に引き締まっている。
腹筋もキレイに割れている。
芸術品に見える筋肉。
そして、水のメイジとして見えるサイトに流れるモノが今まで見た人々より、強い。
「どうかしたか?」
「う、ううん。すごく、鍛えてるな~って」
そこで、気付く。サイトの身体には疲労が溜まっている。
私は杖を取るために一度お風呂から出る。
「かなり疲労が溜まってるわ。一体どうすればここまで疲労が溜まるのよ」
杖を取り再びサイトを"視る"と思った以上に疲労があることに気づいた。
それを治癒する。
「お、身体が軽くなった。いや、ありがとう。色んな意味で」
「え?」
言われて気づいた。
私は杖を握っている。
それだけだった。
「キャアアアア」
真っ裸を見られた!
恥ずかしくなり服を持って逃げるようにその場を去った。
「見たのが俺だけだから気にするなよ」
「そう言う問題じゃないわ!」
お嫁に行けないわ。
急いで部屋に戻った。少し間をおいて、サイトが当たり前のように私の部屋に帰ってきたのだ。
「まあまあ、髪も乾いてないじゃないか」
そう言って、サイトはタオルで髪を拭いてくれた。
まるで、妹か子供にするように。
「それくらい……、自分でできるわよ……」
私の力ない言葉が聞こえなかったのか、髪を拭き、ブラシで髪を梳かしてくれた。
「明日は早い。寝ようか」
「ええ」
なんとなく、家族といるような気分になり、一緒に寝ることを忘れて生返事をしてしまった。
「ほら、ベッドに入って?」
サイトは勝手に私のベッドに入っていた。
裸を見られたのだ。今更一緒に寝るくらい何てこと無い。
そう思ってベッドに潜り込む。
「あ、ちょっと?! 何するつもり?」
サイトが私を後ろから抱きしめてきた。昨日言ったことは嘘だったの?
「なぁ~にもしないって。少しだけこうさせてくれよ」
「怪しいわ! む、胸に手を置いてるし!」
サイトの顔は見えない。
私の後頭部に息が当たっている。
「これ以上何もしないよ……。無理にはしないって言ったろ?」
サイトはすぐに眠そうな声を出し始めた。黙っていればこのまま寝てくれそうなので、何も言わないことにした。
サイトはすぐに寝てしまったようだ。
年上に思えるところもあれば、子供に見えることもある。
サイトに抱きつかれるのはイヤでは無くなった頃に、私も寝てしまう。
夢うつつの中、明日のことを想う。
治ったら、私の事を――。
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38と39の合間のお話と思ってください。
タバサの話を最近書けてない。
次回外伝はタバサに決めた。
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